JP2008200404A - 生体加熱針及び治療器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、磁力線に対する発熱特性の異方性の問題を解決する。
【解決手段】生体内の患部に穿刺して、患部以外に誘導加熱による影響を与えない程度の低周波数の交流磁場で患部を加熱する生体加熱針1において、交流磁場で発熱する強磁性金属からなる発熱部4と、管本体部2aと管本体部2aの針基側に突部2bが形成された生体適合性と交流磁場に対する遮蔽効果を有する針管2とを備える。針管2の内部には、管本体部2aと突部2bとに連続した空芯部3が形成されており、空芯部3には、強磁性金属が挿入又は充填されて発熱部4が設けられている。突部2b内にも強磁性金属を設けることで磁力線に対する角度に関係なく磁力線を集中させ、発熱温度を一定に近づけることができる。
【選択図】図1
【解決手段】生体内の患部に穿刺して、患部以外に誘導加熱による影響を与えない程度の低周波数の交流磁場で患部を加熱する生体加熱針1において、交流磁場で発熱する強磁性金属からなる発熱部4と、管本体部2aと管本体部2aの針基側に突部2bが形成された生体適合性と交流磁場に対する遮蔽効果を有する針管2とを備える。針管2の内部には、管本体部2aと突部2bとに連続した空芯部3が形成されており、空芯部3には、強磁性金属が挿入又は充填されて発熱部4が設けられている。突部2b内にも強磁性金属を設けることで磁力線に対する角度に関係なく磁力線を集中させ、発熱温度を一定に近づけることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、交流磁場で発熱する強磁性金属を発熱部として用い癌等の患部を加熱して患部を焼灼する生体加熱針及びこれを用いた治療器具に関する。
本件出願人の発明者は、特願2006−074913号において、生体内の患部に穿刺して交流磁場で患部を加熱する生体加熱針において、交流磁場で発熱する強磁性金属でなる発熱部を、生体適合性を有する針管の空芯部の全部又は一部に充填してなる生体加熱針を提案している。この生体加熱針によれば、交流磁場で発熱する発熱部となる強磁性金属を針管内の空芯部に設け、針管の穴部を針管とは別の生体適合材料により閉塞したので、強磁性金属が生体と直接接することが無くなり、体液等によってイオン化すると言った問題点を解決することができる。また、針管の交流磁場に対する遮蔽効果によって、強磁性金属の発熱を抑え、全体の発熱温度を、生体の焼灼に適した温度とすることができる。
ところで、強磁性金属に交流磁場を印加した場合には、磁力線に対する発熱特性の異方性の問題がある。すなわち、図16に示すように、磁性球体M1を一様の磁場に入れたとき、磁力線Hは、磁性球体に吸い付けられる特性を有し、この特性は、磁性球体M1が直線状のとき強く現れる。したがって、図17に示すように、直線状の磁性体M2を一様の磁場に入れた場合、磁力線Hは、その向きと直線状の磁性体M2の向きが一致しているとき、直線状の磁性体の一端部に集中し、他端部より放射され、発熱も大きくなる。一方、図18に示すように、磁力線Hの向きと直線状の磁性体M2の向きが垂直なとき、磁力線Hが直線状の磁性体M2に集中せず、発熱が小さくなる。
上述した生体加熱針は、図17及び図18に示す直線状の磁性体M2に相当するから、磁力線の向きとの関係で発熱温度にばらつきが発生してしまう。この生体加熱針は、癌等の患部に穿刺して用いるものであるが、患部に対して、同じ向きに揃えて生体加熱針を穿刺することは熟練を要する。
特許文献1には、上記生体加熱針と類似の生体加熱針が記載されている。この特許文献1の生体加熱針では、磁力線に対する発熱特性の異方性の問題を、3つのコイルを用いて解決するようにしている。しかしながら、特許文献1の方式では、コイルの数が増えてしまい、磁場発生装置の構成が複雑となり、また、大型化してしまう。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で、磁力線に対する発熱特性の異方性の問題を解決することができ、更に、患部へ穿刺する際の取り扱いを容易にすることができる生体加熱針及びこれを用いた治療器具を提供することにある。
本発明に係る生体内の患部に穿刺して、該患部以外に誘導加熱による影響を与えない程度の低周波数の交流磁場で該患部を加熱する生体加熱針は、上記交流磁場で発熱する強磁性金属からなる発熱部と、管本体部と該管本体部の針基側に突部が形成された針管とを備える。
そして、上記針管の内部には、上記管本体部と上記突部とに連続した空芯部が形成されており、上記空芯部には、上記強磁性金属が挿入又は充填されて上記発熱部が設けられている。
なお、ここで用いられる強磁性金属は、鉄、コバルト、ニッケルやこれらを主成分とする合金と言った狭義の強磁性体の他に、フェリ磁性を有するフェライトを含む広義の強磁性金属である。
ここで、針管は、生体適合性を有するチタン、ステンレスといった金属であり、発熱部となっている強磁性金属を被覆することで、交流磁場に対する遮蔽効果によって強磁性金属の発熱を抑え、全体を生体の焼灼に適した発熱温度とすると共に、体液等によってイオン化を防止する。そして、このような生体加熱針では、空芯部が管本体部と突部とに連続して形成され、この空芯部に強磁性金属が挿入又は充填されている。すなわち、針基側に突部を有する針管の内部全体に亘って強磁性金属が挿入又は充填されている。したがって、強磁性金属の形状が直線状より球状に近づき、この部分で磁束を集中させることができ、結果として、直線状の場合よりも、磁力線の向きに伴う発熱の温度差を小さくすることができる。
ここで、針管としては、例えばステンレス管やチタン管を用いることができる。更に、強磁性金属が挿入又は充填された後の端部の孔部は、密閉されることになるが、例えば、生体適合材料で形成された蓋体によって閉塞される。
なお、針基側の突部は、穿刺の深さの目安としたり、取り出し時の操作部として用いることができる。更に、この突部の針先側の面は、患部に接する面でもあるから、患部の表皮や上皮の焼灼も行うことができる。
以上のような本発明に係る生体加熱針は、単体又は復数本を、患部に穿刺し、発熱させることによって、患部を焼灼することができる。患部の焼灼には、開腹して患部に生体加熱針を穿刺する方法、カテーテルにより生体加熱針を搬送して患部に穿刺する方法がある。
更に、本発明に係る生体加熱針は、基台部に、突部の針先側の面が基台部より露出するように、複数本、立設されることで、本発明に係る治療器具を構成することができる。これによって、患部に複数本の生体加熱針を一度に穿刺することができる。すなわち、広範に亘って焼灼治療を行うことができる。
本発明によれば、針基側に突部を有する針管の内部全体に亘って強磁性金属が挿入又は充填されていることから、強磁性金属の形状が直線状より球状に近づき、この部分で磁束を集中させることができ、直線状の場合よりも、磁力線の向きに伴う発熱の温度差を小さくすることができる。したがって、磁力線の向きを気にすること無く、患部へ本発明に係る生体加熱針を穿刺すれば良いことから、取り扱いを容易にすることができる。
以下、本発明を適用した生体加熱針について図面を参照して説明する。図1に示すように、本発明を適用した生体加熱針1は、針管2の空芯部3に、強磁性金属でなる発熱部4が設けられている。
ここで、針管2は、生体に穿刺されるものであるから、生体適合性を有し、更に、発熱部4の発熱を抑える交流磁場に対する遮蔽性を有する金属、例えばチタン管やステンレス管が用いられる。そして、針管2の空芯部3には、広義の強磁性金属の粉体又は細線が充填又は挿入され、交流磁場内で発熱する発熱部4となっている。具体的に、発熱部4となる金属には、鉄、コバルト、ニッケル、これら金属の合金、炭素綱等の狭義の強磁性金属やMFe2O4(但し、Mは、Mg、Ni、Fe、Cuから選択された少なくとも一の金属である。)と言ったフェライト材料が用いられる。ここで、狭義の強磁性金属を用いるときには、安価で加工が容易で、生体不適合の金属の割合の少ない炭素綱(SS400)等が特に好ましく、フェライト材料を用いるときには、生体適合性のあるMgフェライト、Mg−Caフェライト、マグネタイト等が特に好ましい。
ここで、針管2は、針先となる一端が先鋭に形成された管本体部2aの針基側に突部2bが形成されており、発熱部4が形成される空芯部3は、管本体部2aと突部2bとに連続して、すなわち針管2の内部全体に亘って形成されている。具体的に、この突部2bは、管本体部2aと中心軸を一致させ、管本体部2aより直径を大きくし管本体部2aに対して突出して略円柱状に形成されている。そして、発熱部4となる強磁性金属は、針管2の内部全体に亘って形成された空芯部3に挿入又は充填されている。なお、突部2bは、管本体部2aの針基側に放射状に形成された複数の突片で形成しても良い。
また、針管2の少なくとも針先部分、例えば先鋭部分には、針先部分での焼灼を行わないようにするため、空芯部3を設けず発熱部4とならないようにしている。患部10bに穿刺した際に患部10bを突き抜けた針先が、針先が接する患部10b以外の正常部分までも焼灼してしまうことを防止するためである。この針先側の強磁性金属を挿入又は充填しない部分の長さは、針管2の全体の長さや患部10bの大きさとのバランスで決められるものであるから、針先の先鋭部分より長くなっていても良い。なお、針先部分においても焼灼を行う場合には、針先部分にも空芯部3を設け、強磁性金属によって発熱するようにしても良い。
また、図1の更なる具体例となる生体加熱針1は、図2(A)及び図2(B)に示すように、針基側に、空芯部3と連続する孔部5が形成されている。発熱部4となる強磁性金属は、この孔部5より空芯部3内に挿入又は充填され、孔部5は、蓋体6により閉塞され、強磁性金属が挿入又は充填された空芯部3を密閉するようにしている。
ここで、蓋体6は、生体適合性金属や生体適合性樹脂で形成されている。この蓋体6は、例えば、蓋本体部6aの一方の面に、孔部5に圧入される環状の周壁6bが形成されている。この蓋体6は、孔部5に周壁6bを、蓋本体部6aが孔部5の端部に圧接されるまで、圧入することによって、強磁性金属が挿入又は充填された空隙部3を密閉する。このような蓋体6は、針管2が生体適合性金属で形成されるとき、具体的に、チタンやステンレスで形成される。そして、生体適合性金属で形成するときには、空芯部3内の強磁性金属に与える影響を、針管2と蓋体6とで同じにするため、針管2の金属と材料を揃えた方が好ましい。すなわち、針管2をチタン管で形成したときには、蓋体6もチタンで形成する。
また、蓋体6を生体適合性樹脂で形成するときには、フッ素系樹脂(テフロン、登録商標)、塩化ビニール樹脂、シリコーンゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリカーボネート等で形成することができる。
針管2の針基側に形成される突部2bは、患部10bに対し穿刺する際、穿刺の深さの目安としたり、取り出し時のワイヤを引っ掛けるための操作部、更に、刺さりすぎを防止するためのストッパとして用いることができる。更に、この突部2bの針先側の面2cは、患部10bに接する面でもあるから、患部10bの表皮や上皮、すなわち体腔表面を含めた表層の癌(例えば、膀胱癌や子宮頸癌)の焼灼も行うことができる。
なお、図2の生体加熱針1の実際の寸法の一例を説明すると、図2(A)に示すように、生体加熱針1の針先から突部2bの針先側の面2cまでの長さL1は、10mmであり、突部2bの針先側の面2cから針基端部までの長さL2は、5.5mmであり、針先の直径D1は、1.4mmであり、突部2bが形成された針基の直径D2は、3mmであり、蓋本体部6aの厚さTは、0.1mmである。なお、蓋体6と発熱部4となる強磁性金属との間には、隙間が形成されている。また、図2(B)に示すように、空芯部3に挿入又は充填された発熱部4、すなわち空芯部3の寸法は、針先側の先端から突部2bに対応した部分までの長さL3が7.8mmであり、突部2bの長さL4が1.5mmであり、突部2bに対応した部分から針基側端部までの長さL5が1.8mmであり、針先側の直径D3が1.2mmであり、突部2bに対応する部分の直径D4が2.5mmであり、針基側端部の直径D5が2mmとなっている。
ここで、以上のような生体加熱針1が用いられる加熱装置11について説明すると、図3に示すように、この加熱装置11は、患者等の生体10aの外部に配設され交流磁場を発生させる誘導コイル12を有している。この誘導コイル12は、電源装置に接続され、交流電流が供給されることによって、100kHz〜1MHz程度の低周波数の交流磁場を発生させる。
本発明が適用された生体加熱針1は、針先から癌等の患部10bに穿刺されて用いられる。この加熱装置11は、誘導コイル12で低周波数の交流磁場を発生させ、患部10bに穿刺されている生体加熱針1を発熱させることによって患部10bを焼灼する。具体的に、生体加熱針1は、交流磁場によって強磁性金属でなる発熱部4が発熱し、図1及び図2中矢印で示すように熱が流れることで、加熱された針管2と接する患部10bを焼灼する。この際、生体加熱針1は、発熱部4となる強磁性金属が生体適合性のあるチタン管やステンレス管といった針管2で被覆され密閉されていることから、穿刺された部分がイオン化しやすいと言った問題点を解決することができる。
また、ここで、発生させる交流磁場は、100kHz〜1MHz程度の低周波数であることから、患部10b以外への誘導加熱による影響を小さくすることができる。例えば、患部10bが癌の場合には、この生体加熱針1のみを癌の焼灼温度である60℃〜80℃程度に加熱することができる。
加えて、一般に、強磁性金属は、交流磁場中でヒステリシス損と渦電流損とによって発熱する。工業的に多用されている高周波誘導加熱法による金属や合金の溶解は、この原理に基づくものであり、到達温度は1200℃程度となる。このような温度では、生体の焼灼には用いることができない。生体の焼灼に必要な発熱温度は、上述のように60℃〜80℃程度である。本発明が適用された生体加熱針1では、発熱部4となる強磁性金属をチタン管、ステンレス管といった交流磁場に対する遮蔽効果のある針管2で覆うことによって、針管2の遮蔽効果で全体の温度を生体の焼灼に適した温度にまで下げ、患部10b以外の部分までも焼灼してしまうことを防止するようにしている。
更に、生体加熱針1の針管2は、突部2bが形成され、突部2bの内部にも強磁性金属が充填されていることから、強磁性金属の形状が直線状より球状に近づき、この突部2bの部分で磁力線を集中させることができるようになり、この結果、直線状の場合よりも、磁力線の向きに伴う発熱の温度差を小さくすることができる。
具体的に、図4に示すように、生体加熱針1が誘導コイル12で発生される磁界における磁力線Hの向きに沿うとき、磁力線Hは、突部2bに集中し、針先の他に突部2bの端面からも放射される。これに対して、図5に示すように、生体加熱針1が誘導コイル12で発生される磁界における磁力線Hの向きと直交するとき、磁力線Hは、突部2bに集中し、突部2bを径方向に透過し、反対側より放射されることになる。これにより、この生体加熱針1は、図4の場合と図5のときとで発熱温度の差を小さくすることができ、患部10bへの穿刺方向を磁力線Hの向きとに関係なく決めることができる。
更に、生体加熱針1は、臓器等の種々の患部10bの焼灼に用いることが可能であるが、特に、突部2bの針先側の面2cが患部10bに当接されたときには、患部10bの表皮や上皮も焼灼することができる。例えば、子宮頸部に発生した子宮頸癌は、多くが、腺細胞から発生する腺癌又は腺上皮細胞と扁平上皮細胞の両方から発生する腺扁平上皮癌である。したがって、図6に示すように、予め、生体加熱針1を突部2bの針先側の面2cが子宮13の子宮頸部14に当接するまで穿刺し、この後、例えば、膣15内に挿入された棒状の誘導コイル12で磁界を印加することによって、穿刺された管本体部2aの周囲14aの他、針先側の面2cが当接した上皮14bも焼灼することができる。なお、表皮や上皮といった表層の焼灼を行わないときには、表層から針先側の面2cを離間させれば良い。また、針管2の少なくとも針先部分は、患部10bを貫通しても、発熱部4となっていないことから、正常な部分を焼灼してしまうことを防止することができる。
図7は、生体適合性樹脂で形成された基台部21に、本発明が適用された生体加熱針1を、複数本、突部2bの針先側の面2cが基台部21より露出するように立設した治療器具20である。このような治療器具20によれば、広範な患部10bを、一度に焼灼することができる。なお、基台部21に立設される生体加熱針1の本数は、患部10bの大きさによって適宜決定される。
なお、基台部21を用いなくても、患部10bに対して複数本の生体加熱針1を穿刺しすることによって、広い範囲を焼灼することができ、更に、複数本の生体加熱針1に囲まれた内側の領域では、各生体加熱針1の加熱範囲が重なることによって、重なった部分の加熱を速めることができる。
なお、本発明に関連して超高温温熱療法に関する研究がある(INNERVISION(18.8)2003.P33参照)。この研究は、マイクロ波印加によって磁性体に金属環を付した複合型発熱体を発熱させて焼灼を行うものである。この研究では、磁性体の温度がキュリー温度より低いとき、磁性体の効果で磁束が集中し、金属環に誘導される短絡電流によって複合型発熱体が発熱するが、磁性体の温度がキュリー温度より高いとき、磁性体が磁性を失い磁束の集中が生じなくなるため複合型発熱体の発熱が小さく一定となることに着目し、磁性体の温度がキュリー温度より高い領域を利用して焼灼を行うようにしている。このため、代表的な磁性金属である鉄に、多数の異種金属元素を加え、多元系合金とし、鉄に多種類且つ多量の添加元素を加えることで、磁気変態点(キュリー温度)を768℃(鉄のキュリー温度は768℃である。)から60℃〜80℃程度にまで低下させるようにしている。
これに対して、本発明が適用された生体加熱針1は、磁気変態点(キュリー温度)を磁性金属である鉄に多数の異種金属元素を加えて低くし、キュリー温度より高い領域を利用して焼灼するものではなく、キュリー温度に関係なく、強磁性金属の周囲の針管2の交流磁場に対する遮蔽効果と、印加する交流磁場の周波数によって、発熱温度を制御するものであり、この研究の複合型発熱体より容易に強磁性金属を選択し、容易に製造できるものである。
次に、本発明の前提となる突部2bが設けられていない生体加熱針で行った加熱実験を説明する。
ここで、図8は、針管にチタン管を用い、発熱部に強磁性金属であるFe細線を用いた生体加熱針の加熱実験結果を示す。ここでは、生体加熱針を10mlの水に浸漬し、370kHz、140Wの条件で交流磁場を印加し、水温を測定した。なお、このときの生体加熱針の姿勢は、磁力線に対して0°である。
チタン管・・・外径:2.4mm、内径1.9mm(肉厚:0.25mm)
Fe細線・・・外径:1.9mm、長さ:20mm、質量:446.7mg
図9は、図8で使用したFe細線のみの加熱実験結果であり、Fe細線を10mlの水に浸漬し、370kHz、140Wの条件で交流磁場を印加し、水温を測定したときの図である。
Fe細線・・・外径:1.9mm、長さ:20mm、質量:446.7mg
図9は、図8で使用したFe細線のみの加熱実験結果であり、Fe細線を10mlの水に浸漬し、370kHz、140Wの条件で交流磁場を印加し、水温を測定したときの図である。
図9より、Fe細線は、交流磁場内において極めて優れた発熱特性を有し、生体の焼灼には高温過ぎることが分かる。Fe細線をチタン管で被覆すると、図8に示すように、チタン管の交流磁場に対する遮蔽効果で熱損失をし、発熱特性が抑えられ、患部の焼灼に適温とすることができる。
また、図10も本発明の前提となる突部2bが設けられていない生体加熱針で行った加熱実験であり、針管にチタン管を用い、発熱部に、強磁性金属であるスーパーインバー合金細線を用いた生体加熱針の加熱実験結果を示す。ここでは、生体加熱針を10mlの水に浸漬し、370kHz、140Wの条件で交流磁場を印加し、水温を測定した。なお、このときの生体加熱針の姿勢は、磁力線に対して0°である。
また、使用したスーパーインバー合金細線の組成は、次の通りである。
組成:Ni・・・31%,Co・・・4〜6%,Mn・・・0.3〜0.4%,C・・・0.07%,Fe・・・残り(Balance)
チタン管・・・外径:2.4mm、内径1.9mm(肉厚:0.25mm) スーパーインバー合金細線・・・外径:1.9mm、長さ:20mm、質量:446.7mg
図11は、図10で使用したスーパーインバー合金細線のみの加熱実験結果であり、スーパーインバー合金細線を10mlの水に浸漬し、370kHz、140Wの条件で交流磁場を印加し、水温を測定したときの図である。
チタン管・・・外径:2.4mm、内径1.9mm(肉厚:0.25mm) スーパーインバー合金細線・・・外径:1.9mm、長さ:20mm、質量:446.7mg
図11は、図10で使用したスーパーインバー合金細線のみの加熱実験結果であり、スーパーインバー合金細線を10mlの水に浸漬し、370kHz、140Wの条件で交流磁場を印加し、水温を測定したときの図である。
図11より、スーパーインバー合金細線は、極めて優れた発熱特性を有し、生体の焼灼には高温過ぎることが分かる。スーパーインバー合金細線をチタン管で被覆すると、図10に示すように、チタン管の交流磁場に対する遮蔽効果で熱損失をし、発熱特性が約半分程度に抑えられ、患部の焼灼に適温とすることができる。
また、図12も本発明の前提となる突部2bが設けられていない生体加熱針で行った加熱実験であり、針管にステンレス管(SUS304)を用い、発熱部に、強磁性金属であるFe細線を用いた生体加熱針の加熱実験結果(線A)と、Fe細線のみの加熱実験結果(線B)を示す。ここでは、ステンレスの針管に発熱部としてFe細線を挿入した生体加熱針及びFe細線を豚レバーに直接穿刺して、光ファイバ温度計で穿刺部の温度を測定した。また、450kHz、180Wの条件で交流磁場を印加した。また、針管として用いるステンレス管には、外径1.2mm、内径0.9mmの注射針(18Gの太さ)を用いた。また、Fe細線のみの加熱実験では、直径0.8mm、長さ20mmのFe細線を用いた。なお、このときの生体加熱針の姿勢は、磁力線に対して0°である。
Fe細線のみ(線B)では、約2分間で180℃に達するが、ステンレス管にFe細線を入れる(線A)と、ステンレス管の交流磁場に対する遮蔽効果で熱損失をし、発熱特性が抑えられ、患部の焼灼に適温とすることができる。
図8乃至図12の強磁性金属にFe細線やスーパーインバー合金細線をチタン管やステンレス管に挿入した実験例より、本発明の前提となる生体加熱針は、交流磁場によって発熱した強磁性金属が熱源となり、針管で、交流磁場に対する遮蔽効果で熱損失をしながら、チタン管やステンレス管が加熱され、患部の焼灼に適当な温度に達することが分かる。
ところで、本発明の適用された生体加熱針1は、管本体部2aと突部2bとに連続して形成された空芯部3に強磁性金属を挿入又は充填することで、磁力線の向きに伴う発熱の温度差を小さくする、すなわち磁力線に対する発熱特性の異方性の問題を解決するものである。そこで、ここでは、本発明に係る生体加熱針1の効果確認として次のような実験を行った。
先ず、本発明が適用された生体加熱針1は、上記図2に示した大きさのものを使用し、針管2に、チタン管(99.5%)を用い、更に、蓋体6にもチタンを使用した。また、強磁性金属としては、炭素綱(SS400)を使用した。
そして、このような生体加熱針1を3本、平行に且つ正三角形(一辺:6mm)を描くように、油粘土に穿刺し、外部の誘導コイルから340kHz・3.8kA/mの磁場を印加した。このときの正三角形の中心(表面からの深さ3mm)の温度を光ファイバ温度計により測定した。この正三角形の中心は、3本の生体加熱針1のそれぞれが発熱することによって加熱された領域が重複する箇所であり、温度が最も高くなる箇所である。磁力線と生体加熱針1とのなす角は、0°、45°、90°の3通りである。この結果を図13に示す。
なお、磁力線と生体加熱針1とのなす角は、次のように測定した。この実験に使用した誘導コイル12は、直径が8mmの銅パイプをポリプロピレン製の筒(外径180mm、高さ50mm)に5回巻いたもので、この誘導コイル12の中心軸を磁力線の方向とし、この中心軸に対する生体加熱針1の角度を分度器で測定したものである。
また、図14に示すように、比較例として用いた生体加熱針31は、針管2と同様、チタン管で針管32を形成し、空芯部33に、炭素綱(S400を)を挿入し、発熱部34とした。また、針基には、突部35を形成した。但し、この突部35内には、空芯部33を形成していない。また、ここで用いた生体加熱針31は、発熱部34を、長さL11が12mmとなるように針基から形成し、長さL12(4mm)だけ針先に空芯部33を残し、針基に長さL13が6mmの突部35を形成した。また、針管32の内径、すなわち空芯部33の直径D11を1.2mmとし、針管32の外径D12を1.4mmとした。そして、このような生体加熱針31を3本、平行に且つ正三角形(一辺:6mm)を描くように、油粘度に穿刺し、外部の誘導コイルから340kHz・3.8kA/mの磁場を印加した。このときの正三角形の中心(深さ3mm)の温度を光ファイバ温度計により測定した。磁力線と生体加熱針1とのなす角は、0°、45°、90°の3通りである。この結果を図15に示す。
本発明が適用された生体加熱針1の結果と比較例の生体加熱針31の結果を比較すると、図13に示す本発明が適用された生体加熱針1の方が、図15に示す比較例の生体加熱針31より、磁力線と生体加熱針1とのなす角に伴う温度変化が小さいことを確認することができる。すなわち、図13に示す本発明が適用された生体加熱針1では、5分間での温度差を10℃以内に抑えることができる。
なお、以上の例では、肝臓癌及び子宮頚癌に用いる生体加熱針1及びこれを用いた治療器具20を説明したが、本発明の生体加熱針1及び治療器具20が用いられる患部10bは、これらの腫瘍に限定されるものではない。また、本発明の生体加熱針及び治療器具は、人体の他に、種々の動物にも用いることができる。更に、本発明が適用された生体加熱針1は、患部10bの大きさ、形状等に応じて長さ、太さが決定され、更に、湾曲されたものであっても良い。
1 生体加熱針、2 針管、2a 管本体部、2b 突部、2c 針先側の面、3 空芯部、4 発熱部、5 孔部、6 蓋体、6a 蓋本体部、6b 周壁、10a 生体、11 加熱装置、12 誘導コイル、13 子宮、14 子宮頸部、14a 周囲、14b 上皮、15 膣、20 治療器具、21 基台部、31 生体加熱針、32 針管、33 空芯部、34 発熱部、35 突部
Claims (4)
- 生体内の患部に穿刺して、該患部以外に誘導加熱による影響を与えない程度の低周波数の交流磁場で該患部を加熱する生体加熱針において、
上記交流磁場で発熱する強磁性金属からなる発熱部と、
管本体部と該管本体部の針基側に突部が形成された生体適合性と上記交流磁場に対する遮蔽効果を有する針管とを備え、
上記針管の内部には、上記管本体部と上記突部とに連続した空芯部が形成されており、
上記空芯部には、上記強磁性金属が挿入又は充填されて上記発熱部が設けられていることを特徴とする生体加熱針。 - 上記管本体部は、針先又は針基の少なくとも一方に、上記空間部と連続する孔部が形成されており、
上記孔部は、生体適合材料により形成された蓋体により閉塞され、上記強磁性金属が挿入又は充填された上記空芯部が密閉されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の生体加熱針。 - 上記針管は、ステンレス又はチタンにより形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2の内何れか1項記載の生体加熱針。
- 生体内の患部に穿刺した生体加熱針を該患部以外の誘導加熱による影響を与えない程度の低周波数の交流磁場で発熱させ、患部を加熱する治療器具において、
請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の生体加熱針を複数本基台部に、上記突部の針先側の面が該基台部より露出するように立設してなることを特徴とする治療器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007042286A JP2008200404A (ja) | 2007-02-22 | 2007-02-22 | 生体加熱針及び治療器具 |
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JP2007042286A JP2008200404A (ja) | 2007-02-22 | 2007-02-22 | 生体加熱針及び治療器具 |
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JP (1) | JP2008200404A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014148199A1 (ja) * | 2013-03-21 | 2014-09-25 | オリンパス株式会社 | 治療用処置装置 |
-
2007
- 2007-02-22 JP JP2007042286A patent/JP2008200404A/ja not_active Withdrawn
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