JP2008204898A - 車両用放電バルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用放電バルブを水銀フリーの構成とした場合においても、フリッカーの早期発生を抑制可能とするとともに、光束の低下および始動時のノイズ発生を抑制可能とする。
【解決手段】アークチューブ16における発光管部20aの放電空間24に先端部を突出させるようにして対向配置された1対の棒状電極26A、26Bのうち、一方の棒状電極26Bをトリエーテッドタングステンで構成するとともに、他方の棒状電極26Aを純タングステンで構成する。これにより、両棒状電極26A、26Bをトリエーテッドタングステン製とした場合に比して、フリッカーの早期発生を抑制する。また、両棒状電極26A、26Bを純タングステンで構成した場合に比して、光束の低下を抑制するとともに始動時におけるノイズの発生を抑制する。そしてこれにより、車両用放電バルブ10としての性能を全体的に向上させる。
【選択図】図2

Description

本願発明は、ヘッドランプ等の車両用灯具の光源として用いられる車両用放電バルブに関するものである。
車両用放電バルブは、一般に、例えば「特許文献1」に記載されているように、発光管部を有する石英ガラス製のアークチューブと、このアークチューブを筒状に囲むシュラウドガラスと、このシュラウドガラスの後端部を固定支持する絶縁プラグとを備えた構成となっている。
そして、この車両用放電バルブのアークチューブは、その発光管部の前後方向両側に位置するピンチシール部に、1対の棒状電極が、該棒状電極の先端部を発光管部の放電空間に突出させるようにして対向配置された構成となっている。
また、従来の車両用放電バルブにおいては、その発光効率を高めるため、アークチューブの発光管部の放電空間に、希ガスおよび金属ハロゲン化物と共に水銀が封入されていたが、近年、環境有害物質である水銀の使用を削減しようとする社会的ニーズが高まってきたため、上記「特許文献1」にも記載されているように、発光管部内の放電空間に水銀は封入されずに金属ハロゲン化物および希ガスが封入された、いわゆる水銀フリーの車両用放電バルブも提案されている。
特開2005−183165号公報
このような水銀フリーの車両用放電バルブを採用した場合には、水銀が封入された車両用放電バルブに比して管電圧が低下してしまうので、放電に必要な管電力が得られにくくなる。そこで、これを補うために管電流を増加させると、電極負荷が増大して棒状電極が溶けやすくなってしまう。このため、水銀フリーの構成とした場合には、棒状電極の径を大きくすることが必要となる。
そして、このように棒状電極の径を大きくすることにより、フリッカー(すなわちチラつき)の発生をある程度抑えることも可能であるが、水銀入りの車両用放電バルブに比べると、フリッカーが早期に発生しやすい、という問題がある。
これに対し、水銀フリーの車両用放電バルブにおける棒状電極の材質として、水銀入りの車両用放電バルブにおける棒状電極の材質として用いられているトリエーテッドタングステンに代えて、純タングステンを用いることも考えられるが、このようにした場合には、光束が低下するとともに始動時にノイズが発生しやすくなる、という問題がある。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、水銀フリーの構成とした場合においても、フリッカーの早期発生を抑制することができるとともに、光束の低下および始動時のノイズ発生を抑制することができる車両用放電バルブを提供することを目的とするものである。
本願発明は、1対の棒状電極の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
すなわち、本願発明に係る車両用放電バルブは、
発光管部の前後方向両側に位置するピンチシール部に、1対の棒状電極が該棒状電極の先端部を上記発光管部の放電空間に突出させるようにして対向配置されてなる石英ガラス製のアークチューブと、このアークチューブを筒状に囲むようにして前後方向に延びるとともに前後方向両端部において上記アークチューブに溶着されたシュラウドガラスと、このシュラウドガラスの後端部を固定支持する絶縁プラグと、を備えてなる車両用放電バルブにおいて、
上記放電空間に、水銀は封入されずに金属ハロゲン化物および希ガスが封入されており、
上記1対の棒状電極のうち、一方の棒状電極がトリエーテッドタングステンで構成されるとともに、他方の棒状電極が純タングステンで構成されている、ことを特徴とするものである。
上記「純タングステン」とは、タングステンの純度が99.95%以上のタングステンを意味するものであり、その際、残り0.05%に含まれる不純物の組成は特に限定されるものではない。
上記「トリエーテッドタングステン」とは、純タングステンに酸化トリウムを分散させたものを意味するものである。
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用放電バルブは、水銀フリーの放電バルブとして構成されているが、その放電空間に突出させるようにして対向配置された1対の棒状電極のうち、一方の棒状電極がトリエーテッドタングステンで構成されるとともに、他方の棒状電極が純タングステンで構成されているので、両棒状電極をトリエーテッドタングステン製とした場合に比して、フリッカーの早期発生を抑制することができる。
これは、以下の理由によるものである。
すなわち、水銀フリーの放電バルブを採用した場合には、水銀が封入された放電バルブに比して管電圧が低下してしまうので、放電に必要な管電力が得られにくくなる。これを補うために管電流を増加させると、電極負荷が増大してしまうので、棒状電極の径を大きくすることが必要となる。
しかしながら、一般に、車両用放電バルブにおいては、その点灯方式として交流点灯が採用されているので、棒状電極の径を大きくしても、フリッカーの早期発生の問題は残る。
すなわち、車両用放電バルブにおいて、仮に直流点灯を採用したとすると、金属イオンが陰極周辺に偏在することとなるので、陰極周辺が陽極周辺に比して高輝度になる。したがって、このような放電バルブを光源とする車両用灯具においては、その照射光により形成される配光パターンに色むらが生じてしまうこととなる。このため、車両用放電バルブにおいては、陽極と陰極とが交互に入れ替わる交流点灯を採用することにより、金属イオンの偏りが発生するのを未然に防止するようになっている。
この交流点灯は矩形波を用いて行われるが、その極性切換え時に一瞬管電流が0になるので、再度管電流が流れるようにするためには、ある一定の電圧が必要となる。この電圧は、再点弧電圧と呼ばれるが、長時間の点灯により管電圧が上昇すると、この再点弧電圧も上昇する。しかしながら、この再点弧電圧が上昇しすぎて、バラストの点灯能力以上の電圧になると、アークが一瞬形成されなくなり、これがフリッカーとなって目視されることとなる。
その際、トリエーテッドタングステン製の棒状電極は、トリエーテッドタングステンに含まれる酸化トリウムの副作用で管電圧が上昇しやすく、これに伴って再点弧電圧も上昇するので、純タングステン製の棒状電極の場合に比して、フリッカーが早期に発生しやすくなる。
したがって本願発明のように、1対の棒状電極のうち一方の棒状電極をトリエーテッドタングステンで構成するとともに、他方の棒状電極を純タングステンで構成することにより、両棒状電極をトリエーテッドタングステンで構成した場合に比して、フリッカーの早期発生を抑制することができる。
また、このように一方の棒状電極をトリエーテッドタングステンで構成するとともに、他方の棒状電極を純タングステンで構成することにより、両棒状電極を純タングステンで構成した場合に比して、光束の低下を抑制することができるとともに始動時におけるノイズの発生を抑制することができる。
これは、以下の理由によるものである。
すなわち、トリエーテッドタングステン製の棒状電極においては、トリエーテッドタングステンに含まれる酸化トリウムが棒状電極の表面に移動する現象が生じ、これによりアークスポット(すなわち輝点)が容易に形成される。このため、棒状電極の表面の仕事関数(すなわち、金属の結晶表面から1個の電子を表面のすぐ外側に取り出すのに必要な最小のエネルギー)が低下し、熱電子の放出性が向上する。したがって、棒状電極の熱損失を抑えて、その分を発光のためのエネルギーとして利用することができ、これにより光束の低下を抑制して光束維持を図ることができる。
しかも、純タングステン製の棒状電極においては、始動の際、アークスポットの大きさが安定するまでに時間がかかってしまうため、その間のアークスポットのサイズ変動によりノイズが発生しやすくなるのに対し、トリエーテッドタングステン製の棒状電極においては、早期に一定サイズのアークスポットが形成されるので、始動時におけるノイズの発生を抑制することができる。
このように、本願発明に係る車両用放電バルブは、水銀フリーの放電バルブとして構成されているにもかかわらず、フリッカーの早期発生を抑制することができるとともに、光束の低下および始動時のノイズ発生を抑制することができる。そしてこれにより、車両用放電バルブとしての性能を全体的に向上させることができる。
上記構成において、一方の棒状電極(すなわちトリエーテッドタングステン製の棒状電極)における放電空間への露出部分を一定径で形成するとともに、他方の棒状電極(すなわち純タングステン製の棒状電極)における放電空間への露出部分を、一定径で形成された一般部と、その先端側において該一般部よりも大径で形成された大径先端部とからなる構成とすれば、一方の棒状電極と他方の棒状電極とを目視で容易に識別することができ、これにより誤組付けの発生を効果的に抑制することができる。
また、上述したように、純タングステン製の棒状電極においては、トリエーテッドタングステン製の棒状電極の場合に比して、一定サイズのアークスポットが形成されにくいが、この純タングステン製の棒状電極の先端部を大径先端部として形成することにより、その熱容量を大きくして温度を低くすることが可能となる。そして、このように先端部の温度を低くすることにより、熱電子の放出性を高めることができ、これにより早期に一定サイズのアークスポットが形成されるようにすることができる。
このようにした場合において、トリエーテッドタングステンで構成された一方の棒状電極を、発光管部の後方側に位置するピンチシール部に配置するようにした上で、この一方の棒状電極における放電空間への露出部分の径に対して、他方の棒状電極における一般部の径を小さい値に設定するとともに大径先端部の径を大きい値に設定すれば、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、アークチューブの各ピンチシール部においては、棒状電極とアークチューブ本体(すなわち石英ガラス)との熱膨張率の差により、棒状電極とアークチューブ本体との接合面から放射状に延びるクラックと、棒状電極を囲むようにして周方向に延びるクラックとが発生する。前者は電極クラックと呼ばれるものであって、この電極クラックが成長してアークチューブ本体の外周面に達すると、放電空間と外部空間との間にリークが発生してしまう。一方、後者は境界クラックと呼ばれるものであって、この境界クラックが形成されることにより電極クラックの成長が阻止される。この境界クラックは、棒状電極のピンチシール部への埋設部分における軸線方向の温度分布が略均一であることがその発生の条件となる。
アークチューブを製造する際に、最初にピンチシールが行われる1次ピンチシールの工程では、所望の境界クラックを発生させ得る態様でピンチシールを行うことが比較的容易であるが、次にピンチシールが行われる2次ピンチシールの工程では、製造条件に制約がある(すなわち発光管部を冷却しながらピンチシールを行う必要がある等)ので、所望の境界クラックを発生させ得る態様でピンチシールを行うことが1次ピンチシールの場合よりも困難なものとなる。また、棒状電極の径が大きくなると、所望の境界クラックを発生させにくくなる。
そして一般に、車両用放電バルブにおいては、発光管部の後方側(すなわち絶縁プラグ側)に位置するピンチシール部が、1次ピンチシール側として設定されている。
そこで、発光管部の後方側に配置された一方の棒状電極における放電空間への露出部分の径よりも、発光管部の前方側に配置された他方の棒状電極における一般部の径を小さい値に設定すれば、2次ピンチシール側のピンチシール部においても所望の境界クラックを発生させやすくすることができる。
また、この他方の棒状電極は、その大径先端部の径が、一方の棒状電極の径よりも大きい値に設定されているので、純タングステン製であるにもかかわらず、その先端部の温度を低くして、熱電子の放出性を高めることができる。しかも、車両用放電バルブにおいては、その1対の棒状電極のうち、発光管部の前方側に位置する他方の棒状電極の方が、その先端部の温度は低いものとなるので、この点においても、純タングステン製の棒状電極における先端部の温度を低くすることができ、これにより熱電子の放出性を一層高めることができる。
上記構成において、他方の棒状電極を構成する純タングステンとして、カリウムがドープされたカリウムドープタングステンを用いるようにすれば、高純度の純タングステンを用いるようにした場合に比して、コスト低減を図ることができるとともに、電極形状の経時変化を抑制することができる。そして、このようにして電極形状の経時変化が抑制されることにより、アークスポットがより安定的に形成されるようにすることができる。
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用放電バルブ10を示す側断面図であり、図2は、そのII部詳細図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用放電バルブ10は、ヘッドランプ等の車両用灯具の光源として用いられる光源バルブであって、その点灯は交流点灯により行われるようになっている。
この車両用放電バルブ10は、前後方向に延びるアークチューブユニット12と、このアークチューブユニット12の後端部を固定支持する絶縁プラグ14とを備えてなっている。
アークチューブユニット12は、アークチューブ16と、このアークチューブ16を円筒状に囲むシュラウドガラス18とが、一体的に形成されてなっている。
アークチューブ16は、細長円筒形の石英ガラス管を加工してなるアークチューブ本体20と、このアークチューブ本体20内に埋設された前後1対の電極アッセンブリ22A、22Bとからなっている。
アークチューブ本体20は、中央に略楕円球状の発光管部20aが形成されるとともにその前後両側にピンチシール部20b1、20b2が形成されてなり、その発光管部20aの内部には前後方向に延びる略楕円球状の放電空間24が形成されている。
各電極アッセンブリ22A、22Bは、タングステン製の棒状電極26A、26Bとモリブデン製のリード線28A、28Bとがモリブデン製の金属箔30A、30Bを介して連結固定されてなり、各ピンチシール部20b1、20b2においてアークチューブ本体20にピンチシールされている。
その際、各金属箔30A、30Bは、すべてピンチシール部20b1、20b2内に埋設されているが、各棒状電極26A、26Bは、その先端部が前後両側から互いに対向するようにして放電空間24に突出している。そしてこれにより、放電バルブ10を点灯したとき、両棒状電極26A、26Bの先端部間にアーク状の放電発光部32を形成するようになっている。
このアークチューブ16の製造工程においては、発光管部20aの後方側に位置するピンチシール部20b2に対して1次ピンチシールが行われ、発光管部20aの前方側に位置するピンチシール部20b1に対して2次ピンチシールが行われるようになっている。
1対の棒状電極26A、26Bのうち、発光管部20aの後方側に位置する棒状電極26B(すなわち一方の棒状電極)は、トリエーテッドタングステンで構成されており、発光管部20aの前方側に位置する棒状電極26A(すなわち他方の棒状電極)は、純タングステンで構成されている。
その際、棒状電極26Aを構成する純タングステンとしては、微量(具体的には100ppm以下)のカリウムがドープされたカリウムドープタングステンが用いられている。また、棒状電極26Bを構成するトリエーテッドタングステンとしては、純タングステンに酸化トリウムを0.8〜1.2%程度の割合で分散させたものが用いられている。
棒状電極26Aにおける放電空間24への露出部分は、一定径で形成された一般部26A1と、この一般部26A1の先端側において該一般部26A1よりも大径で形成された大径先端部26A2とからなっている。一方、棒状電極26Bにおける放電空間24への露出部分は、一定径で形成されている。
その際、棒状電極26Aにおける一般部26A1の径D1は、棒状電極26Bの径(正確には棒状電極26Bにおける放電空間24への露出部分の径)D3よりも小さい値に設定されている。また、棒状電極26Aにおける大径先端部26A2の径D2は、棒状電極26Bの径D3よりも大きい値に設定されている。具体的には、例えば、D1=0.30mm、D2=0.39mm、D3=0.32mm程度の値に設定されている。また、棒状電極26Aにおける大径先端部26A2の長さは、1〜2mm程度の値に設定されている。
本実施形態に係る車両用放電バルブ10は、水銀フリーの放電バルブとして構成されている。
すなわち、放電空間24には、希ガスと金属ハロゲン化物とが封入されているが、水銀は封入されていない。
その際、希ガスは、両棒状電極26A、26Bの先端部間における放電の発生を容易化すること等を目的として封入されており、本実施形態ではキセノンガスが用いられている。また、金属ハロゲン化物は、発光効率および演色性を高めるために封入されており、本実施形態ではヨウ化ナトリウムおよびヨウ化スカンジウムが用いられている。
なお、水銀は、棒状電極26A、26Bへの電子の衝突量を減少させてその損傷を緩和する緩衝機能を有しているが、水銀フリーとすることにより、この機能が得られなくなってしまう。そこで本実施形態においては、上記緩衝機能を果たす水銀代替物質として、緩衝用金属ハロゲン化物が封入されている。この緩衝用金属ハロゲン化物としては、例えば、Zn、In、Sb等のハロゲン化物のうちの1種類または複数種類が用いられている。
アークチューブユニット12におけるアークチューブ16とシュラウドガラス18との間の筒状空間には、アルゴンガス、キセノンガス等の希ガスや、窒素、酸素、二酸化炭素等の単体ガス、またはこれらを複数種類含む混合ガスが充填されている。この筒状空間に充填されたガスの充填圧力は、0.01〜0.09MPa程度の負圧に設定されている。
シュラウドガラス18のアークチューブ16に対する封止は、シュラウドガラス18の後端部18bをアークチューブ16に溶着した後、筒状空間に所定のガスを充填し、その後、シュラウドガラス18の前端部18aをアークチューブ16に溶着することにより行われている。その際、シュラウドガラス18の前端部18aにおけるアークチューブ16への溶着は、シュリンクシールによって行われている。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係る車両用放電バルブ10は、水銀フリーの放電バルブとして構成されているが、その放電空間24に突出させるようにして対向配置された1対の棒状電極26A、26Bのうち、一方の棒状電極26Bがトリエーテッドタングステンで構成されるとともに、他方の棒状電極26Aが純タングステンで構成されているので、両棒状電極26A、26Bをトリエーテッドタングステン製とした場合に比して、フリッカーの早期発生を抑制することができる。
これは、以下の理由によるものである。
すなわち、本実施形態に係る車両用放電バルブ10のような水銀フリーの放電バルブを採用した場合には、水銀が封入された放電バルブに比して管電圧が低下してしまうので、放電に必要な管電力が得られにくくなる。これを補うために管電流を増加させると、電極負荷が増大してしまうので、棒状電極の径を大きくすることが必要となる。
しかしながら、本実施形態に係る車両用放電バルブ10においては、金属イオンの偏り発生を未然に防止するため、その点灯方式として交流点灯が採用されているので、両棒状電極26A、26Bの径を大きくしても、フリッカーが早期に発生しやすいという問題は残る。すなわち、上記交流点灯は矩形波を用いて行われるが、その極性切換え時に一瞬管電流が0になるので、再度管電流が流れるようにするための再点弧電圧が必要となるが、長時間の点灯により管電圧が上昇すると、この再点弧電圧も上昇する。しかしながら、この再点弧電圧が上昇しすぎて、バラスト(すなわち車両用放電バルブ10を点灯させるための点灯回路ユニット)の点灯能力以上の電圧になると、アークが一瞬形成されなくなり、これがフリッカーとなって目視されることとなる。
その際、トリエーテッドタングステン製の棒状電極26Bは、トリエーテッドタングステンに含まれる酸化トリウムの副作用で管電圧が上昇しやすく、これに伴い再点弧電圧も上昇するので、純タングステン製の棒状電極26Aの場合に比して、フリッカーが早期に発生しやすくなる。
したがって、本実施形態に係る車両用放電バルブ10のように、1対の棒状電極26A、26Bのうち一方の棒状電極26Bをトリエーテッドタングステンで構成するとともに、他方の棒状電極26Aを純タングステンで構成することにより、両棒状電極26A、26Bをトリエーテッドタングステンで構成した場合に比して、フリッカーの早期発生を抑制することができる。
また、このように一方の棒状電極26Bをトリエーテッドタングステンで構成するとともに、他方の棒状電極26Aを純タングステンで構成することにより、両棒状電極26A、26Bを純タングステンで構成した場合に比して、光束の低下を抑制することができるとともに始動時におけるノイズの発生を抑制することができる。
これは、以下の理由によるものである。
すなわち、トリエーテッドタングステン製の棒状電極26Bにおいては、トリエーテッドタングステンに含まれる酸化トリウムが棒状電極26Bの表面に移動する現象が生じ、これによりアークスポット34Bが容易に形成される。このため、棒状電極26Bの表面の仕事関数が低下し、熱電子の放出性が向上する。したがって、棒状電極26Bの熱損失を抑えて、その分を発光のためのエネルギーとして利用することができ、これにより光束の低下を抑制して光束維持を図ることができる。
しかも、純タングステン製の棒状電極26Aにおいては、始動の際、アークスポット34Aの大きさが安定するまでに時間がかかってしまうため、その間のアークスポット34Aのサイズ変動によりノイズが発生しやすくなるのに対し、トリエーテッドタングステン製の棒状電極26Bにおいては、早期に一定サイズのアークスポット34Bが形成されるので、始動時におけるノイズの発生を抑制することができる。
このように、本実施形態に係る車両用放電バルブ10は、水銀フリーの放電バルブとして構成されているにもかかわらず、フリッカーの早期発生を抑制することができるとともに、光束の低下および始動時のノイズ発生を抑制することができる。そしてこれにより、車両用放電バルブ10としての性能を全体的に向上させることができる。
しかも、本実施形態に係る車両用放電バルブ10においては、トリエーテッドタングステン製の棒状電極26Bにおける放電空間24への露出部分が一定径で形成されているとともに、純タングステン製の棒状電極26Aにおける放電空間への露出部分が、一定径で形成された一般部26A1と、その先端側において該一般部26A1よりも大径で形成された大径先端部26A2とからなっているので、両棒状電極26A、26Bを目視で容易に識別することができ、これにより誤組付けの発生を効果的に抑制することができる。
また、上述したように、純タングステン製の棒状電極26Aにおいては、トリエーテッドタングステン製の棒状電極26Bの場合に比して、一定サイズのアークスポット34Aが形成されにくいが、この純タングステン製の棒状電極26Aの先端部を大径先端部26A2として形成することにより、その熱容量を大きくして温度を低くすることが可能となる。そして、このように先端部の温度を低くすることにより、熱電子の放出性を高めることができ、これにより早期に一定サイズのアークスポット34Aが形成されるようにすることができる。
さらに、本実施形態においては、トリエーテッドタングステン製の棒状電極26Bが発光管部20aの後方側に位置するピンチシール部20b2に配置されるとともに、純タングステン製の棒状電極26Aが発光管部20aの前方側に位置するピンチシール部20b1に配置されており、そして、棒状電極26Aの一般部26A1の径D1が、棒状電極26Bの径D3よりも小さい値に設定されるとともに、棒状電極26Aにおける大径先端部26A2の径D2が、棒状電極26Bの径D3よりも大きい値に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、アークチューブ16の各ピンチシール部20b1、20b2においては、棒状電極26A、26Bと石英ガラス製のアークチューブ本体20との熱膨張率の差により、棒状電極26A、26Bとアークチューブ本体20との接合面から放射状に延びる電極クラックと、棒状電極26A、26Bを囲むようにして周方向に延びる境界クラックとが発生する。その際、電極クラックが成長してアークチューブ本体20の外周面に達すると、放電空間24と外部空間(すなわちアークチューブ16とシュラウドガラス18との間の筒状空間)との間にリークが発生してしまうが、この電極クラックの成長は、境界クラックが形成されることにより阻止される。この境界クラックは、棒状電極26A、26Bのピンチシール部20b1、20b2への埋設部分における軸線方向の温度分布が略均一であることがその発生の条件となる。
アークチューブ16を製造する際に、最初にピンチシールが行われる1次ピンチシールの工程では、所望の境界クラックを発生させ得る態様でピンチシールを行うことが比較的容易であるが、次にピンチシールが行われる2次ピンチシールの工程では、製造条件に制約がある(すなわち発光管部20aを冷却しながらピンチシールを行う必要がある等)ので、所望の境界クラックを発生させ得る態様でピンチシールを行うことが1次ピンチシールの場合よりも困難なものとなる。また、棒状電極26A、26Bの径が大きくなると、所望の境界クラックを発生させにくくなる。
その点、本実施形態においては、発光管部20aの前方側(すなわち2次ピンチシール側)のピンチシール部20b1に位置する棒状電極26Aの一般部26A1の径D1が、発光管部20aの後方側(すなわち1次ピンチシール側)のピンチシール部20b2に位置する棒状電極26Bの径D3よりも小さい値に設定されているので、2次ピンチシール側のピンチシール部20b1においても所望の境界クラックを発生させやすくすることができる。
また、この棒状電極26Aは、その大径先端部26A2の径D2が、棒状電極26Bの径D3よりも大きい値に設定されているので、純タングステン製であるにもかかわらず、その先端部の温度を低くして、熱電子の放出性を高めることができる。しかも、車両用放電バルブ10においては、その1対の棒状電極26A、26Bのうち、発光管部20aの前方側に位置する棒状電極26Aの方が、その先端部の温度は低いものとなるので、この点においても、純タングステン製の棒状電極26Aにおける先端部の温度を低くすることができ、これにより熱電子の放出性を一層高めることができる。
さらに本実施形態においては、棒状電極26Aを構成する純タングステンとして、カリウムがドープされたカリウムドープタングステンが用いられているので、高純度の純タングステンを用いるようにした場合に比して、コスト低減を図ることができるとともに、電極形状の経時変化を抑制することができる。そして、このようにして電極形状の経時変化が抑制されることにより、アークスポット34Aがより安定的に形成されるようにすることができる。
図3は、本実施形態に係る車両用放電バルブ10のバルブ性能を確認するために行った実験の結果を、2つの比較例1、2と共に示す図である。また、図4は、本実施形態に係る車両用放電バルブ10を採用した場合における管電圧の上昇率を、上記2つの比較例1、2と共に示す図である。
これらの図において、比較例1は、1対の棒状電極が共にトリエーテッドタングステンで構成された放電バルブであり、比較例2は、1対の棒状電極が共に純タングステンで構成された放電バルブである。
その際、これら各比較例1、2における1対の棒状電極の形状は、本実施形態の棒状電極26Aと場合と同様の形状にした。また、これら各比較例1、2の放電バルブとしての構成は、1対の棒状電極以外の構成については、本実施形態に係る車両用放電バルブ10と同様の構成にした。
図3に示すように、放電バルブの寿命に関しては、本実施形態の構成を採用することにより、比較例2の構成を採用した場合に比して僅かに短くなるが、比較例1の構成を採用した場合に比して遥かに長くなっている。
また、同図に示すように、放電バルブの光束に関しては、本実施形態の構成を採用することにより、比較例1の構成を採用した場合に比して僅かに少なくなるが、比較例2の構成を採用した場合に比して大幅に多くなっている。
さらに、同図に示すように、放電バルブのノイズに関しては、本実施形態の構成を採用することにより、比較例1の構成を採用した場合に比して僅かに悪化しているが、比較例2の構成を採用した場合に比して大幅に改善されている。
したがって、放電バルブの寿命、光束、ノイズについて総合的に評価すると、本実施形態の構成を採用することにより、比較例1、2の構成に比して優れたバルブ性能が得られることが明らかである。
図4に示すように、本実施形態に係る車両用放電バルブ10は、点灯時間が経過するに従って、管電圧が上昇するが、その上昇率は、比較例2の構成を採用した場合に比して僅かに高くなるに留まり、比較例1の構成を採用した場合に比して大幅に低くなっている。そして、この点が、本実施形態の構成を採用したときに、比較例1、2の構成に比してバルブ性能が優れたものとなる大きな要因になっているものと考えられる。
なお、上記実施形態において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
本願発明の一実施形態に係る車両用放電バルブを示す側断面図 図1のII部詳細図 上記車両用放電バルブのバルブ性能を確認するために行った実験の結果を、2つの比較例1、2と共に示す図 上記車両用放電バルブを採用した場合における管電圧の上昇率を、上記2つの比較例1、2と共に示す図
符号の説明
10 車両用放電バルブ
12 アークチューブユニット
14 絶縁プラグ
16 アークチューブ
18 シュラウドガラス
18a 前端部
18b 後端部
20 アークチューブ本体
20a 発光管部
20b1、20b2 ピンチシール部
22A、22B 電極アッセンブリ
24 放電空間
26A 他方の棒状電極
26A1 一般部
26A2 大径先端部
26B 一方の棒状電極
28A、28B リード線
30A、30B 金属箔
32 放電発光部
34A、34B アークスポット

Claims (4)

  1. 発光管部の前後方向両側に位置するピンチシール部に、1対の棒状電極が該棒状電極の先端部を上記発光管部の放電空間に突出させるようにして対向配置されてなる石英ガラス製のアークチューブと、このアークチューブを筒状に囲むようにして前後方向に延びるとともに前後方向両端部において上記アークチューブに溶着されたシュラウドガラスと、このシュラウドガラスの後端部を固定支持する絶縁プラグと、を備えてなる車両用放電バルブにおいて、
    上記放電空間に、水銀は封入されずに金属ハロゲン化物および希ガスが封入されており、
    上記1対の棒状電極のうち、一方の棒状電極がトリエーテッドタングステンで構成されるとともに、他方の棒状電極が純タングステンで構成されている、ことを特徴とする車両用放電バルブ。
  2. 上記一方の棒状電極における上記放電空間への露出部分が、一定径で形成されており、
    上記他方の棒状電極における上記放電空間への露出部分が、一定径で形成された一般部と、この一般部の先端側において該一般部よりも大径で形成された大径先端部とからなる、ことを特徴とする請求項1記載の車両用放電バルブ。
  3. 上記一方の棒状電極が、上記発光管部の後方側に位置するピンチシール部に配置されており、
    この一方の棒状電極における上記放電空間への露出部分の径に対して、上記他方の棒状電極における上記一般部の径が小さい値に設定されるとともに上記大径先端部の径が大きい値に設定にされている、ことを特徴とする請求項2記載の車両用放電バルブ。
  4. 上記他方の棒状電極を構成する純タングステンに、カリウムがドープされている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用放電バルブ。
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