JP2008223655A - ホール型電気推進機 - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロ化に伴って酷くなる廃熱の問題、更には放電電流振動の問題を同時に解決する過熱防御と安定作動を備えたホール型電気推進機を提供する。
【解決手段】先ず電離/加速チャネル部7の磁束線分布がイオン加速ベクトルを最適とするように作製し、推進機の磁極部3、特に加速チャネル部7の近傍に推進剤の流路(推進剤導管5)を配設し、次いでその流路に推進剤を通過させることで、生成プラズマによって過熱される磁極部を冷却できるのと同時に、推進剤を加熱することができる。また、加熱された推進剤は電離/加速チャネル部7に導入する直前に設けたスロート領域(スロート部6a)でチョークさせることで、推進剤(中性粒子)の音速を増加させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホール型電気推進機、特に、マイクロ化に伴って酷くなる廃熱の問題、更には放電電流振動の問題を同時に解決する過熱防御と安定作動を備えたホール型電気推進機に関する。
宇宙用推進系には宇宙機の軌道変更、姿勢制御等の様々な機能が要求される為、mNからkNを越える広範な出力レンジをカバーする種々の推進系が必要となると同時に、ミッションの多様化により、インパルスビットの最小化、高応答性、更には長寿命化等の機能も求められている。現在、アポジモーター、姿勢制御用スラスタ等にはヒドラジンを使用する化学推進系が用いられ、電気推進系は主に静止衛星の軌道・姿勢制御に使用されている。電気推進は高比推力、低推力であり、電源装置等の乾燥重量が大きい為、特に速度増分の大きいミッションにおいて有効性が発揮出来、極めて速度増分が大きいミッションではその達成が可能な推進系は現状では電気推進のみとなる場合もある。電気推進機実用化の時代を迎え、プルームプラズマ形状最適化、電磁干渉、コンタミネーション、大電力機器としての排熱の問題等、従来の推進機単体を越えるシステムとしてのインタフェイスが推進性能の向上と共に重要である。
電気推進機は太陽光エネルギー等を電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを利用して種々の方式により推進剤をプラズマ化させ、生成プラズマを様々な形式で加速し、その反作用によって推力を発生させる宇宙用推進機である。電気推進機はその推力発生機構の相違から、静電加速型、加熱空力加速型、電磁加速型の三種類に大別される。
先ず、静電加速型の代表であるイオンエンジンは、直流放電等でプラズマを生成し、生成プラズマ中のイオンを多孔質グリッド間に印加した静電場(1000V程度)で加速噴射する事によって推力を得る。化学推進機より一桁高い比推力(2000〜7000秒)を高効率(〜80%)で達成出来るが、空間電荷制限電流則の制限を受ける為に比較的推力密度は小さく(推力=数mN〜200mN)、低比推力レンジでは推進効率が急激に低下する欠点を有する。プラズマ生成法にはRF型等の数種類が考案されている。
次に、加熱空力加速型の推進機であるアークジェット型電気推進機の推力発生機構は、棒状陰極と同軸に配置された環状陽極との間で形成されるアーク放電によって推進剤を電離、ジュール加熱し、加熱されたプラズマを超音速ノズルで膨張加速させる。高い推力密度(推力=150mN〜2N)が得られるが、壁への熱損失が大きく静電加速型の推進機と比較して推進効率が低い(30〜40%)という欠点が有り、比推力(500〜2,000秒)も然程高くない。実用化に際しては、(1)耐久性を決定する陰極損耗が定常作動時に〜5μg/Cと大きい為、この損耗を低減する事、及び(2)熱損失を改善する事が重要課題として残存する。
続いて、電磁加速型を代表する推進機であるMPD(Magneto-Plasma-Dynamic)型電気推進機は、アークジェット型電気推進機と同様の基本構造を有する。推進剤をアーク放電によって加熱、プラズマ化した上で、電極間にkAオーダーの高放電電流を流す事によって周方向に磁場を誘起させ、この誘起磁場と電流との相互作用であるローレンツ力によって軸方向に生成プラズマを加速し推力を得る推進機である。MPD型電気推進機は、電気推進機の中でも最も高推力が得られる(〜10N)事が特徴であり、将来の惑星間航行用推進機として期待されている。比推力は1000〜6000s程度と広範囲であるが、現在の推進効率は通常10〜50%程度と低い。
最後に、本発明に係るホール型電気推進機について述べる。図6に示す様にホール型電気推進機は、アノード孔502から流入される中性粒子(推進剤)503を、プラズマ化し、生成したイオン504を加速する円環状の軸対称加速チャネル505を有している。加速チャネルの長さLdをイオンのサイクロトロン半径よりも短く、電子506(カソード507から放出され、加速チャネル内をアノード方向へ逆流する)のサイクロトロン半径よりも長くなる様に設計した場合、軸方向電場Eと径方向外部磁場Bとの相互作用によって電子510は周方向へE×Bドリフト運動し、「ホール電流(ホール型電気推進機の名称由来)」が誘起される。このホール電流と外部印加磁場Bとの電磁的相互作用として生じる電界によってイオン504を加速する為「静電加速型」であると同時に、加速されたイオン504はカソードからの電子513によって中性化され、また加速領域が準中性を保つため空間電荷制限電流則に従わずに高い推力密度が得られる「電磁加速型」の特徴も併せ持つ(加速機構の更なる詳細は後述)。従って、原理的には高比推力(〜3000s)、高推進効率(70%)かつ高推力密度(〜1.5N)を達成可能である(例えば、特許文献1および特許文献2を参照。)。
ホール型電気推進機の放電特性(電流−電圧特性)は、「高電圧モード」と「低電圧モード」の2種類の作動モードに分類される。放電電圧を上げると放電電流が顕著に上昇する作動モードを「低電圧モード」と呼ぶ。放電電流は電荷密度と速度の積で与えられるが、低電圧モードの作動範囲では、加速チャネル内での推進剤電離度が低い為、放電電圧を上昇させていくと推進剤電離の促進による電荷密度の増加によって放電電流の上昇が行われる。一方、更に放電電圧を上げてゆくと、放電電圧の上昇に対して放電電流の増加が緩やかになる「高電圧モード」に移行する。これは、高電圧モードにおいては、推進剤は既に完全電離している為、それ以上の電流増加は、電離による電荷の増加によって補われない。その為、もう一方の電流増加要素であるイオン速度上昇のみによって補われるしかないためである。放電電流の上昇が急激に変化する地点を「Knee Point」、その時の電流値を「Knee Current」と称する。Knee Currentは推進剤が完全電離した場合の放電電流量に強く依存する為、推進剤流量が少なくなるとKnee Currentは小さくなる。
ホール型電気推進機の問題点としては、推力発生の観点からホール型電気推進機の通常運用とされる高電圧モード作動(上記:放電特性において放電電流が放電電圧に対して殆ど変化しなくなる、”knee point” 以上の領域)時に観測される放電電流の振動現象が挙げられる。放電電流振動は、推進性能や耐久性の低下、作動不安定性の原因となり、長時間に対する高い信頼性と寿命が要求される宇宙ミッションに適応させるためには、放電電流振動の物理機構を知り、解決する設計指針を立てることが重要な課題である。特に、高電圧モード作動時に現れる20kHz帯域の低周波放電電流振動は混在する振動成分の中で最大振幅を有し、放電電圧の増加に伴って放電電流が振動から不安定となり、最終的には放電を維持する事が不可能となって作動停止に至る。
放電電流振動には、周波数帯域がkHzからMHzまでの広範にわたる振動成分が混在する。周波数オーダーと振動の特性を基準に、次に示す様な5種の振動数帯域への振動成分の分類がなされている:
1.Ionization Oscillation : 104〜105 Hz
2.Transit-time Oscillation : 105〜106 Hz
3.Electron-drift Oscillation : 106〜107 Hz
4.Electron-cyclotron Oscillation: 109 Hz
5.Langmuir Oscillation : 108〜1010Hz
この中で第1〜3種類の振動はホール型電気推進機作動時に顕著な振動であり、第4〜5種類のGHzオーダーの振動はプラズマに固有の振動現象で回避不可能と考えられている。
特に、20kHz帯域の低周波放電電流振動は、混在する振動成分の中で最大振幅を有し、作動不安定性に直接繋がる為に、推進機性能の観点から注目されている。現在迄に、20kHz帯域振動は、その周波数オーダーから上記第1種の電離振動(Ionization Oscillation)に起因する現象であることが解明されている。
また、推進機サイズが小型のマイクロ・ホール型電気推進機の特長と問題点としては、重量の低減とそれに伴って打上げ費用を節約できる利点から、100kg以下のマイクロ宇宙機に対する需要が高い。それに搭載される推進系としては、ペイロード比の増大と燃料消費率の低減を可能とする、高比推力な小型の電気推進機が有望視されている。特に、ビジネスニーズが高い通信衛星を、地球近傍の低軌道で姿勢制御する場合、省電力で長期間準継続的に推力を発生できるホール型電気推進機が有望であるが、現在までに高性能な小型のホール型電気推進機は実現されていない。
実現を困難としている原因(問題点)は、推進機に内蔵されている磁気コイルによって発生された磁気回路を構成する磁極(材料;軟鉄)が磁気変態点以上に過熱されると、軟鉄の磁化率が変化し、磁力線分布(初期設計)に歪みが生じる。磁力線分布が歪むと、電磁場(電磁気力)によって加速されるイオンの加速ベクトルが偏向し、イオンは加速チャネル部外に排出される前に加速チャネル壁面に衝突する。これは、イオン損失による推進効率(後述する(25)式)の低下を齎すだけでなく、加速チャネル壁面をスパッタ/磨耗することになる。この磨耗によって、耐熱/絶縁壁としての役割を果たす加速チャネル壁面材(材料:セラミクス−アルミナ系セラミクス; 3Al2O3・2SiO2やボロンナイトライド;BN)の厚みは局所的に薄くなり、プラズマによる磁極加熱の耐熱防御性は劣化し、結果として、磁極過熱が更に増加する。このような悪循環の問題は、ホール型電気推進機の小型化に伴って、酷くなる。即ち、小型化に伴って加速チャネル幅は狭くなり、イオンスパッタ壁面損耗度の増加と、廃熱悪化が酷くなる為である。また、特に、マイクロ化に伴い、小さくなる加速チャネル幅での、壁面損失量は大きくなる為、上記振動現象は、マイクロ・ホール型電気推進システムの創生に向けてはその解決が不可欠である。
特開平7−71361号公報 特開2006−125236号公報
上述した通り、ホール型電気推進機の小型化に伴って酷くなる電離/加速チャネル部近傍の磁極の過熱によって、磁場の磁力線分布および軟鉄の磁化率が変化し、推力となるイオンベクトルが偏向する。その結果、イオンはチャネル壁面インシュレータをスパッタし、チャネル壁面の絶縁性を劣化させ、耐久性/寿命の低下と共に推進効率などの性能低下をもたらすという問題点がある。
また、高電圧モード作動時に観測される放電電流振動による作動不安定の問題点がある。
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、その目的はマイクロ化に伴って酷くなる廃熱の問題、更には放電電流振動の問題を同時に解決する過熱防御と安定作動を備えたホール型電気推進機を提供することにある。
前記目的を達成するために請求項1に記載のホール型電気推進機では、生成プラズマを静電加速または電磁加速して加速チャネル部から排出させることにより推力を得るホール型電気推進機であって、磁性体を磁化し磁場を発生させる電磁コイルが前記加速チャネル部の外側に配設され且つ推進剤を移送する推進剤導管が前記加速チャネルの壁面近傍を通って該加速チャネル部上流のプレナム室に導入されるように構成されていることを特徴とする。
上記ホール型電気推進機では、先ず電磁コイルを加速チャネル部の外側に配設することにより、電磁コイルの発生する熱を外部に放熱し推進機に残留するいわゆる熱溜まりを排除することが可能となる。また、推進剤導管を熱的に最もクリティカルな加速チャネル部近傍に沿って配設することにより、その内部を流れる推進剤と加速チャネル部近傍との間で熱交換が行われ、加速チャネル部近傍は推進剤から冷熱を受熱して冷却される一方、推進剤は加速チャネル部近傍から顕熱を受熱して予熱されことになる。これにより、加速チャネル部近傍の磁極の過熱を好適に防止し、その結果、磁化率変動による磁力線分布の歪みが好適に抑制されイオンの加速ベクトルが最適化される。その結果、イオンが加速チャネルの壁面に衝突しなくなり絶縁性能が劣化しなくなると共に耐久性が向上する。また、推進剤の温度を上昇させることによって(チョーキングを通して中性粒子の音速を高めることによって)、中性粒子(推進剤)の急激な電離を抑制することができ、作動の安定化に好適に寄与する。
請求項2に記載のホール型電気推進機では、前記推進剤導管は螺旋状に巻かれて成ることとした。
上記ホール型電気推進機では、上記構成とすることにより、加速チャネル部および磁極部との接触面積を大きく確保することができ、その結果、これらの部位を好適に冷却することが出来るようになる。
請求項3に記載のホール型電気推進機では、前記プレナム室は推進剤の流速を増加させるチョーク部を備えていることとした。
本願発明者らの鋭意研究により、推進機の推進性能や耐久性の低下、並びに作動不安定性の原因となる低周波放電電流振動は、電離/加速チャネル部において急激な電離(プラズマ密度の上昇)が行われ、電離後のイオンが電場によって電離領域から急激に移動することに起因することを見出した。以下にそのメカニズムを簡単に示す。
低周波放電電流振動は、プラズマと中性粒子との共鳴する電離相互作用による擾乱に起因するというメカニズムに基づいている。即ち、(1)電離により,プラズマ密度が増加し,中性粒子密度が減少。(2)電場印加下において荷電粒子速度は中性粒子速度より大きい為,中性粒子の供給量よりプラズマの減少量が大きい状態。(3) 中性粒子が供給される(この期間、衝突頻度が低く,電離は殆ど行われない)。(4)中性粒子がある程度まで供給された後,電離に達し,(1)に戻る。
ここで、平衡電離領域長という新たなパラメータを提案する。アノードから供給された中性粒子密度の5%が消費された位置を電離開始位置、アノードから供給された中性粒子密度の95%が消費された位置を電離完了位置と仮定する。結果として,電離領域長Liは電離開始位置と電離完了位置との距離として定義される。電離領域長Liは時間的に変化する為,平衡電離領域長Li,eqを電離領域長の時間平衡値として定義する。
低周波放電電流振動の振幅抑制対策として,電離領域に流入する中性粒子温度を増加させる方法を提案する。中性粒子流入温度の増加を通して,電離領域に流入する際の中性粒子速度を増加させる事によって,平衡電離領域長を伸長させ,電離時のプラズマ密度の急激な上昇を抑える事により,振幅を抑制するというコンセプトである。
即ち,中性粒子流入温度Tn,inを増加させるに伴い流入速度vnが増加すると,流量mfが一定であるから中性粒子密度nn=mf/vnは減少する。その結果,加速チャネル内部における中性粒子と電子の電離衝突に対する平均自由行程:
λne=ve/nn/〈σveion ,
は大きくなる。ここで,〈σveionは次式に示す電離係数である。
〈σveion=σ(8kTe/π/me)1/2(1+eVi/k/Te)exp(−eVi/k/Te)
ただし,σ=電離断面積,k=ボルツマン定数,me=電子質量,e=電気素量,Vi=電離電圧である。その為に電離完了位置は下流側に移行し(平衡電離領域長が伸長され),結果として電離時のプラズマ密度の急激な上昇が緩和され,振幅Aが減少するというメカニズムである(図7を参照。)。
そこで、上記ホール型電気推進機では、上記構成とすることにより、予熱された推進剤を、加速チャネル部に導入する直前に設けられたチョーク孔を通過させることによって推進剤(中性粒子)の音速を増加させ、結果としてこの音速増加によって中性粒子の急激な電離を抑制し安定作動を得ることが可能となる。
請求項4に記載のホール型電気推進機では、電場を形成する陽極が前記チョーク部を成していることとした。
上記ホール型電気推進機では、上記構成とすることにより、好適に推進剤(中性粒子)の音速を増加させることが可能となる。
請求項5に記載のホール型電気推進機では、前記チョーク部はその隙間の間隔が軸方向下流に向かって縮小するように構成されていることとした。
上記ホール型電気推進機では、上記構成とすることにより、好適に推進剤(中性粒子)の音速を増加させることが可能となる。
請求項6に記載のホール型電気推進機では、前記加速チャネル部の壁面は、プラズマが生成される電離領域ならびに該プラズマ中のイオンが加速される加速領域に応じて異なる耐熱絶縁材料の壁面が組み合わされて成ることとした。
長時間の使用後に絶縁材表面には階段状の溝ができ、この溝が深くなると加速チャネルが変形してイオンの引き出し性能が低下する。
そこで、上記ホール型電気推進機では、後述する図4に示す様に加速領域と電離領域に各々に適する材質の壁面を選定することにより、効率と耐久性(スパッタ抑制)を向上させた。
請求項7に記載のホール型電気推進機では、前記耐熱絶縁材料の一つはボロンナイトライド(BN)又はその複合材であることとした。
上記ホール型電気推進機では、加速チャネルの壁面材料としては、アルミナ系のセラミックス(3Al2O3・2SiO2など)を用いるのではなく、ボロンナイトライド(BN)を使用することによって、同じ推力を得るために必要とされる放電電流値を低減することが出来る。
本発明のホール型電気推進機によれば、推進機サイズの小型化(マイクロ化)に伴って酷くなる電離/加速チャネル部近傍の磁極の過熱を好適に防止すると共に、推進性能や耐久性の低下、並びに作動不安定性の原因となる低周波放電電流を好適に抑制することが可能となる。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るマイクロ・ホール型電気推進機100を示す要部断面説明図である。
このマイクロ・ホール型電気推進機100は、イオンを中和すると共に電子を供給するカソード(図示せず)と対となり軸方向に対しイオンを静電加速する電場Eを形成するアノード1と、リング状の軸対称チャネルを有する同芯円筒状の磁極部を磁化する磁気コイル2と、磁気コイル2によって磁化され半径方向に対しイオンを電磁加速するための磁場Bを形成する磁極部3と、推進剤の入口となる推進剤導入口4と、推進剤を移送する推進剤導管5と、予熱された推進剤の流れをチョークさせて音速を増加させるチョーク部6aを有するプレナム室6と、プラズマ中のイオンが静電または電磁加速される加速チャネル部7と、放電電流やイオンビーム電流等の短絡を防止する耐熱絶縁部8,9,10とを主具備して構成されている。
推進剤導管5は、螺旋管状の形状を成し、例えば銅などの材料から作られている。銅を利用する利点は、熱伝導率が高く(熱伝導率=381 [W/mK])、耐熱性にも優れ(融点=1357.6K)、易加工かつ安価である為である。その上、反磁性体(磁化率=−0.086)である為、磁極の磁場分布への影響は皆無でもある。また、推進剤導管5は磁極部3の中央部を縦貫して、分岐ポート5aにおいて複数の流路に分岐して向きを変えながら加速チャネル壁7aの近傍に沿って推進剤導入口4の側へ縦貫し、その底部近傍で折り返してプレナム室に導入されるように構成されている。このように構成することにより、磁極部3の中で最も熱的に厳しくなる加速チャネル壁7aの近傍を推進剤によって好適に冷却し、加速チャネル壁7a近傍の磁極の過熱を防止することが出来るようになる。特に、推進機サイズの小型化(マイクロ化)に伴って加速チャネル壁7a近傍の磁極の過熱がさらに顕著となるが、推進剤導管5をこのように構成することにより、同近傍の磁極の過熱を好適に防止し、加速チャネル部7の半径方向に形成される磁場の磁束分布を安定させることが出来る。また、同時に、推進剤導管5の内部を流れる推進剤は同近傍の磁極から顕熱を受けて予熱されながらプレナム室6においてチョークされる。これにより、推進剤(中性粒子)の音速が増加し、推進剤(中性粒子)の急激な電離を抑制(緩和)し、安定作動を得ることが出来る。
磁気コイル2は、加速チャネル部7および磁極部3の外側に配設されている。このように配設することにより、通電により磁気コイル2が発した廃熱による加速チャネル部7の近傍の過熱防止に寄与することが出来る。従って、磁気コイル2の外部配設と推進剤導管5の上記構成により、マイクロ・ホール型電気推進機100に過熱防御を具備させることが可能となる。
図2は、本発明の実施例2に係るマイクロ・ホール型電気推進機200を示す要部断面説明図である。
このマイクロ・ホール型電気推進機200は、アノード1を伸長し且つアノード孔1aを小さくしてチョーク部6bが構成(作製)されている点が特徴であり、その他の構成については、上記マイクロ・ホール型電気推進機100と同一である。このように作製することにより、上記マイクロ・ホール型電気推進機100と同様に、推進剤をチョークさせて音速を増加させることが出来る。従って、このマイクロ・ホール型電気推進機200も上記マイクロ・ホール型電気推進機100と同様に、過熱防御と安定作動を備える。
図3は、本発明の実施例3に係るマイクロ・ホール型電気推進機300を示す要部断面説明図である。
このマイクロ・ホール型電気推進機300は、推進剤をチョークさせるチョーク部6cが流路の間隔が一定した領域ではなく、間隔が徐々に縮小するスロートによって構成(作製)されている点が特徴である。このように作製することにより、プレナム室の隅付近での流れのよどみを回避でき、推進剤流路(推進剤導管5)で予熱された推進剤中性粒子を整流化してアノード孔1aに導くことが出来る。従って、このマイクロ・ホール型電気推進機300も上記マイクロ・ホール型電気推進機100,200と同様に、過熱防御と安定作動を備える。なお、その他の構成については、上記マイクロ・ホール型電気推進機100と同一である。
図4は、本発明の実施例4に係るマイクロ・ホール型電気推進機400を示す要部断面説明図である。
このマイクロ・ホール型電気推進機400は、複数の加速チャネル壁7b,7cによって加速チャネル部7の壁面が構成されている。このように内部の加速領域と電離領域に対応する各々の壁面に対し各々に適する材質を選定することで、効率と耐久性(スパッタ抑制)を向上させることができる。例えば、電離領域に対応する加速チャネル壁7bに対しては、アルミナ系のセラミックス(3Al2O3・2SiO2など)の材料等によって構成し、一方、加速領域に対応する加速チャネル壁7cに対しては、ボロンナイトライド(BN)の材料等によって構成する。
上記実施例1から4に係るマイクロ・ホール型電気推進機100,200,300,400によれば、先ず電離/加速チャネル部の磁束線分布がイオン加速ベクトルを最適とするように作製し、推進機の磁極部、特に加速チャネル部7の近傍に推進剤の流路(推進剤導管5)を配設し、次いでその流路に推進剤を通過させることで、生成プラズマによって過熱される磁極部を冷却できるのと同時に、推進剤を加熱することができる。また、加熱された推進剤は電離/加速チャネル部に導入する直前に設けたスロート領域または絞り孔でチョークさせることで、推進剤(中性粒子)の音速を増加させる。更に、従来のホール型電気推進機の問題である作動不安定性は、電離/加速チャネル部において急激な電離(プラズマ密度の上昇)が行われ、電離後のイオンが電場によって電離領域から急激に移動することに起因するため、上記発明によれば、音速増加によって、中性粒子の急激な電離を抑制することができ(電離領域の伸長)、結果として、急激な電離を緩和し、これにより電離の不安定性は緩和され、作動の安定化が得られる。また、上記発明は、新たに複雑なシステムを必要としない。
特に、加速チャネル壁面の材料としては、アルミナ系のセラミックス(3Al2O3・2SiO2など)を用いるのではなく、ボロンナイトライド(BN)を使用することによって、同じ推力を得るのに必要とされる放電電流値を低減できる。また、長時間の使用後に絶縁材表面には段階状の溝ができ,この溝が深くなると加速チャネルが変形してイオンの引き出し性能が低下するが、本発明では、図4に示す様に加速領域と電離領域に各々に適する材質の壁面を選定することで、効率と耐久性(スパッタ抑制)を向上できる。
加えて、加速チャネル内部に印加される磁力線は、図5の上半分に示す様に、加速チャネル軸方向に垂直となるように作製する。これによって、生成イオンが加速される加速ベクトルは印加磁力線分布に垂直(=加速チャネル軸方向に平行)となり、理論的にはイオンは無衝突でチャネル外に排出され推力となる。しかし、図5の下半分に示す様に、磁力線が歪んでいる場合は、生成イオンの壁面スパッタ率は高くなり、推進効率の低下/耐久性の低下をもたらす。
ところで、航空機の抵抗低減方法として、レーザードラッグリダクションという技術研究がある。即ち、航空機の機首前方にレーザーを集光させることで集光付近の気体をプラズマ化する。プラズマ化を通して気体温度は増加し、気体粒子の音速は増加する。飛行マッハ数は、航空機の飛行速度を音速で割った値として定義される。マッハ数の増加に伴って、抵抗(超音速の場合、特に造波抵抗)は増大する。同じ飛行速度であっても、分母の音速値が増加すれば、相対的に飛行マッハ数は低下する。従って、プラズマ化を通して、抵抗を発生させる前方の気流の温度を増加させることで、抵抗を局所的/実効的に低減できる、というメカニズムである。しかしながら、レーザーによるプラズマ生成はフォーカシングに起因するもので、点(ポイント)生成である為、機首部等の様な狭い領域にしか適用できない。本発明(装置)を援用すれば、抵抗低減を様々な箇所に適用できる。例えば、強い抵抗の発生源である主翼に用いることである。即ち、ホール型電気推進システムのプラズマ射出方法を利用するのである。レーザーによる点生成ではなく、面生成が可能なため、スパン長が長い主翼に対しても、本システムを複数機搭載することでカバーできる(勿論、抵抗が大きい内翼のみに使用することも可能である)。ホール型電気推進システムで、プラズマを予め生成し、それを主翼前方に射出することで、主翼前方の気体を加熱できる。ホール型電気推進システムを使えば射出プラズマは面で形成でき、更に、ホール型電気推進システムがマイクロ化されておれば、薄い超音速機の翼にも内蔵可能である。また、プラズマ原料(推進機では推進剤に対応するもの)としては、飛行中に大気から容易に供給可能な空気中の酸素を利用する。酸素の電離断面積は大きく、低電離電圧でもプラズマ化が可能であるため投入エネルギー効率を高められる。
また、核融合において、電磁場を利用して生成プラズマ中のイオンを高エネルギービームとして入射するビーム加熱法が、プラズマの超高温加熱に有効である。特に、ホール型イオンビーム源は、空間電荷制限電流則の制約を受けない為、高密度プラズマを生成/加速できるため、最も期待されている。しかし、プラズマ生成加速のために、加速チャネル付近は、非常に高温にさらされる。また、不安定電流も残存する。本発明を利用すれば、このような核融合イオンビーム源の安定/高効率/高耐久性化も可能である。
ここで、参考としてマイクロ・ホール型電気推進機の基本設計を示す。
ホール型電気推進機の設計条件を下記(1)〜(3)とする。性能推算基準モデルとしては、加速チャネル断面積S、放電電圧Vd、放電電流Id、磁束密度B、平均電子温度Teと設定。
(1)加速チャネル内において、
(a)ホール電流を形成する為には、電子は磁場に捕捉される必要がある。
(b)イオンを静電的に加速する為には、磁場に捕捉されない条件が必要である。
これ等の条件から、加速チャネル長としては、イオン、電子のサイクロトロン半径=rci 、rceに対して次式を満たさねばならない:,
ce≪L<rci・・・・・(1)
此処で、イオンと電子のサイクロトロン半径は、其々次の様に計算される:
ci=Mvi/(eB)・・・・・(2)
ce=mve/(eB)・・・・・(3)
ただし、M,m =イオン,電子の質量であり、vi,ve =磁場に垂直な平面でのイオンと電子の速度、e=電荷素量を表わす。イオンはすべて陽極付近で生成され、加速チャネル内部での電位差により加速され、加速チャネルの途中で損失しないと仮定した場合、イオン電流密度Jiは保存され、次式の様に表わされる:
i=envi・・・・・(4)
ただし、n=プラズマ密度である。ここで、イオンビーム電流Ib/放電電流Idで定義される加速効率=1の理想的な場合を考えると、イオン電流密度は次の様に見積もられる:
i=Id/S [A/m2]・・・・・(5)
また、放電電圧Vdのときイオンが理想的に加速されるとすれば、加速チャネル出口でのイオン速度vi,exは、加速チャネル出口における運動エネルギー=電界から受けたエネルギー、の関係から、
1/2*Mvi,ex 2=eVd・・・・・(6)
となる為、
i,ex=(2eVd/M)1/2 [m/s]・・・・・(7)
となる。よって、イオンのサイクロトロン半径rciが求まる。
次に式(4)を用いると、平均プラズマ密度nは次式によって求められる:
n=(1/L)*∫0 Li/(evi)dx=Ji/(eL)*∫0 L1/vidx・・・・・(8)
電界が加速チャネル軸方向に一様分布していると仮定した場合、xにおける電位差は、
V(x)=x/L*Vd・・・・・(9)
となり、従ってイオン速度は、
i(x)=(2eV(x)/M)1/2=(2exVd/M/L)1/2・・・・・(10)
となる。式(10)を式(8)に代入すると、平均プラズマ密度は、式(7)の出口イオン速度vi,exを用いて、次の様に表わせる:
n=2Ji/(evi,ex) [1/m3]・・・・・(11)
つまり、平均プラズマ密度が、式(4)を用いて求められる加速チャネル出口でのプラズマ密度
nex=Ji/(evi,ex)・・・・・(12)
の2倍になるので、これに対応する加速チャネル内での平均イオン速度vi=出口イオン速度vi,exの1/2となる。
一方、電子の平均速度veは、
e =(2eVd/m)1/2 [m/s]・・・・・(13)
となり、電子のサイクロトロン半径rce が求まる。従って、磁束密度Bの場合、加速チャネル長の満たすべき条件式が求まる:
ce≪L<rci・・・・・(14)
(2)次に、加速チャネル内でのイオン加速から導かれる加速チャネル長条件を求める。プラズマ密度が高くなるとイオン間衝突が頻繁になり、イオンの加速チャネル壁面損失も増大すると考えられる。そこで、イオンが実効的に無衝突で静電加速される為には、イオンの平均自由行程λiiが加速チャネル長Lよりも長くならなければならない:
λii≧L・・・・・(15)
前述した様に、加速チャネル内イオンの平均速度は、加速チャネル出口速度の1/2と見積もられるので、イオン1個の運動エネルギーとしては出口運動エネルギーの1/4と見積もられる。この事から、イオンが電界から受けるエネルギーの1/4が平均エネルギーになるとして、平均イオン温度、式(11)で求められた平均プラズマ密度を用いて、イオン加速に関する加速チャネル長条件を求めると、次式の様になる:
L≦λii・・・・・(16)
(3)最後に、プラズマ密度が高くなると、電子とイオンの衝突は頻繁になり、それに伴って電子の周方向ドリフト運動が妨げられる一方、逆にイオンが周方向回転を始めてしまう。その場合、イオンの静電加速が妨げられるだけでなく、ホール電流が小さくなり、ローレンツ力による推力発生や電界の維持といった、ホール型電気推進機の基本的電磁効果が有効に働かなくなる。この電子衝突の効果は、ホールパラメータωeτeによって評価される。ここで、ωe=電子サイクロトロン周波数、τe=電子がイオンと衝突する平均衝突時間である。このホールパラメータωeτe≫1でなければ、十分なホール電流を得ることが不可能である。電磁効果が有効に働くための条件は、
ωeτe≫1・・・・・(17)
となる。例えば、磁束密度を0.05T程度、プラズマ密度が1017〜1018 m-3程度とすれば、この条件は十分に満たされる。また、電子と中性粒子の衝突頻度は、イオン電流密度と中性粒子の流束密度が同程度の領域では、電子-イオン間の衝突頻度よりも少ないので、中性粒子との衝突の影響は小さい。
化学推進機と同様に、電気推進機の一種であるホール型電気推進機の推進機性能を評価する量として、推力F、比推力Isp、推進効率ηtがある。
推進効率ηtは、以下の評価式によって見積もられる:
ηt=F2/(2mfdd)・・・・・(18)
ここで mf=質量流量、Vd=放電電圧、Id=放電電流、を表わしている。推力Fが分かれば、式(18)から推進効率ηtが見積もられる。また、式(18)による評価の他に、加速効率ηa、推進剤利用効率ηu、エネルギー効率ηEの3種類の内部効率を導入し、推進効率ηtを評価できる。先ず加速効率ηaを、イオンビーム電流Ibと放電電流Idの比として、次の様に定義する:
ηa=Ib/Id・・・・・(19)
この加速効率ηaは、ホール型電気推進機やイオン型電気推進機の様な静電加速型型電気推進機では、作動状態を示す重要なパラメータであるが、蛍光灯のようにグロー放電している普通の放電管では、電子電流が支配的なので、この加速効率ηaは0に近い。これに対してホール型電気推進機では、イオン流が推力源となっており、放電維持のためにイオン電流が寄与している。従って、加速効率ηaは0とならずに、或る値をもつ(推進剤にXeを用いた場合、およそ0.5)。
次に推進剤利用効率ηuを、イオンビーム電流Ibと推進剤流量mfの比として、次の様に定義する:
ηu=MIb/(emf)・・・・・(20)
これは、投入された推進剤がどの程度電離してイオンになり、結果的にイオンビームとして利用されているか、を示すパラメータである(Xeの場合、過去の実験から0.8〜0.95)またエネルギー効率ηEは、イオンビームの平均エネルギーEmと放電電圧Vdを用いて、
ηE=Em/(eVd)・・・・・(21)
と定義される。ただし、イオンビームの平均エネルギーEmはエネルギーアナライザーを使用して測定されるエネルギー分布f(Ei)を用いて次の様に表せる:
m={∫f(Ei)(Ei)1/2dEi2・・・・・(22)
このエネルギー効率ηEは、加速チャネル内のどの電位でイオンが生成されたかに依存するが、 Xeで0.75程度である。
イオンはすべて1価電離で、軸方向のみに加速されるとすれば、イオンビームの平均エネルギーEmを用いて、推力Fは、
F=Ib*(2MEm)1/2/e・・・・・(23)
と書ける。従って、比推力Ispは重力加速度gを用いて次の様に表される:
sp=F/(mfg)=Ib*(2MEm1/2/(emfg)・・・・・(24)
式(19)〜(21)と式(23)を式(18)に代入すると、次式に示される様に、推進効率が加速効率、推進剤利用効率、エネルギー効率の積として表現される:
ηt=ηaηuηE・・・・・(25)
本発明のホール型電気推進機は、宇宙機に搭載するプラズマ推進機/加速器(プラズマエンジン)の他に、スパッタ装置(マイクロ/ナノ加工)、航空機の抵抗低減装置、核融合イオンソース技術、又はこれらの過熱防御系[冷却システム]等に対し好適に適用することが可能である。
本発明の実施例1に係るマイクロ・ホール型電気推進機を示す要部断面説明図である。 本発明の実施例2に係るマイクロ・ホール型電気推進機を示す要部断面説明図である。 本発明の実施例3に係るマイクロ・ホール型電気推進機を示す要部断面説明図である。 本発明の実施例4に係るマイクロ・ホール型電気推進機を示す要部断面説明図である。 加速チャネル部の磁束分布を示す要部断面説明図である。 ホール型電気推進機の加速原理を示す説明図である。 中性粒子温度増加に伴う振幅減少及び振動数増加機構を示す説明図である。
符号の説明
1 アノード
2 磁気コイル
3 磁極部
4 推進剤導入口
5 推進剤導管
6a,6b,6c チョーク部
6 プレナム室
7 加速チャネル
8,9,10 耐熱絶縁部
100,200,300,400 マイクロ・ホール型電気推進機

Claims (7)

  1. 生成プラズマを静電加速または電磁加速して加速チャネル部から排出させることにより推力を得るホール型電気推進機であって、磁性体を磁化し磁場を発生させる電磁コイルが前記加速チャネル部の外側に配設され且つ推進剤を移送する推進剤導管が前記加速チャネルの壁面近傍を通って該加速チャネル部上流のプレナム室に導入されるように構成されていることを特徴とするホール型電気推進機。
  2. 前記推進剤導管は螺旋状に巻かれて構成されている請求項1に記載のホール型電気推進機。
  3. 前記プレナム室は推進剤の流速を増加させるチョーク部を備えている請求項1又は2に記載のホール型電気推進機。
  4. 電場を形成する陽極が前記チョーク部を成している請求項3に記載のホール型電気推進機。
  5. 前記チョーク部はその隙間の間隔が軸方向下流に向かって縮小するように構成されている請求項3又は4に記載のホール型電気推進機。
  6. 前記加速チャネル部の壁面は、プラズマが生成される電離領域ならびに該プラズマ中のイオンが加速される加速領域に応じて異なる耐熱絶縁材料の壁面が組み合わされて成る請求項1から5の何れかに記載のホール型電気推進機。
  7. 前記耐熱絶縁材料の一つはボロンナイトライド(BN)又はその複合材である請求項6に記載のホール型電気推進機。
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