JP2020146768A - インパクト回転工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】インパクト回転工具における慣性モーメントを効果的に増加させる技術を提供する。【解決手段】モータ2は、ステータ4と、モータシャフト5が取り付けられたロータ3を有する。前端側軸受12は、モータシャフト5の前端側を支持する。後端側軸受13は、モータシャフト5の後端側を支持する。減速機6は、モータシャフト5の回転を減速して駆動軸7に伝達する。インパクト機構は、駆動軸7の回転力を利用して出力軸10に間欠的な回転衝撃力を発生させる。錘部材30は、モータシャフト5に取り付けられる。【選択図】図1

Description

本開示は、ボルトやナットなどのねじ部材を間欠的な回転衝撃力により締め付けるインパクト回転工具に関する。
特許文献1は、回転軸に固定された回転子と、固定子と、回転軸に固定された冷却ファンとを備えたモータであって、冷却ファンの複数の羽の密度を、冷却ファンを回転軸に対して固定させる内周部に対して増加させたモータを開示する。
特開2008−187766号公報
インパクト回転工具では、駆動軸の回転力を利用してハンマでアンビルを打撃し、出力軸に間欠的な回転衝撃力を発生させる。ハンマがアンビルを回転方向に打撃すると、その反力をモータが受けることでモータ回転速度は低下する。回転速度の低下が大きいと、モータを加速するために必要な電力が増加する。
取り扱いの容易さを実現するために、電動工具には軽量化、小型化が要求される。一方で、ハンマの回転打撃によるモータ回転速度低下を抑制するためには、慣性モーメントを増加させることが必要となる。そのため電動工具の軽量化、小型化の要求を満たしつつ、効果的に慣性モーメントを増加させることが望まれる。
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、インパクト回転工具における慣性モーメントを効果的に増加させる技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のインパクト回転工具は、ステータと、モータシャフトが取り付けられたロータを有するモータと、モータシャフトの前端側を支持する前端側軸受と、モータシャフトの後端側を支持する後端側軸受と、モータシャフトの回転を減速して駆動軸に伝達する減速機と、駆動軸の回転力を利用して出力軸に間欠的な回転衝撃力を発生させるインパクト機構と、モータシャフトに取り付けられる錘部材とを備える。
本開示によれば、インパクト回転工具における慣性モーメントを増加させる技術を提供できる。
実施例に係るインパクト回転工具の概略構成を示す図である。 錘部材の断面の例を示す図である。 錘部材の断面の別の例を示す図である。 モータ周辺の概略構成の別の例を示す図である。 モータ周辺の概略構成の別の例を示す図である。
図1は、本開示の実施例に係るインパクト回転工具1の概略構成を示す。インパクト回転工具1の側面視において、出力軸10が配置された側を工具前方、その反対側を工具後方と呼び、以下において「前」、「後」は、相対的な位置関係を表現するために使用される。
制御部20は、制御基板に搭載されるマイクロコンピュータなどにより実現され、電力をバッテリ21から供給される。工具前方側には、トリガスイッチである操作スイッチ11が配置され、制御部20は、ユーザによる操作スイッチ11の操作量に応じてモータ2の印加電力を制御し、モータ回転速度を調整する。
図1において断面視されるモータ2は、ハウジング14に固定されるステータ4と、モータシャフト5が取り付けられたロータ3を有する。前端側軸受12および後端側軸受13はハウジング14に固定され、前端側軸受12は、モータシャフト5の前端側を回転可能に支持し、後端側軸受13は、モータシャフト5の後端側を回転可能に支持する。
減速機6は、モータシャフト5の回転を所定の減速比で減速して、駆動軸7に伝達する。減速機6は、モータシャフト5に取り付けられたピニオンギヤに噛み合う遊星歯車機構であってよい。駆動軸7には、カム機構(図示せず)を介してハンマ8が連結される。ハンマ8は、ばね部材(図示せず)により出力軸10を備えるアンビル9に向けて付勢される。
駆動軸7の回転中、ハンマ8とアンビル9との間に所定値以上の負荷が作用しない間は、ハンマ8とアンビル9とが回転方向に係合し、ハンマ8は、駆動軸7の回転をアンビル9に伝達する。しかしながらハンマ8とアンビル9との間に所定値以上の負荷が作用すると、ハンマ8がカム機構によりばね部材に抗して後退し、ハンマ8とアンビル9との係合状態が解除される。その後、ばね部材による付勢とカム機構による誘導により、ハンマ8は回転しながら前進してアンビル9に回転方向の打撃を加える。インパクト回転工具1において、ばね部材、ハンマ8およびカム機構は、駆動軸7の回転力を利用してアンビル9および出力軸10に打撃衝撃を与えて、間欠的な回転衝撃力を発生させるインパクト機構を構成する。
ハンマ8がアンビル9を打撃したときに生じる反力を効率的に吸収するためには、慣性モーメントを増加させればよいが、一方で工具の軽量化および小型化を実現するために、質量増加分はできるだけ小さいことが好ましい。本開示者は、慣性エネルギが回転速度の2乗に比例することから、回転速度の大きな部材の重量を増加する方が、回転速度の小さな部材の質量を増加するよりも効果的に慣性エネルギを得られることを見いだした。このため実施例のインパクト回転工具1では、錘部材30が、減速機6により減速される前の回転軸、つまりモータシャフト5に取り付けられる。
実施例で錘部材30は、前端側軸受12とロータ3との間に配置される。錘部材30は回転軸を中心とした点対称形状を有し、円盤形状であってよい。錘部材30は、たとえば鉄系材料で形成されてよいが、鉄系材料よりも比重の大きい銅系材料で形成されてよい。
なお慣性モーメントを増やすためには、錘部材30の全てを比重の大きい材料で形成することが好ましいが、その分の重量は増加する。そこで錘部材30のうち、内側部分を相対的に比重の小さい材料で形成し、外側部分を相対的に比重の大きい材料で形成してもよい。
図2は、錘部材30の断面の例を示す。錘部材30において内側部分30aは、相対的に比重の小さい材料で形成され、外側部分30bは、相対的に比重の大きい材料で形成される。このように外側部分30bを相対的に比重の大きい材料で形成することで、慣性モーメントを効果的に大きくできる。
図3は、錘部材30の断面の別の例を示す。この錘部材30は、外周部分に軸方向に突き出した張り出し部30cを有し、内側部分よりも外側部分の厚みを大きくしている。これにより同じ質量で径方向の厚みを等しく揃えた場合と比較して、慣性モーメントを効果的に大きくできる。
錘部材30は、ステータ4の内径よりも小さい径を有し、錘部材30の少なくとも一部が、ステータ4の内側に配置されることが好ましい。図1に示す例では、錘部材30の全体が、ステータ4で囲まれる空間内に収容されている。これにより錘部材30を配置するスペースを別途設ける必要がなく、インパクト回転工具1の小型化に寄与する。
図4は、モータ周辺の概略構成の別の例を示す。錘部材31は、後端側軸受13とロータ3との間に配置される。錘部材31は、ステータ4の内径よりも小さい径を有し、錘部材31の一部が、ステータ4で囲まれる空間内に収容され、錘部材31の残りの部分はステータ4の後端から外側に出ている。このようにロータ3と後端側軸受13の間に存在する空きスペースに錘部材31を配置することで、インパクト回転工具1の小型化に寄与できる。
図5は、モータ周辺の概略構成のさらに別の例を示す。錘部材32は、ロータ3の後方側であって、後端側軸受13よりも後方側に配置される。錘部材32は、錘部材30および錘部材31と異なり、ステータ4の内側に配置される部分をもたない。そのため錘部材32は、ステータ4の内径よりも大きい径を有してよい。錘部材32は、錘部材31や錘部材32と同じ材料および同じ質量であっても、厚みを薄くして径を大きくすることで、大きな慣性モーメントを得られるようになる。
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
図4に一部がステータ4内に収容され、残りの部分がステータ4の端部から外側に出ている錘部材31を示したが、ステータ4に収容されない部分の径は、ステータ4の内径より大きくてよい。これにより慣性モーメントを効果的に増加させられる。なおモータシャフト5には、錘部材30、31、32の少なくとも2つが取り付けられてもよい。
本開示の態様の概要は、次の通りである。
本発明のある態様のインパクト回転工具(1)は、ステータ(4)と、モータシャフト(5)が取り付けられたロータ(3)を有するモータ(2)と、モータシャフト(5)の前端側を支持する前端側軸受(12)と、モータシャフト(5)の後端側を支持する後端側軸受(13)と、モータシャフト(5)の回転を減速して駆動軸(7)に伝達する減速機(6)と、駆動軸(7)の回転力を利用して出力軸(10)に間欠的な回転衝撃力を発生させるインパクト機構と、モータシャフト(5)に取り付けられる錘部材(30、31、32)とを備える。
錘部材(30、31)は、前端側軸受(12)または後端側軸受(13)と、ロータ(3)との間に配置されてよい。錘部材(30、31)は、ステータ(4)の内径よりも小さい径を有し、錘部材(30)の少なくとも一部が、ステータ(4)の内側に配置されてよい。また錘部材(31、32)は、ロータ(3)の後方側に配置されてよい。
1・・・インパクト回転工具、2・・・モータ、3・・・ロータ、4・・・ステータ、5・・・モータシャフト、6・・・減速機、7・・・駆動軸、8・・・ハンマ、9・・・アンビル、10・・・出力軸、11・・・操作スイッチ、12・・・前端側軸受、13・・・後端側軸受、14・・・ハウジング、20・・・制御部、21・・・バッテリ、30・・・錘部材、30a・・・内側部分、30b・・・外側部分、30c・・・張り出し部、31,32・・・錘部材。

Claims (4)

  1. ステータと、モータシャフトが取り付けられたロータを有するモータと、
    前記モータシャフトの前端側を支持する前端側軸受と、
    前記モータシャフトの後端側を支持する後端側軸受と、
    前記モータシャフトの回転を減速して駆動軸に伝達する減速機と、
    前記駆動軸の回転力を利用して出力軸に間欠的な回転衝撃力を発生させるインパクト機構と、
    前記モータシャフトに取り付けられる錘部材と、
    を備えるインパクト回転工具。
  2. 前記錘部材は、前記前端側軸受または前記後端側軸受と、前記ロータとの間に配置される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインパクト回転工具。
  3. 前記錘部材は、前記ステータの内径よりも小さい径を有し、前記錘部材の少なくとも一部が、前記ステータの内側に配置される、
    ことを特徴とする請求項2に記載のインパクト回転工具。
  4. 前記錘部材は、前記ロータの後方側に配置される、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインパクト回転工具。
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