JP2008196430A - 流体ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 流体ポンプにおいて、ポンプケーシングの内壁面と回転体の側面との間の隙間に潤滑膜を形成する上で有効な技術を提供する。
【解決手段】 流体の吸入口37と吐出口39とを有するポンプケーシング45と、ポンプケーシング45内に回転可能に収容された回転体41,43を有し、回転体41,43の回転によって吸入口37から流体を吸入して吐出口39から吐出する流体ポンプにおいて、回転体41,43の、少なくとも吐出口39と対向する側と反対側の側面41a,43aと、ポンプケーシング45の内壁面35aとの間の隙間が、回転体41,43の径方向の一方側から他方側に向って漸減するように形成されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ポンプケーシング内に収容された回転体が回転動作することによって吸入口からポンプケーシング内に吸入した流体を吐出口から吐出する回転形の流体ポンプに関する。
回転形の流体ポンプは、燃料タンク内の燃料を内燃機関に供給する装置として使用することが知られている。このような流体ポンプは、例えば特許第3228446号公報(特許文献1)に開示されている。
公報に開示された流体ポンプ(燃料ポンプ)は、回転体としての円板状のインペラの側面と、ポンプケーシングの内壁面がインペラの回転動作を許容する微少な隙間を置いて対向している。ポンプケーシングの内壁面には、一端が吸入口に連通され、他端が排出口に連通されたポンプ通路がインペラの周縁部に沿って円弧状に設けられている。そして、インペラが回転動作することによって、吸入口から吸入された燃料がポンプ通路を搬送されつつ昇圧されて排出口から排出される構成である。この種の流体ポンプでは、ロータ側面と、当該ロータ側面と対向するポンプケーシング内壁面との間に微少な隙間を設けてオイルによる潤滑を行っているが、前記隙間内でオイル切れを起こした場合、ロータ側面がポンプケーシング内壁面に接触してロータ側面あるいはポンプケーシング内壁面(特に硬度が低いポンプケーシングの内壁面)が摩耗し、ポンプ効率の低下、あるいは異音の発生といった不具合を起こすこととなる。
特許第3228446号公報
公報に記載の流体ポンプにおいては、ポンプケーシングの内壁面と対向するインペラの側面に凹状溝を設け、オイル切れによるロータ側面とポンプケーシング内壁面との接触を防止しているが、しかしながら、このような構成においてもオイル切れ対策としては、なお改良の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、流体ポンプにおいて、ポンプケーシングの内壁面と回転体の側面との間の隙間に潤滑膜を形成する上で有効な技術を提供することを目的とする。
上記課題を達成するため、特許請求の範囲の請求項に記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、流体の吸入口と吐出口とを有するポンプケーシングと、ポンプケーシング内に回転可能に収容された回転体を有し、回転体の回転によって吸入口から流体を吸入して吐出口から吐出する流体ポンプが構成される。なお本発明における「流体ポンプ」は、典型的には、内燃機関の燃料供給装置として適用されるが、その適用範囲については、燃料供給装置に限定されない。また「流体ポンプ」の形式としては、典型的には、ポンプケーシング内に歯数の異なるアウタロータとインナロータが偏心して収容され、それらアウタロータとインナロータが同方向へ回転することによって流体を吸入口から吸入して吐出口から吐出するトロコイドポンプ、あるいはポンプケーシング内に回転自在に配置されるとともに周縁部に羽根溝を有するインペラが回転することによって、吸入口から吸入した流体をポンプケーシングの内壁面に形成されたポンプ通路を経て吐出口から吐出するインペラポンプ等がこれに該当する。しかし、本発明は、これらの形式に限らず、ポンプケーシング内に配置された回転体の回転動作によって流体を吸入口から吸入して吐出口から吐出する構成のポンプにおいて、ポンプケーシングの内壁面と回転体の側面との間をシール面とする構成の回転形の流体ポンプであれば、好適に適用可能である。
本発明の流体ポンプは、特徴的構成として、回転体の、少なくとも吐出口と対向する側と反対側の側面と、ポンプケーシングの内壁面との間の隙間が、回転体の径方向の一方側から他方側に向って漸減するように形成されている。なお本発明における「漸減する」は、隙間が一定の比率で減少する態様、あるいは隙間が異なる比率で減少する態様のいずれも好適に包含する。本発明の流体ポンプの場合、回転体には、吐出口が形成されている内壁面と対向する側面に高圧が作用する。このため、回転体には、吐出口が形成された内壁面と反対側の内壁面に向う方向に押付力が作用する。
本発明によれば、回転体の、少なくとも吐出口と対向する側と反対側の側面とポンプケーシングの内壁面との間の隙間が、回転体の径方向の一方側から他方側に掛けて漸減するように形成したものであり、このことにより、上記の隙間を楔状空間とすることができる。そして隙間を楔状空間とすることによって、回転体の回転動作に伴い流体が楔作用によって隙間に引きずり込まれることで圧力が上昇し、回転体をポンプケーシングの内壁面から引き離す、すなわち浮上させる。この流体の楔作用による圧力上昇によって生ずる浮上力は、楔状空間の隙間が小さくなるほど大きくなり、回転体に対して、当該回転体の側面をポンプケーシングの内壁面に押し付けようとする力(以下、押付力という)に対抗する。かくして、回転体の側面とポンプケーシングの内壁面との間には流体による潤滑膜が形成され、側面と内壁面の接触が防止されて摩耗が軽減され、ポンプ効率の向上、あるいは異音の発生といった問題が解決される。
本発明における「隙間を漸減する」構成は、回転体の側面あるいはポンプケーシングの内壁面の全体形状を、例えば傾斜面あるいは曲面によって形成することによって具現化できる。したがって、ポンプケーシングに傾斜面あるいは曲面を設けた場合には、隙間の漸減する方向は周方向位置において固定されるが、回転体に傾斜面あるいは曲面を設けた場合には、隙間の漸減する方向は周方向位置が回転体の回転に伴い常に変化する。そして回転体の側面あるいはポンプケーシングの内壁面を径方向に延びる傾斜面あるいは曲面のような単純な形状に形成することは、回転体あるいはポンプケーシングの製作が容易になり、製造コストを低くできる。
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の流体ポンプにおいて、ポンプケーシングの、少なくとも吐出口が設けられている側の内壁面と反対側の内壁面が、回転体の径方向の一方側から他方側に向って傾斜する傾斜面で形成されている構成とした。本発明では、ポンプケーシングの内壁面のうち、少なくとも吐出口が設けられている側の内壁面と反対側の内壁面を傾斜面によって形成することで楔状空間を形成し、流体の楔作用によって生ずる浮上力を、回転体の吐出口と対向する側面に作用する押付力に対向して作用させることができるため、当該押付力を合理的に低減できる。また本発明によれば、ポンプケーシングの内壁面を傾斜面で形成するため、回転体の回転動作中において、楔状空間の位置が変わらない構成である。つまり楔状空間の位置が固定されているため、回転体に対する浮上力の作用位置が安定したものとなる。またポンプケーシングの内壁面を単純な傾斜面で形成することは、ポンプケーシングの製作が容易になり、製造コストを低くできる。
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の流体ポンプにおいて、吸入口と吐出口が回転体の回転方向において所定の位相差を置いて設けられている。そしてポンプケーシングの、少なくとも吐出口が設けられている側の内壁面と反対側の内壁面は、吐出口側の隙間が吸入口側の隙間よりも狭くなる傾斜面で形成された構成とされる。回転体の側面に作用する流体の圧力は、吐出口側圧力が吸引口側圧力よりも大きい。このため、本発明のように、回転体の側面とポンプケーシングの内壁面との間の隙間につき、吐出口側を吸入口側より狭く形成したときは、吐出口側において、流体の楔作用による大きい浮上力を生じさせて上記の吐出口側圧力に対向させるため、回転体の両側面に作用する力のバランスが取り易い。
(請求項4に記載の発明)
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の流体ポンプにおいて、回転体の、少なくとも吐出口と対向する側と反対側の側面が、径方向の一方側から他方側に向って傾斜する傾斜面で形成されている。上記のように、回転体の側面には、吐出口が形成された内壁面と反対側の内壁面に向う方向に押付力が作用するが、本発明では、回転体の、少なくとも吐出口と対向する側と反対側の側面を傾斜面で形成することで楔状空間を形成し、流体の楔作用によって生ずる浮上力を上記の押付力に対向して作用させることができるため、当該押付力を合理的に低減できる。また回転体の側面を単純な傾斜面で形成することは、回転体の製作が容易になり、製造コストを低くできる。
(請求項5に記載の発明)
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1つに記載の流体ポンプにおいて、回転体の外周面の表面粗さと、回転体の外周面と対向するポンプケーシングの内周面との表面粗さの合計値が、0.5μm〜5μmの範囲に設定された構成としている。回転体の外周面とこの外周面と対向するポンプケーシングの内周面との間の潤滑状態が流体潤滑にあれば、両面間に作用する圧力で回転体がポンプケーシングから浮いた状態となる。しかしその浮上量に対して表面粗さの方が大きいと、回転体とポンプケーシングが接触してしまう。本発明では、回転体の外周面の表面粗さと、回転体の外周面と対向するポンプケーシングの内周面との表面粗さの合計値を5μm以下に設定することで、当該表面粗さの合計値を回転体の浮上量よりも小さくすることが可能になる。これにより回転体の外周面とポンプケーシングの内周面が接触することを回避して摩耗を低減し、結果としてポンプ効率の向上が図れる。また表面粗さの合計値の下限値を、0.5μmに設定することにより、流体ポンプの起動時において、回転体の外周面とポンプケーシングの内周面間に関するくっつき力(凝着力)の増大を抑え、起動時のトルクが大きくなりすぎなることを防止できる。
(請求項6に記載の発明)
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1つに記載の流体ポンプにおいて、回転体は、歯数の異なるアウタロータとインナロータとを備え、アウタロータとインナロータが偏心した状態で回転することによってアウタロータとインナロータの歯間に形成される空間に吸入口から流体を吸入して吐出口から吐出する構成とされている。本発明によれば、請求項1〜5に記載の発明において説明した特長を有するトロコイドポンプを提供することができる。
(請求項7に記載の発明)
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1つに記載の流体ポンプにおいて、回転体は、周縁部に複数の羽根溝が形成された円板状のインペラを有し、ポンプケーシングには、回転体の回転方向に沿って延在されるとともに、延在方向の一端が吸入口に連通され、延在方向の他端が吐出口に連通されたポンプ通路が形成されており、インペラの回転によって吸入口から吸入した流体をポンプ通路に沿って搬送して吐出口から吐出する構成とされている。本発明によれば、請求項1〜5に記載の発明において説明した特長を有するインペラポンプを提供することができる。
本発明によれば、流体ポンプにおいて、ポンプケーシングの内壁面と回転体の側面との間の隙間に潤滑膜を形成する上で有効な技術が提供されることとなった。
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態につき、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、流体ポンプの一例として、燃料タンク内の燃料を自動車の内燃機関に供給する電動式トロコイドポンプを用いて説明する。図1には電動式トロコイドポンプの全体構成が示され、図2にはポンプ部の構成が平面図として示される。図1に示すように、電動式トロコイドポンプは、円筒状に形成されたハウジング5に組み込まれたモータ1と、当該モータ1の下部においてハウジング5に組み込まれ、モータ1によって駆動されるポンプ部3とを主体にして構成されている。
ハウジング5の上部側にはモータカバー7が取り付けられ、ハウジング5の下部側にはポンプカバー9が取り付けられ、これによりハウジング5にはモータ室11が形成されている。モータ室11内にはアーマチュア13が配置され、当該アーマチュア13の軸15は、上下方向に延在されるとともに、その上下端部がモータカバー7およびポンプカバー9にそれぞれ軸受17、19を介して回転可能に支持されている。ハウジング5の内壁面には、マグネット21が配設されている。アーマチュア13の軸15上には、コイルと接続されるコミュテータ23が設けられ、アーマチュア13とともに回転される。
モータカバー7には、アーマチュア13のコミュテータ23と摺接するブラシ25およびブラシ25を付勢するスプリング27が組み込まれている。ブラシ25は、チョークコイル29を介して外部接続端子と接続されている。モータカバー7に設けた燃料の排出口31には、チェックバルブ33が組み込まれており、燃料供給パイプが接続される。
ポンプ部3は、ポンプケーシング45と、当該ポンプケーシング45内に回転自在に収容されるアウタロータ41およびインナロータ43を主体として構成されている。アウタロータ41およびインナロータ43は、本発明における「回転体」に対応する。ポンプケーシング45は、ポンプカバー9と当該ポンプカバー9の下方に配置されたポンプボディ35とを互いに突き合わることによって形成されている。ポンプボディ35は、ポンプカバー9に突き合わせた(重ねた)状態でハウジング5の下端部にかしめ付けによって取り付けられている。
ポンプボディ35とポンプカバー9により形成される内部空間、すなわちポンプケーシング45に形成されるポンプ室には、アウタロータ41およびインナロータ43が偏心した状態で組み付けられている。図2に示すように、アウタロータ41は、内周にn個(本実施の形態では9個)の内歯41cを有するリング状に形成されている。インナロータ43は、外周にアウタロータ41の内歯41cと噛み合うn−1個(本実施の形態では8個)の外歯43cを有する。インナロータ43の中心部には、断面D字形の貫通孔が設けられ、この貫通孔にアーマチュア13の軸15に形成された断面D字形の軸部が嵌合されている。これにより、インナロータ43は、アーマチュア13の軸15に対して追従回転可能で、かつ、軸方向に僅かに移動可能に連結されている。なおアーマチュア13の軸15のポンプ側軸端部は、ポンプボディ35に取り付けられたスラスト軸受46によって支持されており、これにより、軸15に作用するスラスト荷重が受けられる。
ポンプケーシング45および両ロータ41,43の歯面間には、図2に示すように、空間Sが区画形成されており、これら各空間Sは、アウタロータ41およびインナロータ43が同方向に回転されるとき、当該回転動作に伴って回転移動し、1回転を1周期として容積の増大、減少を繰り返す構成とされる。そしてポンプボディ35には、容積が漸次増大する空間Sと連通する燃料の吸入口37が設けられ、ポンプカバー9には、容積が漸次減少する空間Sと連通する燃料の吐出口39が設けられている。吸入口37と吐出口39は、ロータ41,43の回転方向につき、概ね180度の位相差を置いて設けられる。このように、本実施の形態においては、ポンプケーシング45は、両ロータ41,43の下側の側面41a,43aと対向するポンプボディ35側に吸入口37を有し、両ロータ41,43の上側の側面41b,43bと対向するポンプカバー9側に吐出口39を有する構成とされる。以下の説明では、下側の側面41a,43aを吸入口側の側面41a,43aといい、上側の側面41b,43bを吐出口側の側面41b,43bという。吸入口側の側面41a,43aは、本発明における「回転体の、吐出口と対向する側と反対側の側面」に対応する。
上記のように構成される電動式トロコイドポンプは、モータ1を通電駆動すると、アウタロータ41およびインナロータ43が同方向に偏心した状態で回転する。これにより、両ロータ41,43の歯面間に形成された各空間Sは、両ロータ41,43とともに回転移動しつつ、容積が増加する行程では燃料を吸入口37から吸入し、容積が減少する行程では燃料を吐出口39からモータ室11に吐出する。なお燃料は、空間Sの容積減少行程において昇圧される。モータ室11に吐出された高圧の燃料は、モータカバー7の排出口31から燃料供給パイプを経てポンプ外部に排出される。
ポンプケーシング45は、両ロータ41,43の吸入口側の側面41a,43aに対して当該両ロータ41,43の回転動作を支障しない微少な隙間を置いて対向する内壁面35aと、両ロータ41,43の吐出口側の側面41b,43bに対して当該両ロータ41,43の回転動作を支障しない微少な隙間を置いて対向する内壁面9aを有する。吸入口側の側面41a,43aと対向する内壁面35a、すなわち、ポンプボディ35側の内壁面35aは、本発明における「ポンプケーシングの、吐出口が設けられている側の内壁面と反対側の内壁面」に対応する。ポンプ運転時において、両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9a間の隙間には、燃料が介在されて側面41a,43a,41b,43bと内壁面35a,9aの潤滑が行われる。ところが、このような燃料による潤滑方式において、潤滑面に燃料切れ、つまりオイル切れ(油膜切れ)が生じたときには、両ロータ41,43の側面41a,43aあるいは41b,43bがポンプケーシング45の内壁面35aあるいは9aに押し付けられると、当該側面41a,43a,41b,43bと内壁面35a,9aが接触して摩耗を引き起こすことになる。
そこで、本実施の形態においては、両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bと、ポンプケーシング45の内壁面35a,9a間の隙間を、両ロータ41,43の径方向における一方側から他方側に向って漸減する楔状空間に形成し、当該楔状空間における燃料の楔作用によってオイル切れを防止する構成としている。すなわち、両ロータ41,43が回転駆動する際、燃料が楔作用によって側面41a,43a,41b,43bと内壁面35a,9a間の楔状空間の隙間に引きずり込まれることで、当該隙間でのオイル切れが防止される構成としている。このように、燃料が楔状空間に引きずり込まれることで隙間の圧力が上昇し、両ロータ41,43には、当該両ロータ41,43をポンプケーシング45の内壁面35a,9aから離間させようとする力、すなわち浮上力が発生する。この浮上力は、楔状空間の隙間が狭くなるほど大きくなる。
次に楔状空間を形成するための各実施例につき、図3〜図6を参照して説明する。図3に示す第1の実施例は、両ロータ41,43の吸入口37と対向する側および吐出口39と対向する側の各側面41a,43a,41b,43bのそれぞれにつき、径方向に延びる傾斜面(テーパ面)で形成することによって、各側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9aとの間の隙間を、両ロータ41,43の径方向における一方側から他方側に向って漸減する楔状空間に形成したものである。
上記のように構成された第1の実施例によれば、ポンプ運転時において、アウタロータ41およびインナロータ43が回転駆動されることに伴い、両ロータ41,43には、吸入口側および吐出口側において、燃料の楔作用によってポンプケーシング45の内壁面35a,9aに対して浮上力が発生する。したがって、両ロータ41,43は、吐出口側の側面41b,43bに作用する押付力および浮上力と、吸入口側の側面41a,43aに作用する浮上力とが釣り合う位置に置かれる。このため、両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9a間の隙間におけるオイル切れが防止され、オイル切れに起因する両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9aとの接触が防止される。その結果、摩耗を軽減してポンプ効率の向上を図ることができ、あるいは異音の発生といった問題が解決される。また第1の実施例によれば、両ロータ41,43の吸入口側および吐出口側の両側面41a,43a,41b,43bを単純な傾斜面形状とすることによって、燃料の楔作用による隙間の昇圧効果を得るための形状を有する両ロータ41,43を容易に製作することが可能となり、製造コストを低くできる。
図4に示す第2の実施例は、両ロータ41,43における吸入口側の側面41a,43aを径方向の傾斜面(テーパ面)で形成することによって、当該吸入口側の側面41a,43aとポンプケーシング45(ポンプボディ35)の内壁面35aとの間の隙間を、両ロータ41,43の径方向における一方側から他方側に向って漸減する楔状空間に形成したものである。
したがって、第2の実施例では、ポンプ運転時において、両ロータ41,43は、吐出口側の側面41b,43bに作用する押付力および浮上力と、吸入口側の側面に作用する浮上力とが釣り合う位置に置かれる。このため、両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9a間の隙間におけるオイル切れが防止され、オイル切れに起因する両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9aとの接触が防止される。その結果、摩耗を軽減してポンプ効率の向上を図ることができ、あるいは異音の発生といった問題が解決される。また第2の実施例によれば、両ロータ41,43の吸入口側の側面41a,43aを単純な傾斜面形状とすることによって、燃料の楔作用による隙間の昇圧効果を得るための形状を有する両ロータ41,43を容易に製作することが可能となり、製造コストを低くできる。
図5に示す第3の実施例は、ポンプケーシング45の吸入口側(ポンプボディ35側)および吐出口側(ポンプカバー9側)の両内壁面35a,9aを、それぞれ径方向の傾斜面(テーパ面)で形成している。また本実施例では、ポンプケーシング45の吸入口側および吐出口側の両内壁面35a,9aを、当該両内壁面35a,9aと、両ロータ41,43の各側面41a,43a,41b,43bとの間の隙間が、両ロータ41,43の径方向における吸入口側から吐出口側に掛けて漸減する楔状空間となるような傾斜面によって形成している。
したがって、第3の実施例によれば、第1の実施例と同様に、両ロータ41,43は、吐出口側の側面41b,43bに作用する押付力および浮上力と、吸入口側の側面41a,43aに作用する浮上力とが釣り合う位置に置かれる。このため、両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9a間の隙間におけるオイル切れが防止され、オイル切れに起因する両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9aとの接触が防止される。その結果、摩耗を軽減してポンプ効率の向上を図ることができ、あるいは異音の発生といった問題が解決される。
また第3の実施例によれば、ポンプケーシング45の内壁面35a,9aを単純な傾斜面形状とすることによって、燃料の楔作用による隙間の昇圧効果を得るための形状を有するポンプケーシング45を容易に製作することが可能となり、製造コストを低くできる。また第3の実施例のように、ポンプケーシング45の内壁面35a,9aを傾斜面で形成する構成としたときは、両ロータ41,43の回転動作中において、楔状空間の位置が変わらない構成である。つまり楔状空間の位置が固定されているため、両ロータ41,43に対する浮上力の作用位置が安定したものとなる。また両ロータ41,43の側面41a,43aとポンプケーシング45の内壁面35aとの間の隙間につき、回転軸線を挟んで吐出口側を吸入口側より狭く形成してあるため、吐出口側において、燃料の楔作用による大きい浮上力を生じさせて吐出口側圧力に対向させることができる。このため、両ロータ41,43に作用する力のバランスが取り易い。
図6に示す第4の実施例は、ポンプケーシング45の吸入口側(ポンプボディ35側)の内壁面35aを径方向に延びる傾斜面(テーパ面)に形成している。また本実施例では、ポンプケーシング45の吸入口側(ポンプボディ35側)の内壁面35aを、当該吸入口側の内壁面35aと両ロータ41,43の側面41a,43aとの間の隙間が、両ロータ41,43の径方向における吸入口側から吐出口側に掛けて漸減する楔状空間となるような傾斜面によって形成している。
したがって、第4の実施例によれば、前述した第2の実施例と同様に、ポンプ運転時において、両ロータ41,43は、吐出口側の側面41b,43bに作用する押付力および浮上力と、吸入口側の側面41a,43aに作用する浮上力とが釣り合う位置に置かれる。このため、両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9a間の隙間におけるオイル切れが防止され、オイル切れに起因する両ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bとポンプケーシング45の内壁面35a,9aとの接触が防止される。その結果、摩耗を軽減してポンプ効率の向上を図ることができ、あるいは異音の発生といった問題が解決される。
また第4の実施例によれば、ポンプケーシング45の吸入口側の内壁面35aを単純な傾斜面形状とすることによって、燃料の楔作用による隙間の昇圧効果を得るための形状を有するポンプケーシング45を容易に製作することが可能となり、製造コストを低くできる。また第4の実施例によれば、第3の実施例と同様に、楔状空間の位置が固定されているため、両ロータ41,43に対する浮上力の作用位置が安定したものとなる。また両ロータ41,43の側面41a,43aとポンプケーシング45の内壁面35aとの間の隙間につき、回転軸線を挟んで吐出口側を吸入口側より狭く形成してある。このため、吐出口側において、燃料の楔作用による大きい浮上力を生じさせて吐出口側圧力に対向させ、両ロータ41,43の両側面41a,43a,41b,43bに作用する力のバランスが取り易い。
本実施形態において、ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bあるいはポンプケーシング45の内壁面35a,9aを傾斜面によって形成したときの、当該傾斜面に発生する浮上力を計算した。図7に示すラジアル軸受のモデルでは、ラジアル軸受で発生する浮上力と浮上量は,[1式]により計算することができる。
Figure 2008196430
[1式]
この[1式]において、Sはゾンマーフェルト数、ηは燃料の粘度、Nはロータの回転数、Pmは軸受の内周面に作用する圧力(面圧)、Dはロータの外径、bは軸受の幅(軸方向長さ)、cはロータと軸受との間の隙間の長さ、Fはロータの外周面に作用する力(浮上力)、εは偏心率である。なお偏心率εは、ゾンマーフェルト数Sを用いて図8により決定される。
そして、ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bあるいはポンプケーシング45の内壁面35a,9aを傾斜面形状に形成したときに発生する浮上力を、図9、図10に示す計算条件を仮定して〔1式〕により求めた。
以上のようにして計算した結果、浮上力Fは、F=4〔N〕であった。
ここで、CAE(Computer aided engineering)解析を行った結果、ロータ41,43がポンプボディ35に押し付けられる力(押付力)は、約2〔N〕であった。したがって、本実施形態のように、ロータ41,43の側面41a,43a,41b,43bあるいはポンプボディ35、ポンプカバー9の内壁面35a,9aを傾斜面とすることにより、ロータ41,43のポンプボディ35への押付力に対向してロータ41,43を浮上させるのに必要な浮上力を得ることができる。
(本発明の第2の実施形態)
ところで、トロコイドポンプのアウタロータ41は、図11に示すように、その外周面41d(回転軸線周りの面)がポンプケーシング45の内周面45aに対して微少な隙間を置いて収容され、燃料が介在された状態で外周面41dと内周面45a間の潤滑が行われる。しかしながら、アウタロータ41の外周面41dやポンプケーシング45の内周面45aの表面粗さ(面粗度)によっては、アウタロータ41の外周面41dがポンプケーシング45の内周面45aに接触し、周面が摩耗することになる。このため、接触に伴う摩耗の対策が必要とされる。
そこで、アウタロータ41の外周面41dとポンプケーシング45の内周面45aとの間の摩耗対策として提案された本発明の第2の実施形態にかかるトロコイドポンプつき、図11〜図15を参照しつつ説明する。
本発明者は、アウタロータ41の外周面41dと、当該外周面41dと対向するポンプケーシング45の内周面45a(図1に示すポンプカバー9の周壁9bの内周面)の表面粗さと、アウタロータ41の浮上量との関連につき、考察を加えた。なおトロコイドポンプの全体構成および作用については、前述した第1の実施形態と同様に構成されるため、その説明については、これを省略する。
1.アウタロータ外周面とポンプケーシング内周面の表面粗さの決定法。
アウタロータ41の外周面41dとポンプケーシング45の内周面45a間は、燃料の流体潤滑作用が生ずるため、アウタロータ41は、径方向に浮上する。つまりポンプケーシング45の内周面45aから離間する。しかしながら、径方向の浮上量に対して表面粗さの方が大きいと、アウタロータ41とポンプケーシング45が接触してしまう。この接触している状態がオイル切れ(油膜切れ)している状態に相当する。本実施形態では、アウタロータ41の外周面41dの表面粗さRq1と、ポンプケーシング45の内周面45aの表面粗さRq2を合計した表面粗さ合計値が、アウタロータ41の浮上量h以下となるように設定することで、当該アウタロータ41とポンプケーシング45の接触を防ぐ構成としている(図14参照)。表面粗さを決定する方法は、以下の手順で行う。
(1)アウタロータ41の外周面41dをポンプケーシング45の内周面45aに押し付ける力(以下、押付力という)を求める。
(2)この押付力に対して、ポンプ運転条件における浮上量を求める。
(3)表面粗さが浮上量以下となるように設定する。
2.押付力の算出
アウタロータ41をポンプケーシング54に押し付ける押付力は、様々な要因によって発生するが、特に吸入口と吐出口の圧力差によって発生する力が最も大きい。そこで、下記計算方法でこの押付力を計算する。
アウタロータ41にかかる圧力差による押付力は、概括的に見て2つ考えられる。1つは、アウタロータ41の外側(外周)に作用する回転中心に向う内径方向の力Fyinであり、他の1つはアウタロータ41の内側(内周)に作用する回転中心から外側に向かう外径方向の力Fyoutである。この二つの力FyinおよびFyoutは、〔2式〕により求めることができる。
Figure 2008196430
[2式]
この[2式]において、Pはポンプ部の雰囲気圧力、Routはアウタロータ41の半径、Rinはアウタロータ歯41cの中心半径、bはアウタロータ41の幅(軸方向長さ)である。なお、図11において、θは任意の基準角度(一点鎖線で示す角度)θoからの角度、θinは吸入行程の終端位置、θupは吐出行程の始端位置、θoutは吐出行程の終端位置、θdownは吸入行程の始端位置であり、またθinからθupまでの間は圧力増加区間、θupからθoutまでの間は吐出圧力区間、θoutからθdownまでの間は圧力減少区間、θdownからθinまでの間は圧力が0の区間である。
アウタロータ41をポンプケーシング45に押し付ける力(押付力)Fは、この二つの力の差、すなわち[F=Fyout−Fyin]である。
3.浮上量hは、ポンプ運転条件等を仮定することにより、[1式]により求まる。
4.表面粗さの決定
図12のストライベック線図および図13の潤滑状態から表面粗さを設定する。つまりアウタロータ41の外周面41dとポンプケーシング45の内周面45a間の潤滑状態を流体潤滑とするために、摩擦係数μが0.01〜0.05、すなわち燃料の膜厚比Λが2〜3以上となるように設定する。この設定は、滑り軸受をトロコイドポンプのロータに置き換えて検討し、試験を行った結果、膜厚比2〜3程度まで摩擦損失が低下し、効率が向上することを確認できたことに基づくものである。膜厚比Λと浮上量hを用いて[3式]から表面粗さ合計値を求める。
Figure 2008196430
[3式]
この[3式]において、Rq1はアウタロータ41の外周面41dの表面粗さ、Rq2はポンプケーシング45の内周面45aの表面粗さである。
5.実験結果との比較
浮上量hが最大10μmとした場合、表面粗さ合計値Rz(=Rq1+Rq2)が5μm以下であればよい。表面粗さ合計値とポンプ効率の実験結果を図15に示す。図15から表面粗さ合計値が5μm以下でポンプ効率が向上していることが分かる。
以上のように、第2の実施形態によれば、アウタロータ41の外周面41dの表面粗さと、ポンプケーシング45の内周面45aの表面粗さの合計値Rzを5μm以下とすることにより、アウタロータ41の外周面41dとポンプケーシング45の内周面45aの接触を防ぎ、ポンプ効率を向上することができる。
また本実施の形態においては、アウタロータ41の外周面41dの表面粗さと、ポンプケーシング45の内周面45aの表面粗さの合計値Rzの下限値を、0.5μmに設定した。これにより、流体ポンプの起動時において、アウタロータ41の外周面41dとポンプケーシング45の内周面45a間に関するくっつき力(凝着力)の増大を抑え、起動時のトルクが大きくなりすぎなることを防止できる。
したがって、第1の実施形態の構成と第2の実施形態の構成とを組み合わせて実施することにより、トロコイドポンプにおいて、アウタロータ41の側面41a,41bとポンプケーシング45の内壁面35a,9aとの接触、およびアウタロータ41の外周面41dとポンプケーシング45の内周面45aとの接触を防止してポンプ効率の向上を図ることができる。勿論、第2の実施形態の構成は、第1の実施形態で説明したトロコイドポンプ以外の回転形の流体ポンプに用いることが可能であるし、第1の実施形態と組み合わせることなく、独立した態様での実施が可能である。
なお上述した各実施の形態は、図1に示すように、ポンプボディ35に吸入口37が形成され、ポンプカバー9に吐出口39が形成されている形式、つまりアウタロータ41およびインナロータ43を挟んで一方の側面41a,43aと対向する側に吸入口37が設けられ、他方の側面41b,43bと対向する側に吐出口39が設けられている形式の電動式トロコイドポンプを対象としたものであるが、これに限定されない。すなわち、図16に示すように、ポンプボディ35に吸入口37と吐出口39が形成されている形式、つまりアウタロータ41およびインナロータ43の一方の側面41a,43aと対向する側に吸入口37と吐出口39が設けられている形式の電動式トロコイドポンプにおいて、各実施例で説明した各構成を適用することが可能である。なお図16において、上記の点を除く電動式トロコイドポンプの全体構成については、図1に示す実施形態の場合と概ね同様であるため、同一構成部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
図17には、アウタロータ41およびインナロータ43の一方の側面41a,43aと対向する側、すなわち、ポンプボディ35に吸入口37と吐出口39が設けられている形式の電動式トロコイドポンプにおいて、ポンプケーシング45におけるポンプカバー9の内壁面9aを、傾斜面で形成した例が示される。ポンプカバー9の内壁面9aは、本発明における「ポンプケーシングの、吐出口が設けられている側の内壁面と反対側の内壁面」に対応する。このように、ポンプカバー9の内壁面9a、すなわち、吐出口39が設けられている側の内壁面35aと反対側の内壁面9aを、当該内壁面9aと両ロータ41,43の側面41b,43bとの間の隙間が、両ロータ41,43の径方向における吸入口側から吐出口側に掛けて漸減する楔状空間となるような傾斜面(テーパ面)によって形成している。これにより、前述した第4の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
なお図16に示す構成の電動式トロコイドポンプにおいて、図17に示す構成のほか、ポンプカバー9の内壁面9aとポンプボディ35の内壁面35aの両方につき、両ロータ41,43の側面41a,43a、41b、43bとの隙間が、吸入口37側から吐出口39側に向って漸次狭くなるように傾斜する傾斜面で形成する構成、あるいは両ロータ41,43の、少なくとも吐出口39と対向する側と反対側の側面41b,43bを、ポンプカバー9の内壁面9aとの隙間が、両ロータ41,43の径方向の一方側から他方側に向かって漸次狭くなるように傾斜する傾斜面で形成する構成を採用することができる。
また上述した実施の形態では、流体ポンプの一例としてトロコイドポンプを例にとって説明したが、図18に示すようなインペラポンプに適用してもよい。ここでインペラポンプとは、図18に示すように、回転体として、周縁部に複数の羽根溝53が形成された円板状のインペラ51を有し、ポンプケーシング45には、インペラ51の回転方向に沿って延在されるとともに、延在方向の一端が吸入口37に連通され、延在方向の他端が吐出口39に連通されたポンプ通路55,57が形成されており、インペラ51の回転によって吸入口37から吸入した流体をポンプ通路55,57に沿って搬送して吐出口39から吐出するように構成されている流体ポンプをいう。なお図18において、ポンプ部3を除く電動式インペラポンプの全体構成については、図1に示すトロコイドポンプと概ね同様であるため、同一構成部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
上記発明の趣旨に鑑み、以下の態様を構成することが可能とされる。
(態様1)
「流体の吸入口と吐出口とを有するポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に回転可能に収容された回転体を有し、前記回転体の回転によって前記吸入口から流体を吸入して前記吐出口から吐出する流体ポンプであって、
前記回転体の外周面の表面粗さと、前記回転体の外周面と対向する前記ポンプケーシングの内周面の表面粗さの合計値が、0.5μm〜5μmの範囲に設定されていることを特徴とする流体ポンプ。」
態様1に記載の発明によれば、回転体の外周面とこの外周面と対向するポンプケーシングの内周面との間の潤滑状態が流体潤滑にあれば、両面間に圧力が作用し、浮いた状態となる。しかしその浮上量に対して表面粗さの方が大きいと、回転体とポンプケーシングが接触してしまう。本発明では、回転体の外周面の表面粗さと、回転体の外周面と対向するポンプケーシングの内周面の表面粗さの合計値を5μm以下に設定することで、当該表面粗さの合計値が回転体の浮上量よりも小さくなる。これにより回転体の外周面とポンプケーシングの内周面が接触することを回避して摩耗を低減し、結果としてポンプ効率の向上が図れる。また表面粗さの合計値の下限値を、0.5μmに設定することにより、流体ポンプの起動時において、回転体の外周面とポンプケーシングの内周面間に関するくっつき力(凝着力)の増大を抑え、起動時のトルクが大きくなりすぎなることを防止できる。
電動式トロコイドポンプの全体構成を示す断面図である。 第1の実施形態に係るポンプ部の構成を示す平面図である。 傾斜面の構成に関する第1の実施例を示す断面図である。 傾斜面の構成に関する第2の実施例を示す断面図である。 傾斜面の構成に関する第3の実施例を示す断面図である。 傾斜面の構成に関する第4の実施例を示す断面図である。 ラジアル軸受のモデルを示す模式図である。 S−ε線図である。 ポンプ部を傾斜面形状とした場合の模式図である。 仮定した計算条件を示す図である。 第2の実施形態に係るポンプ部の構成を示す平面図である。 ストライベック線図である。 潤滑状態を示す図である。 浮上量を示す図である。 実験結果を示す図である。 燃料の流れ方向に関する形式が異なる別の電動式トロコイドポンプの全体構成を示す断面図である。 図16に示す構成の電動式トロコイドポンプにおける傾斜面に関する1つの実施例を示す断面図である。 電動式インペラポンプの全体構成を示す断面図である。
符号の説明
1 モータ
3 ポンプ部
5 ハウジング
7 モータカバー
9 ポンプカバー
9a 内壁面
9b 周壁
11 モータ室
13 アーマチュア
15 軸
17 軸受
19 軸受
21 マグネット
23 コミュテータ
25 ブラシ
27 スプリング
29 チョークコイル
31 排出口
33 チェックバルブ
35 ポンプボディ
35a 内壁面
37 吸入口
39 吐出口
41 アウタロータ(回転体)
41a 吸入口側の側面
41b 吐出口側の側面
41c 内歯
41d 外周面
43 インナロータ(回転体)
43a 吸入口側の側面
43b 吐出口側の側面
43c 外歯
45 ポンプケーシング
45a 内周面
46 スラスト軸受
51 インペラ
53 羽根溝
55 ポンプ通路
57 ポンプ通路
S 空間

Claims (7)

  1. 流体の吸入口と吐出口とを有するポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に回転可能に収容された回転体を有し、前記回転体の回転によって前記吸入口から流体を吸入して前記吐出口から吐出する流体ポンプであって、
    前記回転体の、少なくとも前記吐出口と対向する側と反対側の側面と、前記ポンプケーシングの内壁面との間の隙間が、前記回転体の径方向の一方側から他方側に向って漸減するように形成されていることを特徴とする流体ポンプ。
  2. 請求項1に記載の流体ポンプであって、
    前記ポンプケーシングの、少なくとも前記吐出口が設けられている側の内壁面と反対側の内壁面が、前記回転体の径方向の一方側から他方側に向って傾斜する傾斜面で形成されていることを特徴とする流体ポンプ。
  3. 請求項2に記載の流体ポンプであって、
    前記吸入口と前記吐出口が前記回転体の回転方向において所定の位相差を置いて設けられ、
    前記ポンプケーシングの、少なくとも前記吐出口が設けられている側の内壁面と反対側の内壁面は、前記吐出口側の隙間が前記吸入口側の隙間よりも狭くなる傾斜面で形成されていることを特徴とする流体ポンプ。
  4. 請求項1に記載の流体ポンプであって、
    前記回転体の、少なくとも前記吐出口と対向する側と反対側の側面が、径方向の一方側から他方側に向って傾斜する傾斜面で形成されていることを特徴とする流体ポンプ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の流体ポンプであって、
    前記回転体の外周面の表面粗さと、前記回転体の外周面と対向する前記ポンプケーシングの内周面の表面粗さの合計値が、0.5μm〜5μmの範囲に設定されていることを特徴とする流体ポンプ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の流体ポンプであって、
    前記回転体は、歯数の異なるアウタロータとインナロータとを備え、前記アウタロータと前記インナロータが偏心した状態で回転することによって前記アウタロータと前記インナロータの歯間に形成される空間に前記吸入口から流体を吸入して前記吐出口から吐出する構成とされていることを特徴とする流体ポンプ。
  7. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の流体ポンプであって、
    前記回転体は、周縁部に複数の羽根溝が形成された円板状のインペラを有し、前記ポンプケーシングには、前記回転体の回転方向に沿って延在されるとともに、延在方向の一端が前記吸入口に連通され、延在方向の他端が前記吐出口に連通されたポンプ通路が形成されており、前記インペラの回転によって前記吸入口から吸入した流体を前記ポンプ通路に沿って搬送して前記吐出口から吐出する構成とされていることを特徴とする流体ポンプ。
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