JP2008194749A - ひずみ分布制御ねじり押出し法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属や高分子などの固体状の材料および粉末材料に大きいねじりひずみを加え材料の内部組織を微細にする場合に、材料全長部にわたってねじりひずみを大きくする方法を提供する。
【解決手段】コンテナー3内に装填された材料をプッシャー4で押し込み、貫通したキャビティ2−1を有する内ダイス2で押出し加工する際に、コンテナー3あるいは内ダイス2の一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、内ダイス2のうちのコンテナー3内に収納されている部分の入口端面が上記貫通したキャビティ2−1以外の凹面や凸面2−2を有することを特徴とする方法。
【選択図】図25

Description

本発明は、微細な内部組織、結晶組織や非結晶組織を有する材料(金属、高分子、木材など)あるいは超微細な第2相を均一に分散した材料を製造するために、固体状の材料、固体状の複合材料、粉末材料、異種金属の混合体あるいは金属とセラミックスの混合体に熱間あるいは冷間で非常に大きな加工ひずみを加える方法に関する。
通常、金属材料は原料を溶解精錬しこれを鋳造し、さらに加工成形することにより最終製品形状にする。これには、大別して2種類あり、熱間加工後冷却して製品とする熱間加工製品と、これをさらに冷間で加工成形した冷間加工製品である。
熱間加工とは、絶対温度で、再結晶温度以上融点以下での加工である。冷間加工とは再結晶温度以下での加工をさす。室温(20℃±20℃)での加工が多い。
これらのいずれの方法においても、金属材料に加えられる加工量は製品の材質に大きく影響することが知られている。圧延、鍛造などの加工は、特に、結晶粒などのミクロ組織を微細にする上で有効であり、鉄鋼材料、アルミニウム材料など多くの金属材料でこの方法が使用されている。これは、一般的に、金属材料の結晶粒が微細であるほど優れた機械的性質が得られるからである。
熱間加工製品においては、高温で加工した場合、加工ひずみ速度を大きくし大きなひずみを加えることにより金属材料は動的再結晶状態になり、ひずみ速度が大きいほど結晶粒が小さくなる。低温(再結晶温度よりは高い)で加工した場合は、セル状に転位が堆積し、転位の再配列により微細な結晶粒になる。
また、冷間加工製品では冷間(再結晶温度以下)における加工量が大きいほどその後に続く焼鈍を行った場合の再結晶粒の大きさを小さくできる。
以上の再結晶挙動は変形時の加工ひずみが小さい(たとえば相当ひずみで1より小さい)場合であるが、最近では、通常の再結晶温度以下でも、非常に大きい加工ひずみ(たとえば相当ひずみで4以上)を加えると転位の少ない再結晶粒が得られることが見いだされ、工業的に利用しようとする研究が盛んである。
一方、粉末材料には物理的、化学的に高機能を持っているものが多いが、これらを工業的に利用するためには、固体状、望ましくは相対密度が100%に近いことが要請されている。そのために、室温よりも高い高温で圧密加工を行うことができるHIP(Hot Isostatic Pressing)やホットプレスが多用されている。
しかし、より高密度化するためにはより高温加工することが必要であるが、その場合、材料の性質が変化することが多く、機能性を損なわないで、100%に近い相対密度が達成されている例は少ないようである。特に、MA(Mechanical Alloying)粉のように粒内の結晶粒サイズが1ミクロン以下のレベルにまで微細化された粉末はきわめて固化しにくく、低温での固化技術が開発されることが強く望まれている。このためにもせん断ひずみなどの大ひずみを加えることが有効である。
さらに、MAの一種であるが、2種以上の任意組成のバルク状の金属あるいは金属粒子の混合体に対して非常に大きい変形を加えるとこれらが混合され、異種金属同士がナノメータのオーダーにまで近づくことが可能になる。金属粒子の混合の場合は空隙部体積が0に近づくまで加工を続けるとバルク状の固体材料となり、新規な合金(超微細粒合金やアモルファス合金など)の製造につながる。
あるいは、大きいひずみを金属と超微細セラミックス粒の混合体に加えることにより、超微細粒を金属中に均一に分散させることが可能になる。
また、金属中の析出物などを粉砕し均一微細に分散させることも可能になる。
高分子材料においても高圧で大きいねじりをくわえることにより微細な内部組織を持つ材料を得ることができる。
以上のように、大ひずみを加える手段は金属内部組織の微細化、非結晶化、粉末材料の固化、異種金属同士の混合、金属と超微細粒の混合、あるいはその他の物質の微細組織化に対して有効であるが、従来の加工手段、例えば圧延や鍛造あるいはHIPやホットプレスのみではその加え得る変形量に限界があった(特許文献1)。
筆者は、従来のひずみを大幅に超える大ひずみを達成する方法として、押出し加工とねじり加工を組み合わせたねじり押出し法をすでに開発している(特許文献1〜7)。
その方法の1例を以下で説明する。
その方法は、図1に示したように、コンテナー3内に装填された材料1をプッシャー4で押し込み、ダイス2で成形する前方押出し法において、コンテナー3あるいはダイス2の一方を固定し、他方を押出し軸aの周りに回転させながらプッシャーにより押出し加工を行うねじり前方押出し加工法である。図1はダイスを回転させる場合を示している。材料部分1−1は材料1の内のコンテナー3内の部分、材料部分1−2は材料1の内のダイス2内の押出し成形を受けた部分である。
1−1の材料と1−2の材料が相対的に回転することにより、その境界の点線で囲まれた領域内の材料部分Aがねじり変形を受けるのである。
このようにねじり押出し変形中にねじりひずみを受けている領域が比較的広い領域にわたっているのが通常のねじり押出しの特徴である。このようにひずみ領域が広がりを持っていることを実証するために行ったメタルフロー実験の結果を以下に説明する。図2は試験片であり、図中の1−3は試験片1と同材質の線材である。Topと記してある方が先端である。
図3は、まずダイスを回転させないで前押出しを行い定常状態に達した後、プッシャーを止め、そのままの状態でダイスを所定回数N=40だけ回転させた試験片の縦断面写真である。材料は工業用純アルミニウム、試験温度は室温である。素材の直径は10mm、線材直径は2mmである。線材はねじり変形により螺旋状に変形する。図は試験片の縦断面であり螺旋のセグメントsegが見えている。長さ方向のセグメント数N’が回転数Nと一致すれば材料表面と工具(ダイス、コンテナー)の間でトータルとしてすべりが発生せず、ダイスの回転が材料ねじりに有効に作用したことになる。ここで、トータルと言ったのは、局部的なすべりはコンテナーとダイスの接点近傍では常に存在するためである。トータルとしてすべりが生じていなければ、回転回数と同じ数のセグメント数が観察されるはずである。図3の倍率を拡大しセグメント数をカウントした結果、N’=N=40となっていることを確認した。このように螺旋模様が観察される領域(長さH1の材料部分)がねじり押出しが進行している領域(変形域)であるが、変形時のひずみを計算するために、この部分を図中に示したように、長さ(高さ)H、平均直径D1mの円柱に近似する。なお、平均直径D1mとは長さHの部分の材料直径を平均した値である。
図4はマグネシウム合金AZ31の200℃での同様の試験結果である。N’=N=30となっていることが確認できた。しかし、この場合には、変形域が図3よりもダイス側(右側)に寄っている。これはダイスが材料をグリップし、材料をねじり変形させる能力がAZ31の場合には小さいことを意味している。すなわち、材料をねじる能力が低い場合には、ねじり変形領域がコンテナー側からダイス側へ移ることになる。変形領域がダイス側に移動すると、当然、変形領域の平均直径D1mが小さくなり、同じダイス回転数で発生させることのできるねじりひずみγが小さくなる。なぜならば、ねじりひずみ(外周の最大ひずみ)は次式であらわされるからである。
図5は材料の表面に潤滑材を塗布した場合(N=30)の同様の試験結果であるが、螺旋模様はw1からw2の1回転分しか現れていない。すなわち、この場合、N’=1であり、N’<Nとなっており、すべりが大きく、ダイスの材料を回転する能力が非常に低いと解釈される。このようにダイスと材料表面の間のすべりが大きい場合には、ねじり変形領域がダイス側へ移動するだけでなく、螺旋模様のセグメント数が減少し、トータル的なすべりも大きくなる。これまでの実験から、一般的に、硬い材料ほどすべりが発生しやすく、また、同一材料であれば、温度が低いほどすべりが発生しやすくなる傾向がある。
図6は、ダイス2の形状が図1の場合とは異なり、その先端部分がコンテナーに入り込んでいる。図1のタイプのダイスを外ダイス、図6のタイプのダイスを内ダイスと呼ぶことにする。図6のタイプでも変形の様子は図1と同様であり、ねじりひずみが生じるのは図中に点線で示した部分に含まれる材料Aの部分である。
内ダイスはダイス先端のコンテナー内の部分の大きさ(直径)が制約されるので、成形品の断面の最大寸法が外ダイスと比べて小さくなるという欠点があるが、ダイス回転中のダイスのセンタリング機能が優れている。外ダイスも内ダイスも材料の変形機構という意味では通常のねじり押出しを行う上では、全く同じであり、差はないと考えられる。したがって、上記のダイス内面と材料表面の間のねじり変形の機構は全く同じである。
さらに、図7に示した後方ねじり押出しの場合も、ねじり変形の機構は上記前方ねじり押出しと全く同じであり、Aで示した位置でねじりが生じる。
以上の実験結果および考察から、ねじりひずみγを大きくするためには、トータル的なすべりをなくすとともに、変形域の直径D1mを大きくしなければならないことがわかる。
このために、ねじり押出し加工において従来行われてきた手法は、ダイスの内面溝(中空孔)の形状を非軸対称にすることであった。
図8に一例を示す。図8(a)はダイスの軸心を通る面で切った縦断面を示す図、図8(b)は(a)中に示したa1からa6の位置の材料横断面形状を示す図である。このダイスは外ダイスであり、ダイスキャビティ(中空孔、成品の横断面形状を決める孔)の入口(a1)は円形であるが、出口側に近づくにつれ四角形に近づき、出口では完全に四角形になっている。すなわち、円形からコーナーR付きの四角形に断面積を減少させながらなめらかに近づくように設計されている。そのため、少なくともダイス出口近くではダイス内面と材料表面の間のすべりは生じない。工具寿命を向上させるために、コンテナーやダイスの内面と材料表面の間を潤滑してもこの位置でのすべりは生じない。すなわち、このような、四角形断面や楕円断面などの非軸対称形状キャビティ(中空孔)有するダイスを使用すればトータル的なすべりは生じることはなく常に、N’=Nとなる。問題は、変形域の直径D1mが最大値である素材直径(=コンテナー内径)Dに等しくなるかどうかである。
これを調べるために、図8のタイプのダイスを用いた場合のメタルフロー試験結果を図9に示した。材料はAZ31、材料直径10mm、線材直径2mmである。ダイス出口形状は口3.58mm、試験温度230℃である。図より変形域はコンテナー内からダイス内へと続くかなり長い範囲となっていることがわかる。したがって、平均直径D1mは素材直径Dよりかなり小さいと言える。
最近、V.M.Segalは、内ダイスにおいて、四角形や多角形などの内面孔を有するダイス形状について報告している(特許文献8)。その一例を図10に示した。図中、c1〜c3は筆者が加えた線であり、この線であらわされる位置におけるダイスキャビティの横断面形状は、c1:円、c2、c3:多角形であり、c1からc2へはスムーズに変化している。
このダイスに対してもメタルフロー試験を実施し、その結果を図11に示した。材料はAZ31、試験温度230℃である。この例でも、図9の場合と同様に変形域のD1mは素材直径Dよりかなり小さい。
なお、V.M.Segalは、変形域が図10のSのようにダイスの上方のダイスからかなり離れた位置で半円状になるとしているが、実際は図11のようにダイス内部に入り込んでいる部分が多い。すなわち、ダイスの内面の横断面が多角形形状をしている部分ではすべりが生じないので、この部分が材料をねじる結果、この部分に隣接しているH1の長さの部分がねじり変形域となるのである。
上記のように通常のねじり押出しでは、変形域のHはかなり長い。このため、D1mは素材直径よりはかなり小さい。
図12に示した円柱の場合、ねじりひずみγは[数1]で表されるが、剛体変位部分を除いたテンソルひずみは次式で表される。
ただし、これは外周の最大ひずみであり、軸心では当然0である。
横断面平均ひずみは、
となる。
平均相当ひずみは
となる。
これ以外に押出し変形による伸びひずみも存在するが、ねじり押出しの場合、伸びひずみはねじりひずみに比べると非常に小さいので無視することにする。
上記式において、NおよびHを時間で割ると、それぞれ回転速度と材料の軸方向速度になるが、これらは操業条件で決まる。したがって、ひずみを決めるダイス形状因子は、変形域の直径D1mとなる。したがって、ねじり押出しにより得られるひずみを大きくするためには変形域の直径D1mを大きくする方法(最大ひずみ増加法)を検討すればよい。このような方法に関する報告はまだない。V.M.Segalの特許出願明細書(特許文献8)では図10のダイスにより、D1mは素材直径Dに等しくなり、Hは極めて薄くなるような図が描かれているが、すでに述べたように実際にはこのようにはならない。
さらに、外周に近いひずみの大きい部分のみを成品にすることができればほぼ一様な最大ひずみ部分が成品になり最も効率的である。したがって、この方法(最大ひずみ選択法)も同時に検討することにする。
一方、中心軸上のひずみを大きくし、材料断面のひずみ分布を一様に近づけるための方法は筆者により各種提案されている。
たとえば、ダイスの軸心とコンテナーの軸心をずらせる偏心ねじり押出し法(特許文献1、2)、材料内の温度分布を非軸対称にする非軸対称ねじり押出し法(特許文献4)などである。
このような方法により、軸心部のひずみを上昇させることができるが、軸心部から表層部にかけて完全に一様なひずみ分布が実現されているわけではない。すなわち、横断面内のひずみの大きい部分のみを成品にする方法(最大ひずみ選択法)とはなっていない。
特願2003−174091 特願2003−405169 特願2003−405170 特願2003−421551 特願2004− 27381 特願2004−008879 特願2004−008880 Pub.No.:US2005/0081594A1
ねじり押出し法において、変形域の直径D1mを大きくすることができるダイス形状を見出すこと(最大ひずみ増加法)と、外周に近いひずみの大きい部分のみを成品にすることができるダイス形状を見出すこと(最大ひずみ選択法)が解決しようとする課題である。このような課題が達成されると、成品の横断面内のひずみ分布を制御できることになる。
1mを最大にする方法(最大ひずみ増加法)についてまず説明する。従来のねじり押出し法(ねじり前方押出し、ねじり後方押出し等)では、ねじりを確実にする手段として、上記図8、図10のようにダイス内面孔を四角や楕円の非軸対称形状にする手段がある。しかしながら、このためのダイス形状は、ねじり押出しの際、コンテナーからダイスへ移動するダイス入口部分の形状は円形から非軸対称形状にスムーズに移行するように設計されている。これは、入り口面形状が円形でないと材料に疵がはいったり材料が割れたりするからである。このように円形断面から多角形形状へ除々に変形するキャビティをもつダイスの場合、すでに図9、図11で説明したように、ねじり変形域の大部分はダイス入り口近傍から多角形が始まる部分へと移り変わっていく部分となる。すなわちHはある程度長くなる。したがって、変形部分の平均直径D1mは素材径Dに比べてかなり小さくなる。
そこで、D1mを最大にする方法を探索するために、材料ねじりの場合の変形域を調査するための圧縮ねじり試験を行った。これは、図13に示したようにコンテナー3内の材料1をパンチ4(上パンチ)とダイス2(下パンチ)で圧縮するとともにダイス2を回転させることにより材料をねじる方法である。この図は軸心を含む縦断面を示す図である。パンチの材料側端面とダイスの材料側端面を楕円で囲って示したが、これらは同様の凹凸形状である。
図14はダイス図面を示している。図14(b)はダイス側面図、図14(a)はA−A図である。図14(c)はイメージ図である。ダイスの端面は十字状の凸部とそれ以外の凹部からなっているので山十字ダイスと呼ぶことにする。このようなダイスを回転させるとダイスの凸部の側面Sが凹部の材料mにねじりモーメントTを及ぼし、材料にねじりを加えることができるのである。このダイスの場合は、Sとmは4箇所あるが(a)図ではそのうちの2箇所の記号のみを示している。図15にはこの山十字ダイスの寸法をあらわす記号も入れた。
側面Sの回転方向の投影面積をS、側面位置の平均半径をr、ダイスが側面Sに及ぼす単位面積あたりの力をfとすれば、ねじりモーメントTは
となる。
ここで、fは近似的に変形時の静水圧pの関数である。
なお、図15の凸部表面Uも表面摩擦力に基づくねじりモーメントWを材料に及ぼす。Uの表面積をS、面圧をg、摩擦係数をμ、Uの平均半径(軸心からの距離の平均値)をrとすれば
となる。したがって、T+Wが材料をねじる作用をおよぼすことになる。
材料のせん断降伏応力(流動応力)をkとすると、直径Dの材料をねじりにより降伏させるときのねじりモーメントをMとすれば
となる。したがって、
の条件を満たせば材料はねじられることになる。
ところで、パンチによる圧縮圧力Pを大きくすれば、静水圧pが上昇し、そのためfおよびgも上昇する。そのため、TおよびWも上昇する。しかし、kは静水圧に依存しないので、MはPを大きくしても上昇しない。そのため、[数8]はPを大きくすることにより成立させることができる。
つぎに、TとWの大きさを比較する。T中の4rは定数であり、fは静水圧にリニアーに依存する。また、W中のμrも定数であり、gもやはり静水圧にリニアーに依存する。
したがって、次式が成り立つ。
ここで、Sはダイスの横断面積(πD /4)以上にはならない。通常はこの横断面積の1/2のπD /8程度である。一方、Sは側面の高さ(長さ)hを大きくすればいくらでも大きくすることができる。ダイスの材質は通常、素材の変形抵抗と比べて十分大きいものが選択されるので、ダイス突起部分が破断するほどTが大きくなることはない。したがって、Sを十分大きくすることが[数8]を満たすための十分条件となる。
種々検討した結果、この凹凸の深さhは通常の圧縮圧力の場合、材料直径の1/20程度以上あれば十分であることが実験の結果判明している。軸方向の圧縮圧力は、ダイス形状により異なるが、降伏応力の5〜10倍かけるのが普通である。なお、通常のねじり押出しの場合にも同程度の圧力をかけている。ダイスの凹凸深さhが上記値より小さい場合や、圧縮圧力が材料の降伏応力の2倍以下の場合には、材料がこの凹凸を乗り越えてすべり変形をしたり、材料に疵が発生することがあった。圧縮ねじり試験の場合、圧縮圧力は任意に設定できるが、ねじり押出しの場合には、この圧縮圧力は材料が押出されにくい条件の場合に大きくなる。材料が押し出されにくい条件としては、押出し比が大きく、ダイス長さが長く、また、ダイス内の断面積減少率が大きいなどがある。このような条件を満たすようにして圧縮圧力を増大させることによりダイス端面の凹凸の探さを材料直径の1/20以下にすることもできるが、あまり圧縮圧力を大きくしすぎると工具破断が生じる可能性が高まる。結果的に、通常のねじり押出しの場合、降伏応力の5〜10倍の圧力がかかるのが普通である。逆に言えば、上記圧縮ねじり試験は通常のねじり押出しと同様の圧力条件で実施しているのである。
ねじり変形の様子を調べるために圧縮ねじり試験でもメタルフローを調査した。図16は変形前の素材の縦断面を示す。D=10mm、H=6mm、r=2mmのAZ31丸棒試験片を使用した。
図17はa=2mm、b=2mm、h=2mmのダイスとパンチで図16の試験片を圧縮ねじりした場合の材料の縦断面写真を示している。5はメタルフロー用線材である。変形は図中αの領域に集中している様子がわかる。この場合、変形域αの直径はD1m=D、高さHは2〜3mmである。このように変形が集中しせん断帯αを形成している。この変形域αは模式的に図13にも記入した。図13中のせん断帯αは、模式的に、線の幅でひずみの大きさを表している。すなわち、軸心ではひずみが0なので幅が0、材料の最外周はひずみが最大なので線の幅も最大に描いてあるのである。したがって、実際の変形帯の形状を表わしたものではない。以下同様の記法を用いる。
図18は他のタイプのダイスの形状を示したものである。図15とは凹と凸が逆になっているので、谷十字ダイスと呼ぶことにする。図18(c)はこのダイスのイメージ図である。図19は図16と同様に寸法を表わす記号を記入したものである。図20はa=2mm、b=2mm、h=2mmのダイスとパンチで図16の試験片を圧縮ねじりした場合の材料の縦断面写真を示している。
この谷十字ダイスの場合も、山十字ダイスの場合と同様に[数8]がねじれるための条件であり、これを実現するためには、凹凸の深さhが素材ビレット直径の1/20以上であれば十分である。
以上、図14から図19の説明は圧縮ねじり試験の場合の変形についてであるが、変形域外径D1mが最大値D(素材径)になっている。したがって、図18のダイス中心点Cに押出し用のキャビティをあけておき、ねじり押出しを行うと、図21のように変形域αがキャビティCに流入する。矢印は材料流れの方向を模式的に示したものである。これは、最大ひずみにねじられた部分αが成品になることを示している。この変形域αの最外周部をよりスムーズにキャビティに流入させるためには、図22のようにダイス端面の外周部に傾斜eをつければよい。
このような方法が、変形域の直径D1mを大きくする方法(最大ひずみ増加法)の骨子である。
しかしながら、この図21と図22の説明は重要な事実を示唆している。すなわち、ダイス端面の傾斜eを変化させることにより、外周の材料と軸心の材料のキャビティへの流入速度を調節することができるのである。たとえば、eの角度を大きくすると変形域αのうち材料の最外周のひずみが最も小さい部分がより早くダイスキャビティに流入するので、変形域αの軸心のひずみが最も小さい部分のキャビティへの流入が遅れ結果的にこの部分のねじり回数が増え軸心部のひずみも上昇するのである。極端な場合、ひずみの逆転も生じる。各種凹凸ダイスの場合、このような現象がよくみられ、ひずみ分布が自由に制御できる場合があることを示している。
つぎに、外周に近いひずみの大きい部分を成品にする方法(最大ひずみ選択法)について説明する。図14のD位置にキャビティをあけておくと、図23に示したように変形域αの最外周部のひずみがもっとも大きい部分がキャビティDに流入し、最大ひずみ部分が選択的に成品になるのである。この場合もダイスに図24中のeのような傾斜をつけておくとデッドメタルの形成を抑えることによりひずみの大きい材料が流入することになる。この傾斜eの角度を調節することにより、最外周部のひずみと軸心部のひずみの大きさの相対関係を変化させることができるのは図21、図22の場合と同様である。
以上のように、ダイス端面に凹凸をつけることにより、最大ひずみ増加法や最大ひずみ選択法として説明した方法により、成品の横断面のひずみ分布をかなり自由に制御でき、材料軸心部のひずみを最外周部のひずみに近づけることができるだけでなく、逆に材料軸心部のひずみを最外周部のひずみより大きくすることも可能であることが明らかになった。結晶粒径はひずみの大きさに依存するが、ひずみがある程度以上大きくなれば結晶粒径の減少も飽和する傾向がある。この限界のひずみは材料や加工温度によって異なるが、たとえば、Mg合金AZ31の場合には、加工温度が170〜200℃、相当ひずみで20程度以上で結晶粒径が1μm程度に飽和する傾向がある。したがって、成品横断面上のひずみ分布を正確に一様にしなくても、横断面上全ての位置で上記限界ひずみ以上にしておけば、結晶粒の分布が一様になるのである。ねじり変形を利用する従来の他のプロセスでは、軸心部のひずみを上記限界ひずみまで上昇させるのはかなり困難であったが、本特許出願の技術により、これが簡単に実現できるようになった。これが最大の効果である。
以下図面に基づいて、発明の実施形態を説明する。以上のような実験と考察に基づき、ねじり押出しにおける最適なダイス形状を種々検討することにより以下のような方法を見出すことができた。
いくつかの具体的な例を挙げて説明した後、最後に系統的にまとめることにする。
まず、最大ひずみ増加法の例について説明する。
図25は圧縮ねじりにおける谷十字ダイスの軸心部にキャビティをあけた図21に類似したダイスを用いたねじり押出し法の断面図である。コンテナー3中の材料をプッシャー4で押し込みながら、ダイス2を押出し軸aのまわりに回転させる。変形域αで生じた高ひずみ部分がキャビティ2−1に流れ込むのである。
プッシャー4の先端の面に凹凸が付されているが、これはコンテナー3と材料1の間ですべりが生じないようにするためである。これは、ねじり押出し加工が進行して材料長さLが短くなったときに有効である。ダイス2のより詳しい図面を図26に示した。この場合は、ねじりモーメントを生じさせる回転方向の投影面積S
となる。記号は図26中に示した。rは凸部分の平均半径である。
図27〜図31は図26のhとhを変化させた場合の図である。図27は図26と同じダイスである。図28は図27のhが0の場合であり、図21と同じ形状である。図28(b)はイメージ図である。図28(a)図中g位置の最外周部の材料はキャビティに流入しにくいデッドメタル位置にある。そこで、図29に示したように平面Gを傾斜させると材料外周部のひずみの大きい材料もキャビティに流入するようになる。面Hにも傾斜をつければさらに効果的である。図30は図14の山十字の軸心部にキャビティを形成させたダイスに相当している。このままではひずみの小さい材料軸心部の材料のみがキャビティに流入するが、この場合もH部分に傾斜をつければ図31のようになりひずみの大きい材料外周部もキャビティに流入するようになる。
図32は板状の成品用のダイスの例である。谷型ダイスの底の中央部に断面が長方形のキャビティをあけてある。この場合もやはり、変形域αが生じるが、この部分がキャビティに流入する過程でかなり複雑な変形をするので、結果として得られた材料の断面の結晶粒径分布は比較的一様になる。
図33は板幅を素材直径より大きくするために用いられるダイスの例である。(a)が上面図、(b)が側面図である。
図32や図33のダイスの構造は押出し終了後の材料のとりはずし作業が容易になるような工夫が必要になる。たとえば、図32中のK−K面で縦割りした組み合わせダイスにするのがひとつの方法である。このような取り外し作業はビレット1本ごとに行う必要はなく、前のねじり押出し材は噛み止め状態のまま次の押出し材を装入し、つぎの押出しを続けるという操作を行えば、同一ダイスによる必要な押出し作業をすべて終了した後上記とりはずし作業をおこなうだけでよくなる。
これまでの説明は内ダイスについてであるが、外ダイスでも同様の変形をさせることができる。たとえば、図26の内ダイスと同じ作用を持つ外ダイスの例を図34に示した。このように外ダイス方式にすれば内ダイスよりダイスの強度が向上する効果がある。
以上で例を挙げて説明した最大ひずみ増加法を以下のように5つの方法として整理した。
第1の方法:コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する内ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは内ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、内ダイスのうちのコンテナー内に収納されている部分の入口端面が上記貫通したキャビティ以外の凹面や凸面を有することを特徴とする方法である。これは、図25〜図44(図34を除く)のすべての場合を含む。図36〜図44は後で説明する最大ひずみ選択法に該当する図であるが、これらもこの第1の方法に含まれる。
第2の方法:底部を有するコンテナー内に装填された材料を先端が、貫通したキャビティを有するダイス、となっている中空のプッシャーで押し込み、ダイスキャビティから材料を押し込み方向と逆方向へ押し出す際に、コンテナーを押出し軸方向に移動しないように固定し、さらに中空プッシャーかあるいはコンテナーのいずれかを回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり後方押出し法において、ダイスの入口端面が貫通したキャビティ以外の凹面や凸面を有していることを特徴とする方法。この方法については上記では図示していないが、図25〜図44(図33、図34を除く)のダイスと同じ形状のダイスを用いればよい。たとえば、図25と同じ形状のダイスを用いたねじり後方押出し法の縦断面を図35に示した。
第3の方法:底部を有するコンテナー内に装填された材料を先端が、貫通したキャビティを有するダイス、となっている中空のプッシャーの根元側へ、コンテナーを押出し軸に沿って移動させる際に、中空のプッシャーを押出し軸方向に移動しないように固定し、さらに中空プッシャーかあるいはコンテナーのいずれかを回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり後方押出し法において、ダイスの入口端面が貫通したキャビティ以外の凹面や凸面を有していることを特徴とする方法。この方法についても上記では図示していないが、図25〜図44(図33、図34を除く)のダイスと同じ形状のダイスを用いればよい。たとえば、図18と同じ形状のダイスを用いた第2の方法であるねじり後方押出し法の図35で説明すると、押出し作用はプッシャー4の右方への移動により生じさせるのでなく、コンテナー3を左方に移動させることにより生じさせるのである。
第4の方法:第1の方法における内ダイスの貫通したキャビティ以外の凹面が半径方向を向き内ダイスの外周へつながる複数の溝であることを特徴とする。図25〜図33で例示した方法である。
第5の方法:コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する外ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは外ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、外ダイスの先端部分の内コンテナー端面に接していないコンテナー中空部に通じる部分の入口端面が上記貫通したキャビティ以外の凹面や凸面を有することを特徴とする方法。図34で例示した方法である。
つぎに、最大ひずみ選択法について説明する。ここでは、材料外周部の最大ひずみ部分を優先的にダイスキャビティに流入させる方法を検討した。
図36は図14の山十字ダイスの凹面の外周に近い部分Dに断面が円形状のキャビティを付加した図23に相当するねじり押出し用ダイスである。図37は同様に山十字ダイスの外周部に断面が角ビレット形状のキャビティ(切り欠き)を付けたダイスである。図37の十字は他の形状でもかまわない。たとえば、Y字でもよい。重要なのは、図15で説明したように、凸部の側面Sの回転方向の投影面積が材料をねじり降伏させるに十分なねじりモーメントを生じさせるだけの面積を有しているということである。
なお、図37の破線の三角形βはデッドメタル領域である。この部分の拡大図を同図中に示した。素材軸心部の材料はダイス端面の中心にぶつかった後、この部分βを経て、材料の最外周部よりもゆっくりとキャビティへ流れ込む。このため、素材軸心の材料も大きいひずみを受けるようになる。この軸心部の流入速度を調節するためには、図38に示したような傾斜eをつけるのが効果的である。
図39は、図36のダイスの先端部軸心に円柱状突起δをつけたものである。このようにすると、変形域αにおける軸心のねじりひずみがもっとも小さい領域が存在しなくなる。したがって、キャビティに流入した材料の平均ひずみは図36の場合より大きくなる効果がある。
図40は、図36のダイスの先端部軸心に貫通穴εを設けたものである。このようにすると、変形域αにおける軸心のねじりひずみがもっとも小さい領域がこの貫通孔に流入し、外周部のキャビティには流入しなくなり、キャビティ部の材料の平均ひずみが図36の場合より増加するのである。
図41は別形態の山型ダイスの例を示したものである。Y−Y面のq1が貫通孔(キャビティ)、q2が溝であり、溝の側面部と貫通孔とが一緒になって、q1、q2の材料をねじり、右の縦断面図に模式的に示したように厚さの薄いねじり変形域αを生じさせる。図41では溝の形状がU字になっているが、たとえば、図42(a)、(b)に示したような形状でもよい。図42(c)は、図37と同じように、キャビティを最外周に位置させてコンテナー内面もキャビティの一部分とする方法を示したものである。この場合も溝部q2の側面が材料に対して十分なねじりモーメントを生じさせることができるだけの投影面積を持っていることが重要である。
以上で例を挙げて説明した最大ひずみ選択法を以下のように3つの方法として整理した。
第6の方法:第1の方法における内ダイスの貫通したキャビティが、内ダイスの上端面の凹凸の凹面に形成され、さらに、そのキャビティが内ダイスの上端面の半径方向外側に近い位置にあるか、あるいは、内ダイス上端面の半径方向外側に位置し、そのキャビティの最外周面がコンテナーの内面となっていることを特徴とする。図36〜図40で例示した方法である。
第7の方法:コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する内ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは内ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、内ダイスのうちのコンテナー内に収納されている部分の入口端面が上記貫通したキャビティ以外の凹面を有することを特徴とする方法である。図41、図42で例示した方法である。
次に、キャビティを複数設ける例について説明する。この場合には、キャビティ自体がその側面を通じて材料にねじりモーメントを及ぼすことが可能になる。このため、ねじり変形域αがやはり、ダイス先端部に近い材料の横断面に形成される。したがって、材料をねじるためのキャビティ以外の凹凸面を設ける必要がなくなる。
図43は、外周部に3つのキャビティを配置し、軸心部に円柱状突起を設けている。この円柱状突起は図39の軸心部の円柱状突起と同じ役目をし、材料軸心部のひずみの小さい領域を生じさせなくする作用がある。
図44は、図43の円柱状突起のかわりに、貫通穴を設けたものであり、図40と同様、ひずみの小さい材料部分をこの穴へ流入させる作用を持つ。
これらの方法を以下にまとめる。
第8の方法:コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する内ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは内ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、内ダイスのうちのコンテナー内に収納されている部分の入口端面に軸心を通らない複数の貫通したキャビティと軸心上の円柱状突起が形成されていることを特徴とする。
図43で例示した方法である。
第9の方法:コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する内ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは内ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、内ダイスのうちのコンテナー内に収納されている部分の入口端面に軸心を通らない複数の貫通したキャビティと軸心上の貫通した孔からなることを特徴とする。図44で例示した方法である。
上記のように凹凸ダイスはひずみ分布を制御する上で有効な技術であるが、凹凸部の寸法に関して、望ましい範囲を説明する。
凹凸の深さは材料直径の1/20以上であるが、その最大値は材料直径の1/2が望ましい。これ以上になると凸部が破損する恐れがでてくる。凹部の横断面積割合は、凸部と凹部の合計の30%〜70%の範囲が適切である。この範囲を外れると、ダイス先端部が破損する場合がある。
なお、加工温度は結晶粒径の絶対値を決める上で重要であるが、ひずみの分布に関しては、凹凸ダイスの幾何学的形状が支配的であることを付記しておく。
Mg合金AZ61(Al6%、Zn1%)の棒材(直径10mm、長さ30mm)を使用し、図45の装置(模式的な垂直断面図)を用いて、ねじり押出し加工を実施した。素材の結晶粒径は平均で20〜30μm程度であるが、結晶粒界部分に3〜5μmの細粒もかなりみられた。
図45で、2はダイス、3はコンテナー、4はプッシャー、1は材料である。8はダイス2を固定する治具であり、モーターMとベルト7により回転駆動される。6はコンテナー3と治具8を空間に保持するホルダーである。9はラジアルベアリング、10はスラストベアリングである。材料潤滑は行っていない。
ダイス2の写真を図46に示した。ダイスのキャビティ出口は2mm×8mmの長方形である。ダイスキャビティの長さは10mmである。凹凸部の溝の深さは2mm、幅は2mmである。
材料はコンテナーに内蔵された棒状ヒーターHにより443Kに加熱された。プッシャー押込み速度は0.8mm/min、ダイス回転速度は10rpmである。
ねじり押出し加工された成品の断面を腐食後、光学顕微鏡で組織観察を行ったが、断面内の結晶粒径分布はほぼ一様であり、大部分の粒径は1μm以下であった。
Mg合金AZ31(Al3%、Zn1%)の棒材(直径10mm、長さ30mm)を使用し、実施例1と同様、図45の装置(模式的な垂直断面図)を用いて、ねじり押出し加工を実施した。素材の結晶粒径は20〜40μmである。
ただし、ダイスは図27に示したタイプの谷十字ダイスであり、イメージ図を図47に示した。ダイス外径は10mm、キャビティの孔径は2mm、十字溝の幅2mm、溝深さはh1=2mm、h2=4mmである。キャビティの長さは10mmである。
また、ヒーターHは使用せず、別に設けた加熱炉で230℃に加熱した後、すばやくコンテナーに装入して、ねじり押出し試験を実施した。変形時の材料温度は、コンテナー内面近くに設置した熱電対で測定した温度、200℃に近いと推定している。
プッシャー押込み速度は8mm/min、ダイス回転速度は100rpmである。材料潤滑は行っていない。
ねじり押出し加工された成品の断面を腐食後、光学顕微鏡で組織観察を行った。結晶粒径は内部は1〜3ミクロンと一様であったが、最外周部の0.5mm層の範囲では、4〜5μm程度の結晶粒も点在していた。
Mg合金AZ31(Al3%、Zn1%)の棒材(直径10mm、長さ30mm)を使用し、実施例1と同様、図45の装置(模式的な垂直断面図)を用いて、ねじり押出し加工を実施した。素材の結晶粒径は20〜40μmである。
ただし、ダイスは図44に示したタイプの突起付三つ穴ダイスである。ダイス外径は10mm、三つのキャビティの孔径は2mm、突起直径は2mm、突起高さは3mmである。キャビティの長さは10mmである。
また、ヒーターHは使用せず、別に設けた加熱炉で230℃に加熱した後、すばやくコンテナーに装入して、ねじり押出し試験を実施した。変形時の材料温度は、コンテナー内面近くに設置した熱電対で測定した温度、200℃に近いと推定している。
プッシャー押込み速度は8mm/min、ダイス回転速度は100rpmである。材料潤滑は行っていない。
ねじり押出し加工された3本の成品の断面を腐食後、光学顕微鏡で組織観察を行ったが、断面内の結晶粒径分布はほぼ一様であり、大部分の粒径は1〜3μm程度であった。
ねじり前方押出し法(外ダイス方式) メタルフロー調査用試験片 メタルフロー試験片噛み留め材の縦断面写真(アルミニウム) メタルフロー試験片噛み留め材の縦断面写真(Mg合金) メタルフロー試験片噛み留め材の縦断面写真(Mg合金、潤滑あり) ねじり前方押出し法(内ダイス方式) ねじり後方押出し法 四角ダイス(外ダイス) メタルフロー試験結果(四角断面外ダイス) 四角ダイス(内ダイス) メタルフロー試験結果(四角断面内ダイス) 円柱材のねじりひずみ説明図 圧縮ねじり試験方法 圧縮ねじり用パンチ(山十字タイプ) 圧縮ねじり用パンチ(山十字タイプ) 圧縮ねじり用メタルフロー試験片 山十字パンチメタルフロー試験結果 圧縮ねじり用パンチ(谷十字タイプ) 圧縮ねじり用パンチ(谷十字タイプ) 谷十字パンチメタルフロー試験結果 谷十字ダイス 傾斜付き谷十字ダイス 山十字ダイス 傾斜付き山十字ダイス ねじり前方押出し法(内ダイス) 谷十字ダイス 谷十字ダイス 谷十字ダイス 谷十字ダイス 山十字ダイス 山十字ダイス 板用谷ダイス 板用谷ダイス(拡幅タイプ) 外ダイス方式凹凸ダイス ねじり後方押出し法(内ダイス) 山十字偏心ダイス 山十字偏心ダイス(切り欠きタイプ) 山十字偏心ダイス(傾斜タイプ) 山十字偏心ダイス(突起タイプ) 山十字偏心ダイス(軸心孔タイプ) 凹溝偏心ダイス 凹溝偏心ダイス 三つ孔ダイス(突起タイプ) 三つ孔ダイス(軸心孔タイプ) ねじり押出し試験装置 板用谷十字ダイス写真 谷十字ダイスイメージ図
符号の説明
1 材料
1−1 材料の1部分(コンテナー内)
1−2 材料の1部分(ダイス内)
2 ダイス
2−1 ダイスキャビティ
2−2 ダイス端面凹凸部
3 コンテナー
4 プッシャー
5 メタルフロー用線材
6 コンテナーとダイス回転治具を保持するホルダー
7 駆動ベルト
8 ダイス固定用治具
9 ラジアルベアリング
10 スラストベアリング
A 材料部分
C 山十字ダイス軸心位置
D 谷ダイス偏心孔位置
1m 変形域平均直径
変形域長さ
素材長さ
α ねじり変形域
L コンテナー内素材長さ
M 駆動モーター
P 押込み圧力
S ダイス凹凸側面面積
素材直径(コンテナー内径)

Claims (9)

  1. コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する内ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは内ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、内ダイスのうちのコンテナー内に収納されている部分の入口端面が上記貫通したキャビティ以外の凹面や凸面を有することを特徴とする方法。
  2. 底部を有するコンテナー内に装填された材料を先端が、貫通したキャビティを有するダイス、となっている中空のプッシャーで押し込み、ダイスキャビティから材料を押し込み方向と逆方向へ押し出す際に、コンテナーを押出し軸方向に移動しないように固定し、さらに中空プッシャーかあるいはコンテナーのいずれかを回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり後方押出し法において、ダイスの入口端面が貫通したキャビティ以外の凹面や凸面を有していることを特徴とする方法。
  3. 底部を有するコンテナー内に装填された材料を先端が、貫通したキャビティを有するダイス、となっている中空のプッシャーの根元側へ、コンテナーを押出し軸に沿って移動させる際に、中空のプッシャーを押出し軸方向に移動しないように固定し、さらに中空プッシャーかあるいはコンテナーのいずれかを回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり後方押出し法において、ダイスの入口端面が貫通したキャビティ以外の凹面や凸面を有していることを特徴とする方法。
  4. 請求項1における内ダイスの貫通したキャビティ以外の凹面が半径方向を向き内ダイスの外周へつながる複数の溝であることを特徴とする。
  5. コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する外ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは外ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、外ダイスの先端部分の内コンテナー端面に接していないコンテナー中空部に通じる部分の入口端面が上記貫通したキャビティ以外の凹面や凸面を有することを特徴とする方法。
  6. 請求項1における内ダイスの貫通したキャビティが、内ダイスの上端面の凹凸の凹面に形成され、さらに、そのキャビティが内ダイスの上端面の半径方向外側に近い位置にあるか、あるいは、内ダイス上端面の半径方向外側に位置し、そのキャビティの最外周面がコンテナーの内面となっていることを特徴とする。
  7. コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する内ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは内ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、内ダイスのうちのコンテナー内に収納されている部分の入口端面が上記貫通したキャビティ以外の凹面のみを有することを特徴とする方法。
  8. コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する内ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは内ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、内ダイスのうちのコンテナー内に収納されている部分の入口端面に軸心を通らない複数の貫通したキャビティと軸心上の円柱状突起が形成されていることを特徴とする。
  9. コンテナー内に装填された材料をプッシャーで押し込み、貫通したキャビティを有する内ダイスで押出し加工する際に、コンテナーあるいは内ダイスの一方を回転しないように回転方向に固定し、他方を押出し軸の周りに回転させるねじり前方押出し法において、内ダイスのうちのコンテナー内に収納されている部分の入口端面に軸心を通らない複数の貫通したキャビティと軸心上の貫通した孔からなることを特徴とする。
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