JP2008215518A - 摺動式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン等の軸方向振動に起因する車室内の騒音や、誘起スラスト力に起因する不快な振動やこもり音などを効果的に抑制することが可能な摺動式等速自在継手を提供することである。
【解決手段】ダブルオフセット型の摺動式等速自在継手において、ケージ4の外周面4cに複数の窪み4dを周方向に並べて形成し、これらの窪み4dに回転可能な状態で転動体6を収容した。転動体6が窪み4dの底面に直接当接した状態で、転動体6の一部を窪み4dから所定量突出させた。外側継手部材1の軸とケージ4の軸とを合わせた場合に、転動体6が窪み4dの底面に直接当接した状態で、当該窪み4dから最も突出した転動体6の箇所と外側継手部材1の内周面1bとの間に所定の隙間を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、自動車や各種産業機械の動力伝達機構において使用されるもので、駆動側と従動側の二軸間で軸方向変位および角度変位を許容するボールタイプの摺動式等速自在継手に関する。
等速自在継手は、自動車や各種産業機械の動力伝達系において、駆動側の回転軸と従動側の回転軸を連結して等角速度でトルクを伝達するもので、固定式と摺動式がある。固定式が角度変位のみを許容するのに対し、摺動式は角度変位と軸方向変位の両方を許容するタイプである。
トルク伝達要素としてボールを用いるボールタイプの摺動式等速自在継手として、ダブルオフセット型等速自在継手(以下、DOJと称す)がよく知られている。このDOJでは、トルク伝達ボールを6個または8個有するものが代表的であり、そのトルク伝達ボールの円周方向配置(ピッチ)は、6個等ピッチ(60°)または8個等ピッチ(45°)が通常である。
図7は8個トルク伝達ボールのDOJを示す。DOJは、外側継手部材11、内側継手部材12、トルク伝達ボール13およびケージ14を主要な構成要素としている。このトルク伝達ボール以外のDOJの構成要素である外側継手部材11、内側継手部材12およびケージ14についても、また、外側継手部材11、内側継手部材12にそれぞれ形成されたトラック溝11a,12aおよびケージ14に設けられたポケット14aも、前述のトルク伝達ボール13の配置に準じて等ピッチで配置されている。さらに、ケージ14においても、ポケット長さやポケット間の柱幅が同一である。
ところで、このDOJは、自動車に使用された場合に、エンジン等の軸方向振動が付与されたとき、内部のスライド抵抗(外側継手部材軸方向に外側継手部材と内側継手部材が相対移動する場合の抵抗)が大きいとエンジン側からの振動が車体に伝達されて乗員に不快感を与えることから様々な改良が成されてきた。
例えば、特許文献1で開示されている発明は、ケージの外周面の複数箇所に凹みを設け、外側継手部材の内周面上を転動する補助ボールを凹みに嵌合し、補助ボールとケージとの間にスプリングを介挿したものである。これにより、従来は外側継手部材内周面とケージ外周面とが滑り摩擦であったが、特許文献1では外側継手部材内周面と補助ボールとの転がり摩擦となり、スライド抵抗が低減される。そのため、エンジンの振動吸収により車室内の騒音がある程度低減される。
特開平3−89025号公報
この種の等速自在継手においては、トルクが負荷され回転する時、すなわち、動力伝達時、前述のスライド抵抗とは別に等速自在継手の軸方向にスラスト力が誘起される(誘起スラスト力)。この誘起スラスト力は、一回転中にトラック溝11a,12bの個数と同回数の変動を伴う。従来のDOJでは、トラック溝11a,12bが45°等配となっているため、回転8次の振動数を有し、これが車両の足回りの固有振動数と共振して不快な振動やこもり音などを発生させる場合があった。
誘起スラスト力の発生要因としては、外側継手部材11のトラック溝11aとトルク伝達ボール13間の摩擦力、外側継手部材11の内周面11bとゲージ14の外周面14b間の摩擦力が挙げられる。特に、外側継手部材11の内周面11bとゲージ14の外周面14b間の摩擦力が大きく影響する。詳しくは、外側継手部材内周面11bとケージ外周面14bの間の隙間が小さい程、外側継手部材内周面11bとケージ外周面14bの間の摩擦力が大きくなり、誘起スラスト力は大きくなる。
特許文献1の発明では、凹みに嵌合した補助ボールが、補助ボールとケージとの間に介挿されたスプリングにより外側継手部材内周面に押し付けられるため、外側継手部材内周面と補助ボールとの間の隙間はほとんど無い。このため、特許文献1の発明では、誘起スラスト力はかえって通常のものより大きい。そのため、誘起スラスト力に起因する車両の不快な振動やこもり音などの発生を十分には抑制できない。
そこで、本発明の課題は、エンジン等の軸方向振動に起因する車室内の騒音や、誘起スラスト力に起因する不快な振動やこもり音などを効果的に抑制することが可能な摺動式等速自在継手を提供することである。
前記課題を解決するため、請求項1の発明は、円筒形状内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を形成した外側継手部材と、球面状外周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を形成した内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との対で形成されるボールトラックに一個ずつ組み込んだ複数のトルク伝達ボールと、前記トルク伝達ボールを保持するポケット、前記外側継手部材の内周面に対向した球面状の外周面及び前記内側継手部材の外周面に接触案内される球面状の内周面を有するケージとを備え、前記ケージの球面状外周面の曲率中心と球面状内周面の曲率中心を、継手中心を挟んで軸方向に互いに逆方向に等距離だけオフセットさせた摺動式等速自在継手において、前記ケージの外周面に複数の窪みを周方向に並べて形成すると共に、これら窪みにそれぞれ転動体を回転可能に収容し、かつ、前記転動体を窪みの底面に当接させた状態で転動体の一部をケージの外周面上に所定量突出させたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、従来は、外側継手部材内周面とケージ外周面との間の摩擦が滑り摩擦であったのが、外側継手部材内周面と転動体が接触することにより転がり摩擦となる。そのため、スライド抵抗が低減される。しかも、外側継手部材内周面と転動体との間に所定量の隙間を確保することができるので、誘起スラスト力も抑制される。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記窪みを、前記ケージの外周面の最大外径部に形成したことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、作動角が0°付近である時に、外側継手部材内周面と転動体が満遍なく接触し、従来は、外側継手部材内周面とケージ外周面との間の摩擦が滑り摩擦であったのが、外側継手部材内周面と転動体との転がり摩擦となる。そのため、スライド抵抗が効果的に低減される。
請求項3の発明は、請求項1又は2のいずれか1項の発明において、前記窪みを、前記ケージの外周面であってポケットとポケットとの間の柱部の円周方向中央に形成したことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、前記窪みに収容された前記転動体による負荷が、ケージの柱部の外周面で最も負荷に強いケージの柱部外周面の中央にかかるので、ケージの耐久性が向上する。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の発明において、前記ケージの外周面上に突出した前記転動体と前記外側継手部材の内周面との間に、下限が0.02mmで上限が0.14mmの隙間を形成したことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、DOJの作動特性に対する弊害がなく、スライド抵抗が十分に低減され、また、誘起スラスト力が十分に抑制される。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の発明において、前記ケージの外周面上での前記転動体の突出量の下限を0.1mm、上限を0.2mmとしたことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、DOJの作動特性に対する弊害がなく、スライド抵抗が十分に低減され、また、誘起スラスト力が十分に抑制される。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項の発明において、前記転動体が球体、円筒ころ又は球面ころのいずれかであることを特徴とする。
請求項6の発明によれば、転動体が球体である場合は、転動体があらゆる方向に転動するので、ケージの様々な動きの際に、外側継手部材内周面と転動体が接触する場合の摩擦は、外側継手部材内周面とボールとの転がり摩擦となる。そのため、スライド抵抗が低減され、また、誘起スラスト力が抑制される。転動体が円筒ころである場合は、外側継手部材の内周面に対して、転動体がケージの軸方向に沿って接触しながら相対移動する場合の摩擦が、転がり摩擦になる。そのため、スライド抵抗が低減され、また、誘起スラスト力が抑制される。転動体が球面ころである場合は、外側継手部材の内周面に対して、転動体がケージの軸方向だけでなく軸方向から少しずれた方向に接触しながら相対移動する場合にも、転がり摩擦になる。そのため、スライド抵抗が低減され、また、誘起スラスト力が抑制される。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記窪みの底面が平面状又は凹球面状のいずれかであることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、窪みの底面が平面状である場合、窪みの形成が容易なため、製造費のコストダウンになる。窪みの底面が凹球面状である場合、前記転動体が外側継手部材の内周面に接触した場合、窪みの底面が平面状である場合より、前記転動体のボールと窪みの底面との間に良好な楔状油膜が形成されるため転がり摩擦が小さくなる。そのため、スライド抵抗が低減され、また、誘起スラスト力が抑制される。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項の発明において、前記窪みの開口縁部の全周又は複数箇所に前記転動体の脱落を阻止する張り出し部を形成したことを特徴とする。
請求項8の発明によれば、DOJの製造の際に、転動体が窪みから脱落することが無く、製造作業が容易になる。
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか1項の発明において、前記トルク伝達ボールを8個有することを特徴とする。
請求項9の発明によれば、トルク伝達ボールが6個の場合に比べて、トルク伝達ボール1個に対するトルクの負荷や角度変位と軸方向変位の際の負荷が減少する。そのため、トルク伝達ボール及びその周辺部材の耐久性が向上する。また、トルク伝達ボール及び周辺部材の小型化が可能になる。
本発明によれば、エンジン等の軸方向振動に起因する車室内の騒音や、誘起スラスト力に起因する不快な振動やこもり音などを効果的に抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る8個トルク伝達ボールDOJの全体構成を示したものである。
DOJは、外側継手部材1、内側継手部材2、トルク伝達ボール3およびケージ4を主要な構成要素としている。外側継手部材1は一端にて開口したカップ状で、開口端の反対側に回転軸と結合する軸部1aを有する。外側継手部材1の内周面1bは円筒形状で、その円筒状内周面1bに、軸方向に延びる8本のトラック溝1cが形成されている。内側継手部材2は球面状外周面2aを有し、この外周面2aに、軸方向に延びる8本のトラック溝2bが形成されている。内側継手部材2の軸孔2cにはシャフト5が圧入されてスプライン嵌合により連結されている。このシャフト5はサークリップ9等の止め輪により内側継手部材2に対して抜け止めされている。
外側継手部材1のトラック溝1cと内側継手部材2のトラック溝2bとが対をなしてボールトラックを形成し、各ボールトラックに1個ずつトルク伝達ボール3が組み込んである。トルク伝達ボール3は外側継手部材1と内側継手部材2との間に介在してトルクを伝達する役割を果たす。各トルク伝達ボール3は、円筒状のケージ4の円周方向に形成されたポケット4a内に保持されている。ケージ4は、球面状である内周面4bを有し、この内周面4bで内側継手部材2の球面状外周面2aと接している。ケージ4の外周面4cは球面状である。後述するように、ケージ4の外周面4cには、底面が平面である円筒形状の窪み4dがあり、転動体である補助ボール6が収容されている。
また、ケージ4の外周面4cの曲率中心Ooと内周面4bの曲率中心Oiは、継手中心Oを挟んで軸方向に互いに反対側に等距離だけオフセットされている。従って、継手が作動角をとった状態でトルクを伝達するとき、トルク伝達ボール3は、常に、外側継手部材1の回転軸と内側継手部材2の回転軸とがなす角を二等分する平面内に位置し、これにより、継手の等速性が確保される。
次に、本発明の特徴部分である、ケージ4の窪み4dと、窪み4dに収容される転動体である補助ボール6について詳述する。
図2にケージ4の軸方向断面図を示す。図2におけるケージ4のA−A線断面図を図3に示す。
窪み4dは底面が平面である円筒形状である。図2、3に示すように、窪み4dの形成されている位置は、ケージ4の外周面4cで、ケージ4の軸(図2におけるX−X線)に対する外径が最大であり、かつ、ケージ4のポケット4aとポケット4aとの間の柱部4eの円周方向での中央の位置である。窪み4dは、8個の柱部4eの全てに同一直径・同一深さで形成されており、8個ある。窪み4dは公知の機械加工により形成する。
補助ボール6は、窪み4dに対して、回転可能な状態で収容されている。補助ボール6は8個有り、8個の窪み4dにそれぞれ収容される。8個の補助ボール6は全て同じ直径の球体である。補助ボール6の材料及び製造方法は公知のものでよく、例えば、トルク伝達ボール3と同じものでよい。
図3において、補助ボール6は、窪み4dの底面に対して直接当接した状態であるが、この時の、補助ボール6の窪み4dから最も突出した点を結んで出来る円Bの直径D2は、外側継手部材1の内径D1(図1参照)より0.04〜0.28mm小さい。全ての補助ボール6が窪み4dの底面に直接当接した状態では、補助ボール6は窪み4dから同じ量だけ突出する。すなわち、外側継手部材1の軸とケージ4の軸とを合わせた場合(図1の状態)、補助ボール6が窪み4dの底面に直接当接した状態で、窪み4dから最も突出した補助ボール6の箇所と外側継手部材1の内周面1bとの間の隙間Gが、0.02〜0.14mmである。
また、図3において、補助ボール6は、窪み4dの底面に対して直接当接した状態であるが、この時の、補助ボール6の窪み4dから最も突出した点を結んで出来る円Bの直径D2は、ケージ4の軸に対する外径の中で最大の外径D3より、0.2〜0.4mm大きい。すなわち、補助ボール6が窪み4dの底面に対して直接当接した状態で、補助ボール6の窪み4dからの突出量Pは0.1〜0.2mmである。
図4に、窪み4d周辺の軸方向断面図を示す。図4(A1)は、ケージ4の軸と外側継手部材1の軸とを合わせた時の状態で、図4(A2)は補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに対して接触した状態である。DOJが作動中に、ケージ4が外側継手部材1に対して相対的に移動する際に、円Bの直径D2は、外側継手部材1の内径D1より0.04〜0.28mm小さい(窪み4dから最も突出した補助ボール6の箇所と外側継手部材1の内周面1bとの間の隙間Gが、0.02〜0.14mmである)ので、ケージ4や補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに接触する頻度が少ない。すなわち、ケージ4や補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに接触する際の摩擦が発生する頻度が少ない。また、円Bの直径D2は、ケージ4の最大外径D3より、0.2〜0.4mm大きい(補助ボール6の窪み4dからの突出量Pは0.1〜0.2mmである)ので、補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに接触することが多く、その分、ケージ4が外側継手部材1の内周面1bに接触する頻度が少ない。すなわち、ケージ4が外側継手部材1の内周面1bに接触した際の摩擦が発生する頻度が少ない。図4(A2)のように、補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに接触した場合には、窪み4dに対して補助ボール6は転動自在のため、転がり摩擦となり、ケージ4が接触した時の滑り摩擦より摩擦が小さい。
このように、外側継手部材1の内周面1bとゲージ4の外周面4c間の摩擦力が発生する頻度が少なく、また、外側継手部材1の内周面1bと補助ボール6との間の摩擦は小さい。従って、これらの摩擦力に起因する誘起スラスト力が小さくなり、誘起スラスト力に起因する不快な振動やこもり音などを抑制することができる。また、これらの摩擦力に起因するスライド抵抗も小さくなるため、エンジン等の軸方向振動に起因する車室内の騒音を抑制することができる。
円Bの直径D2と外側継手部材1の内径D1との差が0.04mm未満(窪み4dから最も突出した補助ボール6の箇所と外側継手部材1の内周面1bとの間の隙間Gが、0.02mm未満)の場合には、ケージ4や補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに接触する頻度が十分に減少しない。すなわち、ケージ4や補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに接触する際の摩擦が発生する頻度が十分に減少しない。従って、スライド抵抗が十分に低減されず、また、誘起スラスト力が十分に抑制されない。円Bの直径D2と外側継手部材1の内径D1との差が0.28mmより大きい(窪み4dから最も突出した補助ボール6の箇所と外側継手部材1の内周面1bとの間の隙間Gが、0.14mmより大きい)場合は、DOJの作動特性上好ましくない状態が発生する。また、円Bの直径D2とケージ4の最大外径D3との差が0.2mm未満(補助ボール6の窪み4dからの突出量Pが0.1mm未満)の場合は、補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに接触することが少なく、その分、ケージ4が外側継手部材1の内周面1bに接触する頻度が多くなる。すなわち、ケージ4が外側継手部材1の内周面1bに接触した際の摩擦が発生する頻度が多くなる。従って、スライド抵抗が十分に低減されず、また、誘起スラスト力が十分に抑制されない。また、円Bの直径D2とケージ4の最大外径D3との差が0.4mmより大きい(補助ボール6の窪み4dからの突出量Pが0.2mmより大きい)場合は、DOJの作動特性上好ましくない状態が発生する。
ここまでは、窪み4dの形状が、底面が平面である円筒形状の場合を説明してきたが、窪み4dの形状はこれに限定されるものでなく、例えば、図4(B1)(ケージ4の軸と外側継手部材1の軸とを合わせた時の状態を示す図)、図4(B2)(補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに対して接触した状態を示す図)に示すような半球形状であってもよい。この場合、窪み4dの半球形状底面の曲率半径は補助ボール6の半径より若干大きい方が望ましい。図4(B2)に示すように、補助ボール6が外側継手部材1の内周面1bに接触した場合、窪み4dの形状が平面底面の円筒形状の場合より、補助ボール6と窪みの底面4d1との間に良好な楔状油膜が形成されるため、転がり摩擦が小さくなる。従って、窪み4dの形状が、底面が平面である円筒形状の場合より、誘起スラスト力に起因する不快な振動やこもり音などを抑制することやエンジン等の軸方向振動に起因する車室内の騒音を抑制することができる。
また、図5(A)に示すように、補助ボール6の脱落防止のために、窪み4dの開口縁部の全周、又は、複数箇所に張り出し部4d2を形成することもできる。窪み4dの張り出し部4d2は、補助ボール6を収容する前にあらかじめ形成しておき、補助ボール6を張り出し部4d2に押し付け、張り出し部4d2を弾性変形させて、補助ボール6を窪み4dに収容する。また、別の収容方法として、補助ボール6を窪み4dにあらかじめ収容しておいてから、図5(B)に示すように、一点鎖線で示した治具Jを矢印の方向に作用させることにより、張り出し部4d2を成形してもよい。張り出し部4d2を形成しておくと、DOJの製造の際に、補助ボール6が窪み4dから抜け落ちることが無く、製造作業が容易になる。
ここまで、窪み4dに収容される転動体を補助ボール6とした場合を説明してきたが、転動体は、補助ボール6のようなボールに限られるものでなく、例えば、図6(A1)に示すような円筒ころ7、図6(A2)に示すような球面ころ8でも良い。なお、図6において両矢印Xはケージ4の軸方向を示す。円筒ころ7の場合、図6(B1)に示した窪み4dに収容された状態を示す平面図において、外側継手部材1の内周面1bに対して、軸方向に沿って接触しながら相対移動した場合の摩擦が、転がり摩擦になる。従って、誘起スラスト力に起因する不快な振動やこもり音などを抑制することやエンジン等の軸方向振動に起因する車室内の騒音を抑制することができる。球面ころ8の場合、図6(C2)に示した窪み4dに収容された状態を示す平面図において、外側継手部材1の内周面1bに対して、軸方向だけでなく軸方向から少しずれた方向へ接触しながら相対移動した場合の摩擦も、転がり摩擦になる。従って、誘起スラスト力に起因する不快な振動やこもり音などを抑制することやエンジン等の軸方向振動に起因する車室内の騒音を抑制することができる。
また、ここまで、ケージ4の窪み4dは1つの柱部4eに対して1つとして説明してきたが、ケージ4の窪み4dは1つの柱部4eに対して複数であっても良い。この場合、必ずしも、窪み4dが柱部4eに有る必要はない。例えば、1つの柱部4eの円周方向中央において、窪み4dがケージ4の軸に対し最大外径である位置に1つある他に、その位置に対してケージ4の軸方向に対称の位置に2つあってもよい。この場合、窪み4dに収容されている転動体6が窪み4dから突出していることに起因するDOJ作動時のガタツキが防止される。
さらに、ここまで、ケージ4の窪み4dが、1つの柱部4eについてケージ4の軸に対し最大外径である位置に少なくとも1つあるとして説明してきたが、ケージ4の窪み4dが、必ず1つの柱部4eについてケージ4の軸に対し最大外径である位置に1つ有る必要は無い。この場合、必ずしも、窪み4dが柱部4eに有る必要はない。例えば、1つの柱部4eの円周方向中央において、ケージ4の軸に対し最大外径である位置を基準にして、ケージ4の軸方向に対称の位置に窪み4dが2つであってもよい。また、例えば、1つの柱部4eの円周方向中央について窪み4dが1つずつ有り、それらの窪み4dの位置が隣り合う柱部4eの窪み4dに対して、ケージ4の軸に対し最大外径である位置を基準にして、ケージ4の軸方向に反対かつ等距離の位置にあってもよい。これらの場合、窪み4dに収容されている転動体6が窪み4dから突出していることに起因するDOJ作動時のガタツキが防止される。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されること無く、種々の変形が可能であり、例えば、上記実施形態では、ケージ4の窪み4dは柱部4eの円周方向中央の位置に形成したが、必ずしも円周方向中央でなくても良い。また、必ずしも全ての柱部4eに窪み4dが存在しなくても良い。
また、上記実施形態では、底面が平面の円筒形状の窪み4dの全てが、深さ及び底面積が同じであったが、必ずしも全ての窪み4dの深さ及び底面積が同じである必要はない。また、窪み4dが半球形状の場合についても、必ずしも、全ての窪み4dの半球形状底面の曲率半径が同じである必要はない。また、窪み4dに収容される全ての補助ボール6も半径が同じであったが、必ずしも全ての補助ボール6の直径が同じでなくても良い。要は、外側継手部材内周面1bと、転動体及びケージ外周面4cとの間に所定の隙間が確保されれば良い。
また、上記実施形態では、トルク伝達ボール3が8個であるDOJであったが、トルク伝達ボール3が8個である必要は無く、例えば6個であるDOJであっても良い。
本発明の実施形態に係る8個トルク伝達ボールDOJの全体構成を示した図である。 本発明の実施形態に係るケージの軸方向断面図である。 図2におけるケージのA−A線断面図である。 本発明の実施形態に係るケージの外周面の窪み周辺の軸方向断面図であり、(A1)は、窪みの形状が、底面が平面である円筒形状の場合で、ケージの軸と外側継手部材の軸とを合わせた時の状態を示す図で、(A2)は、窪みの形状が、底面が平面である円筒形状の場合で、収容されている補助ボールが外側継手部材の内周面に接触している状態を示す図で、(B1)は、窪みの形状が半球形状の場合で、ケージの軸と外側継手部材の軸とを合わせた時の状態を示す図で、(B2)は、窪みの形状が半球形状の場合で、収容されている補助ボールが外側継手部材の内周面に接触している状態を示す図である。 本発明の実施形態に係るケージの外周面の窪みの開口部の張り出し部を説明するための図で、(A)窪み周辺の軸方向断面図で、(B)は、窪みの開口部の張り出し部の形成方法の1つの説明図である。 本発明の実施形態に係るケージの外周面の窪みに収容される転動体がボール以外の例であり、(A1)は円筒ころの斜視図、(A2)は球面ころの斜視図で、(B1)は円筒ころが収容された窪み周辺の平面図、(B2)は球面ころが収容された窪み周辺の平面図である。 従来の8個トルク伝達ボールDOJの全体構成を示した図である。
符号の説明
1 外側継手部材
1b 外側継手部材の内周面
1c 外側継手部材のトラック溝
2 内側継手部材
2a 内側継手部材の外周面
2b 内側継手部材のトラック溝
3 トルク伝達ボール
4 ケージ
4a ケージのポケット
4b ケージの内周面
4c ケージの外周面
4d ケージの窪み
4d1 ケージの窪みの底面
4d2 ケージの窪みの張り出し部
4e ケージの柱部
6 補助ボール(転動体)
7 円筒ころ(転動体)
8 球面ころ(転動体)
O 継手中心
Oi ケージの凹球面状内周面の曲率中心
Oo ケージの凸球面状外周面の曲率中心
G 窪みから最も突出した補助ボール(転動体)の箇所と外側継手部材の内周面との間の隙間
P 補助ボール(転動体)の窪みからの突出量

Claims (9)

  1. 円筒形状内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を形成した外側継手部材と、球面状外周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を形成した内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との対で形成されるボールトラックに一個ずつ組み込んだ複数のトルク伝達ボールと、前記トルク伝達ボールを保持するポケット、前記外側継手部材の内周面に対向した球面状の外周面及び前記内側継手部材の外周面に接触案内される球面状の内周面を有するケージとを備え、前記ケージの球面状外周面の曲率中心と球面状内周面の曲率中心を、継手中心を挟んで軸方向に互いに逆方向に等距離だけオフセットさせた摺動式等速自在継手において、
    前記ケージの外周面に複数の窪みを周方向に並べて形成すると共に、これら窪みにそれぞれ転動体を回転可能に収容し、かつ、前記転動体を窪みの底面に当接させた状態で転動体の一部をケージの外周面上に所定量突出させたことを特徴とする摺動式等速自在継手。
  2. 前記窪みを、前記ケージの外周面の最大外径部に形成したことを特徴とする請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  3. 前記窪みを、前記ケージの外周面であってポケットとポケットとの間の柱部の円周方向中央に形成したことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  4. 前記ケージの外周面上に突出した前記転動体と前記外側継手部材の内周面との間に、下限が0.02mmで上限が0.14mmの隙間を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  5. 前記ケージの外周面上での前記転動体の突出量の下限を0.1mm、上限を0.2mmとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  6. 前記転動体が球体、円筒ころ又は球面ころのいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  7. 前記窪みの底面が平面状又は凹球面状のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の摺動式等速自在継手。
  8. 前記窪みの開口縁部の全周又は複数箇所に前記転動体の脱落を阻止する張り出し部を形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  9. 前記トルク伝達ボールを8個有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
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