JP2008218783A - 圧電素子構造、モニタリング装置、及び、圧電素子構造の製造方法 - Google Patents

圧電素子構造、モニタリング装置、及び、圧電素子構造の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピエゾ素子の引張方向の強度を高めることのできる圧電素子構造を提供する。
【解決手段】ピエゾ素子2に電極3,4が接合されている。圧縮変形させた状態にあるピエゾ素子2を電極3,4が拘束していることによって、当該ピエゾ素子2に圧縮残留応力を作用させている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、圧電素子を備えている圧電素子構造、モニタリング装置、及び、圧電素子構造の製造方法に関する。
例えば圧力容器や航空機の機体等の構造物において、この構造物を構成している材料内部、継目部等に生じている欠陥が構造物全体の破壊の基点となり得ることが知られており、このような欠陥を迅速かつ正確に検出する技術の開発が望まれている。従来、欠陥の検出のために、X線や超音波を利用した非破壊検査技術が用いられてきたが、近年、リアルタイムに構造物の健全性を評価できるSHM(Structural Health Monitoring)技術が提案されている。このSHM技術では、光ファイバーを用いたもの、圧電素子を用いたものがある(例えば非特許文献1参照)。このうち圧電素子を用いたものは、少数の素子によって広範囲をモニタリングできるという利点がある。
Takayuki kusaka, Peter X.Qing and Fu-Kuo Chang, "Effect Of Mechanical Loading On The Performance Of Piezo Effect Transducer For The Health Monitoring Of Composite Pressure Vessels" Elevated Temperature Design And Analysis , Nonlinear analysis, And Plastic Components, 472(2004), 119-124.
前記のようなSHM技術に使用される代表的な圧電素子としてピエゾ素子がある。ピエゾ素子を構造物の各部に埋め込んでセンサとして使用した場合に、ピエゾ素子は脆性な材料であるために、構造物に生じた外力(負荷)の影響によって素子そのものが破損してしまうことが考えられる。一般的に、ピエゾ素子(PZT素子)は、圧縮方向の破断ひずみが0.3%程度であるのに対して、引張方向の破断ひずみは0.1%であり、特に引張方向に大きな外力が作用すると破損しやすい傾向にある。
そこで、この発明は、圧電素子の引張方向の強度を高めることのできる圧電素子構造、この圧電素子構造を備えたモニタリング装置、及び、圧電素子構造の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するためのこの発明の圧電素子構造は、圧縮残留応力が作用している圧電素子を備えているものである。前記のとおり、一般的に、圧電素子の引張方向の破断ひずみは圧縮方向の破断ひずみよりも小さい。そこで、この圧電素子構造によれば、圧電素子に予め圧縮残留応力が作用しているため、圧電素子において、引張方向の破断ひずみに達するまでのひずみ量を大きくすることができる。すなわち、圧電素子の引張方向の強度を高めることができる。
また、前記圧電素子構造は、前記圧電素子と接合されている接合部材を備え、圧縮させた状態にある前記圧電素子を前記接合部材が拘束していることによって、前記圧電素子に圧縮残留応力が作用している構成とすることができる。これによれば、圧電素子と接合されている接合部材が、圧縮させた状態にある圧電素子を拘束していることによって、圧電素子に圧縮残留応力を作用させた状態とすることができる。
また、この圧電素子構造において、前記接合部材は電極材料によって構成されているのが好ましい。これによれば、接合部材は、電極として機能すると共に、圧電素子に圧縮残留応力を付与するための部材としても機能している構造となる。
また、前記接合部材は前記圧電素子を両側から挟んで当該圧電素子と接合されているのが好ましい。これによれば、接合部材は、圧縮させた状態にある圧電素子を両側から拘束することができるので、圧電素子に反り(偏った変形)が生じることを防止できる。
また、前記接合部材の厚さは、前記圧電素子の厚さよりも薄いのが好ましい。これによれば、接合部材の剛性が高くなることによって圧電素子が変形しにくくなり、当該圧電素子の圧電効果(感度)が低くなることを防止できる。
また、前記圧電素子構造において、前記接合部材と前記圧電素子とは熱硬化性の接着剤により接合しているのが好ましい。これによれば、加熱することによって接合部材と圧電素子とを接着剤により接合することができる。このように加熱によって接合部材と圧電素子とを接合することができると共に、その加熱により接合部材を熱膨張させることができる。そして、圧電素子と接合され熱膨張していた接合部材が冷えることにより、当該接合部材が収縮することで圧電素子を圧縮させ、圧電素子に圧縮残留応力を付与することができる。または、前記接合部材と前記圧電素子とは圧接により接合しているのが好ましい。
また、前記圧電素子は、引張方向の破断ひずみに達するまでのひずみ量と、圧縮方向の破断ひずみに達するまでのひずみ量とがほぼ同等となるように圧縮残留応力が作用しているのが好ましい。前記のとおり、圧電素子の引張方向の破断ひずみは圧縮方向の破断ひずみよりも小さいが、圧電素子にこのような圧縮残留応力を作用させることにより、引張方向と圧縮方向の破断ひずみをほぼ同等とすることができる。
また、この発明のモニタリング装置は、複数の前記圧電素子構造と、この圧電素子構造の圧電効果によって出力される信号を処理する処理装置とを備えたものである。この構成によれば、複数の圧電素子構造を検査対象物(構造物)に取り付け、処理装置はこれら圧電素子からの出力を処理することで、圧電素子構造をセンサとして機能させ、検査対象物の解析を行うことができる。
また、この発明の圧電素子構造の製造方法は、圧電素子と接合部材とを備えた圧電素子構造を製造する製造方法であって、前記接合部材を膨張させ、膨張した状態の当該接合部材と前記圧電素子とを一体とし、当該接合部材を収縮させる。この製造方法によれば、膨張した接合部材を収縮させると、この接合部材と一体となっている圧電素子に圧縮残留応力が作用した状態となる。
また、この製造方法において、加熱することによって前記接合部材を膨張させ、この加熱によって前記圧電素子と前記接合部材とを一体とするのが好ましい。これによれば、加熱によって、接合部材を膨張させることができると共に、圧電素子と接合部材とを熱によって接合することができる。つまり、加熱によって、接合部材の膨張、及び、接合部材と圧電素子との一体化を複合的に行うことができる。
また、この場合において、加熱することによって、前記接合部材を膨張させると共に、熱硬化性の接着剤により当該接合部材と前記圧電素子とを接合するのが好ましい。これによれば、加熱によって接合部材を膨張させると、熱硬化性の接着剤によってこの接合部材と圧電素子とが接着され一体となる。そして、圧電素子と一体となった接合部材が冷えることによって接合部材は収縮し圧電素子を圧縮させ、圧電素子に圧縮残留応力を付与することができる。
または、前記製造方法において、前記圧電素子と前記接合部材とを圧接により一体とするのが好ましい。
この発明によれば、圧電素子に予め圧縮残留応力が作用しているため、圧電素子において、引張方向の破断ひずみに達するまでのひずみ量を大きくすることができ、圧電素子の引張方向の強度を高めることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明のモニタリング装置の実施の一形態を示している概略構成図である。この発明のモニタリング装置は、タンク等の圧力容器や航空機の機体等の構造物(例えばCFRP材)における応力分布等を検出することができるものであり、構造物の健全性をリアルタイムに評価できるSHM技術に適用することができる。図1は構造物Sとして圧力容器の健全性を評価する場合を示している。このモニタリング装置Mは、複数の圧電素子構造1と、この圧電素子構造1の圧電効果によって出力される信号を処理する処理装置10とを備えている。
図2は、図1のモニタリング装置Mが備えている圧電素子構造1及び処理装置10を示している概略構成図である。図1と図2とにおいて、各圧電素子構造1は、構造物Sを構成している部材に取り付けられており、圧電素子(以下、ピエゾ素子という)2と、このピエゾ素子2と接合している一対の接合部材とを備えている。ピエゾ素子2としてはジルコン酸チタン酸鉛セラミック(PZT)がある。接合部材は、電極材料によって構成されており、ピエゾ素子2を両側から挟んで当該ピエゾ素子2と接合されている電極3,4である。つまり、この圧電素子構造1は、一対の電極3,4とこれらに挟まれたピエゾ素子2とを有しており、構造物Sに生じている力(変位)を圧電効果により電圧に変換することによって、その力(変位)を電気的に検出するセンサを構成している。
電極3,4のそれぞれにはリード線3a,4aが繋がっており、これらリード線3a,4aは処理装置10と繋がっている。処理装置10は、各圧電素子構造1からの信号を受信し処理する計算機(コンピュータ)11と、この計算機11によって処理した情報を表示する表示部(モニタ)12とを有している。計算機11は、アンプ11a、電圧測定部11b及び解析部11cを有している。計算機11(解析部11c)は、複数の圧電素子構造1からの信号により当該圧電素子構造1がそれぞれ取り付けられている部分に作用している力(変位)を求め、当該電素子構造1がそれぞれ取り付けられている部分の位置情報に基づいて、構造物Sに作用している応力又はひずみを、表示部12を利用してリアルタイムでモニタリングすることができる。なお、前記位置情報は、予め計算機11に入力され記憶されている。
図2は、構造物Sに貼り付けた圧電素子構造1について側方から見た概略の構成図であり、図2の圧電素子構造1において、ピエゾ素子2と一対の電極3,4とリード線3a,4aの一部とは支持体5によって支持されている。支持体5は例えばポリイミド等の樹脂からなり圧電素子構造1の基板及び保護材としても機能している。この支持体5が構造物Sの各部分に貼り付けられている。電極3,4の材料は従来利用されている金属製とすることができ、例えば、銅、白金等である。なお、支持体5を省略し、ピエゾ素子2と一対の電極3,4とを構造物Sの各部材に直接貼り付けてもよい。
このピエゾ素子2には圧縮残留応力(圧縮残留ひずみ)が作用している。この圧縮残留応力は、圧縮(圧縮変形)させた状態にあるピエゾ素子2を、当該ピエゾ素子2と接合している電極3,4が拘束していることによって、当該ピエゾ素子2に付与(導入)されている。この圧電素子構造1を、構造物Sの各部分に作用している引張又は圧縮の応力(ひずみ)を検出するセンサとして利用するために、ピエゾ素子2に作用している圧縮残留応力の方向(圧縮方向)は、構造物Sの各部分に作用している応力(ひずみ)を検出するために意図する検出方向(センシング方向)と一致している。
この圧電素子構造1の製造方法について図3により説明する。
この製造方法は、ピエゾ素子2の両面に電極3,4を接合して圧電素子構造1を製造する方法である。シート状(薄い板状)の電極3,4がピエゾ素子2を両側から挟んだ状態で(図3(a))、これら電極3,4をその面方向に膨張させ(図3(b))、膨張した状態の当該電極3,4とピエゾ素子2とを一体とし(図3(c))、電極3,4を収縮させる(圧縮させる)ことによって行われる(図3(d))。このように、面方向に膨張した電極3,4とピエゾ素子2とを一体としてから、その電極3,4を収縮させることで、この電極3,4と一体となっているピエゾ素子2を圧縮し、ピエゾ素子2に圧縮残留応力が作用した状態とする。この圧縮残留応力が生じている方向は電極3,4の面方向(面方向に平行な方向)となる。また、図3(d)の状態で、ピエゾ素子2と電極3,4との輪郭形状は略同じ大きさである円形となっている。
この製造方法をさらに説明すると、電極3,4の膨張は当該電極3,4を加熱することによって行われ、さらに、この加熱によってピエゾ素子2と電極3,4とを一体としている。加熱によってピエゾ素子2と電極3,4とを一体とする具体的な方法は、図3(a)の状態とする際に、ピエゾ素子2と電極3,4とのそれぞれの間に熱硬化性の接着剤6を介在させている。なお、加熱前の状態ではピエゾ素子2と電極3,4とは接着剤6により接合されていない。そして、これを加熱することによって、電極3,4をその面方向に膨張させる(図3(b))と共に、その加熱によって熱硬化性の接着剤6により電極3,4とピエゾ素子2とを一体とする(接合する)。そして電極3,4を冷却することにより収縮させる(圧縮させる)。なお、図3(b)において、説明を容易とするために、電極3,4とピエゾ素子2とを離して記載している。
この製造方法では、シート状の電極3,4(金属板)がピエゾ素子2を両側から挟んでいる状態とし、これら電極3,4を加熱するとピエゾ素子2も同時に加熱される。なお、金属製である電極3,4の線膨張係数は、ピエゾ素子2の線膨張係数よりも大きいことから、前記加熱によって電極3,4はピエゾ素子2よりも膨張度が大きくなっている(図3(b)参照)。ピエゾ素子2よりも大きく膨張した電極3,4が、当該ピエゾ素子2と熱硬化性の接着剤6によって一体とされているため、電極3,4とピエゾ素子2とは冷えると収縮するが、電極3,4がピエゾ素子2を圧縮させ、ピエゾ素子2を圧縮させた状態で電極3,4が拘束し、ピエゾ素子2に圧縮残留応力を付与することができる。
なお、前記製造方法では、ピエゾ素子2と電極3,4との接合を熱硬化性の接着剤6を利用したが、この他に、ピエゾ素子2と電極3,4とを圧接により接合するのが好ましい。具体的には、圧力、熱を利用して固体同士、つまりピエゾ素子2と電極3,4とを溶融させることなく接合する方法としての固相接合がある。
この製造方法では、シート状の電極3,4(金属板)がピエゾ素子2を両側から挟んでいる状態とし、これら電極3,4とピエゾ素子2とを、その厚さ方向に加圧、加熱し圧接する。金属製である電極3,4の線膨張係数は、ピエゾ素子2の線膨張係数よりも大きいことから、加熱によって電極3,4はピエゾ素子2よりも膨張度が大きくなる。ピエゾ素子2よりも大きく膨張した電極3,4と当該ピエゾ素子2とは、圧接により一体とされるため、電極3,4とピエゾ素子2とは冷えると収縮するが、電極3,4がピエゾ素子2を圧縮させ、ピエゾ素子2を圧縮させた状態で電極3,4が拘束し、ピエゾ素子2に圧縮残留応力を付与することができる。
また、この各製造方法によって製造される圧電素子構造1において、電極3,4のそれぞれの厚さt2,t3は、ピエゾ素子2の厚さt1よりも薄く設定されている(t2<t1、t3<t1)。特に、対をなす電極3,4の合計厚さ(t2+t3)が、ピエゾ素子2の厚さt1よりも薄く設定されているのが好ましい(t2+t3<t1)。また、図示している圧電素子構造1では、一方の電極3と他方の電極4とは同じ厚さであり、この場合、電極3,4のそれぞれの厚さt2,t3は、ピエゾ素子2の厚さt1の半分よりも薄く設定されている(t2<t1/2、t3<t1/2)。具体的には、電極3,4の厚さt2,t3を0.05mmとし、ピエゾ素子2の厚さt1を0.2mmとすることができる。このように電極3,4をピエゾ素子2よりも薄くすることにより、電極3,4自身の剛性が高くなることを防ぎ、ピエゾ素子2が変形しにくくなって当該ピエゾ素子2の圧電効果(感度)が低くなることを防止できる。なお、電極3,4のそれぞれの厚さt2,t3の下限値は、取り扱いを考慮すると0.03mm以上とするのが好ましい。
前記製造方法において、熱硬化性の接着剤6を使用する場合は、その接着剤6を従来使用されているものとすることができ、例えばエポキシ系接着剤がある。また、加熱して接合するための加熱温度は120℃〜150℃とすることができる。
以上の製造方法は、薄い金属板からなる電極3,4は、ピエゾ素子2よりも熱膨張特性が大きく、電極3,4(これと共にピエゾ素子2)に熱的処理を施し、熱膨張特性の差違により電極3,4がピエゾ素子2に対して圧縮残留応力を付与している方法であると言える。
以上の製造方法によれば、ピエゾ素子2及び電極3,4を加熱することにより、ピエゾ素子2に圧縮残留応力を付与するための電極3,4の膨張、及び、電極3,4とピエゾ素子2との一体化を複合的に行うことができる。そして、ピエゾ素子2と一体となった電極3,4が冷えることによって電極3,4は収縮し、電極3,4はピエゾ素子2を圧縮し、ピエゾ素子2に圧縮残留応力を簡単に付与することができる。
また、この圧電素子構造1において、ピエゾ素子2に残留圧縮応力を付与するための電極3,4を、当該ピエゾ素子2の両面に設け、これら電極3,4を同時に加熱して膨張させ、同時に冷却することにより、ピエゾ素子2を圧縮させ、この圧縮させた状態にあるピエゾ素子2を電極3,4が両側から拘束することができる。これにより、ピエゾ素子2のうちの一方の電極3側の部分と他方の電極4側の部分とは、同じ大きさの変形が生じ、ピエゾ素子2に反りが生じることを防止できる。
また、一般的に、ピエゾ素子2の引張方向の破断ひずみは+0.1%程度であり圧縮方向の破断ひずみは−0.3%程度である。そこで、この製造方法によって製造された圧電素子構造1において、引張方向のひずみを+(プラス)とし圧縮方向のひずみを−(マイナス)とすると、ピエゾ素子2の圧縮残留ひずみを、−0.05%〜−0.2%と設定するのが好ましい。
特に、ピエゾ素子2に、引張方向の破断ひずみに達するまでのひずみ量と、圧縮方向の破断ひずみに達するまでのひずみ量とがほぼ同等となるように圧縮残留応力(圧縮残留ひずみ)が作用している状態とするのが好ましい。具体的に説明すると、圧縮残留ひずみを−0.1%とする圧縮残留応力が、ピエゾ素子2に作用している状態とするのが好ましい。これは、前記のとおり、ピエゾ素子2の引張方向の破断ひずみは圧縮方向の破断ひずみよりも小さいため、引張方向の圧電効果(感度のレンジ)は圧縮方向に比べて小さくなるが、前記製造方法によって、圧縮残留ひずみを−0.1%とする圧縮残留応力が、ピエゾ素子2に作用している状態とすることにより、引張方向の圧電効果(感度のレンジ)を、圧縮方向の圧電効果と同等とすることができる。
また、前記のとおり、ピエゾ素子2の引張方向の破断ひずみは圧縮方向の破断ひずみよりも小さいため、引張方向に大きな負荷が作用することによってピエゾ素子2は破損しやすい傾向にあり、また、このピエゾ素子2をセンサとして使用した場合に、引張方向の負荷に対する測定レンジが狭くなり感度が低くなる。しかし、この発明の圧電素子構造1によれば、ピエゾ素子2に圧縮残留応力を作用させた状態としていることにより、引張方向の破断ひずみに達するまでのひずみ量を大きくすることができる。このため、ピエゾ素子2の引張方向の強度を高めることができ、さらに、引張方向の負荷に対する測定レンジが広くなり感度が向上する。つまり、引張方向の負荷に対する感度特性の低下の臨界ひずみを向上させることができる。そして、ピエゾ素子2に圧縮残留応力を付与するための部材(接合部材)を電極3,4としているため、部材数を増やさないで済む。つまり、電極3,4はピエゾ素子2に残留応力を付与する付与部材を兼ねている。
図4は、この発明の圧電素子構造(実施例)におけるひずみと感度との関係を示しているグラフである。この実施例は、図2に示している構成のものあって、この発明の製造方法によって、圧縮残留応力が作用しているピエゾ素子2を備えている。実施例の圧電素子構造1(図2参照)は、直径が10mmであり厚さt1が0.2mmである円板形状のピエゾ素子2の両面に、直径が10mmであり厚さt2,t3が0.05mmである円板形状の銅板を、エポキシ系の熱硬化性接着剤6を利用し、135℃で加熱して接合したものである。このようにして得た圧電素子構造1を試験片(CFRP)に貼り付け、これに万能材料試験器を使用して外力(引張力)を負荷し、試験片の平均ひずみにして0.05%のインターバルで負荷と除荷とを繰り返し、負荷時と除荷時との感度特性を測定した結果が図4である。図4の横軸は試験片の平均ひずみであり、縦軸は、実施例の圧電素子構造1の出力電圧ηであり、無負荷時の出力電圧η0で無次元化(規格化)している。また、図4の○は負荷中の測定結果であり、●は除荷後の測定結果である。
図5は、従来の圧電素子構造(従来例)におけるひずみと感度との関係を示しているグラフである。この従来例は、前記実施例と同じ形状のピエゾ素子と電極を有しているが、電極を形成するために金属ペーストを利用したものである。したがって、ピエゾ素子には残留圧縮応力は作用していない。この従来例の圧電素子構造を実施例と同じ試験片に貼り付け、同じ試験を行った結果が図5である。
図5において、従来例では、ひずみ(ε)=0.05%までは感度(η/η0)が略一定であるが、この値を超えると感度は大幅に低下している。つまり、従来例の感度低下の臨界点はε=0.05%となっている。
これに対して、図4の実施例では、感度低下の臨界点はε=0.2%であり、従来例に比べて、引張方向の強度特性が大幅に向上していることが確認できる。つまり、引張方向の負荷に対する感度特性の低下の臨界ひずみが向上している。なお、ε=0.2%を越えると感度は低下しているが、一般的な鋼の永久ひずみが0.2%であることから、この圧電素子構造1を前記SHM技術に適用するためのセンサとする場合、ε=0.2%を越える部分については問題とならない。以上より、この発明によれば、ピエゾ素子2の強度特性と感度特性との両立が可能となる。
そして、この発明の圧電素子構造1を備えているモニタリング装置M(図1)によれば、複数の圧電素子構造1を検査対象物である構造物Sに取り付け、処理装置10はこれら圧電素子1からの出力を処理することで、圧電素子構造1をセンサとして機能させ、構造物Sの解析を行うことができる。そして、構造物Sにおける圧電素子構造1の取り付け位置は、継目部(材質が金属である場合の溶接部)乃至その近傍部、断面の形状が大きく変化する断面変化部とするのが好ましい。これは、継目部に欠陥が生じやすく、継目部に生じた欠陥が構造物全体の破壊の基点になることが知られているためである。また、断面変化部では大きな応力が生じやすいためである。圧電素子構造1の数を少なくしても、このように複数の圧電素子構造1を配置して構造物Sに貼り付けることにより、正確かつ迅速な欠陥の検出が可能となる。
また、本発明は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。前記実施形態では、圧電素子構造1を、変位から電圧を得るセンサとして説明したが、電圧から変位を得るアクチュエータとしても使用できる。この場合、ピエゾ素子2に作用している圧縮残留応力の方向(圧縮方向)は、アクチュエータとして動作させる方向と一致している。
また、この圧電素子構造1を備えたモニタリング装置Mは、金属製の構造物S以外に、FRP(CFRP)等の複合材料からなる構造物Sに対しても適用することができる。
この発明のモニタリング装置の実施の一形態を示している概略構成図である。 モニタリング装置が備えている圧電素子構造及び処理装置を示している概略構成図である。 圧電素子構造の製造方法を説明している説明図である。 この発明の圧電素子構造におけるひずみと感度との関係を示しているグラフである。 従来の圧電素子構造におけるひずみと感度との関係を示しているグラフである。
符号の説明
1 圧電素子構造
2 ピエゾ素子(圧電素子)
3 電極(接合部材)
4 電極(接合部材)
6 接着剤
10 処理装置
S 構造物
M モニタリング装置

Claims (13)

  1. 圧縮残留応力が作用している圧電素子を備えていることを特徴とする圧電素子構造。
  2. 前記圧電素子と接合されている接合部材を備え、圧縮させた状態にある前記圧電素子を前記接合部材が拘束していることによって、前記圧電素子に圧縮残留応力が作用している請求項1に記載の圧電素子構造。
  3. 前記接合部材は電極材料によって構成されている請求項1又は2に記載の圧電素子構造。
  4. 前記接合部材は前記圧電素子を両側から挟んで当該圧電素子と接合されている請求項2又は3に記載の圧電素子構造。
  5. 前記接合部材の厚さは、前記圧電素子の厚さよりも薄い請求項2〜4のいずれか一項に記載の圧電素子構造。
  6. 前記接合部材と前記圧電素子とは熱硬化性の接着剤により接合している請求項2〜5のいずれか一項に記載の圧電素子構造。
  7. 前記接合部材と前記圧電素子とは圧接により接合している請求項2〜5のいずれか一項に記載の圧電素子構造。
  8. 前記圧電素子は、引張方向の破断ひずみに達するまでのひずみ量と、圧縮方向の破断ひずみに達するまでのひずみ量とがほぼ同等となるように圧縮残留応力が作用している請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧電素子構造。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の複数の圧電素子構造と、この圧電素子構造の圧電効果によって出力される信号を処理する処理装置と、を備えたことを特徴とするモニタリング装置。
  10. 圧電素子と接合部材とを備えた圧電素子構造を製造する製造方法であって、
    前記接合部材を膨張させ、膨張した状態の当該接合部材と前記圧電素子とを一体とし、当該接合部材を収縮させることを特徴とする圧電素子構造の製造方法。
  11. 加熱することによって前記接合部材を膨張させ、この加熱によって前記圧電素子と前記接合部材とを一体とする請求項10に記載の圧電素子構造の製造方法。
  12. 加熱することによって、前記接合部材を膨張させると共に、熱硬化性の接着剤により当該接合部材と前記圧電素子とを接合する請求項11に記載の圧電素子構造の製造方法。
  13. 前記圧電素子と前記接合部材とを圧接により一体とする請求項10に記載の圧電素子構造の製造方法。
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