JP2008198626A - 有機el装置 - Google Patents

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Mutsumi Kimura
睦 木村
Hiroshi Maeda
浩 前田
Yojiro Matsueda
洋二郎 松枝
Kiyobumi Kitawada
清文 北和田
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Abstract

【課題】陰極への不純物混入を防止し、ダークスポットの発生を抑止するとともに、長期にわたり視認性に優れた有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の有機電界発光素子の陰極は、陰極下層13−1及び陰極上層13−2から成る2層積層構造を有しており、陰極上層13−2は陰極下層13−1が表面に露出しないように、その上面及び周縁面を含む全体を被覆するように成膜されている。
【選択図】図1

Description

本発明はディスプレイパネルに用いられる有機電界発光素子及びその製造技術に係わり、特に、有機電界発光素子の陰極構造の改良技術に関する。
有機電界発光素子は電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。当該素子は高輝度、高速応答、高視野角、面発光、薄型で多色発光が可能であり、しかも数ボルトという低電圧の直流印加で発光する全固体素子であり、かつ、低温において特性の変化が少ないという特徴を有している。イーストマン・コダック社のC.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機電界素子の報告がなされて以来、有機化合物を構成材料とする有機電界素子に関する研究が盛んに行われている(C.W.Tang,S.A.Vanslyke,アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters),51巻,913頁、1987年など)。
ところで、有機電界発光素子の陰極構造として、例えば、特開平10−12385号公報、特開平4−19993号公報及び特開平4−363896号公報に開示されているように、陰極を2層構造にする技術が知られている。特開平10−12385号公報によれば、陰極下層として仕事関数4eV以下の金属を選択し、陰極上層として仕事関数が陰極下層よりも大きい金属を選択することで、有機電界発光素子の製造工程中に有機発光層上に付着したダストやこれに含まれる水分によって陰極が酸化される現象を防ぐことができると報告されている。また、特開平4−19993号公報及び特開平4−363896号公報によれば、陰極下層の材質を適切に選択することで、陰極下層と発光層間の密着力を向上させることができると報告されている。
しかし、上記従来技術における陰極構造では、陰極下層と陰極上層のパターン(陰極の平面形状)が略同一であるため、陰極への不純物混入を充分に抑止できないという不都合があった。この点を詳細に説明するため、従来の2層構造型陰極を有する有機電界発光素子の断面構造を図3に示す。同図において、符号21はガラス基板、22は陽極、23は正孔輸送層、24は有機発光層、25は陰極である。陰極25は陰極下層25−1及び陰極上層25−2から成る積層構造を有している。
一般に、有機発光層として用いられる有機化合物は水分に弱いとともに、有機溶剤やその他の薬品に対する耐性にも乏しい。そして、薄膜に対して微細なパターニングを行うに際しては、薄膜上へのレジストの塗布、塗布されたレジストの露光、レジストの現像、薄膜のエッチング、レジストの剥離等の工程からなるいわゆるフォトリソグラフィーが行われるが、レジストは多量の有機溶剤を含み、また、現像液は通常、水溶液であり、さらに、エッチングやレジストの剥離にも水溶液や有機溶剤やその他の薬品が用いられる可能性があるので、有機発光層に用いられる有機化合物に重大な影響を及ぼす可能性があり、上述のようなパターニング方法を有機電界発光素子の製造工程に用いるのは困難である。
そこで、図3に示す陰極構造を有する有機電界発光素子を製造する際には、有機発光層24の蒸着後、予め陰極の平面形状でパターン開口されているメタルマスクを用いてマスク蒸着することで陰極下層25−1及び陰極上層25−2を順次積層し、陰極25を成膜していた(シャドーマスク法)。このとき、陰極下層25−1と陰極上層25−2を成膜するときに同一のメタルマスクを用いると、陰極下層25−1及び陰極上層25−2の平面パターンは略同一となり、陰極下層25−1の側面は陰極上層25−2によって完全に被覆されないことになる。
このような構造では、エポキシ樹脂等の有機系樹脂の封止剤で陰極を封止しても、大気との接触により封止剤を介して酸素や水分等の不純物が侵入し、陰極25が酸化して素子にダークスポット(非発光部分)が発生、成長するという問題が生じる。特に、陰極は仕事関数の小さい材料で成膜されるため、酸素や水分に対して反応性が高く、一度発生したダークスポットは、最初に発生した部分を核として、経時的に面方向に対して放射状に成長していく性質がある。
また、封止剤として、GeO、MoO3、GeS、SnS、LiF等の金属酸化物、金属フッ化物あるいは金属硫化物からなるからなる材料で封止しても、その粒径が比較的大きく、粒子の隙間から酸素や水分が侵入してしまい、陰極25が酸化してダークスポットが発生、成長するという問題が生じる。このように、有機ELパネルは常に大気に曝されるため、従来の陰極構造では封止剤を介して陰極内部に不純物が混入する現象を充分に抑止できないという問題が生じていた。
また、陰極25をマスク蒸着で成膜すると、1mmより微細な加工、即ち、数百μmといった微細加工が困難になる。さらに、陰極25をマスク蒸着で成膜すると、陰極25と陽極22との位置合わせや有機発光層24とのアライメントが困難になるという問題も生じていた。
そこで、本発明は上記問題点を解決するべく、陰極への不純物混入を抑止し、ダークスポットの発生を抑止するとともに、長期にわたり視認性に優れた有機電界発光素子及びその製造方法並びに当該有機電界発光素子を備えた表示パネルを提供することを課題とする。また、陰極の微細パターニングに適した陰極構造を備えた有機電界発光素子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の有機電界発光素子は、陰極下層及び陰極上層から成る2層積層構造を有する陰極を備えるものであり、当該陰極上層は陰極下層が表面に露出しないように被覆成膜されていることを特徴とする。かかる構成により、陰極下層を成膜したときに表面に露出している箇所、例えば、上面及び周縁部を含む部分を陰極上層が被覆することで、陰極上層がいわゆるシールドの役割をし、陰極下層への不純物混入を有効に防止できる効果がある。
好ましくは、陰極下層の仕事関数を陰極上層の仕事関数よりも小さくする。例えば、陰極下層として、仕事関数4eV以下の金属を選択し、陰極上層として陰極下層への不純物混入防止、陰極の低抵抗化等の観点を考慮して材料その他の成膜条件を設定することで、ダークスポットの成長を抑止して、長期にわたり視認性が良好な有機ELパネルを得ることができるとともに、高速、高応答性の有機ELディスプレイを実現することができる。例えば、特開平10−12385号公報に開示されているように、陰極上層を仕事関数が陰極下層よりも大きい金属或いは合金とすることで、水分が陰極下層に拡散するのを防止でき、さらに陰極上層を水分に対して不活性化させることができる。また、陰極上層を膜厚化することで、陰極全体の配線抵抗を低く抑えることができ、信号の伝播遅延および電圧降下を防ぐことができる。これにより、例えば2〜3インチ以上の大画面、高精細ディスプレイの場合に、陰極は十分低い薄膜比抵抗を有することができる。
本発明の表示パネルは本発明の有機電界発光素子を備えるものであって、陰極上層を被覆する封止剤を設けたことを特徴とする。かかる構成により、陰極下層は陰極上層及び封止剤によって2重に被覆されているため、酸素や水分等の不純物混入を有効に防止できる効果がある。
本発明の表示パネルは本発明の有機電界発光素子を各画素毎に備えるものであり、陰極上層が形成される領域は、各画素の駆動制御を行うドライバが形成される領域に対して平面的に重複しない範囲に形成されることを特徴とする。かかる構成により、ドライバ領域に形成される寄生容量の増加を防止し、表示品質の劣化を防止できる。
上記表示パネルにおいて、陰極上層を被覆する封止剤が設けられることが好ましい。また、かかる封止剤はパネル内のドライバが形成される領域に対して平面的に重複するように形成されることが好ましい。かかる構造では、ドライバ領域において、封止剤の重複により、水分、不純物の混入が有効に防止され、当該パネルの安定的な駆動が実現される。更に、上記表示パネルにおいて、有機発光素子からなる画素毎にスイッチング素子を設け、各画素をアクティブマトリクス方式により制御することが好ましい。
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、陰極下層及び陰極上層から成る2層積層構造を有する陰極を備えた有機電界発光素子の製造方法において、陰極下層及び陰極上層のそれぞれを異なるマスクを用いてパターン形成する際に、陰極上層が表面に露出しないように陰極上層が陰極下層を被覆するように形成する工程を備えることを特徴とする。
本発明の有機電界発光素子の製造方法の好適な形態として、シャドーマスク法を利用して有機薄膜が表面に露出しないようにその上に陰極下層をパターン形成し、さらに、フォトリソグラフィーを利用して陰極下層が表面に露出しないようにその上に陰極上層をパターン形成する。ここで、有機薄膜とは有機発光層のほか、必要に応じて電子輸送層或いは正孔輸送層等を含む。陰極下層および陰極上層は有機薄膜を被覆するようにパターン形成されるため、陰極上層のパターン形成の際にフォトリソグラフィーを利用しても有機薄膜はフォトレジストや現像液等の各種有機溶剤に侵されることはなく、陰極上層を高精度にパターニングできる。このため、表示パネルを製造するときのパターンずれに対する余裕を低減することができ、表示パネルの小型化が可能になる。特に、表示領域とドライバ領域との間隔を狭化することができ、狭額縁の表示パネルが実現できる。
以下、各図を参照して本実施の形態について説明する。
図1(A)は本発明の有機電界発光素子を各画素に備えたアクティブマトリクス方式の有機ELパネル(表示パネル)の断面図であり、同図(B)は当該有機ELパネルの平面図である。
同図(A)において、符号1はガラス基板、3はゲート酸化膜、6及び7は層間絶縁膜、8は陽極、9及び10は層間絶縁膜、11は正孔輸送層、12は有機発光層、13は陰極、14は封止剤、15は画素トランジスタである。画素トランジスタ15上には層間絶縁膜9、10が積層されており、陽極8に対応する位置が開口され、この開口部に正孔輸送層11、有機発光層12及び陰極13が順次成膜されている。有機電界素子は陽極8、正孔輸送層11、有機発光層12及び陰極13から構成される。
同図(B)は陰極13とドライバ領域18の平面的位置関係を図示するものであり、他の回路要素は図示していない。この図に示すように、有機ELパネル20には表示領域17とドライバ領域18が同一のガラス基板1上に形成されている。ドライバ領域18には画素トランジスタ15の駆動制御を行うドライバが形成されており、主にシフトレジスタ、レベルシフタ、バッファ、ラッチ回路等の所望の回路素子で構成されている。同図においてはドライバを構成する回路素子としてTFT16のみが図示されている。また、ドライバからのアドレス線、データ線は、表示領域17内に、マトリクス状に形成されている。
有機ELパネル20は、マトリックス状に配置された各画素に画素トランジスタ15を配置しており、画素トランジスタ15をオン・オフ状態が切り替わるスイッチとして機能させる。そして、オン状態にある画素では、有機電界素子に電流が流れ発光する。その後、画素トランジスタ15がオフ状態になると、有機電界素子に電流が流れなくなり、発光しない。
同図(A)に示すように、本実施の形態における有機電界発光素子の陰極13は陰極下層13−1及び陰極上層13−2から成る積層構造を有している。陰極上層13−2は陰極下層13−1の全体、即ち、その上面及び周側面を完全に被覆するように成膜されており、封止剤14は陰極上層13−2の全体、即ち、その上面及び周側面を完全に被覆するように形成されている。陰極13をこのような構造とすることで、陰極下層13−1は陰極上層13−2及び封止剤14によって二重に被覆されているため、陰極下層13−1への酸素や水分等の不純物混入を効果的に防止できる。
陰極下層13−1としては、電子を有機発光層12に高率良く注入できる物質であれば特に限定されるものではなく、一般に白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロム、炭素などを用いることができるが、電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためにはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−スカンジウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金等の低仕事関数金属を含む合金が好適である。
また、陰極上層13−2としては、例えば、特開平10−12385号公報に開示されているように、標準電極電位が0V以上の金属、例えば、Au、Pt、Pd、Ir、Ag等が好適である。陰極上層13−2をこれらの金属とすることで、水分が陰極下層13−1に拡散するのを防止でき、さらに陰極上層13−2を水分に対して不活性化させることができる。
封止剤14としては、例えば、シリカ、チタニア、珪素、窒化珪素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンのような炭化水素系高分子、ポリテトラフルオロエチレンやポリビニリデンフルオライドのようなフッ素系高分子やナイロン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂のような遮蔽性材料を用いることができる。炭化水素系高分子の具体例としては、上記の他、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系プラスチック、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等や、これらの2つ又は3つ以上の共重合体が挙げられる。特に好ましい高分子フィルムとしては、ポリビニルフロライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、特開昭63−18964号公報に開示されているフッ素系高分子化合物、特開昭63−22206号公報に開示されているフッ素系高分子化合物、特開昭63−238115号公報に開示されているフッ素系高分子化合物等のような透湿度の小さい高分子化合物を延伸等の方法でフィルムにしたもの等が挙げられる。
また、同図(B)に示すように、陰極13及び陰極取り出し電極13−3が成膜される領域は、ドライバ領域18と平面上重複しない領域とすることが好ましい。より具体的には、有機ELパネル20を平面的に見た場合に、陰極13の周縁(外周)が表示領域13の周縁に対して外側(外延側)に位置し、且つ、ドライバ領域18と平面的に重複しない位置に形成する。かかる構造にすることで、陰極13とドライバ領域18間に生じる寄生容量の増加を防止することができ、シフトレジスタの誤動作や信号伝播遅延に起因する表示品質の劣化防止に効果がある。
また、同図(A)に示すように、封止剤14はドライバ領域18と平面的に重複するように設けられることが好ましい。かかる構造では、ドライバ領域18に封止剤が重複することによりドライバ領域への水分や不純物の混入が有効に防止され表示パネルの安定した良好な駆動が確保される。更に、封止剤14は、ドライバ領域18に対する外部からの実装接続部と平面的に重複することが好ましい。かかる構造では接続部の損傷が防止される。
尚、本発明の有機ELパネルは、アクティブマトリクス方式の他、シンプルマトリクス方式にも応用できる。また、有機電界発光素子の構造として、陰極/有機発光層/正孔輸送層/陽極の積層構造を例示したが、これに限らず、陰極/電子輸送層/有機発光層/正孔輸送層/陽極、或いは陰極/有機発光層/陽極としてもよい。また、本発明は好ましくは有機電界発光素子に用いられるが、Zn:Sなどの無機物質からなる無機電界発光素子など他の発光素子でも本発明の概念が利用可能であれば特に限定されるものではない。
(実施例)
次に、図2を参照して有機ELパネルの製造工程について説明する。
同図(A)に示すように、a−SiをLPCVD法またはPECVD法によりガラス基板1の表面に堆積し、エキシマレーザで結晶化した。ガラス基板1としては、例えば、ソーダーライムガラス、低膨張ガラス、石英板等、一般にノンアルカリガラスと呼ばれているものが好適である。
続いて、CH4と酸素の混合ガスを用いた反応性イオンエッチングによりa−Siを島状にパターニングし、駆動素子が形成されるべき位置に合わせてpoly−Si層2−1、2−2を形成した。さらに、テトラ・エチル・オルト・シリケート(TEOS)を原料とした二酸化珪素膜をプラズマCVD法により成膜し、ゲート酸化膜3を形成した。そして、ゲート電極4−1、4−2となるTaをスパッタ法で成膜し、このゲート電極4−1、4−2をマスクとしてイオン打ち込みを行い、poly−Si層2−1、2−2にソース領域及びドレイン領域を形成した。さらに、ゲート絶縁膜3上に層間絶縁膜6を堆積し、コンタクトホールを開口してAlをスパッタ法で成膜し、ソース電極5−1、5−2及びドレイン電極6−1、6−2を形成した。以上の工程を経てガラス基板1上に表示領域17における画素トランジスタ15及びドライバ領域18におけるTFT16が得られる。
続いて、画素トランジスタ15及びTFT16を被覆するように二酸化珪素膜から成る層間絶縁膜7を成膜し、画素トランジスタ15のソース電極5−1に対応する位置にコンタクトホールを開口した。酸化インジウム錫合金(ITO)をスパッタ法で成膜し、所定の形状にパターニングすることで、ソース電極5−1に導通する陽極8を形成した。陽極8としてITOの他に、4.5eV以上の光電子仕事関数を有するもの、例えば、酸化錫(NESA)、金、銀、白金、銅等が好適である。
次に、同図(B)に示すように、層間絶縁膜9,10を基板表面に堆積し、陽極8に対応する位置を開口して陽極8を表面に露出した。そして、各種の薄膜を積層したガラス基板1を蒸着装置に取り付け、表示領域17の所定領域に対応する窓を備えたメタルマスクを用いて正孔輸送層11の成膜とパターン形成を同時に行った。成膜条件として、蒸着装置内を1.0×10-4Paまで減圧して透明基板1を120℃乃至140℃に一旦、加熱して冷却し、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPDA)を0.1nm/secの蒸着速度で50nm成膜した。続いて、有機発光層12として、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)を0.1nm/secの蒸着速度で50nm成膜した。
次に、同図(C)に示すように、有機発光層12上に陰極下層13−1として、陰極形状の窓を有するメタルマスクを用いてMg膜を100nmの膜厚で成膜した。この場合、陰極下層13−1は表面に露出している有機発光層12及び正孔輸送層11を被覆するようにパターン成膜することが好ましい。この場合、陰極下層13−1を成膜するときに用いるメタルマスクに形成されている窓の大きさを、正孔輸送層11及び有機発光層12を成膜するときに用いたメタルマスクに形成されている窓よりもやや大きいものを利用すればよい。このように設計することで、陰極下層13−1は有機発光層12及び正孔輸送層11を完全に被覆を被覆しているため、後述するように陰極上層13−2のパターニングにフォトリソグラフィーを利用することができる。また、陰極下層13−1が形成される領域はドライバ領域18と平面的に重複しない範囲とすることが好ましい。
最後に、同図(D)に示すように、陰極上層13−2として、スパッタ法を用いてAlを600nmの厚さに成膜した。陰極全体の配線抵抗を低くするために、陰極上層13−2の膜厚は200nm乃至1000nmの範囲が好ましい。次に、陰極上層13−2の上にフォトレジスト(図示せず)を塗布し、陰極上層13−2のパターンに合わせて露光・現像を行った。露光の際に各種薄膜を積層したガラス基板1が紫外線に曝されることになるが、有機発光層12は陰極下層13−1に被覆された状態なので、有機発光層12が紫外線の悪影響を受けることがない。
また、現像液は、例えば、アルカリ性の水溶液であり、有機発光層12に触れた場合に、有機発光層12にダメージを与えることになるが、上述のように有機発光層12がメタル層5に被覆されているので、現像に際して、ガラス基板1が現像液に浸されるような状態となっても、有機発光層12が現像液に触れることがない。従って、フォトレジストの露光や現像に際して、有機発光層12が劣化するようなことがない。現像工程を経てフォトレジストの陰極上層13−2が形成されるべきパターンに対応する部分が残る。尚、露光前のフォトレジストのプレベークや、現像後のフォトレジストのポストベークは、有機発光層12への熱の影響を考慮して低温で行うことが好ましい。
次に、上記パターン形成されたフォトレジストをマスクとして陰極上層13−2のエッチングを行った。陰極上層13−2のエッチングに際しては、プラズマエッチングや、スパッタエッチング、反応性イオンエッチング等のドライエッチングが好適である。ドライエッチングを行うことにより、ガラス基板1がエッチング液に浸されることがなく、有機発光層12がエッチング液により影響を受けることがない。但し、プラズマを用いたドライエッチングにより陰極上層13−2をパターン形成する場合は、有機発光層12がプラズマダメージを受けるのを防止するため、陰極下層13−1の膜厚は0.1μm以上が好ましい。陰極上層13−2をパターン形成した後、エポキシ樹脂等を用いて基板表面に露出している陰極13を被覆するように封止剤14を形成することで有機ELパネルが完成した。
陰極上層13−2はドライバ領域18と平面的に重複しないように封止剤14はドライバ領域18と平面的に重複されるようにパターニングされることが好ましい。
尚、本実施の形態においては陰極を2層の導電性薄膜から成る積層構造としたが、陰極の積層数は必要に応じて3以上としてもよい。この場合は、少なくとも最上層に成膜された導電性薄膜が陰極下層側に積層された導電性薄膜を被覆するように形成すればよい。
また、上記実施例においては、陰極上層13−2をフォトリソグラフィーを利用してパターン形成したが、シャドーマスク法でパターン形成してもよい。この場合は、陰極下層13−1をパターン形成するためのメタルマスクに開口されている窓は、陰極上層13−2をパターン形成するためのメタルマスクに開口されている窓よりもやや大き目のものを用いて、陰極上層13−2が陰極下層13−1全体を被覆するように成膜すればよい。
本発明によれば、有機電界素子の陰極への酸素、水分等の不純物混入を有効に防止でき、ダークスポットの発生、成長を抑制できる。この結果、長期にわたり視認性に優れた表示パネルを提供することができる。さらに、陰極上層をフォトリソグラフィーを利用してパターン形成できるため、従来のシャドーマスク法よりも陰極のパターニング精度を向上させることができる。
本発明の有機ELパネルの断面図及び平面図である。 本発明の有機ELパネルの製造工程断面図である。 従来の有機電界発光素子の断面図である。
符号の説明
1…ガラス基板、2−1…poly−Si層、3…ゲート絶縁膜、4−1…ゲート電極、5−1…ソース電極、6−1…ドレイン電極、7…層間絶縁膜、8…陽極、9…層間絶縁膜、10…層間絶縁膜、11…正孔輸送層、12…有機発光層、13−1…陰極下層、13−2…陰極上層、14…封止剤、15…画素トランジスタ、16…TFT、17…表示領域、18…ドライバ領域。

Claims (9)

  1. 陰極下層及び陰極上層から成る2層積層構造を有する陰極を備えた有機電界発光素子において、当該陰極上層は陰極下層が表面に露出しないように被覆成膜されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記陰極下層の仕事関数は陰極上層の仕事関数よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子を備えた表示パネルであって、前記陰極上層を被覆する封止剤を設けたことを特徴とする表示パネル。
  4. 請求項1乃至請求項2のうち何れか1項に記載の有機電界発光素子を各画素毎に備えた表示パネルであって、前記陰極上層が形成される領域は、各画素の駆動制御を行うドライバが形成される領域に対して平面的に重複しない範囲に形成されることを特徴とする表示パネル。
  5. 前記陰極上層を被覆する封止剤が設けられていることを特徴とする請求項4記載のパネル。
  6. 前記陰極上層を被覆する封止剤が設けられ、該封止剤が前記ドライバが形成される領域に対して平面的に重複するように形成されることを特徴とする請求項4記載の表示パネル。
  7. 前記が画素の夫々がアクティブマトリクス方式により制御されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の表示パネル。
  8. 陰極下層及び陰極上層から成る2層積層構造を有する陰極を備えた有機電界発光素子の製造方法において、陰極下層及び陰極上層のそれぞれを異なるマスクを用いてパターン形成する際に、陰極下層が表面に露出しないように陰極上層が陰極下層を被覆するように形成する工程を備えた有機電界発光素子の製造方法。
  9. 陰極下層及び陰極上層から成る2層積層構造を有する陰極を備えた有機電界発光素子の製造方法において、シャドーマスク法を利用して有機薄膜が表面に露出しないようにその上に陰極下層をパターン形成し、さらに、フォトリソグラフィーを利用して陰極下層が表面に露出しないようにその上に陰極上層をパターン形成する工程を備えた有機電界発光素子の製造方法。
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