JP2008215074A - 自動車用電動過給機及びその制御方法 - Google Patents

自動車用電動過給機及びその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車の急発進時又は急加速時に、アクセルの吹き込み量と連動して速やかに増速可能な電動過給機及びその制御方法を実現する。
【解決手段】電動機に電力を供給する蓄電装置5を備え、該電動機によりコンプレッサを駆動して内燃機関の給気を過給する自動車用電動過給機の制御方法において、電動機2の最大発生トルクとコンプレッサ1の角速度又は回転数に応じて変化する負荷トルクとの差に基づいて、数式(1)〜(4)から電動機2の角速度又は回転数の加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値を算出し、これらの算出値に基づいて電動機2の作動を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用内燃機関に適用される電動過給機において、自動車の発進時又は加速時等における加速性を向上させた電動過給機及びその制御方法に関する。
従来、自動車用内燃機関の気筒内に吸入する給気の圧力を高めて、気筒内の空気の重量を増大させて1サイクル当りの出力を増大させることを狙いとする過給機は古くから知られている。こうした過給機のひとつとして、内燃機関の排出する排気ガスをタービンに導いて高速回転させ、このタービンと回転軸を共用するコンプレッサを駆動させて、内燃機関に過給を行なう過給機がある。
かかる過給機の稼動は内燃機関の排気が必要であり、発進時や急速加速時等にクイックレスポンスができない。また排気の圧力が上がると内燃機関に影響を与え、内燃機関の燃焼が悪化する、燃費が悪くなるなどの問題があった。
そこで蓄電装置と、該蓄電装置の電力を変換して電動機に供給するインバータとを備え、該電動機によりコンプレッサを駆動して内燃機関の給気を過給する電動過給機が提案されている(特許文献1)。該インバータは、FET等のスイッチング素子で構成され、該蓄電装置から送られた直流を交流に変換し、かつ電圧及び周波数を調整して電動機を駆動する。
自動車用内燃機関の電動過給機は、内燃機関の出力を増大させる目的及び内燃機関の出力の過度応答を改善する目的で使用される。電動過給機は、コンプレッサを電動機で高速回転させ、内燃機関に圧縮空気を送り込む。高速で回転する電動機のロータとコンプレッサはギアレス直結されており、回転数は数万〜十数万rpmに達する。この電動過給機の構成を図5で説明する。
図5において、コンプレッサ01は、該コンプレッサを駆動する電動機02及びインバータ03と一体に構成され、筐体04内に収納される。インバータ03は、FET等のスイッチング素子で構成され、バッテリ05からインバータ03に送られる直流電力dを交流電力に変換し、電圧及び周波数を調整して電動機02を駆動する。給気aは、給気口01aからコンプレッサ01内に吸引された後、内燃機関06に供給される。吸入口06aからエンジン06内に吸入された給気aは内燃機関06を駆動した後、排気口06bから排気bとなって排出される。
特開2006−258094号公報
従来、前記電動過給機の電動機を回転数制御で加速するためには、一定の加速レートで昇速するような回転数指令を与えている。内燃機関はアクセルの吹き込み量と連動するが、電動過給機のコンプレッサは、加速レートが一定のため、内燃機関を急加速することが困難であった。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、運転者の操作能力に対応して、自動車の急加速時には内燃機関をアクセルの吹き込み量と連動して速やかに増速させることを可能にする電動過給機を実現することを目的とする。
また高い効率で内燃機関への過給を行い、これによって電動過給機の小型、軽量化を達成することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の電動過給機の制御方法は、電動機に電力を供給する蓄電装置を備え、該電動機によりコンプレッサを駆動して内燃機関の給気を過給する自動車用電動過給機の制御方法において、
前記電動機の最大発生トルクと該コンプレッサの角速度又は回転数に応じて変化する負荷トルクとの差に基づいて、下記の数式(1)〜(4)から該電動機の加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値を算出し、
該加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値に基づいて該電動機の作動を制御するものである。
加速トルク:Ta=Tm−Tl=J・dw/dt (1)
(ただし、Tm:最大発生トルク、Tl:負荷トルク、J:電動機および負荷の慣性モーメント、w:電動機の角速度、t:時間))
加速レート:dw/dt=Ta/J=(Tm−Tl)/J (2)
角速度指令値:w=∫(Tm−Tl)/J・dt (3)
回転数指令値:f=w/2π (4)
また本発明の電動過給機は、電動機に電力を供給する蓄電装置を備え、該電動機によりコンプレッサを駆動して内燃機関の給気を過給する電動過給機において、
前記電動機の回転軸の角速度又は回転数を検出するセンサと、該回転軸に負荷されるトルクを検出するセンサと、該センサによる角速度又は回転数及び負荷トルクの検出値を入力し、前記の数式(1)〜(4)から該電動機の加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値を算出し、該加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値に基づいて該電動機の作動を制御する制御装置と、を備えたものである。
前記本発明方法では、前記数式(1)〜(4)からコンプレッサを駆動する電動機回転軸の回転数の加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値を算出し、算出した該加速レートと該角速度指令値又は回転数指令値に基づいてコンプレッサを駆動する電動機を制御するようにしている。数式(1)〜(4)を用いることによって、電動機の最大発生トルクと負荷トルクとの差が大きい初期始動時ほど急勾配の加速レート及び角速度又は回転数を設定可能である。これによって、該電動機の発生トルクを最大限に利用してコンプレッサの加速を行なうことができる。そのため、従来のように回転数を一定の加速レートで行なうトルク制御と比べて、加速時間を短縮することができる。
また前記本発明装置では、センサによりコンプレッサを駆動する電動機の回転軸の回転数及び該回転軸に負荷されるトルクを検出し、これら検出値を制御装置に入力し、該制御装置においてこれら検出値に基づいて前記数式(1)〜(4)から該電動機の作動を制御するものである。これによって、電動機の最大発生トルクと負荷トルクとの差が大きい初期始動時ほど急勾配の加速レート及び角速度又は回転数を設定できるため、該電動機の発生トルクを最大限に利用してコンプレッサの加速を行なうことができる。従って、従来のように回転数を一定の加速レートで行なう加速制御と比べて加速時間を短縮することができる。
本発明装置において、電動機の最大発生トルクTmが該電動機の角速度又は回転数に応じて変化する場合、例えば誘導電動機を用いる場合、最大発生トルクTmを該電動機の角速度又は回転数の関数として角速度指令値w又は回転数指令値fを算出するようにするとよい。これによって、電動機の最大発生トルクTmが電動機の角速度又は回転数で変化する場合であっても、電動機の発生トルクを最大限に利用できる。そのため、自動車の急加速又は急発進等を可能とする。
また電動機の発生トルクは電動機の周囲温度によって変化する場合がある。本発明装置において、好ましくは、電動機の温度を検出する温度センサを設け、前記制御装置に記憶した電動機の最大発生トルクTmの温度特性テーブルを用いて該電動機の最大発生トルクTmを補正するようにするとよい。これによって、温度による電動機特性の変化に対応して電動機の角速度又は回転数を調整できるため、電動機の発生トルクを最大限に利用できて、自動車の加速時間をさらに短縮することができる。
本発明方法によれば、電動機の最大発生トルクと該コンプレッサの角速度又は回転数に応じて変化する負荷トルクとの差に基づいて、前記数式(1)〜(4)から該電動機の加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値を算出し、該加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値に基づいて該電動機の作動を制御するようにしているので、電動機の最大発生トルクと負荷トルクとの差が大きい始動時ほど急勾配の加速レート及び回転数を設定可能である。
従って、高速応答が必要な電動過給機において、電動機の発生トルクを最大限利用したコンプレッサの加速を行うことができるため、トルク加速レートが一定の従来の電動過給機と比べて加速時間を短縮することができる。
また内燃機関の排気で駆動されるのではなく、電動機でコンプレッサを駆動するため、運転者の操作能力に対応して、自動車の加速時にはアクセルの吹き込み量と連動して急増速が可能であるまた高い加速レートで内燃機関への過給が可能となるので、内燃機関の小型化及び軽量化が可能になる。
また本発明装置によれば、電動機の回転軸の角速度又は回転数を検出するセンサと、該回転軸に負荷されるトルクを検出するセンサと、該センサによる角速度又は回転数及び負荷トルクの検出値を入力し、前記の数式(1)〜(4)から該電動機の角速度又は回転数の加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値を算出し、該加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値に基づいて該電動機の作動を制御する制御装置と、を備えているので、前記本発明方法による作用効果を奏することができる。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
本発明の第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は本実施形態の電動過給機のブロック線図であり、図2は本実施形態のトルク加速レートを示す線図であり、図3は本実施形態の回転数指令値を示す線図である。
図1において、インバータ3ではバッテリ5からインバータ3に送られる直流電力dを交流電力に変換し、電圧及び周波数を調整して電動機2を駆動する。電動機2の回転軸2aはコンプレッサ1の駆動軸と接続され、コンプレッサ1を駆動する。給気aは、コンプレッサ1内に吸引された後、内燃機関6に供給される。回転軸2aには回転軸2aに負荷されるトルクを検出するトルクセンサ7と、回転軸2aの回転数を検出する回転数センサ8が取り付けられている。また電動機には電動機2の温度を検出する温度センサ9が設けられている。これらセンサ7〜9の検出信号は制御装置10に送られる。
制御装置10では、センサ7〜9から回転軸2aの回転数及び負荷トルクの検出値、及び電動機2の温度検出値を受信し、これらの検出値に基づき、下記の数式(1)〜(4)から、コンプレッサ1を駆動する電動機2の回転軸2aの加速レート及び回転数指令値を算出する。
加速トルク:Ta=Tm−Tl=J・dw/dt (1)
(ただし、Tm:電動機2の最大発生トルク、Tl:電動機2の負荷トルク、J:電動機および負荷の慣性モーメント、w:電動機2の角速度、t:時間)
加速レート:dw/dt=Ta/J=(Tm−Tl)/J (2)
角速度指令値:w=∫(Tm−Tl)/J・dt (3)
回転数指令値:f=w/2π (4)
図2は、本実施形態で算出した回転軸2aの回転数の加速レートと電動機の回転軸の回転数が一定の従来の加速レートを示す線図である。図2において、縦軸は電動機2の回転軸2aに付加されるトルクT、横軸は該回転軸2aの回転数を示す。また曲線eは回転数に対する電動機2の負荷トルク特性を示し、曲線pは電動機2の最大発生トルク特性Tmを示す。曲線hは一定の加速レートで昇速するような回転数指令を与える従来方式の場合のトルク曲線であり、曲線gは本実施形態によるトルク曲線である。
従来方式では、回転数を一定のレートで加速するような加速方式であるため、トルク曲線hは、負荷トルク曲線eの上方を負荷トルク曲線eと一定の差をもたせて上昇するトルク曲線となる。従って、電動機の回転軸が最大発生トルクTmに至るのに時間がかかる。
一方本実施形態のトルク曲線gは、電動機2の最大発生トルク特性Tmと電動機2の負荷トルク特性Tlとの差である加速トルクTaに基づいて、加速レートdw/dt及び回転数指令値fを算出する。従って、図2に示すように、本実施形態のトルク曲線gは、短時間で最大発生トルクTmに達する。そのため、初期始動時から電動機の最大発生トルクを用いることができるので、回転数の加速レートを大きくすることができる。
図3は、電動機回転軸2aの回転数fと時間tとの関係を示す線図である。トルク曲線の場合と同様に、本実施形態の回転数曲線iは、急激な上昇勾配を呈して短時間で許容最大回転数fmに達する。一方従来方式の回転数曲線jは、許容最大回転数fmに達するのに時間がかかり、本実施形態と従来方式とではΔt分だけの時間差を生じる。従って、自動車の急速発進及び急速加速を可能とする。
なお、図2中の曲線p’は、電動機回転軸2aの最大発生トルクが電動機の回転数に応じて変化する場合、例えば誘導電動機等の場合の最大発生トルク曲線Tm’を示す。この場合、回転軸2aの最大発生トルクTm’を速度の関数として、前記数式(1)〜(4)で回転数指令値fを算出すればよい。これによって、電動機回転軸の最大発生トルクTmが電動機の回転数に応じて変化する場合でも、電動機の発生トルクを最大限に利用することができる。
(実施形態2)
次に本発明の第2実施形態を図4により説明する。図4は、電動機2の各温度条件における温度特性係数kを示す線図である。電動機の発生トルクは、電動機の周囲温度の影響で変化する。これは電動機の巻き線の電導度、ベアリング用潤滑油の粘度等が温度によって変化するためと考えられる。そこで本実施形態では、温度の影響による電動機の発生トルクの変化に対して、電動機回転軸2aの加速レートを追従させることにより、最大発生トルクTmに到達する時間をさらに短縮可能にしたものである。
制御装置10には図2に相当する温度特性テーブルが記憶されている。そして温度センサ9で検出した電動機2の温度検出値に対応した温度特性係数kを求める。求めた温度特性係数kを電動機2の最大発生トルクTmに乗じてk・Tmを算出し、該k・Tmを数式(1)のTmに代入し、以下前記第1実施形態と同様にして、加速レートdw/dt及び回転数指令値fを算出する。
これによって、本実施形態では、電動機2の温度に対する温度特性を加味してトルク回転軸2aの加速レート及び回転数指令値を算出できるので、回転軸2aの最大発生トルクTm及び許容最大回転数Nmに到達する時間をさらに短縮することができる。
なお、本発明において、電動機回転軸2aに負荷されるトルクの検出は、前記第1実施形態及び第2実施形態のように、トルクセンサ7で直接検出してもよいが、回転軸2aの回転数に対応したトルク曲線を示す特性テーブルを予め用意し、該特性テーブルから回転数aのトルク曲線を求めるようにしてもよい。
本発明によれば、自動車用内燃機関の電動過給機において、始動時又は加速時等に最大発生トルクに達する時間を短縮することにより、過給機の角速度又は回転数の加速レートを増加させ、自動車の急発進及び急加速を可能とする。
本発明の第1実施形態の電動過給機のブロック線図である。 前記第2実施形態の加速レートを示す線図である。 前記第1実施形態の回転数指令値を示す線図である。 本発明の第2実施形態の温度特性曲線を示す線図である。 従来の電動過給機の構成図である。
符号の説明
1 コンプレッサ
2 電動機
2a 電動機回転軸
3 インバータ
5 バッテリ(蓄電装置)
6 内燃機関
7 トルクセンサ
8 回転数センサ
9 温度センサ
10 制御装置

Claims (4)

  1. 電動機に電力を供給する蓄電装置を備え、該電動機によりコンプレッサを駆動して内燃機関の給気を過給する自動車用電動過給機の制御方法において、
    前記電動機の最大発生トルクと該コンプレッサの角速度又は回転数に応じて変化する負荷トルクとの差に基づいて、下記の数式(1)〜(4)から該電動機の加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値を算出し、
    該加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値に基づいて該電動機の作動を制御することを特徴とする電動過給機の制御方法。
    加速トルク:Ta=Tm−Tl=J・dw/dt (1)
    (ただし、Tm:最大発生トルク、Tl:負荷トルク、J:電動機及び負荷の慣性モーメント、w:電動機回転軸の角速度、t:時間)
    加速レート:dw/dt=Ta/J=(Tm−Tl)/J (2)
    角速度指令値:w=∫(Tm−Tl)/J・dt (3)
    回転数指令値:f=w/2π (4)
  2. 電動機に電力を供給する蓄電装置を備え、該電動機によりコンプレッサを駆動して内燃機関の給気を過給する電動過給機において、
    前記電動機の回転軸の角速度又は回転数を検出するセンサと、
    該回転軸に負荷されるトルクを検出するセンサと、
    該センサによる角速度又は回転数及び負荷トルクの検出値を入力し、下記の数式(1)〜(4)から該電動機の加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値を算出し、該加速レート及び角速度指令値又は回転数指令値に基づいて該電動機の作動を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする自動車用電動過給機。
    加速トルク:Ta=Tm−Tl=J・dw/dt (1)
    (ただし、Tm:電動機の最大発生トルク、Tl:電動機の負荷トルク、J:電動機及び負荷の慣性モーメント、w:電動機回転軸の角速度、t:時間)
    加速レート:dw/dt=Ta/J=(Tm−Tl)/J (2)
    角速度指令値:w=∫(Tm−Tl)/J・dt (3)
    回転数指令値:f=w/2π (4)
  3. 前記電動機の最大発生トルクTmが該電動機の角速度又は回転数に応じて変化する場合であって、最大発生トルクTmを該電動機の角速度又は回転数の関数として前記角速度指令値w又は回転数指令値fを算出することを特徴とする請求項2に記載の電動過給機。
  4. 前記電動機の温度を検出する温度センサを設け、前記制御装置に記憶した該電動機の最大発生トルクTmの温度特性テーブルを用いて該電動機の最大発生トルクTmを補正することを特徴とする請求項2に記載の電動過給機。
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