JP2008220289A - 非ヒトトランスジェニック動物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、血清コレステロール値制御機構を検討するための新規動物モデルを提供することを課題とする。
【解決手段】常染色体劣性高コレステロール血症(Autosomal Recessive Hypercholesterolemia:ARH)関連遺伝子であるARH遺伝子を過量発現させた非ヒトトランスジェニック動物による。
【選択図】図2

Description

本発明は、低コレステロール血症の非ヒトモデル動物を提供することに関する。より具体的には、常染色体劣性高コレステロール血症に関連する遺伝子を過剰発現させてなる非ヒトトランスジェニック動物の作製による低コレステロール血症の非ヒトモデル動物に関する。
現代の成人病として、高コレステロール血症及びそれに起因する動脈硬化症は、重要な疾患の一つとされている。血清総コレステロール値の調節機構として、低密度リポタンパク質受容体(low density lipoprotein receptor:以下、単に「LDLR」ともいう。)が主要な働きをしていることが知られている。HMG−CoA還元阻害薬であるスタチンは、LDLRの発現を調節することにより血清総コレステロール値を低下させ、動脈硬化症の発症及び進展を抑制することが知られている。スタチンは、このような作用により、世界の公衆衛生分野において多大な貢献をしている。
このような血清総コレステロールを低下させる化合物は、高コレステロール血症の治療及び動脈硬化症の予防に非常に有用であるが、その様な化合物をスクリーニングするためにモデル動物は、現在までのところ十分に開発がなされているとはいえない。
例えば、動脈硬化症のモデル動物や家族性高コレステロール血症のモデル動物として、LDLR遺伝子のノックアウトマウスが作出された(非特許文献1)。このモデルマウスにおいては、高コレステロール食を与えた場合には1500〜2000mg/dlの血清総コレステロール値を示し、顕著な動脈硬化症を発症することが知られていたものの、普通食を与えた場合にはわずか230mg/dlの血清総コレステロール値を示すにすぎなかった(非特許文献1)。
高コレステロール血症及び動脈硬化症のモデル動物を得ることを目的として、LDLR遺伝子と血清アポリポタンパク質E(ApoE)遺伝子とを両方とも欠損するLDLR/ApoEダブルノックアウトマウスが作出されたが、この場合にも普通食を与えた場合に450〜700mg/dlの血清総コレステロール値を示すにすぎず、ApoEノックアウトマウスと同等の高コレステロール血症を示すにすぎなかった(非特許文献2)。
一方、ニューロメジン(NMU)は、ブタの脊髄から単離された神経ペプチドであり主として消化管と下垂体に存在することが知られている。この物質は、平滑筋の収縮、血圧、摂食行動などに関わっていると考えられている物質である(非特許文献3)。このNMU遺伝子を欠失させたNMUノックアウトマウスでは、過食、肥満、高インスリン血症が見られるほか、加齢とともに高血糖や高脂血症などの症状を呈するようになることが報告されている(非特許文献4)。
2001年、Hobbs HらのグループがARH家系の連鎖解析により、第1染色体にある常染色体劣性高コレステロール血症(Autosomal Recessive Hypercholesterolemia:ARH)の原因遺伝子(ARH)を同定した(非特許文献5)。ARH疾患では、ARH遺伝子第6エキソンに異常があり、皮膚線維芽細胞においてARHタンパク質が合成されていないことによる。ARHタンパク質は、PTBドメインを介してLDL受容体と結合するLDL受容体のアダプタータンパク質であり、in vivoでのLDL受容体の細胞内取り込み機能に重要であると考えられる。この疾患は、家族性高コレステロール血症(FH)ホモ接合体と同様の症状、即ち著明な高コレステロール血症、黄色腫、若年性動脈硬化症等を呈する。ARH遺伝子欠損マウスにおいて、高コレステロール血症が引き起こされるのは、肝臓へのLDLの取り込みの遅延によるものであると報告されている(非特許文献6)。ARHタンパク質の機能を確認するため、ARH遺伝子ノックアウトマウスを作製した報告ある(非特許文献7)。ARH遺伝子の欠損によって高コレステロール血症をきたすことはいくつも報告があるが、ARH過剰発現による血清コレステロール値制御機構についての報告はない。
J. Clin. Invest. 92:883-893, 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:4431-4435, 1994 Biochem. biopys. Res. Commun. 276:435-438, 2000 Nat. Med. 10:1067-73, 2004 Science 292: 1394-1398, 2001 Circulation reseach 95:945-952, 2004 The Lipid 16:316-322, 2005
本発明は、血清コレステロール値制御機構を検討するための新規動物モデルを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するためにARH遺伝子の発現と血清コレステロールとの関係に着目し、鋭意研究を重ねた結果、常染色体劣性高コレステロール血症(Autosomal Recessive Hypercholesterolemia:ARH)関連遺伝子であるARH遺伝子の過量発現によって血清コレステロール値が低下することを見出し、ARH遺伝子の過量発現非ヒトトランスジェニック動物を作製し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.常染色体劣性高コレステロール血症関連遺伝子であるARH遺伝子を過剰発現させてなる非ヒトトランスジェニック動物。
2.トランスジェニック動物が、低コレステロール血症モデル動物である前項1に記載の非ヒトトランスジェニック動物。
3.動物がマウスである、前項1又は2に記載の非ヒトトランスジェニック動物。
本発明のARH遺伝子を過剰発現させてなる非ヒトトランスジェニック動物により、低コレステロール血症モデル動物を提供することができた。本低コレステロール血症モデル動物の使用により、血清コレステロール値の新しい制御機構として、ARH遺伝子の発現が関連することが考えられ、該ARH遺伝子発現を調節することによって、血清コレステロール値を制御しうる新しいコンセプトによる高コレステロール血症治療薬の開発につながる。
本発明の非ヒトトランスジェニック動物は、常染色体劣性高コレステロール血症(Autosomal Recessive Hypercholesterolemia:ARH)関連遺伝子であるARH遺伝子を過剰発現させてなる非ヒトトランスジェニック動物である。
ARHタンパク質は、N末端にphospho-tyrosine結合(PTB)ドメインを有する308個のアミノ酸からなる(GenBank accession No. NM_015627:配列番号1)。PTBドメインは、細胞内情報伝達や、輸送に係わるアダプタータンパク質に認められるもので、受容体タンパク質のC末端のFDNPXY部位に結合し、受容体の細胞内取り込みに係わっている。ARHタンパク質は、分子内にクラスリン結合部位であるLLDLE(クラスリンボックス)とアダプタープロテイン−2(AP−2)のβ2−アダプチン(adaptin)サブユニットを結合させるドメインを有し、in vitroでそれらのタンパク質と結合することが確認されている。ARH患者では、LDLレセプターのアダプタータンパク質(ARHタンパク質)が欠損しているため、LDLレセプターの細胞内取り込みが障害されるため、著明な高コレステロール血症、黄色腫、若年性動脈硬化症を呈する。
本発明におけるARHタンパク質は、上記配列番号1で特定されるアミノ酸配列に限定されることなく、PTBドメインを有するタンパク質であって、上記配列番号1で特定されるアミノ酸配列において1個〜複数個のアミノ酸が、置換、欠失、付加及び/又は挿入されていてもよい。
ARH遺伝子は、染色体lp35に位置し、9つのエキソンと8つのイントロンから構成される25kbの大きさで、GenBank accession No. NM_015627(配列番号2)に示される塩基配列からなる。
本発明におけるARH遺伝子は、上記配列番号2で特定されるDNAに限定されることなく、本発明におけるARHタンパク質を発現しうる塩基配列からなるDNAであればよい。そのような塩基配列としては、本発明のARHタンパク質をコードする塩基配列からなるDNAの他、遺伝子コドンと縮重のため、ARHタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするいずれかのDNAも含み、さらにはそれらの相補鎖も含まれる。
本発明における非ヒトトランスジェニック動物としては、ヒト以外の哺乳動物が挙げられ、例えば、ウシ、サル、ブタ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウスなどが挙げられる。特に、モルモット、ラット、マウスなどのげっ歯類が取扱いが容易であるため好ましく、中でもマウスが好ましい。
本発明の非ヒトトランスジェニック動物は、未受精卵、受精卵、精子及びその始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)において、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などにより導入遺伝子であるARH遺伝子を導入することにより作製することができる。また、該遺伝子導入方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とするARH遺伝子を転移し、細胞培養、組織培養などに利用することもできる。さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞配合法により融合させることによりトランスジェニック動物を作製することもできる。
ARH遺伝子を対象動物に導入させる際、当該遺伝子を対象となる動物の細胞で発現させうるプロモーターの下流に連結した遺伝子構築物として導入することが好ましい。具体的には、目的とするARH遺伝子を有する各種哺乳動物由来のARH遺伝子を発現させうる各種プロモーターの下流に、該AHR遺伝子を連結したベクターを対象となる哺乳動物の受精卵(例えば、マウス受精卵)へマイクロインジェクションすることによって、目的とするARH遺伝子を高発現するトランスジェニック動物を作製することができる。
ARH遺伝子の発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウイルスなどのレトロウイルス、ワクシニアウイルスまたはバキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。遺伝子発現の調節を行うプロモーターとしては、たとえばウイルス(サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイルス、など)由来遺伝子のプロモーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)及び鳥類(ニワトリなど)由来遺伝子[例えば、アルブミン、インスリンII、エリスロポエチン、エンドセリン、オステオカルシン、筋クレアチンキナーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10及びK14、コラーゲンI型及びII型、心房ナトリウム利尿性因子、ドーパミンβ−水酸化酵素、内皮レセプターチロシンキナーゼ、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインI及びIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原、平滑筋αアクチン、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、α及びβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1及び2、ミエリン基礎タンパク、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、レニンなどの遺伝子]のプロモーターなどが挙げられる。上記ベクターは、トランスジェニック哺乳動物において目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結するターミネターを有していてもよい。その他、ARH遺伝子をさらに高発現させる目的で、各遺伝子のスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核生物遺伝子のイントロンの一部をプロモーター領域の5’上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流 に連結することも所望により可能である。
受精卵細胞段階におけるARH遺伝子の導入は、対象動物の胚芽細胞及び体細胞の全てに過剰に存在するように確保することが好ましい。トランスジェニック後の作出動物の胚芽細胞においてARH遺伝子が過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞及び体細胞の全てにARH遺伝子を過剰に有することを意味する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞及び体細胞の全てにARHタンパク質を過剰に有する。導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモ接合体の動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該遺伝子を安定に保持し、また、該遺伝子を過剰に有することを確認して、通常の飼育環境で繁殖継代することができる。
トランスジェニック対象動物が有する内在性の遺伝子とは異なる遺伝子である外来性ARH遺伝子を好ましくはマウスなどの対象動物、又はその先祖の受精卵に転移する際に用いられる受精卵は、同種の雄哺乳動物と雌哺乳動物を交配させることによって得られる。受精卵は自然交配によっても得られるが、雌哺乳動物の性周期を人工的に調節した後、雄哺乳動物と交配させる方法が好ましい。雌哺乳動物の性周期を人工的に調節する方法としては、例えば初めに卵胞刺激ホルモン(妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG))、次いで黄体形成ホルモン(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG))を例えば腹腔注射などにより投与する方法が好ましい。
得られた受精卵に前述の方法により外来性ARH遺伝子を導入した後、雌動物に人工的に移植、着床させることにより、外来性遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト動物が得られる。好ましくは、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)を投与後、雄動物と交配させることにより、受精能を誘起された偽妊娠雌動物に得られた受精卵を人工的に移植・着床させることができる。遺伝子を導入する全能性細胞としては、マウスの場合、受精卵や初期胚を用いることができる。また培養細胞への遺伝子導入法としては、トランスジェニック動物個体の産出高率や次代への導入遺伝子の伝達効率を考慮した場合、DNAのマイクロインジェクションが好ましい。
遺伝子を注入した受精卵は、次に仮親の卵管に移植され、個体まで発生し出生した動物を里親につけて飼育させたのち、体の一部(マウスの場合には、例えば、尾部先端)からDNAを抽出し、サザン解析やPCR法により導入遺伝子の存在を確認することができる。導入遺伝子の存在が確認された個体を初代(Founder)とすれば、導入遺伝子はその子(F1)の50%に伝達される。さらに、このF1個体を野生型動物または他のF1動物と交配させることにより、2倍体染色体の片方(ヘテロ接合)または両方(ホモ接合)に導入遺伝子を有する個体(F2)を作成することができる。
あるいは、ARH高発現非ヒトトランスジェニック動物は、上記したARH遺伝子を導入遺伝子としてES細胞に導入することによって作製することもできる。例えば、正常マウス胚盤胞に由来するHPRT陰性(ヒポキサンチングアニン・フォスフォリボシルトランスフェラーゼ遺伝子を欠いている)ES細胞(embryonic stem cell)に、ARH遺伝子を導入する。ARH遺伝子がマウス内在性遺伝子上にインテグレートされたES細胞をHATセレクション法により選別する。次いで、選別したES細胞を、別の正常マウスから取得した受精卵(胚盤胞)にマイクロインジェクションする。該胚盤胞を仮親としての別の正常マウスの子宮に移植する。そうして該仮親マウスから、キメラトランスジェニックマウスが生まれる。該キメラトランスジェニックマウスを正常マウスと交配させることによりヘテロトランスジェニックマウスを得ることができる。該ヘテロトランスジェニックマウス同士を交配することにより、ホモトランスジェニックマウスが得られる。
上記した本発明の非ヒトトランスジェニック動物の子孫、並びに該トランスジェニック動物の一部も本発明の範囲内である。非ヒトトランスジェニック動物の一部としては、該トランスジェニック動物の組織、器官及び細胞などが挙げられる。
以下哺乳動物としてマウスを用いた場合を例にしてトランスジェニックマウスを製造する方法の一例についてさらに具体的に説明する。
1.ARH遺伝子のクローニング
本発明の病理モデル動物を製造するには、まず、ARH遺伝子をクローニングする。このクローニング方法としては公知の様々な方法が可能である。例えば、ARHのmRNAからcDNAを作製し、そのcDNAをプラスミド等のベクターのDNAに組込み、更に該DNA組替えベクターを大腸菌等の宿主に組込んで、大腸菌を増殖させる。大量に産生された大腸菌からDNA組替えベクターを取りだし、ARH遺伝子をカラムクロマトグラフ法、あるいは電気泳動法等により分取、精製することによりクローニングすることができる。目的の塩基配列をもつ遺伝子が精製されていることの確認は、DNAシーケンシングなどにより確定することが望ましい。
2.ARHをコードする遺伝子のスクリーニング
マウス遺伝子ライブラリーから得られた本件ARHをコードするcDNA、あるいは、マウスmRNA から直接RT−PCR等の方法により得られた同cDNAをプラスミドベクター等にライゲーションにより挿入する。
3.ベクター
クローニング用ベクターとしては、宿主内で特定遺伝子を増幅できる細菌プラスミド由来、酵母プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来及びこれらの組合せに由来するベクター、例えば、コスミドやファージミドのようなプラスミドとバクテリオファージの遺伝的要素に由来するものを挙げることができる。
4.宿主
本件ARHタンパク質をコードする遺伝子は、好ましくはベクターを経由して宿主細胞により増殖する。本件ARHタンパク質をコードする遺伝子の宿主細胞への導入は、Davisら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及びSambrookら(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Habor LABORATORY Press, Cold Spring Habor, NY., 1989)などの自体公知の実験室マニュアルに記載される形質転換や感染等により行うことができる。
そして、上記宿主細胞としては、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギルス等の真菌細胞等を挙げることができる。
5.トランスジェニックマウスの製造
ARH過剰発現トランスジェニックマウスを製造するには、例えばマウスの受精卵の細胞核に上記方法で得たARHの遺伝子をマイクロインジェクトする。注入する遺伝子の量は1個の受精卵当り200〜1000コピーであることが好ましい。別に精管切断術を施した雄マウスと交尾させ偽妊娠状態にした仮親を用意して、この仮親の卵管内にこの受精卵を移植し、マウスを誕生させる。
ARHの遺伝子を導入する方法としては、他に受精卵にレトロウイルスベクターを感染させる方法も採用しうる。また、受精卵の代わりにES細胞を用いて同様の方法によりARHを過剰発現 するマウスを製造することができる。
上記方法でクローニングされたARHをコードするcDNAに、CAGプロモーター、マウスニューロフィラメント、SV40等のプロモーター、及びラビットβ−グロビン、SV40等のポリA又はイントロンを融合させて導入遺伝子を構築し、トランスジーンベクターを作製することができる。これらのうちでは、CAGプロモーターを用いることが好ましい。
この作製されたトランスジーンベクターを線状化し、マイクロインジェクション法やレトロウイルスを用いた感染等によって受精卵に導入する。
マイクロインジェクション後、一般的には、生まれた胚の10−40%に染色体への導入遺伝子の安定な組み込みが起こっている。選択されたマウス染色体に目的とする遺伝子の組み込みが起こっているかどうかをPCR法、サザンブロット法等により確認することが好ましい。このマウスを野生型のマウスとインタークロスさせると、ヘテロ接合体マウスを得ることができ、本発明の本件ARH過剰発現マウスを作製することができる。
本件ARH過剰発現マウスが生起しているか否かを確認する方法としては、例えば、上記の方法により得られたマウスからRNAを単離してノーザンブロット法等により調べたり、またタンパク質を抽出してウエスタンブロット法等により調べる方法がある。
以下、本発明の理解を深めるために実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではないことはいうまでもない。
(実施例1)ARH発現用細胞
本実施例において、ARHタンパク質をコードする遺伝子は、GenBank accession No. NM_015627(配列番号1)に示される。ARH遺伝子はRessourcenzentrum, Heubnerweg 6, 14059 Berlin-Chalottenburg, GermanyのRZPD社より購入した、クローンDKFZp586D0624はpSPORTのマルチクローニングサイトにクローニングされている。そのプラスミドからBamHI及びEcoRIで消化切断してDNAフラグメントとした。
上記調製したDNAフラグメントを、あらかじめBamHI及びEcoRIで消化切断したサイトメガロウイルスプロモーターを有するphCMVトランスファーベクターに組込み、発現ベクターpCMV−ARHを作製し、トランスジーンを作製した。
C57BL/6雌マウスにPMS及びhCGを腹腔投与して過排卵を誘発し、C57BL/6雄マウスと同居・交配した。交尾の成立した雌マウスを頚椎脱臼により殺し、腹腔を開き卵管膨大部を切り出して、ヒアルロニダーゼを含むM16培地中に移し、実体顕微鏡下で卵管膨大部を裂いて受精卵を培地中に移し、ガラスピペットを用いて受精卵を回収した。
次に、ガラスディッシュに、受精卵を含むM16培地及び注入DNA(濃度は5ng/μl)のドロップをそれぞれ作成しパラフィンオイルでカバーした。マイクロマニュピレーター付き倒立顕微鏡下でインジェクション用ピペットに注入DNAをおおよそ0.1μl吸引して、ホールディング用ピペットで固定した受精卵の前核内にDNAを注入した。
DNA注入した受精卵を移植するための偽妊娠雌マウス(ICRマウス)は、精管を切除した雄マウス(ICRマウス)と交配させることにより作製した。受精卵にDNAを注入した当日に、偽妊娠雌マウスを麻酔し、後背部より卵巣、卵管を引出し、卵管開口部を露出する。実体顕微鏡下で移植用ピペットを用いておよそ10個の受精卵を吸引して、左右の卵管開口部からそれぞれ受精卵を移植した。受精卵の移植後、偽妊娠雌マウスは約20日で子マウス(ARH−TG)を出産した。
ARH−TGにおけるARH遺伝子導入は、マウスの尾の先端切除片由来の細胞からDNAを抽出し、それを鋳型としてPCRを行い、ARH遺伝子に関する配列が導入されていることを検出し、確認した。導入したアレルの検出にはフォワードプライマーとしてtaatacgactcactataggg(配列番号3)及びリバースプライマーとしてacagcctgtgccatcttccgct(配列番号4)を用いた。
(実験例1)血清総コレステロール値の対比
本実験例においては、普通食を摂取させた場合のマウスにおける血清コレステロール値を対比した。
5匹の16週齢のオス(ARH−TG)マウスの尾静脈から採血し、これを遠心分離して血清を得、このサンプルを実験群とした。一方、対照群として、同じ週齢の野生型(WT)マウス5匹からも採血し、これを遠心分離して血清を得た。血清総コレステロール値は、コレステロールエステラーゼとコレステロールオキシダーゼとを使用する酵素法の試薬、デタミナー(TM)LTC特注(協和メディックス)を使用して、製品に付属する指示に従って測定した。
それぞれのマウスの血清総コレステロール値の結果を、図1に示した。これにより、ARH−TGマウスの血清総コレステロール値は、野生型(WT)マウスに比べて低い値を示すことが確認された。
(実験例2)
本実験例においては、高コレステロール血症脂肪食負荷前後のマウスにおける血清コレステロール値を対比した。
ART−TGマウスおよびWTマウスに対して、高脂肪食として、2%コレステロール含有餌を2週間投与した。
高脂肪食の摂取前及び摂取後16時間の空腹後において、各々5匹の12週齢のオス(ARH−TG)マウスの尾静脈から採血し、これを遠心分離して血清を得、このサンプルを実験群とした。一方、対照群として、同じ週齢の野生型(WT)マウス5匹からも採血し、これを遠心分離して血清を得た。
それぞれのマウスの血清総コレステロール値の結果を、図2に示した。これにより、高脂肪食の摂取の前後ともにARH−TGマウスの血清総コレステロール値は、野生型(WT)マウスに比べて低い値を示すことが確認された。
(実験例3)
本実験例においては、高コレステロール血症脂肪食負荷前後のマウスにおけるVLDL−コレステロール値を対比した。対比は、血清中のコレステロールのうち、VLDL,LDL及びHDL画分のどの分画が上昇しているのかを調べることにより行った。血清50μlずつを採取し、カラムとしてTSKgel LipopropaxXL(TM)(東ソー)を使用したHPLCにより、血清中のコレステロールをVLDL,LDL及びHDLの各画分に分画した。本実験例では、得られたVLDLを、コレステロールエステラーゼとコレステロールオキシダーゼとを使用する酵素法の試薬、デタミナー(TM)LTC特注(協和メデックス)を使用し、製品に付属指示書に従って定量した。
各マウスについてのVLDL−コレステロール値を対比し、その結果を図3に示した。これにより、これにより、高脂肪食の摂取の前後ともにARH−TGマウスのVLDL−コレステロール値は、野生型(WT)マウスに比べて低い値を示すことが確認された。
以上説明したように、本発明のARH遺伝子を過剰発現させてなる非ヒトトランスジェニック動物により、低コレステロール血症モデル動物を提供することができた。本低コレステロール血症モデル動物の使用により、血清コレステロール値の新しい制御機構として、ARH遺伝子の発現が関連することが考えられる。該ARH遺伝子発現を調節することによって、血清コレステロール値を制御しうる新しいコンセプトによる高コレステロール血症治療薬の開発に貢献することができる。
ARH過剰発現マウス(ARG−TG)及び野生型(WT)の血清コレステロール値を示す図である。(実験例1) ARH過剰発現マウス(ARG−TG)及び野生型(WT)の2週間の高脂肪食負荷前後の血清コレステロール値を示す図である。(実験例2) ARH過剰発現マウス(ARG−TG)及び野生型(WT)の2週間の高脂肪食負荷前後のVLDL−コレステロール値を示す図である。(実験例3)

Claims (3)

  1. 常染色体劣性高コレステロール血症関連遺伝子であるARH遺伝子を過剰発現させてなる非ヒトトランスジェニック動物。
  2. トランスジェニック動物が、低コレステロール血症モデル動物である請求項1に記載の非ヒトトランスジェニック動物。
  3. 動物がマウスである、請求項1又は2に記載の非ヒトトランスジェニック動物。
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