JP2008188984A - 紫外線照射装置および該紫外線照射装置を用いた記録装置、ならびに記録方法 - Google Patents

紫外線照射装置および該紫外線照射装置を用いた記録装置、ならびに記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フルカラー印刷等の多色印刷のために記録媒体上に付着された複数色の紫外線硬化型のカラーインクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、良好に硬化させることのできる紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】紫外線照射装置190A,190Bは、紫外線硬化型インクを噴射する印刷ヘッド52を搭載するキャリッジ50に取り付けられ、印刷ヘッド52が印刷用紙P上に噴射したインク膜196に対して紫外線を照射する複数の紫外線光源192,193を備える。印刷ヘッド52近傍の印刷用紙P上を照射する紫外線光源192の紫外線192aは、印刷ヘッド52近傍からキャリッジ50の移動方向に沿って離れた印刷用紙P上を照射する紫外線光源193の紫外線193aよりも、波長が短い。
【選択図】図2

Description

本発明は、記録ヘッドが記録媒体上に噴射した紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射する紫外線光源を備えた紫外線照射装置および該紫外線照射装置を用いた記録装置、ならびに記録方法に関するものである。
近年、インクジェットプリンタ等で使用するインクとして、紫外線硬化型インクが注目されている。
紫外線硬化型インクが通常の水性インクや油性インクと異なる点は、記録媒体(印刷用紙)等に付着させた後、適量の紫外線を照射すれば速やかに硬化して、インク浸透性等の記録媒体の物性に左右されずに、安定した印刷品質を維持できる点である。
このような紫外線硬化型インクを使用するインクジェット式記録装置(インクジェットプリンタ)では、紫外線硬化型インクを微粒のインク滴として噴射して記録媒体に付着させる記録ヘッドの周辺に、記録媒体上に付着させたインクに紫外線を照射する紫外線照射装置を装備することが必要であり、記録ヘッドを搭載して記録媒体の幅方向に往復移動するキャリッジに前記紫外線照射装置を装備したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平2004−237603号公報
ところで、一般に波長の長い紫外線は、波長の短い紫外線よりもインク膜に対する透過力が強くなり、波長の短い紫外線は、波長の長い紫外線よりもフォトン1個が持つエネルギーが大きくなる傾向がある。そのため、例えば記録媒体に付着させるインクの粘度が低く、インク膜の膜厚が比較的薄いフルカラー印刷(多色印刷)時には、複数種の紫外線硬化型のカラーインクが重なった部分に、にじみや色混じりという問題が発生することがあった。これは、粘度が低く、膜厚が薄いインク膜に照射する紫外線の波長が長いと、インク膜の内奥から順次硬化が始まり、表面側の硬化が遅れるためである。
従って、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、フルカラー印刷等の多色印刷のために記録媒体上に付着された複数色の紫外線硬化型のカラーインクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、良好に硬化させることのできる紫外線照射装置および記録方法を提供することである。また、本発明は上記紫外線照射装置を用いた記録装置を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、記録ヘッドが記録媒体上に噴射した複数の紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射する紫外線光源を備えた紫外線照射装置であって、
前記記録ヘッド近傍の前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線は、前記記録ヘッド近傍から離れた前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線よりも、波長が短いことを特徴とする紫外線照射装置によって達成される。
上記構成の紫外線照射装置によれば、記録ヘッドからの噴射で記録媒体上に付着させたインク膜に対して、先ず、記録ヘッド近傍の記録媒体上を照射する波長の短い紫外線が照射され、大きなエネルギーでインク膜の表面を硬化させる。その後、記録ヘッド近傍から離れた記録媒体上を照射する波長の長い紫外線がインク膜に対して照射され、インク膜の内奥を硬化させる。
そこで、例えばインクの粘度が低く、インク膜の膜厚が比較的薄い多色印刷時にも、記録媒体上に付着された複数の紫外線硬化型インクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、良好に硬化させることができる。
なお、ここで指す「波長」とは、光源から放たれる光のピークとなる波長のことを示す。
また、上記構成の紫外線照射装置において、前記紫外線照射装置は複数の紫外線光源を備えるとともに、前記複数の紫外線光源が、前記記録ヘッド近傍に配置された短波長用光源と、該短波長用光源よりも前記記録ヘッドから離れて配置された長波長用光源と、を備えることが望ましい。
上記構成の紫外線照射装置によれば、記録ヘッドからの噴射で記録媒体上に付着させたインク膜に対して、先ず、記録ヘッド近傍に配置された短波長用光源から、記録ヘッド近傍の記録媒体上を照射する波長の短い紫外線が照射され、大きなエネルギーでインク膜の表面を硬化させる。その後、前記短波長用光源よりも前記記録ヘッドから離れて配置された長波長用光源から、記録ヘッド近傍から離れた記録媒体上を照射する波長の長い紫外線がインク膜に対して照射され、インク膜の内奥を硬化させる。
また、この様な構成の紫外線照射装置によれば、短波長用光源及び長波長用光源のレイアウトが容易で、紫外線光源の構成が簡単となるので、製造コストを低減することができる。
また、上記構成の紫外線照射装置において、前記複数の紫外線光源は、前記記録ヘッド近傍から離れるにしたがって波長が順次長くなる紫外線を前記記録媒体上に照射することが望ましい。
この様な構成の紫外線照射装置によれば、記録媒体上に噴射されたインク膜に対して、短い波長から順次、段階的に波長が長くなる紫外線を照射することができる。そこで、記録媒体上に付着された複数の紫外線硬化型インクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、インク膜の表面から順次硬化させて、最後に内奥側を硬化させることができ、インク膜全体を確実に硬化させることができる。
また、上記構成の紫外線照射装置は、前記紫外線光源から出射された紫外線を波長が異なる複数の紫外線に分離する手段を備えることも望ましい。
上記構成の紫外線照射装置によれば、記録ヘッドからの噴射で記録媒体上に付着させたインク膜に対して、先ず、波長が異なる複数の紫外線に分離する手段により分離された波長の短い紫外線が記録ヘッド近傍の記録媒体上に照射され、大きなエネルギーでインク膜の表面を硬化させる。その後、前記手段により分離された波長の長い紫外線が記録ヘッド近傍から離れた記録媒体上に照射され、インク膜の内奥を硬化させる。
かかる手段によれば紫外線光源を複数設置しなくとも、紫外線光源から出射された紫外線を、波長の異なる複数の紫外線に分離可能である。
尚、上記構成の紫外線照射装置において、前記手段が、特定の波長を優先的に透過させるフィルタであることが望ましい。
このような構成の紫外線照射装置によれば、紫外線光源から記録媒体上に照射される紫外線は、紫外線光源と記録媒体との間に介在する各フィルタにより確実に波長分離され、波長の短い紫外線が波長の長い紫外線よりも先に記録媒体上のインクに照射される状態を得ることができる。
また、上記構成の紫外線照射装置において、前記フィルタと対向する位置に反射機構が配置され、前記紫外線光源から出射された紫外線を前記各フィルタ側に反射することが望ましい。
このような構成の紫外線照射装置によれば、紫外線光源から前記各フィルタ側とは反対側に出射された紫外線も、反射機構による反射によって各フィルタ側に戻され、紫外線硬化型インクの硬化用に活用されるため、紫外線光源から出射される紫外線の利用効率が向上する。
また、例えば、反射機構の反射面を、紫外線光源の発光中心を焦点とする放物曲面とすることで、各フィルタを透過する紫外線方向を揃えて、インクに照射される紫外線強度の均一化を図ることができ、紫外線照射によるインクの硬化性能を安定させることができる。
また、上記構成の紫外線照射装置において、前記手段は、前記記録ヘッド近傍から離れるにしたがって透過させる波長が順次長くなるように紫外線を分離することが望ましい。
このような構成の紫外線照射装置によれば、記録媒体上に噴射されたインク膜に対して、短い波長から順次、段階的に波長が長くなる紫外線を照射することができる。
更に、上記構成の紫外線照射装置において、前記記録ヘッドが前記記録媒体の幅方向にわたって設けられたライン型ヘッドであり、
前記記録ヘッド近傍の前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線は、前記記録ヘッド近傍から前記記録媒体の送り方向に沿って離れた前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線よりも、波長が短いことが望ましい。
この様な構成の紫外線照射装置によれば、ライン型ヘッドからの噴射で記録媒体上に付着させたインク膜に対して、先ず、排紙側のライン型ヘッド近傍の記録媒体上を照射する波長の短い紫外線が照射され、大きなエネルギーでインク膜の表面を硬化させる。その後、記録媒体を送りながら、ライン型ヘッド近傍から記録媒体の送り方向に沿って離れた記録媒体上を照射する波長の長い紫外線がインク膜に対して照射され、インク膜の内奥を硬化させることができる。
また、上記構成の紫外線照射装置において、前記記録ヘッドがキャリッジに搭載されたヘッドであり、
前記記録ヘッド近傍の前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線は、前記記録ヘッド近傍から前記キャリッジの移動方向に沿って離れた前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線よりも、波長が短いことが望ましい。
このような構成の紫外線照射装置によれば、記録ヘッドからの噴射で記録媒体上に付着させたインク膜に対して、先ず、記録ヘッド近傍の記録媒体上を照射する波長の短い紫外線が照射され、大きなエネルギーでインク膜の表面を硬化させる。その後、キャリッジを移動しながら、記録ヘッド近傍からキャリッジの移動方向に沿って離れた記録媒体上を照射する波長の長い紫外線がインク膜に対して照射され、インク膜の内奥を硬化させることができる。
また、上記構成の紫外線照射装置において、前記紫外線照射装置が、前記キャリッジの移動方向に沿った両側端に設けられることが望ましい。
この様な構成の紫外線照射装置によれば、キャリッジを往復動させながら記録ヘッドからインクを記録媒体上に噴射し、ヘッド走査方向の後方側に位置する紫外線照射装置が紫外線を照射することで、キャリッジのヘッド走査方向に関わらずインク膜を速やかに硬化させることができ、印刷スピードを向上させることができる。
また、上記構成の紫外線照射装置において、前記紫外線光源は、LED、LD、水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ又はエキシマランプから選択した少なくとも一つであることが望ましい。
特に、紫外線照射装置を複数の紫外線光源を有する構成とした場合、紫外線光源としてLED又はLDのいずれかを使用することにより、フィルタ等を使用せずとも、光源単体で短波長及び長波長の紫外線光源をそれぞれ用意できる。そこで、例えば紫外線光源として水銀灯ランプやメタルハライドランプその他のランプ類を使用した場合と比較して、フィルタ等の装備のために紫外線照射装置が大型化することを回避でき、また、フィルタによる吸収で出射された紫外線強度が低下することがなく、効率良く、紫外線硬化型インクの硬化を実施できる。
一方、紫外線光源から出射された紫外線をフィルタによって複数の波長が異なる紫外線に分離する構成とした場合には、フィルタで紫外線の波長を調整できることから、紫外線光源の選択自由度が高い。したがって、例えば、紫外線硬化型のカラーインクに含有される発色用の色材(顔料又は染料)によって吸収する紫外線の波長域や、硬化温度等が相異する場合、そのインクの物性に適した波長域や発熱温度の紫外線光源を選択することで、より効率良く、紫外線の照射によるインクの硬化処理を実現できる。
また、本発明の上記目的は、上記紫外線照射装置を備えた記録装置により達成される。
このような構成の記録装置によれば、例えばインクの粘度が低く、インク膜の膜厚が比較的薄い多色印刷時にも、記録媒体上に付着された複数の紫外線硬化型インクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、良好に記録を行うことができる。
また、本発明の上記目的は、複数の紫外線硬化型インクを用いて記録媒体上に多色印刷する記録方法であって、
記録ヘッドから前記記録媒体上に噴出された前記複数の紫外線硬化型インクを硬化する際、前記記録ヘッド近傍の前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線は、前記記録ヘッド近傍から離れた前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線よりも、波長が短い紫外線を照射することによって前記紫外線硬化型インクを硬化することを特徴とする記録方法によって達成される。
このような構成の記録方法によれば、例えばインクの粘度が低く、インク膜の膜厚が比較的薄い多色印刷時にも、記録媒体上に付着された複数の紫外線硬化型インクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、良好に記録を行うことができる。
以下、本発明に係る紫外線照射装置および該紫外線照射装置を用いた記録装置、並びに紫外線照射方法の実施形態の例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る紫外線照射装置を搭載したインクジェット式記録装置の斜視図である。
図1に示したインクジェットプリンタ(インクジェット式記録装置)20は、記録媒体である印刷用紙Pを副走査方向SSに送る紙送りモータ30と、プラテン40と、紫外線硬化型インクを微少粒径にしてヘッドノズルから噴射して印刷用紙Pに付着させる記録ヘッドとしての印刷ヘッド52と、この印刷ヘッド52を搭載したキャリッジ50と、キャリッジ50を主走査方向MSに移動させるキャリッジモータ60と、印刷ヘッド52によって紫外線硬化型インクを付着させた印刷用紙P上のインク付着面に紫外線を照射する一対の紫外線照射装置90A、90Bとを備えている。
キャリッジ50は、キャリッジモータ60に駆動される牽引ベルト62によって牽引され、ガイドレール64に沿って移動する。
図1に示した印刷ヘッド52は、3色以上のインクを噴射するフルカラー印刷用の所謂シリアル型ヘッドであり、各色毎に多数のヘッドノズルが備えられている。この印刷ヘッド52が搭載されるキャリッジ50には、上記の印刷ヘッド52の他に、印刷ヘッド52に供給される黒色インクを収容したブラックインク容器としてのブラックカートリッジ54と、印刷ヘッド52に供給されるカラーインクを収容したカラーインク容器としてのカラーインクカートリッジ56とが搭載されている。
各カートリッジ54,56に収容されているインクは、所謂紫外線硬化型インクである。
キャリッジ50のホームポジション(図1の右側の位置)には、停止時に印刷ヘッド52のノズル面を密閉するためのキャッピング装置80が設けられている。印刷ジョブが終了してキャリッジ50がこのキャッピング装置80の上まで到達すると、図示しない機構によってキャッピング装置80が自動的に上昇して、印刷ヘッド52のノズル面を密閉する。このキャッピングにより、ノズル内のインクの乾燥が防止される。キャリッジ50の位置決め制御は、例えば、このキャッピング装置80の位置にキャリッジ50を正確に位置決めするために行われる。
図2は図1に示した紫外線照射装置90A(図2の190Aに相当),90B(図2の190Bに相当)の正面図、図3は図2のA−A矢視図である。
紫外線照射装置190A,190Bは、図1乃至図3に示すように、キャリッジ50の移動方向に沿った両側端にそれぞれ取り付けられている。
図2に示すように、印刷ヘッド52の向かって左側に取り付けられた紫外線照射装置190Aは、キャリッジ50が右方向(図2の矢印B方向)に移動する右走査時に、印刷用紙P上に吐出されたインク膜196に対して紫外線照射を行う。一方、印刷ヘッド52の向かって右側に取り付けられた紫外線照射装置190Bは、キャリッジ50が左方向(図2の矢印C方向)に移動する左走査時に、印刷用紙P上に吐出されたインク膜196に対して紫外線照射を行う。
各紫外線照射装置190A、190Bは、キャリッジ50に取り付けられて、出射する紫外線の波長が異なる2種の紫外線光源192,193をそれぞれ複数個ずつ整列支持した筐体194と、各紫外線光源192,193の発光及び消灯を制御する不図示の光源制御回路とを備えている。
各紫外線照射装置190A、190Bに装備される紫外線光源192は、360nm程度の波長が短い紫外線を出射する短波長用光源であり、紫外線光源193は、紫外線光源192よりも波長が長い390nm程度の紫外線を出射する長波長用光源である。
本第1実施形態の場合、各紫外線照射装置190A、190Bには、これら2種の紫外線光源192,193が、それぞれ2個ずつ配置されている。
また、これら2種の紫外線光源192,193は、図2及び図3に示すように、出射する紫外線の波長が短い紫外線光源192が、波長の長い紫外線光源193より印刷ヘッド52に近い位置に配置されるように、複数個の紫外線光源192,193が、キャリッジ50の移動方向(図2の矢印B又は矢印C方向)に沿って印刷ヘッド52からの離間距離L11,L12(但し、L11<L12)を有する複数の取り付け位置S11,S12に装備されている。
更に、各紫外線光源192,193の発光及び消灯を制御する不図示の光源制御回路は、紫外線光源192が出射する波長の短い紫外線が、紫外線光源193の出射する波長の長い紫外線よりも先に、印刷用紙P上に付着したインク膜196に照射されるように、各紫外線光源192,193の発光タイミングを制御する。
また、本第1実施形態の場合、各紫外線光源192,193には、LED又はLDのいずれかが使用される。そこで、フィルタ等を使用せずとも、光源単体で短波長及び長波長の紫外線光源をそれぞれ用意できる。そこで、例えば紫外線光源として水銀灯ランプやメタルハライドランプその他のランプ類を使用した場合と比較して、フィルタ等の装備のために紫外線照射装置が大型化することを回避でき、また、フィルタによる吸収で出射された紫外線強度が低下することがなく、効率良く、紫外線硬化型インクの硬化を実施できる。
尚、筐体194に搭載する紫外線光源の選択は、筐体194に搭載可能な許容寸法や、印刷ヘッド52周囲の許容温度等を考慮して行われるので、LED又はLDに限らず、水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ及びエキシマランプから適宜選択した紫外線光源を使用することもできる。
即ち、紫外線硬化型のカラーインクに含有される発色用の色材(顔料又は染料)によって吸収する紫外線の波長域や、硬化温度等が相異する場合、そのインクの物性に適した波長域や発熱温度の紫外線光源を選択することで、より効率良く、紫外線照射によるインクの硬化処理を実現できる。
以上に説明した紫外線照射装置190A、190Bによれば、図2に示すように、印刷ヘッド52からの噴射で記録媒体である印刷用紙P上に付着させたインク膜196に対して、先ず、印刷ヘッド52近傍の印刷用紙P上を照射する紫外線光源192により波長の短い紫外線192aが照射され、大きなエネルギーでインク膜196の表面を硬化させる。その後、キャリッジ50を移動しながら、印刷ヘッド52近傍からキャリッジ50の移動方向に沿って離れた印刷用紙P上を照射する紫外線光源193により波長の長い紫外線193aがインク膜196に対して照射され、インク膜196の内奥を硬化させる。
そこで、本実施形態のようにインクの粘度が低く、インク膜の膜厚が比較的薄いフルカラー印刷時にも、紫外線照射装置190A、190Bは印刷用紙P上に付着された複数の紫外線硬化型インクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、良好に硬化させることができる。
尚、本発明に係る紫外線照射装置の構成は、上記実施形態における記録ヘッド、キャリッジ及び紫外線光源等の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうることは云うまでもない。
例えば、上記実施形態では、出射する紫外線の波長が異なる紫外線光源として、2つの紫外線光源192,193を装備したが、出射する紫外線の波長が異なる3種以上の紫外線光源を使用するようにしても良い。その場合には、印刷ヘッド52からの離間距離が遠くなるほど、出射する紫外線の波長が順次長くなるように、各紫外線光源を配置すると良い。
また、上記実施形態においては、波長が短い紫外線192aを出射する紫外線光源192を波長が長い紫外線193aを出射する紫外線光源193よりも印刷ヘッド52に近い位置に配置することにより、印刷ヘッド52近傍の印刷用紙P上を照射する紫外線光源の紫外線が、印刷ヘッド52近傍からキャリッジ50の移動方向に沿って離れた印刷用紙P上を照射する紫外線光源の紫外線よりも、波長が短くなるように構成したが、紫外線光源192と紫外線光源193とをそれぞれ印刷ヘッド52から等距離に配置したり、紫外線光源193を紫外線光源192よりも印刷ヘッド52に近い位置に配置したりすることも可能である。即ち、紫外線光源192の紫外線192aが印刷ヘッド52近傍の印刷用紙P上を照射し、紫外線光源193の紫外線193aが印刷ヘッド52から離れた印刷用紙P上を照射するように、紫外線光源192,193の照射方向をそれぞれ設定すれば、紫外線光源192,193の取り付け位置は適宜変更することができる。
また、上記実施形態においては、記録媒体上に紫外線硬化型インクを噴射する印刷ヘッド52として、所謂シリアル型ヘッドを用いたが、本発明の記録ヘッドはこれに限定されるものではない。
次に、本発明の第2実施形態に係る紫外線照射装置を搭載したインクジェット記録装置を説明する。
図4に示した本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタ(インクジェット式記録装置)1は、記録媒体である印刷用紙Pを図示しない用紙トレーから給紙するための給紙ローラ2と、印刷用紙Pを搬送するための搬送ローラ3と、搬送ローラ3と対向して設けられた従動ローラ4と、印刷用紙Pを支持するためのプラテン5と、プラテン5に対向して設けられた記録ヘッドとしての印刷ヘッド6と、印刷ヘッド6によって紫外線硬化型インクを付着させた印刷用紙P上のインク付着面に紫外線を照射する紫外線照射装置7とを備えている。
図5に示すように、印刷ヘッド6は、プラテン5と対応する側に複数のヘッドモジュール10A〜10Dを備えたライン型ヘッドである。また、各ヘッドモジュール10A〜10Dは、用紙幅方向(X軸方向)に沿って4列のライン配列をなすように形成されたノズル11と、ノズル11の個々と連通する液室と、当該液室内に圧力を発生させる圧電素子(図示せず)とを有している。
そして、ヘッドモジュール10A〜10Dは、図示しないインク供給手段から供給されたブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクを、それぞれライン配列ごとのノズル11から吐出し、フルカラー印刷を行うようになっている。
図5において、紫外線照射装置17(図4に示す紫外線照射装置7に相当)に装備される紫外線光源18は、360nm程度の波長が短い紫外線を出射する短波長用光源であり、紫外線光源19は、紫外線光源18よりも波長が長い390nm程度の紫外線を出射する長波長用光源である。
これら2種の紫外線光源18,19は、図5及び図6に示すように、出射する紫外線の波長が短い紫外線光源18が、波長の長い紫外線光源19より印刷ヘッド6に近い位置に配置されるように、2本の紫外線光源18,19が、印刷用紙Pの搬送方向(図6の矢印D方向)に沿って印刷ヘッド6の中心からの離間距離L11,L12(但し、L11<L12)を有する複数の取り付け位置S11,S12に装備されている。
更に、各紫外線光源18,19の発光及び消灯を制御する不図示の光源制御回路は、紫外線光源18が出射する波長の短い紫外線が、紫外線光源19の出射する波長の長い紫外線よりも先に、印刷用紙P上に付着したインク膜196に照射されるように、各紫外線光源18,19の発光タイミングを制御する。
また、本実施形態の場合、各紫外線光源18,19には、用紙幅方向に長尺な水銀灯ランプやメタルハライドランプその他のランプ類が使用され、印刷用紙P上に付着したインク膜196を用紙幅方向に沿って均一に硬化させる。
尚、筐体34に搭載する紫外線光源の選択は、筐体34に搭載可能な許容寸法や、印刷ヘッド6周囲の許容温度等を考慮して行われるので、水銀灯ランプやメタルハライドランプその他のランプ類に限らず、LED又はLD等の紫外線光源を使用することもできる。
即ち、紫外線硬化型のカラーインクに含有される発色用の色材(顔料又は染料)によって吸収する紫外線の波長域や、硬化温度等が相異する場合、そのインクの物性に適した波長域や発熱温度の紫外線光源を選択することで、より効率良く、紫外線照射によるインクの硬化処理を実現できる。
以上に説明した紫外線照射装置17によれば、図6に示すように、印刷ヘッド6の複数のヘッドモジュール10A〜10Dからの噴射で記録媒体である印刷用紙P上に付着させたインク膜196に対して、先ず、印刷ヘッド6近傍の印刷用紙P上を照射する紫外線光源18により波長の短い紫外線18aが照射され、大きなエネルギーでインク膜196の表面を硬化させる。その後、印刷用紙Pを送りながら、印刷ヘッド6近傍から刷用紙Pの送り方向(Y軸方向)に沿って離れた印刷用紙P上を照射する紫外線光源19により波長の長い紫外線19aがインク膜196に対して照射され、インク膜196の内奥を硬化させる。
そこで、本実施形態のようにインクの粘度が低く、インク膜の膜厚が比較的薄いフルカラー印刷時にも、紫外線照射装置17は印刷用紙P上に付着された複数の紫外線硬化型インクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、良好に硬化させることができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る紫外線照射装置を搭載したインクジェット記録装置を説明する。
本第3実施形態は、上記で説明した図1において、紫外線照射装置90A、90Bとして図7に示す紫外線照射装置290A、290Bを搭載した以外は、上記で説明した第1実施形態と同様である。
各紫外線照射装置290A,290Bは、図7に示すように、出射する紫外線の波長域が広い紫外線光源291と、キャリッジ50に取り付けられて前記紫外線光源291を印刷ヘッド52から所定の離間距離に支持する筐体293と、該紫外線光源291から出射された広波長域の紫外線UVslを長波長の紫外線UVlと短波長の紫外線UVsとに分離する2つのフィルタF1,F2と、紫外線光源291から出射された広波長域の紫外線UVslを2つのフィルタF1,F2に向けて反射する反射機構294と、紫外線光源291の発光及び消灯を制御する不図示の光源制御回路とを備えた構成である。
紫外線光源291としては、出射する紫外線の波長域が広い水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の内から選択した少なくとも一つが使用されることが望ましい。
特定の波長を優先的に透過させるフィルタである2つのフィルタF1,F2の内、一方のフィルタF1は、広波長域の紫外線UVslの照射を受けると、390nm程度の長波長の紫外線のみ透過させる長波長フィルタである。また、他方のフィルタF2は、広波長域の紫外線UVslの照射を受けると、300nm以下の短波長の紫外線のみ透過させる短波長フィルタである。
本実施形態の場合、紫外線を波長が異なる複数の紫外線に分離する手段としての2つのフィルタF1,F2は、いずれも、紫外線光源291と印刷用紙Pとの間に配置されるが、印刷ヘッド52近傍側にフィルタF2を配設すると共に、印刷ヘッド52近傍からキャリッジ50の移動方向に沿って離れた側にフィルタF1を併設している。即ち、これらフィルタF1,F2は、図7に示すように、短波長フィルタであるフィルタF2が、長波長フィルタであるフィルタF1より印刷ヘッド6に近い位置に配置されるように、2つのフィルタF1,F2が、キャリッジ50の走査方向(図7の矢印MS1又はMS2方向)に沿って印刷ヘッド6の中心からの離間距離L21,L22(但し、L21<L22)を有する複数の取り付け位置S21,S22に装備されている。
そのため、紫外線光源291から印刷用紙P上に照射される広波長域の紫外線UVslは、紫外線光源291と印刷用紙Pとの間に介在する各フィルタF1,F2により確実に波長分離され、波長の長い紫外線UVlが波長の短い紫外線UVsよりも先に印刷用紙P上のインクに照射される状態を得ることができる。
反射機構294は、フィルタF1,F2と対向する位置に配置され、紫外線光源291から出射された紫外線を各フィルタF1,F2側に反射する。
この反射機構294の反射面294aは、例えば、紫外線光源291の発光中心を焦点とする放物曲面に形成されており、紫外線光源291から入射した紫外線を放物曲面の軸線に平行に反射して、各フィルタF1,F2に入射させる。
以上の構成により、印刷用紙P上で印刷ヘッド52からの離間距離が所定未満となる近領域には、フィルタF1により分離した長波長の紫外線UVlを照射し、印刷ヘッド52からの離間距離が所定以上となる遠領域には、フィルタF2により分離した短波長の紫外線UVsを照射することができる。
本実施形態に係る紫外線照射装置290A,290Bでは、印刷ヘッド52からの噴射で印刷用紙P上に噴射されたインク膜296に対して、先ず、フィルタF2により分離された波長の短い紫外線UVsが印刷ヘッド52近傍の印刷用紙P上に照射され、大きなエネルギーでインク膜296の表面を硬化させる。その後、キャリッジ50を移動しながら、フィルタF1により分離された波長の長い紫外線UVlが印刷ヘッド52近傍から離れた印刷用紙P上に照射され、インク膜296の内奥を硬化させる。
そこで、本実施形態のようにインクの粘度が低く、インク膜の膜厚が比較的薄いフルカラー印刷時にも、紫外線照射装置290A,290Bは印刷用紙P上に付着された複数の紫外線硬化型インクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、良好に硬化させることができる。
更に、上記実施形態の紫外線照射装置290A,290Bでは、紫外線光源291を挟んでフィルタF1,F2と対向する位置に反射機構294を配置しており、紫外線光源291からフィルタF1,F2側とは反対側に出射された紫外線を反射機構294の反射面294aによって各フィルタF1,F2側に反射する。
そのため、紫外線光源291から前記各フィルタF1,F2側とは反対側に出射された紫外線も、反射機構294による反射によって各フィルタF1,F2側に戻され、紫外線硬化型インクの硬化用に活用されるため、紫外線光源291から出射される紫外線の利用効率が向上する。
また、本実施形態のように、反射機構294の反射面294aを、紫外線光源291の発光中心を焦点とする放物曲面とすることで、各フィルタF1,F2を透過する紫外線方向を揃えて、インクに照射される紫外線強度の均一化を図ることができ、紫外線照射によるインクの硬化性能を安定させることができる。
更に、上記実施形態の紫外線照射装置290A,290Bでは、紫外線光源291が、水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ又はエキシマランプから選択した少なくとも一つで良く、紫外線光源291の選択自由度が高いため、例えば、紫外線硬化型のカラーインクに含有される発色用の色材(顔料又は染料)によって吸収する紫外線の波長域や、硬化温度等が相異する場合、そのインクの物性に適した波長域や発熱温度の紫外線光源291を選択することで、より効率良く、紫外線の照射によるインクの硬化処理を実現できる。
また、いずれの紫外線光源291を使用した場合でも、上記のように紫外線光源291の出射した広波長域の紫外線UVslをフィルタF1,F2で長波長の紫外線UVlと短波長の紫外線UVsとに分離し、波長が短い紫外線UVsを先にインクに照射することで、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、インクを良好に硬化させることができる。
尚、本発明に係る紫外線照射装置の構成は、上記実施形態における記録ヘッド、キャリッジ及び紫外線光源等の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうることは云うまでもない。
例えば、上記実施形態では、紫外線光源291の出射する紫外線を、長波長フィルタ及び短波長フィルタの2種のフィルタF1,F2を使って、長短2種類の紫外線に分離したが、紫外線硬化型インクの特性によっては、3種以上のフィルタを使って、波長の異なる3種以上の特定波長の紫外線に分離し、波長の短い紫外線から順に、印刷用紙P上のインクに照射するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、記録媒体上に紫外線硬化型インクを噴射する印刷ヘッド52として、所謂シリアル型ヘッドを用いたが、本発明の記録ヘッドはこれに限定されるものではない。
以下、本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタ(インクジェット式記録装置)について説明する。
本第4実施形態は、上記で説明した図4において、紫外線照射装置7として図8に示す紫外線照射装置27とする以外は、上記で説明した第2実施形態と同様である。
本実施形態において、紫外線照射装置27(図4の紫外線照射装置7に相当)は、図7乃至図9に示すように、印刷ヘッド6に対して排紙側に位置するように取り付けられている。本実施形態の紫外線照射装置27は、上記第3実施形態の紫外線照射装置290A、290Bと略同様の基本構成であるが、用紙幅方向に長尺に構成されており、印刷用紙P上に付着したインク膜296を用紙幅方向に沿って均一に硬化させることができる。
即ち、紫外線照射装置27は、出射する紫外線の波長域が広い紫外線光源291と、印刷ヘッド6に取り付けられて用紙幅方向に長尺な紫外線光源291を印刷ヘッド6から所定の離間距離に支持する筐体44と、該紫外線光源291から出射された広波長域の紫外線UVslを長波長の紫外線UVlと短波長の紫外線UVsとに分離する2つのフィルタF1,F2と、紫外線光源291から出射された広波長域の紫外線UVslを2つのフィルタF1,F2に向けて反射する反射機構294と、紫外線光源291の発光及び消灯を制御する不図示の光源制御回路とを備えた構成である。
紫外線を波長が異なる複数の紫外線に分離する手段であるこれらフィルタF1,F2は、図9に示すように、短波長フィルタであるフィルタF2が、長波長フィルタであるフィルタF1より印刷ヘッド6に近い位置に配置されるように、2つのフィルタF1,F2が、印刷用紙Pの搬送方向(図9の矢印D方向)に沿って印刷ヘッド6の中心からの離間距離L21,L22(但し、L21<L22)を有する複数の取り付け位置S21,S22に装備されている。
以上に説明した本実施形態に係る紫外線照射装置27によれば、図9に示すように、印刷ヘッド6の複数のヘッドモジュール10A〜10Dからの噴射で記録媒体である印刷用紙P上に付着させたインク膜296に対して、先ず、フィルタF2により分離された波長の短い紫外線UVsが印刷ヘッド6近傍の印刷用紙P上に照射され、大きなエネルギーでインク膜296の表面を硬化させる。その後、印刷用紙Pを送りながら、フィルタF1により分離された波長の長い紫外線UVlが印刷ヘッド6近傍から離れた印刷用紙P上に照射され、インク膜296の内奥を硬化させる。
そこで、本実施形態のようにインクの粘度が低く、インク膜の膜厚が比較的薄いフルカラー印刷時にも、紫外線照射装置27は印刷用紙P上に付着された複数の紫外線硬化型インクを、にじみや色混じりという不具合を招くことなく、良好に硬化させることができる。
尚、本発明の紫外線照射装置を装備する機器は、上記実施の形態に示したインクジェットプリンタに限らない。紫外線硬化型インクの塗布を行う各種の機器に搭載可能である。また、本発明の紫外線照射装置によって紫外線を照射する記録媒体の材質も、紙、フィルム、布、金属薄板等の各種のものが考えられる。
以下、本発明を具体例を挙げて詳細に説明するが、本発明は斯かる具体例によって限定されるものではない。
下記の各種紫外線硬化型インク組成物を調整した(尚、表1の数値は重量%を示す)。
Figure 2008188984
〔各インク組成物の調製〕
(顔料分散液の調製)
着色材としてC.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック)15重量%、モノマーとしてのアリルグリコール(日本乳化剤社製)加えて全体を100重量%とし、混合攪拌して混合物とした。この混合物を、サンドミル(安川製作所社製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。
その後ジルコニアビーズをセパレータで分離しブラック顔料分散液を得た。
以下同様にしてそれぞれの色に対応する顔料分散液、即ちシアン顔料分散液4(C.I.ピグメントブルー15:3)、マゼンタ顔料分散液(C.I.ピグメントヴァイオレット-19)、イエロー顔料分散液(C.I.ピグメントイエロー213)を調製した。
表1に示す組成(重量%)で各種添加物を混合し完全に溶解させた後、これに前記顔料分散液(ピグメントブラック−7,ピグメントブルー−15:3,ピグメントヴァイオレット−19,ピグメントイエロー −213)を攪拌しながら滴下した(滴下量は表1参照)。滴下終了後、常温で1時間混合攪拌し、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過して、各インク組成物を得た。
尚、表中で使用した添加物は下記の通りである。
アリルグリコール
(モノマー:日本乳化剤社製)
U−15HA
(ウレタン系オリゴマー:新中村化学工業(株)製)
Irgacure 819
(光重合開始剤:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
Irgacure 127
(光重合開始剤:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
BYK−UV3570
(界面活性剤:ビックケミー・ジャパン株式会社製)
Irgastab UV10
(熱ラジカル重合禁止剤:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
上記の紫外線硬化型インクをセイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタPX−G5000を利用して、それぞれのノズル列に充填して、常温・常圧下にPETフィルム上にインクのドット径が中ドットで印刷物の膜厚が2.5μmになるようなフルカラー(多色)の画像パターンを印刷した。また、印刷物を以下の照射条件にて硬化処理を行った。尚、キャリッジ横に搭載された紫外線照射装置内のUVLEDは以下の配置とした。
<照射条件>
(条件1)
記録ヘッド近傍に365nm波長の紫外線を、その外側に395nm波長の紫外線を照射強度が60mW/cmになるように配置。
(条件2)
記録ヘッド近傍に395nm波長の紫外線を、その外側に365nm波長の紫外線を照射強度が60mW/cmになるように配置。
<硬化状態評価>
硬化状態の指標は以下の通りである。
A:にじみや色混じりが無く硬化
B:にじみや色混じりが発生して硬化
Figure 2008188984
本発明によれば、インクの粘度が低く、インク膜の膜厚が比較的小さい多色印刷においても、にじみや色混じりが無く硬化することができた。
本発明の第1実施形態および第3実施形態に係る紫外線照射装置を搭載したインクジェット式記録装置の斜視図である。 図1に示した紫外線照射装置であって、本発明の第1実施形態に係る紫外線照射装置の正面図である。 図2のA−A矢視図である。 本発明の第2実施形態および第4実施形態に係る紫外線照射装置を搭載したインクジェット式記録装置の斜視図である。 図4に示した紫外線照射装置及び記録ヘッドであって、本発明の第2実施形態に係る紫外線照射装置及び記録ヘッドの平面図である。 図5に示した紫外線照射装置であって、本発明の第2実施形態に係る紫外線照射装置の正面図である。 図1に示した紫外線照射装置および記録ヘッドであって、本発明の第3実施形態に係る紫外線照射装置および記録ヘッドの概略断面図である。 図4に示した紫外線照射装置及び記録ヘッドであって、本発明の第4実施形態に係る紫外線照射装置及び記録ヘッドの平面図である。 図4に示した紫外線照射装置であって、本発明の第4実施形態に係る紫外線照射装置の正面図である。
符号の説明
20…インクジェットプリンタ(インクジェット式記録装置)、30…紙送りモータ、40…プラテン、50…キャリッジ、52…印刷ヘッド(記録ヘッド)、54…ブラックカートリッジ、56…カラーインクカートリッジ、60…キャリッジモータ、62…牽引ベルト、64…ガイドレール、80…キャッピング装置、90A(190A、290A),90B(190B、290B)…紫外線照射装置、192,193,291…紫外線光源、194,293…筐体、196、296…インク膜(インク)、P…印刷用紙(記録媒体)、294…反射機構、F1…フィルタ、F2…フィルタ

Claims (13)

  1. 記録ヘッドが記録媒体上に噴射した複数の紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射する紫外線光源を備えた紫外線照射装置であって、
    前記記録ヘッド近傍の前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線は、前記記録ヘッド近傍から離れた前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線よりも、波長が短いことを特徴とする紫外線照射装置。
  2. 前記紫外線照射装置が、複数の紫外線光源を備える紫外線照射装置であって、前記複数の紫外線光源が、前記記録ヘッド近傍に配置された短波長用光源と、該短波長用光源よりも前記記録ヘッドから離れて配置された長波長用光源と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
  3. 前記複数の紫外線光源は、前記記録ヘッド近傍から離れるにしたがって波長が順次長くなる紫外線を前記記録媒体上に照射することを特徴とする請求項1または2に記載の紫外線照射装置。
  4. 前記紫外線照射装置が、前記紫外線光源から出射された紫外線を波長が異なる複数の紫外線に分離する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
  5. 前記手段が、特定の波長を優先的に透過させるフィルタであることを特徴とする請求項4に記載の紫外線照射装置。
  6. 前記フィルタと対向する位置に反射機構が配置され、前記紫外線光源から出射された紫外線を前記各フィルタ側に反射することを特徴とする請求項5に記載の紫外線照射装置。
  7. 前記手段は、前記記録ヘッド近傍から離れるにしたがって透過させる波長が順次長くなるように紫外線を分離することを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の紫外線照射装置。
  8. 前記記録ヘッドが前記記録媒体の幅方向にわたって設けられたライン型ヘッドであり、
    前記記録ヘッド近傍の前記記録媒体上を照射する前記紫外線照射光源の紫外線が、前記記録ヘッド近傍から前記記録媒体の送り方向に沿って離れた前記記録媒体上を照射する前記紫外線照射光源の紫外線よりも、波長が短いことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の紫外線照射装置。
  9. 前記記録ヘッドがキャリッジに搭載されたヘッドであり、
    前記記録ヘッド近傍の前記記録媒体上を照射する前記紫外線照射光源の紫外線は、前記記録ヘッド近傍から前記キャリッジの移動方向に沿って離れた前記記録媒体上を照射する前記紫外線照射光源の紫外線よりも、波長が短いことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の紫外線照射装置。
  10. 前記紫外線照射装置が、前記キャリッジの移動方向に沿った両側端に設けられることを特徴とする請求項9に記載の紫外線照射装置。
  11. 前記紫外線光源が、LED、LD、水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ又はエキシマランプから選択した少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の紫外線照射装置。
  12. 請求項1〜11の何れか1項に記載の紫外線照射装置を備えた記録装置。
  13. 複数の紫外線硬化型インクを用いて記録媒体上に多色印刷する記録方法であって、
    記録ヘッドから前記記録媒体上に噴出された前記複数の紫外線硬化型インクを硬化する際、前記記録ヘッド近傍の前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線は、前記記録ヘッド近傍から離れた前記記録媒体上を照射する前記紫外線光源の紫外線よりも、波長が短い紫外線を照射することによって前記紫外線硬化型インクを硬化することを特徴とする記録方法。
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