JP2008200253A - ペプチドグリカン除去剤およびペプチドグリカン除去方法 - Google Patents

ペプチドグリカン除去剤およびペプチドグリカン除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体中に存在するペプチドグリカンの除去性能に優れた新たなペプチドグリカン除去剤と、この除去剤を用いたペプチドグリカン除去方法を提供する。
【解決手段】ペプチドグリカン除去剤は、ペプチドグリカンを吸着する有効成分として、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含有するリン酸カルシウム系セラミックス,酸化チタンのいずれか一方または両方を含有する。このような有効成分を所定の容器に充填し、この容器にペプチドグリカンを含有する液体を通液循環させることにより、この液体に含まれるペプチドグリカンを減少させる。酸化チタンを用いる場合には、紫外線を含む光の照射下でこの処理を行うことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペプチドグリカンを含む液体からペプチドグリカンを除去するため除去剤および除去方法に関する。
ペプチドグリカンはムレインとしても知られ、真正細菌の細胞膜の外側に層を形成する細胞壁の主要物質である。ペプチドグリカンは、細胞質の浸透圧に対する耐久性を与え、細胞の形態、強度を保持する等、細胞壁の構造上、重要な役割を果たしている。
ペプチドグリカン層の厚さは、グラム陰性菌では7〜8nmであるのに対し、グラム陽性菌では20〜80nmある。そのため、ペプチドグリカンは、グラム陰性菌では乾燥重量の10%〜20%を占めるに止まるが、グラム陽性菌では40〜95%を占めている。
ペプチドグリカンはそれ自身で種々の生物活性を持ち、ショックや関節炎を引き起こす。また単独でサイトカイン産生亢進などの生物活性があるといわれている。したがって、血液中に侵入した場合には上記のごとくショックや関節炎など重篤な状態に陥る可能性がある。さらに、ペプチドグリカンがエンドトキシンと共存している場合、両者が相乗的に作用し、より重篤な状態に陥る可能性があることが指摘されている。
また、人工血液透析の分野では、透析液中にペプチドグリカンが混入した場合、患者血液に同様のことが起こる可能性が指摘されている。そのため、ペプチドグリカンを透析液から除去するための研究、開発が進められている。その例として、アミノ基を有する水不溶性多孔質材料(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、安全性に優れ、しかも安価な新規材料の開発と実用化が、引き続き望まれている。
特開2001−219062号公報(段落[0006]〜[0010]等)
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、液体中に存在するペプチドグリカンの除去性能に優れた新たなペプチドグリカン除去剤と、この除去剤を用いたペプチドグリカン除去方法を提供することを目的とする。
第1発明は、ペプチドグリカンを吸着除去する有効成分が、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含有するリン酸カルシウム系セラミックスであることを特徴とするペプチドグリカン除去剤を提供する。
第2発明は、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含有するリン酸カルシウム系セラミックスを所定の容器に充填し、この容器にペプチドグリカンを含有する液体を通液循環させることにより、この液体に含まれるペプチドグリカンを減少させることを特徴とするペプチドグリカン除去方法を提供する。
第3発明は、ペプチドグリカンを含む液体から該ペプチドグリカンを除去する有効成分として酸化チタンを含有することを特徴とするペプチドグリカン除去剤を提供する。
第4発明は、紫外線を含む光の照射下において、ペプチドグリカンを含有する液体を酸化チタンと接触させることにより、この液体に含まれるペプチドグリカンを減少させることを特徴とするペプチドグリカン除去方法を提供する。
本発明によれば、液体中のペプチドグリカンを高い効率で除去することができる。また、本発明に係る除去剤は、化学的にも安定であり、しかも安価であるという利点もある。
第1のペプチドグリカン除去剤は、液体に含まれるペプチドグリカンを吸着して除去する有効成分としてハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含む。このハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムは、ペプチドグリカンを含む液体と接触させると、この液体に含まれるペプチドグリカンを減少させる。
ペプチドグリカン除去剤は、それ全体が、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含有するリン酸カルシウム系セラミックスで構成されていてもよいし、所定の担体(例えば、アルミナ等の耐食性に優れたセラミックス)に、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含有するリン酸カルシウム系セラミックスが担持された構造であってもよい。液体には、水、緩衝液だけでなく体液が含まれる。また、体液とは、血液,血漿,血清,腹水,リンパ液,関節内液およびこれらから得られた分画成分、ならびにその他の生体由来の液体成分をいう。
このペプチドグリカン除去剤は、1000℃〜1300℃で焼成されたものであることが好ましい。焼成温度が1000℃未満の場合には、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムは強度が小さいために、液体と接触している間に破壊するおそれがあり、また、構成粒子が脱粒して液体に混ざってしまうおそれがある。一方、焼成温度を1300℃超とすると、ハイドロキシアパタイトが分解して、所望の吸着性能が得られなくなる。また、焼成温度が1100℃を超えると、比表面積の減少が顕著に現れるようになり、吸着性能が低下してしまうので、より好ましい焼成温度は1000℃以上1100℃以下である。
なお、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含むリン酸カルシウム系セラミックスを担体に担持させる場合には、上述したハイドロキシアパタイトの熱処理温度条件に加えて、ハイドロキシアパタイトが担体から脱落しないように、担持条件を設定する。
ハイドロキシアパタイトにペプチドグリカンを含む液体を接触させる方法には、所謂、バッチ式と循環(灌流)式とがある。バッチ式では、通液性素材からなる容器等にペプチドグリカン除去剤を充填してその容器をタンクにセットし、ペプチドグリカンを含む一定量の液体をこのタンクに供給し、その液体を所定時間撹拌することにより、液体と、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含むリン酸カルシウム系セラミックスとを接触させる。一方、循環式では、ペプチドグリカン除去剤が収容されたカラム等の容器にペプチドグリカンを含有する液体を流通させることにより、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含むリン酸カルシウム系セラミックスに液体を接触させ、この容器から排出される液体を循環させて再び容器に通してハイドロキシアパタイトに液体を再接触させる処理を所定時間行う。後述する実施例に示すように、好ましくは循環式を用いることにより、短時間でペプチドグリカンを除去することができ、効率的である。
ペプチドグリカン除去剤の形状は、このようにハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含むリン酸カルシウム系セラミックスにペプチドグリカンを含有する液体を接触させることができればよいので、微粒子状,粉末状,顆粒状(これらは粒径が大きくなっていく順序である)であってもよいし、ペレット状や不定形塊状であってもよい。
上述したバッチ式と循環式のいずれの場合でも、微粒子状および粉末状のペプチドグリカン除去剤は、液体へ分散を回避するための手段または液体に分散させた後に分離回収する手段を設けることが必要となる。
循環式を用いる場合には、ペプチドグリカン除去剤をカラム等の容器に充填する必要があるが、その際に所望の吸着性能を確保しながら、液循環の圧力損失が大きくならないようにするために、粒径が100μm以上2mm以下の顆粒状のものであって、比表面積ができるだけ大きいものを用いることが好ましい。このような形態のペプチドグリカン除去剤は、バッチ式にも好適に用いることができる。
なお、循環式を用いる場合、ペプチドグリカン除去剤として柱状多孔質焼結体を用いることもできる。その場合、柱状多孔質焼結体の長手方向の一端から他端へ液体が通過する構成とすればよい。柱状多孔質焼結体の長さ、平均気孔径、気孔率は、許容される圧力損失と所望される吸着性能を考慮して決定すればよい。同様に、板状多孔質焼結体を用い、その厚さ方向に液体が通過する構成とすることもできる。
第2のペプチドグリカン除去剤は酸化チタンを含む。このペプチドグリカン除去剤は酸化チタンの単一組成物でもよいし、所定の担体に酸化チタンが担持された構造であってもよい。ペプチドグリカンを含む液体に酸化チタンを接触させることにより、液体に含まれるペプチドグリカンを減少させることができる。なお、ペプチドグリカン除去剤は、酸化チタンとハイドロキシアパタイトをともに含有していてもよい。
酸化チタンによるペプチドグリカン除去機構には、吸着機構と分解機構とがある。前者の吸着機構によりペプチドグリカンを除去する場合、酸化チタンは、アナターゼ型とルチル型のいずれであってもよく、比表面積の大きい材料が好適である。
これに対し、後者の分解機構は、紫外線(UV)を含む光が照射されている状態において顕著に現れる。逆に言えば、UVを含む光の照射下において分解機構が発現する酸化チタンは光触媒活性を示すものであり、好ましくはアナターゼ型酸化チタンである。なお、酸化チタンを含むペプチドグリカン除去剤では、UV照射下においては、分解機構と吸着機構とが同時に発現しているものと考えられる。
酸化チタンの光触媒活性を利用する場合の光源としては、所謂、ブラックライト(UVライト)が好適に用いられるが、その他にも、光触媒活性を発現させる波長のUVを含む光を放射するライト(例えば、高輝度水銀灯,ハロゲンランプ等)を用いることもできる。このような光源の設置場所は、酸化チタンに光を照射することができる場所であれば、酸化チタンが収容された容器の内部,外部を問わない。
酸化チタンにペプチドグリカンを含有する液体を接触させる方法は、先に説明したリン酸カルシウム系セラミックスを含むペプチドグリカン除去剤と同様に、バッチ式と循環式とがある。このうち循環式を用いると、短時間でペプチドグリカンを除去することができ、好ましい。なお、バッチ式,循環式を問わず、酸化チタンにUVを照射して、上述した分解機構を発現させることができる。
酸化チタンは、体液に接触させて使用する場合には、その生体適合性を高めるために、非酸化性雰囲気下で熱処理されたものを用いることが好ましい。特に、血漿中のペプチドグリカンを除去する場合には、有用なアルブミンの吸着を抑制する観点から、水素雰囲気等の還元雰囲気下で熱処理された酸化チタン粒子を用いることが好ましい。このような有用物質の吸着除去を考慮しなくてもよい場合には、焼成雰囲気の調整は必須ではない。
酸化チタンを含むペプチドグリカン除去剤は、300℃〜1200℃の温度範囲内で焼成されていることが好ましい。焼成温度が300℃未満の場合には、酸化チタンの強度が小さいために、構成粒子が脱粒して液体に混ざってしまうおそれがある。一方、焼成温度を1200℃超とすると、比表面積が小さくなって所望の吸着性能が得られなくなり、またルチル型結晶相となるために光触媒活性を利用した分解機構を実質的に用いることができなくなる。そのため、光触媒活性を利用する場合、アナターゼ型酸化チタンを用い、その焼成温度は、ルチル型への結晶相転位が起こり難い800℃以下とすることがより好ましく、その場合には、焼成による比表面積の減少も抑制することができる。
酸化チタンを含むペプチドグリカン除去剤の形状については、ハイドロキシアパタイトを含むペプチドグリカン除去剤の形状と同様に、制限はないが、微粒子や粉体では液体への拡散を防止する必要や、循環式に用いた場合に圧力損失が大きくなるという問題がある。そのため、酸化チタンを含むペプチドグリカン除去剤についても、粒径が100μm以上2mm以下の顆粒状のものであって、比表面積が大きいものが好適に用いられる。
次に、本発明について、実施例と比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例により制限されるものではない
[実施例1,2]
水酸化カルシウムとリン酸を原料として湿式法にて合成したハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムをそれぞれ800℃で仮焼,粉砕後、100μmの篩で通篩し、粒径が100μm以下のハイドロキシアパタイト粉とリン酸三カルシウム粉を得た。このハイドロキシアパタイト粉とリン酸三カルシウム粉それぞれにイオン交換水を添加,乾燥後、1000℃で2時間焼成したものを、粉砕,通篩して、粒径が1mm〜2mmのハイドロキシアパタイト顆粒とリン酸三カルシウム顆粒とを得た。このハイドロキシアパタイト顆粒とリン酸三カルシウム顆粒をそれぞれイオン交換水で洗浄,乾燥した後、γ線滅菌済み試験管(ベクトンデッキンソン社製)に別々に0.2g充填した。ここで、ハイドロキシアパタイト顆粒を用いたものを実施例1とし、リン酸三カルシウム顆粒を用いたものを実施例2とする。
ペプチドグリカン(Staphylococcus aureus由来)を、約26ng/mlの濃度になるように注射用蒸留水(大塚製薬製)で溶解,希釈し、ペプチドグリカン水溶液を作製した。このペプチドグリカン水溶液をハイドロキシアパタイト顆粒とリン酸三カルシウム顆粒がそれぞれ別々に充填されている試験管に1ml添加し、10℃,100rpmで2時間振盪処理した。この振盪処理後、上清中のペプチドグリカン濃度を、SLP試薬(和光純薬工業(株)製)を用いて測定した。
[比較例1]
実施例1と同様にしてペプチドグリカン水溶液を作製した。このペプチドグリカン水溶液をγ線滅菌済み試験管に1ml添加し、10℃,100rpmで2時間振盪処理した。この振盪処理後、上清中のペプチドグリカン濃度を、SLP試薬を用いて測定した。
[実施例1,2と比較例1の試験結果]
ペプチドグリカン含有率を“ペプチドグリカン含有率=(一定時間振盪後のペプチドグリカン濃度)/(初期ペプチドグリカン濃度)”と定義し、この式に実施例1,2と比較例1で測定したペプチドグリカン濃度を適用することにより、振盪処理後のペプチドグリカン含有率を求めた。
その結果を図1に示す。この図1から明らかなように、試験管にハイドロキシアパタイト顆粒を充填した実施例1と、試験管にリン酸三カルシウム顆粒を充填した実施例2と、充填しない比較例1とを比較すると、実施例1と実施例2ではペプチドグリカン含有率が大きく減少しており、ペプチドグリカンがハイドロキシアパタイト,リン酸三カルシウムに吸着されて除去されたことが確認された。
[実施例3]
上記実施例1で作製した粒径が1mm〜2mmのハイドロキシアパタイト顆粒をイオン交換水で洗浄,乾燥した後、φ18mmカラム(容積約15ml)に充填した。また、実施例1と同様にしてペプチドグリカン水溶液を作製した。このペプチドグリカン水溶液50mlを、前記のカラムに約20ml/分の流量で通液,循環(灌流)し、一定時間経過後のペプチドグリカン濃度を、SLP試薬を用いて測定した。
[比較例2]
実施例1と同様にしてペプチドグリカン水溶液を作製した。このペプチドグリカン水溶液50mlを、φ18mmカラム(体積約15mlで充填剤なし)に約20ml/分の流量で通液、循環し、一定時間経過後のペプチドグリカン濃度を、SLP試薬を用いて測定した。
[実施例3と比較例2の試験結果]
ペプチドグリカン含有率を“ペプチドグリカン含有率=(一定時間灌流後のペプチドグリカン濃度)/(初期ペプチドグリカン濃度)”と定義し、この式に実施例3と比較例2で測定したペプチドグリカン濃度を適用して、一定時間経過後のペプチドグリカン含有率を求めた。
その結果を図2に示す。この図2から明らかなように、ハイドロキシアパタイトを充填した実施例2と充填しない比較例2とを比較すると、実施例2ではペプチドグリカン含有率が大きく減少しており、ペプチドグリカンがハイドロキシアパタイトに吸着されて除去されたことが確認された。また、実施例1と実施例3とを比較すると、循環式処理による実施例3の方が短時間で多くのペプチドグリカンが除去されていることがわかり、除去効率が高いことが確認された。
[実施例4]
酸化チタン粉末(TAF1500J;富士チタン工業製)150gと水300gをポットに入れ、樹脂ボールを用いて、ポットミルにてスラリーを調製した。このスラリーを室温乾燥し、得られた酸化チタン塊を、大気中で200℃/hrで昇温し、700℃で2時間保持した。この熱処理により得られた焼結体を粉砕,分級し、粒径0.5mm〜1.2mmの酸化チタン顆粒を得た。さらに、この酸化チタン顆粒を水素雰囲気下、200℃/hrで昇温し、700℃で2時間保持した。この還元雰囲気での熱処理により得られた酸化チタン顆粒をイオン交換水で洗浄,乾燥した後、γ線滅菌済み試験管(ベクトンデッキンソン社製)に、0.2g充填した。
実施例1と同様にしてペプチドグリカン水溶液を作製した。このペプチドグリカン水溶液を酸化チタン顆粒が充填されている試験管に1ml添加し、10℃,100rpmで2時間振盪処理した。この振盪処理後、上清中のペプチドグリカン濃度を、SLP試薬を用いて測定した。
[比較例3]
比較例3は上述した比較例1と同じ条件とし、振盪処理を実施例4の試験管と同時に行った。
[実施例4と比較例3の試験結果]
上記実施例1と比較例1においてペプチドグリカン含有率を求めるために定義した式を用い、実施例4と比較例3の振盪試験後のペプチドグリカン含有率を求めた。
その結果を図3に示す。この図3から明らかなように、試験管に酸化チタンを充填した実施例4と充填しない比較例3とを比較すると、実施例4ではペプチドグリカン含有率が大きく減少していることが確認された。実施例4では、酸化チタンにUVを照射しておらず、そのため、ペプチドグリカンが酸化チタンに吸着されて除去されたものと考えられた。
[実施例5]
実施例4で作製した粒径0.5mm〜1.2mmの酸化チタン顆粒(水素雰囲気での熱処理済み)をイオン交換水で洗浄,乾燥した後、γ線滅菌済み試験管(ベクトンデッキンソン社製)に0.2g充填した。また、実施例1と同様にしてペプチドグリカン水溶液を作製した。このペプチドグリカン水溶液を酸化チタン顆粒が充填されている試験管に1ml添加してこの試験管を静置し、ブラックライト(20W×2本)によりUVを2時間照射した。このUV照射処理後、上清中のペプチドグリカン濃度を、SLP試薬を用いて測定した。
[参考例]
実施例4と同様にして、酸化チタン顆粒0.2gとペプチドグリカン水溶液1mlが充填された試験管を準備し、この試験管をアルミ箔で覆った。実施例3のUV照射処理の際に、このアルミ箔で覆った試験管を実施例4の試験管に並べて静置した。つまり、実施例4では酸化チタン顆粒にUVが照射されるが、この参考例では酸化チタン顆粒にUVは照射されない。UV処理が終了した時点でアルミ箔を試験管から除去し、上清中のペプチドグリカン濃度を、SLP試薬を用いて測定した。
[実施例5と参考例の試験結果]
ペプチドグリカン含有率を“ペプチドグリカン含有率=一定時間UV照射後のペプチドグリカン濃度)/(初期ペプチドグリカン濃度)”で定義し、この式に実施例5と参考例で測定したペプチドグリカン濃度を適用することにより、UV照射後のペプチドグリカン含有率を求めた。
その結果を図4に示す。この図4から明らかなように、試験管の酸化チタン顆粒にUVを照射した実施例5では、UVを遮蔽した参考例よりもペプチドグリカン含有率が大きく減少していることが確認された。この結果は、実施例5では、UV照射によって酸化チタン顆粒に光触媒活性が発現し、これによりペプチドグリカンが分解され、ペプチドグリカン濃度が大きく減少したことによるものと考えられた。なお、参考例でもペプチドグリカン濃度が減少しているのは、酸化チタン顆粒にペプチドグリカンが吸着された結果と考えられる。
実施例1,2と比較例1のペプチドグリカン含有率変化を示すグラフ。 実施例3と比較例2のペプチドグリカン含有率変化を示すグラフ。 実施例4と比較例3のペプチドグリカン含有率変化を示すグラフ。 実施例5と参考例のペプチドグリカン含有率変化を示すグラフ。

Claims (6)

  1. ペプチドグリカンを吸着する有効成分が、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含有するリン酸カルシウム系セラミックスであることを特徴とするペプチドグリカン除去剤。
  2. 粒径が100μm以上2mm以下の粒状物であることを特徴とする請求項1に記載のペプチドグリカン除去剤。
  3. ハイドロキシアパタイト、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムのいずれか一方または両方を含有するリン酸カルシウム系セラミックスを所定の容器に充填し、この容器にペプチドグリカンを含有する液体を通液循環させることにより、この液体に含まれるペプチドグリカンを減少させることを特徴とするペプチドグリカン除去方法。
  4. ペプチドグリカンを含む液体から該ペプチドグリカンを除去する有効成分として酸化チタンを含有することを特徴とするペプチドグリカン除去剤。
  5. 粒径が100μm以上2mm以下の粒状物であることを特徴とする請求項4に記載のペプチドグリカン除去剤。
  6. 紫外線を含む光の照射下において、ペプチドグリカンを含有する液体を酸化チタンと接触させることにより、この液体に含まれるペプチドグリカンを減少させることを特徴とするペプチドグリカン除去方法。
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