JP2008207978A - ハニカム構造体及びその製造方法 - Google Patents

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芳朗 小野
Shuji Ueda
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Abstract

【課題】熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性に優れた、コージェライトからなるハニカム構造体を提供する。
【解決手段】コージェライト化原料から得られた坏土をハニカム形状に成形する工程を経て製造された、コージェライトの主結晶が95質量%以上のハニカム構造体1であり、前記コージェライト化原料が、X線回折によるX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)に対する、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)の割合(I/I)が10以上であり、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)の割合(I/I)が0.08以下であり、且つ前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)の割合(I/I)が0.03以下のタルク粒子を含むものであるハニカム構造体1。
【選択図】図1

Description

本発明はハニカム構造体、及びその製造方法に関し、更に詳しくは、熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性に優れた、コージェライトからなるハニカム構造体、及びその製造方法に関する。
ディーゼルエンジン等の自動車用エンジンから排出される排ガスに含まれる、粒子状物質やNO等の有害物質の環境への影響が近年クローズアップされている。これらの有害物質を除去するための重要な手段として、ハニカム構造体の利用が種々検討されている。
図1は、ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、ハニカム構造体1は、流体の流路となる複数のセル3を区画形成する多孔質の隔壁2を備えたものである。このようなハニカム構造体は、所定のセルの一の端面側の開口部を目封止するとともに、残余のセルの他の開口部を目封止することによって、一の端面に開口する各セル3に排ガスを流入させ、多孔質の隔壁2を強制的に通過させることにより、排ガス中の粒子状物質を捕集・除去するフィルタ(ハニカムフィルタ)としての利用について開発が進められている。また、隔壁2上にHC(ハイドロカーボン)やNO(窒素酸化物)を分解する触媒を担持して排ガスの浄化を行う触媒担体としての利用についても開発が進められている。なお、このようなハニカム構造体を構成する材料としては、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性の高いコージェライトが好適に使用されている。
また、このようなハニカム構造体を触媒担体やフィルタとして用いる際には、エンジンの近傍に設置されて、継続的に熱衝撃に曝されることとなる。従って、ハニカム構造体は熱膨張係数が低く、十分な耐熱衝撃性を有するものであることが要求される。
また、例えば、ハニカム構造体をフィルタとして用いる場合には、高い捕集効率を有するものであることが要求される。また、ハニカム構造体を触媒担体として用いる場合には、排ガスの浄化性能をより向上させるために触媒担持量を増大させることが近年要求されている。これらの要求を満たすためには、ハニカム構造体を構成する多孔質の隔壁の気孔径を大きくして高気孔率にすることが有効であるが、高気孔率化に伴って、ハニカム構造体の耐熱衝撃性は低下する傾向にある。
このようなコージェライトからなるハニカム構造体は、アルミナ源を含むコージェライト化原料を用いて坏土を得、得られた坏土をハニカム形状に成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を乾燥及び焼成することにより製造することができる(例えば、特許文献1参照)。
また、ハニカム構造体の熱膨張係数を小さくして耐熱衝撃性を高めることを目的とした、BET比表面積が20m/g以上のベーマイトをアルミナ源として用いた、コージェライトからなるハニカム製品が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
更に、気孔径が大きく高気孔率でありながらも耐熱衝撃性を向上させることを目的とした、適当なBET比表面積のアルミナ源を所定の割合で含有させるとともに、このアルミナ源に微粒のベーマイトを所定の割合で含有させるハニカム構造体の製造方法についても開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−40687号公報 特表2001−524452号公報 特開2006−256908号公報
しかしながら、特許文献2及び3のような特定のアルミナ源を含有したコージェライト化原料を用いることにより、ある程度は熱膨張係数を低減させ、耐熱衝撃性を向上させることができるものの、未だ、排ガス中の粒子状物質を捕集・除去するフィルタや排ガスの浄化を行う触媒担体としてハニカム構造体を用いるためには、熱膨張係数が高すぎ、耐熱衝撃性に劣るという問題があった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性に優れた、コージェライトからなるハニカム構造体、及びその製造方法を提供する。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、コージェライト化原料としては、アルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源といった複数種類の原料粉体が用いられているが、これらの粉体の中で、特にタルク粒子が熱膨張係数と耐熱衝撃性に大きな影響を及ぼしており、タルク粒子として、そのX線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、所定の散乱角におけるピーク強度を比較した割合が特定の範囲を満たすものを用いることにより、ハニカム構造体の熱膨張係数を飛躍的に小さくするとともに、耐熱衝撃性を大幅に向上させることができ、上記課題を達成することが可能であることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すハニカム構造体、及びその製造方法が提供される。
[1] アルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源を含むコージェライト化原料から得られた坏土をハニカム形状に成形する工程を経て製造された、多孔質の隔壁を備え、前記隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造体であって、前記コージェライト化原料が、下記条件(1)〜(3)を満たすタルク粒子を含むものであり、且つ前記隔壁を構成するコージェライトの主結晶が95質量%以上であるハニカム構造体。
条件(1):前記タルク粒子のX線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)に対する、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)の割合(I/I)が、10以上である。
条件(2):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.08以下である。
条件(3):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.03以下である。
[2] 前記隔壁の流路方向における熱膨張係数が0.25×10−6/℃以下である前記[1]に記載のハニカム構造体。
[3] 耐熱衝撃温度が800℃以上である前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
[4] 前記コージェライト化原料が、前記タルク粒子に加えて、カオリン、仮焼カオリン、シリカ、及びアルミナ源の原料粒子をそれぞれ含むものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[5] 前記ハニカム構造体を構成するコージェライトの結晶相における、前記隔壁の流路方向と平行に配向するコージェライト結晶の配向度が、0.82以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[6] 前記コージェライト化原料は、前記タルク粒子を、20〜45質量%含むものである前記[1]〜[5]に記載のハニカム構造体。
[7] アルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源を含むコージェライト化原料からなる坏土をハニカム形状に成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を乾燥及び焼成して、多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された、コージェライトの主結晶が95質量%以上のハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、前記コージェライト化原料として、下記条件(4)〜(6)を満たすタルク粒子を含む前記コージェライト化原料を用いるハニカム構造体の製造方法。
条件(4):前記タルク粒子のX線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)に対する、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)の割合(I/I)が、10以上である。
条件(5):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.08以下である。
条件(6):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.03以下である。
本発明のハニカム構造体は、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたものである。また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、このような本発明のハニカム構造体を簡便且つ安価に製造することができる。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
[1]ハニカム構造体:
先ず、本発明のハニカム構造体の一の実施形態について説明する。本実施形態のハニカム構造体は、図1に示すように、多孔質の隔壁2を備え、この隔壁2によって流体の流路となる複数のセル3が区画形成されたハニカム構造体1である。
本実施形態のハニカム構造体は、アルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源を含むコージェライト化原料から得られた坏土をハニカム形状に成形する工程を経て製造されたものである。そして、本実施形態のハニカム構造体は、上記したコージェライト化原料として、下記条件(1)〜(3)を満たすタルク(3MgO・4SiO・HO)粒子を含むものを用いて製造されたものであり、且つ隔壁を構成するコージェライトの主結晶が95質量%以上である。
条件(1):前記タルク粒子のX線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)に対する、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)の割合(I/I)が、10以上である。
条件(2):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.08以下である。
条件(3):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.03以下である。
なお、上記条件(1)〜(3)における、タルク粒子のX線回折(XRD)によるX線回折スペクトルは、例えば、測定装置として、リガク社製のX線回折装置(商品名「RAD−1B」)を使用して、測定することができる。なお、本実施形態のハニカム構造体における、タルク粒子のX線回折(XRD)の測定条件としては、表1に示す条件である。測定条件を表1に示す。
Figure 2008207978
上記条件(1)〜(3)を全て満たすタルク粒子を含むコージェライト化原料を用いた本実施形態のハニカム構造体は、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたものである。
また、上記したように、本実施形態のハニカム構造体は、隔壁を構成するコージェライトの主結晶が95質量%以上のものである。このように構成することによって、本来、熱膨張係数が小さいとされているコージェライトの結晶の割合が十分に高いハニカム構造体において、上記条件(1)〜(3)を全て満たすタルク粒子を用いることによって更に熱膨張係数を小さくすることが可能となる。なお、コージェライトの主結晶が95質量%未満である場合には、ハニカム構造体に占めるコージェライトの結晶の割合が低くなり、熱膨張係数が高くなってしまうことがある。なお、特に限定されることはないが、コージェライトの主結晶は、98質量%以上であることが好ましい。このコージェライトの主結晶の割合は、リートヴェルト法により、内部標準物質としてコランダムを用いた定量分析にて測定した。
従来、ハニカム構造体を製造する際に用いられるコージェライト化原料に含まれるタルク粒子等は、化学分析によって定性及び定量がなされているが、これらの値と、製造されたハニカム構造体の熱膨張係数及び耐熱衝撃性との相関性を見出すことはできなかった。例えば、タルク粒子は鉱物として産出されるため、通常、マグネサイト、ドロマイト、クロライト等の不純物が不可避的に含まれている。従来、化学分析によって、不純物成分の定性及び定量分析を行うことは可能であるが、このような測定結果と、ハニカム構造体の熱膨張係数及び耐熱衝撃性との相関性を見出すことはできなかった。
本実施形態のハニカム構造体は、タルク粒子のX線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、上記条件(1)〜(3)を満たすものを用いて製造されたものであり、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れている。即ち、コージェライトからなるハニカム構造体においては、コージェライト化原料に含まれるタルク粒子の化学組成では、得られるハニカム構造体の熱膨張係数及び耐熱衝撃性への影響を推測することは不可能であり、タルク粒子の主結晶であるタルク結晶の結晶状態とその量、及びタルク粒子に含まれる特定の不純物の結晶状態とその量を規定することにより、熱膨張係数を低減し、耐熱衝撃性を向上させることができる。
なお、本実施形態のハニカム構造体においては、隔壁の流路方向における熱膨張係数が0.25×10−6/℃以下であることが好ましい。これは、全てのハニカム構造・形状を考慮した場合において優れた耐熱衝撃性を有する範囲である。熱膨張係数が0.25×10−6/℃超であると、高気孔率及び容量の大きな構造体の場合に十分な耐熱衝撃性が得られなくなることがある。より優れた耐熱衝撃性を持たせるといった観点からは、本実施形態のハニカム構造体の熱膨張係数は0.2×10−6/℃以下であることが更に好ましい。なお、上記した隔壁の流路方向における熱膨張係数は、JIS R1618記載の方法に準拠して測定することができる。
また、本実施形態のハニカム構造体においては、耐熱衝撃性試験により測定される耐熱衝撃温度が800℃以上であることが好ましく、850℃以上であることが更に好ましい。なお、本実施形態のハニカム構造体の耐熱衝撃性試験により測定される耐熱衝撃温度の上限値については特に限定されないが、必要な気孔率を有し、かつ実用的な形状・サイズであるものについて、実質的な製造可能性の観点からは950℃以下である。
ここで、本明細書にいう「耐熱衝撃性試験」の実施方法について説明する。耐熱衝撃性試験は、予め650℃に熱した電気炉にハニカム構造体を入れ、ハニカム構造体全体が、電気炉の加熱温度と同一温度となる十分な時間(具体的には、例えば、60インチ(983cm)の大きさのハニカム構造体においては、30分以上)加熱した後、冷却速度50℃/minにて室温まで空冷する。この冷却における熱衝撃により、ハニカム構造体の側面、端面、又は内部にクラックが発生しているかについて検出する。室温まで冷却した際にクラックが発生せずに至った場合、その加熱温度をクリアしたとみなす。クラックは目視、打音等で検出する。クリアしたハニカム構造体について、50℃ステップで電気炉の加熱温度を上昇させ、上記試験をクラックが発生するまで繰り返して行う。クラックの発生しなかった最高温度を「耐熱衝撃温度(℃)」とする。
また、本実施形態のハニカム構造体においては、ハニカム構造体を構成するコージェライトの結晶相における、隔壁の流路方向と平行に配向するコージェライト結晶の配向度が、0.82以上であることが好ましく、0.90以上であることが更に好ましい。このように構成することによって、耐熱衝撃性を更に向上させることが可能となり、例えば、気孔径が大きく高気孔率でありながらも耐熱衝撃性に優れたものとすることができる。
なお、上記した隔壁の流路方向と平行に配向するコージェライトの結晶相の配向度とは、ハニカム構造体の隔壁を切り出し、その隔壁面に対しX線回折を行い、コージェライト結晶の面指数(110)のピーク強度I(110)と、面指数(002)のピーク強度I(002)とを測定し、これらの測定値から、下記式(1)によって算出したピーク強度の割合のことである。なお、この配向度の算出時に行われるX線回折の方法については特に制限はなく、従来公知の方法に従って測定を行うことができる。具体的な測定方法としては、例えば、英国特許第1456456号明細書に記載された方法等を挙げることができる。
配向度=I(110)/(I(110)+I(002)) ・・・(1)
(但し、上記式(1)において、I(110)は、コージェライト結晶の面指数(110)のピーク強度を示し、I(002)は、コージェライト結晶の面指数(002)のピーク強度を示す)
また、本実施形態のハニカム構造体の平均気孔径は、3〜8μmであることが好ましい。平均気孔径が3μm未満であると、フィルタとして用いた場合に十分な捕集効率を得ることが困難となることがある。また、触媒担体として用いた場合には、十分な量の触媒を担持することが困難となることがある。一方、平均気孔径が8μm超であると、十分な物理的強度の確保が困難となることがある。なお、捕集効率の確保や十分な量の触媒担持を可能としつつ、物理的強度をも確保するといった観点からは、本実施形態のハニカム構造体の平均気孔径は4〜6μmであることが更に好ましい。
また、本実施形態のハニカム構造体の気孔率は、25%以上であることが好ましい。気孔率が25%未満であると、フィルタとして用いた場合に十分な捕集効率を得ることが困難となることがある。また、触媒担体として用いた場合には、十分な量の触媒を担持することが困難となることがある。なお、捕集効率の確保や十分な量の触媒担持を可能にするといった観点からは、本実施形態のハニカム構造体の気孔率は30%以上であることが更に好ましい。また、本実施形態のハニカム構造体の気孔率の上限値については特に限定されないが、実質的な製造可能性や必要な物理的強度を維持する等の点を考慮すると、70%以下(フィルタとして用いた場合を含む)であることが好ましい。
本明細書にいう「平均気孔径」とは、水銀圧入法によって測定される値をいい、例えば、水銀圧入式ポロシメーターによって測定することができる。また、「気孔率」とは、水銀圧入法によって測定されるハニカム構造体(多孔質体)の全気孔容積(V)と、ハニカム構造体の構成材料の真比重(d)(コージェライトの場合であれば、d=2.52g/cm)とから、下記式(2)により算出される値(P)をいう。
={V/(V+1/d)}×100 ・・・(2)
本実施形態のハニカム構造体の全体構造としては、例えば、図1に示すものを一例として挙げることができる。但し、ハニカム構造体の全体形状やセル形状等についてはこれに限定されるものではない。全体形状についていえば、図1に示すような円筒状の他、四角柱状、三角柱状等の形状を挙げることができる。また、セル形状(流体の流路方向に垂直な断面におけるセル3の形状)についていえば、図1に示すような四角形の他、六角形、三角形、円形等の形状を挙げることができる。なお、本実施形態のハニカム構造体は、例えば、多孔質の隔壁表面や気孔中に触媒を担持させて触媒担体として用いることができる。また、複数のセルの一方の開口部と、他方の開口部とを互い違いに目封止して、フィルタとして用いることもできる。
本実施形態のハニカム構造体を触媒担体として用いる場合には、セル密度は6〜1500セル/平方インチ(0.9〜233セル/cm)、隔壁厚さは50〜2000μm(約2〜79mil)であることが好ましい。また、流体の流路方向の長さ(ハニカム構造体の全長)は、ハニカム構造体を使用する用途によって適宜決定することができるが、60〜300mmであることが好ましく、100〜250mmであることが更に好ましい。
[1−1]コージェライト化原料:
本実施形態のハニカム構造体の製造に用いられるコージェライト化原料は、アルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源を含むものであり、焼成後の組成がコージェライトの理論組成(2MgO・2Al・5SiO)となるように、複数の原料粉体を混合して得られたものである。本実施形態においては、このコージェライト化原料に、上記した条件(1)〜(3)を満たすタルク粒子が含まれている。
本明細書において「アルミナ源」というときは、アルミナ、水酸化アルミニウム、活性化アルミナ、及びベーマイト(Al・HO)を挙げることができる。また、カオリン(Al・2SiO・2HO)やムライト(3Al・2SiO)等の粒子は、アルミナ源とシリカ源との役割を果たす物質として用いることができる。
シリカ源としては、シリカ、シリカを含む複合酸化物、又は焼成によりシリカに変換される物質等の粒子を用いることができる。具体的には、上記したタルク(3MgO・4SiO・HO)がシリカ源となる他、石英をはじめとするシリカ(SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、仮焼カオリン、及びムライト(3Al・2SiO)等の粒子を挙げることができる。なお、仮焼カオリンとは、鉱物として産出されるカオリン(生カオリン)を、所定の温度、例えば、1000〜1100℃にて仮焼したものである。
マグネシア源としては、マグネシア、マグネシアを含む複合酸化物、又は焼成によりマグネシアに変換される物質等の粒子を用いることができる。上記したタルク(3MgO・4SiO・HO)がマグネシア源となる他、例えば、マグネサイト(MgCO)等の粒子を挙げることができる。なお、本実施形態においては、マグネシア源としては、タルク粒子を用いることが好ましい。
また、このコージェライト化原料は、上記条件(1)〜(3)を満たすタルク粒子を、20〜45質量%含むものであることが好ましく、35〜45質量%含むものであることが更に好ましい。なお、本実施形態のハニカム構造体においては、焼成後の組成がコージェライトの理論組成(2MgO・2Al・5SiO)となるように混合されたコージェライト化原料中に、可能な限り多くの上記条件(1)〜(3)を満たすタルク粒子が用いられていることが好ましい。このため、マグネシア源に相当するものが、全て上記タルク粒子によってまかなわれ、マグネサイト(MgCO)粒子等が別途用いられていないことが好ましい。このように構成することによって、熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性に優れた、コージェライトからなるハニカム構造体とすることができる。
また、このようなタルク粒子の粒度や平均粒子径については特に限定されない。例えば、ハニカム構造体を触媒担体として用いる場合には、その目的の機能、具体的には、気孔率や細孔分布等に応じて上記粒度や平均粒子径を適宜選択することができる。例えば、タルク粒子の平均粒子径は、5〜40μmの範囲において、その使用目的に応じて選択されることが好ましい。
本明細書にいう「平均粒子径」とは、光散乱法を測定原理としたレーザー回折/散乱式粒度測定装置(例えば、商品名「LA−910」(堀場製作所製)等)により測定した、50%粒子径の値をいう。なお、測定は、原料を水に完全に分散させた状態で実施するものとする。
本実施形態のハニカム構造体においては、このコージェライト化原料として、上記したタルク粒子(即ち、上記条件(1)〜(3)を満たすタルク粒子)に加えて、カオリン、仮焼カオリン、シリカ、及びアルミナ源の原料粒子をそれぞれ含むものであることが好ましい。このように構成することによって、熱膨張係数を低くすることに加えて、例えば、触媒担体としての目的の機能、具体的には、気孔率や細孔分布等を容易に調整することができる。なお、これらその他の原料粒子は、焼成後の組成がコージェライトの理論組成(2MgO・2Al・5SiO)となるような割合で含有される。
なお、アルミナ源としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、活性化アルミナ、及びベーマイト等を好適に用いることができる。これらのアルミナ源は、その使用目的に応じて適宜選択することができる。
また、シリカ源となる原料粒子の平均粒子径は特に限定されないが、石英粒子(シリカ粒子)であれば5〜50μm、カオリン粒子であれば2〜10μm、仮焼カオリン粒子であれば1〜5μm、ムライト粒子であれば2〜20μm程度のものが好適に用いられる。
[1−1A]タルク粒子:
タルク粒子は、理想化学組成が3MgO・4SiO・HOの粘土鉱物の一種である。一般的に、鉱物として産出されるタルク粒子には、その産出地等によっても異なるが、マグネサイト、ドロマイト、クロライト等の不純物が不可避的に含まれている。従来、ハニカム構造体の製造に用いられるタルク粒子の化学組成は、化学分析によって得られているが、このようなタルク粒子の化学組成と、そのタルク粒子を原料として用いたハニカム構造体の熱膨張係数や耐熱衝撃性との相関関係を見出すことはできなかった。
本発明のハニカム構造体は、このようなタルク粒子において、上記条件(1)〜(3)を満たす特定のタルク粒子が用いられているため、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れている。なお、上記条件(1)を満たすことにより、ハニカム構造体を構成するコージェライトの結晶相の配向性を向上させることができ、また、上記条件(2)及び(3)を満たすことにより、タルク粒子中に不純物として含まれる、熱膨張係数の増大を招く要因となる結晶成分を少なくして、ハニカム構造体の熱膨張係数を小さくすることができる。
上記条件(1)は、コージェライト化原料に用いるタルク粒子をX線回折(XRD)した際に得られるX線回折スペクトルにおいて、その散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)に対する、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)の割合(I/I)が、10以上となるものである。このX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)は、タルク結晶における(004)面の回折によるものである。この(004)面における格子面間隔(d−spacin)は4.69Åである。また、散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)は、タルク結晶における(020)面の回折によるものである。この(020)面における格子面間隔(d−spacin)は4.59Åである。上記割合(I/I)が、10以上であると、タルク粒子におけるタルク結晶が、結晶粒子の比較的に大きなものとなり、ハニカム構造体を構成するコージェライトの結晶相の配向性を向上させて、熱膨張係数を低くして、耐熱衝撃性を向上させることができる。
なお、特に限定されることはないが、本実施形態のハニカム構造体においては、上記ピーク強度の割合(I/I)が、16以上であることが好ましく、20以上であることが更に好ましい。このように構成することによって、ハニカム構造体を構成するコージェライトの結晶相の配向性を更に向上させることが可能となる。なお、このピーク強度の割合(I/I)の上限については特に制限はないが、例えば、平均粒子径が5〜40μmのタルクであれば40程度である。
上記条件(2)は、コージェライト化原料に用いるタルク粒子をX線回折(XRD)した際に得られるX線回折スペクトルにおいて、上記ピーク強度I(散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度)に対する、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.08以下となるものである。このX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)は、主として、タルク粒子に含まれるマグネサイト(MgCO)結晶の回折によるものである。このような散乱角が32.6°に回折ピークを生じるマグネサイト結晶は、コージェライトからなるハニカム構造体の熱膨張係数を低下させる要因となるため、ピーク強度の割合(I/I)が0.08以下のタルク粒子を用いることにより、熱膨張係数の高いハニカム構造体とすることができる。
例えば、化学分析によって、タルク粒子にマグネサイトに由来する成分が検出されたとしても、上記したような散乱角(2θ)が32.6°に回折ピークを生じさせないもの、例えば、非晶質のものや異なる結晶状態のものであれば、最終的に得られるコージェライトの主結晶が95質量%以上となるものであれば、本実施形態のハニカム構造体に用いることができる。
なお、特に限定されることはないが、上記条件(2)における、ピーク強度の割合(I/I)は、0.04以下であることが更に好ましい。なお、ピーク強度の割合(I/I)の下限値は、X線回折装置の検出精度にもよるが、0(ゼロ)、即ち、ピーク強度Iが検出限界以下の場合である。なお、本発明において、ピーク強度が測定限界というときは、リガク社製のX線回折装置(商品名「RAD−1B」)を使用し、上記表1に示す条件で測定した場合の検出限界又は、この装置と同程度の解像度有するX線回折装置で測定したときの検出限界をいう。
上記条件(3)は、コージェライト化原料に用いるタルク粒子をX線回折(XRD)した際に得られるX線回折スペクトルにおいて、上記ピーク強度I(散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度)に対する、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.03以下となるものである。このX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)は、主として、タルク粒子に含まれるドロマイト(CaCO・MgCO)結晶の回折によるものである。このような散乱角が30.8°に回折ピークを生じるドロマイト結晶は、コージェライトからなるハニカム構造体の熱膨張係数を低下させる要因となるため、ピーク強度の割合(I/I)が0.03以下のタルク粒子を用いることにより、熱膨張係数の高いハニカム構造体とすることができる。
例えば、化学分析によって、タルク粒子にドロマイトに由来する成分が検出されたとしても、上記したような散乱角(2θ)が30.8°に回折ピークを生じさせないもの、例えば、非晶質のものや異なる結晶状態のものであれば、最終的に得られるコージェライトの主結晶が95質量%以上となるものであれば、本実施形態のハニカム構造体に用いることができる。
なお、特に限定されることはないが、上記条件(3)における、ピーク強度の割合(I/I)は、0.02以下であることが更に好ましい。なお、ピーク強度の割合(I/I)の下限値は、X線回折装置の検出精度にもよるが、0(ゼロ)、即ち、ピーク強度Iが検出限界以下の場合である。
また、特に限定されることはないが、タルク粒子のBET比表面積(m/g)は、例えば、平均粒子径が5〜40μmのタルクであれば2〜10m/gであることが好ましい。このように構成することによって、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を製造することができる。
[2]ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態について具体的に説明する。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、アルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源を含むコージェライト化原料からなる坏土をハニカム形状に成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を乾燥及び焼成して、多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された、コージェライトの主結晶が95質量%以上のハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、前記コージェライト化原料として、下記条件(4)〜(6)を満たすタルク粒子を含む前記コージェライト化原料を用いる製造方法である。
条件(4):前記タルク粒子のX線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)に対する、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)の割合(I/I)が、10以上である。
条件(5):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.08以下である。
条件(6):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.03以下である。
このように構成することによって、熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性に優れた、コージェライトからなるハニカム構造体を簡便かつ安価に製造することができる。
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法の更なる詳細について、各工程毎に説明する。先ず、コージェライト組成におけるアルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源となる、アルミナ源原料とシリカ源原料とマグネシア源原料とを加えてコージェライト化原料を得る。得られたコージェライト化原料に、水等の分散媒を加え、混合・混練することによって坏土を得る。コージェライト化原料とは、焼成によりコージェライトに変換され得るものであって、シリカ源、アルミナ源、及びマグネシア源を含む混合物のことをいう。通常は、これらの粒子を、焼成後の組成がコージェライトの理論組成(2MgO・2Al・5SiO)となるように混合したものをいう。
上記アルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源としては、本発明のハニカム構造体の実施形態にてこれまでに説明したアルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源を用いることができる。特に、本実施形態においては、このコージェライト化原料として、上記条件(4)〜(6)を満たすタルク粒子を含むものを用いることを特徴とする。
コージェライト化原料に加える分散媒としては、水、又は水とアルコール等の有機溶媒との混合溶媒等を挙げることができるが、特に水を好適に用いることができる。また、コージェライト化原料と分散媒とを混合・混練する際には、造孔材、有機バインダ、分散剤等の添加物を更に加えてもよい。
造孔材としては、例えば、グラファイト等のカーボン、小麦粉、澱粉、フェノール樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、又はポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。なかでも、アクリル樹脂等の有機樹脂からなるマイクロカプセルを特に好適に用いることができる。
有機バインダとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を好適に用いることができる。また、分散剤としては、界面活性効果を有する物質、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を好適に用いることができる。
なお、コージェライト化原料と分散媒との混合・混練は、公知の混合・混練方法により行えばよい。但し、混合は、撹拌羽根を500rpm以上(好ましくは1000rpm以上)の高速で回転させることが可能な、撹拌力・分散力に優れた混合機を使用し、剪断力を加えながら撹拌する方法により行うことが好ましい。このような混合方法により、得られるハニカム構造体の内部欠陥の原因となる、それぞれの原料粒子中に含まれる微粒子の凝集塊を粉砕し消失させることができる。
混合は、従来公知の混合機、例えば、シグマニーダ、リボンミキサ等を用いて行うことができる。また、混練は、従来公知の混練機、例えば、シグマニーダ、バンバリーミキサ、スクリュー式の押出混練機等を用いて行うことができる。特に、真空減圧装置(例えば、真空ポンプ等)を備えた混練機(いわゆる真空土練機や二軸連続混練押出成形機等)を用いると、欠陥が少なく、成形性の良好な坏土を得ることができる点において好ましい。
得られた坏土を、例えば押出成形法等の成形方法によって成形することにより、隔壁によって複数のセルが区画形成されたハニカム成形体を得ることができる。押出成形法としては、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いる方法が好適である。
次に、得られたハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を得る。乾燥の方法も特に限定されない。例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の従来公知の乾燥法を用いることができる。なかでも、成形体全体を迅速かつ均一に乾燥することができる点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥とを組み合わせた乾燥方法が好ましい。
次に、得られたハニカム乾燥体を焼成すれば、ハニカム構造体を得ることができる。焼成条件(温度・時間)は、ハニカム成形体を構成するそれぞれの原料粒子の種類により異なるため、これらの種類に応じて適当に設定すればよい。例えば、1410〜1440℃の温度で、3〜10時間焼成することが好ましい。焼成条件(温度・時間)が上記範囲未満であると、骨材原料粒子のコージェライト結晶化が不十分となる傾向にある。一方、上記範囲を超えると、生成したコージェライトが溶融する傾向にある。
なお、焼成の前、又は焼成の昇温過程において、ハニカム乾燥体中の有機物(造孔材、有機バインダ、分散剤等)を燃焼させて除去する操作(仮焼)を行うと、有機物の除去をより促進させることができるために好ましい。有機バインダの燃焼温度は200℃程度、造孔材の燃焼温度は300〜1000℃程度である。従って、仮焼温度は200〜1000℃程度とすればよい。仮焼時間は特に限定されないが、通常は、10〜100時間程度である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種物性値の測定方法を以下に示す。
[タルク粒子の化学組成(質量%)]:コージェライト化原料に用いるタルク粒子の化学組成を、他元素同時傾向分析装置(商品名「PW2606」、フィリップス(Philips)社製)によって測定した。
[タルク粒子のX線回折]:測定装置として、リガク社製のX線回折装置(商品名「RAD−1B」)を使用し、上記表1に示す測定条件で測定を行った。得られたX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)、散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)を求め、ピーク強度の割合(I/I)、ピーク強度の割合(I/I)、及びピーク強度の割合(I/I)をそれぞれ算出した。
[タルク粒子の平均粒子径]:タルク粒子の50%粒子径を、光散乱法を測定原理としたレーザー回折/散乱式粒度測定装置(商品名「LA−910」、堀場製作所製)により測定した。
[タルク粒子のBET比表面積]:タルク粒子のBET比表面積(m/g)を、BET流動法を測定原理としたBET比表面積測定器(商品名「マックソーブHM−1208」、マウンテック社製)によって測定した。
[コージェライトの結晶割合]:ハニカム構造体を構成するコージェライトの主結晶の割合(質量%)を、リートヴェルト法により、内部標準物質としてコランダムを用いた定量分析によって測定した。
[コージェライトの結晶相の配向度]:ハニカム構造体を構成するコージェライトの結晶相の配向度(%)を、ハニカム構造体の隔壁を切り出し、その隔壁面に対しX線回折を行い、コージェライト結晶の面指数(110)のピーク強度I(110)と面指数(002)のピーク強度I(002)とを測定し、これらの測定値から、下記式(3)によって算出した。X線回折は、リガク社製のX線回折装置(商品名「RAD−1B」)を使用した。
配向度=I(110)/(I(110)+I(002)) ・・・(3)
[熱膨張係数]:JIS R1618記載の方法に準拠し、ハニカム構造体の隔壁の流路方向における平均線熱膨張係数を測定した。
[耐熱衝撃性試験]:予め650℃に熱した電気炉にハニカム構造体を入れ、ハニカム構造体全体が、電気炉の加熱温度と同一温度となる十分な時間(30分)加熱した後、冷却速度50℃/minにて室温まで空冷する。この冷却における熱衝撃により、ハニカム構造体の側面、端面、又は内部にクラックが発生しているかについて検出する。室温まで冷却した際にクラックが発生せずに至った場合、その加熱温度をクリアしたとみなす。クラックは目視、打音等で検出する。クリアしたハニカム構造体について、50℃ステップで電気炉の加熱温度を上昇させ、上記試験をクラックが発生するまで繰り返して行う。クラックの発生しなかった最高温度を「耐熱衝撃温度(℃)」とする。
(実施例1)
タルク粒子40質量%に、カオリン粒子(平均粒子径:7μm、BET比表面積:7m/g)15質量%、仮焼カオリン粒子(平均粒子径:3μm、BET比表面積:10m/g)18質量%、シリカ粒子(平均粒子径:4μm、BET比表面積:3m/g)5質量%、アルミナ粒子(平均粒子径:4μm、BET比表面積:2m/g)13質量%、及び水酸化アルミニウム粒子(平均粒子径:2μm、BET比表面積:15m/g)9質量%を混合してコージェライト化原料を調製した。調製したコージェライト化原料の100質量部に対して、有機バインダ(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を6質量部、界面活性剤(ステアリン酸ナトリウム)を0.5質量部、及び水を30質量部添加するとともに混合機(ミキサー)に投入し、3分間混合することにより湿式混合物を得た。表2に、実施例1に用いたタルク粒子の化学組成(質量%)、タルク粒子のX線回折によるピーク強度の割合(I/I)、ピーク強度の割合(I/I)、ピーク強度の割合(I/I)、平均粒子径、及びBET表面積を示す。
Figure 2008207978
得られた湿式混合物をスクリュー式の押出混練機に投入し、混練して円筒状の坏土を作製し、この坏土を押出成形機に投入して押出成形することによりハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を誘電乾燥及び熱風乾燥した後、所定の寸法となるように両端面を切断してハニカム乾燥体を得た。得られたハニカム乾燥体を、1420〜1440℃で5時間焼成することにより、円筒状のハニカム構造体(実施例1)を製造した。ハニカム構造体の寸法は、直径106mmφ×全長(流路長)100mmであり、隔壁厚は63μm、セル密度は900セル/平方インチであった(なお、このセル構造は、耐熱衝撃性試験を実施した場合に、測定される耐熱衝撃温度が低くなるセル構造である)。製造したハニカム構造体の各種物性値を表3に示す。
Figure 2008207978
(実施例2〜12、比較例1〜10)
使用したタルク粒子として、表2に示すようなものを用いた以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、ハニカム構造体(実施例2〜12、比較例1〜10)を製造した。製造したハニカム構造体の各種物性値を表3に示す。
表2に示す結果から、ピーク強度の割合(I/I)が10以上、ピーク強度の割合(I/I)が0.08以下、及びピーク強度の割合(I/I)が0.03以下の3つの条件を満たすタルク粒子を用いた場合には、熱膨張係数が小さく耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を製造可能であることが明らかである。また、このようにして製造されたハニカム構造体は、コージェライトの結晶相の配向度も高いものとなっていた。また、タルク粒子の化学組成の傾向からは、熱膨張係数及び耐熱衝撃性の良否を判断することができなかった。
また、タルク粒子のX線回折において、ピーク強度(I)が大きなものほど、熱膨張係数が低くなる傾向が確認された。また、ピーク強度(I)、ピーク強度(I)、ピーク強度(I)については、その値が小さなものほど、熱膨張係数が低くなる傾向が確認された。
本発明のハニカム構造体は、熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性に優れたものである。従って、ディーゼルエンジン等の自動車用エンジンから排出される排ガスに含まれる、粒子状物質やNO等の有害物質を除去するためのフィルタや触媒担体として好適である。
ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1:ハニカム構造体、2:隔壁、3:セル。

Claims (7)

  1. アルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源を含むコージェライト化原料から得られた坏土をハニカム形状に成形する工程を経て製造された、多孔質の隔壁を備え、前記隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造体であって、
    前記コージェライト化原料が、下記条件(1)〜(3)を満たすタルク粒子を含むものであり、且つ前記隔壁を構成するコージェライトの主結晶が95質量%以上であるハニカム構造体。
    条件(1):前記タルク粒子のX線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)に対する、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)の割合(I/I)が、10以上である。
    条件(2):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.08以下である。
    条件(3):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.03以下である。
  2. 前記隔壁の流路方向における熱膨張係数が0.25×10−6/℃以下である請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 耐熱衝撃温度が800℃以上である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記コージェライト化原料が、前記タルク粒子に加えて、カオリン、仮焼カオリン、シリカ、及びアルミナ源の原料粒子をそれぞれ含むものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  5. 前記ハニカム構造体を構成するコージェライトの結晶相における、前記隔壁の流路方向と平行に配向するコージェライト結晶の配向度が、0.82以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  6. 前記コージェライト化原料は、前記タルク粒子を、20〜45質量%含むものである請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  7. アルミナ源、シリカ源、及びマグネシア源を含むコージェライト化原料からなる坏土をハニカム形状に成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を乾燥及び焼成して、多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
    前記コージェライト化原料として、下記条件(4)〜(6)を満たすタルク粒子を含む前記コージェライト化原料を用いるハニカム構造体の製造方法。
    条件(4):前記タルク粒子のX線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が19.3°でのピーク強度(I)に対する、散乱角(2θ)が18.9°でのピーク強度(I)の割合(I/I)が、10以上である。
    条件(5):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が32.6°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.08以下である。
    条件(6):前記X線回折スペクトルにおいて、前記ピーク強度Iに対する、散乱角(2θ)が30.8°のピーク強度(I)の割合(I/I)が、0.03以下である。
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