JP2008206474A - コーヒー豆抽出物含有水性組成物、容器詰飲料、コーヒー豆抽出物含有水性組成物の製造方法、及びコーヒー豆抽出物の沈殿防止方法 - Google Patents

コーヒー豆抽出物含有水性組成物、容器詰飲料、コーヒー豆抽出物含有水性組成物の製造方法、及びコーヒー豆抽出物の沈殿防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温時や不安定な温度条件下でも優れた保存安定性を有するコーヒー豆抽出物含有水性組成物及びその製造方法、容器詰飲料並びに、コーヒー豆抽出物の沈殿防止方法を提供する。
【解決手段】本コーヒー豆抽出物含有水性組成物及び容器詰飲料は、コーヒー豆抽出物とカロチノイド類を含有する水中油型のエマルション粒子とを含むものである。本発明のコーヒー豆抽出物の沈殿防止方法は、コーヒー豆抽出物を含有する水性組成物に、カロチノイド類を含有する水中油型エマルション組成物を配合することを含むものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーヒー豆抽出物含有水性組成物、容器詰飲料、コーヒー豆抽出物含有水性組成物の製造方法、及びコーヒー豆抽出物の沈殿防止方法に関する。
コーヒー豆抽出物、特に生コーヒー豆抽出物は、経口摂取により、高血圧症の予防作用、便性改善作用の他、糖尿病予防作用、抗肥満作用、抗酸化作用など、人体に対する様々な有効性があることが示されている。摂取時の吸収性を向上するという観点から、コーヒー豆抽出物は飲料に配合することが望ましい。これらのコーヒー豆抽出物含有飲料にコーヒー豆抽出物を有効量配合した場合、低温での保存時や、低温と高温を繰り返す条件での保存時に、飲料中、特に酸性飲料中において、コーヒー豆抽出物に由来する沈殿が発生するという問題があった。特に、飲料中にビタミンB類、特にビタミンB1を配合する場合、ビタミンB類の安定性の観点から、飲料を酸性とすることが好ましく、コーヒー豆抽出物とビタミンB類を同時に配合する場合、この問題が顕著であった。
コーヒー豆抽出物含有飲料におけるコーヒー豆抽出物の沈殿を防止するために、例えば特許文献1には、モノエステル含量が90重量%以上のショ糖脂肪酸エステルを含有するpH5.0〜6.5のコーヒー飲料が開示されている。また、特許文献2には、ローカストビーンガムのような種子多糖類と、キサンタンガムのような発酵多糖類とを含有することを特徴とする弱酸性ブラックコーヒー飲料が開示されている。特許文献3には、ガラクトマンナナーゼ及び酸性プロテアーゼ活性を有する糸状菌期限の酵素処理で処理する方法が開示されている。
特開平10−70956号公報 特開2001−120184号公報 特開2002−272375号公報
しかしながら、低温であっても3ヶ月を超えるような長期保存時や、このような長期保存の最中に温度変化が生じるような不安定な温度条件による長期保存時では、安定性が劣ると沈殿が生じる。
本発明は、低温時や不安定な温度条件下でも優れた保存安定性を有するコーヒー豆抽出物含有水性組成物及びその製造方法、容器詰飲料並びに、コーヒー豆抽出物の沈殿防止方法を提供することを目的とする。
本発明のコーヒー豆抽出物含有水性組成物は、コーヒー豆抽出物とカロチノイド類を含有する水中油型のエマルション粒子とを含有するものである。
本発明の容器詰飲料は、コーヒー豆抽出物とカロチノイド類を含有する水中油型のエマルション粒子とを含有するものである。
本発明のコーヒー豆抽出物含有水性組成物の製造方法は、コーヒー豆抽出物を含有する液体成分とカロチノイド類を含有する水中油型エマルション組成物とを配合することを含むものである。
本発明のコーヒー豆抽出物の沈殿防止方法は、コーヒー豆抽出物を含有する水性組成物に、カロチノイド類を含有する水中油型エマルション組成物を配合することを含むものである。
ここで、前記カロチノイド類がアスタキサンチン類であることが好ましい。
また、前記エマルションの粒子径が200nm以下であることが好ましい。
前記コーヒー豆抽出物含有水性組成物が、アスコルビン酸類及び/又はビタミンB類を更に含有することが好ましい。
なお、前記コーヒー豆抽出物は生コーヒー豆抽出物であってもよい。
本発明によれば、低温時や不安定な温度条件下でも優れた保存安定性を有するコーヒー豆抽出物含有水性組成物及びその製造方法、容器詰飲料並びに、コーヒー豆抽出物の沈殿防止方法を提供することができる。
本発明のコーヒー豆抽出物含有水性組成物は、コーヒー豆抽出物とカロチノイド類を含有する水中油型エマルション粒子とを含有するものである。
本コーヒー豆抽出物含有水性組成物では、コーヒー豆抽出物が、カロチノイド類を含有する水中油型エマルション粒子と共に水性組成物中で分散するため、低温や不安定な温度条件下であっても良好な長期保存安定性を示すことができる。
また、本発明の容器詰飲料は、コーヒー豆抽出物とカロチノイド類を含有する水中油型エマルション粒子とを含有するものである。
本容器詰飲料では、上記コーヒー豆抽出物含有水性組成物と同様に、飲料中のコーヒー豆抽出物が、カロチノイド類を含有する水中油型エマルション粒子と共に飲料中で分散するため、低温や不安定な温度条件下であっても良好な長期保存安定性を示すことができる。
以下、本発明について説明する。
<コーヒー豆抽出物>
本発明におけるコーヒー豆抽出物は、コーヒーの木の果実のコーヒー豆からの抽出物であり、コーヒー豆としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種およびアラブスタ種等のいずれの品種を用いてもよく、その産地も特に限定されることはない。
本発明で用いるコーヒー豆抽出物に用いるコーヒー豆は、生豆、焙煎豆のいずれでもよく、特に生豆が好ましい。
コーヒー豆抽出物を得るための抽出方法は、特に制限されるものではない。原料であるコーヒー豆は未粉砕でも、粉砕したものでもよく、抽出物の品質を維持できる限り、不純物除去などの前処理をしてもよい。
コーヒー豆抽出物は、抽出液をろ過したままの液でもよいし、これを脱色等の後処理した液でもよいし、これを濃縮した濃縮液でもよい。また、この抽出物を噴霧乾燥または凍結乾燥した粉末としたものを用いてもよい。
抽出溶媒としては、水、親水性有機溶媒および超臨界流体が挙げられ、親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等が例示されるが、含水率5重量%以上の親水性有機溶媒が好ましく、含水エタノールが特に好ましい。
抽出条件に特に制限はないが、常温または加熱抽出が好ましい。加熱温度および加熱時間についても、十分に抽出でき、抽出物の品質を維持できる範囲で種々の条件とすることができる。
コーヒー豆抽出物の本水性組成物中の含有量は、固形分として、本水性組成物全体100ml中に、100mg以上が好ましく、200mg以上がより好ましく、300mg以上が特に好ましい。100mg未満では、コーヒー豆の人体への有効性が得にくく、また、沈殿が問題とならない場合がある。
<エマルション粒子>
本発明において、エマルション粒子とは、カロチノイド類を含有するものである。ここで本発明において水中油型のエマルション粒子とは、水中油型エマルション中における油滴を意味する。
[カロチノイド類]
本発明では油溶性機能色素であるカロチノイド(カロテノイドとも言う)類を用いることによって、本水性組成物における油滴の分散安定性と保存安定性を良好なものにすることができる。
本発明におけるカロチノイド類としては、天然色素を含むカロチノイド類を好ましく挙げることができ、これには、黄色から赤色のテルペノイド類の色素であり、植物類、藻類、及びバクテリアのものが含まれる。
また、天然由来のものに限定されず、常法に従って得られるものであればいずれのものも、本発明におけるカロチノイドに含まれる。例えば、後述のカロチノイド類のカロチン類の多くは合成によっても製造されており、市販のβ−カロチンの多くは合成により製造している。
カロチノイド類としては、炭化水素類(カロテン類)及びこれらの酸化アルコール誘導体類(キサントフィル類)が挙げられる。
これらの例として、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロテン、β−カロテン、”カロテン”(α−及びβ−カロテン類の混合物)、γ−カロテン、β−クリプトキサンチン、エキネノン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類が挙げられる。
カロチノイド類の多くは、シス及びトランス異性体の形で天然に存在するが、合成物はしばしばラセミ混合物である。
カロチノイド類は一般に植物素材から抽出することができる。これらのカロチノイド類は種々の機能を有しており、例えば、マリーゴールドの花弁から抽出するルテインは家禽の餌の原料として広く使用され、家禽の皮膚及び脂肪並びに家禽が産む卵に色を付ける機能がある。
本発明において用いられるカロチノイド類は乳化粒径の微細化の観点から、好ましくは常温で油状のものである。特に好ましい例としては、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果などを有し、黄色から赤色の範囲の着色料として知られているアスタキサンチン及びアスタキサンキチンのエステル等の誘導体(以下、「アスタキサンチン類」と総称する。)から選択された少なくとも1種を含むことができる。
これらのアスタキサンチン類は、超臨界炭酸ガスを用いて天然素材から抽出したものが、粉末としたときの臭気の点でより好ましい。
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でカロチノイドの一種キサントフィルに属している(Davies, B.H. : In “Chemistry and Biochemistry of Plant Pigments”, T. W. Goodwin ed., 2nd ed., 38-165, Academic Press, NY, 1976.)。アスタキサンチンの化学構造は3,3’−dihydroxy−β,β−carotene−4,4’−dione(COH52、分子量596.82)である。
アスタキサンチンは、分子の両端に存在する環構造の3(3’)−位の水酸基の立体配置により、3S,3S’−体、3S,3R’−体(meso−体)、3R,3R’−体の三種の異性体が存在する。また、さらに分子中央の共役二重結合のcis−、trans−の異性体も存在する。例えば全cis−、9−cis体と13−cis体などの如くである。
前記3(3’)−位の水酸基は脂肪酸とエステルを形成することができる。オキアミから得られるアスタキサンチンは、脂肪酸二個結合したジエステル(Yamaguchi,K., Miki,W., Toriu, N., Kondo,Y., Murakami,M., Konosu,S., Satake,M., Fujita,T. : The composition of carotenoid pigments in the antarctic krill Euphausia superba, Bull. Jap. Sos. Sci. Fish., 1983, 49, p.1411-1415.)、H.pluvialisから得られるものは3S,3S’−体で、脂肪酸一個結合したモノエステル体が多く含まれている(Renstrom, B., Liaaen-Jensen, S. : Fatty acids of some esterified carotenols, Comp. Biochem. Physiol. B, Comp. Biochem., 1981, 69, p.625-627.)。
また、Phaffia Rhodozymaより得られるアスタキサンチンは、3R,3R’−体(Andrewes, A.G., Starr, M.P. : (3R,3’R)-Asttaxanthin from the yeast Phaffa rhodozyma, Phytochem., 1976, 15, p.1009-1011.)であり、通常天然に見出される3S,3S’−体と反対の構造を持っている。また、これは脂肪酸とエステル形成していないフリー体で存在している(Andrewes, A.G., Phaffia, H.J., Starr, M.P. : Carotenids of Phaffia rhodozyma, a red pigmented fermenting yeast, Phytochem., 1976, 15, p.1003-1007.)。
アスタキサンチン及び同エステル体はR.Kuhnらによってロブスター(Astacus gammarus L.)から初めて分離され、その推定構造が開示された(Kuhn, R., Soerensen, N.A. : The coloring matters of the lobster (Astacus gammarus L.), Z. Angew. Chem.,1938, 51, p.465-466.)。それ以来、アスタキサンチンが自然界に広く分布し、通常アスタキサンチン脂肪酸エステル体として存在すること、甲殻類などでたんぱく質と結合したアスタキサンチン蛋白(オボルビン、クラスタシアニン)としても存在することが明らかにされている(Cheesman, D.F. : Ovorubin, a chromoprotein from the eggs of the gastropod mollusc Pomacea canaliculata, Proc. Roy. Soc. B, 1958, 149, p.571-587.)。
前記アスタキサンチン及びそのエステル(アスタキサンチン類)は、アスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する天然物から分離・抽出したアスタキサンチン含有オイルとして、本発明の粉末組成物に含まれていてもよい。このようなアスタキサンチン含有オイルとして、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌等を培養し、その培養物からの抽出物、ナンキョクオキアミ等からの抽出物を挙げることができる。
ヘマトコッカス藻抽出物(ヘマトコッカス藻由来色素)は、オキアミ由来の色素や、合成されたアスタキサンチンとはエステルの種類及びその含有量の点で異なることが知られている。
本発明において用いることができるアスタキサンチン類は、前記抽出物(抽出エキス)、またさらにこの抽出物を必要に応じて適宜精製したものでもよく、また合成品であってもよい。前記アスタキサンチン類としては、ヘマトコッカス藻から抽出されたもの(以下、ヘマトコッカス藻抽出物ともいう。)が、品質、生産性の点から特に好ましい。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物の由来としては、具体的には、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻の培養方法は、特開平8−103288号公報等に開示された様々な方法を採用することができ、特に限定されるものではなく、栄養細胞から休眠細胞であるシスト細胞に形態変化していればよい。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、上記の原料を、必要に応じて、例えば特開平5−68585号公報等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム及びアルコール(エタノール、メタノール等)等の有機溶剤や、超臨界状態の二酸化炭素等の抽出溶剤を加えて抽出することによって得られる。
前記ヘマトコッカス藻抽出物は、特開平2−49091号公報記載の色素同様、色素純分としてはアスタキサンチンもしくはそのエステル体を含み、エステル体を、一般的には50モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むものである。
また、本発明において、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5O、同−5O、同−10O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstinSCE7等が挙げられる。
本発明において、ヘマトコッカス藻抽出物中のアスタキサチン類の色素純分としての含有量は、抽出コストの観点から好ましくは0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜25質量%である。
本発明においてカロチノイド類は、本水性組成物全体に対して、油滴の粒子径の微細化と乳化安定性の観点から、好ましくは0.0001〜0.1質量%、より好ましくは0.0005〜0.05質量%、更に好ましくは0.001〜0.02質量%である。0.0001質量%以上であれば沈澱防止効果が充分であり、0.1質量%以下であれば添加量に対して効率良く効果を得ることができるため好ましい。
<エマルション組成物>
本発明にかかる上記エマルション粒子は、水性組成物に含まれていれば特に制限されないが、コーヒー豆抽出物を含有する液体成分と、カロチノイド類を含有する水中油型エマルション組成物とを配合して本発明の水性組成物を製造することにより、本水性組成物中に含まれることが好ましい。
ここでコーヒー豆抽出物を含有する液体成分と、水中油型エマルション組成物とを配合する場合には、本水性組成物全体に対して水中油型エマルション組成物が0.02質量%〜20質量%となるように配合することでき、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜4.0質量%であることが更に好ましい。0.02質量%以上であれば、機能性成分の機能を担保しつつコーヒー豆抽出物の分散を保持でき、20質量%以下であれば、上記液体成分にエマルション粒子を効率よく配合することができるため、好ましい。
このような水中油型エマルション組成物は、油性成分(カロチノイド類を含有する)、リン資質及び界面活性剤を含有するものであることが好ましい。
[油性成分]
本発明におけるエマルション組成物は、上記カロチノイド類を、水中油型エマルション組成物中の油性成分として含むことができる。この場合、上記カロチノイド類の配合量は、エマルション組成物に対して好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.3〜25質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%とすることができる。0.1質量%以上であれば沈澱防止効果が充分であり、50質量%以下であれば添加量に対して効率良く効果を得ることができるため好ましい。
また、本エマルション組成物中の油性成分は、前述したカロチノイド類の他に、水性媒体に溶解せず、油性媒体に溶解する成分を含むことができ、例えば、ビタミンE類(トコフェロール、トコトリエノール等)、ユビキノン類、ω−3油脂類(EPA、DHA、リノレン酸等を含む油脂)などを挙げることができる。
(a)ビタミンE類
ビタミンE類は、カロチノイド類と組み合わせることによって、抗酸化力に関する相乗効果をもたらすことができるため、好ましい。
トコフェロール類とはトコフェロールまたはその誘導体からなる化合物群から選ばれるものである。トコフェロールまたはその誘導体からなる化合物群としては、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等が挙げられる。これらは、混合物の状態で使用する場合が多く、抽出トコフェロール、ミックストコフェロールなどと呼ばれる状態で使用できる。本発明のエマルション組成物におけるカロチノイドに対するトコフェロールの含有量は、特に限定されないが、カロチノイド量に対して0.1〜5の比率であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3、更に好ましくは0.5〜2の比率である。
(b)ユビキノン類
カロチノイド色素以外の好ましい油性成分として、ユビキノン類、特にコエンザイムQ10が挙げられる。コエンザイムQ10は、日本において1974年に代謝性強心剤の医療用医薬品として承認・販売された。以後、OTCも含めて医薬品として扱われてきた。一方、海外(主に欧米)ではここ10年あまり、有効性・安全性の高い健康食品素材として需要が伸びてきた。そして日本においても、2001年厚生労働省医薬局長通知「医薬品の範囲に関する基準の改正について」(医薬発第243号)にて、コエンザイムQ10が「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り食品と認められる成分本質(原材料)」リストに収載され、食品として扱ってもよいという規制緩和がなされた。国内でもこの食品素材が持つ、多様な機能性に注目が集まり、コエンザイムQ10を含有した一般食品(いわゆる健康食品)が数多く商品化されつつある。
コエンザイムQ10がもつ機能を活かすために、脂溶性物質であるこの素材の水溶化が重要である。本発明では、本機能性油状成分が良好な状態で保護されるので、粉末を水中に再分散したときの粒径を小さく維持することができると共に、液の透明度を良好にすることができ、また生体内での吸収も充分なものにすることができる。
(c)ω−油脂類
本発明に好ましい更に他の油性成分の例としては、ω−3位に二重結合を有する不飽和脂肪酸のω(オメガ)−3油脂類を挙げることができ、これにはリノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)並びにこれらを含有する魚油などを挙げることができる。
このうちDHAは、ドコサヘキサエン酸( Docosahexaenoic acid)の略称であり、6つの二重結合を含む22個の炭素鎖をもつカルボン酸(22:6)の総称であるが、通常は生体にとって重要な4、7、10、13、16、19位に全てシス型の二重結合をもつ。
(d)油脂
上記以外にも油性成分として使用可能な化合物には、常温で、液体の油脂(脂肪油)及び固体の油脂(脂肪)が挙げられる。
前記液体の油脂としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、月見草油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルチミン酸グリセリン、サラダ油、サフラワー油(ベニバナ油)、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。
また、前記固体の油脂としては、牛脂、硬化牛脂、牛脚脂、牛骨脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、硬化油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
上記の中でも、エマルション組成物の粒子径、安定性の観点から、中佐脂肪酸トリグリセライドであるココナッツ油が好ましく用いられる。
また他の油性成分として、例えば、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリンなどのロウ類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル類、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、アラキドン酸などの脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの高級アルコール類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、その他、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質などを挙げることができる。また、それらの混合物である各種の植物由来油、動物由来油も含まれる。
上記油性成分は、水への分散性をより高めるために、2種以上を併用することが好ましく、この目的で併用可能な油性成分としては、DHA、スクワレン、スクワランが好ましく、スクワレンが特に好ましい。特に、コエンザイムQ10のように常温で固体の油性成分の場合には、DHA、スクワレン、スクワランなどと併用することが特に好ましい。
エマルション組成物における油性成分の含有量は、乳化粒子径の微細化と乳化安定性の観点から、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.3〜25質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%である。
[リン脂質]
本発明においてリン脂質とは、複合脂質の内、脂肪酸、アルコール、リン酸、窒素化合物からなるエステルで、リン酸エステルおよび脂肪酸エステルを有する一群であり、グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質をいい、レシチンとも称されることがある。以下、詳細に説明する。
本発明で用いることができるリン脂質としては、例えば、レシチン、ホスファチジン酸、ビスホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセリン、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチン等を挙げることができる。またこれらの成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のものや、卵黄、牛等の動物由来のもの及び大腸菌等の微生物等由来の各種レシチンを挙げることができる。これらのリン脂質の由来は特に限定されないが、精製したものが特に好適である。
リン脂質は、分子内に親水基と疎水基を有しているため、従来から、食品、医薬品、化粧品分野で、広く乳化剤として使用されている。産業的にはリン脂質の純度60%以上のものがレシチンとして利用されており、本発明でも利用できるが、微細な油滴粒径の形成及び機能性油性成分の安定性の観点から、好ましくは一般に高純度レシチンと称されるものであり、これはレシチン純度が80質量%以上、より好ましくは90質量%以上のものである。
また、本発明においては、グリセロリン脂質として、酵素分解したグリセロリン脂質を使用することができる。
例えば、前記レシチンを酵素分解したリゾレシチン(酵素分解レシチン)は、グリセロリン脂質の1位または2位に結合した脂肪酸(アシル基)のいずれか一方が失われたものである。脂肪酸基を1本にすることにより、レシチンの親水性を改善し、水に対する乳化性、分散性を向上させることができる。
リゾレシチンは、酸、又はアルカリ触媒によるレシチンの加水分解により得られるが、ホスホリパーゼA、又はAを用いた、レシチンの加水分解により得ることができる。
このようなリゾレシチンに代表されるリゾ化合物を化合物名で示すと、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルグリセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルメチルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルセリン等が挙げられる。
また更に、上記のレシチンに代表されるグリセロリン脂質は、水素添加、又はヒドロキシル化されたものも、本発明において用いることができる。
前記水素添加は、例えば、レシチンを触媒の存在下に水素と反応させることにより行われ、脂肪酸部分の不飽和結合が水素添加される。水素添加により、レシチンの酸化安定性が向上する。
また、前記ヒドロキシル化は、レシチンを高濃度の過酸化水素と酢酸、酒石酸、酪酸などの有機酸と共に加熱することにより、脂肪酸部分の不飽和結合が、ヒドロキシル化される。ヒドロキシル化により、レシチンの親水性が改良される。
上記の中でも、乳化安定性の点で、グリセロリン脂質であるレシチン、リゾレシチン、が好ましく、更に、リゾレシチンが好ましい。
本発明で用いるリン脂質は、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
本発明で用いるエマルション組成物において、リン脂質の含有量は0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%、更に好ましくは0.3〜2質量%である。
前記リン脂質の含有量を0.1質量%以上とすることにより、エマルション組成物の乳化安定性が良好となる傾向がある。また、前記含有量を10質量%以下とすることにより、過剰なリン脂質が油性成分から離れて水中にリン脂質分散体を形成することなく、エマルション組成物の乳化安定性の点から好ましい。
[界面活性剤]
本発明における界面活性剤としては、水性媒体に溶解する非イオン性の界面活性剤乳化剤(親水性の界面活性剤)がエマルション組成物中の油相/水相の界面張力を大きく下げることができ、その結果、粒子径を細かくすることができる点で好ましい。
具体的には、HLB8以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上が特に好ましい。
HLB値の上限値は、特に限定されないが、一般的には、20以下であり、18以下が好ましい。
ここで、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。本発明においては、下記の川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(Mw/M0)
ここで、Mwは親水基の分子量、M0は疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の界面活性剤を得ることができる。
本発明で使用することのできる界面活性剤は、特に制限は無いが、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。より好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。また、上記の界面活性剤は蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要ではなく、反応混合物であってもよい。
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびリノール酸とのエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(HLB=13)、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB=14)、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=16)などである。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL DGMS,NIKKOL DGMO−CV,NIKKOL DGMO−90V,NIKKOL DGDO,NIKKOL DGMIS,NIKKOL DGTIS,NIKKOL Tetraglyn 1−SV,NIKKOL Tetraglyn 1−O,NIKKOL Tetraglyn 3−S,NIKKOL Tetraglyn 5−S,NIKKOL Tetraglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn 1−L,NIKKOL Hexaglyn 1−M,NIKKOL Hexaglyn 1−SV,NIKKOL Hexaglyn 1−O,NIKKOL Hexaglyn 3−S,NIKKOL Hexaglyn 4−B,NIKKOL Hexaglyn 5−S,NIKKOL Hexaglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn PR−15,NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,NIKKOL Decaglyn 2−SV,NIKKOL Decaglyn 2−ISV,NIKKOL Decaglyn 3−SV,NIKKOL Decaglyn 3−OV,NIKKOL Decaglyn 5−SV,NIKKOL Decaglyn 5−HS,NIKKOL Decaglyn 5−IS,NIKKOL Decaglyn 5−OV,NIKKOL Decaglyn 5−O−R,NIKKOL Decaglyn 7−S,NIKKOL Decaglyn 7−O,NIKKOL Decaglyn 10−SV,NIKKOL Decaglyn 10−IS,NIKKOL Decaglyn 10−OV,NIKKOL Decaglyn 10−MAC,NIKKOL Decaglyn PR−20,三菱化学フーズ(株)社製リョートーポリグリエステル、L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DP、DS13W、DS3、HS11、HS9、TS4、TS2、DL15、DO13、太陽化学(株)社製サンソフトQ−17UL、サンソフトQ−14S、サンソフトA−141C、理研ビタミン(株)社製ポエムDO−100、ポエムJ−0021などが挙げられる。
上記の中でも、好ましくは、NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,リョートーポリグリエステル L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DPである。
本発明に用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
これらのソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL SL−10,SP−10V,SS−10V,SS−10MV,SS−15V,SS−30V,SI−10RV,SI−15RV,SO−10V,SO−15MV,SO−15V,SO−30V,SO−10R,SO−15R,SO−30R,SO−15EX,第一工業製薬(株)社製の、ソルゲン30V、40V、50V、90、110、花王(株)社製の、レオドールAS−10V、AO−10V、AO−15V、SP−L10、SP−P10、SP−S10V、SP−S30V、SP−O10V、SP−O30Vなどが挙げられる。
本発明に用いられるショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステルがより好ましい。
本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、三菱化学フーズ(株)社製リョートーシュガーエステル S−070、S−170、S−270、S−370、S−370F、S−570、S−770、S−970、S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−070、P−170、P−1570、P−1670、M−1695、O−170、O−1570、OWA−1570、L−195、L−595、L−1695、LWA−1570、B−370、B−370F、ER−190、ER−290、POS−135、第一工業製薬(株)社製の、DKエステルSS、F160、F140、F110、F90、F70、F50、F−A50、F−20W、F−10、F−A10E、コスメライクB−30、S−10、S−50、S−70、S−110、S−160、S−190、SA−10、SA−50、P−10、P−160、M−160、L−10、L−50、L−160、L−150A、L−160A、R−10、R−20、O−10、O−150等が挙げられる。
上記の中で、好ましくは、リュートーシュガーエステルS−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−1570、P−1670、M−1695、O−1570、L−1695、DKエステルSS、F160、F140、F110、コスメライクS−110、S−160、S−190、P−160、M−160、L−160、L−150A、L−160A、O−150である。
本発明に用いられるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。またポリオキシエチレンのエチレンオキサイドの長さ(付加モル数)としては、2〜100が好ましく、4〜50がより好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ポリオキシエチレンモノカプリル酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセキステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
これらのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL TL−10、NIKKOL TP−10V、NIKKOL TS−10V、NIKKOL TS−10MV、NIKKOL TS−106V、NIKKOL TS−30V、NIKKOL TI−10V、NIKKOL TO−10V、NIKKOL TO−10MV、NIKKOL TO−106V、NIKKOL TO−30V、花王(株)社製の、レオドールTW−L106、TW−L120、TW−P120、TW−S106V、TW−S120V、TW−S320V、TW−O106V、TW−O120V、TW−O320V、TW−IS399C、レオドールスーパーSP−L10、TW−L120、第一工業製薬(株)社製の、ソルゲンTW−20、TW−60V、TW−80V等が挙げられる。
前記界面活性剤の添加量は、エマルション組成物に対して、0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%が更に好ましい。
前記界面活性剤量を0.5質量%以上とすることにより、油相/水相間の界面張力を下げ易く、また、30質量%以下とすることにより、過剰量とすることがなくエマルション組成物の泡立ちがひどくなる等の問題を生じ難い点で好ましい。
[エマルション組成物の粒子径]
本発明に用いるエマルション組成物の粒子径は、特に限定されないが、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは150nm以下、最も好ましくは120nm以下である。
エマルション組成物の粒子径を200nm以下とすることにより、コーヒー豆抽出物の沈殿防止効果が増強される点で好ましい。また、その乳化物を用いて製造した飲料の透明性が悪化し難く、また、腸管吸収性が低下し難い点で好ましい。
本発明に用いるエマルション組成物の粒子径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
本発明における粒径範囲および測定の容易さから、本発明におけるエマルション粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本発明における粒子径は、前記動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)を用いて測定した値とし、具体的には、以下のよう計測した値を採用する。
前記粒子径の測定方法は、油性成分の濃度が0.1〜1質量%の範囲内になるように純水で希釈を行い、石英セルを用いて測定を行う。粒子径は、試料屈折率として1.600、分散媒屈折率として1.333(純水)、分散媒の粘度として純水の粘度を設定した時のメジアン径として求めることができる。
[油中水型エマルション組成物の製造方法]
本発明におけるエマルション組成物の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、a)水性媒体(水等)に、界面活性剤を溶解させて、水相を得、b)前記油性成分(カロチノイド等)及びリン脂質(リゾレシチン等)を混合・溶解して、油相を得、c)攪拌下で水相と油相を混合して、乳化分散を行い、エマルション組成物を得る、ステップからなる製造方法が好ましい。
前記製造方法における油相、水相に含有される成分は、前述の本発明のエマルション組成物の構成成分と同様であり、好ましい例及び好ましい量も同様であり、好ましい組合せがより好ましい。
前記乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されるものではないが、油相/水相比率(質量%)として0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70がより好ましく、1/99〜20/80が更に好ましい。
油相/水相比率を0.1/99.9以上とすることにより、有効成分が低くならないためエマルション組成物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油相/水相比率を50/50以下とすることにより、界面活性剤濃度が薄くなることがなく、エマルション組成物の乳化安定性が悪化しない傾向となり好ましい。
前記乳化分散は、1ステップの乳化操作を行うことでもよいが、2ステップ以上の乳化操作を行うことが均一で微細な乳化粒子を得る点から好ましい。
具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化するという1ステップの乳化操作に加えて、高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を通して乳化する等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化物を更に均一な微粒子の液滴に揃えることができる。また、更に均一な粒子径の液滴とする目的で複数回行ってもよい。
<その他の成分>
本水性組成物は、上記の成分以外にも他の成分を含むことができる。各成分は、油溶性成分の場合には、上記エマルション組成物の油性成分として含むことができ、一方、水溶性成分の場合には、エマルション組成物の水相成分に含まれていてもよく、当該エマルション組成物と配合される液体成分に含まれていてもよい。
[ラジカル捕捉剤]
本発明では、カロチノイド類の酸化を防止すると共に、コーヒー豆抽出物の沈澱を効果的に防止するためにラジカル捕捉剤を含むことが好ましい。
ラジカル捕捉剤は、ラジカルの発生を抑えるとともに、生成したラジカルをできる限り速やかに捕捉し、連鎖反応を断つ役割を担う添加剤である(出典:「油化学便覧 第4版」、日本油化学会編 2001)。
前記ラジカル捕捉剤としての機能を確認する直接的な方法としては、試薬と混合して、ラジカルを捕捉する様子を分光光度計やESR(電子スピン共鳴装置)によって測定する方法が知られている。これらの方法では、試薬として、DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)や、ガルビノキシルラジカルが使用される。
本発明においては、以下の実験条件下で、油脂の自動酸化反応を利用して、油脂の過酸化物価(POV値)を60meq/kgに引き上げるまでに要する時間が、ブランクに対し2倍以上である化合物を「ラジカル捕捉剤」と定義する。油脂の過酸化物価(POV値)は常法により測定する。
<条件>
油脂:オリーブ油
検体添加量:油脂に対し0.1質量%
試験方法:試料を190℃にて加熱し、時間を追ってPOV値を常法により測定し、60meq/kgとなる時間を算出した。
本発明におけるラジカル捕捉剤は、エマルションの酸化に対する安定性の観点から、前記POV値60meq/kgになるまでに要する時間がブランクに対し5倍以上であるラジカル捕捉剤が好ましい。
本発明のラジカル捕捉剤として使用できる化合物は、「抗酸化剤の理論と実際」(梶本著、三書房 1984)や、「酸化防止剤ハンドブック」(猿渡、西野、田端著、大成社 1976)に記載の各種酸化防止剤のうち、ラジカル捕捉剤として機能するものであればよく、具体的には、フェノール性OHを有する化合物、フェニレンジアミン等のアミン系化合物、また、アスコルビン酸及びエリソルビン酸の油溶化誘導体等を挙げることができる。
以下に好ましいラジカル捕捉剤(酸化防止剤)としては、例えば、(i)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩、あるいはアスコルビン酸誘導体またはエリソルビン酸誘導体またはその塩からなる化合物群、(ii)ポリフェノール類からなる化合物群より選ばれる少なくとも2種の化合物を挙げることができる。
エマルジョン組成物におけるラジカル捕捉剤の含有量は一般的には0.001〜5.0質量%であり、好ましくは0.01〜3.0質量%、より好ましくは0.1〜2.0質量%である。また、水性組成物100mlに対して10〜4000mgが好ましく、50〜3000mgがより好ましく、100〜2000mgが特に好ましい。10mg以上であれば沈殿効果が期待でき、4000mg以下であれば添加量に対して効率よく沈殿効果を得ることができる。
(i)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩
アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体またはその塩として、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸K、L−アスコルビン酸Ca、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等が挙げられる。これらのうち、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルが特に好ましい。
エリソルビン酸またはエリソルビン酸誘導体またはその塩として、エリソルビン酸、エリソルビン酸Na、エリソルビン酸K、エリソルビン酸Ca、エリソルビン酸リン酸エステル、エリソルビン酸硫酸エステル、エリソルビン酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸エリソルビル、等が挙げられる。これらのうち、エリソルビン酸、エリソルビン酸Naが特に好ましい。
本発明に用いる化合物群(i)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、L−アスコルビン酸(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、L−アスコルビン酸Na(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、アスコルビン酸2−グルコシド(商品名 AA−2G:林原生物化学研究所)、L−アスコルビン酸燐酸Mg(商品名 アスコルビン酸PM「SDK」(昭和電工)、商品名 NIKKOL VC−PMG(日光ケミカルズ)、商品名 シーメート(武田薬品工業))、パルミチン酸アスコルビル(DSM ニュートリション ジャパン、金剛薬品、メルク、ほか)等が挙げられる。
(ii)ポリフェノール類からなる化合物群
ポリフェノール類からなる化合物群として、フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類などを挙げることができる。また、これらの化合物は、以下のような天然物由来の抽出物中に多く含まれるため、抽出物という状態で利用することができる。
例えば、カンゾウ抽出物、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、コレステロール及びその誘導体、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物醗酵代謝産物、羅漢果抽出物等が挙げられる(かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した。)。これらのポリフェノール類のうち、特に好ましいものとしては、カテキン、ローズマリー抽出物、グルコシルルチン、エラグ酸、没食子酸を挙げることができる。
本発明に用いる化合物群(ii)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、エラグ酸(和光純薬ほか)、ローズマリー抽出物(商品名 RM−21A、RM−21E:三菱化学フーズほか)、カテキン(商品名 サンカトールW−5、No.1:太陽化学、ほか)、没食子酸Na(商品名 サンカトール:太陽化学、ほか)、ルチン・グルコシルルチン・酵素分解ルチン(商品名 ルチンK−2、P−10:キリヤ化学、商品名 αGルチン:林原生物化学研究所、ほか)等が挙げられる。
[多価アルコール]
本水性組成物は、粒子径、安定性、及び防腐性の観点から多価アルコールを含有することが好ましく、特にエマルション組成物において含有していることが好ましい。
多価アルコールは、保湿機能や粘度調整機能等を有している。また、多価アルコールは、水と油脂成分との界面張力を低下させ、界面を広がりやすくし、微細で、かつ、安定な微粒子を形成しやすくする機能も有している。
以上より、エマルション組成物が多価アルコールを含有することは、エマルション粒子径をより微細化でき、かつ該粒子径が微細な粒子径の状態のまま長期に亘り安定して保持できるとの観点から好ましい。
また、多価アルコールの添加により、エマルション組成物の水分活性を下げることができ、微生物の繁殖を抑えることができる。
本発明に使用できる前記多価アルコールとしては、二価以上のアルコールであれば特に限定されず用いることができる。
前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、マルチトール、還元水あめ、果糖、ブドウ糖、蔗糖、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、ソルビトール、ソルビタン、トレハロース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等が挙げられ、これらを、単独又は複数種の混合物の形態で用いることが出来る。
また、多価アルコールとしては、その1分子中における水酸基の数が、3個以上であるものを用いるのが好ましい。これにより、水系溶媒と油脂成分との界面張力をより効果的に低下させることができ、より微細で、かつ、安定な微粒子を形成させることができる。その結果、経口摂取の際の腸管吸収性をより高いものとすることができる。
上述したような条件を満足する多価アルコールの中でも、特に、グリセリンを用いた場合、エマルションの粒子径がより小さくなり、かつ該粒子径が小さいまま長期に亘り安定して保持されるため、好ましい。
前記多価アルコールの含有量は、前述の粒子径、安定性、防腐性に加えて、エマルション組成物の粘度の観点から、エマルション組成物に対して10〜90質量%が好ましく、より好ましくは25〜80質量%、さらに好ましくは40〜70質量%である。
多価アルコールの含有量が10質量%以上であると、油脂成分の種類や含有量等によっても、十分な保存安定性が得られ易い点で好ましい。一方、多価アルコールの含有量が90質量%以下であると、エマルション組成物の粘度が高くなるのを抑え易い点で好ましい。
[ビタミンB類]
本水性組成物はビタミンB類を更に含有することができる。本発明では後述するようにpHが高くても良好な保存安定性を示すため、酸性以外の条件で特に不安定になりやすいビタミンB類を好ましく含有することができる。
ビタミンB類には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB13、ビオチン、パントテン酸、ニコチン酸、葉酸、それらの塩および誘導体が包含される。中でもビタミンB1であることが、沈殿防止効果をより増強できるため好ましい。
ビタミンB1類には、ビタミンB1、その塩および誘導体が包含され、チアミンまたはその塩、チアミンジスルフィド、フルスルチアミンまたはその塩、ジセチアミン、ビスブチチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミン、チアミンモノフォスフェートジスルフィド、シコチアミン、オクトチアミン、プロスルチアミンなどが挙げられる。
本水性組成物中におけるビタミンB類の量としては、水性組成物100ml中に、1.0〜100.0mgが好ましく、1.5〜80mgがより好ましく、2.0〜60mgが特に好ましい。1.0mg未満ではビタミンB類の人体への有効性が十分発揮できず、100mgより多い場合ビタミン由来の不快臭のマスキングが困難になる。
[アスコルビン酸類]
本水性組成物は、コーヒー豆抽出物の沈殿防止効果を高めるためにさらに水溶性のアスコルビン酸類を含有することが好ましい。
アスコルビン酸類には、アスコルビン酸、その塩および誘導体が包含される。アスコルビン酸塩としては、そのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、第一鉄塩が例示でき、アスコルビン酸の誘導体としては、そのステアレート、アセテート、パルミテートが用いられ、その他、アスコルビン酸の異性体であるエリソルビン酸およびその塩として、エリソルビン酸ナトリウム等をあげることができ、アスコルビン酸およびその塩が好ましい。
本水性組成物中におけるアスコルビン酸類の量としては、水性組成物100ml中に10〜4000mgが好ましく、50〜3000mgがより好ましく、100〜2000mgが特に好ましい。10mg以上であれば沈殿防止効果を効果的に高めることができ、4000mg以下であれば沈殿防止を効率よく達成することができる
[その他の成分]
水性組成物中にはpH調整剤または呈味剤として有機酸を含有してもよい。有機酸としては、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸等を挙げることができ、特にグルコン酸、クエン酸が経口摂取の場合の風味の観点から好ましい。
水性組成物中には適宜甘味剤を含有することができる。甘味剤は、甘味を呈する材料であればどのようなものでもよい。例えば、果汁、糖類または人工甘味料などが挙げられる。
上記果汁は果実の搾汁液であればいずれであってもよい。例えば、グレープフルーツ、パイナップル、マンゴー、ネーブルオレンジ、伊予柑、八朔、夏柑、甘夏柑、温州蜜柑、レモン、スダチ、キンカン、ザボン、オレンジ、アセロラ、リンゴ、梨、桃、メロン、イチゴ、マスカット、コンコード、キャンベル、デラウェア、巨峰等のブドウ類、ブルーベリー、クランベリー、クロスグリ、アカスグリ等のベリー類、またはレイシ等の果汁などが挙げられる。
上記糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類または糖アルコール類が挙げられる。単糖類としては、ぶどう糖、果糖、木糖、ソルボース、ガラクトースまたは異性化糖等が挙げられ、二糖類としては、ショ糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖またはパラチノース等が挙げられる。オリゴ糖類としては、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガーまたはパラチノースなどが挙げられる。
上記糖アルコール類としては、例えば、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール等の単糖アルコール類、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール等の二糖アルコール類、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等の三糖アルコール類、オリゴ糖アルコール等の四糖以上アルコール類、粉末還元麦芽糖水飴等が挙げられる。
上記人工甘味料としては、例えば、ステビア、アスパラテーム、サッカリン、グルチルリチン、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
水性組成物中には適宜香料を含有することができる。香料としては、例えば天然香料または合成香料等が挙げられる。上記天然香料としては、例えば草根、木皮、花、果実、果皮またはその他動植物を素材として常法に従って調整された香成分含有物等が挙げられる。上記天然香料は、天然素材を水蒸気蒸留法、圧搾法または抽出法等によって処理して分離した精油等も含まれる。
上記合成香料としては、例えば、コーヒー由来香料、紅茶由来香料、緑茶由来香料、ウーロン茶由来香料、ココア由来香料、ハーブ由来香料、スパイス由来香料またはフルーツ由来香料等が挙げられる。
[水性組成物のpH]
本水性組成物のpHは、特に限定されないが、本発明の沈殿防止効果をより発揮するためには、酸性、特に、20℃においてpH1.0〜6.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜5.0、更に好ましくは2.5〜4である。pHが6.0より大きい場合にはコーヒー豆の沈殿が問題となることは少なく、pHが1.0より小さい場合は刺激が強く引用に適さない場合がある。
なお、本発明の水性組成物は、コーヒー豆抽出物を含有する液性の組成物であればいずれのものであってもよく、飲料、化粧料、注射剤、液剤等を挙げることができる。特に、飲料であることが、機能性ドリンク剤などの用途でコーヒー豆抽出物を簡便に摂取できるため、好ましい。
<容器詰飲料>
本発明の容器詰飲料は、コーヒー豆抽出物と、カロテノイド類を含有する水中油型のエマルション粒子と、を含む上述したコーヒー豆抽出物含有水性組成物を、所定の容器に詰めることによって容易に得ることができる。
この容器詰飲料は、コーヒー豆抽出物含有水性組成物を飲料として適用した形態であり、沈殿物が少なく透明性の高いだけでなくカロチノイド類等の機能性成分を含有した場合には、成分に由来した機能も期待できる。
容器詰飲料における各成分は、種類及び配合量等を含め、上記コーヒー豆抽出物含有水性組成物について記載した事項をそのまま適用することができる。
特に、呈味料や、甘味料、香料等を配合することによって、飲料としての味等を適宜調整することができるため、これらの成分は好ましく含まれる。
本容器詰飲料に使用される容器としては、通常飲料用容器として使用されているものであればよく、例えば、PETボトル、紙パック、ガラス容器、アルミ缶、スチール缶等を挙げることができる。
<沈澱防止方法>
本発明のコーヒー豆抽出物の沈澱防止方法は、コーヒー豆抽出物を含有する水性組成物に、カロチノイド類を含有する水中油型エマルション組成物を配合することを含むものである。
上述したように、水性組成物中にカロチノイド類を含有する水中油型のエマルション粒子が存在することにより、コーヒー豆抽出物の沈澱を効果的に防止することができる。この沈澱防止方法には、上記事項がそのまま適用するこができる。
本沈澱防止方法では、コーヒー豆抽出物の沈澱を防止可能な量でカロチノイド類を含有する水中油型エマルション組成物を配合すればよく、水性組成物全体に対して0.02質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.2〜4.0質量%であることが更に好ましい。0.02質量%以上であれば機能性成分の機能を担保しつつコーヒー豆抽出物の分散を保持でき、20質量%以下であれば、エマルション粒子を効率よく配合することができるため、それぞれ好ましい。
本発明における沈殿防止効果は、例えば、コーヒー豆抽出物とカロチノイド類を含有する水中油型のエマルション粒子とを含む水性組成物を上記のように製造し、或いはコーヒー豆抽出物含有水性組成物に、カロチノイド類を含有する水中油型エマルションを上記のように添加して、所定温度下で静置することによって、評価することができる。
本発明の沈殿防止効果が得られる低温とは、凍結しない温度であればよく、一般に10℃以下、好ましくは5℃以下とすることができる。また不安定は温度変化とは、前記低温とそれよりも高い温度との間で繰り返し変化する条件をいう。この温度変化における高温とは、含有成分が変性しない程度の高温をいい、一般に60℃以下、好ましくは50℃以下をいう。
本発明の水性組成物では、このようないずれの条件であっても、3ヶ月以上、好ましくは4ヶ月以上、更に好ましくは5ヶ月以上にわたって沈殿の発生を防止できる。
以下に実施例で本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の記載で「部」と「%」表示してあるものは、特にことわらない限り質量基準である。
<カロチノイド類含有エマルション組成物の調整>
(1)EM−01
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 60.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 60.0g
・グリセリン 630.0g
・純水 160.0g
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20質量%) 25.0g
・ミックストコフェロール 1.0g
・ココナッツ油 59.0g
・リゾレシチン 5.0g
上記水相組成物を70℃に保ったままホモジナイザー(機種名HP93、(株)エスエムテー社製)で攪拌し(10000rpm)、前記水相組成物へ上記油相組成物を添加してエマルション組成物を得た。
続いて、冷却し室温下、得られた予備エマルション組成物をアルティマイザーHJP−25005((株)スギノマシン社製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。
その後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、アスタキサンチン類含有エマルション組成物EM−01を調製した。
上記で得られたアスタキサンチン類含有エマルション組成物(EM−01)1.0gを99.0gの純水に添加して、スターラーを用いて、10分間攪拌を行った。得られたエマルション水希釈液の粒子径を、動的光散乱粒径分散測定装置LB−550(株式会社堀場製作所社製)を使用して25℃で測定したところ、96nmであった。
(2)EM−02
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 50.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 50.0g
・グリセリン 630.0g
・純水 180.0g
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・ヘマトコッカス藻抽出物
(アスタキサンチン類含有率20質量%) 25.0g
・ミックストコフェロール 1.0g
・ココナッツ油 59.0g
・リゾレシチン(大豆由来) 5.0g
前記と同様に乳化を行い、アスタキサンチン類含有エマルション組成物EM−02を調整した。
前記と同様に、上記で得られたアスタキサンチン類含有エマルション組成物(EM−02)の粒子径を測定したところ、148nmであった。
(3)EM−03
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 30.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 30.0g
・グリセリン 630.0g
・純水 220.0g
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・ヘマトコッカス藻抽出物
(アスタキサンチン類含有率20質量%) 25.0g
・ミックストコフェロール 1.0g
・ココナッツ油 59.0g
・リゾレシチン(大豆由来) 5.0g
前記と同様に乳化を行い、アスタキサンチン類含有エマルション組成物EM−03を調整した。
前記と同様に、上記で得られたアスタキサンチン類含有エマルション組成物(EM−03)の粒子径を測定したところ、248nmであった。
(4)EM−04
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 60.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 60.0g
・グリセリン 630.0g
・純水 160.0g
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・β−カロチン30%懸濁液
(β−カロテン含有率30質量%) 16.7g
・ミックストコフェロール 1.0g
・ココナッツ油 67.3g
・リゾレシチン 5.0g
前記と同様に乳化を行い、β−カロチン含有エマルション組成物EM−04を調整した。
前記と同様に、上記で得られたβ−カロチン含有エマルション組成物(EM−04)の粒子径を測定したところ、111nmであった。
(5)EM−05
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 60.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 60.0g
・グリセリン 630.0g
・純水 160.0g
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・トマト抽出物(リコピン含有率18質量%) 27.8g
・ミックストコフェロール 1.0g
・ココナッツ油 56.2g
・リゾレシチン 5.0g
前記と同様に乳化を行い、リコピン含有エマルション組成物EM−05を調整した。
前記と同様に、上記で得られたリコピン含有エマルション組成物(EM−05)の粒子径を測定したところ、106nmであった。
<コーヒー豆抽出物含有飲料の製造>
[実施例1]
・EM−01 1.60重量%
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.40重量%
・ビタミンB1(チアミン硝酸塩) 0.01重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解後、液のpHが3.5(20℃)になるまでクエン酸を添加し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。
[実施例2]
・EM−02 1.60重量%
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.40重量%
・ビタミンB1(チアミン硝酸塩) 0.01重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解後、液のpHが3.5(20℃)になるまでクエン酸を添加し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。
[実施例3]
・EM−03 1.60重量%
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.40重量%
・ビタミンB1(チアミン硝酸塩) 0.01重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解後、液のpHが3.5(20℃)になるまでクエン酸を添加し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。
[実施例4]
・EM−04 1.60重量%
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.40重量%
・ビタミンB1(チアミン硝酸塩) 0.01重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解後、液のpHが3.5(20℃)になるまでクエン酸を添加し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。
[実施例5]
・EM−05 1.60重量%
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.40重量%
・ビタミンB1(チアミン硝酸塩) 0.01重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解後、液のpHが3.5(20℃)になるまでクエン酸を添加し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。
[実施例6]
・EM−01 1.60重量%
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.40重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。pH(20℃)は6.0であった。
[実施例7]
・EM−01 1.60重量%
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.50重量%
・ビタミンB1(チアミン硝酸塩) 0.01重量%
・アスコルビン酸 0.50重量%
・アスコルビン酸ナトリウム 0.50重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解後、液のpHが3.5(20℃)になるまでクエン酸を添加し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。
[比較例1]
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.40重量%
・ビタミンB1(チアミン硝酸塩) 0.01重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解後、液のpHが3.5(20℃)になるまでクエン酸を添加し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。
[比較例2]
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.40重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。pH(20℃)は6.0であった。
[比較例3]
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.50重量%
・ビタミンB1(チアミン硝酸塩) 0.01重量%
・アスコルビン酸 0.50重量%
・アスコルビン酸ナトリウム 0.50重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解後、液のpHが3.5(20℃)になるまでクエン酸を添加し、液体組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。
[評価試験]
(1)試験例1
実施例1〜7、比較例1〜3で作製した飲料各50本を4℃の条件下に6ヶ月間静置した。その間飲料中の様子を観察し、沈殿が発生するまでの期間を調べた。
(2)試験例2
実施例1〜7、比較例1〜3で作製した飲料各50本を、4℃、12時間と40℃、12時間を繰り返す条件下に、6ヶ月間静置した。その間飲料中の様子を観察し、沈殿が発生するまでの期間を調べた。
試験例1および2における、各飲料の沈殿発生までの期間を表1に示す。
表1に示されるように、実施例1〜7の飲料はいずれも、比較例1〜3の飲料よりも長期間にわたって沈殿の発生を防止することができた。
また、エマルション粒子の粒子径が小さいほど沈殿防止効果が顕著であり、更に、ラジカル捕捉剤を添加することによって沈殿防止効果をより向上させることができた。
Figure 2008206474
[実施例8]
・EM−01 1.60重量%
・生コーヒー豆抽出物(粉末) 0.50重量%
・コエンザイムQ10水溶化液
(コエンザイムQ10を10重量%含有) 0.60重量%
・L−カルニチン 0.50重量%
・カフェイン 0.10重量%
・ビタミンB1(チアミン硝酸塩) 0.01重量%
・ビタミンB2(リボフラビンリン酸エステルナトリウム) 0.01重量%
・ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩) 0.01重量%
・ニコチン酸アミド 0.01重量%
・アスコルビン酸 0.50重量%
・アスコルビン酸ナトリウム 0.50重量%
・エリスリトール 8.00重量%
・スクラロース 0.01重量%
・クエン酸 0.60重量%
・香料(オレンジフレーバー) 0.30重量%
上記を純水に添加、溶解後、液のpHが3.5(20℃)になるまでグルコン酸水溶液(グルコン酸を50重量%含有)を添加し、水性組成物5000mlを作製した。これを80℃で30分殺菌したのち50mlをガラス瓶容器に分注、密閉し、飲料を得た。
実施例8で得られた飲料を試験例1、2に記載した方法で試験したところ、両方法において6ヶ月後も沈殿の発生は観察されなかった。
このように本発明によれば、低温時や不安定な温度条件下であっても、コーヒー豆抽出物を含有する水性組成物における沈殿物の発生を効果的に防止することができ、また沈殿物の発生が抑制されたコーヒー豆抽出物含有水性組成物及び容器詰飲料を提供することができる。

Claims (23)

  1. コーヒー豆抽出物とカロチノイド類を含有する水中油型のエマルション粒子とを含むコーヒー豆抽出物含有水性組成物。
  2. 前記カロチノイド類がアスタキサンチン類である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記コーヒー豆抽出物が生コーヒー豆抽出物である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. pHが6以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. ビタミンB類を更に含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記ビタミンB類が、ビタミンB1類である請求項5記載の組成物。
  7. 前記エマルション粒子の粒子径が200nm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. コーヒー豆抽出物とカロチノイド類を含有する水中油型のエマルション粒子とを含む容器詰飲料。
  9. 前記カロチノイド類がアスタキサンチン類である請求項8に記載の容器詰飲料。
  10. 前記コーヒー豆抽出物が生コーヒー豆抽出物である請求項8又は9に記載の容器詰飲料。
  11. pHが6以下である請求項8〜10のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
  12. ビタミンB類を更に含有する請求項8〜11のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
  13. 前記ビタミンB類が、ビタミンB1類である請求項12記載の容器詰飲料。
  14. 前記エマルション粒子の粒子径が200nm以下である請求項8〜13のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
  15. アスコルビン酸類を更に含有する請求項8〜14のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
  16. コーヒー豆抽出物を含有する液体成分とカロチノイド類を含有する水中油型エマルション組成物とを配合することを含むコーヒー豆抽出物含有水性組成物の製造方法。
  17. 前記カロチノイド類がアスタキサンチン類である請求項16に記載の方法。
  18. 前記エマルションの粒子径が200nm以下である請求項16又は17に記載の方法。
  19. アスコルビン酸類を更に含有することを含む請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. コーヒー豆抽出物を含有する水性組成物に、カロチノイド類を含有する水中油型エマルション組成物を配合することを含むコーヒー豆抽出物の沈殿防止方法。
  21. 前記カロチノイド類がアスタキサンチン類である請求項20に記載の方法。
  22. 前記エマルションの粒子径が200nm以下である請求項20又は21に記載の方法。
  23. アスコルビン酸類を更に含有する請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
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