特許文献1に記載の3次元形状測定装置は、レーザー光を測定対象物に照射している各瞬間において、レーザー光が測定対象物のほぼ一点を照射している場合に好適に適用される。例えば、ガルバノミラーやポリゴンミラーを使用してレーザー光を走査することによりライン光が作り出される場合には、このライン光を測定対象物に照射する各瞬間では、一本のレーザー光が測定対象物のほぼ一点を照射する状態となっている。この場合にはその照射点での反射光が受光器で反射する反射光を検出することができるために、検出した反射光の光量に基づいて、受光する反射光量を一定とするために必要なレーザー光の強度を一義的に決定することができる。これに対し、シリンドリカルレンズなどを用いてライン光を作り出す3次元形状測定装置においては、作り出したライン光を測定対象物に照射している各瞬間において、ライン光は測定対象物におけるライン状の照射部位の全てを照射する状態となっている。この場合、照射部位にて発生する反射光を検出する受光器から反射する反射光も断面がライン状の光となるため、どの部位における反射光に基づいてレーザー強度を調整してよいかわからず、レーザー強度を一義的に決定することができない。したがって、特許文献1に記載の方法は、シリンドリカルレンズなどによってレーザー光の照射断面形状自体を変形させてライン光にする場合には適用が困難であるという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、シリンドリカルレンズなどを用いてレーザー光の照射断面形状自体を変形させたライン光を測定対象物に照射する3次元形状測定装置においても、測定対象物の反射率の変化による3次元形状データの測定精度の悪化を防止または抑制し得る3次元形状測定装置、および、このような装置において行われる3次元形状測定方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、測定対象物に照射断面形状がライン状のレーザー光であるライン光を照射し、照射部位における反射光を受光して、少なくとも受光した反射光から得られる受光信号に基づき測定対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定装置において、波長と強度が異なる複数のライン光を測定対象物に照射するライン光照射装置と、前記複数のライン光が照射された測定対象物の照射部位における反射光を波長ごとに分離するフィルタと、前記フィルタにより分離された反射光を波長ごとに受光するとともに受光した反射光に応じた受光信号を出力する複数の受光器と、前記複数の受光器が出力する受光信号を取得するとともに、取得した受光信号から、当該受光信号を用いて測定対象物の3次元形状データを作成した場合における当該3次元形状データの測定精度に関する評価データを算出する評価データ算出手段と、前記評価データ算出手段にて算出された評価データに基づいて、前記測定精度が良好になる受光信号を選択する選択手段と、前記選択手段が選択した受光信号に基づいて測定対象物の3次元形状データを作成する形状データ作成手段と、を備える3次元形状測定装置としたことにある。
上記発明に係る3次元形状測定装置によれば、ライン光照射装置により波長および強度が異なる複数のライン光が測定対象物に照射される。ここで、複数のライン光は、それぞれ波長が異なると共に、それぞれ強度も異なる。つまり、各ライン光の波長と強度は一対一に対応する。測定対象物に照射されたライン光の反射光はフィルタにより波長ごとに分離される。この場合、上述のようにライン光の波長と強度は一対一に対応しているので、フィルタにより波長ごとに反射光を分離することにより、反射光は強度ごとに分離される。強度ごとに分離された反射光はそれぞれ複数の受光器により受光される。受光器は受光した反射光に応じた受光信号を出力する。受光器から出力された受光信号はそれぞれの受光信号に対応したライン光の強度ごとに評価データ算出手段に取得され、この評価データ算出手段にてライン光の強度ごとの受光信号から評価データがそれぞれ算出される。この評価データは、当該評価データを算出する基となる受光信号を用いて測定対象物の3次元形状データを作成した場合における3次元形状データの測定精度の良否を評価し得る値である。したがって、例えば測定対象物の反射率に見合わない強度を持つライン光が測定対象物に照射されている場合には、その反射光の受光信号から得られる評価データは好ましい値とはならず、それは受光信号から3次元形状データを作成した場合に精度が悪いことを意味する。一方、測定対象物の反射率に見合った強度を持つライン光が測定対象物に照射されている場合は、その反射光の受光信号から得られる評価データ好ましい値となり、それは受光信号から3次元形状データを作成した場合に精度が良いことを意味する。そして、選択手段によって、評価データに基づいて3次元形状データの測定精度が良好と判断される受光信号が選択され、選択された受光信号に基づき測定対象物の3次元形状データが形状データ作成手段により作成される。
このように、本発明の3次元形状測定装置は、波長と強度が異なる複数のライン光を測定対象物に照射するとともにフィルタにより照射部位における反射光を波長ごと、つまり強度ごとに分け、このように分けられたそれぞれの反射光の受光信号のうち、測定対象物表面の反射率に見合った強度を持つライン光の反射光に対応する受光信号が選択され、選択された受光信号を基に測定対象物の3次元形状データを作成する。よって、測定対象物の反射率が変化している場合でも、その反射率の変化に見合った強度で照射されたライン光の反射光の受光信号を選択し、選択した受光信号を用いて3次元形状データを作成することにより、測定対象物の反射率の変化による3次元形状データの測定精度の悪化を防止あるいは抑制することができる。また、本発明の3次元形状測定装置はライン光の照射部位における反射光を利用して好ましい受光信号を選択するものであり、測定対象物へのライン光の照射部位の各々の部位について受光信号を選択するため、ライン光の生成方式にとらわれずに本発明を適用することができる。よって、レーザー光をシリンドリカルレンズなどによって照射断面を変形させることによりライン光を生成した場合においても本発明を適用することができる。
上記本発明において、波長と強度が異なる複数のライン光は、波長と強度がそれぞれ一対一に対応した複数のライン光であればよく、それぞれの波長の長さやそれぞれの強度の大きさは任意に設定することができる。また、フィルタとしては、波長選択性を有し、波長と強度が異なった複数のライン光の反射光を透過または反射することによって分離する光学フィルタであるとよい。このような光学フィルタとしてダイクロイックミラーが好ましい。
前記ライン光照射装置は、波長と強度が異なる複数のライン光が測定対象物の同一部位に照射されるように、前記複数のライン光の光軸を一致させる光軸一致手段を備えるのがよい。これによれば、光軸一致手段によって波長および強度が異なる複数のライン光の光軸が一致し、このように光軸が一致した状態でライン光が測定対象物に照射される。よって、測定対象物には同一の照射部位に異なる強度を持つ複数のライン光が照射することになり、これら複数のライン光の反射光の中から形状データの測定精度が最も良いと考えられる強度で照射されたライン光の反射光の受光信号が選択される。こうして選択された受光信号を基に3次元形状データを作成することにより、全ての照射部位において精度の良い3次元形状データを作成することができる。
また、前記受光器は複数の受光素子が面状に配置して構成されるとともに、受光した反射光の受光信号をそれぞれの受光素子が出力し、前記評価データ算出手段は、前記受光素子の配置面を所定の領域に区分し、区分された領域ごとに前記受光信号を取得するとともに、区分された領域ごとに前記評価データを算出するものであるとよい。これによれば、受光器における反射光の受光領域を細分して微小な範囲ごとにそれぞれの反射光を評価データを基に評価することにより、最適な受光信号を選択してより測定精度の良い3次元形状データを作成することができる。この場合、例えばエリアセンサのような受光器を用いる場合には、評価データ算出手段はエリアセンサの面状の受光領域を表す2方向のうちの1方向に沿って、受光領域を区分するとよい。一般的にエリアセンサにおける上記2方向は、ライン光照射装置から測定対象物への照射部位までの距離に相当する方向と、この方向に直角方向であってライン光の光軸とライン光照射装置からライン光のそれぞれの照射部位への位置ベクトルとのなす角(照射角)、つまりライン光の各照射部位におけるライン光の光軸(レーザー中心)からの向きに相当する方向により表されるが、上記区分領域は、上記照射角に相当する方向に沿って区分されているとよい。このように区分することにより、ライン状に受光される反射光の長手方向に領域を区分して受光信号を取得することができる。
上記光軸一致手段は、波長と強度が異なる複数のライン光の光軸が厳密に一致していなくてもよく、多少の誤差は許容される。例えば、ライン光の照射部位が順次移動していく場合において、次の照射部位に重複しない程度に複数のライン光の光軸が一致している程度であればよい。この程度に光軸が一致していれば、全ての照射部位において最適な受光信号を選択することができるからである。また、光軸一致手段は、最終的に測定対象物に照射される複数のライン光の光軸が一致していればよく、レーザー光をライン光とする前にそれぞれのレーザー光の光軸を一致させるものでもよいし、あるいは複数のレーザー光をそれぞれライン光にした後に、複数のライン光の光軸を一致させるものでもよい。前者の場合には、レーザー光をライン光とする機構(シリンドリカルレンズなど)を一つにすることができるために、装置のコスト低減を図ることができる。また、上記光軸一致手段は、波長選択性を有し、波長と強度が異なった複数のライン光またはレーザー光を透過または反射することによって光軸を一致させる光学フィルタであるとよい。このような光学フィルタとしてダイクロイックミラーが好ましい。
また、上記評価データは、上述したように受光器が出力する受光信号を用いて測定対象物の3次元形状データを作成した場合に、その3次元形状データの測定精度が良好であるか良好でないかを判断することができるデータであって、受光信号から算出される。この場合、前記評価データは、少なくとも前記区分された領域において前記受光器が受光する反射光の光量に相当するデータを含むのがよい。これによれば、反射光の光量を用いて3次元形状データの測定精度の良否を判断することにより、選択手段は反射光量が小さすぎて、あるいは大きすぎて3次元形状データの測定精度が悪化する受光信号を除外し、最適な反射光量を持つ受光信号を選択することができる。さらに、前記評価データは、少なくとも前記区分された領域において前記受光器が受光する反射光の光量分布に関連するデータを含むのがよい。この場合、前記反射光の光量分布に関連するデータは、前記反射光の光量分布を前記区分された領域における前記受光素子の配置面の所定方向を横軸として波形表示した場合における、極大光量に相当する値を示すデータ、波形が所定の光量を横切る幅に相当する値を示すデータ、前記極大光量と前記幅との比率を示すデータの少なくとも一つのデータを含むのがよい。このような評価データにより3次元形状データの測定精度の良否を判断することにより、選択手段はより測定精度が高くなる受光信号を選択することができる。なお、受光器がエリアセンサからなる場合には、上記光量分布を波形表示する際の横軸は、受光素子の配置面上においてライン光照射装置からその照射部位までの距離に相当する方向に平行な方向にするとよい。
また、上記選択手段は上述したように、3次元形状データの測定精度が良好と判断される受光信号を評価データを基に選択するものであるから、選択手段は、上記測定精度が良好であると考えられる受光信号を選択するために評価データに基づいた判断がなされる。この判断は、例えば評価データを所定の基準値と比較してその基準値に達しているかいないかを評価することによって、その評価データの算出の基となる受光信号を用いて作成された3次元形状データの測定精度の良否を判断するものでもよいし、また、複数の評価データ同士を比較することにより、比較対象の評価データの算出の基となる受光信号を用いて作成された3次元形状データの測定精度の良否を判断するものでもよい。この場合、上記選択手段は、測定対象物の同一部位に照射された強度の異なる複数のライン光についての反射光の受光信号から求められる評価データの群を取り出して、これらの評価データの群から、その評価データの算出の基となる受光信号を用いて3次元形状データを作成した場合に最も測定精度が良好と考えられる評価データを選択し、選択した評価データについての受光信号を選択するものであるとよい。
また、本発明の3次元形状測定装置は、ライン光が測定対象物に照射されたときのライン状の照射断面に垂直な方向に上記ライン光照射装置を移動する移動手段を備えるものであるとよい。これによれば、移動手段によりライン光照射装置が移動しながらライン光を測定対象物に照射することにより、測定対象物のほぼ全域に亘ってライン光を照射することができる。このため測定対象物の全体形状を測定することができる。この場合、移動手段はライン光照射装置の移動量を検出してこの移動量を出力するものであるとよい。これによれば、受光器が出力する受光信号および移動手段が出力する移動量に基づいて測定対象物の3次元形状データを作成することができる。この場合、移動手段によりライン光照射装置および受光器が一体的に移動するものであるとよりよい。
また、本発明の他の特徴は、波長と強度が異なり、測定対象物への照射断面形状がライン状のレーザー光である複数のライン光を出射し、出射したライン光を測定対象物に照射する照射ステップと、前記照射ステップにて測定対象物に照射されたライン光の反射光を波長ごとに分離する分離ステップと、前記分離ステップにて分離された波長ごとの反射光をそれぞれ複数の受光器にて受光するとともに受光した反射光に応じた受光信号を前記複数の受光器が出力する受光ステップと、前記受光ステップにて前記複数の受光器が出力する受光信号を取得する受光信号取得ステップと、前記受光信号取得ステップにて取得した受光信号から、当該受光信号を用いて測定対象物の3次元形状データを作成した場合における当該3次元形状データの測定精度に関する評価データを算出する評価データ算出ステップと、前記評価データ算出ステップにて算出された評価データに基づいて、前記測定精度が良好な受光信号を選択する選択ステップと、前記選択ステップにより選択された受光信号に基づいて測定対象物の3次元形状データを作成する形状データ作成ステップと、を含む3次元形状測定方法とすることにある。この方法によっても上述の発明と同様に3次元形状測定の精度の悪化を防止することができる。この場合、前記照射ステップは、複数のレーザー光源から波長および強度が異なる複数のレーザー光を出射する出射ステップと、前記出射ステップにて出射した複数のレーザー光の光軸を一致させる光軸一致ステップと、前記光軸一致ステップにて光軸が一致された複数のレーザー光をライン光とするライン光生成ステップと、を含むものであるのがよい。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る3次元形状測定装置の全体図である。図において、3次元形状測定装置1は、平板状の測定台2と、この測定台2上に取り付けられた支持体3と、支持体3に移動可能に取り付けられた3次元センサ10と、3次元センサ10を移動するためのフィードモータ30とを備えている。
測定台2は図に示すように左右方向(後述のy軸方向)を長手方向とする長方形状に形成されている。支持体3は測定台2の対向するそれぞれの短辺の略中央から立設した2本の脚部3a,3aおよびこの2本の脚部3a,3aの上部を結ぶように測定台2の長手方向に沿って形成された長尺状の支持部3bを有しており、全体として略コ字状とされている。支持部3bは測定台2の上面とほぼ平行となるように延びて形成されている。また支持部3bには長手方向に沿って長孔3cが形成されている。長孔3cの長手方向側壁には図示しないガイド溝が形成されている。3次元センサ10はこのガイド溝に係止された状態で長孔3c内に嵌め込まれている。
フィードモータ30は、支持部3bに形成された長孔3cの一方端側に取り付けられている。このフィードモータ30の出力軸は図示しないベルトなどの動力伝達手段により3次元センサ10に連結している。したがって、3次元センサ10は、フィードモータ30の駆動によって長孔3c内のガイド溝に沿って支持部3bの長軸方向に移動可能とされている。また、3次元センサ10は、基準となる光軸から広がったライン光を出射する。このライン光は、測定台2への照射断面が測定台2の短軸方向に延びたライン状となるように3次元センサ10から出射される。3次元センサ10がこのようなライン光を出射しながらフィードモータ30の駆動により支持部3bの長軸方向(ライン光のライン状の照射断面と垂直な方向)に移動することにより、測定台2の上面の測定可能領域のほぼ全面に亘って3次元センサ10からレーザー光が照射されることになる。
測定台2の測定可能領域上には測定対象物OBが載置される。したがって、3次元センサ10から出射するライン光は測定台2の測定対象物OBに照射される。測定対象物OBに照射断面がライン状となるように照射されたライン光の反射光は3次元センサ10に受光され、3次元センサ10は受光した反射光に応じて受光信号を出力する。この受光信号に基づいて測定対象物OBの形状が測定される。なお、測定対象物OBの3次元形状データを座標値として表示するために、図1に示すように3次元センサ10がフィードモータ30の駆動により移動する移動方向(測定台2の長軸方向)をy軸方向、y軸方向に直交し、且つ3次元センサ10から照射されるライン光のライン状の照射断面が測定台2に形成される方向(測定台2の短軸方向)をx軸方向、x軸方向およびy軸方向に直交する方向、つまり測定台2の上面と垂直な方向(ライン光のレーザー中心の照射方向)をz軸方向と定めておく。
また、3次元形状測定装置1は3次元画像処理装置40、コントローラ50、入力装置52および表示装置54を備えている。コントローラ50は、入力装置52から入力される入力指令に基づいて、フィードモータ30に駆動状態を制御する指令信号を、3次元センサ10にライン光の出射を指令する指令信号をそれぞれ出力するとともに、これらの制御情報を3次元画像処理装置40に入力する。3次元画像処理装置40はフィードモータ30(詳しくはフィードモータ30に取り付けられたエンコーダ)から駆動量を示す信号が、3次元センサ10から受光信号がそれぞれ入力され、これらの入力信号を基に測定対象物OBの3次元形状データを作成し、作業者からの入力装置52を介した指示に応じて測定対象物OBの3次元画像を表示装置54に出力する。
図2は、3次元センサ10、3次元画像処理装置40の内部構造、および、3次元センサ10、3次元画像処理装置40、コントローラ50および表示装置54の間での信号のやり取りの状態を示す図である。図に示すように、3次元センサ10は、ライン光照射装置11と、受光装置12と、レーザー駆動回路13とを備えて構成されている。ライン光照射装置11は、第1レーザー光源111と、第2レーザー光源112と、第3レーザー光源113と、第1コリメートレンズ114と、第2コリメートレンズ115と、第3コリメートレンズ116と、第1ダイクロイックミラー117と、第2ダイクロイックミラー118と、シリンドリカルレンズ119とを備えている。
第1,第2,第3レーザー光源111,112,113は半導体レーザーなどで構成されており、進行方向に垂直な断面が円形状のレーザー光を出射する。本実施形態において、第1レーザー光源111は波長が400nm程度の青色レーザー光を、第2レーザー光源は波長が550nm程度の緑色レーザー光を、第3レーザー光源は波長が650nm程度の赤色レーザー光を、それぞれ出射する。第1,第2,第3コリメートレンズ114,115,116はそれぞれ対応するレーザー光源111,112,113から出射したレーザー光が入射する位置に配置しており、入射したレーザー光を平行光とする。
また、図からわかるように、第1レーザー光源111および第2レーザー光源112は、それぞれから出射するレーザー光の光軸が平行になるようにその向きが調節されている。さらに、第3レーザー光源113は、出射するレーザー光の光軸が第1レーザー光源111および第2レーザー光源112から出射するレーザー光のいずれの光軸とも直角に交わるように、その向きが調節されている。
第1,第2ダイクロイックミラー117,118は、白色ガラス板に屈折率の異なる誘電体物質を交互に多層コーティングすることなどによって作製され、特定波長域の光を反射(または透過)し、他の波長域の光を透過(または反射)する機能を有する波長選択性のある光学部品である。本実施形態において、第1ダイクロイックミラー117は、青色レーザー光(波長域が400nm程度のレーザー光)を反射し他の波長域のレーザー光を透過する薄膜が形成されている。第2ダイクロイックミラー118は、緑色レーザー光(波長域が550nm程度のレーザー光)を反射し他の波長域のレーザー光を透過する薄膜が形成されている。
また、第1ダイクロイックミラー117は、第1レーザー光源111から出射する青色レーザー光の光軸と第3レーザー光源113から出射する赤色レーザー光の光軸が直角に交わる点上にあり、且つ表面117a側に第1レーザー光源111から出射された青色レーザー光が45度の入射角を持って入射するように配置されている。また、第2ダイクロイックミラー118は、第2レーザー光源112から出射する緑色レーザー光の光軸と第3レーザー光源113から出射する赤色レーザー光の光軸が直角に交わる点上にあり、且つ表面118a側に第2レーザー光源112から出射する緑色レーザー光が45度の入射角を持って入射し、裏面118b側に第3レーザー光源113から出射する赤色レーザー光が45度の入射角を持って入射するように配置されている。なお、上述のように第2ダイクロイックミラー118は緑色レーザー光を反射し他のレーザー光を透過するので、第2ダイクロイックミラー118にその裏面118bから入射した赤色レーザー光はこの第2ダイクロイックミラー118を透過し、表面118aから入射した緑色レーザー光はこの第2ダイクロイックミラー118で反射する。第2ダイクロイックミラー118を透過した赤色レーザー光と反射した緑色レーザー光は第1ダイクロイックミラー117の裏面117b側から45度の入射角で第1ダイクロイックミラー117に入射する。そして第1ダイクロイックミラー117は青色レーザー光を反射し他のレーザー光を透過するので、第1ダイクロイックミラー117にその裏面117bから入射した赤色レーザー光と緑色レーザー光はこの第1ダイクロイックミラー117を透過し、表面117aから入射した青色レーザー光はこの第1ダイクロイックミラー117で反射する。これにより、赤色レーザー光、緑色レーザー光、青色レーザー光の光軸は一致し、これらのレーザー光は光軸が一致した状態でシリンドリカルレンズ119に入射する。
シリンドリカルレンズ(円柱レンズ)119は、少なくとも一つの面が円柱の一部のような形をしたレンズであり、例えば凹面を持つものである場合には、第1ダイクロイックミラー117から出射したレーザー光がこの凹面に入射するような姿勢で3次元センサ10内に配置している。このシリンドリカルレンズ119は、入射したレーザー光を線状に延ばす非点収差を生じさせ、これにより光軸から拡がって進行方向に垂直な平面における断面形状がライン状のライン光が作られる。
レーザー駆動回路13は、第1レーザー駆動回路131と、第2レーザー駆動回路132と、第3レーザー駆動回路133を有している。これらのレーザー駆動回路131,132,133は、コントローラ50からレーザー光の出射に関する指令信号を入力するとともに、入力した指令信号に基づいて対応するそれぞれのレーザー光源111,112,113にレーザー光を出射するための電流および電圧を供給する。本実施形態において、第1レーザー駆動回路131から第1レーザー光源111に供給される電流および電圧は第2レーザー駆動回路132から第2レーザー光源112に供給される電流および電圧よりも小さく、第3レーザー駆動回路133から第3レーザー光源113に供給される電流および電圧は第2レーザー駆動回路132から第2レーザー光源112に供給される電流および電圧よりも大きくなるように、それぞれのレーザー光源111,112,113に供給する電流値および電圧値が設定される。したがって、第1レーザー光源111から出射する青色レーザー光の強度は最も小さく、第2レーザー光源112から出射する緑色レーザー光の強度は青色レーザー光の強度よりも大きく、第3レーザー光源113から出射する赤色レーザー光の強度は最も大きくされる。
受光装置12は、第1フォトセンサ121と、第2フォトセンサ122と、第3フォトセンサ123と、集光レンズ124と、第3ダイクロイックミラー125と、第4ダイクロイックミラー126とを備えて構成されている。集光レンズ124は、測定対象物OBからの反射光が入射し得る位置に配置しており、入射する反射光を集光する。第3ダイクロイックミラー125は集光レンズ124に集光された反射光がその表面125aに入射する位置に配置されている。この第3ダイクロイックミラー125には、第1ダイクロイックミラー117に形成された薄膜と同様な波長が400nm程度の青色レーザー光を反射し他の波長のレーザー光を透過する薄膜が形成されている。したがって、反射光のうちの青色レーザー光はこの第3ダイクロイックミラー125にて反射し、他の波長の反射光は透過する。第4ダイクロイックミラー126は第3ダイクロイックミラー125を透過した反射光がその表面126aに入射するように配置されている。この第4ダイクロイックミラー126には、第2ダイクロイックミラー118に形成された薄膜と同様な波長が550nm程度の緑色レーザー光を反射し他の波長のレーザー光を透過する薄膜が形成されている。したがって、入射する反射光のうちの緑色レーザー光はこの第4ダイクロイックミラー126にて反射し、他の波長の反射光は透過する。
第1フォトセンサ121は、第3ダイクロイックミラー125で反射した反射光(青色レーザー光)を受光し得る位置に配置している。第2フォトセンサ122は、第4ダイクロイックミラー126で反射した反射光(緑色レーザー光)を受光し得る位置に配置している。第3フォトセンサ123は、第4ダイクロイックミラー126を透過した反射光(赤色レーザー光)を受光し得る位置に配置している。これらのフォトセンサ121,122,123は本発明の受光器に相当し、それぞれ受光した反射光に応じた受光信号を出力する。本実施形態において、フォトセンサ121,122,123はCCDなどの受光素子(画素)を面状に配置して長方形状の受光領域を形成したエリアセンサであり、それぞれの受光素子が反射光の受光光量に応じた受光信号を出力する。
3次元画像処理装置40は、各フォトセンサ121,122,123が出力する受光信号および後述する移動量Yに基づいて測定対象物OBの3次元形状データを作成するものであり、第1センサ信号取り出し回路401、第2センサ信号取り出し回路402、第3センサ信号取り出し回路403、第1データ演算回路411、第2データ演算回路412、第3データ演算回路413、送り量計算回路404、および3次元画像生成装置420を備えて構成されている。第1,第2,第3センサ信号取り出し回路401,402,403は、それぞれ第1,第2,第3フォトセンサ121,122,123の各受光素子が出力する受光信号を入力し、入力した受光信号を増幅するとともにこの受光信号の強度をデジタルデータにしてそれぞれ出力する。送り量計算回路404は、フィードモータ30内のエンコーダからのパルス信号(エンコーダ信号)を入力するとともに、入力したパルス信号から3次元センサ10のy軸方向への移動量Yを計算し、3次元画像生成装置420及びコントローラ50に計算結果をデジタルデータにして出力する。
第1データ演算回路411、第2データ演算回路412、第3データ演算回路413は、それぞれコントローラ50からの指令に基づいて対応するセンサ信号取り出し回路401,402,403が出力する受光信号の強度のデジタルデータを取り込み、取り込んだ受光信号の強度のデジタルデータに基づき、ライン光照射装置11から測定対象物OB上におけるライン光の照射位置までの距離L、光量波形の総光量R、極大光量H、半値全幅(ピーク値の半分の値で波形をスライスした時のスライスした箇所の幅)W、極大光量Hと半値全幅Wとの比率S(=H/W)を計算し、3次元画像生成装置420へ出力する。上記した値のうち、距離Lは、測定対象物OBの3次元形状を計算するときに用いる形状計算用データである。本実施形態において形状計算用データは上記距離L、移動量Y、および後述する照射角θである。総光量R、極大光量H、半値全幅Wおよび比率Sは、上記の形状計算用データを用いて測定対象物OBの3次元形状データを作成する場合において、作成された3次元形状データの測定精度の良否を判断することができる評価データ、つまり3次元形状データの測定精度に関する評価データである。これらのデータについては後述する。なお、第1データ演算回路411、第2データ演算回路412および第3データ演算回路413が、本発明の評価データ算出手段に相当する。
3次元画像生成装置420は、各データ演算回路411,412,413から入力した形状計算用データから測定対象物OBの3次元形状データを作成し、作成した3次元形状データを記憶するとともに、入力装置52およびコントローラ50を介して作業者から入力される指示に応じ、記憶した3次元形状データを基に測定対象物OBの3次元画像データを作成して表示装置54に送り、表示装置54に3次元形状を表示させる。3次元形状データは具体的には測定対象物表面の空間座標系における座標値または座標値の群である。3次元形状データの作成にあたり、3次元画像生成装置420は図6に示す評価プログラムの実行により各データ演算回路411,412,413が算出した評価データを評価して、測定精度が良好となる形状計算用データ(すなわち距離L、移動量Y,照射角θ)を選択し、選択した形状計算用データに基づいて3次元形状データを作成する。なお、形状計算用データのうち、距離Lは受光信号から計算されたものであり、距離Lを選択すればその他の形状計算用データは一義的に決まる。したがって、3次元画像生成装置420は、測定精度が良好となる受光信号を選択し、選択した受光信号とその受光信号に対応するその他の形状計算用データに基づいて3次元形状を作成するものといえる。これについても後述する。3次元画像生成装置420が、本発明の選択手段および形状データ作成手段に相当する。
このように構成された3次元形状測定装置1において、作業者が入力装置52から測定対象物OBの測定開始の命令を入力すると、コントローラ50は図3に示す形状測定プログラムを実行する。この形状測定プログラムは図3のステップS100にて開始され、次のステップS102にて、各データ演算回路411,412,413が3次元画像生成装置420に出力するデータの出力順を表すデータセット番号nを初期化(n=0)する。次いで、コントローラ50はステップS104に進み、フィードモータ30に回転指令を出力し、3次元センサ10にレーザー光の出射指令を出力し、各種回路に作動を開始する指令を出力することによって3次元形状測定装置1を起動させる。これにより各レーザー駆動回路131,132,133が作動開始して各レーザー光源111,112,113からレーザー光が出射するとともにフィードモータ30の駆動により3次元センサ10が図1のy軸方向に移動する。
ステップS104の処理の実行により第1レーザー駆動回路131が作動開始し、所定の電流および電圧を第1レーザー光源111に供給する。これにより第1レーザー光源111から所定の強度(第1強度)の青色レーザー光が出射する(出射ステップ)。同様に、ステップS104の処理の実行により第2レーザー駆動回路132が作動開始し、第2レーザー光源112に所定の電流および電圧を供給する。これにより第2レーザー光源112から所定の強度(第2強度)の緑色レーザー光が出射する(出射ステップ)。同様に、ステップS104の処理の実行により第3レーザー駆動回路133が作動開始し、第3レーザー光源113に所定の電流および電圧を供給する。これにより第3レーザー光源113から所定の強度(第3強度)の赤色レーザー光が出射する(出射ステップ)。ここで、各レーザー光の強度の関係は、「第1強度<第2強度<第3強度」である。
図2に示すように、第3レーザー光源113より出射した赤色レーザー光は第3コリメートレンズ116を通過して平行光とされた後に第2ダイクロイックミラー118の裏面118bに入射する。第2ダイクロイックミラー118は緑色レーザー光を反射し他のレーザー光を透過するので、入射した赤色レーザー光はこの第2ダイクロイックミラー118を透過する。
また、第2レーザー光源112より出射した緑色レーザー光は第2コリメートレンズ115を通過して平行光とされた後に第2ダイクロイックミラー118の表面118aに入射する。緑色レーザー光はこの第2ダイクロイックミラー118で反射して進行方向を直角に変える。この方向変換によって、表面118aで反射した緑色レーザー光の光軸と裏面118bを透過した赤色レーザー光の光軸が一致する(光軸一致ステップ)。このように光軸が一致した状態で赤色レーザー光と緑色レーザー光が第2ダイクロイックミラー118から出射して、第1ダイクロイックミラー117の裏面117bに入射する。第1ダイクロイックミラー117は青色レーザー光を反射し他のレーザー光を透過するので、光軸が一致した赤色レーザー光および緑色レーザー光はこの第1ダイクロイックミラー117を透過する。
また、第1レーザー光源111より出射した青色レーザー光は第1コリメートレンズ114を通過して平行光とされた後に第1ダイクロイックミラー117の表面117aに入射する。そして、この第1ダイクロイックミラー117にて反射して進行方向を直角に変える。この方向変換によって、表面117aで反射した青色レーザー光の光軸と裏面117bを透過した赤色レーザー光および緑色レーザー光の光軸が一致する(光軸一致ステップ)。これにより全ての波長のレーザー光(青色レーザー光、緑色レーザー光、赤色レーザー光)の光軸が一致し、この状態で第1ダイクロイックミラー117から出射する。
第1ダイクロイックミラー117から出射したレーザー光はシリンドリカルレンズ119に入射し、このシリンドリカルレンズ119によってライン光とされる(ライン光生成ステップ)。このライン光は、波長が450nmで強度が第1強度である青色のライン光、波長が550nmであり強度が第2強度である緑色のライン光、波長が650nmであり強度が第3強度である赤色のライン光からなる。このような波長と強度が異なる複数のライン光が光軸を一致させた状態でライン光照射装置11から出射し、照射断面が図1のx軸方向に平行に延びたライン光が測定対象物OBに照射される(照射ステップ)。このとき、波長および強度が異なる複数のライン光が測定対象物OBの同一の部位に同時に照射される。なお、第1ダイクロイックミラー117および第2ダイクロイックミラー118は、波長および強度が異なる複数のライン光が測定対象物OBの同一部位に照射されるように、前記複数のライン光の光軸を一致させる光軸一致手段に相当する。
上記のようにして測定対象物OB上に照射されたライン光はその照射部位にて散乱し、散乱光の一部の反射光は集光レンズ124を介して第3ダイクロイックミラー125に入射する。第3ダイクロイックミラー125は青色レーザー光(波長400nm程度のレーザー光)を反射し他の波長のレーザー光を透過するので、この第3ダイクロイックミラー125によって、反射光中の青色レーザー光の反射光が反射し、他の波長を持つ反射光(本実施形態の場合は残りの緑色レーザー光の反射光および赤色レーザー光の反射光)が透過する。第3ダイクロイックミラー125にて反射した青色レーザー光の反射光はその先で第1フォトセンサ121に受光される(受光ステップ)。
第3ダイクロイックミラー125を透過した反射光は第4ダイクロイックミラー126に入射する。第4ダイクロイックミラー126は緑色レーザー光(波長550nm程度のレーザー光)を反射し他の波長のレーザー光を透過するので、この第4ダイクロイックミラー126によって反射光中の緑色レーザー光の反射光が反射し、他の波長を持つ反射光(本実施形態の場合は残りの赤色レーザー光の反射光)が透過する。第4ダイクロイックミラー126にて反射した緑色レーザー光の反射光はその先で第2フォトセンサ122に受光される(受光ステップ)。第4ダイクロイックミラー126を透過した赤色レーザー光の反射光(波長650nm程度のレーザー光)はその先で第3フォトセンサ123に受光される(受光ステップ)。
このように、測定対象物OBに照射された波長と強度が異なる複数のライン光の反射光は、第3ダイクロイックミラー125および第4ダイクロイックミラー126によってそれぞれの波長ごとに分離される。したがって、この第3ダイクロイックミラー125および第4ダイクロイックミラー126が本発明におけるフィルタに該当する。この場合、各ライン光の波長と強度は一対一に対応しているので、各反射光の波長と強度も一対一に対応している。したがって、反射光は第3,第4ダイクロイックミラー125,126によって、強度ごとにも分離されたことになる。各フォトセンサ121,122,123はこのように分離された反射光をそれぞれ波長ごと(強度ごと)に受光する。
反射光をそれぞれの波長ごとに受光する各フォトセンサ111,112,113はCCDなどの各受光素子により構成されており、受光した反射光に応じ、受光光量に相当する強度の受光信号を対応する各センサ信号取り出し回路401,402,403に出力する(受光ステップ)。各センサ信号取り出し回路401,402,403は入力した受光信号を各受光素子の受光信号ごとに増幅し、受光信号の強度をデジタルデータにして出力する。
図3のステップS104にて3次元形状測定装置1を起動して上記のような作動が開始した後、コントローラ50は次のステップS106に進み、このステップS106にてフィードモータ30により駆動される3次元センサ10の移動量Yがn・ΔY以上であるかを判定する。ここで、nはデータセット番号であり、最初はステップS102にて初期化(n=0)されている。ΔYは予め設定される距離であり、極めて微小の距離とされる。最初はnが0であるので、ステップS106における最初の判定結果はYesとなってステップS108に進む。なお、ステップS106の判定結果がNoである場合はYesとなるまでステップS106の判定を続ける。
ステップS108ではコントローラ50は各データ演算回路411,412,413に対して受光信号のデータを取り込むように指令を出力する(受光信号取得ステップ)。これにより各データ演算回路411,412,413は、それぞれ対応するセンサ信号取り出し回路401,402,403から受光信号の強度のデジタルデータを取り込む。また、データ演算回路411,412,413は、取り込んだ受光信号の強度のデジタルデータに基づいて、上述した距離L、総光量R、光量波形の極大光量H、光量波形の半値全幅W、比率Sを計算し、これらの計算結果を3次元画像生成装置420へ出力する。
続いてコントローラ50はステップS110に進んで送り量計算回路404から移動量Yのデータを3次元画像生成装置420に取り込むように指令を出力する。次いでステップS112に進み、取り込んだ移動量Yのデータが最大移動量Ymax以上であるかを判定する。ここで、最大移動量Ymaxは、3次元センサ10がフィードモータ30の駆動によってガイド溝に沿ってy軸方向に移動することができる最大距離である。移動量Yが最大移動量Ymax以上であると、これ以上3次元センサ10をフィードモータ30の駆動により移動させることはできない。したがって、この場合ステップS112の判定はYesとなってステップS116に進み、ステップS116にてフィードモータ30の回転停止、レーザー光の照射停止、各回路の作動停止などの停止処理を行い、さらにステップS118に進んでこのプログラムの実行を終了する。
一方、ステップS112にて移動量Yが最大移動量Ymax未満と判定した場合には、ステップS114に進み、データセット番号nをインクリメントし、ステップS106に戻って、ステップS106〜S114の処理を繰り返し実行する。
ステップS106〜S114の処理を繰り返し実行することにより、3次元センサ10がフィードモータ30の駆動によりy軸方向にΔY移動するごとに各データ演算回路411,412,413はステップS108にて対応するセンサ信号取り出し回路401,402,403から受光信号の強度のデジタルデータを取得し(受光信号取得ステップ)、取得した受光信号の強度のデジタルデータから、上記距離L、総光量R、極大光量H、半値全幅W、比率Sをそれぞれ算出する。このような受光信号の強度のデジタルデータの取得および上記値の算出は、ステップS112にて移動量Yが最大移動量Ymax以上と判定されるまで繰り返し行われ、ステップS112における判定がYesとなると終了する。
上記した形状測定プログラムの実行により、図1に示すように照射断面がx軸方向に平行に伸びたライン光が測定対象物OBの同一箇所に同時に照射されるとともにこのライン光がy軸方向へ移動し、測定対象物OBの全体にライン光が照射される。また、測定対象物OBに対するライン光の照射部位がy軸方向に沿ってΔY進むごとにその照射部位における反射光の受光信号が各センサ信号取り出し回路401,402,403から各データ演算回路411,412,413にそれぞれ取り込まれ、取り込んだ受光信号から形状計算用データ、評価データを算出して3次元画像生成装置420に出力する。次に、各データ演算回路411,412,412が3次元画像生成装置420に出力する評価データおよびこの評価データに基づいて3次元画像生成装置420が行う処理について説明する。
図4は、測定対象物OBに照射されるライン光の反射光が各フォトセンサ121,122,123に受光された状態を模式的に示す図である。図に示すように、反射光RLはフォトセンサ121,122,123の図示横方向に延びた状態で受光される。なお、フォトセンサ121,122,123は上述したようにCCDなどの受光素子が面状に配置したエリアセンサであり、各受光素子は受光する光量に相当する強度の信号を出力する。また、各センサ信号取り出し回路401,402,403は各フォトセンサ121,122,123の各受光素子が出力する受光信号を増幅して受光信号の強度に相当するデジタル信号を対応するデータ演算回路411,412,413に出力する。よって、各センサ信号取り出し回路401,402,403から対応する各データ演算回路411,412,413に入力するデータは対応する各フォトセンサ121,122,123の各受光素子が受光する光量のデータと考えてよい。
各データ演算回路411,412,413は、図4に示すフォトセンサ121,122,123の受光領域を点線で囲んだ縦方向に細長い領域に区分し、区分領域mごとに以下の値を計算して出力する(評価データ算出ステップ)。
(1)受光光量が所定値以上である受光素子が出力する光量の総計である総光量R
(2)各領域の横方向に配列する受光素子に受光された受光光量を平均し、この平均値を各領域の縦方向に亘って表示した光量波形を作成した場合における、
(2−1)光量波形の極大値を示す縦方向位置(受光位置)に対応する距離L
(2−2)光量波形の極大値で表される極大(ピーク)光量H
(2−3)光量波形の極大光量の1/2の大きさのレベルで波形をスライスした場合のスライス箇所の幅(半値全幅)W
(2−4)(極大光量H/幅W)で表される比率S
図7は上記光量波形およびこの光量波形と上記値との関係を示す図、図8は光量波形の様々な形状パターンを示す図である。上記の値のうち、距離Lは、測定対象物の3次元形状を計算するときに用いられる形状計算用データの一つである。この距離Lは、ライン光照射装置11(具体的にはライン光の起点位置)から測定対象物OBにおけるライン光の照射位置までの距離を示し、図7に示すように光量波形の極大光量を示す受光位置(横軸方向位置)から算出される。この距離Lの算出の際に、例えば光量波形が図8(a)に示すような光量波形である場合には光量が小さすぎるためにその受光位置を明確に特定できない場合がある。また、光量波形が図8(b)に示すような光量波形である場合には極大光量の値が横方向に幅広く形成されているためにその受光位置を明確に特定できない場合がある。このように、距離Lの算出精度、ひいては形状計算用データ(距離L、移動量Y、照射角θ)を用いて測定対象物OBの3次元形状データを作成したときの3次元形状データの測定精度は、光量波形の形状に影響される。ここで、上記総光量R、極大光量H、幅Wおよび比率S(=H/W)の値は、図7に示すように光量波形の形状から求められる値あるいは光量波形に関連する値であり、逆にいえば光量波形はこれらの値によって表される。したがって、3次元形状データの測定精度に影響を及ぼす光量波形の形状を表すこれらの値(総光量R,極大光量H,幅Wおよび比率S)は、3次元形状データを作成する際における測定精度の良否を判断することができる評価データといえる。
なお、各フォトセンサ121,122,123が反射光を図4に示すように受光した場合、フォトセンサ121,122,123の縦方向の受光位置はライン光照射装置11から測定対象物OBまでの距離Lに相当し、横方向の受光位置はライン光の照射断面ライン上にある照射位置をライン光照射装置11から見たときの光軸に対する向きを表す照射角θに相当する。したがって、上記光量波形は、ライン光照射装置11から測定対象物OBまでの距離(図4の縦軸方向)を横軸とした場合の反射光の光量分布を表す波形であるといえ、この波形のピーク位置がライン光照射装置11から測定対象物OBまでの距離Lに相当する位置となる。また、区分領域mはフォトセンサ121,122,123の横方向に沿って区分されているから、区分領域mごとに距離Lを計算することは、照射角θごとに距離Lを計算することと同じである。上記照射角θは形状計算用データの一つであって、各区分領域mに対応して定めることができる。形状計算用データである距離L、照射角θ、移動量Yから測定対象物OBの3次元形状データ(座標値のデータ)を作成することができる。
3次元画像生成装置420は、各データ演算回路411,412,413が出力する上記のようなデータおよび送り量計算回路404から入力する移動量Yのデータのセット(データセット)をデータセット番号に対応させてメモリに記憶する。したがって、メモリには図5に示すようなデータセットごとのデータが区分領域mごとに記憶される。ここで、データセット番号n(n=0〜nmax)における複数のデータのうちの上段のデータ群(L(n,m,1),R(n,m,1),H(n,m,1),W(n,m,1),S(n,m,1))は、第1データ演算回路411から入力したデータであり、中段のデータ群(L(n,m,2),R(n,m,2),H(n,m,2),W(n,m,2),S(n,m,2))は第2データ演算回路412から入力したデータであり、下段のデータ群(L(n,m,3),R(n,m,3),H(n,m,3),W(n,m,3),S(n,m,3))は第3データ演算回路413から入力したデータである。
ここで、第1データ演算回路411は第1フォトセンサ121で受光した青色レーザー光の反射光を基に算出したデータを3次元画像生成装置420に出力しており、青色レーザー光は他の波長のレーザー光に比べて弱い強度である第1強度で第1レーザー光源111から出射しているから、各データセット中の上段のデータ群は、ライン光を最も弱い強度(第1強度)で測定対象物OBに照射した場合の反射光から算出されたデータ群である。また、第2データ演算回路412は第2フォトセンサ122で受光した緑色レーザー光の反射光を基に算出したデータを3次元画像生成装置420に出力しており、緑色レーザー光は、青色レーザー光の強度よりも強く赤色レーザー光の強度よりも弱い強度である第2強度で第2レーザー光源112から出射しているから、各データセット中における中段のデータ群はライン光を2番目に弱い強度(第2強度)で測定対象物OBに照射した場合の反射光から算出されたデータである。また、第3データ演算回路413は第3フォトセンサ123で受光した赤色レーザー光の反射光を基に算出したデータを3次元画像生成装置420に出力しており、赤色レーザー光は他の波長のレーザー光に比べて強い強度である第3強度で第3レーザー光源113から出射しているから、各データセット中における下段のデータ群は、ライン光を最も強い強度(第3強度)で測定対象物OBに照射した場合の反射光から算出されたデータである。すなわち、3次元画像生成装置420には、データセットごとに、強度の異なる3種のライン光を測定対象物OBの同一部位に照射した場合における、それぞれのライン光の反射光から得られるデータが記憶されていることになる。
3次元画像生成装置420は、区分された各領域について図5に示すデータセットが記録されると、図6に示す評価プログラムを実行する。
図6に示す評価プログラムは、各データセット中における強度がそれぞれ異なる各段のデータ群中の評価データを評価して、測定対象物OBの3次元形状データを作成したときに測定精度が良好となる形状計算用データを含むデータ群をデータセットごとに選択するためのプログラムである。この評価プログラムは図のステップS200にて開始され、ステップS202にてデータセット番号nが初期化(n=0)され、ステップS204にてフォトセンサ121,122,123の区分された領域を示す領域カウンタmも初期化(m=1)される。次いで、3次元画像生成装置420はステップS206に進んで区分領域mにおけるn番目のデータセットの総光量Rを表す評価データをそれぞれのデータ群から取り出し、上段の評価データR(n,m,1)をR0に、中段の評価データR(n,m,2)をR1に、下段の評価データR(n,m,2)をR2にそれぞれ代入する。次いで、ステップS208にて、R0,R1,R2のうちで総光量が下限値A以上且つ上限値B以下である評価データを抽出する(選択ステップ)。抽出の基準となる光量AおよびBは、光量波形から的確に(精度よく)受光位置を特定することができる程度の総光量Rの上限値および下限値であり、総光量がA〜Bの範囲内にあれば、その評価データが属するデータ群中の形状計算用データを基に3次元形状データを作成した場合に、測定精度は良好になると判断される。このステップの処理の実行により、図8(a)に示すように総光量が小さすぎて明確な受光位置を特定できない光量波形や、図8(b)に示すように総光量が大きすぎて明確な受光位置を特定できない光量波形を表すデータ群が除外される。
ここで、測定対象物OBの反射率が高い部位に強度の大きいライン光(例えば赤色レーザー光)が照射されると、反射光の総光量が大きすぎて明確な受光位置を特定することができないことになる。一方、測定対象物OBの反射率が低い部位に強度の小さいライン光(例えば青色レーザー光)が照射されると、反射光の総光量が小さすぎて明確な受光位置を特定することができないことになる。これらの場合には、特定した受光位置が実際の受光位置からずれている場合が多く、この受光位置を基に測定対象物の3次元形状データを作成すると、そのデータの測定精度は悪いものとなる。よって、このステップS208では、総光量に基づいて上記のような測定精度が悪くなると考えられるデータ群を除外し、測定精度が良好と考えられるデータ群を選び出す処理を行っていることになる。
次に、3次元画像生成装置420はステップS210に進み、ステップS208で抽出された評価データの個数が一つであるかを判定する。ステップS210における判定がYesの場合、つまり取り出された3つの総光量の評価データを評価した結果、3次元形状データの測定精度が良好と考えられるデータ群がデータセット番号nにおける上段、中段、下段に記憶したデータ群のうちから一つに絞り込まれた場合はステップS222に進む。一方、ステップS210における判定がNoの場合、つまり抽出した評価データの個数が複数である場合は、さらにデータ群を絞り込むため次のステップS212に進む。なお、ステップS208で抽出された評価データが一つもない場合も、ステップS212に進む。
ステップS212では、区分領域mにおけるn番目のデータセットの極大光量Hの評価データを取り出し、上段の評価データH(n,m,1)をH0に、中段の評価データH(n,m,2)をH1に、下段の評価データH(n,m,2)をH2にそれぞれ代入する。この場合において、上記のステップS208にて抽出されなかった総光量Rの評価データが含まれる段のデータ群からは、このステップで極大光量Hの評価データを取り出さなくてもよい。次いで、ステップS214にて、H0,H1,H2のうちで極大光量が基準光量C以下である評価データを抽出する(選択ステップ)。ここで、基準光量Cは、的確に受光位置を特定することができるような極大光量の上限値であり、極大光量がC以下であれば、その評価データが属するデータ群中の形状計算用データを基に3次元形状データを作成した場合に、測定精度は良好になると判断される。このステップの実行により、図8(c)に示す光量波形のように極大光量の値が大きすぎてフォトセンサ121,122,123の受光素子が出力する信号強度の上限を超えてしまい、光量波形の極大光量値が飽和するために明確な受光位置を特定することができない光量波形を表すデータ群が除外される。
ここで、測定対象物OBの反射率が高い部位に強度の大きいライン光(例えば赤色レーザー光)が照射されると、受光光量のピーク値が大きすぎてフォトセンサの受光素子が出力する信号強度の上限を超えてしまい、波形のピーク値が飽和するため明確に受光位置が特定できない。この場合には、特定した受光位置が実際の受光位置からずれている場合が多く、この受光位置を基に測定対象物の3次元形状データを作成すると、そのデータの測定精度は悪いものとなる。よって、このステップS214では、極大光量に基づいて上記のような測定精度が悪くなると考えられるデータ群を除外し、測定精度が良好と考えられるデータ群を選び出す処理を行っていることになる。
次に、3次元画像生成装置420はステップS216に進み、ステップS214で抽出された評価データの個数が一つであるかを判定する。ステップS216における判定がYesである場合、つまり、取り出された極大光量の評価データを評価した結果、3次元形状データの測定精度が良好と考えられるデータ群が一つに絞り込まれた場合はステップS222に進む。一方、ステップS216における判定がNoの場合は、総光量および極大光量を評価しても未だ複数のデータ群が残っていることを示す。この場合は、残っているデータ群からいずれかのデータ群を選択するために次のステップS218に進む。
ステップS218では、区分領域mにおけるn番目のデータセットの比率Sの評価データを取り出し、上段の評価データS(n,m,1)をS0に、中段の評価データS(n,m,2)をS1に、下段の評価データS(n,m,2)をS2にそれぞれ代入する。この場合において、上記のステップS208にて抽出されなかった総光量Rの評価データが含まれる段のデータ群およびステップS214にて抽出されなかった極大光量Hの評価データが含まれる段のデータ群からは、このステップで比率Sの評価データを取り出さなくてもよい。次いで、ステップS220に進み、取り出した比率Sの評価データS0、S1,S2のうちで最大のものを選択する(選択ステップ)。このステップは、測定対象物OBの3次元形状を計算するデータとして最も適したデータ群を比率Sに基づいて選択する処理であり、例えば図8(e)で示される光量波形と図8(f)で示される光量波形とを比較したときに、比率Sの大きい波形、すなわちより急峻なピークを有する波形を選択する処理である。この処理は所定の範囲に該当するものを抽出する処理ではなく、評価データ同士を比較して最も好ましい値を選択する処理であるので、このステップS220の選択により残るデータ群は必ず一つとなる。
ここで、光量波形の比率Sが小さい場合には、波形の高さに対して幅が大きいということになるから、波形形状が末広がりとなってピーク部分の形状がなだらかになる。このような形状の場合には、ピーク部分の値(極大光量)が同程度の受光位置が複数存在する可能性があるので、明確な受光位置を特定することができない場合がある。よって、このステップS220では、波形形状の高さと幅の比率に基づいて上記のような測定精度が悪くなると考えられるデータ群を除外し、測定精度が最も良好と考えられるデータ群を選び出す処理を行っていることになる。
以上のステップS206〜S220の処理の実行、より具体的にはステップS208、ステップS214、ステップS220におけるいずれかの抽出あるいは選択によって、最終的に一つの評価データが抽出される。そして、次のステップS222にて、最終的に抽出された評価データが属するデータ群が選択される。選択したデータ群中の距離Lや評価データは受光信号から計算されるものであるので、このステップの処理の実行によるデータ群の選択は、3つのフォトセンサ121,122,123が出力する受光信号のうち、3次元形状データ作成の際の測定精度が最もよい(良好)と考えられる受光信号を選択したことになる(選択ステップ)。続いて、ステップS224にて、選択されたデータ群の中の形状計算用データである距離Lおよび、移動量Y、照射角θに基づいて、測定対象物OB上へのライン光の照射位置の座標値である3次元形状データを算出する(形状データ作成ステップ)。この場合、算出すべき座標値(X,Y,Z)は、(L・sinθ,Y,L・cosθ)の計算により求められる。
次いで、3次元画像生成装置420は、ステップS226に進んで現在評価しているデータセットが算出された区分領域mが最後の区分領域mendであるかを判定する。区分領域mがmendでない場合は未だ上記の処理を行っていない区分領域が残っていると判断してステップS228に進み、このステップS228にてmをインクリメントした後にステップS206に戻って再度上記した抽出処理を行う。この繰り返しにより全ての区分領域においてデータセット中の最適なデータ群が選択され、選択されたデータセット中のデータ群の値に基づいて3次元の座標値(X,Y,Z)が計算される。また、このステップS226にてmがmendと判定した場合はステップS230に進む。
ステップS230では、現在のデータセット番号nに1を加えた数が最大データセット番号nmaxよりも大きいかを判定する。この判定がYesの場合は次に評価するデータセットが存在しないと判断し、ステップS234に進んでこのプログラムの実行を終了する。この判定がNoである場合は未だ抽出可能なデータセットが残っていると判断してステップS232に進んでデータセット番号nに1を加え、ステップS204に戻って再度抽出処理を繰り返す。この繰り返しによりy軸方向に沿った測定対象物OBの全ての領域において、最適なデータ群から測定対象物OBの3次元形状を示す座標値(X,Y,Z)が計算される。
なお、図7の評価プログラムの実行が終了する時点で3次元センサ10は既に最終位置に達しているので、図7の評価プログラムが終了する以前に、図3の形状測定プログラムのステップS112にて移動量Yが最大移動量Ymaxに達している(Yes)と判断されてステップS116に進み、3次元画像生成装置420を除きステップS104で作動した各装置および各回路を停止させ、ステップS118にてこのプログラムの実行が終了している。
以上の処理により、3次元画像生成装置420にて3次元形状データ(座標値(X,Y,Z)のデータ群)が作成され、メモリに記憶される。そして、作業者による入力装置52を介した指示によって、3次元画像生成装置420は記憶した3次元形状データに基づいて測定対象物OBの3次元画像データを生成して表示装置54に送り、表示装置54に3次元形状を表示させる。
本実施形態の3次元形状測定装置1によれば、ライン光照射装置11により波長および強度が異なる複数のライン光が測定対象物OBの同一箇所に照射されるとともに、測定対象物OBに照射されたライン光の反射光が第3ダイクロイックミラー125および第4ダイクロイックミラー126により波長ごと(強度ごと)に分離される。分離された各波長(各強度)の反射光はそれぞれフォトセンサ121,122,123により受光され、フォトセンサ121,122,123は受光した反射光に応じた受光信号を出力する。データ演算回路411,412,413はこれらの受光信号から、その受光信号を用いて測定対象物OBの3次元形状データを作成した場合における3次元形状データの測定精度に関する評価データを受光信号ごとに算出する。この評価データが3次元画像生成装置420によって評価されて、3次元形状データの測定精度が良好と判断される受光信号が選択される。これにより測定対象物OBの反射率が変化している場合でも変化した反射率に見合った強度で照射されたライン光の反射光の受光信号を選択することができ、こうして選択した受光信号を用いて3次元形状データを作成することにより、測定対象物OBの反射率の変化による3次元形状データの測定精度の悪化を防止あるいは抑制することができる。
なお、本発明は様々な変形が可能である。上記実施形態においては、3次元センサ10はライン状のレーザー光を移動機構により直線状に移動するようにしたが、3次元センサはライン状のレーザー光を移動するとともに測定対象物OBからの反射光をフォトセンサなどの受光器で受光するものであればどのような形態のものでもよい。例えば、レーザー光源や受光器が収納した筐体を回転機構により回転させることでライン状のレーザー光を移動させるように3次元センサを構成してもよいし、ライン状のレーザー光をガルバノミラーで反射させ、ガルバノミラーを回転させることによりライン状のレーザー光を移動させるように3次元センサを構成してもよい。
また、上記実施形態では、ライン状のレーザー光を作成するのにシリンドリカルレンズを用いたが、走査することなくライン状のレーザー光を作成することができるもの、つまりレーザー光の断面形状を変形させることによりライン光を作成するものであればどのような手段を用いても良い。例えばプリズムを用いてもよいし、円筒状のレンズを用いてもよい。なお、走査することによりライン光を作成するものにおいて本発明を適用しても、差し支えない。
また、上記実施形態では、3次元形状データを作成するための形状計算用データを選択するために、評価データとして総光量、極大光量および(光量/幅)の比率を用いたが、この中のいくつかを選択して用いてもよいし、これらとは別に波形幅を用いてもよい。
また、上記実施形態では波長と強度の異なるレーザー光をダイクロイックミラーを用いて光軸が同一になるようにしたが、ダイクロイックミラーを用いずそれぞれのレーザー光の出射位置を少しずつ異ならせておき、各データ演算回路411,412,413が出力するデータに対応する移動量Yをそれぞれのレーザー光の出射位置の差分だけ補正して3次元形状データを計算するようにしてもよい。
また、上記実施形態では3つの異なる強度のライン光を測定対象物に照射した例を示したが、2つの異なる強度のライン光、あるいは4つ以上の異なる強度のライン光を測定対象物に照射してもよい。さらに、ライン光の照射部位に応じて強度の大きさや数を変化させるようにしてもよい。
1…3次元形状測定装置、10…3次元センサ、11…ライン光照射装置、111…第1レーザー光源、112…第2レーザー光源、113…第3レーザー光源、117…第1ダイクロイックミラー(光軸一致手段)、118…第2ダイクロイックミラー(光軸一致手段)、119…シリンドリカルレンズ、12…受光装置、121…第1フォトセンサ(受光器)、122…第2フォトセンサ(受光器)、123…第3フォトセンサ(受光器)、125…第3ダイクロイックミラー(フィルタ)、126…第4ダイクロイックミラー(フィルタ)
30…フィードモータ(移動手段)、40…3次元画像処理装置、50…コントローラ、401…第1センサ信号取り出し回路、402…第2センサ信号取り出し回路、403…第3センサ信号取り出し回路、404…送り量計算回路、411…第1データ演算回路(評価データ算出手段)、412…第2データ演算回路(評価データ算出手段)、413…第3データ演算回路(評価データ算出手段)、420…3次元画像生成装置(選択手段、形状データ作成手段)