近年、撮影光学系により結像された被写体像をCCD等の撮像素子等を用いて電気信号に光電変換した後、この画像信号をメモリーカード等の記録媒体に記録するように構成された電子カメラが広く普及している。
このような電子カメラにおいては、画像の記録(撮影)動作時に、撮影範囲等を決定するファインダの役目をする一方、記録媒体に記録した画像信号等を画像として再生表示したり、これらの画像信号等に付随する撮影日時等の画像情報等を表示し得る液晶ディスプレイ(LCD)等の小型の画像表示手段を、装置本体の外装部に一体的に、又は着脱自在に備え、画像再生表示機能を有して構成されているものが一般的に実用化されている。
一方、このような電子カメラを用いて記録媒体に記録された電気的な画像信号は、電気的な画像処理を施すことによって様々な形態で表示することが容易にできるという特性を有している。また、この画像信号は、画像そのものを表わす信号と、その画像に付随する様々な情報、即ち撮影日時情報や画像のコマ番号、使用者が任意に入力する画像に関するタイトル・コメント等の画像情報等を表わす信号等からなり、これらが単一の画像ファイルとして、あるいは相互に関連付けられた別ファイルの形態で、記録媒体に記録されるようになっているのが普通である。
そこで、このような特性を有する画像信号の特性を利用して、記録媒体に記録されている画像及び画像情報を画像表示手段の表示画面上にそのままの形態で表示させるだけでなく、例えば記録された画像信号に対して各種の画像処理を施し、その結果得られた画像を再生表示する表示機能や、記録された複数の画像のうち所望の画像を検索するための画像検索機能等、様々な付加機能を有するように構成することにより、使用者の使用感や操作性等を向上させ、より使い易い電子カメラを提供することができることになる。
このような付加機能のうち、例えば画像処理を伴う表示機能の代表的なものとして、いわゆる電子ズーム機能等を挙げることができる。
この電子ズーム機能とは、電子カメラによって記録し得る記録用の画像信号や、記録媒体に記録されている画像信号に対して、画像の一部分を電気的に拡大する画像処理を施し、その拡大画像を画像表示手段の表示画面上の全画面領域内に表示し得る機能である。
この機能を用いれば、電子カメラの撮影光学系によって規定される所定の撮影範囲の画像とは別に、同画像の一部分のみを拡大した画像を取得(撮影・記録)したり再生したりすることができるという利点がある。
また、記録媒体に記録されている複数の画像信号のうち所望の画像を検索するための検索機能としては、例えば画像表示装置の表示画面上にマルチ表示・リスト表示等の表示形態を用いて、所望の画像検索を行なう機能が挙げられる。
このうちマルチ表示とは、記録媒体に記録されている複数の画像に対応する複数の画像信号に対して、画像の縮小処理を施し、この複数の縮小画像を画像表示手段の表示画面上にマトリクス状に並べた集合画像として一画面に表示する表示形態である。このマルチ表示の表示形態を用いれば、複数の画像の中から所望の画像を容易に検索することができるという利点がある。
一方、リスト表示とは、各画像毎に付随して記録されている撮影日時情報等の画像情報(属性情報)を画像表示手段の表示画面上に文字等の形態で表示する表示形態であって、例えば撮影コマ番号や撮影日時情報等の所定の検索項目に基づいて、画像検索を行なった結果を一覧形式に表示する表示形態である。
なお、上述の画像情報(属性情報)としては、撮影時等に画像と共に記録される撮影日時情報・コマ番号等のほか、撮影後において使用者が所定の装置等を利用して書き込むことができる情報、例えば所定の画像に対するタイトル・コメント・撮影者名等の各種の情報等、さまざまなものが考えられている。
そして、このリスト表示を用いて検索を行なうことで、所定の検索条件に合致した所望の画像を容易に検索し得ると共に、画像の分類整理が容易となるというものである。
さらに、リスト表示を用いて検索を行なう場合においては、例えば予め設定されている複数の項目を検索条件として検索を行なうようにし、その結果得られる各項目毎の検索結果のリスト表示を、階層化して順次表示し得るようにすることが考えられている。これによれば、使用者は、階層化されて表示される画像検索結果から所望の画像を容易に検索することができ、よって記録媒体に記録されている画像検索をより効率的に行なうことができるようになる。
このような各種の機能を、電子カメラの使用者が有効に動作させるためには、電子カメラの外装部の所定の位置に複数の操作手段等をそれぞれ配置する必要がある。この場合において、上記複数の操作手段は、使用者が混乱することなく確実に操作し得るように配置する必要がある。
例えば特開平6−44318号公報に記載の電子カメラでは、カメラ外装部の上面側に複数の操作ボタンを配置して構成されており、これら複数の操作ボタンのうちモード切換ボタンとしての記録(REC)/再生(PLAY)ボタンを操作することで、記録動作と再生動作との各動作モードを切り換えるようにしている。
この電子カメラでは、モード切換ボタンが操作されて記録動作モードが選択された場合には、階層構造を有する階層ディレクトリに登録されたファイルに対して画像信号の記録が行なわれるようになっている。一方、モード切換ボタンが操作されて再生動作モードが選択されたときには、上記複数の操作ボタンのうち所望の階層ディレクトリを指示するアップボタン及びダウンボタンを操作することで、所望の階層ディレクトリを指定することができ、これによって所望の画像の再生表示を行なうことができるようになっている。
そして、上記特開平6−44318号公報に記載の電子カメラでは、再生動作モードが選択されているときの画像表示装置における表示形態として、記録ファイルの階層ディレクトリを表示する機能を有して構成されている。そして、複数設けられた操作ボタンには、それぞれ複数の機能を実現するための専用の操作部材を配置している。
ところで、上述したように従来の一般的な電子カメラによって記録媒体に記録された画像信号に基づく画像を画像表示手段の表示画面上に再生表示する場合には、様々な表示機能を備えることで、各種の表示形態による再生表示が可能となる。
そこで、これに対応するために上記特開平6−44318号公報によって開示されている手段を用いた場合を考えてみる。この場合には、複数の表示機能や各種の表示形態に応じて専用の操作ボタンを独立させて、電子カメラの外装部に配設する構成となるが、このような構成とした場合には、装置自体が大型化してしまうという問題点がある。
即ち上記特開平6−44318号公報に記載の手段を用いた電子カメラにおいて、通常行われる画像再生表示機能に加えて、例えば複数の表示機能(電子ズーム機能・画像検索機能等の機能)を付加し、さらに画像検索機能の実行時においては、複数の表示形態(マルチ表示・リスト表示等)によって再生表示を行なうことができるように構成した場合、これに対応して、これら複数の表示機能や各種の表示形態を切り換えるための複数の操作部材が必要となる。このように、多機能化を実現するために、多数の機能に応じた数だけの複数の操作部材を設けることは、装置内部の電気回路等が複雑化すると共に、装置自体が大型化してしまう結果となる。
そこで、操作部材の共通化を図り、使用者が所望する表示機能(通常画像再生表示機能・電子ズーム機能・画像検索機能等)や各種の表示形態(マルチ表示・リスト表示等)等を切り換えるための操作手段として単一のモード切換ボタンを設けると共に、各動作モード内において設定すべき各種の設定値等を選択するための操作手段として単一の選択操作ボタンを設け、これらを操作することで、複数の表示機能や各種の表示形態を順次切り換え得るように構成することが考えられる。この場合における電子カメラの作用は、以下のようになる。
例えばモード切換ボタンによって電子ズーム機能を実行する動作モードが選択されているときに、選択操作ボタンを操作すると、所望のズーム倍率(原画像信号に対する2倍・3倍・4倍等の画像の拡大率)の設定値の設定を行なうことができ、これに基づいて画像の一部を拡大する拡大処理が施され、その処理結果としての拡大画像(ズーム画像)が画像表示手段の表示画面上に再生表示されることになる。
また、モード切換ボタンによって画像検索機能を実行する動作モードのうち例えばマルチ表示モードによる表示形態が選択されているときに、選択操作ボタンが操作された場合には、これにより選択されたマルチ表示の設定値に応じた画像縮小処理が施され、対応するマルチ表示が画像表示手段の表示画面上に再生表示されることとなる。この場合において、選択操作ボタンを操作することで設定されるマルチ表示の設定値とは、画像表示手段の表示画面の一画面内に同時に表示し得る縮小画像の最大数の設定値であって、例えば縦2画像×横2画像の4画像・縦3画像×横3画像の9画像・縦4画像×横4画像の16画像等の形態がある。
このように従来の電子カメラにおける操作手段として、複数の機能(動作モード・表示形態等)を切り換えるモード切換ボタンと、各動作モード内における所定の設定値等の選択等を行なう選択操作ボタン等を独立して設け、これらを各別に機能させ得るように構成すれば、より少ない操作ボタンによって電子カメラの多機能化を実現し得ると共に、良好な操作性を得ることができる。
特開平6−44318号公報
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
図1は、本発明の一実施形態の電子カメラを背面側から見た際の外観斜視図である。また図2は、本電子カメラの内部構成を示すブロック構成図である。
本実施形態の電子カメラ1の外装部1aには、図1に示すようにその背面側の略中央部に画像表示手段である液晶ディスプレイ(LCD)等のLCDモニタ6が、その表示面を外方に向けて一体的に配設されている。このLCDモニタ6の近傍には、記録(撮影)動作と再生(表示)動作等の動作モードを切り換えるための操作手段である記録/再生モード切換ボタン4と、LCDモニタ6に再生表示する画像の選択等を行なう際に操作するプラス(+)/マイナス(−)ボタン5等が配設されている。
一方、本電子カメラ1の上面部には、略中央部に液晶ディスプレイ(LCD)等のモード表示部材7が配設されており、同カメラ1の上面部の一側縁部近傍には、撮影動作等を行なう際に操作するシャッターレリーズボタン3と、本電子カメラ1において実行し得る各種の機能等の切り換え操作を行なう操作手段であるテレ(tele)/ワイド(wide)ボタン(以下、TWボタンと略称する)2等が配設されている。
なお、上記モード表示部材7には、本電子カメラ1の状態に関する各種情報、例えば動作モード・各種機能の設定項目・撮影可能画像数又は撮影済み画像数・年月日時・電池残量情報等が表示されるようになっている。
また、上記TWボタン2は、単一の操作部材からなり、左右のいずれか一方に揺動させることによって記録又は再生すべき画像のズーム倍率等の設定値の変更(切り換え操作)等を行ない得るようにしたスイッチ部材であって、いわゆるシーソー式のスイッチング部材が採用されている。その他、本電子カメラ1の外装部1aに配設される構成部材については、本発明に直接関連しないものであるので、その説明及び図示を省略している。
次に、本電子カメラ1の内部における電気系の構成について、図2を用いて以下に説明する。
本電子カメラ1は、図2に示すように被写体光束を集光し、被写体像を結像し得る変倍可能なズームレンズ等からなる撮影光学系である撮影レンズ系9と、この撮影レンズ系9によって結像される被写体像を電気的な信号に光電変換するCCD等の撮像素子等によって構成されるイメージャ8と、このイメージャ8によって変換された画像信号に対して所定の画像処理(前処理)等を予め施す撮像回路10と、この撮像回路10から出力される画像信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換するA/D変換回路11と、デジタル信号化された画像及び画像情報等を形成する画像信号を一時的に記憶するDRAM等からなるバッファメモリ等のメモリ12と、このメモリ12に記憶されているデジタル画像信号を、例えばLCDモニタ6に表示するのに最適な形態のアナログ信号に変換するD/A変換回路13と、画像及び画像情報等を表示する画像表示手段であるLCDモニタ6(図1も参照)と、メモリ12に記憶されているデジタル画像信号を記録媒体であるメモリカード16に記録し得る形態にデータ処理・圧縮処理等を施すと共に、メモリカード16に圧縮された状態で記録されている複数の画像データに対して各種の画像処理を施し得る形態の信号となるように伸長処理を施す画像信号用の圧縮伸長回路15と、メモリカード16を装着するための装着部及びカードI/F(電気回路)等からなるメモリカードスロット17と、本電子カメラ1の全体を制御する制御手段であるシステムコントローラ21と、撮影レンズ系9を構成する一部のレンズ群を光軸方向に移動させることで光学的な変倍動作(ズーミング)を行なわしめるズームモータ20と、このズームモータ20の駆動を制御するズーム制御回路19と、記録動作時及び再生動作時において電子ズーム機能が選択されたときの動作を制御する電子ズーム制御回路18と、上述の各種操作ボタン2〜5の操作に応じてシステムコントローラ21に対して各種の入力信号を入力させ得る複数の入力スイッチ群22等によって構成されている。
なお、本電子カメラ1においては、画像信号を記録するための記録媒体として、着脱自在に配設されるメモリーカード16を適用するようにしているが、これに限らず、電子カメラ1の内部に固定した固定メモリ等を用いても良い。
また、上記複数の入力スイッチ群22は、システムコントローラ21等に対して各種の機能を切り換えるための指示を与えたり、これら各種の機能の実行中における設定・選択・指示等を与えるための複数の入力スイッチによって構成されている。上記システムコントローラ21は、この入力スイッチ群22からの入力信号を受けて、所定の構成部材等を制御し、操作されたスイッチに応じた動作が実行されるように、本電子カメラ1を制御している。
この入力スイッチ群22を構成する各スイッチとしては、例えばTWボタン2に対応し、テレSW23a及びワイドSW23bからなるズームSW23や、上記シャッターレリーズボタン3に対応し、撮影動作等を実行するための指令等を与えるレリーズSW25、上記記録/再生モード切換ボタン4に対応し、記録動作と再生動作等の動作モードを切り換えるための指令等を与える記録/再生モード切換SW26、上記プラス/マイナスボタン5に対応し、再生表示する画像の選択等の指令等を与えるプラスSW27及びマイナスSW28等がある。
上記ズームSW23は、上記TWボタン2に対応する入力スイッチであって、本電子カメラ1においては、使用者が上記TWボタン2を操作することによって、以下に示す各種の機能等を実現し得るように構成されている。
図3は、本電子カメラ1において実行し得る各種の機能(動作モード)等を簡単に示す図である。この図3によって、本電子カメラ1の作用を、以下に説明する。なお、図3におて示す矢印X1・X2は、TWボタン2の操作方向を概念的に示している。また、図3において斜線で示す矢印A・B・Cは、光学又は電子ズーム動作を行なう際のズーム倍率設定又は選択動作を示しており、連続的な操作が行なわれる部分である。一方、その他の白抜き矢印は、各種モード間の切り換え等、主に切換又は選択動作を示しており、いわゆるワンアクション操作が行なわれる部分である。
まず、本電子カメラ1における動作モードを大別すると、記録(撮影)動作を行なう際の記録動作モードと、メモリカード16等の記録媒体等に記録された画像信号をLCDモニタ6の表示画面上に再生表示する際の再生(表示)動作モードとがある。
この記録動作モードと再生動作モードとの切り換えは、記録/再生モード切換ボタン4(図1参照)を操作することにより、記録/再生モード切換SW26(図2参照)を作動させ、これによって生じる入力信号をシステムコントローラ21に与えることで、その切換動作が行われる。
このように記録/再生モード切換ボタン4を操作して、記録動作モードに移行し、記録(撮影)動作を行ない得る状態になったときに、本電子カメラ1では、光学ズーム機能と電子ズーム機能とを選択し得るようになっている。
なお、本電子カメラ1においては、電源投入直後の初期状態、又は記録動作モードに移行した直後の状態としては、光学ズーム機能が動作し得る状態(以下、この状態を光学ズームモードという)が設定され、かつ撮影レンズ系9は、最もワイド端寄りの位置に設定されるようになっているものとする。さらに、本電子カメラ1では、電源投入動作がなされたときの動作モードは、記録動作モードが設定されるようになっているものとする。
この状態(記録動作モードにおける光学ズームモード)にあるときに、TWボタン2をテレ方向又はワイド方向(図3の矢印X1及び斜線で示す矢印B参照)の任意の方向に操作すると、ズームSW23からの入力信号を受けてシステムコントローラ21がズーム制御回路19を介してズームモータ20等を制御して、撮影レンズ系9を駆動する。これによって、光学的な変倍動作(ズーミング)が実行される。このとき使用者は、TWボタン2を操作して、所望のズーム倍率を設定する。
ここで設定し得る変倍動作によるズーム倍率は、撮影レンズ系9の変倍動作を司るズームレンズ群(図示せず)をズームモータ20の駆動力により光軸方向に連続的に移動させることで所定の値が設定され、TWボタン2を押し続ける(作動させ続ける)ことにより連続的な変倍動作がなされる。なお、この光学ズームモードを実行させる具体的な機構については、従来より利用されている一般的な機構を用いるものとして、詳細な説明は省略する。
そして、この光学ズームモードにおいて、TWボタン2の操作により設定し得るズーム倍率が最もテレ側の状態(最長焦点位置)とされたときに、さらにTWボタン2をテレ方向に、いわゆるワンアクション操作を行なうと、ズームSW23のうちテレSW23aからの入力信号が生じる。これを受けてシステムコントローラ21は、電子ズーム制御回路18及びメモリ12を制御して、同メモリ12に一時的に記憶されている画像信号に基づく画像の一部を拡大する画像処理し、その拡大画像をLCDモニタ6に表示する動作を行わしめる。これにより、本電子カメラ1は、記録時の電子ズーム機能を実行するための制御を行なう記録電子ズームモードに移行する。
そして、この記録電子ズームモードにおいて、TWボタン2をテレ方向又はワイド方向(図3の矢印X1及び斜線で示す矢印A参照)の任意の方向に操作すれば、光学ズームモード時と同様に所望のズーム倍率の設定を行なうことができる。
なお、ここで設定しうるズーム倍率の設定値は、光学ズームモードにより設定し得る最もテレ側の画像サイズを基準とするズーム倍率が設定されるようになっている。その設定値としては、連続的に変化するようにしても良いし、また基準画像サイズに対して例えば二倍(×2)・三倍(×3)等の段階的な規定ズーム倍率値から所望のズーム倍率値を、使用者がTWボタン2を操作することで選択するようにしても良い(図3に示す例では、連続的な変倍を行なうようにしている)。
さらに、この記録動作モード時には、所望のズーム倍率の設定を行なった後、レリーズボタン3(図1参照)を操作(押圧)することで、撮影動作がなされるが、このとき記録される画像信号は、設定されたズーム倍率によって拡大された画像を表わす画像信号である。
ここで、図4・図5は、電子ズームモード時におけるLCDモニタ6の表示画面の表示形態を示す図であって、図4は、基準画像サイズに対してズーム倍率を三倍(×3)に設定したときの例を示し、図5は、同様にズーム倍率を二倍(×2)に設定したときの例を示している。なお、図4・図5において、画面の上側縁部近傍に示される数字[1]は、その表示画面上に表示されている画像のコマ番号の情報を示すものである。
次に、記録電子ズームモードにおいて、TWボタン2の操作により設定し得るズーム倍率が最もワイド側の状態(最短焦点位置)とされたときに、さらにTWボタン2をワイド方向にワンアクション操作がなされると、ズームSW23のうちワイドSW23bからの入力信号が発生する。これに基づいて本電子カメラ1は、光学ズーム機能を実行するための制御を行なう光学ズームモードに移行する。
このように記録動作モード時に、TWボタン2(ズームSW23=テレSW23a・ワイドSW23b)は、光学ズーム機能と記録電子ズーム機能とを切り換える手段であると同時に、記録用画像の所望のズーム倍率を設定又は選択するための記録ズーム倍率選択手段の役目をしている。
一方、記録/再生モード切換ボタン4が操作されて、記録/再生モード切換SW26から再生動作モードに移行すべき旨の入力信号が生じた場合には、これを受けてシステムコントローラ21がメモリ12等を制御して、本電子カメラ1は、同メモリ12に記憶されている画像信号をD/A変換回路13を介してLCDモニタ6の表示画面上に画像として再生表示し得る再生動作モードに移行する。
この再生動作モードに移行した直後の状態は、通常の画像再生表示機能を実行する通常モードとなっている。
この通常モード時においては、まずメモリカード16に記録されている所定の画像、例えば記録されている画像及び画像情報を表わす画像信号のうち最も最新の画像信号等が、メモリカードスロット17・圧縮伸長回路15を介してメモリ12へと送られ、これに一時的に記憶される。同時に、このメモリ12に記憶された画像信号は、D/A変換回路13を経てLCDモニタ6へと送られて、これに基づく画像がLCDモニタ6の表示画面上の全領域に再生表示される。
この場合には、画像信号に対して特別な画像処理等は施されず、記録されている画像がそのままの状態でLCDモニタ6の表示画面の全表示領域に表示される。このときのLCDモニタ6の表示画面の表示形態の一例を図6に示す。なお、図6における表示例において、画面内の上側縁部近傍に示される数字[1]は、その表示画面上に表示されている画像に対応したコマ番号である。
この状態において、上記TWボタン2をテレ方向又はワイド方向(図3の矢印X2)へとワンアクション操作することによって、再生時の電子ズーム機能を実行するため再生電子ズームモード、又は複数の画像及び画像情報等を検索するための画像検索モードのいずれか一方に切り換えることができる。
まず、通常モードから再生電子ズームモードに切り換えるには、上記TWボタン2をテレ方向にワンアクション操作を行なう。これにより、ズームSW23のうちテレSW23aからの入力信号が生じるので、本電子カメラ1は、再生電子ズームモードに移行する。
この再生電子ズームモードは、上述の記録電子ズームモードと同様に、システムコントローラ21によって電子ズーム制御回路18・メモリ12等が制御されることにより、同メモリ12に一時的に記憶されている画像信号の一部を電気的に拡大する画像処理を行なって、その拡大画像をLCDモニタ6の表示画面上に再生表示するモードである。
この場合において、TWボタン2をテレ方向又はワイド方向(図3の矢印X2及び斜線で示す矢印C参照)の任意の方向に操作すれば、使用者が所望するズーム倍率を設定することができる。このズーム倍率値は、通常モード時の画像サイズ、即ち記録されている元の状態の画像サイズを基準としたズーム倍率である、なお、このズーム倍率の設定値としても、連続的に変化するズーム倍率値を任意に設定し得るようにしても良いし、段階的に設定されるズーム倍率から所望のズーム倍率値を選択するようにしても良い(図4・図5・図6も参照)。
この再生電子ズームモードから通常モードに戻るには、再生電子ズームモードにおける基準の画像サイズの画像をLCDモニタ6に表示させている状態、即ちTWボタン2により操作し得る最もワイド側の状態において、さらにTWボタン2をワンアクション操作を実行することによりなされる。
一方、通常モードから画像検索モードに切り換えるには、上記TWボタン2のワイド方向へのワンアクション操作によって行なう。これによってズームSW23のうちワイドSW23bからの入力信号が生じる。これを受けて本電子カメラ1は、メモリ12等を制御して画像検索モードに移行する。
この画像検索モードは、メモリ12に一時的に記憶された画像信号に基づいて、LCDモニタ6の表示画面上に再生表示される画像又は画像情報等により、所望の画像を検索するモードである。そして、この画像検索モードにおけるLCDモニタ6の表示画面上への表示形態としては、マルチ表示モードとリスト表示モード等とがある。
このうちマルチ表示モードは、メモリカード16に記録されている複数の画像信号を縮小する画像処理を施して、この複数の縮小画像をLCDモニタ6の表示画面上にマトリクス状に並べた形態の集合画像を一画面で表示する、いわゆるマルチ表示を行ない得る表示モードである(図7・図8参照)。
またリスト表示モードは、各画像毎に付随して記録されている属性情報、例えば撮影日時情報等の画像情報等をLCDモニタ6の表示画面上に表示する表示モードであって、所定の検索項目等に基づいて検索した結果を文字等の表示形態で一覧形式に並べて表示する、いわゆるリスト表示を行ない得る表示モードである(図9・図10・図11参照。詳細は後述する)。
そして、本電子カメラ1においては、通常モードから画像検索モードに移行した直後の状態として、マルチ表示モードが設定されるようになっている。
即ち、通常モードの状態において、TWボタン2をワイド方向にワンアクション操作を行なうと、上述したようにワイドSW23bからの入力信号を受けて、本電子カメラ1は、画像検索モードのうちマルチ表示モードに移行する。
図7・図8は、本電子カメラ1においてマルチ表示モードが設定されたときのLCDモニタ6の表示形態の例をそれぞれ示すものである。
このマルチ表示モードにおいては、一画面内に表示し得る画像数を変更可能に構成されている。本電子カメラ1では、縦3画像×横3画像の9画像を第1階層とし(図3・図7参照)、第2階層として縦4画像×横4画像の16画像(図3・図8参照)の二つの表示形態を階層的に表示するようになっている。
つまり、図7・図8に示すように、マルチ表示モード時には、LCDモニタ6の表示画面領域を、それぞれ等分割した各分割区画内に縮小処理された各画像が一画像毎に並べて表示されることとなる(画像自体の詳細については、図示せず)。このとき各分割区画内に示される数字、即ち図7では、9分割された各分割区画内の数字1〜9、図8においては、16分割された各分割区画内の数字1〜16は、各分割区画内に表示されるべき画像に対応するコマ番号の表示である。そして、これら図7・図8等に例示した表示形態の切り換え、即ち階層間の切り換えは、TWボタン2のテレ方向又はワイド方向へのワンウエイ操作によって行なわれる。
また、マルチ表示モードからリスト表示モードに切り換えるには、さらにTWボタン2をワイド方向にワンアクション操作することによってワイドSW23bを作動させることにより行なう。
このリスト表示モードにおいては、検索項目により異なる複数の表示形態が階層的に表示されるように構成なっている。本電子カメラ1では、このリスト表示モードを、図3に示すように三つの階層により構成している。
まず、リスト表示モードにおける第1階層の表示形態を図9に示す。これは、メモリカード16等に記録されている複数の画像に対応する画像情報のうち、例えば撮影日時に関する情報(日付情報;年/月/日)と対応するコメント情報とを、各画像に付されたコマ番号順に一覧表示した表示形態の一例である。
次の図10は、第2階層の表示形態を示し、同様に撮影日時情報(年/月のみ)と、この年月情報に基づいて検索した各画像に対応するコマ番号情報を、グループ分けし、時間軸を基準として一覧表示した表示形態の一例である。
そして図11は、第3階層の表示形態を示し、同様に撮影日時情報(年のみ)と、この年情報に基づいて検索した各画像に対応するコマ番号情報を、グループ分けし、時間軸を基準として一覧表示した表示形態の一例である。
そして、これら複数の表示形態の切り換え、即ち階層間の切り換えは、TWボタン2のワンアクション操作によって行なう。
このように再生動作モードにおいて、TWボタン2(ズームSW23=テレSW23a・ワイドSW23b)は、通常の画像再生表示機能(通常モード)と再生電子ズーム機能(再生電子ズームモード)と画像検索機能(画像検索モード)とを切り換えるモード切換手段であると同時に、再生ズームモード時には、再生用画像の所望のズーム倍率を設定又は選択するための再生ズーム倍率選択手段となっている。
また、TWボタン2及びズームSW23は、画像検索モード内においては、マルチ表示モードとリスト表示モードとの切り換えを行ない得ると共に、マルチ表示モード時における表示画像数の切り換えを行なう画像切換手段、及びリスト表示モード時における表示形態の階層間の切換を行なう階層切換手段としての役目もしている。さらに、再生電子ズーム機能の実行中における再生ズーム倍率選択手段の役目をも兼ねている。
以上説明したように上記一実施形態によれば、制御手段であるシステムコントローラ21の制御によって、単一の操作手段であるTWボタン2を操作するだけで、記録動作モード時における光学及び電子ズーム機能のズーム倍率の設定又は選択や、再生動作モード時における再生電子ズーム機能のズーム倍率の設定又は選択、画像検索機能のモード切り換え、画像検索モード内における表示形態の切り換え等、様々な動作をなし得るように構成したので、装置の使用感・操作性を損ねることなく、電子カメラ1の多機能化に容易に対応することができる。
また、電子カメラ1において実行し得る各種の動作モードの切り換えや、主に再生時におけるLCDモニタ6の表示画面の表示形態の切り換え等を、複数の操作手段を設けることなく、単一の操作手段(TWボタン2)によって実行し得るように構成したので、装置自体の小型化に寄与することが容易にできる。
そして、電子カメラ1によりメモリカード16等に記録した画像及び画像信号を検索する画像検索モードを設け、この画像検索モードにおける表示形態としては、画像に基づいて検索し得るマルチ表示モードと、画像情報に基づいて検索し得るリスト表示モードとを有するように構成したので、使用者が所望する画像の検索を、より確実かつ迅速に実行することが容易である。
また、通常モードから画像検索モードへの切り換えを、TWボタン2の操作によって行なうようにすると共に、この画像検索モード内の表示形態をも同一のTWボタン2の操作によって切り換えるようにしているので、操作性を単純化し、よって使用者には、良好な使用感を与えることができる。
さらに、画像検索モードにおいては、画像に付随する画像情報(画像の属性情報)に基いたリスト表示モードを設けているので、画像のコマ番号とは異なる情報を用いて検索し、その結果を一覧表示することで、メモリカード16等の記録媒体等に記録された画像を表わす画像信号の分類整理をより正確かつ簡単に行なうことができる。
なお、本実施形態においては、ズームSW23(図2参照)を動作させる操作手段としてのTWボタン2を、単一の操作ボタンであって、シーソー式のスイッチ部材を用いている。しかし、このTWボタン2の形態としては、これに限らず、例えばズームSW23を形成する各SW23a・23bに対応させた操作ボタン、即ちテレ方向へのズーム操作を行ない得る操作ボタンと、ワイド方向へのズーム操作を行ない得る操作ボタンとの二つの操作ボタンによって構成しても良い。
また、上述の実施形態により、以下のような構成の発明を得ることができる。
(1)撮影光学系により結像された被写体像を撮像素子を用いて電気信号に変換し記録する電子カメラにおいて、
画像及び画像情報を表示する画像表示手段と、
外装部に設けられ、複数の機能を有する一対の操作手段と、
この操作手段の機能を設定する制御手段と、
を備え、
上記制御手段は、記録時には、記録用画像のズーム倍率を選択する記録ズーム倍率選択手段となるように上記操作手段を制御し、再生時には、単一の画像を上記画像表示手段に表示する通常モードと画像の一部を電気的に拡大した画像を上記画像表示手段に表示する再生ズームモードとを切り換えるモード切換手段となるように上記操作手段を制御し、さらに再生ズームモード時には、再生用画像のズーム倍率を選択する再生ズーム倍率選択手段となるように上記操作手段を制御する電子カメラ。
(2)撮影光学系により結像された被写体像を撮像素子を用いて電気信号に変換し記録する電子カメラにおいて、
画像及び画像情報を表示する画像表示手段と、
外装部に設けられ、複数の機能を有する一対の操作手段と、
この操作手段の機能を設定する制御手段と、
を備え、
上記制御手段は、記録時には、記録用画像のズーム倍率を選択する記録ズーム倍率選択手段となるように上記操作手段を制御し、再生時には、単一の画像を画像表示手段に表示する通常モードと再生用画像を検索するための画像又は画像情報を表示する画像検索モードとを切り換えるモード切換手段となるように上記操作手段を制御し、さらに画像検索モード時には、この画像検索モード内における表示切換手段となるように上記操作手段を制御する電子カメラ。
(3)撮影光学系により結像された被写体像を撮像素子を用いて電気信号に変換し記録する電子カメラにおいて、
画像及び画像情報を表示する画像表示手段と、
外装部に設けられ、複数の機能を有する一対の操作手段と、
この操作手段の機能を設定する制御手段と、
を備え、
上記制御手段は、記録時には、記録用画像のズーム倍率を選択する記録ズーム倍率選択手段となるように上記操作手段を制御し、再生時には、単一の画像を画像表示手段に表示する通常モードと画像の一部を電気的に拡大した画像を画像表示手段に表示する再生ズームモードと画像を検索するための画像又は画像情報を表示する画像検索モードとを切り換えるモード切換手段となるように上記操作手段を制御し、さらに再生ズームモード時には、再生用画像のズーム倍率を選択する再生ズーム倍率選択手段となるように上記操作手段を制御し、画像検索モード時には、画像検索モード内における表示切換手段となるように上記操作手段を制御する電子カメラ。
(4)上記画像検索モードは、縮小処理した複数の再生用画像を並べて配置した集合画像を画像表示手段の一画面に表示するマルチ表示モードであると共に、上記表示切換手段は、一画面に表示する画像数を切り換える画像切換手段である上記(2)項又は上記(3)項に記載の電子カメラ。
(5)上記画像検索モードは、再生用画像の属性情報を一覧表示するリスト表示モードであると共に、上記表示切換手段は、上記属性情報に係る階層切換手段である上記(2)項又は上記(3)項に記載の電子カメラ。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。