JP2008187766A - モータ及びインパクト回転工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータの小型化、軽量化を実現しながら、非常に簡便な構成にてモータの慣性モーメントを増加させる。
【解決手段】回転軸11及び回転軸11に固定された磁気回路部材14を有する回転子15と、磁気回路を有する固定子19と、回転軸11に固定された冷却ファン30とを備え、冷却ファン30は、主面31sを回転軸11の回転方向へ向け、回転軸11を中心として放射状に回転子15の磁気回路部材14外形よりも大きくなるように延びた複数枚の羽31Aを有し、冷却ファン30の複数枚の羽31Aの密度を、冷却ファン30を回転軸11に固定させる内周部31Bに対して増加させることで実現する。
【選択図】図4

Description

本発明は、モータの小型化と回転子の充分な慣性モーメントの確保とを実現するモータ及びそのモータを搭載したインパクト回転工具に関する。
磁石の高性能化や工法革新に伴い、モータの小型化、軽量化が促進されている。例えば、モータにより回転されるハンマにより、回転方向への打撃(インパクト)を与えることにより得られる衝撃トルクで先端に取り付けられたビットを回転させ、ボルトやナット、あるいはネジなどの締め付け作業に用いるインパクト回転工具においても、ユーザの使用感を高めるために、上述したような小型化、軽量化されたモータを搭載することが要求されている。
しかしながら、モータの小型化、軽量化を実現しようとした場合、モータにおいて大きな重量を占める回転子の鉄心部分を小型化して軽量化することが求められてしまう。この鉄心部分を軽量化すると回転子の質量が減少したことにより、回転子の慣性モーメントが減少してしまうことになる。したがって、上述したようなインパクト回転工具に、小型化、軽量化を優先して慣性モーメントを減少させてしまったモータを搭載すると、大きな衝撃トルクを得ることができないため、工具としての性能を低下させてしまうといった問題があった。
そこで、モータに装備された冷却ファンに着目し、冷却ファンの寸法を変えることで慣性モーメントを増大させる手法が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開昭63−305733号公報
しかしながら、特許文献1で開示されている手法では、冷却ファンのファン支持主板、側板の径寸法、ないしその厚さ寸法を変えることで慣性モーメントを増大調整するようにしているため、冷却ファン自体の寸法を変えるという大幅な設計変更を強いられるため構造の複雑化、設計工程の長期化、長期化にともなう製造コストの増大などを招来してしまうといった問題がある。
そこで、本発明は、上述したような問題を解決するために案出されたものであり、モータの小型化、軽量化を実現しながら、非常に簡便な構成にてモータの慣性モーメントを増加させることができるモータ及びそのモータを搭載したインパクト回転工具を提供することを目的とする。
本発明のモータは、回転軸及び前記回転軸に固定された磁気回路部材を有する回転子と、磁気回路を有する固定子と、前記回転軸に固定された冷却ファンとを備え、前記冷却ファンは、主面を前記回転軸の回転方向へ向け、前記回転軸を中心として放射状に前記回転子の磁気回路部材外形よりも大きくなるように延びた複数枚の羽を有し、前記冷却ファンの複数枚の羽の密度を、前記冷却ファンを回転軸に固定させる内周部に対して増加させることで、上述の課題を解決する。
また、本発明のモータは、前記冷却ファンの複数枚の羽の密度を、それぞれ前記冷却ファンの中心から外周へ向かう方向に増加させることで、上述の課題を解決する。
また、本発明のモータは、前記冷却ファンが、一体成形された前記複数枚の羽と前記複数枚の羽を保持する保持部とを、前記内周部に固定させてなり、一体成形する前記複数枚の羽と前記保持部とを、前記内周部を形成する材料よりも密度の高い材料により形成することで、上述の課題を解決する。
本発明のインパクト回転工具は、主動側回動部材と従動側回動部材とを有し、前記従動側回動部材に加わる負荷トルクが小さい状態では、前記主動側回動部材と前記従動側回動部材とが一体化して回動し、負荷トルクが大きくなると前記主動側回動部材と前記従動側回動部材とが一旦分離した後、復帰手段によって再び一体化されるように構成され、前記復帰手段によって再び一体化される際に、前記主動側回動部材から前記従動側回動部材に対して、主動側回動部材の回動に伴う慣性力によって衝撃的に駆動トルクを印加するインパクト回転工具において、前記主動側回動部材を回動させる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモータを搭載することで、上述の課題を解決する。
本発明によれば、モータの回転子の磁気回路部材の外形よりも大きくなるように延びた冷却ファンが有する複数枚の羽の密度を内周部に対して増加させることで、磁気回路部材の鉄心の質量を増す場合と比較して小さい質量で、つまり、モータを小型化、軽量化したまま慣性モーメントを容易に増加することを可能とする。
また、本発明によれば、冷却ファンにおいて、半径が大きい部分、つまり、複数枚の羽の先端である外周へ向かうほど質量が増加するため、冷却ファンを同体積としながら慣性モーメントのさらなる向上を図ることができる。
また、本発明によれば、冷却ファンにおいて、半径が大きい部分、つまり、保持部と一体成型された複数枚の羽側ほど質量が増加するため、冷却ファンを同体積としながら慣性モーメントのさらなる向上を図ることができる。
さらに、本発明によれば、小型化、軽量化を実現しながら、非常に簡便な構成にて慣性モーメントを増加させたモータをインパクト回転工具に搭載することができる。したがって、インパクト回転工具自体も小型化、軽量化されることでユーザの使用感を高めるとともに、充分な衝撃トルクを与えることができ、工具としての高い性能を発揮することを可能とする。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態として示すインパクト回転工具1について説明をする。図1は、インパクト回転工具1の主要構成部を示した透過図である。
図1に示すように、インパクト回転工具1は、主要構成部を搭載した工具本体部2と、工具本体部2へ電源供給する充電池を搭載したバッテリ部3からなる。工具本体部2は、モータ本体10と、モータ本体10を冷却する冷却ファン30と、減速機40と、衝撃トルク発生機構であるインパクトブロック50と、ビット60とを備えている。インパクト回転工具1は、トリガスイッチ4を引くことで、バッテリ部3からモータ本体10へと電源が供給されモータ本体10を回転させる。そして、モータ本体10の回転力が、回転軸11を介して減速機40で適当な速度に減速された後、インパクトブロック50にて衝撃トルクに変換されてビット60に伝達されてネジ締めトルクとなる。
ここで、衝撃トルク発生機構であるインパクトブロック50について説明をする。衝撃トルク発生機構は、基本的には、主動側回動部材と従動側回動部材とを有し、従動側回動部材に加わる負荷トルクが小さい状態では、主動側回動部材と従動側回動部材とが一体化して回動し、負荷トルクが大きくなると主動側回動部材と従動側回動部材とが一旦分離した後、復帰手段によって再び一体化されるように構成され、復帰手段によって再び一体化される際に、主動側回動部材から従動側回動部材に対して、主動側回動部材の回動に伴う慣性力によって衝撃的に駆動トルクを印加する機構である。
図1に示すインパクト回転工具1のインパクトブロック50は、上述した主動側回動部材としてハンマ51を、従動側回動部材としてアンビル52を、復帰手段としてスプリングを用いた構成となっている。
図2(a)に示すように、ハンマ51は、出力軸55側の面に突出した打撃部51aを備えた略円筒形状の部材であり、図示しない鋼球を内包したカム機構を介して駆動軸54に回転自在に外嵌している。ハンマ51は、このカム機構により駆動軸54に対し、相対的な軸方向の移動及び軸周り方向の移動が規制されている。図2(a)に示すように、ハンマ51は、バネ53により出力軸55側に付勢されている。
図2(a)に示すように、アンビル52は、出力軸55と連結された輪状の基部52aと、基部52aから外周側に突出する被打撃部52bとを備えた部材であり、通常時、軸方向において、この被打撃部52bがハンマ51の打撃部51aと重なる位置に配設されている。これにより、ハンマ51が回転した際、ハンマ51の打撃部51aがアンビル52の被打撃部52bを打撃することで衝撃トルクを発生させる。
図2(b)に示すように、ボルトやナットなどが装着される出力軸55側の負荷(トルク)が小さい状態では、駆動軸54の回転力が、図示しないカム機構を介してハンマ51に伝達され、さらにハンマ51の打撃部51aとアンビル52の被打撃部52bとの係合を介して出力軸55に伝達される。
図2(c)に示すように、出力軸55にかかる負荷が大きくなると、ハンマ51が駆動軸54に対して相対的に回転し、このとき図示しないカム機構の誘導によりハンマ51がバネ53の付勢力に抗してモータ本体10側に移動(後退)し、ハンマ51の打撃部51aとアンビル52の被打撃部52bとの係合が外れる。そして、打撃部51aが、被打撃部52bを乗り越えると、バネ53の付勢力によってハンマ51が図示しないカム機構の誘導により出力軸55側に移動する。
その後、図2(d)に示すように、ハンマ51の回転により再びハンマ51の打撃部51aがアンビル52の被打撃部52bに衝撃的に係合し、この被打撃部52bに回転方向の衝撃を与える。衝撃トルク発生機構であるインパクトブロック50は、以上のような動作を繰り返すことで、衝撃トルクをビット60に伝達する。
このように、インパクトブロック50として、ハンマ51、アンビル52を用いるタイプを採用しているが、本発明はこれに限定されることなく、衝撃トルク発生機構として、例えば、磁力や摩擦力を利用するタイプ、ねじ機構を用いるタイプなど様々なタイプの衝撃トルク発生機構を利用することができる。
続いて、図3、図4を用いて、モータ本体10と冷却ファン30とからなるモータについて説明をする。図3は、モータ本体10と冷却ファン30とからなるモータの全体像を示した斜視図であり、図4は、図3に示す回転軸11の中心を通過するように切断した縦断面図である。
図3、図4に示すように、モータ本体10は、いわゆるブラシレスモータであり回転子15と、固定子19とを備えている。
回転子15は、回転軸11と、回転軸11に接着または圧入などにより固定された鉄心12及びこの鉄心12内に挿入され磁界を発生する永久磁石13とからなる磁気回路部材14とを備えている。回転子15は、回転軸11の軸受けであるボールベアリング20A、20Bにより回転軸11周りに回転自在に保持される。回転子15近傍には、回転子15の位置を検出するための図示しないホール素子が設けられている。
固定子19は、鉄心16と、鉄心16にコイル枠17を介して巻回した複数のコイル18とを備えている。この鉄心16と、コイル18とによって固定子19には、磁気回路が形成される。
このようなモータ本体10は、図示しない制御回路によって、図示しないホール素子からの位置検出信号に基づいて、固定子19のコイル18への通電をスイッチング制御することにより、回転子15の回転角度に応じた連続的なトルクを発生するように回転子15を回転させる。
なお、上述したようにモータ本体10は、ブラシレスモータであるが、本発明は、このようなモータの種別に限定されるものではない。
続いて、冷却ファン30について説明をする。図4に示すように冷却ファン30は、回転子15の回転軸11に接着または圧入などにより固定されており、回転子15とともに回転軸11周りに回転自在に保持されており、回転子15に伴って回転することで、回転子15の磁気回路部材14や固定子19を冷却する。
図3、図4に示すように、冷却ファン30は、主面31sを回転軸11の回転方向へと向け、回転軸11と固定されている内周部31Bから回転軸11を中心に放射状に延びた複数枚の羽31Aを有している。図3、図4に示すように、この羽31Aは、回転子15の磁気回路部材14の外形形状よりも大きくなるように延びている。
このような形状の複数枚の羽31Aを有する冷却ファン30が回転すると、図5の矢印Aで示すように空気が流れる。具体的には、冷却ファン30が回転すると、回転軸11に沿って磁気回路部材14を通過するように空気を引き込み、最終的に、冷却ファン30の外周方向へ向けて吐き出すような空気の流れを引き起こす。このような空気の流れを引き起こすことで、回転子15の磁気回路部材14や固定子19を冷却した空気を、インパクト回転工具1の筐体外へと容易に排出することができる。
図6(a)、(b)は、図4で示した冷却ファン30を正面方向から視認した概略正面図と、側面方向から視認した概略側面図である。
冷却ファン30は、複数枚の羽31Aの密度を内周部31Bに対して増加するように形成する。具体的には、内周部31Bを樹脂(例えば、ポリアミド(ナイロン)、約1.1g/cm)などで形成し、羽31Aをこの材料よりも密度の高い材料(例えば、タングステン、約19.1g/cm)の粉状物、または粒状物を樹脂内に含有させて形成する。これにより、図6(a)に示すAA線で切断した冷却ファン30の密度は、図6(c)に示すような階段状の密度曲線となる。
一般に、慣性モーメントは、質量×半径の2乗で表される。したがって、モータ本体10の回転子15の磁気回路部材14の外形よりも大きくなるように延びた冷却ファン30が有する複数枚の羽31Aの密度を内周部31Bに対して増加させることで、磁気回路部材14の鉄心12の質量を増す場合と比較して小さい質量で、つまり、モータ本体10を小型化、軽量化したまま慣性モーメントを容易に増加することができる。また、冷却ファン30は、上述したように樹脂ばかりではなく、アルミなどの金属などで形成するようにしてもよい。
また、冷却ファン30は、冷却ファン30の複数枚の羽31Aの密度を冷却ファン30の中心から外周へ向かう方向に増加させるように形成するようにしてもよい。具体的には、冷却ファン30を上述した樹脂(ポリアミド(ナイロン)、約1.1g/cm)で形成する場合に、この材料よりも密度の高い材料(例えば、タングステン、約19.1g/cm)の粉状物、または粒状物を樹脂内に含有させる。このとき、例えば、図7(a)に示すAA線で切断した冷却ファン30の密度が、図7(b)に示すような密度曲線となるように、冷却ファン30の複数枚の羽31Aに含有させる粉状物、または粒状物を冷却ファン30の外周へ向かうほど増加させる。
これにより、冷却ファン30において、半径が大きい部分、つまり、複数枚の羽31Aの先端である外周へ向かうほど質量が増加するため、冷却ファン30を同体積としながら慣性モーメントのさらなる向上を図ることができる。
また、図8に示すように、複数枚の羽31Aと、この羽31Aを保持する保持部31Cとを一体成形し、内周部31Bに圧入、または接着により固定させて冷却ファン30を形成することもできる。この場合、一体成形する複数枚の羽31Aと保持部31Cとを、内周部31Bを形成する材料よりも密度の高い材料により形成する。
これにより、冷却ファン30において、半径が大きい部分、つまり、保持部31Cと一体成型された複数枚の羽31A側ほど質量が増加するため、冷却ファン30を同体積としながら慣性モーメントのさらなる向上を図ることができる。
このように、本発明の実施の形態として示すインパクト回転工具1は、小型化、軽量化を実現しながら、非常に簡便な構成にて慣性モーメントを増加させたモータを搭載することができる。したがって、 インパクト回転工具1自体も小型化、軽量化されユーザの使用感を高めるとともに、充分な衝撃トルクを与えることができるため、工具としての高い性能を発揮することができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態として示すインパクト回転工具について説明するための図である。 衝撃トルク発生機構について説明するための図である。 モータ本体、冷却ファンについて説明するための斜視図である。 モータ本体、冷却ファンについて説明するための縦断面図である。 冷却ファンの回転による空気の流れを示した図である。 冷却ファンについて説明するための図である。 冷却ファンの別な構成について説明するための図である。 冷却ファンのさらに別な構成について説明するための図である。
符号の説明
1 インパクト回転工具
10 モータ本体
11 回転軸
12 鉄心
13 永久磁石
14 磁気回路部材
15 回転子
16 鉄心
17 コイル枠
18 コイル
19 固定子
30 冷却ファン
31A 羽
31B 内周部
31C 保持部
31s 主面

Claims (4)

  1. 回転軸及び前記回転軸に固定された磁気回路部材を有する回転子と、
    磁気回路を有する固定子と、
    前記回転軸に固定された冷却ファンとを備え、
    前記冷却ファンは、主面を前記回転軸の回転方向へ向け、前記回転軸を中心として放射状に前記回転子の磁気回路部材外形よりも大きくなるように延びた複数枚の羽を有し、
    前記冷却ファンの複数枚の羽の密度を、前記冷却ファンを回転軸に固定させる内周部に対して増加させること
    を特徴とするモータ。
  2. 前記冷却ファンの複数枚の羽の密度を、それぞれ前記冷却ファンの中心から外周へ向かう方向に増加させること
    を特徴とする請求項1記載のモータ。
  3. 前記冷却ファンは、一体成形された前記複数枚の羽と前記複数枚の羽を保持する保持部とを、前記内周部に固定させてなり、
    一体成形する前記複数枚の羽と前記保持部とを、前記内周部を形成する材料よりも密度の高い材料により形成すること
    を特徴とする請求項1記載のモータ。
  4. 主動側回動部材と従動側回動部材とを有し、
    前記従動側回動部材に加わる負荷トルクが小さい状態では、前記主動側回動部材と前記従動側回動部材とが一体化して回動し、負荷トルクが大きくなると前記主動側回動部材と前記従動側回動部材とが一旦分離した後、復帰手段によって再び一体化されるように構成され、
    前記復帰手段によって再び一体化される際に、前記主動側回動部材から前記従動側回動部材に対して、主動側回動部材の回動に伴う慣性力によって衝撃的に駆動トルクを印加するインパクト回転工具において、
    前記主動側回動部材を回動させる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモータを搭載したインパクト回転工具。
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