JP2008220162A - 発電機、特にタービン発電機に用いられるロータ - Google Patents

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Abstract

【課題】互いに溶接されたディスク状のロータエレメントから形成されていて、磁気的に有効な可能な限り大きな体積と同時に高い機械的な強度を有する、発電機に用いられるロータを提供する。
【解決手段】ギャップ37の外周で該ギャップが、溶接シーム17に隣接した拡幅された中空室38に移行しているようにした。
【選択図】図6

Description

本発明は、電気的なエネルギを発生させるための発電機の技術の分野に関する。
さらに、本発明は、発電機、特にタービン発電機に用いられるロータであって、当該ロータが、ロータ軸線に連続して配置された複数の別個のロータエレメントから形成されており、該ロータエレメントが、接続面で互いに突き合わされていて、円環状の溶接シームを形成して互いに溶接されており、該溶接シームが、設定されたギャップ幅を備えた、中心の円形のそれぞれ1つのギャップを同心的に取り囲んでいる形式のものに関する。
さらに、本発明は、前述した形式のロータを製作するための方法に関する。
数年来、大きなターボ機械、たとえば蒸気タービンまたはガスタービンのロータを、溶接されて1つのユニットを形成する個々のロータエレメントから製作することが知られている(たとえば欧州特許出願公開第0604754号明細書参照)。これによって、特にロータの、それぞれ異なる程度に熱負荷される区分を種々異なる材料から製作し、コストおよび安定性に関して最適化することが可能となる。また、材料購入時には、比較的小さな簡単にディスク状のエレメント入手することが、特殊に製造されかつ形成されたモノブロックよりも簡単である。
発電機、特にタービン発電機のロータの場合、ロータを溶接によって個々のディスク状のエレメントから製作することは従来実施されていなかった。タービン発電機のロータでは、機械的なかつ熱的な特性のほかに、磁気的なかつ電気的な特性にも注意しなければならない。なぜならば、ロータが磁気的な回路の一部であり、通常、巻線を支持しているからである。この巻線を収容するためには、ロータのボディに、軸方向に延びるスロットが設けられている。このスロットは、ある程度のスロット深さを備えて半径方向でロータの内部に加工されている(たとえば欧州特許出願公開第1361642号明細書参照)。
タービン発電機の、個々のディスクから形成されたロータは、過去、種々異なる形式で提案されていた。ドイツ連邦共和国特許第573512号明細書に基づき、タービン発電機に用いられるロータが公知である。この公知のロータは、軸方向に相並んで整列させられた中実のディスクから形成されている。端ディスクは軸端片と一体に製作されている。ディスクはその周面で互いに溶接シームによって結合されている。この溶接シームをアシストするために、ディスクを付加的にピンによって互いに結合することが有利となり得る。ディスク面は、安定化のために、内外で係合する凸部と凹部とを交互に備えてもよい。
強度を増加させるためには、溶接シームが、ロータ周面に切り込まれた巻線スロットに沿って設けられてもよい。この場合、縁部に限定された狭幅の溶接シームが、特にまだ巻線スロットによって中断されている場合には、溶接されたロータの、制限された強度しか可能にしないことが不利である。確かに、スロットに設けられた付加的な溶接シームは強度をある程度高めるが、しかし、高い手間でしか実現することができない。
さらに、米国特許第3780428号明細書に基づき、タービン発電機に用いられるロータが公知である。この公知のロータでは、同じくロータボディが複数のディスクの縁側の溶接によって形成されている。ここでは、ロータの端片が、このロータに軸方向で圧縮応力を加える内側に位置するピンにより結合されることによって、狭幅の溶接シームに付加的な強度が付与される。この強度を高めるための手段にも極端に手間がかかり、ロータの極めて複雑な構造が生ぜしめられる。
深い溶接シームを備えたタービン発電機のロータは、過去、同じくすでに提案されていた(ドイツ連邦共和国特許出願公告第1017263号明細書参照)。
再生する核ビジネスを鑑みて、再び大きなロータ(4極式のタービン発電機、最大300トンの発電機ロータの個体重量)が要求される。このような大きな鍛造品は、世界的に幾つかの少ない納入業者によってしか注文に応じて製造することができない。場合によっては、のちの加工状態において初めて確認することができるスクラップリスクがある。
折に触れて、鍛造品のサイズおよび重量の増加につれて、物理的な特性および製造に起因した残留応力に関する非均質性が生ぜしめられる。これに対して、より小さな鍛造品は極めて良好に完全鍛造することができ、ロータが材料構造における非対称性に基づき最終加工の間に湾曲させられる危険がほとんどない。
欧州特許出願公開第0604754号明細書 欧州特許出願公開第1361642号明細書 イツ連邦共和国特許第573512号明細書 米国特許第3780428号明細書 ドイツ連邦共和国特許出願公告第1017263号明細書
したがって、本発明の課題は、互いに溶接されたディスク状のロータエレメントから形成されていて、磁気的に有効な可能な限り大きな体積と同時に高い機械的な強度を有する、発電機、特にタービン発電機に用いられるロータを提供すると共にこのロータを製作するための方法を提供することである。
この課題を解決するために本発明の構成では、ギャップの外周で該ギャップが、溶接シームに隣接した拡幅された中空室に移行しているようにした。
本発明の有利な構成によれば、中空室の容積が可能な限り僅かであると共に中空室の領域に可能な限り僅かな機械的な応力が生ぜしめられるように、中空室が幾何学的に形成されている。
本発明の有利な構成によれば、溶接シームが、内側の縁部に、全周にわたって延びるそれぞれ1つのルートシームを有しており、中空室が、ルートシームの半径方向の高さで両側にアンダカットを有している。
本発明の有利な構成によれば、中空室が、アンダカットとギャップとの間で移行輪郭によって仕切られるようになっている。
本発明の有利な構成によれば、移行輪郭が線形であり、設定された角度を成してギャップに接続している。
本発明の有利な構成によれば、移行輪郭が、設定された曲率半径を備えて円弧状に形成されている。
本発明の有利な構成によれば、当該ロータに全周にわたって分配されて、軸方向に延びる、巻線を収容するための複数の巻線スロットが設けられており、該巻線スロットが、スロット深さを備えて半径方向に方向付けられており、スロットの領域に位置する溶接シームが、巻線スロットのスロット深さよりも大きい溶接シーム深さを有している。
本発明の有利な構成によれば、ロータエレメントが、ほぼ円筒状に形成されており、溶接シームの溶接シーム深さが、当該ロータの全周にわたってコンスタントである。
本発明の有利な構成によれば、接続面が、ロータ軸線に対して垂直に方向付けられていて、ほぼ平らに形成されている。
本発明の有利な構成によれば、当該ロータが、第1の外径を備えた1つのロータボディと、第2の外径および第3の外径を備えた2つのシャフトエンドとを有しており、第1の外径が、第2の外径および第3の外径よりも大きく寸法設定されており、溶接シームが、ボディの領域と、シャフトエンドの領域とに設けられている。
本発明の有利な構成によれば、当該ロータが、第1の外径を備えた1つのロータボディと、第2の外径および第3の外径を備えた2つのシャフトエンドとを有しており、第1の外径が、第2の外径および第3の外径よりも大きく寸法設定されており、溶接シームが、ロータボディの領域にのみ設けられている。
本発明の有利な構成によれば、当該ロータが、ロータエレメントとして2つのシャフトエンドのほかに、互いに溶接された複数のディスクを有しており、該ディスクの軸方向の長さがそれぞれ異なっている。
本発明の有利な構成によれば、シャフトエンドおよび/またはディスクが、中心の1つまたはそれ以上の中空室を有している。
本発明の有利な構成によれば、中空室が、一貫して延びる孔または盲孔として形成されている。
本発明の有利な構成によれば、材料コントロールおよび/または冷媒の供給および導出のために、半径方向の通路が、中空室から当該ロータの外側輪郭に通じているかまたはロータボディに配置された巻線スロットに通じている。
本発明の有利な構成によれば、ギャップ幅が、溶接シームの溶接シーム幅にほぼ等しく寸法設定されている。
さらに、前述した課題を解決するために本発明の方法では、前述した形式のロータを製作するための方法において、まず、第1のステップで、ロータエレメントを360゜の全周にわたって、のちのスロット深さよりも大きいコンスタントな深さで溶接し、第2のステップで、ロータ全体を外径旋削し、第3のステップで、巻線スロットをロータボディにフライス削りすることを特徴とするようにした。
本発明の方法の有利な実施態様によれば、ロータに外径旋削前に応力除去焼鈍しを行う。
本発明の方法の有利な実施態様によれば、溶接したい面で、中空室と、これに続く溶接ギャップとの間に、センタリングおよびギャップの幅の調整のために、全周にわたって延びるカラーウェブを有するロータエレメントを使用し、カラーウェブを、段付けられた縁輪郭でセンタリングして内外で係合させ、のちの溶接時に溶融する。
本発明では、互いに溶接されたロータエレメントの間のギャップの外周でこのギャップが、溶接シームに隣接した拡幅された中空室に移行していることが重要である。これによって、1つには、中空室の容積が可能な限り僅かとなり、もう1つには、中空室の領域に可能な限り僅かな機械的な応力が生ぜしめられるように、中空室を幾何学的に形成することが特に可能となる。
本発明の構成は、溶接シームが、内側の縁部に、全周にわたって延びるそれぞれ1つのルートシームを有しており、中空室が、ルートシームの半径方向の高さで両側にアンダカットを有しており、中空室が、アンダカットとギャップとの間で移行輪郭によって仕切られることによって特徴付けられている。
この構成の改良形によれば、移行輪郭が線形であり、設定された角度を成してギャップに接続している。これに対して択一的には、移行輪郭が、設定された曲率半径を備えて円弧状に形成されていてよい。
本発明の別の構成は、ロータに全周にわたって分配されて、軸方向に延びる、巻線を収容するための複数の巻線スロットが設けられており、これらの巻線スロットが、スロット深さを備えて半径方向に方向付けられており、スロットの領域に位置する溶接シームが、巻線スロットのスロット深さよりも大きい溶接シーム深さを有していることによって特徴付けられている。
本発明の別の構成は、ロータエレメントが、ほぼ円筒状に形成されており、溶接シームの溶接シーム深さが、ロータの全周にわたってコンスタントであることによって特徴付けられている。
さらに、ギャップの構成に対して、接続面が、ロータ軸線に対して垂直に方向付けられていて、ほぼ平らに形成されていると有利である。
別の構成は、ロータが、第1の外径を備えた1つのロータボディと、第2の外径および第3の外径を備えた2つのシャフトエンドとを有しており、第1の外径が、第2の外径および第3の外径よりも大きく寸法設定されており、溶接シームが、ボディの領域と、シャフトエンドの領域とに設けられていることによって特徴付けられている。これによって、シャフトエンドに用いられる鍛造品における外径の大きな激変を回避することができる。
これに対して択一的には、ロータが、第1の外径を備えた1つのロータボディと、第2の外径および第3の外径を備えた2つのシャフトエンドとを有しており、第1の外径が、第2の外径および第3の外径よりも大きく寸法設定されており、溶接シームが、ロータボディの領域にのみ設けられていることが可能である。これによって、シャフトエンドの真直度および同心度に課せられる部分的に高い要求を容易に満たすことができる。
本発明の別の構成によれば、ロータが、ロータエレメントとして2つのシャフトエンドのほかに、互いに溶接された複数のディスクを有しており、この場合、これらのディスクの軸方向の長さがそれぞれ異なっている。こうして、有利には、たとえば肉薄のディスクをロータボディの端部に設けることができる。
別の有利な構成によれば、シャフトエンドおよび/またはディスクが、中心の1つまたはそれ以上の中空室を有していてよい。これらの中空室は、特に一貫して延びる孔または盲孔として形成されている。中空室は、材料コントロール、励磁電流の供給、冷媒の供給および導出およびこれに類することのために使用することができる。このことは、十字形の磁界形態のため、4極式のタービン発電機ロータに対して特に有利である。この場合、シャフトエンドは、たとえば冷却ガスに対してシールするかまたは部分的に高い機械的な強度を達成するために、中実にまたは盲孔を備えて形成されてよい。また、個々の複数の中空室を備えたディスクを使用することも可能である。このディスクの中空室のサイズは、場合により、ロータの機械的な特性を改善するために異なっていてよい。また、ロータボディの領域における溶接シームの高さも異なっていてよい。
溶接されたディスクの間のギャップが、可能な限り僅かなギャップ幅を有していることが望ましい。特にこのギャップ幅は溶接シームの溶接シーム幅にほぼ等しい。
さらに、材料コントロールおよび/または冷媒の供給および導出のために、半径方向の通路が、中空室からロータの外側輪郭に通じているかまたはロータボディに配置された巻線スロットに通じていることが可能である。
本発明による製作法の実施態様は、ロータに外径旋削前に応力除去焼鈍しが行われることによって特徴付けられている。
別の実施態様は、溶接したい面で、中空室と、これに続く溶接ギャップとの間に、センタリングおよびギャップの幅の調整のために、全周にわたって延びるカラーウェブを有するロータエレメントが使用され、カラーウェブが、段付けられた縁輪郭でセンタリングして内外で係合し、のちの溶接時に溶融されることによって特徴付けられている。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
図1〜図3には、本発明によるタービン発電機ロータの種々異なる実施例が縦断面図で示してある。
図1のロータ10は、ロータ軸線18の方向で中間に配置された2つのディスク12,13を有している。両ディスク12,13は互いに溶接されていると共に端部でそれぞれシャフトエンド11;14に溶接されている。ディスク12,13とシャフトエンド11,14とは一緒にロータエレメントを成している。このロータエレメントはほぼ円筒状に形成されている。ロータエレメント11,12,13,14の、このロータエレメントが互いに結合(溶接)されている接続面は、ロータ軸線18に対して垂直に方向付けられていて、ほぼ平らに形成されている。
ロータ10のロータボディは、両ディスク12,13と、両シャフトエンド11,14の内側の区分とによって形成される。ロータボディは、シャフトエンド11,14に比べて拡径された外径によって特徴付けられている。ロータボディには、ロータ巻線を収容する巻線スロット(図3では符号19)が設けられている。この場合、ロータエレメント11,12,13,14へのロータ10の分割は、溶接シーム17がロータボディの領域にしか存在しないように行われている。これによって、シャフトエンド11,14の真直度および同心度に課せられる部分的に高い要求が容易に満たされる。
ディスク12,13の軸方向の長さは、それぞれ異なる長さに選択されている。たとえば、肉薄のディスクがロータボディの端部に配置されてよい。ロータ10には、軸方向の中心の孔15,16を設けることができる。この孔15,16は、図1の例では、互いに反対の側に位置する面から互いに異なる距離でロータ10内に到達した2つの盲孔として形成されている。この場合、左側の孔15は、左側のシャフトエンド11と、これに続く第1のディスク12とを貫通していて、第2のディスク13内で終わっている。右側の孔16は、右側のシャフトエンド14内で終わっており、これによって、両孔15,16の間に貫通路は存在していない。両孔は、特に重量最適化(重量削減)のために働く。これに伴う、磁気的に有効な体積の損失は、ロータ10が、特に4極式に設計されている場合には僅かである。
図2の実施例では、ロータ10’が同じく2つのシャフトエンド11,14と、その間に配置された、互いに溶接された2つのディスク12,13とから成っている。しかし、図1のロータ10と異なり、ここでは、左側のシャフトエンド11が中実に形成されている。これによって、このシャフトエンド11が、たとえば一層高いトルクのために適している。右側の孔16は、図1に対して不変のままである。これに対して、左側の孔15’は、軸方向の長さにおいて両ディスク12,13に減少させられている。ここでは、点線によって左側のシャフトエンド11に、このシャフトエンドに設けられた付加的な溶接シームSが示してある。これによって、シャフトエンドに用いられる鍛造品における外径の大きな激変が回避される。
図3の実施例では、ロータ10’’のロータボディに巻線スロット19が記入してある。この巻線スロット19はロータ巻線を収容し、スロット深さTを有している。巻線スロット19の領域に位置する溶接シーム17は、有利には、巻線スロット19のスロット深さTよりも大きい溶接シーム深さ(図7では符号T)を有している。特に溶接シーム17の溶接シーム深さはロータ10,10’,10’’の全周にわたってコンスタントであり得る。図3の例では、一方の面からロータ10’’内に到達した中心の孔16’が、(ガス状の)冷媒のための供給手段として使用される。冷媒は、シャフトエンドの領域に設けられた第1の冷却ガス通路20,21を通って孔16’内に供給され、ロータボディにわたって分配されて配置された第2の冷却ガス通路22を通ってロータ巻線もしくはロータボディを冷却する(図3に示した流れ矢印も参照)。
図4および図5には、ロータボディ(図4参照)およびシャフトエンド(図5参照)に対する種々異なる構成が示してある。図4aのロータボディ23は中実に形成されている。図4bのロータボディ24は、一貫して延びる中心孔25を有している。ロータボディ26は、一方(右側)の面から出発した盲孔27を有している。最後に、図4dのロータボディ28は、鏡像的に反対の側に位置する2つの盲孔29,30を有している。所属のディスクは内部に相応に(中心の)中空室を有している。この中空室は、材料コントロール、励磁電流の供給ならびに冷媒の供給および/または導出のために使用することができる。このことは、特に十字形の磁界パターンを備えた4極式のタービン発電機ロータに対して有利である。個々の複数の中空室を備えたディスクを使用することも可能である。種々異なる中空室は一貫していてもよいし、中断(一方のまたは両方の面からの盲孔)されていてもよい(これに対して図1〜図3も参照)。
ディスクおよびシャフトエンドは、外側輪郭または巻線スロットに通じる半径方向の孔(たとえば図3に示した冷却ガス通路20,21,22参照)を有していてよい(材料コントロール、冷媒の供給および/または導出のため)。シャフトエンドは、たとえば冷却ガスに対してシールするかまたは部分的に高い機械的な強度を達成するために、中実(シャフトエンド31参照)に形成することができるかまたは盲孔(シャフトエンド34;盲孔35,36参照)を備えて形成することができるかまたは一貫して延びる中心孔33(シャフトエンド32参照)を備えて形成することができる(図5a〜図5c参照)。ディスクの中空室のサイズは、場合により、ロータの機械的な特性を改善するために異なっていてよい。同じく、ロータボディの領域における溶接シームの高さも異なっていてよい。
ロータボディの、可能な限り大きな磁気的に有効な体積を得るために、本発明によるロータでは、中空室が溶接シーム17の下方に可能な限り小さなギャップ37を有している(図6参照)。このことは、平行なディスク面によって達成される。このディスク面の外側の縁部には、全周にわたって延びる中空室38の形の、特別に形成された空洞が設けられている。溶接したいロータエレメント11,12を互いにセンタリングすることができるようにし、ギャップ37を溶接時に開放しておくために、図9によれば、両ロータエレメント11,12において中空室38と、これに続く溶接ギャップとの間に、同一の半径を備えた、全周にわたって延びるカラーウェブ43,44が設けられている。このカラーウェブ43,44は、段付けられた縁輪郭45でセンタリングして内外で係合し、のちの溶接時に溶融され、これによって、図7もしくは図8に示した最終状態が生ぜしめられる。
ギャップ37と中空室38とは以下のように提供されている。両ディスク11,12の間のギャップ幅(図7および図8では符号B)(平行なギャップ)は、磁気的に有効な最大の体積を達成するために可能な限り僅かである。軸方向での通常のギャップ寸法は溶接シーム幅である。このことは、溶接シームの完全な検査を確保する。
ギャップ37の外側の縁部に設けられた空洞38は、半径方向の延在長さ(高さH)および軸方向の長さにおいて、同じく磁気的に有効な最大の体積を達成するために可能な限り小さい。空洞38は幾何学的に、可能な限り僅かな機械的な応力が生ぜしめられるように形成される。空洞38は、一般的に、溶接シーム17のルートシーム39の半径方向の高さに対する高さhの(両側の)アンダカット40と、平行ギャップ37への移行輪郭41;42とから成っている。この移行輪郭は円弧状(図8では符号42;曲率半径R)に形成されていてもよいし、線形(図7では符号41;角度αを成す直線)に形成されていてもよいし、両方の組合せによって形成されていてもよい。
ロータ10,10’,10’’の製造は、ディスク12,13が、まず、360゜にわたって、スロット深さTよりも大きいコンスタントな深さで溶接されるように行われる。次いで、場合により、応力除去焼鈍し、ロータ全体の外径旋削および巻線スロット19のフライス削りが行われる。
この製造順序は以下の利点:すなわち、
−巻線スロットのフライス削り時に切削屑が両ディスクの間のギャップ内に侵入しない;
−(巻線スロットの間の)ロータ歯の支持高さにわたる溶接結合部の良好なコントロール;
−(予め検査された)標準化されたディスクのストック維持によって、短い調達時間が可能となる;
−注文に応じて製造されるモノブロック鍛造品のスクラップのリスクが排除される(大きなモノブロックのスクラップの場合には、1年よりも多くの納入遅れが生ぜしめられ得る);
−平面幾何学的な形状に関するロータスロットの高い精度、ボディ全長にわたる真直度および平行性:
を有している。
溶接シームが専らロータボディに位置しており、両端部から盲孔がロータに加工されている、本発明の1つの実施例によるロータの縦断面図である。 一方のシャフトエンドが中実に形成されていて、このシャフトエンドに設けられた溶接シーム(S)によって直径激変なしに形成することができる、本発明の別の実施例によるロータの縦断面図である。 巻線スロットを認めることができ、中心の盲孔が冷媒の供給のために使用される、本発明の別の実施例によるロータの縦断面図である。 本発明によるロータのロータボディに対する種々異なる実施例のそれぞれ異なる部分図(図4a〜図4b)である。 本発明によるロータのシャフトエンドに対する種々異なる実施例のそれぞれ異なる部分図(図5a〜図5c)である。 本発明によるロータのディスクとシャフトエンドとの間の溶接結合部の設計に対する1つの実施例を示す図である。 溶接結合部に設けられた、線形の移行輪郭を備えた、ギャップを取り囲んで延びる中空室の1つの可能な構成の拡大詳細図である。 溶接結合部に設けられた、円弧状の移行輪郭を備えた、ギャップを取り囲んで延びる中空室の別の可能な構成の拡大詳細図である。 センタリングおよびギャップの開放維持のために、それぞれ全周にわたって延びるカラーウェブを装備した、溶接前に互いに隣接した2つのロータエレメントの拡大詳細図である。
符号の説明
10,10’,10’’ ロータ、 11 シャフトエンド、 12 ディスク、 13 ディスク、 14 シャフトエンド、 15,15’ 孔、 16,16’ 孔、 17 溶接シーム、 18 ロータ軸線、 19 巻線スロット、 20 冷却ガス通路、 21 冷却ガス通路、 22 冷却ガス通路、 23 ロータボディ、 24 ロータボディ、 25 中心孔、 26 ロータボディ、 27 盲孔、 28 ロータボディ、 29 盲孔、 30 盲孔、 31 シャフトエンド、 32 シャフトエンド、 33 中心孔、 34 シャフトエンド、 35 盲孔、 36 盲孔、 37 ギャップ、 38 中空室、 39 ルートシーム、 40 アンダカット、 41 移行輪郭、 42 移行輪郭、 43 カラーウェブ、 44 カラーウェブ、 45 縁輪郭、 B ギャップ幅、 b 溶接シーム幅、 H 高さ、 h 高さ、 R 曲率半径、 S 溶接シーム、 T スロット深さ、 T 溶接シーム深さ、 α 角度

Claims (19)

  1. 発電機、特にタービン発電機に用いられるロータ(10,10’,10’’)であって、当該ロータ(10,10’,10’’)が、ロータ軸線(18)に連続して配置された複数の別個のロータエレメント(11,12,13,14)から形成されており、該ロータエレメント(11,12,13,14)が、接続面で互いに突き合わされていて、円環状の溶接シーム(17)を形成して互いに溶接されており、該溶接シーム(17)が、設定されたギャップ幅(B)を備えた、中心の円形のそれぞれ1つのギャップ(37)を同心的に取り囲んでいる形式のものにおいて、ギャップ(37)の外周で該ギャップが、溶接シーム(17)に隣接した拡幅された中空室(38)に移行していることを特徴とする、発電機に用いられるロータ。
  2. 中空室(38)の容積が可能な限り僅かであると共に中空室(38)の領域に可能な限り僅かな機械的な応力が生ぜしめられるように、中空室(38)が幾何学的に形成されている、請求項1記載のロータ。
  3. 溶接シーム(17)が、内側の縁部に、全周にわたって延びるそれぞれ1つのルートシーム(39)を有しており、中空室(38)が、ルートシーム(39)の半径方向の高さで両側にアンダカット(40)を有している、請求項1または2記載のロータ。
  4. 中空室(38)が、アンダカット(40)とギャップ(37)との間で移行輪郭(41,42)によって仕切られるようになっている、請求項3記載のロータ。
  5. 移行輪郭(41)が線形であり、設定された角度(α)を成してギャップ(37)に接続している、請求項4記載のロータ。
  6. 移行輪郭(42)が、設定された曲率半径(R)を備えて円弧状に形成されている、請求項4記載のロータ。
  7. 当該ロータ(10,10’,10’’)に全周にわたって分配されて、軸方向に延びる、巻線を収容するための複数の巻線スロット(19)が設けられており、該巻線スロット(19)が、スロット深さ(T)を備えて半径方向に方向付けられており、スロット(19)の領域に位置する溶接シーム(17)が、巻線スロット(19)のスロット深さ(T)よりも大きい溶接シーム深さ(T)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のロータ。
  8. ロータエレメント(11,12,13,14)が、ほぼ円筒状に形成されており、溶接シーム(17)の溶接シーム深さ(T)が、当該ロータ(10,10’,10’’)の全周にわたってコンスタントである、請求項1記載のロータ。
  9. 接続面が、ロータ軸線(18)に対して垂直に方向付けられていて、ほぼ平らに形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のロータ。
  10. 当該ロータ(10,10’,10’’)が、第1の外径を備えた1つのロータボディ(23,24,26,28)と、第2の外径および第3の外径を備えた2つのシャフトエンド(11,14)とを有しており、第1の外径が、第2の外径および第3の外径よりも大きく寸法設定されており、溶接シーム(17,S)が、ボディ(23,24,26,28)の領域と、シャフトエンド(11,14)の領域とに設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載のロータ。
  11. 当該ロータ(10,10’,10’’)が、第1の外径を備えた1つのロータボディ(23,24,26,28)と、第2の外径および第3の外径を備えた2つのシャフトエンド(11,14)とを有しており、第1の外径が、第2の外径および第3の外径よりも大きく寸法設定されており、溶接シーム(17)が、ロータボディ(23,24,26,28)の領域にのみ設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載のロータ。
  12. 当該ロータ(10,10’,10’’)が、ロータエレメントとして2つのシャフトエンド(11,14)のほかに、互いに溶接された複数のディスク(12,13)を有しており、該ディスク(12,13)の軸方向の長さがそれぞれ異なっている、請求項10または11記載のロータ。
  13. シャフトエンド(11,14)および/またはディスク(12,13)が、中心の1つまたはそれ以上の中空室(15,15’,16,16’,25,27,29,30,33,35,36)を有している、請求項12記載のロータ。
  14. 中空室(15,15’,16,16’,25,27,29,30,33,35,36)が、一貫して延びる孔または盲孔として形成されている、請求項13記載のロータ。
  15. 材料コントロールおよび/または冷媒の供給および導出のために、半径方向の通路(20,21,22)が、中空室(15,15’,16,16’,25,27,29,30,33,35,36)から当該ロータ(10,10’,10’’)の外側輪郭に通じているかまたはロータボディに配置された巻線スロット(19)に通じている、請求項13または14記載のロータ。
  16. ギャップ幅(B)が、溶接シーム(17)の溶接シーム幅(b)にほぼ等しく寸法設定されている、請求項1から15までのいずれか1項記載のロータ。
  17. 請求項1から16までのいずれか1項記載のロータを製作するための方法において、まず、第1のステップで、ロータエレメント(11,12,13,14)を360゜の全周にわたって、のちのスロット深さ(T)よりも大きいコンスタントな深さ(T)で溶接し、第2のステップで、ロータ(10,10’,10’’)全体を外径旋削し、第3のステップで、巻線スロット(19)をロータボディ(23,24,26,28)にフライス削りすることを特徴とする、ロータを製作するための方法。
  18. ロータに外径旋削前に応力除去焼鈍しを行う、請求項17記載の方法。
  19. 溶接したい面で、中空室(38)と、これに続く溶接ギャップとの間に、センタリングおよびギャップ(37)の幅の調整のために、全周にわたって延びるカラーウェブ(43,44)を有するロータエレメント(11,12)を使用し、カラーウェブ(43,44)を、段付けられた縁輪郭(45)でセンタリングして内外で係合させ、のちの溶接時に溶融する、請求項17または18記載の方法。
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