JP2006312018A - サイトカインの除去方法、除去装置および除去剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】血液または血漿の導入口および排出口が設けられ、酸化チタンからなる除去剤が収容された容器と、前記血液または血漿の導入口および排出口と連結された流路の一部に接続された循環ポンプとを備えたサイトカイン除去装置を用いて、サイトカインを含有する血液または血漿を流通させ、前記容器から排出される血液または血漿中のサイトカインを減少させる。
【選択図】なし
Description
例えば、生体防御機構の恒常性維持に必須のIL‐1(インターロイキン‐1)、IL‐6、IL‐8やTNF‐α(腫瘍壊死因子)等の分子は、生体内における様々な炎症症状を引き起こす因子であり、炎症性サイトカインと呼ばれている。また、IL‐10、TGF‐β等の炎症症状を抑制する働きをするサイトカインを、総称して抗炎症性サイトカインと呼んでいる。
前記バランスが崩れた状態には、SIRS(systemic inflammatory response syndrome:全身性炎症反応症候群)という強い炎症性サイトカインが優位な状態と、このSIRSと作用−反作用の関係にあるCARS(compensatory anti-inflammatory response syndrome)という抗炎症性サイトカインが優位である強い免疫抑制状態とがある。
SIRSの場合は、血液中の炎症性サイトカインが上昇し(高サイトカイン血症)、動員されたサイトカインによる2段攻撃によって、組織構成細胞が障害を受けることにより、MODF(multiple organ dysfunction syndrome:多臓器不全)が誘導される。
一方、CARSの場合は、IL‐10を中心とした抗炎症性サイトカインが優位になり、抗炎症性サイトカインの誘導が増強される。これにより、免疫応答が抑制され、生体防御能力の欠落による細菌感染によって、組織構成細胞が損傷し、臓器の感染症が誘発され、この場合も、MODFに陥る。
このため、SIRSによる炎症性疾患を治療する方法としては、抗炎症性サイトカインの外、免疫細胞の核内での炎症性サイトカイン合成遺伝子であるmRNAの転写を阻害するステロイド等の抗炎症薬や、炎症性サイトカインに特異的に結合して、その機能を阻害するモノクローナル抗体等の中和抗体や、炎症性サイトカインの働きを阻害する可溶性受容体や拮抗物を用いる抗サイトカイン療法が行われている。
サイトカインの除去を企図した血液浄化法としては、持続的血液濾過、持続的血液透析、持続的血液濾過透析(CHDF:continuous hemodia filtration)、持続的血漿交換、血漿吸着等の様々な方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、炎症性サイトカインであるIL‐1やTNF‐αに対する中和抗体は、満足できるほどの効果は得られておらず、また、受容体拮抗物による治療も、生存率の改善を図るまでには至っていない。
さらに、フィルタによる除去は、アルブミン等の血液中の有用物質も同時に除去されてしまう可能性が高いという課題も有していた。
このように、本発明は、酸化チタンを用いて、血液または血漿中のサイトカインを吸着除去するものである。
なお、本発明でいうサイトカインとは、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの両方を含むものである。
このように、酸化チタンを用いて、体外において、サイトカインを含む血漿または血液を、前記酸化チタンと接触するように流通循環させることにより、サイトカイン濃度を低減させることができる。
上記のような装置によれば、血液または血漿流通循環装置において、生体外で上記サイトカイン除去方法を好適に実施することができる。
サイトカインの吸着除去性、生体適合性、取扱い容易性等の観点から、上記のような酸化チタンが、サイトカイン除去剤として好適に用いられる。
また、上記除去方法、除去装置および除去剤は、サイトカインの除去だけでなく、血液中の肝炎ウイルスやアンモニア、ビリルビン等の有害物質を除去することができる一方、有用物質であるアルブミンの濃度低下は抑制されるため、血液透析をはじめ、血漿交換、吸着療法等の体外循環による血液浄化治療に好適に用いることができる。
本発明に係るサイトカインの除去方法は、酸化チタンに、サイトカインを接触させて、血液または血漿中に含まれるサイトカインを吸着除去するものである。
上記のような酸化チタンによる吸着除去によって、サイトカイン量を効果的に減少させることができる。
前記熱処理は、300〜1200℃の温度範囲内で行うことが好ましく、より好ましくは、500〜900℃の範囲内で行われる。
また、前記酸化チタンの性状は、孔径200nm以下の細孔を有し、比表面積が10m2/g以上の粒子であることが、サイトカイン除去効果の観点から好ましい。
この方法によれば、本発明に係るサイトカイン除去剤を用いて、体外において、高濃度のサイトカインを含む血液または血漿等の液体を、前記酸化チタンと接触するように流通循環させることにより、サイトカイン濃度を低減させることができる。
上記装置は、生体外における血液または血漿等の液体流通循環装置であり、前記酸化チタンの吸着除去能を発揮させるため、該酸化チタンからなる除去剤に、サイトカインを含む血液または血漿等の液体を接触させる構成とする。
上記装置において、サイトカイン除去剤として光触媒活性を有する酸化チタンを用いる場合には、該酸化チタンが収容された容器内または容器外に、光源を設置しておくことが好ましい。
この装置は、酸化チタンの吸着作用およびその光触媒効果による分解作用とを発揮させるため、該酸化チタンにサイトカインを含む血液または血漿等の液体を接触させ、かつ、光照射可能な構成としたものである。
[実施例1]
酸化チタン試料として、ST‐01(試料1)、CR‐EL(試料2)、TTO‐55(試料3)(いずれも石原産業株式会社製)、TAF1500J(試料4)(富士チタン工業株式会社製)、F‐6(試料5)(昭和電工株式会社製)、ST‐21(試料6)(石原産業株式会社製)を用いて、以下の方法により、サイトカイン除去能力の評価を行った。
光触媒活性を示す酸化チタン粉末150gおよび水300gをポットに入れ、樹脂ボールを用いて、ポットミルにてスラリーを調製した。
このスラリーを室温乾燥し、得られた酸化チタンの塊を、大気中で200℃/hrで昇温し、705℃で2時間保持して、熱処理を行った。
得られた焼結体を粉砕、分級し、粒径0.5〜1.2mmの酸化チタン顆粒を得た。
さらに、この酸化チタン顆粒を水素雰囲気下、200℃/hrで昇温し、705℃で2時間保持して、熱処理を行った。
この回路に、UV光源を設置し、カラム内の酸化チタン顆粒をUV照射し、C型肝炎血漿70ccを15ml/minで灌流し、一定時間毎に溶液を採取し、IL‐6およびアルブミンの濃度を測定した。
図1に、IL‐6、図2に、アルブミンの各濃度の経時変化をグラフとして示す。
実施例1において調製した酸化チタン顆粒(試料5)について、実施例1と同様の方法で、C型肝炎血漿を灌流し、IL‐10の濃度の経時変化を測定した。
実施例1において調製した酸化チタン顆粒(試料5)について、UVを照射せず、それ以外については実施例1と同様の方法で、C型肝炎血漿を灌流し、IL‐10の濃度の経時変化を測定した。
ブランクとして、酸化チタンをカラムに充填せずに、実施例1と同様の方法で、C型肝炎血漿を灌流し、IL‐10の濃度の経時変化を測定した。
図3に、実施例2,3および比較例1についてのIL‐10の濃度の経時変化をグラフとして示す。
ブランクとして、酸化チタンをカラムに充填せずに、実施例1と同様の方法で、C型肝炎血漿を灌流し、IL‐6の濃度の経時変化を測定した。
図1に、比較例2についてのIL‐6の濃度の経時変化をグラフとして示す。
実施例1において調製した酸化チタン顆粒(試料3〜5)を直径5mmのカラムに充填し、このカラムを、循環ポンプを備えた回路に設置した。
この回路に、UV光源を設置し、カラム内の酸化チタン顆粒をUV照射し、C型肝炎血漿40ccを5ml/minで灌流し、一定時間毎に溶液を採取し、IL‐6およびIL‐10の濃度を測定した。
実施例1において調製した酸化チタン顆粒(試料5)について、UVを照射せず、それ以外については実施例4と同様の方法で、C型肝炎血漿を灌流し、IL‐6およびIL‐10の濃度の経時変化を測定した。
ブランクとして、酸化チタンをカラムに充填せずに、実施例4と同様の方法で、C型肝炎血漿を灌流し、IL‐6およびIL‐10の濃度の経時変化を測定した。
図4および図5に、実施例4,5および比較例3についてのIL‐6およびIL‐10の各濃度の経時変化をグラフとして示す。
実施例1において調製した酸化チタン顆粒(試料4)について、実施例4と同様の方法で、C型肝炎血漿を灌流し、IL‐8の濃度の経時変化を測定した。
実施例1において調製した酸化チタン顆粒(試料4)について、UVを照射せず、それ以外については実施例4と同様の方法で、C型肝炎血漿を灌流し、IL‐8の濃度の経時変化を測定した。
図6に、IL‐8の濃度の経時変化をグラフとして示す。
ブランクとして、酸化チタンをカラムに充填せずに、UVを照射した場合およびしない場合について、実施例4と同様の方法で、C型肝炎血漿を灌流し、IL‐8の経時変化を測定した。
図6に、実施例6,7および比較例4についてのIL‐8の各濃度の経時変化をグラフとして示す。
なお、IL‐6およびIL‐8は炎症性サイトカインであり、IL‐10は抗炎症性サイトカインである。
Claims (4)
- 酸化チタンに、血液または血漿を接触させて、前記血液または血漿中に含まれるサイトカイン量を減少させることを特徴とするサイトカインの除去方法。
- 酸化チタンが収容された容器内に、サイトカインを含有する血液または血漿を流通させ、前記容器から排出される血液または血漿中のサイトカイン量を減少させることを特徴とするサイトカインの除去方法。
- 血液または血漿の導入口および排出口が設けられ、酸化チタンが収容された容器と、前記血液または血漿の導入口および排出口と連結された流路の一部に接続された循環ポンプとを備えていることを特徴とするサイトカインの除去装置。
- 還元雰囲気下で300〜1200℃で熱処理された粒径0.2〜2mmの顆粒状の酸化チタン粒子からなることを特徴とするサイトカイン除去剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006006919A JP2006312018A (ja) | 2005-04-05 | 2006-01-16 | サイトカインの除去方法、除去装置および除去剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008272149A (ja) * | 2007-04-27 | 2008-11-13 | Toshiba Ceramics Co Ltd | エンドトキシン除去剤およびその除去方法 |
JP2017086563A (ja) * | 2015-11-11 | 2017-05-25 | 旭化成メディカル株式会社 | サイトカイン及びハイモビリティグループボックス1の吸着体、並びに血液処理システム |
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2006
- 2006-01-16 JP JP2006006919A patent/JP2006312018A/ja active Pending
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