JP2008223694A - 熱遷移駆動型真空ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ポンプ主要機構を三次元化した実用的な熱遷移駆動型真空ポンプを実現する。
【解決手段】平面的に配置されたキャピラリ集合体4と支持体5の上下に2つのコネクタ7が配置されており、ポンプ主要機構が三次元化された構造である。支持体5に設けられた貫通窓6を通じて前段と後段のコネクタが接続され、多段カスケード接続の熱遷移駆動型真空ポンプを実現しやすい。キャピラリ集合体4は、陽極酸化によるマクロポーラス・シリコンからなり、均一なクヌーセン数を持つ垂直方向に貫通した細孔又は細間隙を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱遷移作用によって駆動する熱遷移駆動型真空ポンプに関する。
まず、熱遷移駆動型真空ポンプ、いわゆるクヌーセン・ポンプの動作原理について説明する。
異なる温度に保たれた二つのコネクタ(接続室)を、気体分子の平均自由行程より小さな径のキャピラリ(細管)で接続すると、高温側コネクタ内の気体の圧力が高くなり、低温側コネクタ内の気圧は低くなる。この現象は、1910年にクヌーセンによって発見された。そして、クヌーセン・コンプレッサ(Knudsen compressor)、あるいはクヌーセン・ポンプ(Knudsen pump)として、気体の圧縮や減圧を行うアクチュエータへの応用が提案されている。
隣り合う二つのコネクタが等温度にある場合を図46に、異なる温度にある場合を図47に示す。図46において、キャピラリのクヌーセン数KnはKn>=1であり、コネクタのクヌーセン数KnはKn<<1である。
Kn=λ/L (無次元)
λ:規定の平均自由工程(長さの単位)、
L:キャピラリ又はコネクタの断面形状の大きさ(長さの単位)
圧力と温度の関係は以下のように表される。
pL/pH=(TL/TH)1/2
TH:高温側コネクタ内部の気体の温度
TL:低温側コネクタ内部の気体の温度
pH:高温側コネクタ内部の気体の圧力
pL:低温側コネクタ内部の気体の圧力
一つのコネクタと一つのキャピラリによる最小単位をカスケードに接続した場合を、図48に示す。段数をsとすると、圧力と温度の関係は以下のように表される。
Pvac/Poutlet=(TL/TH)S/2
Poutlet:出口側圧力
Pvac:到達圧力
図49は、クヌーセン・ポンプを理論的に解析するためのモデルを表している。キャピラリ内部およびコネクタ内部に生ずる希薄気体の流れを、性質の異なる二種類の流れに分けることが大きな特徴である。一つは圧力勾配によって誘起されるポアズイユ流(
Poiseuille flow)である。もう一つは壁面の温度勾配によって誘起される熱遷移流(thermal transpiration flow)である。後者は熱ほふく流(thermal creep flow)とも呼ばれており、古典流体力学では予測できない希薄気体特有の流れである。
図50に、熱遷移流もしくは熱ほふく流の生ずる原因を簡単に図示する。低温側から高温側へ向かう流れが誘起されるのは、以下の理由による。
「高温側から管壁に到着する分子の平均速さ」は、「低温側から管壁に到着する分子の平均速さ」に較べて大きい。また、管壁から離れていく分子の速度分布は、拡散反射の場合は等方的である。その結果、気体から管壁には、高温側から低温側に向かう運動量が与えられる。一方、その反作用として、気体には「低温側から高温側に向かう逆方向の運動量」が与えられる。
実際のクヌーセン・ポンプにおいては、キャピラリ内部とコネクタ内部の両方に、熱遷移流とポアズイユ流、二つの流れを仮定することにより、精度の高い解析が行われている(非特許文献1参照)。基礎となっているのは、曽根らの変形クヌーセン数展開法である(非特許文献2参照)。
ここでは、数値解析の詳細については触れない。しかし、現象を定性的に理解することは、後に述べる本発明の目的を理解する上で役に立つと思われるので、遷移流の生ずる様子を時間の経過に従って観察した結果を、簡単に紹介する。
(1)熱遷移流
キャピラリ(細管)の軸方向に沿って管壁に温度勾配が生じ、管壁近傍の気体分子は、低温コネクタから高温コネクタに向かって、「キャピラリ」の管壁に沿いながら、移動を始める。この流れが熱遷移流もしくは熱ほふく流である。
(2)ポアズイユ流
熱遷移流は、やがて両コネクタ間に圧力差を生じさせる。その結果、今度は差圧によって、高温コネクタから低温コネクタに向かって、熱遷移流と対向するように、気体分子の移動すなわちポアズイユ流が誘起される。
(3)定常状態
やがて、熱遷移流とポアズイユ流の両者は、逆向きで釣合う状態で落ち着く。すなわち、両コネクタは、キャピラリを通した見かけ上の物質移動はないものの、ある圧力差を保った状態になる。
以上が、熱遷移駆動型真空ポンプ、いわゆるクヌーセン・ポンプの動作原理の説明である。
従来、クヌーセン・ポンプにおいて、キャピラリの両端間に温度勾配を生じさせるために、以下の方法が取られてきた(図51参照)。
(a)コネクタ内部の気密空間に、抵抗加熱ヒータを置く方法。
(b)コネクタ内部の気密空間に、温度差形成用のペルチェ素子を置く。
(c)キャピラリの一端に光を照射し熱に変換する。
例えば特許文献1(図52参照)、非特許文献3(図53参照)、非特許文献4(図55参照)には、キャピラリの両端に温度勾配を形成するための抵抗加熱ヒータをコンテナ内部に作り込んだ例が示されている。ヒータで発生した熱が構造体を通して伝導するのを極力抑えるため、特許文献1と非特許文献3では、発熱体を空中に浮かせるエアブリッジ構造を採用している。非特許文献4では、サーマルガードの上にヒータ線を配置している。
また、非特許文献5(図54参照)には、キャピラリ集合体として高分子アエロゲル膜を用い、その一面に光照射窓を通し赤外光を照射して昇温させることにより、キャピラリ集合体に温度勾配を形成する。すなわち、この例ではキャピラリ集合体が発熱体としての機能を兼ねる。
米国特許第5,871,336号公報 E.P.Muntz,Y.Sone,K.Aoki,S.Vargo and M.Young,"Performance analysis and optimization considerations for a Knudsen compressor in transitional flow",J.Vac.Sci.Technol.A20(1),2002,pp.214−224 曽根良夫,板倉英二,"任意Knudsen数の平面および円管Poiseuille流と熱遷移流の変形Knudsen数展開による解析とデータベース",真空,33(3),1990,pp.92−97 Shamus McNamar and Yogesh Gianchandani,"A Micromachined Knudsen Pump On−Chip Vacuum",The 12th International Conference on Solid State Sensors,Actuators and Microsystems,Boston,June8−12,2003,pp.1919−1922 http://www.nasatech.com/Briefs/Feb03/NPO21110.html M.Young,Y.L.Han,E.P.Muntz and G.Shiflett, "Status of the Knudsen Compressor for Use in Distributed and Autonomous Sampling Systems",4th Harsh−Environment Mas Spectrometry Workshop,St.Petersburg Beach,FL,Oct.7−10,2003
従来のクヌーセン・ポンプには高性能化、小型化、集積化を図る上で解決すべき多くの課題がある。これについて次に説明する。
A)キャピラリ集合体関連
キャピラリ集合体の細孔又は細間隙の方向を、基板に対し垂直な方向に揃えることができると、ポンプ主要機構の三次元化が可能となり、かつ、細孔又は細間隙に誘起される圧力差を均一化することができる。しかし、高分子アエロゲル膜は、三次元化には適しているが、個々の細孔の方向がランダムであるため細孔により誘起される圧力差が不均一になる難点がある。表面MEMSによって作製される細間隙は同一キャピラリ内では全て同じ値の圧力差を生じるが、気体分子の流れが平面方向なのでポンプ主要機構の三次元化に難がある。
B)熱源関連
細孔又は細間隙の一端を昇温させるための熱源としては、高抵抗金属材料を用いたヒータが使われることが多い。しかし、基板表面に設けられるため配線領域が制約される上、成膜、フォトリソグラフィ、エッチングといった煩雑な配線プロセスが必要になる。微細で複雑な表面形状を持つキャピラリ集合体を均一かつ安定に昇温させることが難しい等の難点がある。熱源として、赤外光との相互作用により光子エネルギーを熱に変換する金黒や白金黒の膜が用いられることもある。しかし、メッキや真空蒸着によって成膜されたこれらの膜は、物理的強度が小さく、一般的なシリコン微細加工プロセスを適用できない。支持体領域に回りこんだ赤外迷光が、支持体をも昇温してしまうという問題もある。
C)支持体関連
細孔又は細間隙の一端を高温部、他端を低温部とし、細孔又は細間隙の両端間に大きな温度勾配を形成することが、大きな圧力差を得るための必要条件である。しかし、高温部の熱が低温部へ拡散するという問題があった。このような熱の拡散を防ぐためには、キャピラリ集合体自体の細孔又は細間隙の軸方向の熱伝導率が小さいことは勿論、キャピラリ集合体の外周に接する支持体の熱伝導率も同様に小さいことが望ましい。キャピラリ集合体を断熱性の高い支持体で保持すべく、別々に製作されたキャピラリ集合体と支持体を組み立てる方法があるが、接着や組付けといった煩雑なアセンブル工程を伴うという難点がある。
D)システム化関連
クヌーセン・ポンプ(コンプレッサ)は、駆動機構を必要としない原理に基づいているため、気体分子を長期間にわたって、脈流を生じさせることなく移動させることができる。その反面、非力であるため、基本要素単体では実用に耐える真空度(圧力)を得ることは難しい。したがって、目標とする到達真空度(圧力)に応じて基本要素を多段接続することが必須である。このような多段接続のポンプの実用化には、上記A〜Cに述べた基本要素単体に関わる課題を解決しない限り困難である。
よって、本発明の目的は、上に述べたような諸点について改善した熱遷移駆動型真空ポンプを実現することにある。
本発明は、キャピラリ集合体と、該キャピラリ集合体の各側に接続された2つのコネクタと、該キャピラリ集合体を保持する支持体とを備える改良された熱遷移駆動型真空ポンプを提供する。
請求項1記載の発明による熱遷移駆動型真空ポンプにおいては、
前記キャピラリ集合体及び前記支持体は平面的に配置され、
前記キャピラリ集合体は、表面から裏面へ垂直に貫通する複数の細孔又は細間隙が形成された多孔質シリコン膜からなり、
前記キャピラリ集合体の一方の側に前記細孔又は細間隙の一端を昇温させるための熱源が設けら、
前記キャピラリ集合体の前記熱源が設けられた側に接続した前記コネクタ内に開口する貫通窓が前記支持体に設けられる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記多孔質シリコン膜はシリコン基板の陽極酸化により形成されたものとされ、前記多孔質シリコン膜の一面に前記細孔又は細間隙に対応した傾斜面を持つ凹部が設けられ、該凹部はその底に陽極酸化時に電界が集中する部位を有する形状のものとされる。
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
シリコン基板の陽極酸化により前記多孔質シリコン膜を形成する時に該シリコン基板の表面から内部に広がる空乏層幅より前記凹部の底までの深さが大きく設定される。
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記多孔質シリコン膜はマクロポーラス・シリコンとされる。
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記キャピラリ集合体に赤外光を照射するための光照射窓が設けられ、
前記熱源は前記光照射窓を通して照射された赤外光を吸収して光子エネルギーを熱に変換する赤外光吸収層とされる。
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記赤外光吸収層は前記キャピラリ集合体の表面から内部へボロン原子を拡散させたボロン拡散層とされる。
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記キャピラリ集合体の中央部分の所定領域より外側の領域にのみ前記ボロン拡散層が設けられる。
請求項8記載の発明によれば、請求項6記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記キャピラリ集合体の前記細孔又は細間隙が形成されている領域より広い領域に前記ボロン拡散層が設けられる。
請求項9記載の発明によれば、請求項6記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記キャピラリ集合体の中央領域から離れるほど前記ボロン拡散層のボロン原子濃度が高くなるように制御される。
請求項10記載の発明によれば、請求項5記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記光照射窓に赤外光を集光するマイクロレンズがさらに設けられる。
請求項11記載の発明によれば、請求項5記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記支持体への赤外光の入射を防止するため遮光手段がさらに設けられる。
請求項12記載の発明によれば、請求項5記載の熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記支持体の表面の少なくとも前記キャピラリ集合体の近傍領域に赤外光反射層が設けられる。
請求項13記載の発明によれば、請求項1記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記熱源は埋め込み抵抗発熱体とされ、
前記埋め込み抵抗発熱体に通電するための電極がさらに設けられる。
請求項14記載の発明によれば、請求項13記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記埋め込み抵抗発熱体は、前記キャピラリ集合体の表面から内部へ不純物原子を拡散させた不純物拡散層とされる。
請求項15記載の発明によれば、請求項14記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記キャピラリ集合体の中央部分の所定領域には前記不純物拡散層が設けられない。
請求項16記載の発明によれば、請求項14記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記キャピラリ集合体の中央部分の所定領域には前記細孔又は細間隙が形成されないが、該所定領域にも前記不純物拡散層が設けられる。
請求項17記載の発明によれば、請求項14記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記キャピラリ集合体の中央領域から離れるほど前記不純物拡散層の不純物原子濃度が高くなるように制御される。
請求項18記載の発明によれば、請求項14記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記不純物拡散層は複数の部分に分割され、該分割された部分毎に前記電極が設けられる。
請求項19記載の発明によれば、請求項14記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記不純物拡散層は不純物としてボロン原子を拡散させたボロン拡散層とされ、
前記キャピラリ集合体に赤外光を照射するための光照射窓がさらに設けられる。
請求項20記載の発明によれば、請求項1記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記支持体は、その少なくとも前記キャピラリ集合体の近傍領域が多孔質シリコン膜とされる。
請求項21記載の発明によれば、請求項1記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記支持体はバルク単結晶シリコンとされる。
請求項22記載の発明によれば、請求項21記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記支持体の表面は、前記熱源により昇温される側の前記細孔又は細間隙の端に比べ低い位置にあるものとされる。
請求項23記載の発明によれば、請求項1乃至22のいずれか1項記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
前記キャピラリ集合体及び前記支持体が一体形成されたものとされる。
請求項24記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプは、請求項1乃至22のいずれか1項記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプであって、
前記キャピラリ集合体、前記2つのコネクタ、前記熱源及び前記支持体からなる基本単位を各段に対応して複数有し、
各段に対応した前記基本単位におけるキャピラリ集合体の昇温される側の端に接続したコネクタが支持体の貫通窓を介して、次段に対応した前記基本単位におけるキャピラリ集合体の昇温されない側に接続したコネクタと接続されることにより、
複数の前記基本単位が多段カスケード接続されたことを特徴とするものである。
請求項25記載の発明によれば、請求項24記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
全ての前記基本単位のキャピラリ集合体及び支持体が一体形成されたものとされる。
請求項26記載の発明によれば、請求項24記載の発明に係る熱遷移駆動型真空ポンプにおいて、
全段のコンダクタンスが均等になるように、各段に対応した前記基本単位におけるキャピラリ集合体の細孔又は細間隙の総面積が調整されたものとされる。
(請求項1)
キャピラリ集合体と支持体が平面的に配置され、キャピラリ集合体の細孔又は細間隙の方向は垂直方向に揃っているため、ポンプ主要機構を三次元化した熱遷移駆動型真空ポンプを容易に実現することができ、全体として薄型化することも容易である。また、キャピラリ集合体の高温側に接続したコネクタ内に開口する貫通窓が支持体に設けられているため、多段カスケード接続の熱遷移駆動型真空ポンプを容易に実現できる。
(請求項2,3)
陽極酸化時に多孔質シリコン膜表面の凹部の底の電界が集中する部位から細孔又は細間隙の形成が開始するため、細孔又は細間隙の位置及び密度を精度よく制御することができる。特に、凹部の底を空乏層より下に位置させることより(請求項3)、凹部の底の電界集中部位により確実に電界を集中させ、所定サイズの細孔又は細間隙をより確実に形成することができる。
(請求項4)
サイズの均一な細孔又は細間隙(マクロ・ポア)を形成することができるため、キャピラリ集合体の細孔又は細間隙のクヌーセン数を容易に均一化することできる。
(請求項5)
キャピラリ集合体の細孔又は細間隙の一端を昇温させるための熱源として赤外光吸収層を用いるため、高抵抗金属材料のヒータを用いる場合の様々な問題を回避できる。
(請求項6)
赤外光吸収層としてボロン拡散層を用いることにより、その形成に一般的なシリコン微細加工プロセスを適用できる。
(請求項7−9)
キャピラリ集合体の細孔又は細間隙の温度勾配を均一化することにより、細孔又は細間隙により誘起される圧力差を均一化することができる。
(請求項10)
光源からの赤外光を光照射窓に集光させることにより、光源からの赤外光を効率的に利用することができる。
(請求項11,12)
光照射窓から照射された赤外光の迷光による支持体の温度上昇を抑えることができ、これはキャピラリ集合体上の細孔又は細間隙の両端間の温度勾配の均一化・安定化に寄与する。
(請求項13)
熱源を埋め込み抵抗発熱体とすることにより、高抵抗率金属材料を用いたヒータで問題となっていた熱源の配置上の制約や形成プロセス状の問題を回避することができる。
(請求項14)
埋め込み抵抗発熱体を不純物拡散層とすることにより、その形成に一般的なシリコン微細加工プロセスを適用可能となる。
(請求項15−18)
キャピラリ集合体の細孔又は細間隙の温度勾配を均一化することにより、細孔又は細間隙により誘起される圧力差を均一化することができる。
(請求項19)
細孔又は細間隙の一端の昇温に、抵抗加熱と赤外光加熱を併用することができる。
(請求項20,22)
キャピラリ集合体の高温部から、その周囲の支持体への熱伝導を抑えることができ、これは細孔又は細間隙の両端間の温度勾配の安定化に寄与する。
(請求項23)
キャピラリ集合体及び支持体を共通の製造プロセスで効率的に製作することができるとともに、相互の位置や寸法を高精度に制御することができる。また、キャピラリ集合体と支持体を別々に製作する場合のように、両者の接着・組付けといった煩雑なアセンブル工程が不要となる。
(請求項24−26)
ポンプ主要機構を三次元化した多段カスケード接続の実用的な熱遷移駆動型真空ポンプを実現することができ、また全体的に薄型化することも容易である。全段のキャピラリ集合体及び支持体を一体形成とすることにより(請求項25)、それらの製造プロセスを共通化し、相互の位置や寸法を高精度に制御することができ、またキャピラリ集合体と支持体の煩雑なアセンブル工程が不要となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に、本発明の実施例1に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図1において、上段の図はA−A’線断面図、中段の図はB−B’線断面図、下段の図は、a−a’線平面図である。
本実施例の熱遷移駆動型真空ポンプは、共通したシリコン基板1に、キャピラリ集合体(capillary)4とそれを保持する支持体(backing)5を一体形成したものである。シリコン基板1は全体が、基板面に垂直な細孔(もしくは細間隙)が多数形成された多孔質シリコン膜となっている。ただし、キャピラリ集合体4の領域では細孔が貫通しているのに対し、支持体5の領域では細孔が未貫通である。本実施例では、キャピラリ集合体4、支持体5及びキャピラリ集合体4の各側に接続された2つのコネクタ(接続室)7からなる基本単位が2段、直列に接続された構成となっている。
なお、細孔もしくは細間隙が形成された多孔質シリコン膜は、細孔径もしくは細間隙幅(d)によって、通常、次のように分類されている。
マイクロポーラス(microporous)シリコン :d<2nm
メソポーラス(mesoporous)シリコン :2nm<d<50nm
マクロポーラス(macrporous)シリコン :50nm<d
シリコン基板1のキャピラリ集合体4に対応する領域は、細孔の直線性及びサイズの均一性が良好なマクロポーラス・シリコンとするのが良く、細孔のクヌーセン数を均一化することができる。支持体5に対応する領域については、マクロポーラス・シリコンであってもメソポーラス・シリコンであっても構わない。
キャピラリ集合体4と支持体5が一体形成されたシリコン基板(本実施例では全体が多孔質シリコン膜となっている)1は、ベース(base)2と、パイレックスガラス(
pyrexglass)キャップ3との間に挟まれ、それらとキャピラリ集合体4及び支持体5とにより、コネクタ7となる密閉空間(airtight space)が画成されている。
ベース2には、パイレックスガラス板あるいはアルミニウム板が使用される。パイレックスガラス・キャップ3と支持体5、支持体5とベース2は、Oリングによってシールされる。ベース2にパイレックスガラス板を使う場合には、パイレックスガラス・キャップ3と支持体5、支持体5とベース2をそれぞれ陽極接合によって接合してシールすることもできる。ここでは、陽極接合によってシールした例を示している。
支持体5には、キャピラリ集合体4の高温側に接続したコネクタ内部に開口する貫通窓(through window)6が設けられている。基本単位間の接続は、支持体5の貫通窓6を介して行われる。この貫通窓6は、気体の流れを妨げない大きさのものとされる。ポンプの吸入口(inlet)8と排出口(outlet)9は、それぞれベース2に設けられている。
キャピラリ集合体4には、細孔又は細間隙の一端を昇温させるための熱源が埋め込まれる。本実施例では、キャピラリ集合体4の上側の面から内部へボロン原子を高濃度に拡散した高濃度ボロン拡散層(Boron high doped layer)10が熱源もしくは赤外光吸収層として形成されている。外部の赤外光源から赤外光を照射し(IR radiation)、パイレックスガラス・キャップ3の光照射窓11を透過した赤外光を高濃度ボロン拡散層10に吸収させることによりボロン拡散層10が発熱に、キャピラリ集合体4の細孔の上端を昇温することにより細孔の上下端間に温度勾配が形成される。
この温度勾配によって、細孔内部の気体分子に熱遷移流が誘起される。やがて、キャピラリ集合体4で仕切られた密閉空間、すなわち2つのコネクタ7の間に圧力の差が生まれる。図1の上段の図に、気体分子の移動の様子を細矢線で示した。
キャピラリ集合体4の周囲に接する支持体5を熱伝導率の低い多孔性シリコン膜とすると、キャピラリ集合体4の高温部から支持体5への熱伝導が抑えられる。これは、キャピラリ集合体4の細孔の温度勾配を均一か・安定化に寄与する。
ここでは、2段分の最小単位の熱遷移駆動型ポンプを示している。2個の基本単位は、貫通窓6を介しシリアルにつながれている。より高い到達真空度を得るには、多数の基本単位をカスケード接続し、ポンプ全体を多段の構成とすればよい。また、より大きな排気速度が必要な場合には、キャピラリ集合体4となる多孔質シリコン膜の貫通領域面積を大きくするか、単位面積あたりの貫通細孔数を増やすことにより対応することができる。
ここまでの説明及び図1より理解されるように、本実施例に係る熱遷移駆動型真空ポンプは、平面的に配置されたキャピラリ集合体4と支持体5の上下に2つのコネクタ7が配置されており、ポンプ主要機構が三次元化された構造である。そして、支持体5に貫通窓6が設けられ、この貫通窓6を通じて前段と後段のコネクタを容易に接続されるため、多段カスケード接続の熱遷移駆動型真空ポンプを実現しやすい構造となっている。
図2は、多孔質シリコン膜を陽極酸化によってシリコンウエハに形成する方法の説明図である。図2の左側の図はシリコンウエハの表面(酸化浴側面)を表しており、中央の図はシリコンウエハの裏面(光照射側面)を表している。右側の図は陽極酸化の様子を示している。
ここで例に挙げるシリコンウエハは、不純物元素としてリンを含み、面方位(100)のN型単結晶シリコンウエハ(nSi wafer)であり、厚さは約500μmである。
陽極酸化浴液は、数パーセント重量のフッ酸を含む水溶液(HF solution)である。陽極酸化浴槽(cell)の内壁とシリコンウエハに挟まれる空間は、Oリング(O−ring)でシールされ、そこに浴液が保持される。単結晶シリコンは、裏面のアルミニウム電極(Al electrode)によりバイアス用電源(power source)の陽極側に接続され、白金電極(Pt electrode)は陰極側にそれぞれ接続される。電流計(ammeter)は陽極酸化時の電流値を測定するためのものである。
シリコンの導電型がNタイプの場合、多数キャリアである電子が陽極側に引き寄せられ、フッ酸水溶液に接するシリコンウエハ表面近傍に空乏層が生じる。つまり、シリコン基板が逆バイアスされた状態では、電気化学反応である陽極酸化反応が進まない。そこで、単結晶シリコンウエハの裏面側からハロゲンランプ等によって赤外光を照射する。裏面で生じた電子正孔対のうち、少数キャリアのホールが陰極側に引っ張られる。ホールが、その寿命時間内に、フッ酸水溶液とシリコン表面に作られた凹部の底(あらかじめウエハ表面に形成された細孔の開始点、initial pits)に達することができれば、陽極酸化反応が進行する。
シリコンウエハの裏面には、アルミニウム電極がフォトリソグラフィによってパターンニングされている。裏面にハロゲンランプ光が照射されると、対応する表面領域に、陽極酸化により細孔(もしくは細間隙)が形成される。裏面のアルミニウム電極とシリコンウエハがオーミックに接続されるよう、ウエハ裏面にリンイオンをイオン注入しn層(nlayer)を設けている。
細孔(もしくは細間隙)がシリコン表面に無秩序に生じないよう、細孔の生じる位置及び密度を精度良く制御することができる。細孔の開始点は、陽極酸化時に電界が集中しやすい点である。ここで、細孔開始点の作製方法について、簡単に説明する。
シリコンウエハ表面に1000℃の温度で熱酸化膜を約100nm形成後、減圧CVD法により膜厚100〜500nmのシリコン窒化膜を成膜する。この際の堆積温度は850℃、SiH4/NH3混合ガスを用いる。シリコンウエハ上に設けられた、酸化膜(下層)/シリコン窒化膜(上層)の二層膜が陽極酸化時における耐フッ酸マスクとなる。
酸化膜(下層)/シリコン窒化膜(上層)をパターニングしマスクパターン(initial pits pattern)を作る。上層のシリコン窒化膜上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィにより所定のマスクパターンを作製する。シリコン窒化膜は、反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチングされる。引き続き、開口部に現れたシリコン酸化膜を、緩衝フッ酸水溶液中でウエットエッチングする。そして、底面に露出した単結晶シリコン(100)面を、80℃の25%TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、Tetramethylammonium hydroxide)水溶液中で異方性エッチングを行う。
こうして図3に示すように、鋭角逆ピラミッド(inverted pyramid)形状の凹部100が形成され、この凹部の底の頂点が細孔開始点101となる。図3の上段の図は断面図であり、下段の図は平面図である。陽極酸化時においては、各々の鋭角逆ピラミッド形状凹部の底の頂点に電位が集中し、そこを開始点として、細孔の形成が始まる。
シリコン窒化膜は、陽極酸化反応が進む間に、フッ酸水溶液によって少しずつエッチングされて薄くなる。ウエハを貫通させる直前まで、長時間に渡って陽極酸化を行う場合、細孔形成部以外のシリコン基板表面を完全に保護するためには、かなり厚いシリコン窒化膜、あるいは、フッ酸耐性の大きなマスク材料が必要になる。減圧CVD法によるシリコン窒化膜は、フッ酸耐性は大きいものの、大きな引張張力がストレスとなり、厚膜になるとクラックが発生してしまう。ストレスが小さく薬品に対する耐性の大きな窒化膜として、Cat−CVD法や、液体原料によるプラズマCVD法によるシリコン窒化膜が知られている。そうした材料を使うことで、問題を回避することができる。ただし、細孔形成部以外のシリコン基板表面を完全に保護する必要がない場合は、この限りではない。
凹部形成のために使うマスク開口部の大きさについて、簡単に触れる。ここでは、細孔開始点は、鋭角逆ピラミッド形状の凹部の底の頂点である。シリコン表面から頂点までの深さが、空乏層102の幅WSCRより大きくなるよう、マスクサイズを決める。
WSCR=[2・ε0・εSi・(Vappl−Vbi)/(e・ND)]1/2
ε0 :真空の誘電率
εSi :シリコンの比誘電率
Vappl :印加電圧
Vbi :内蔵電位
e :単位電荷量
ND :シリコンの不純物濃度
凹部の底までの深さを空乏層幅より大きくし、細孔開始点101を空乏層幅よりも深い位置に置くと、陽極酸化時に電界の集中が起き易くなるので、ねらいの径や深さを持った細孔を、再現性良く形成することができる。例えば、比抵抗10Ωcmのシリコンウエハを、印加電圧5Vで陽極酸化する場合、空乏層幅WSCRは約1μmなので、凹部形成用マスクとしては、一辺が2μmよりも大きな正方形を考えれば十分である。
図4は陽極酸化の様子を示す。図4の上段の図は断面図、下段の図は平面図である。鋭角逆ピラミッドの頂点に対し、1つの細孔103が形成される。ここでは細孔103はマクロポア(macro pore)である。つまりマクロポーラス・シリコンを形成するわけである。バイアス・光強度・時間等をコントロールしながら、細孔103の到達深さが約400μmとなるまで陽極酸化を続ける。これはシリコンウエハの厚さ約500μmに対し、未貫通部分を裏面側に残すためである。
図5は、キャピラリ集合体4の表面にボロン拡散層10を形成した様子を示す。上段の図は断面図、下段の図は平面図である。後にキャピラリ集合体4となる領域に、ボロンイオンを注入後、拡散炉で熱処理する。シリコン表面および逆ピラミッド形状凹部の斜面に、ボロン拡散層10すなわち赤外光を吸収し光子エネルギーを熱に変換する赤外光吸収層ができあがる。この後、キャピラリ集合体4となる領域の裏側から残ったシリコン層を除去すれば、キャピラリ集合体4となる領域の細孔103はシリコンウエハをその表面から裏面へ垂直に貫通する。
図6は、キャピラリ集合体4及び支持体5を形成する一連のプロセスに沿って、シリコンウエハの断面形状を時系列に並べたものである。(a)は陽極酸化工程が終わった段階の断面を示す。(b)はボロンイオン注入と拡散処理工程を示す。(c)はキャピラリ集合体4および貫通窓6のエッチング工程を終わった段階の断面を示す。キャピラリ集合体4および貫通窓6の形成を行う際には、シリコンウエハ裏面からICP(Inductively Coupled Plasma)エッチングを行った。なお、(d)は次に説明する実施例2に関連するもので、赤外光反射層の形成工程後の断面を示している。
図7に、本発明の実施例2に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図7において、上段の図はA−A’線断面図、中段の図はB−B’線断面図である。下段の図は、a−a’線平面図である。
本実施例と前記実施例1との相違点は、熱遷移駆動型真空ポンプを更に効率よく機能させるため、支持体5上に赤外光反射層(IR reflection layer)12を設けたことである。ここでは、赤外光に対する反射率の高い金をマスク蒸着することにより赤外光反射層12を形成した。
図8に、赤外光反射層12の詳細を示す。図8の上段の図は断面図であり、下段の図は平面図である。支持体5の領域におけるシリコン表面と鋭角逆ピラミッド形状の凹部の斜面に赤外光反射層12が形成されている様子が分かる。
光照射窓11より入射した赤外光はキャピラリ集合体4の表面に埋め込まれたボロン拡散層10に吸収され、熱に変換される。このとき、支持体5の表面にも漏れた赤外光(迷光)が照射される場合がある。赤外光反射層12は、こうした迷光を反射して支持体5の温度上昇を防ぐ。これはキャピラリ集合体4における細孔の温度勾配の均一化・安定化に寄与する。
以上説明した点以外の構造は前記実施例1と同様である。また、製作方法は、赤外光反射層12を形成する工程(図6の(d)参照)が追加される以外は、前記実施例1と同様である。
図9に、本発明の実施例3に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図9において、上段の図はA−A’線断面図、中段の図はB−B’線断面図、下段の図はa−a’線平面図である。
前記実施例2においては、支持体5に全面的に赤外光反射層12を形成したが、本実施例では赤外光反射層12を支持体5のキャピラリ集合体4に近い領域にのみ形成している。赤外光の照射領域をキャピラリ集合体4の領域に絞った赤外光源を使った場合、あるいは、キャピラリ集合体4直上の照射窓11を除く部分に赤外光透過率が低いキャップ3を使った場合、支持体5側に赤外光が照射されるとしても、キャピラリ集合体4に近い部分に限られる。したがって、本実施例のようにキャピラリ集合体4に近い支持体5の一部領域にのみ赤外光反射層12を設けても、支持体5の温度上昇を防止する目的は達成される。
以上説明した点以外の構造は前記実施例1と同様である。また、製作方法は前記実施例2と同様である。
図10に、本発明の実施例4に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図10において、上段の図はA−A’線断面図、中段の図はb−b’線平面図、下段の図はa−a’線平面図である。
本実施例においては、赤外光照射によるキャピラリ集合体4の加熱をより効率良く行うために、光照射窓11に集光用のマイクロレンズアレイ(microlens array)13を設けている。不図示の赤外光源からの赤外光はマイクロレンズ13により光照射窓11に集光されるため、光源からの光を有効に利用することができる。
ここでは、別途製作したマイクロレンズアレイ13をキャップ3に貼り付けてあるが、パイレックスガラス・キャップ3の表面を等方性エッチングで加工してマイクロレンズアレイ13を一体的に形成することも可能である。また、赤外光反射層12を、前記実施例3と同様にキャピラリ集合体4に近い領域にのみ形成するようにしてもよい。
以上説明した点以外の構造は前記実施例2と同様である。また、製作方法は、マイクロレンズ13を設けることを除けば前記実施例2と同様である。
図11に、本発明の実施例5に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図11において、上段の図はA−A’線断面図、中段の図はb−b’線平面図、下段の図はa−a’線平面図である。
本実施例においては、パイレックスガラス・キャップ3の上面の光照射窓11以外の領域に、不図示の赤外光源からの赤外光のキャピラリ集合体4以外の部分への入射を防ぐための遮光手段として赤外光反射層14が設けられている。ここでは、アルミニウム膜をスパッタ法で成膜して赤外光反射層14とした。前記実施例3,4において支持体5上に設けられていた赤外光反射層12は本実施例では設けられていない。ただし、キャピラリ集合体4に近い支持体5の領域に赤外光が入射する可能性がある場合には、前記実施例4と同様に支持体5のキャピラリ集合体4近傍の領域に赤外光反射層を設けてもよい。
以上説明した点以外の構成は前記実施例4と同様である。また、製作方法も、パイレックスガラス・キャップ3に赤外光反射層14を設ける以外は前記実施例4と同様である。
<細孔もしくは細間隙の形成に関する様々な態様>
前記実施例1〜5においては、鋭角逆ピラミッド形状の凹部の底の頂点を開始点として細孔が形成されていた。細孔の開始点もしくは細間隙の開始線は、陽極酸化時に電界の集中する点もしくは線であるから、他にも様々な凹部形状が考えられる。その例を以下に説明する。なお、いずれの例でも支持体5上に赤外光反射層12が設けられるもとしているが、これは必須ではない。
(例A)
図12乃至図15により説明する。図12に示すように、シリコン表面にV字溝(V−shaped groove)形状の凹部100が形成され、その底の稜線が細間隙の開始線101となる。陽極酸化により、図13のように細間隙(macro pore)103がシリコン面から垂直に伸びる。その後、図14に示すように、キャピラリ集合体4となる領域のシリコン表面及び凹部の斜面に赤外光吸収層としてのボロン拡散層10が形成される。次に、図15に示すように、支持体5となる領域のシリコン表面及び凹部の斜面に赤外光反射層12が形成される。
(例B)
図16乃至図19により説明する。図16に示すように、シリコン表面に台形逆ピラミッド(trapezium inverted pyramid)形状の凹部100が形成され、その底の4つの角部が細孔の開始点101となる。陽極酸化により、図17のように、各凹部の4つの開始点より細孔(macro pore)103がシリコン面から垂直に伸びる。その後、図18に示すように、キャピラリ集合体4となる領域のシリコン表面、凹部の斜面と底面に赤外光吸収層としてのボロン拡散層10が形成される。次に、図19に示すように、支持体5となる領域のシリコン表面、凹部の斜面と底面に赤外光反射層12が形成される。
(例C)
図20乃至図23により説明する。図20に示すように、シリコン表面に、台形溝(
trapezium shaped groove)形状の凹部100が形成され、その底の4本の稜線が細間隙の開始線101となる。陽極酸化により、図21のように、各凹部の4本の開始線より細間隙(macro pore)103がシリコン面から垂直に伸びる。その後、図22に示すように、キャピラリ集合体4となる領域のシリコン表面、凹部の斜面と底面に赤外光吸収層としてのボロン拡散層10が形成される。次に、図23に示すように、支持体5となる領域のシリコン表面、凹部の斜面と底面に赤外光反射層12が形成される。
(例D)
図24乃至図27により説明する。図24に示すように、シリコン表面に、楕円球(
oval sphere)形状の凹部100が形成され、その最も下の部位が開始点101となる。陽極酸化により、図25のように、各凹部の開始点より細孔103がシリコン面から垂直に伸びる。その後、図26に示すように、キャピラリ集合体4となる領域のシリコン表面と凹部の内面に赤外光吸収層としてのボロン拡散層10が形成される。次に、図27に示すように、支持体5となる領域のシリコン表面と凹部の内面に赤外光反射層12が形成される。
(例E)
図28乃至図31により説明する。図28に示すように、シリコン表面に楕円溝(
oval shaped groove)形状の凹部100が形成され、その最も下の部位が開始線101となる。陽極酸化により、図229のように、各凹部の開始線より細間隙(macro pore)103がシリコン面から垂直に伸びる。その後、図30に示すように、キャピラリ集合体4となる領域のシリコン表面と凹部の内面に赤外光吸収層としてのボロン拡散層10が形成される。次に、図31に示すように、支持体5となる領域のシリコン表面と凹部の内面に赤外光反射層12が形成される。
なお、陽極酸化により形成されるキャピラリ集合体4の領域における細孔又は細間隙の内面に、熱酸化等によりシリコン酸化膜を形成させることによって、細孔の径又は細間隙の幅をさらに縮小させることもできる。こうすると、細孔又は細間隙の内面が物理的・化学的により安定な状態なるという効果もある。
ここまで説明した熱遷移駆動型ポンプにおいては、共通のシリコンウエハ上に形成された多孔質シリコン膜によりキャピラリ集合体と支持体が形成された。次に、共通のシリコンウエハ上に、キャピラリ集合体は多孔質シリコン膜で形成され、支持体はバルク単結晶シリコンで形成され、また、個々のキャピラリ集合体の細孔径あるいは細間隙間隔の総面積を変えることによりコンダクタンスの最適化が図られた熱遷移駆動型ポンプの例を説明する。
図32に、本発明の実施例6に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図32において、上段の図はA−A’線断面図、中段の図はa−a’線平面図、下段の図はb−b’線断面図である。
本実施例においては、シリコン基板1は、キャピラリ集合体4の領域のみが多孔質シリコン膜(マイクロポーラス・シリコン)とされ、支持体5の領域はバルク単結晶シリコンとされている。
支持体5に関し、キャピラリ集合体4の細孔又は細間隙の高温側端と低温側端との間に温度勾配を効率的かつ安定に維持するため二つの工夫が施されている。一つは、支持体5の領域のバルク単結晶シリコンの厚さをエッチングにより他の領域より薄くすることにより、熱の伝導率を下げた点である。もう一つは、支持体5表面をキャピラリ集合体4の細孔開始点又は細間隙開始線より深い位置することにより、支持体5をキャピラリ集合体4の高温端と接触しないようにした点である。なお、支持体5の表面には赤外光反射層12(金蒸着膜)が形成されている。
また、低圧側(左側)のキャピラリ集合体4と高圧側(右側)のキャピラリ集合体4について、コンダクタンスの最適化が図られている。図33と図34はその説明のための図であり、各図中の上段は断面図、下段は平面図である。
左側のキャピラリ集合体4については、図33に示すように、鋭角逆ピラミッド形状の凹部の底の頂点を開始点として細孔が垂直に貫通している。右側のキャピラリ集合体4については、図34に示すようにV字溝形状の凹部の底の稜線を開始線として細間隙が垂直に貫通している。後者は、前者に比べ、より大きなコンダクタンスを得ることができる。
さて、キャピラリ集合体の各細孔又は細間隙が均等な圧力差を作り出すためには、全ての細孔又は細間隙の両端間に均等な温度勾配が形成される必要がある。温度勾配の均等化のための工夫を施した3つの実施例について以下に説明する。
図35に、本発明の実施例7に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図35において、上段の図はA−A’線断面図、中段の図はa−a’線平面図、下段の図はb−b’線断面図である。
本実施例においては、赤外光吸収層(熱源)としてのボロン拡散層10を、キャピラリ集合体4の中央部の所定領域には形成しないようにしている。キャピラリ集合体4の全領域にボロン拡散層10を設けた場合、キャピラリ集合体4の中央部が蓄熱により外周領域より高温になる現象が起きやすい。本実施例では、そのような現象を抑制し、キャピラリ集合体の全ての細孔又は細間隙の上端温度を均等化することができる。以上に説明した以外の構造は前記実施例6と同じである。
図36に、本発明の実施例8に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図36において、上段の図はA−A’線断面図、中段の図はa−a’線平面図、下段の図はb−b’線断面図である。
本実施例においては、ボロン拡散層10のボロン原子濃度を、キャピラリ集合体4の中央部から外周部へ向かって順次高くしている。具体的には、赤外光照射により最も昇温しやすい中央領域では拡散濃度を最も低くし、最も昇温しにくい外周領域では最も高濃度とし、中間領域では中間的濃度としている。なお、拡散濃度を4段階以上にもしくは連続的に変化させることも可能である。これ以外の構造は、前記実施例6と同じである。
図37に、本発明の実施例9に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図37において、上段の図はA−A’線断面図、中段の図はa−a’線平面図、下段の図はb−b’線断面図である。
本実施例においては、赤外光吸収層(熱源)としてのボロン拡散層10は、キャピラリ集合体4の細孔又は細間隙が形成されている領域より広い範囲に形成されている。換言すれば、ボロン拡散層10が形成されている領域の外周領域、すなわち、温度勾配が小さくかつ温度変化の大きな領域には細孔又は細間隙が形成されず、温度勾配が大きくかつ温度変化の小さな中心領域にのみ細孔又は細間隙が形成されている。これ以外の構造は前記実施例6と同じである。
図38に、本発明の実施例10に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図38において、上段の図はA−A’線断面図、下段の図はa−a’線平面図である。
本実施例に係る熱遷移駆動型真空ポンプは、キャピラリ集合体4、支持体5及び2つのコネクタ7を含む基本単位を各段に対応して3個有し、それらをカスケード接続したのものである。前段と後段の基本単位のコネクタ間は、支持体5に設けられた貫通窓6を介し接続されている。各段のキャピラリ集合体4と支持体5は、共通のシリコン基板1上に多孔質シリコン膜によって一体形成されている。キャピラリ集合体4の細孔の径又は細間隙の間隔は、圧力が高い後段(右側)のものほど次第に小さくなるようにしている。気体分子の受ける抵抗は後段ほど次第に大きくなる方向にあるので、キャピラリ集合体4の面積あるいは細孔(もしくは細間隙)の総面積を調整し、コンダクタンスが一定となるように工夫してある。他の構造は前記実施例1と同様である。
図39に、キャピラリ集合体4の細孔もしくは細間隙の総面積の調整方法を例示する。図39において、左側の図は鋭角逆ピラミッド形状の凹部の底の頂点を開始点として形成した細孔を示し、中央の図はV字溝形状の凹部の底の稜線を開始線として形成した細間隙を示し、右画の図は二つのV字溝形状の凹部の底の稜線を開始線として形成した細間隙を90度回転させて重ねたものである。この順番に、細孔もしくは細間隙の総面積が増加することが分かる。
なお、シリコンの陽極酸化法によって形成可能な細孔の径又は細間隙の間隔は、通常、数十ナノメートルから数ミクロンメートルの範囲である。一方、空気の平均自由行程は、760Torr(大気圧)で約60nm、10Torrで約5μmである。したがって、キャピラリ集合体に多孔質シリコン膜を使うと、大気圧から1/100気圧といった低真空領域で動作する真空ポンプをシリコンウエハ上に実現することも可能となる。
図40に本発明の実施例11に係る2段構成の熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。図40において、左側上段の図はA−A’線断面図、左側中段の図はシリコン基板1の平面図、左側下段の図はベース2の平面図、右側中段の図はB−B’線断面図、右側下段の図はC−C’線断面図である。
前記実施例6との相違点を中心に説明する。本実施例においても、陽極酸化によりシリコン基板1に形成された多孔質シリコン膜(マクロポーラス・シリコン)がキャピラリ集合体4として用いられる。ただし、前記実施例6と違い、後段のキャピラリ集合体4にも貫通した細孔が形成されている。支持体5はバルク単結晶シリコンとされている。ただし、前記実施例6と違って、支持体5には赤外光反射層(12)は形成されていない。本実施例ではキャピラリ集合体4への赤外光照射を行わないからである。
キャピラリ集合体4には、埋め込み抵抗発熱体としてのボロン拡散層15が形成されている。このボロン拡散層5は、図40の左側中段の図に見られるようなジグザグ状パターンとされており、その両端(端子)16にパイレックス・キャップ3に設けられた貫通電極20が接触する。この貫通電極20を通じてボロン核酸層15に電流を流すと、ボロン拡散層15が発熱することによりキャピラリ集合体4の細孔又は細間隙の上端を昇温させ、細孔又は細間隙に温度勾配を形成する。
図41に、シリコンウエハ上にキャピラリ集合体4、埋め込み抵抗発熱体としてのボロン拡散層15、支持体5、支持体5の貫通窓6を形成する工程を示している。
(a)は、キャピラリ集合体4の領域に細孔を形成するための陽極酸化プロセスを終了した状態である。
(b)は、キャピラリ集合体となる多孔質シリコン膜領域に、ボロンイオンを注入し埋め込み発熱抵抗体としてのボロン拡散層15を形成する工程を示している。ボロンイオン注入用マスクとしてフォトリソグラフィで形成したレジスト膜を用いる。
(c)は、多孔質シリコン膜(マクロポーラス・シリコン)領域を裏面側から、支持体となるバルク単結晶シリコン領域を表面側から、それぞれICP(Inductively
Coupled Plasma)エッチングを行った後の断面を示している。この段階で、キャピラリ集合体4の細孔群が貫通し、キャピラリ集合体4を周囲から保持する支持体5の基本形状が出来上がる。支持体5となる領域のエッチング深さは、ボロン拡散層15の深さ以上とする。ここでは、エッチング深さを約200μmとした。
(d)は、支持体5にICPエッチングにより貫通窓6を開けた後の断面図である。
<埋め込み発熱体としてのボロン拡散層の様々な態様>
キャピラリ集合体4の細孔又は細間隙の上端の温度を均一化し、均一な温度勾配を形成するためには、埋め込み発熱体としてのボロン拡散層15の抵抗率に二次元分布を持たせると有効である。そのようなボロン拡散層の様々な態様を図42及び図43に示す。また、ボロン拡散層15を複数の部分に分割し、各分割部分に独立に通電することにより同様の効果を達成する例を図44に示す。
図42(A)は、キャピラリ集合体領域の熱が蓄積されやすい中央部分の所定領域を避けて、渦巻き状パターンのボロン拡散層15を形成する例を示している。
図42(B)は、図40の左側中段に示したものと同じジグザグ状パターンのボロン拡散層15を示している。
図42(C)は、同様のジグザグ状パターンのボロン拡散層15を形成した例を示しているが、キャピラリ集合体領域の中央部分には細孔が形成されていない。
図43(A)は、キャピラリ集合体の全域に渦巻き状パターンのボロン拡散層15が形成されているが、キャピラリ集合体領域の中央部分から周辺部分へ向かって次第に抵抗率を増大させるように、例えば、中心領域を低抵抗率、中間領域を中抵抗率、外周領域を高抵抗率とするように、ボロン原子濃度を変化させている(図中、ボロン原子濃度の違いが濃淡もしくは色合いの違いで表されている)。
図43(B)は、キャピラリ集合体領域に全域にジグザグ状パターンのボロン拡散層15が形成されているが、キャピラリ集合体領域の中央部分から周辺部分へ向かって次第に抵抗率を増大させるように、例えば、中心領域を低抵抗率、中間領域を中抵抗率、外周領域を高抵抗率とするように、拡散濃度を変化させている(図中、拡散濃度の違いが濃淡もしくは色合いの違いで表されている)。
図44は、抵抗率が均一なボロン拡散層15を、全体として渦巻き状パターンに形成するが、複数の独立した部分に分割する例を示している。この場合、各分割部分の両端(端子)に対応した貫通電極20がパイレックスガラス・キャップ3に設けられる。このような貫通電極20を介して、ボロン拡散層15の各分割部分に流す電流値を調整することにより、図42乃至図43に示したようなボロン拡散層の抵抗率に二次元分布を持たせた場合と同様の効果を達成することができる。
図45に本発明の実施例12に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す。本実施例と前記実施例11との相違点は、不図示の赤外光源からパイレックスガラス・キャップ3の光照射窓11を通しキャピラリ集合体4に赤外光を照射することにより、ボロン拡散層15を埋め込み抵抗発熱体として、かつ、赤外光吸収層として機能させる点である。これ以外の構造は前記実施例11と同じである。なお、前記実施例6と同様に支持体5の上面に赤外光反射層(例えば金蒸着膜)を形成してもよい。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明はそれら実施形態のみに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
実施例1に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 シリコン陽極酸化の説明図である。 凹部と細孔開始点を説明する断面図及び平面図である。 細孔の形成の様子を示す断面図及び平面図である。 ボロン拡散層を様子を示す断面図及び平面図である。 キャピラリ集合体及び支持体の形成工程を説明するための断面図である。 実施例2に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 ボロン拡散層及び赤外光反射層を示す断面図及び平面図である。 実施例3に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 実施例4に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 実施例5に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 凹部と細間隙開始線を説明するための断面図及び平面図である。 細間隙が形成される様子を示す断面図及び平面図である。 ボロン拡散層の様子を示す断面図及び平面図である。 赤外光反射層の様子を示す断面図及び平面図である。 凹部と細孔開始点を説明する断面図及び平面図である。 細孔が形成される様子を示す断面図及び平面図である。 ボロン拡散層の様子を示す断面図及び平面図である。 赤外光反射層の様子を示す断面図及び平面図である。 凹部と細間隙開始線を説明する断面図と平面図である。 細間隙が形成される様子を示す断面図及び平面図である。 ボロン拡散層の様子を示す断面図及び平面図である。 赤外光反射層の様子を示す断面図及び平面図である。 凹部と細孔開始点を説明する断面図及び平面図である。 細孔が形成される様子を示す断面図及び平面図である。 ボロン拡散層の様子を示す断面図及び平面図である。 赤外光反射層の様子を示す断面図及び平面図である。 凹部と細間隙開始線を説明する断面図及び平面図である。 細間隙の形成の様子を示す断面図及び平面図である。 ボロン拡散層の様子を示す断面図及び平面図である。 赤外光反射層の様子を示す断面図及び平面図である。 実施例6に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 ボロン拡散層及び赤外光反射層の様子を示す断面図及び平面図である。 ボロン拡散層及び赤外光反射層の様子を示す断面図及び平面図である。 実施例7に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 実施例8に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 実施例9に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 実施例10に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 キャピラリ集合体の細孔又は細間隙の層面積の調整方法を説明するための平面図である。 実施例11に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図及び平面図である。 キャピラリ集合体及び支持体の形成工程を説明するための断面図である。 埋め込み抵抗発熱体としてのボロン拡散層の変形例を説明するための平面図である。 埋め込み抵抗発熱体としてのボロン拡散層の変形例を説明するための平面図である。 埋め込み抵抗発熱体としてのボロン拡散層の変形例を説明するための平面図である。 実施例12に係る熱遷移駆動型真空ポンプの構造を示す断面図である。 クヌーセン・ポンプ/コンプレッサの原理説明図である。 クヌーセン・ポンプ/コンプレッサの原理説明図である。 多段接続されたクヌーセン・ポンプ/コンプレッサの動作説明図である。 希薄気体中における熱遷移流とポアズイユ流の説明図である。 熱遷移流(熱ほふく流)の説明図である。 従来のクヌーセン・ポンプにおける加熱方法の説明図である。 従来例を示す斜視図と断面図である。 従来例を示す断面図である。 従来例を示す分解斜視図である。 従来例を示す分解断面図及び平面図である。
符号の説明
1 シリコン基板
2 ベース
3 パイレックスガラス・キャップ
4 キャピラリ集合体
5 支持体
6 貫通窓
7 コネクタ
8 吸気口
9 排気口
10 ボロン拡散層(赤外光吸収層)
11 光照射窓
12 赤外光反射層
13 マイクロレンズ
15 ボロン拡散層(埋め込み抵抗発熱体/赤外光吸収層)
20 貫通電極

Claims (26)

  1. キャピラリ集合体と、該キャピラリ集合体の各側に接続された2つのコネクタと、該キャピラリ集合体を保持する支持体とを備える熱遷移駆動型真空ポンプであって、
    前記キャピラリ集合体及び前記支持体は平面的に配置され、
    前記キャピラリ集合体は、表面から裏面へ垂直に貫通する複数の細孔又は細間隙が形成された多孔質シリコン膜からなり、
    前記キャピラリ集合体の一方の側に前記細孔又は細間隙の一端を昇温させるための熱源が設けられており、
    前記キャピラリ集合体の前記熱源が設けられた側に接続した前記コネクタ内に開口する貫通窓が前記支持体に設けられていることを特徴とする熱遷移駆動型真空ポンプ。
  2. 前記多孔質シリコン膜はシリコン基板の陽極酸化により形成されたものであり、前記多孔質シリコン膜はその一面に前記細孔又は細間隙に対応した傾斜面を持つ凹部を有し、該凹部はその底に陽極酸化時に電界が集中する部位を有する形状のものであることを特徴とする請求項1記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  3. シリコン基板の陽極酸化により前記多孔質シリコン膜を形成する時に該シリコン基板の表面から内部に広がる空乏層幅より前記凹部の底までの深さが大きいことを特徴とする請求項2記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  4. 前記多孔質シリコン膜はマクロポーラス・シリコンであることを特徴とする請求項1記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  5. 前記キャピラリ集合体に赤外光を照射するための光照射窓をさらに有し、
    前記熱源は前記光照射窓を通して照射された赤外光を吸収して光子エネルギーを熱に変換する赤外光吸収層であることを特徴とする請求項1記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  6. 前記赤外光吸収層は前記キャピラリ集合体の表面から内部へボロン原子を拡散させたボロン拡散層であることを特徴とする請求項5記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  7. 前記キャピラリ集合体の中央部分の所定領域より外側の領域にのみ前記ボロン拡散層が設けられたことを特徴とする請求項6記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  8. 前記キャピラリ集合体の前記細孔又は細間隙が形成されている領域より広い領域に前記ボロン拡散層が設けられたことを特徴とする請求項6記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  9. 前記キャピラリ集合体の中央領域から離れるほど前記ボロン拡散層のボロン原子濃度を高くしたことを特徴とする請求項6記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  10. 前記光照射窓に赤外光を集光するマイクロレンズが設けられていることを特徴とする請求項5記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  11. 前記支持体への赤外光の入射を防止するため遮光手段をさらに有することを特徴とする請求項5記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  12. 前記支持体の表面の少なくとも前記キャピラリ集合体の近傍領域に赤外光反射層が設けられていることを特徴とする請求項5記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  13. 前記熱源は埋め込み抵抗発熱体であり、
    前記埋め込み抵抗発熱体に通電するための電極をさらに有することを特徴とする請求項1記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  14. 前記埋め込み抵抗発熱体は、前記キャピラリ集合体の表面から内部へ不純物原子を拡散させた不純物拡散層であることを特徴とする請求項13記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  15. 前記キャピラリ集合体の中央部分の所定領域には前記不純物拡散層が設けられていないことを特徴とする請求項14記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  16. 前記キャピラリ集合体の中央部分の所定領域には前記細孔又は細間隙が形成されておらず、該所定領域にも前記不純物拡散層が設けられていることを特徴とする請求項14記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  17. 前記キャピラリ集合体の中央領域から離れるほど前記不純物拡散層の不純物原子濃度を高くしたことを特徴とする請求項14記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  18. 前記不純物拡散層は複数の部分に分割され、該分割された部分毎に前記電極が設けられたことを特徴とする請求項14記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  19. 前記不純物拡散層は不純物としてボロン原子を拡散させたボロン拡散層であり、
    前記キャピラリ集合体に赤外光を照射するための光照射窓をさらに有することを特徴とする請求項14記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  20. 前記支持体の少なくとも前記キャピラリ集合体の近傍領域は多孔質シリコン膜からなることを特徴とする請求項1記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  21. 前記支持体はバルク単結晶シリコンからなることを特徴とする請求項1記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  22. 前記支持体の表面が、前記熱源により昇温される側の前記細孔又は細間隙の端に比べ低い位置にあることを特徴とする請求項21記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  23. 前記キャピラリ集合体及び前記支持体が一体形成されたことを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  24. 前記キャピラリ集合体、前記2つのコネクタ、前記熱源及び前記支持体からなる基本単位を各段に対応して複数有し、
    各段に対応した前記基本単位におけるキャピラリ集合体の昇温される側の端に接続したコネクタが支持体の貫通窓を介して、次段に対応した前記基本単位におけるキャピラリ集合体の昇温されない側に接続したコネクタと接続されることにより、
    複数の前記基本単位が多段カスケード接続されたことを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  25. 全ての前記基本単位のキャピラリ集合体及び支持体が一体形成されたことを特徴とする請求項24記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
  26. 全段のコンダクタンスが均等になるように、各段に対応した前記基本単位におけるキャピラリ集合体の細孔又は細間隙の総面積が調整されていることを特徴とする請求項24記載の熱遷移駆動型真空ポンプ。
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