JP2008185792A - 防眩性フィルムの製造方法、防眩性フィルム、それを用いた偏光板、及び表示装置 - Google Patents

防眩性フィルムの製造方法、防眩性フィルム、それを用いた偏光板、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ギラツキがなく、光学性能と密着性においてLot均一性の高い防眩性フィルム、それを用いた偏光板及び表示装置を提供することにある。
【解決手段】表面自由エネルギーが15〜35mN/mである透明基材上に、液滴付着による凸構造部を形成した後、該凸構造部を被覆するように透明樹脂層を形成する際、該凸構造部を形成する液滴が下記一般式(1)で表される環状アミド化合物または下記一般式(2)で表される環状エステル化合物と活性光線硬化型樹脂と溶媒とを少なくとも含んでなる防眩性フィルムの製造方法。
【化1】
Figure 2008185792

[式中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、かつXは、水素原子、または、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜6のアルキル基を表す]。
【化2】
Figure 2008185792

[式中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、かつXは、−CH2−または−O−を表す]。
【選択図】なし

Description

本発明は、防眩性フィルムの製造方法、防眩性フィルム、それを用いた偏光板及び表示装置に関し、ギラツキがなく、製造Lot間やLot内で均一な光学性能と物理性能を有する安定した防眩性フィルムの製造方法、該防眩性フィルム、それを用いた偏光板及び表示装置に関する。
近年、薄型軽量ノートパソコンや薄型大画面テレビの開発が進んでいる。それに伴って、液晶表示装置等の表示装置で用いられる偏光板の保護フィルムもますます薄膜化、大サイズ化、高性能化への要求が強くなってきている。また、視認性向上のために反射防止層を設けたり、また、写り込みを防いだり、ギラツキの少ない表示性能を得るために表面を凹凸にして反射光を散乱させる防眩層を付与した、コンピュータやワープロさらにテレビ等の液晶画像表示装置(液晶ディスプレイともいう)が多く使用されるようになってきた。
反射防止層や防眩層は用途に応じてさまざまな種類や性能の改良がなされ、これらの機能を有する種々の前面板を液晶ディスプレイの偏光子等に貼り合わせることで、ディスプレイに視認性向上のために反射防止機能または防眩機能等を付与する方法が用いられている。
防眩層は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置などの使用時に反射像の写り込みが気にならないようにするものであり、画像表示装置の前面板最表面に適切な微細凹凸構造を設けることによって、上記のような性質を持たせることができる。特許文献1には、インクジェット方式によって微細な凹凸構造を形成する生産性の高い防眩層の記載があるが、凸構造部のサイズによっては凹凸間ピッチが広くなりギラツキが目立つ場合がある。それを低減するためノズル径を小さくし液滴を小さくして凹凸間ピッチを狭くする手段はあるが、ノズル径を小さくするに従いインク液滴が射出されてから基材に着弾するまでに液滴同士が結合したり、所望の位置に着弾せず基材上で液滴同士が結合し、かえって凸サイズが大きくなってギラツキが劣化したり、ノズル先端が乾燥しやすくなり射出不良によって塗膜の一部に欠陥が発生したりする。特許文献2には、基材と防眩層を形成する塗布組成物の接触角を調整することでハジキ現象を利用して点状物の高さや大きさを制御し所望の防眩性を得る記載があるが、接触角調整だけでは、点状物の分布を制御することは難しく、製造Lot間やLot内で塗布方向や塗布の巾手方向に対して均一な光学性能得るには不十分である。又、オーバーコート層を設けて密着性を向上する記載があるが、凹凸形状と接触角と密着性の関係についての開示は一切ない。
特開2004−151642号公報 特開2003−26832号公報
従って本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は大画面サイズで高精細な画像に対してギラツキがなく、製造Lot間やLot内で均一な光学性能と密着性を有する安定な防眩性フィルムを提供し、更にそれを用いた偏光板及び表示装置を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.表面自由エネルギーが1〜15mN/mである透明基材上に、液滴を付着させて凸構造部を形成したのち、該凸構造部を被覆するように透明樹脂層を形成する防眩性フィルムの製造方法であって、該凸構造部を形成する液滴が下記一般式(1)で表される環状アミド化合物または下記一般式(2)で表される環状エステル化合物と活性光線硬化型樹脂と溶媒とを少なくとも含んでなることを特徴とする防眩性フィルムの製造方法。
Figure 2008185792
[式中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、かつXは、水素原子、または、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜6のアルキル基を表す]。
Figure 2008185792
[式中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、かつXは、−CH2−または−O−を表す]。
2.前記透明基材がフッ素系化合物またはシリコーン化合物を含有する紫外線硬化型樹脂を塗設した平滑なハードコートフィルムであることを特徴とする前記1に記載の防眩性フィルムの製造方法。
3.前記防眩性フィルムの製造方法において、輪郭要素曲線の平均長さ(Sm)を10〜35μmとすることを特徴とする前記1または2に記載の防眩性フィルムの製造方法。
4.前記凸構造部を形成する液滴が、沸点が140〜250℃、粘度が1〜15mPa・sである少なくとも1種の溶媒を60質量%以上含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
5.前記溶媒が下記の一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
一般式(3) R1−O−(Cx2x−O)n−R2
式中R1、R2は水素原子、アリール基、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基。炭化水素鎖は直鎖でも分岐していてもよい。但し、R1、R2の少なくとも一方は水素原子以外の置換基である。
n:1〜3の整数
x:2〜4の整数
6.前記凸構造部を被覆する透明樹脂層が、前記環状アミド化合物及び前記環状エステル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
7.前記凸構造部及び該凸構造部を被覆する透明樹脂層に含有される前記環状アミド化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びε−カプロラクタムからなる群より選択され、前記環状エステル化合物が、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、炭酸プロピレン、及び炭酸エチレンからなる群より選択されること化合物であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
8.前記凸構造部を被覆する透明樹脂層が、凸構造部長径且つ凸構造部高さより小さい粒子径を有する微粒子を含有することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
9.前記透明基材上に前記凸構造部及び前記透明樹脂層を形成した後、該透明樹脂層上に反射防止層を設けることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
10.前記1〜9のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法により製造したことを特徴とする防眩性フィルム。
11.前記10に記載の防眩性フィルムを用いることを特徴とする偏光板。
12.前記10に記載の防眩性フィルム、または前記11に記載の偏光板を用いることを特徴とする表示装置。
本発明により大画面でも高精細な画像に対してギラツキがなく、製造Lot間やLot内での光学性能や密着性の均一性が高く安定な防眩性フィルムを提供でき、更にそれを用いた偏光板及び表示装置を提供することができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、鋭意検討の結果、表面自由エネルギーを低下させる化合物を含み表面自由エネルギーが1〜15mN/mである透明基材上に、液滴を付着させて凸構造部を形成したのち、該凸構造部を被覆するように透明樹脂層を形成する防眩性フィルムの製造方法であって、該凸構造部を形成する液滴が前記一般式(1)で表される環状アミド化合物または前記一般式(2)で表される環状エステル化合物と活性光線硬化型樹脂と溶媒とを少なくとも含んでなる防眩性フィルムの製造方法により、ギラツキを抑え、製造Lot間やLot内において均一で安定な光学性能と物理性能を有する防眩性フィルムが得られることを見出したものである。
更に、驚くべきことに、特定の基材に特定の化合物を含有する活性光線硬化型の液滴を付着させたのち透明樹脂層で被覆することにより、顕著に微細な凹凸構造を形成しギラツキを抑え、製造Lot内での塗布方向及び塗布の巾手方向での光学特性や密着性の均一性を著しく向上できることを見出したものである。
このような効果が発現される機構については、以下のように考察される。
基材の表面エネルギーを低下させると該基材に液滴が付着する際、液滴が小サイズ化し微細な凸構造部を形成する。同時に該液滴に含有される特定の化合物は、基材表面から極浅い部分を溶解もしくは湿潤状態にして基材との混合層を形成するため所望の位置に安定に液滴を付着できる。更にその表面を均一に微粒子含有層で被覆することで製造Lot間やLot内での塗布方向及び塗布の巾手方向での光学特性や密着性が均一で安定性の高いフィルムにできる。
《凸構造部液及び透明樹脂層の液組成物》
本発明は、表面自由エネルギーが1〜15mN/mである透明基材上に、液滴を付着させて凸構造部を形成したのち、該凸構造部を被覆するように透明樹脂層を形成することが特徴であり、本発明に係る凸構造部を形成する液(以降、凸構造部液という)及び透明樹脂層を形成する液(以降、透明樹脂層液という)の液組成物について説明する。
本発明の該凸構造部液は、下記一般式(1)で表される環状アミド化合物または下記一般式(2)で表される環状エステル化合物と活性光線硬化型樹脂と溶媒とを少なくとも含んでなることが特徴である。
Figure 2008185792
[式中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、かつXは、水素原子、または、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜6のアルキル基を表す]。
Figure 2008185792
[式中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、かつXは、−CH2−または−O−を表す]。
本発明の凸構造部液は、一般式(1)の環状アミド化合物または一般式(2)の環状エステル化合物を必須の成分として含んでなる。また、本発明では、凸構造部を被覆する透明樹脂層にも前記化合物が含有されることが好ましい。環状アミド化合物および環状エステル化合物は、例えば特開2006−281568号や特開2006−281570号公報記載の化合物が好ましく用いられる。
(一般式(1)で表される環状アミド化合物)
一般式(1)中、前記したように、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、Xは、水素原子、または、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜6のアルキル基を表す。
ここでRは、好ましくはC2〜8、より好ましくはC2〜5、さらに好ましくはC2〜4の飽和炭化水素鎖を表す。なおここで、例えば「C2〜12の飽和炭化水素鎖」という場合の「C2〜12」とは、該飽和炭化水素鎖の炭素数が2〜12個であることを意味する。
直鎖状C2〜12の飽和炭化水素鎖とは、−(CH2)m−で示される鎖(ここでmは2〜12の整数を表す)のことを意味する。分岐鎖状のC2〜12の飽和炭化水素鎖とは、−(CH2)n−で示される鎖であって、その炭素上の水素を炭素数の合計がp個となるような1以上のアルキル基で置換した側鎖を有する鎖(ここでn+p(pは全ての側鎖の炭素の合計数)は2〜12の整数を表す)を意味する。このようなアルキル置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。また、直鎖状もしくは分岐鎖上の飽和炭化水素鎖は必要に応じて、水酸基、ヒドロキシメチレン等によりさらに置換されていてもよい。
直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖の具体例としては、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
またここで「直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜6のアルキル基」における「C1〜6アルキル基」という場合の「C1〜6」とは、該アルキル基の炭素数が1〜6個であることを意味する。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
好ましくは、「C1〜6アルキル基」は、C1〜4アルキル基であり、より好ましくはC1〜3アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
本発明の好ましい態様によれば、一般式(1)中、Rは直鎖状もしくは分岐鎖状のC2〜5の飽和炭化水素基を表し、かつ、Xが水素原子またはメチル基を表す。
本発明に用いられる環状アミド化合物の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム等が挙げられ、好ましくは、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、およびε−カプロラクタムからなる群より選択されるものが挙げられる。
(一般式(2)で表される環状エステル化合物)
一般式(2)中、Rは前記したように、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、Xは、−CH2−または−O−を表す。Rは、好ましくはC2〜8、より好ましくはC2〜5、さらに好ましくはC2〜4の飽和炭化水素鎖を表す。なおここで、例えば「C2〜12の飽和炭化水素鎖」という場合の「C2〜12」とは、該飽和炭化水素鎖の炭素数が2〜12個であることを意味する。
また直鎖状C2〜12の飽和炭化水素鎖とは、−(CH2)m−で示される鎖(ここでmは2〜12の整数を表す)のことを意味する。分岐鎖状のC2〜12の飽和炭化水素鎖とは、−(CH2)n−で示される鎖であって、その炭素上の水素を炭素数の合計がp個となるような1以上のアルキル基で置換した側鎖を有する鎖(ここでn+p(pは全ての側鎖の炭素の合計数)は2〜12の整数を表す)を意味する。このようなアルキル置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。また、直鎖状もしくは分岐鎖上の飽和炭化水素鎖は必要に応じて、水酸基、ヒドロキシメチレン等によりさらに置換されていてもよい。
直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖の具体例としては、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
本発明に用いられる環状エステル化合物の具体例としては、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ヘキサノラクトン、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、1,3−ジオキサン−2−オン等が挙げられ、好ましくは、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、炭酸プロピレン、および炭酸エチレンからなる群より選択されるものが挙げられる。より好ましくは、環状エステル化合物は、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレンである。
本発明の凸構造部および凸構造部を被覆する透明樹脂層において、環状アミド化合物または環状エステル化合物は、1種以上を混合して使用してもよい。本発明において使用される環状アミド化合物または環状エステル化合物は、必要に応じて合成してもよいが、市販品を使用してもよい。
環状アミド化合物または環状エステル化合物の含有量が、凸構造部全体に対して少なすぎると、透明基材表面の溶解が不充分となり、透明基材と凸構造部とが密着しないことがある。また、環状アミド化合物または環状エステル化合物の含有量が多すぎると、樹脂成分の液状安定性が悪化することがある。したがって、本発明の凸構造部および凸構造部を被覆する透明樹脂層の環状アミド化合物または環状エステル化合物の含有量は、1〜30.0質量%、好ましくは、2.0〜20.0質量%である。環状アミド化合物または環状エステル化合物を1種以上を混合して使用する場合の含有量は、その合計量を意味する。
(活性光線硬化型樹脂)
本発明の凸構造部液は活性光線硬化型樹脂を含有する。透明樹脂層液は、同様に活性光線硬化型樹脂を含有することが好ましく、更に凸構造部液及び透明樹脂層液は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を含有することもできる。
はじめに、本発明の凸構造部液及び透明樹脂層液に用いられる活性光線硬化型樹脂について説明する。
活性光線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性光線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。活性光線硬化型樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性光線照射によって硬化する樹脂でもよい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端の水酸基やカルボキシル基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなのモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号公報)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端の水酸基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂の例として、好ましく用いられるエポキシ系活性光線反応性化合物を示す。
(a)ビスフェノールAのグリシジルエーテル(この化合物はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応により、重合度の異なる混合物として得られる)
(b)ビスフェノールA等のフェノール性OHを2個有する化合物に、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを反応させ末端にグリシジルエーテル基を有する化合物
(c)4,4′−メチレンビスフェノールのグリシジルエーテル
(d)ノボラック樹脂またはレゾール樹脂のフェノールフォルムアルデヒド樹脂のエポキシ化合物
(e)脂環式エポキシドを有する化合物、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキザレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−シクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルピメレート)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−1′−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−6′−メチル−1′−シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5′,5′−スピロ−3″,4″−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン
(f)2塩基酸のジグリシジルエーテル、例えば、ジグリシジルオキザレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルフタレート
(g)グリコールのジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、コポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
(h)ポリマー酸のグリシジルエステル、例えば、ポリアクリル酸ポリグリシジルエステル、ポリエステルジグリシジルエステル
(i)多価アルコールのグリシジルエーテル、例えば、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グルコーストリグリシジルエーテル
(j)2−フルオロアルキル−1,2−ジオールのジグリシジルエーテルとしては、前記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物に挙げた化合物例と同様のもの
(k)含フッ素アルカン末端ジオールグリシジルエーテルとしては、上記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物等を挙げることができる。
上記エポキシ化合物の分子量は、平均分子量として2000以下で、好ましくは1000以下である。
上記のエポキシ化合物を活性光線により硬化する場合、より硬度を上げるためには、(h)または(i)の多官能のエポキシ基を有する化合物を混合して用いると効果的である。
エポキシ系活性光線反応性化合物をカチオン重合させる光重合開始剤または光増感剤は、活性光線照射によりカチオン重合開始物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましくは、照射によりカチオン重合開始能のあるルイス酸を放出するオニウム塩の一群の複塩である。
活性光線反応性エポキシ樹脂は、ラジカル重合によるのではなく、カチオン重合により重合、架橋構造または網目構造を形成する。ラジカル重合と異なり反応系中の酸素に影響を受けないため好ましい活性光線反応性樹脂である。
本発明に有用な活性光線反応性エポキシ樹脂は、活性光線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出する光重合開始剤または光増感剤により重合する。光重合開始剤としては、光照射によりカチオン重合を開始させるルイス酸を放出するオニウム塩の複塩の一群が特に好ましい。
かかる代表的なものは下記一般式(a)で表される化合物である。
一般式(a)
〔(R1)a(R2)b(R3)c(R4)dZ〕w+〔MeXv〕w-
式中、カチオンはオニウムであり、ZはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、ハロゲン(例えば、I、Br、Cl)、またはN=N(ジアゾ)であり、R1、R2、R3、R4は同一であっても異なっていてもよい有機の基である。a、b、c、dはそれぞれ0〜3の整数であって、a+b+c+dはZの価数に等しい。Meはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲンであり、wはハロゲン化錯体イオンの正味の電荷であり、vはハロゲン化錯体イオン中のハロゲン原子の数である。
上記一般式(a)の陰イオン〔MeXv〕w-の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 -)、テトラフルオロホスフェート(PF4 -)、テトラフルオロアンチモネート(SbF4 -)、テトラフルオロアルセネート(AsF4 -)、テトラクロロアンチモネート(SbCl4 -)等を挙げることができる。
また、その他の陰イオンとしては過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼン酸陰イオン等を挙げることができる。
この様なオニウム塩の中でも特に芳香族オニウム塩をカチオン重合開始剤として使用するのが有効であり、中でも特開昭50−151996号、同50−158680号等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、同52−30899号、同59−55420号、同55−125105号等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、同56−149402号、同57−192429号等に記載のオキソスルホキソニウム塩、特公昭49−17040号等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号等に記載のチオピリリュム塩等が好ましい。また、アルミニウム錯体や光分解性けい素化合物系重合開始剤等を挙げることができる。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン等の光増感剤を併用することができる。
また、エポキシアクリレート基を有する活性光線反応性化合物の場合は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の光増感剤を用いることができる。この活性光線反応性化合物に用いられる光増感剤や光開始剤は、紫外線反応性化合物100質量部に対して0.1質量部〜15質量部で光反応を開始するには十分であり、好ましくは1質量部〜10質量部である。この増感剤は近紫外線領域から可視光線領域に吸収極大のあるものが好ましい。
本発明に有用な活性光線硬化型樹脂を含む凸構造部液及び透明樹脂層液において、光重合開始剤は、一般的には、活性光線硬化性エポキシ樹脂(プレポリマー)100質量部に対して0.1質量部〜15質量部の使用が好ましく、更に好ましくは、1質量部〜10質量部の範囲の添加が好ましい。
また、エポキシ樹脂を上記ウレタンアクリレート型樹脂、ポリエーテルアクリレート型樹脂等と併用することも出来、この場合、活性光線ラジカル重合開始剤と活性光線カチオン重合開始剤を併用することが好ましい。
また、本発明では、光重合開始剤としてオキセタン化合物を用いることもできる。用いられるオキセタン化合物は、酸素または硫黄を含む3員環のオキセタン環を有する化合物である。中でも酸素を含むオキセタン環を有する化合物が好ましい。オキセタン環は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシル基、アリルオキシ基、アセトキシ基で置換されていてもよい。具体的には、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、3,3−ビス(ヨードメチル)オキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−メチル−3クロルメチルオキセタン、3,3−ビス(アセトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フルオロメチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等が挙げられる。尚、本発明ではモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。
本発明で用いることのできる紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業(株)製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インク化学工業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(以上、三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、またはその他の市販のものから適宜選択して利用することができる。
凸構造部液及び透明樹脂層液中の活性光線硬化型樹脂の固形分濃度は5〜50質量%であることが好ましく、塗布方法等により最適な濃度が選ばれる。
また、活性光線硬化型樹脂として、紫外線硬化性樹脂を用いる場合、前記紫外線硬化性樹脂の光硬化を妨げない程度に、紫外線吸収剤を紫外線硬化性樹脂組成物に含ませてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
透明樹脂層液は、上記凸構造部液の項で詳細に説明した活性光線硬化型樹脂の他に以下の熱硬化性樹脂も好ましく用いることができる。本発明で用いることのできる熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミドなどを挙げることができる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、オルソフタル酸系樹脂、イソフタル酸系樹脂、テレフタル酸系樹脂、ビスフェノール系樹脂、プロピレングリコール−マレイン酸系樹脂、ジシクロペンタジエンないしその誘導体を不飽和ポリエステル組成に導入して低分子量化した、或いは被膜形成性のワックスコンパウンドを添加した低スチレン揮発性樹脂、熱可塑性樹脂(ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリスチレン、飽和ポリエステルなど)を添加した低収縮性樹脂、不飽和ポリエステルを直接Br2でブロム化する、或いはヘット酸、ジブロムネオペンチルグリコールを共重合するなどした反応性タイプ、塩素化パラフィン、テトラブロムビスフェノール等のハロゲン化物と三酸化アンチモン、燐化合物の組み合わせや水酸化アルミニウムなどを添加剤として用いる添加タイプの難燃性樹脂、ポリウレタンやシリコーンとハイブリッド化、またはIPN化した強靭性(高強度、高弾性率、高伸び率)の強靭性樹脂等がある。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ノボラックフェノール型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型を含むグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系、グリシジルエステル系、環式脂肪系、複素環式エポキシ系を含む特殊エポキシ樹脂等を挙げることができる。
ビニルエステル樹脂としては、例えば、普通エポキシ樹脂とメタクリル酸等の不飽和一塩基酸とを開環付加反応して得られるオリゴマーをスチレン等のモノマーに溶解した物である。また、分子末端や側鎖にビニル基を持ちビニルモノマーを含有する等の特殊タイプもある。グリシジルエーテル系エポキシ樹脂のビニルエステル樹脂としては、例えば、ビスフェノール系、ノボラック系、臭素化ビスフェノール系等があり、特殊ビニルエステル樹脂としてはビニルエステルウレタン系、イソシアヌル酸ビニル系、側鎖ビニルエステル系等がある。
フェノール樹脂は、フェノール類とフォルムアルデヒド類を原料として重縮合して得られ、レゾール型とノボラック型がある。
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えば、マレイン酸系ポリイミド、例えばポリマレイミドアミン、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミド・O,O′−ジアリルビスフェノール−A樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂等、またナジック酸変性ポリイミド、及びアセチレン末端ポリイミド等がある。
また、上述した活性光線硬化型樹脂の一部も、熱硬化性樹脂として用いることができる。
尚、本発明に用いられる熱硬化性樹脂からなる液組成物には、活性光線硬化型樹脂を含む凸構造部液、及び透明樹脂層液に記載した酸化防止剤や紫外線吸収剤を適宜用いてもよい。
透明樹脂層液は上記凸構造部の項で詳細に説明した活性光線硬化型樹脂、光重合開始剤、光反応開始剤、光増感剤に加えて、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、微粒子、溶媒等を適宜用いて液組成物を調製し、更に任意の塗布方法により凸構造部の上に塗布を行う。
透明樹脂層の塗布方法は特に限定されるものではないが、前記透明樹脂層液をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法、フレキソ印刷法等公知の方法で塗設することが好ましい。
(凸構造部液の溶媒)
本発明に係る凸構造部液は溶媒を含有するが、用いることができる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセルソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、水等が挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することができる。
本発明に係る該凸構造部液においては、上記溶媒の中でも沸点が140〜250℃、25℃での粘度が1〜15mPa・sの溶媒が少なくとも1種類以上、60質量%以上含まれることが好ましい。より好ましくは沸点が180〜230℃、25℃での粘度が1〜10mPa・sの溶媒が少なくとも1種類以上、70質量%以上含まれることが好ましい。この理由は、上記凸構造部液に含まれる溶媒は、液滴として着弾後に所望のパターン形状が維持される程度に速やかに揮発、乾燥されることが望ましいが、上記範囲を超えると、下地との接着性が劣り、更に形成された凸構造部パターン間で乾燥ムラが発生し、後続の透明樹脂層による被覆が均一に行われず、防眩性フィルムの物性の劣化、製造ロット間、製造ロット内の光学性能に対する不均一性等発生し易くなるためである。
溶媒の粘度は、ビスコメイトVM−1G(山一電機(株)製)を用いて測定できる。
本発明でいう沸点とは、1気圧、即ち1.013×105N/m2の圧力下での沸点である。沸点の測定は公知の技術を適用できる他、単体の場合には化学便覧等の文献中に記載の値も参照することができる。
上記の沸点、粘度を満たす溶媒の中でも、下記の一般式(3)で表される化合物がより好ましく用いられる。
一般式(3) R1−O−(Cx2x−O)n−R2
1、R2:水素原子、アリール基、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基。炭化水素鎖は直鎖でも分岐していてもよい。但し、R1、R2の少なくとも一方は水素原子以外の置換基である。
n:1〜3の整数
x:2〜4の整数
更に好ましくは、x=2または3、R2がアセチル基である化合物である。
本発明のインクに好ましく用いられる溶媒について、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 2008185792
更に、上記一般式(3)で表される化合物について、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 2008185792
上記の他、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名:酢酸2−(エトキシエトキシ)エチル)、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート(別名:1,2−ジアセトキシプロパン)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等も、好ましく用いられる。
これらの溶媒の中から沸点、粘度の異なる溶媒を混合してその比率を適宜変更することで、凸構造部、パターン形状を制御することもできる。
(凸構造部液の界面活性剤)
本発明に用いられる凸構造部液の表面張力を調整するためには、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素系樹脂、フッ素系オリゴマー、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系シランカップリング剤等の活性剤を0質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。添加量が多すぎると、凸構造部高さが低くなりすぎたり、撥水撥油効果により透明樹脂層が凸構造部の上に塗布できなくなったりして好ましくない。界面活性剤量は、液組成、溶媒組成、下地基材の表面エネルギーにも依存するため、添加量は適宜調整されることが好ましい。以下に本発明に用いられる界面活性剤について説明する。
本発明に用いられるシリコーンオイルは、ケイ素原子に結合した有機基の種類により、ストレートシリコーンオイルと変性シリコーンオイルに大別できる。ストレートシリコーンオイルとは、メチル基、フェニル基、水素原子を置換基として結合したものをいう。変性シリコーンオイルとは、ストレートシリコーンオイルから二次的に誘導された構成部分をもつものである。一方、シリコーンオイルの反応性からも分類することができる。これらをまとめると、以下のようになる。
シリコーンオイル
1.ストレートシリコーンオイル
1−1.非反応性シリコーンオイル:ジメチル、メチルフェニル置換等
1−2.反応性シリコーンオイル:メチル水素置換等
2.変性シリコーンオイル
ジメチルシリコーンオイルに、さまざまな有機基を導入することで生まれたものが、変性シリコーンオイル
2−1.非反応性シリコーンオイル:アルキル、アルキル/アラルキル、アルキル/ポリエーテル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル置換等、
アルキル/アラルキル変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を長鎖アルキル基あるいはフェニルアルキル基に置換えたシリコーンオイル、
ポリエーテル変性シリコーンオイルは、親水性のポリオキシアルキレンを疎水性のジメチルシリコーンに導入したシリコーン系高分子界面活性剤、
高級脂肪酸変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を高級脂肪酸エステルに置換えたシリコーンオイル、
アミノ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をアミノアルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイル、
エポキシ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をエポキシ基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイル、
カルボキシル変性あるいはアルコール変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をカルボキシル基あるいは水酸基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイル
2−2.反応性シリコーンオイル:アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコール置換等
これらの内、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは2000〜50000が適当であり、数平均分子量が1000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる傾向にある。
具体的な商品としては、日本ユニカー(株)社のL−45、L−9300、FZ−3704、FZ−3703、FZ−3720、FZ−3786、FZ−3501、FZ−3504、FZ−3508、FZ−3705、FZ−3707、FZ−3710、FZ−3750、FZ−3760、FZ−3785、FZ−3785、Y−7499、信越化学社のKF96L、KF96、KF96H、KF99、KF54、KF965、KF968、KF56、KF995、KF351、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、FL100等がある。
本発明に用いられるシリコーン界面活性剤は、シリコーンオイルのメチル基の一部を親水性基に置換したものを用いることができる。置換の位置は、シリコーンオイルの側鎖、両末端、片末端、両末端側鎖等がある。親水性基としては、ポリエーテル、ポリグリセリン、ピロリドン、ベタイン、硫酸塩、リン酸塩、4級塩等がある。
非イオン界面活性剤は、水溶液中でイオンに解離する基を有しない界面活性剤を総称していうが、疎水基のほか親水性基として多価アルコール類の水酸基、また、ポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン)等を親水基として有するものである。親水性はアルコール性水酸基の数が多くなるに従って、またポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン鎖)が長くなるに従って強くなる。本発明に用いられる非イオン界面活性剤は疎水基としてジメチルポリシロキサンを有することが好ましい。
疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤を用いると、後述する低屈折率層のムラや膜表面の防汚性が向上する。ポリメチルシロキサンからなる疎水基が表面に配向し汚れにくい膜表面を形成するものと考えられる。他の界面活性剤を用いることでは得られない効果である。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191等が挙げられる。
また、SUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましい。主鎖骨格の鎖長が長く、直鎖状の構造であることから、優れている。親水基と疎水基が交互に繰り返したブロックコポリマーであることにより、シリカ微粒子の表面を1つの活性剤分子が、複数の箇所で、これを覆うように吸着することができるためと考えられる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
これらのシリコーンオイルまたはシリコーン界面活性剤の中では、ポリエーテル基を有するものが好ましい
(透明樹脂層液の溶媒)
本発明の透明樹脂層液で用いることができる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセルソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸セルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、水等を挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することが出来る。また、分子内にエーテル結合をもつものが特に好ましく、グリコールエーテル類も好ましく用いられる。
グリコールエーテル類としては、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されない。プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルAc、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルAc、エチレングリコールジエチルエーテル等を挙げることが出来る、尚Acはアセテートを表す。
(透明樹脂層液の界面活性剤)
本発明に用いられる透明樹脂層液は、前記凸構造部液で説明したと同じシリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素系樹脂、フッ素系オリゴマー、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系シランカップリング剤等の活性剤を0.1質量%以上5質量%以下含有することが好ましい。添加量が多すぎると、撥水撥油効果により透明樹脂層が凸構造部の上に塗布できなくなり、好ましくない。また、界面活性剤量は、凸構造部、溶媒組成、下地基材の表面エネルギーにも依存するため、添加量が適宜調整される。
(微粒子)
本発明の透明樹脂層には、凸構造部長径且つ凸構造部高さより小さな平均粒子径の微粒子を添加することが好ましく、該微粒子の平均粒子径は、5〜500nmが好ましく、更に好ましくは10〜50nmである。また、含有量は、透明樹脂層液に対して5〜50質量%の範囲であることが好ましい。上記凸構造部長径及び凸構造部高さとは、任意の凸部300個について凸部底面の最大長及び高さを顕微鏡等により測定し平均した値である。
上記透明樹脂層に用いられる微粒子は、無機微粒子または有機微粒子であり無機微粒子としては、例えば、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。これらは球状、平板状、無定形状等の形状の粒子が挙げられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフィン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、またはポリ弗化エチレン系樹脂微粒子等を挙げることができる。
微粒子の含有量は凸構造部若しくは透明樹脂層に対し5〜50質量%であることが好ましい。
本発明では、凸構造部液、透明樹脂層液共にSnO2、ITO、ZnO等の導電性微粒子や架橋カチオンポリマー粒子等の帯電防止剤を含有させることも好ましい。本発明では、帯電防止剤を透明樹脂層液に添加することが好ましい。
(活性光線の照射)
本発明において、凸構造部液または透明樹脂層液が活性光線硬化型樹脂を含む場合、活性光線の照射方法としては、液滴を透明基材上に付着させ、溶媒等を蒸発させた後、活性光線を照射することが好ましい。照射のタイミングは形成するパターン形状を考慮して決定することが出来、例えば、液滴が溶媒を含む場合は液滴中の溶媒が揮発し終った直後〜2min後に照射することが好ましい。
本発明でいう液滴を透明基材上に着弾、もしくは液滴中の溶媒が揮発し終った直後とは、具体的には液滴が着弾後から5秒までの間をさす。また、活性光線の照射は、液滴の流動性を低下させ、所望のパターン形状が形成出来る程度に照射すればよく、ハーフキュア状態でもよい。この場合には、別途下流側に設置した活性光源を照射して、完全に硬化させることが出来る。
本発明に用いることができる活性光線としては、紫外線、電子線、γ線等で、パターン状に形成された活性光線硬化型樹脂を活性化させる光源であれば制限なく使用できるが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は1mJ/cm2以上が好ましく、更に好ましくは、20mJ/cm2〜10000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50mJ/cm2〜2000mJ/cm2である。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
本発明においては、活性光線照射の時の雰囲気中の酸素濃度が10%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガス等を導入することが有効である。
また、本発明においては、活性光線の硬化反応を効率的に進めるため、透明基材等を加熱することも出来る。加熱方法としては、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、或いは着弾したインク表面に熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、液滴着弾部の基材フィルムを挟んで反対側に用いられるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に基材フィルムに加熱を施してもよい。
加熱温度としては、使用する活性光線硬化型樹脂の種類により一概には規定出来ないが、基材フィルムへの熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
《透明基材》
本発明に用いられる透明基材としては、製造が容易であること、活性光線硬化型樹脂層との密着性が良好である、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましく、透明フィルムであることが特に好ましい。
本発明でいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることをさし、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルムが好ましい。
本発明で好ましく用いられるノルボルネン系樹脂フィルムとは、ノルボルネン構造を有する非晶性ポリオレフィンフィルムで、例えば三井石油化学(株)製のAPOや日本ゼオン(株)製のゼオネックス、JSR(株)製のARTON等がある。
本発明においては、上記フィルムの中でも、特にセルロースエステル系フィルムを用いることが好ましい。セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。市販のセルロースエステルフィルムとしては、例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC4FR(コニカミノルタオプト(株)製)等が、製造上、コスト面、透明性、密着性等の観点から好ましく用いられる。これらのフィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
(基材の表面自由エネルギー)
本発明の透明基材10の表面自由エネルギーは、図1に示すように、平滑な表面に形成した透明基材へ水を滴下し、形成された液滴Aの接触角θより求められる。
すなわち、液体の表面エネルギーをγl、透明基材の表面エネルギーをγs、固液界面のエネルギーをγiとすると、γs=γi+γlcosθと表すことが可能である。[フォクス,ヘッチ.ダヴリュー・エンド・ジィスマン,ダヴリュー.エー.(Fox,H.W and Zisman,W.A.)、ジャーナル オブ コロイド サイエンス(J.Colloid Sci.),5,514頁(1950年)]一般に、固液界面のエネルギーγi=0とおくことが可能であり、水の表面エネルギー(20℃,72.8dyn/cm)と接触角から、透明基材の表面自由エネルギーを求めることが可能である。
表面自由エネルギーを低下させる化合物としては、公知のフッ素系化合物あるいはシリコーン系化合物を用いることができる。表面自由エネルギーは、1〜15mN/mが好ましく5〜15mN/mがより好ましい。表面エネルギーが15mN/mを超えるとドットは形成されるものの凸径が大きくなり近傍のドットと結合し粗大化しやすくなる。一方、1mN/m未満ではドットが安定に付着しにくくなり、塗布方向や塗布の巾手方向での光学性能や耐久性の均一性が劣化する。化合物の添加量は、全固形分の0.01〜5質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%である。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3,−CH2(CF24H,−CH2(CF28CF3,−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF32,CH2CF(CF32,CH(CH3)CF2CF3,CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCH2OCH2CF2CF3,CH2CH2OCH248H,CH2CH2OCH2CH2817,CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに後述する低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172D、F−179A、ディフェンサMCF−300、FH−800ME、GE東芝シリコーン(株)製XC98−B2472、TORAY(株)製AY 43−013(以上商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−4425、FM−5521、FM6621、FM−1121、FM−DA26、FM−DA21やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)、TORAY製AY 42−151、GE東芝シリコーン(株)製YF3800、XC96−723(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
表面自由エネルギーを低下させる化合物はその分子中にバインダーとの反応性を有する基を少なくとも一つ含有することが好ましい。好ましい反応性基の例としては、活性エネルギー線硬化性の(メタ)アクリロイル基、エポキシ基が挙げられる。
(ハードコート層の塗設)
本発明の防眩性フィルムには、透明基材上に前記フッ素系化合物またはシリコーン化合物を含有せしめ、表面自由エネルギーが1〜15mN/mとなるハードコート層を設けることが好ましい。特にハードコート層は活性光線硬化型樹脂層であることが好ましい。
活性光線硬化型樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。特に、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。
例えば、ユニディック17−806(大日本インキ化学工業(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
紫外線硬化性樹脂の添加量としては、20〜70質量部であり、好ましくは30〜60質量部である。
これら紫外線硬化性樹脂の光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光重合開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の光重合開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光重合開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
本発明において好ましく使用し得る紫外線硬化性樹脂の市販品としては、前記凸構造部液及び透明樹脂層液に用いられる化合物を挙げることができる。
更に、具体的化合物例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
こうして得たハードコート層には耐傷性、滑り性や屈折率を調整するために無機化合物または有機化合物の微粒子を適宜含んでもよい。
ハードコート層に使用される無機粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
また有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物に加えることができる。特に好ましくは、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)が挙げられる。
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜5μmが好ましく0.1〜5.0μm、さらには、0.1〜4.0μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有することが好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部となるように配合することが望ましい。
ハードコート層塗布液には溶媒が含まれていてもよく、必要に応じて適宜含有し、希釈されたものであってもよい。塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中でもから適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
ハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理を行う。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2、好ましくは5〜150mJ/cm2であるが、特に好ましくは20〜100mJ/cm2である。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、さらに好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによってさらに平面性優れたフィルムを得ることができる。
ハードコート層の膜厚に特に制限はないが、乾燥後の膜厚として0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが更に好ましい。
一般にハードコート層は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が1〜50nmの平滑なハードコート層か、若しくはRaが0.1〜1μm程度の防眩性ハードコート層があるが、本発明では限定されるものではないが、前記平滑なハードコート層であることが好ましい。中心線平均粗さ(Ra)は光干渉式の表面粗さ測定器で測定することができ、例えばWYKO社製RST/PLUSを用いて測定する。
《凸構造部及び透明樹脂層の形成》
本発明の防眩性フィルムの製造方法は、前述の透明基材上に、好ましくはフッ素系化合物またはシリコーン化合物を含有する紫外線硬化型樹脂を塗設した平滑なハードコート層を設け、該ハードコート層上に、活性光線硬化型の液滴を付着させて凸構造部を形成するが、その手段は特に限定されるものではなく、グラビア法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット方式等のパターン作製方法により形成されることが好ましく、中でもインクジェット方式で形成されることが好ましい。以下、前記凸構造部液をインクとも称する。
次いで、該凸構造部を活性光線により硬化した後、その上に、マイクログラビア法、押出し塗布法、ワイヤーバー法、スプレーコート法、フレキソ印刷法、インクジェット方式等の薄膜均一塗布法により、透明樹脂層を均一塗布することで作製される。
(インクジェット装置)
本発明に好適なインクジェット方式に用いられるインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。
図2(a)はインクジェットヘッドの断面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線矢視拡大図である。図中、11は基板、12は圧電素子、13は流路板、13aはインク流路、13bは壁部、14は共通液室構成部材、14aは共通液室、15はインク供給パイプ、16はノズルプレート、16aはノズル、17は駆動用回路プリント板(PCB)、18はリード部、19は駆動電極、20は溝、21は保護板、22は流体抵抗、23、24は電極、25は上部隔壁、26はヒータ、27はヒータ電源、28は伝熱部材、30はインクジェットヘッドである。
集積化されたインクジェットヘッド30において、電極23、24を有する積層された圧電素子12は、流路13aに対応して、該流路13a方向に溝加工が施され、溝20と駆動圧電素子12bと非駆動圧電素子12aに区分される。溝20には充填剤が封入されている。溝加工が施された圧電素子12には、上部隔壁25を介して流路板13が接合される。すなわち、前記上部隔壁25は、非駆動圧電素子12aと隣接する流路を隔てる壁部13bとで支持される。駆動圧電素子12bの幅は流路13aの幅よりも僅かに狭く、駆動用回路プリント板(PCB)上の駆動回路により選択された駆動圧電素子12bはパルス状信号電圧を印加すると、該駆動圧電素子12bは厚み方向に変化し、上部隔壁25を介して流路13aの容積が変化し、その結果ノズルプレート16のノズル16aよりインク液滴を吐出する。
流路板13上には、伝熱部材28を介してヒータ26がそれぞれ接着されている。伝熱部材28はノズル面にまわり込んで設けられている。伝熱部材28は、ヒータ26からの熱を効率良く流路板13に伝え、かつ、ヒータ26からの熱をノズル面近傍に運びノズル面近傍の空気を温めることを目的としており、したがって、熱伝導率の良い材料が用いられる。例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス等の金属、あるいは、SiC、BeO、AlN等のセラミックス等が好ましい材料として挙げられる。
圧電素子を駆動すると、流路の長手方向に垂直な方向に変位し、流路の容積が変化し、その容積変化によりノズルからインク液滴となって噴射する。圧電素子には常時流路容積が縮小するように保持する信号を与え、選択された流路に対して流路容積を増大する向きに変位させた後、再び流路の容積が縮小する変位を与えるパルス信号を印加することにより、流路と対応するノズルよりインクがインク液滴となって噴射する。
図3は、本発明で用いることのできるインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。
図3において、図3の(a)はヘッド部の断面図、図3の(b)はノズルプレートの平面図である。図中、10は基材フィルム、31はインク液滴、32はノズル、29は活性光線照射部である。ノズル32より噴射したインク液滴31は基材フィルム10方向に飛翔して付着する。基材フィルム10上に着弾したインク液滴は、その上流部に配置されている活性光線照射部より、活性光線を直ちに照射され、硬化する。なお、35は基材フィルム10を保持するバックロールである。
本発明においては、図3の(b)に記載のように、インクジェットヘッド部のノズルは、千鳥状に配置することが好ましく、また、基材フィルム10の搬送方向に並列に多段に設けることが好ましい。また、インク吐出の際にインクジェットヘッド部に微細な振動を与え、インク滴がランダムに透明基材上に着弾するようにすることが好ましい。これによって、干渉縞の発生を抑制することができる。微細な振動は、高周波電圧、音波、超音波などによって与えることができるが、特にこれらに限定されない。
本発明に用いられる凸構造部の形成方法は、多ノズルからインク小液滴を吐出して形成するインクジェット方式を用いることが好ましい。図4に、本発明で好ましく用いることのできるインクジェット方式の一例を示す。
図4において、図4の(a)は、インクジェットヘッド30を透明基材フィルム10の幅手方向に配置し、透明基材フィルム10を搬送しながらその表面に凸構造部を形成する方法(ラインヘッド方式)であり、図4の(b)はインクジェットヘッド30が副走査方向に移動しながらその表面に凸構造部を形成する方法(フラットヘッド方式)であり、図8の(c)はインクジェットヘッド30が、透明基材フィルム10上の幅手方向を走査しながらその表面に凸構造部を形成する方法(キャプスタン方式)であり、いずれの方式も用いることができるが、本発明においては、生産性の観点からラインヘッド方式が好ましい。なお、図4の(a)〜(c)に記載の29のように、インクとして後述の活性光線硬化型樹脂を用いる場合に使用する活性光線照射部を取り付けてもよい。
また、本発明においては、図4の(a)、(b)、(c)の基材フィルムの搬送方向の下流側に、別の活性光線照射部を設けてもよい。
本発明において、微細な凹凸構造を安定に形成するため、インク液滴としては0.5〜20plが好ましく、1〜14plがより好ましい。また、異なるインクジェットヘッド部からそれぞれ異なる液滴量のインクを吐出してもよく、同じインクジェットヘッド部から液滴量を変えてインクを吐出してもよく、この時の吐出間隔も一定間隔でもランダムであってもよい。
凸構造部は、凸部長径が10〜35μm、さらに好ましくは15〜35μmであり、凸部の高さが2〜10μm、さらに好ましくは、2〜8μmの一定のサイズと高さを有していることが好ましく、凸部の配置は、FMスクリーニング等の方法により、ランダム配置とされることが好ましい。ここで凸部径とは、凸構造部が円形の場合は直径を、三角形、四角形、多角形、不定形の場合は同一面積に換算した直径を表す。凸構造部の高さとは、基材フィルム面から凸部(ドット)の最も高い部分の高さの差をいう。
FMスクリーニング法とはドットとドットの間隔すなわち周期性(frequency)を変調する(modulate)すること、基本ドットを打つ頻度(ドットの密度)で濃淡を表現する方法である。FMスクリーニング法は、ランダム・スクリーニング法またストカスティック・スクリニーング法と呼ばれることもある。FMスクリーニング法とは、ドットとドットの間隔すなわち周期性を変調する方法を指す。具体的には、クリスタル・ラスター・スクリーニング法(アグファ・ゲバルト社)、ダイヤモンド・スクリーン法(ライノタイプ・ヘル社)、クラス・スクリーニング法およびフルトーン・スクリーニング法(サイテックス社)、ベルベット・スクリーニング法(ウグラ・コーハン社)、アキュトーン・スクリーニング法(ダネリー社)、メガドット・スクリーニング法(アメリカン・カラー社)、クリア・スクリーニング法(シーカラー社)、モネット・スクリーニング法(バルコ社)等が知られている。これら方法はいずれもドット発生のアルゴリズムは異なっているが、ドット密度の変化により濃淡を表現する方法であり、FMスクリーニング法の種々の態様であるということができる。
FMスクリーニングでは、インクが乗るドットのサイズは一定とし、画像の濃度に応じてドットの出現頻度が変化する。FMスクリーニングにおける各ドットのサイズはいわゆる網点に比べて小さいので、必要とするパターンを高分解能で再現することが可能である。FMスクリーニングにおけるドットは、いわゆる網点とは異なり、ドットの配列が周期的ではない。FMスクリーニングでは、ドットの配列が周期的でないので、モアレは生じないという特徴を持っている。
図5は、本発明の凸構造部の形成と透明樹脂層による被覆を模式的に表した図である。
本発明の透明樹脂層表面の輪郭要素曲線の平均長さ(Sm)は、10〜35μm、より好ましくは15〜35μmである。
本発明において、輪郭要素曲線の平均長さ(Sm)は、JIS B 0601中で定義されるものであり、凸部又は凹部の頂点を該凸部又は凹部の中心とし、隣り合う凸部又は凹部中心間の距離を平均したものである。凸部又は凹部間の平均距離は触針式表面粗さ測定機などにより測定出来、例えばダイヤモンドからなる先端部を頂角55度の円錐形とした直径1mmの測定針を介して微細凹凸構造面上を一定方向に走査し、その場合の測定針の上下方向の移動変化を測定してそれを記録した表面粗さ曲線として知見を得ることが出来、その結果より凸部又は凹部間の距離を測定し平均値を求めることができる。或いは前述のごとく光学干渉式表面粗さ測定機によっても測定することができる。
輪郭要素曲線の平均長さ(Sm)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重なり合わない条件で24時間調湿したのち、上記環境下で測定して求めることが出来る。ここでいう重なり合わない条件とは、例えば、試料のエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法や試料と試料の間に紙を挟んで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることの出来る測定装置としては、例えば、WYKO社製 RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム(光学干渉式表面粗さ測定機の代表例)等を挙げることが出来る。
図6は、本発明の防眩性フィルムの構成を示す模式図である。
次いで、本発明の防眩性フィルムの製造方法について説明する。
図7は、透明基材上にインクジェット方式により凸構造部を形成したのち該凸構造部を被覆するように透明樹脂層で形成した防眩性フィルムを製造するフローの一例を示す模式図である。詳しくは、透明基材上にハードコート層を塗布方式で塗設した後、インクジェット方式で凸構造部を形成したのち該凸構造部を被覆するように透明樹脂層を、塗布方式またはインクジェット方式にて形成する防眩性フィルムを製造するフローの一例を示してある。
図7において、積層ロール101より繰り出された透明基材102は、搬送されて、第1コータステーションAで、押し出し方式の第1コータ103によりハードコート層を塗設する。このとき、ハードコート層は単層構成でも、複数層から構成されている層でもよい。ハードコート層を塗設した透明基材102は、次いで乾燥ゾーン105Aで乾燥が行われる。乾燥は、透明基材102の両面より、温湿度が制御された温風により乾燥が施される。乾燥後、ハードコート層にバインダーとして活性光線硬化型樹脂を用いている場合には、活性光線照射部106Aで、活性光線、例えば紫外線等を照射して硬化させたり、照射量や照射条件を制御してハーフキュア状態とすることもでき、あるいは硬化せずに直接インクジェット出射部109へと搬送することもできる。
次いで、インクジェット方式を用いて凸構造部を設ける第2コータステーションBに搬送されるが、ハードコート層は、ハーフキュア状態であることが好ましい。あるいは、凸構造部を形成する前にプラズマ処理部107で表面処理を施してもよい。インクジェット出射部109には、インク供給タンク108が接続されており、そこからインク液が供給される。インクジェット出射部109は、図3の(b)で示すような複数のインクジェットノズルを透明基材の幅全域に千鳥状、好ましくは多段に配置し、インク液滴をハードコート層上に出射して、その表面に凸構造部を形成する。また、2種以上のインク液滴を出射する場合には、2列以上配置したインクジェットノズルより、各々のインク液滴を出射してもよいし、あるいはランダムに任意のインクジェットノズルよりインク液滴を出射してもよい。また、インクジェット出射部を複数配置し、各々のインク出射部より異なるインク液滴を出射してもよい。本発明においては、2〜20pl、場合によっては4〜14plという微細な液滴を出射するため、インク液滴の飛翔性に対し、外気の気流の影響を受けやすくなるため、第2コータステーションB全体を、隔壁等で覆って防風処理を施すことが好ましい。また、所望の位置にインクを着弾させるため、インクジェット出射部109と透明基材102あるいはバックロール104B間に電圧を印加し、インク液滴に電荷を与えて電気的にインク液滴の飛翔安定性を補助する方法も好ましい。また、着弾したインク液滴の変形を防止するため、透明基材を冷却して着弾後のインク液滴の流動を速やかに低下させる方法を用いることも好ましい。あるいは、インク液滴が出射後、着弾するまでの飛翔中に含有する溶媒を揮発させて、インク液滴中の含有溶媒量が減少した状態で着弾させることが、より微細な凸構造部を形成する上で好ましい。そのため、インク飛翔空間の温度を高くしたり、あるいは気圧を、1気圧以下、例えば20〜100kPaに制御したりする方法も好ましい。また、インク飛翔空間の雰囲気溶媒濃度を下げることも好ましく、飽和濃度の50%以下、より好ましくは1〜30%である。
ハードコート層表面に着弾したインク液滴は、活性光線硬化型樹脂を用いている場合には、インクジェット出射部109の直後に配置されている活性光線照射部106Bで、活性光線、例えば、紫外線等を照射して硬化させる。また、インク液滴が熱硬化性樹脂を含有している場合には、加熱部110、例えば、ヒートプレートにより加熱、硬化される。また、バックロール104Bをヒートロールとして加熱する方法も好ましい。
第2コータステーションBにおいて、活性光線照射部106Bの照射光が、インクジェット出射部109のインクジェットノズルに直接影響を与えないように、活性光線照射部106Bとインクジェット出射部109とを適度な間隔で配置する、あるいは活性光線照射部106Bとインクジェット出射部109とを間に、遮光壁等を設置することが好ましい。また、加熱部110の熱が、インクジェット出射部109のインクジェットノズルに直接影響を与えないように、インクジェット出射部109を保温カバーで被覆する、あるいは図7で示すように、加熱部110を透明基材102の裏面側に配置し、インクジェット出射部109に影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
着弾したインク液滴により形成された凸構造部が維持できる程度に硬化処理を行った透明基材102は、乾燥ゾーン105Bで不要な有機溶媒等を蒸発させた後、更に、活性光線照射部106Cで、活性光線を照射して、硬化を完了しても、ハーフキュア状態であっても良いがハーフキュア状態である方が好ましい。
凸構造部を設けた透明基材102は、次いで凸構造部を被覆する透明樹脂層が押し出し方式の第2コータダイス111にて塗設される第3コータステーションCに搬送されるが、凸構造部を透明樹脂層で被覆する前にプラズマ処理部107で表面処理を施すことが好ましい。
透明樹脂層を塗設した透明基材102は、次いで乾燥ゾーン105Cで乾燥が行われる。乾燥は、透明基材102の両面より、温湿度が制御された温風により乾燥が施される。更に、活性光線照射部106Dで、活性光線を照射して、硬化を完了させる。
凸構造部を設けた透明基材102に透明樹脂層をインクジェット方式で塗布する場合は、第3コーターステーションをスキップし、第4コータステーションDにおいて、インクジェット出射部109により透明樹脂層が塗設される。
その後、更に複数の反射防止層や防汚層等の機能性層を設ける場合には第5コータステーション、第6コータステーション(不図示)により、第1コータステーションA、第2コーターステーションBと同様にして、塗布、乾燥、硬化処理を行って防眩性フィルムが作製され、その後巻き取りロール113で巻き取られる。
尚、透明基材102は、各コータステーションで塗布、乾燥、硬化処理後、適宜に巻き取りロールで巻き取られてもよい。
《防眩性反射防止フィルム》
本発明は前記凸構造部、及び透明樹脂層を有する防眩性フィルムの微細凹凸構造を有する面に、下記低屈折率層を設け防眩性反射防止フィルムとすることが好ましい。
特に、本発明においては、低屈折率層は、外殻層を有し内部が多孔質または空洞となっている中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層塗布液をコーティングすることが好ましい。
〈低屈折率層〉
本発明に用いられる低屈折率層の屈折率は、支持体である基材フィルムの屈折率より低く、23℃、波長550nm測定で、1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。
本発明に用いられる低屈折率層形成用組成物は、(a)下記一般式(4)で表される有機珪素化合物もしくはその加水分解物或いはその重縮合物及び、(b)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子が組成物を構成することが好ましい。
一般式(4) Si(OR)4
(式中、Rはアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。)
他に溶剤、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化剤等を添加してもよい。
〔中空シリカ系微粒子〕
まず、前記(b)で表される外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子について説明する。
中空シリカ系微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。尚、低屈折率層には(I)複合粒子または(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
尚、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空微粒子は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、形成される低屈折率層等の透明被膜の膜厚の2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの中空微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することが出来ないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部に内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持出来ないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF2、NaF、NaAlF6、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等との1種または2種以上を挙げることができる。このような多孔質粒子では、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOX)で表したときのモル比MOX/SiO2が、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また、多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、さらに屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
尚、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。また多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例表した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。
〔有機珪素化合物〕
前記一般式(4)で表される有機珪素化合物は、式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
低屈折率層への添加方法としては、これらのテトラアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記中空シリカ系微粒子の分散液に加え、テトラアルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を中空シリカ系微粒子の表面に沈着させる。このとき、テトラアルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
また、本発明では低屈折率層に、下記一般式(5)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有させることもできる。
Figure 2008185792
前記一般式(5)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物について説明する。
式中、R1〜R6は炭素数1〜16、好ましくは1〜4のアルキル基、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜10のアリール基、炭素数7〜14、好ましくは7〜12のアルキルアリール基、アリールアルキル基、炭素数2〜8、好ましくは2〜6のアルケニル基、または炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、水素原子またはハロゲン原子を示す。
Rfは−(CaHbFc)−を表し、aは1〜12の整数、b+cは2aであり、bは0〜24の整数、cは0〜24の整数を示す。このようなRfとしては、フルオロアルキレン基とアルキレン基とを有する基が好ましい。具体的に、このような含フッ素シリコーン系化合物としては、(MeO)3SiC242424Si(MeO)3、(MeO)3SiC244824Si(MeO)3、(MeO)3SiC2461224Si(MeO)3、(H52O)3SiC244824Si(OC253、(H52O)3SiC2461224Si(OC253で表されるメトキシジシラン化合物等が挙げられる。
バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、形成される透明被膜自体が疎水性を有しているので、透明被膜が充分緻密化しておらず、多孔質であったり、またクラックやボイドを有している場合であっても、水分や酸・アルカリ等の薬品による透明被膜への進入が抑制される。さらには、基板表面や下層である導電層中に含まれる金属等の微粒子と水分や酸・アルカリ等の薬品とが反応することもない。このため、このような透明被膜は、優れた耐薬品性を有している。
また、バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、このような疎水性のみならず、滑り性がよく(接触抵抗が低く)、このためスクラッチ強度に優れた透明被膜を得ることができる。さらに、バインダーが、このような構成単位を有するフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、下層に導電層が形成されている場合には、バインダーの収縮率が、導電層と同等か近いものであるため導電層と密着性に優れた透明被膜を形成することができる。さらに、透明被膜を加熱処理する際に、収縮率の違いから、導電層が剥離して、透明導電性層に電気的接触のない部分が生じることもない。このため、膜全体として充分な導電性を維持できる。
フッ素置換アルキル基含有シラン化合物と、前記外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子とを含む透明被膜は、スクラッチ強度が高い上に、消しゴム強度または爪強度で評価される膜強度が高く、鉛筆硬度も高く、強度の上で優れた透明被膜を形成することができる。
本発明に用いられる低屈折率層にはシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
低屈折率層のその他のバインダーとして用いられるポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂が挙げられる。
低屈折率層は、全体で5〜80質量%のバインダーを含むことが好ましい。バインダーは、中空シリカ微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。バインダーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。
(溶媒)
本発明に用いられる低屈折率層は有機溶媒を含有することが好ましい。具体的な有機溶媒の例としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
有機溶媒の含有量は、低屈折率層塗布組成物中の固形分濃度の1〜4質量%であることが好ましい。有機溶媒は塗布ムラを防止して均一膜厚とするために1質量%以上が好ましく、4質量%を超えると乾燥負荷が大きくなり、乾燥装置の大型化、長時間化となり好ましくない。
〈高屈折率層〉
本発明では、反射防止性を更に高める為に、前記低屈折率層の下層に下記高屈折率層を複数層設けることができる。
本発明に好ましい高屈折率層は、(c)平均粒子径が10〜200nmである金属酸化物微粒子、(d)金属化合物、(e)活性光線硬化型樹脂を含有することが好ましい。
(金属酸化物微粒子)
本発明に用いられる高屈折率層には金属酸化物微粒子が含有されることが好ましい。金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることが出来、これらの金属酸化物微粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあっても良い。また、これらの混合物でもよい。本発明においては、中でも酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが好ましく、特に好ましくは酸化インジウム−スズ(ITO)である。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、10〜150nmであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測してもよいし、動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、具体的には、支持体である基材フィルムの屈折率より高く、23℃、波長550nm測定で、1.50〜1.90の範囲であることが好ましい。高屈折率層の屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子の種類、添加量が支配的である為、金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であることが好ましく、1.85〜2.50であることが更に好ましい。
金属酸化物微粒子は有機化合物により表面処理してもよい。金属酸化物微粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑える事もできる。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.5質量%〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でも後述するシランカップリング剤が好ましい。二種以上の表面処理を組み合わせてもよい。
前記金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層の厚さは5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。
使用する金属酸化物微粒子と後述する活性光線硬化型樹脂等のバインダーとの比は、金属酸化物微粒子の種類、粒子サイズなどにより異なるが体積比で前者1に対して後者2から前者2に対して後者1程度が好ましい。
本発明において用いられる金属酸化物微粒子の使用量は高屈折率層中に5質量%〜85質量%が好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、20〜75質量%が最も好ましい。使用量が少ないと所望の屈折率や本発明の効果が得られず、多過ぎると膜強度の劣化などが発生する。
上記金属酸化物微粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、ケトンアルコール(例、ジアセトンアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
本発明では、更にコア/シェル構造を有する金属酸化物微粒子を含有させてもよい。シェルはコアの周りに1層形成させてもよいし、耐光性を更に向上させるために複数層形成させてもよい。コアは、シェルにより完全に被覆されていることが好ましい。
コアは酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型、アモルファス型等)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ等を用いることができるが、ルチル型の酸化チタンを主成分としてもよい。
シェルは酸化チタン以外の無機化合物を主成分とし、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。例えば、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄、硫化亜鉛等を主成分とした無機化合物が用いられる。この内アルミナ、シリカ、ジルコニア(酸化ジルコニウム)であることが好ましい。また、これらの混合物でもよい。
コアに対するシェルの被覆量は、平均の被覆量で2〜50質量%である。好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは4〜25質量%である。シェルの被覆量が多いと微粒子の屈折率が低下し、被覆量が少な過ぎると耐光性が劣化する。二種以上の金属酸化物微粒子を併用してもよい。
コアとなる酸化チタンは、液相法または気相法で作製されたものを使用できる。また、シェルをコアの周りに形成させる手法としては、例えば、米国特許第3,410,708号、特公昭58−47061号、米国特許第2,885,366号、同第3,437,502号、英国特許第1,134,249号、米国特許第3,383,231号、英国特許第2,629,953号、同第1,365,999号に記載されている方法等を用いることができる。
〔金属化合物〕
本発明に用いられる金属化合物は下記一般式(6)で表される化合物またはそのキレート化合物を用いることができる。
一般式(6) AnMBx-
式中、Mは金属原子、Aは加水分解可能な官能基または加水分解可能な官能基を有する炭化水素基、Bは金属原子Mに共有結合またはイオン結合した原子団を表す。xは金属原子Mの原子価、nは2以上でx以下の整数を表す。
加水分解可能な官能基Aとしては、例えば、アルコキシル基、クロル原子等のハロゲン、エステル基、アミド基等が挙げられる。上記式(6)に属する金属化合物には、金属原子に直接結合したアルコキシル基を2個以上有するアルコキシド、または、そのキレート化合物が含まれる。好ましい金属化合物としては、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドまたはそれらのキレート化合物を挙げることができる。チタンアルコキシドは反応速度が速くて屈折率が高く、取り扱いも容易であるが、光触媒作用があるため大量に添加すると耐光性が劣化する。ジルコニウムアルコキシドは屈折率が高いが白濁し易いため、塗布する際の露点管理等に注意しなければならない。また、チタンアルコキシドは紫外線硬化樹脂、金属アルコキシドの反応を促進する効果があるため、少量添加するだけでも塗膜の物理的特性を向上させることができる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン等が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
遊離の金属化合物に配位させてキレート化合物を形成するのに好ましいキレート化剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等であって分子量1万以下のものを挙げることができる。これらのキレート化剤を用いることにより、水分の混入等に対しても安定で、塗膜の補強効果にも優れるキレート化合物を形成できる。
金属化合物の添加量は、高屈折率層に含まれる該金属化合物由来の金属酸化物の含有量が0.3〜5質量%であるように調整することが好ましい。0.3質量%未満では耐擦傷性が不足し、5質量%を超えると耐光性が劣化する傾向がある。
(活性光線硬化型樹脂)
活性光線硬化型樹脂は金属酸化物微粒子のバインダーとして塗膜の成膜性や物理的特性の向上のために添加される。活性光線硬化型樹脂としては、紫外線や電子線のような活性光線の照射により直接、または光重合開始剤の作用を受けて間接的に重合反応を生じる官能基を2個以上有するモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。官能基としては(メタ)アクリロイルオキシ基等のような不飽和二重結合を有する基、エポキシ基、シラノール基等が挙げられる。中でも不飽和二重結合を2個以上有するラジカル重合性のモノマーやオリゴマーを好ましく用いることができる。必要に応じて光重合開始剤を組み合わせてもよい。このような活性光線硬化型樹脂としては、例えば多官能アクリレート化合物等が挙げられ、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれる化合物であることが好ましい。ここで、多官能アクリレート化合物とは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基及び/またはメタクロイルオキシ基を有する化合物である。
多官能アクリレート化合物のモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートが好ましく挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
活性光線硬化型樹脂の添加量は、高屈折率組成物では固形分中の50質量%未満であることが好ましい。
本発明に用いられる活性光線硬化型樹脂の硬化促進のために、光重合開始剤と分子中に重合可能な不飽和結合を2個以上有するアクリル系化合物とを質量比で3:7〜1:9含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。
(溶媒)
本発明の高屈折率層をコーティングする際に用いられる有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられるが、特に、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましい。
(防汚層)
本発明の防眩性フィルムもしくは防眩性反射防止フィルムは、最表層に防汚層が設けられていることが好ましい。
本発明に好ましい防汚層は、フッ素含有シラン化合物を防汚層形成用組成物に含有することが好ましく、フルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物溶液をコーティングして作製する。特に、フッ素含有シラン化合物がシラザンもしくはアルコキシシランであることが好ましい。
また、前記フルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物のなかでも、シラン化合物中のフルオロアルキル基が、Si原子1つに対し、1つ以下の割合でSi原子と結合されており、残りは加水分解性基もしくはシロキサン結合基であるシラン化合物が好ましい。
ここでいう加水分解性の基としては、例えばアルコキシ基等の基であり、加水分解によりヒドロキシル基となり、それにより前記シラン化合物は重縮合物を形成する。
例えば、上記シラン化合物は水と(必要なら酸触媒の存在下)、副生するアルコールを留去しながら、通常、室温〜100℃の範囲で反応させる。これによりアルコキシシランは(部分的に)加水分解し、一部縮合反応が起こり、ヒドロキシル基を有する加水分解物として得ることができる。加水分解、縮合の程度は、反応させる水の量により適宜調節することができるが、本発明においては、防汚処理に用いるシラン化合物溶液に積極的には水を添加せず、調製後、主として乾燥時に、空気中の水分等により加水分解反応を起こさせるため溶液の固形分濃度を薄く希釈して用いることが好ましい。
好ましくは、防汚層形成用組成物において、前記フルオロアルキル基を有するシラン化合物は下記一般式(7)で表され、かつ該シラン化合物の濃度を0.01〜5質量%に希釈した溶液として用いて、防汚処理することである。
一般式(7) CF3(CF2)m(CH2)n−Si−(ORa)3
ここにおいて、mは1〜10の整数。nは0〜10の整数。Raは同一もしくは異なるアルキル基を表す。
前記一般式(7)で表される化合物中、Raは炭素原子数3つ以下であり炭素と水素のみからなるアルキル基、例えば、メチル、エチル、イソプロピル等の基が好ましい。
これら本発明において好ましく用いられるフルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物としては、CF3(CH22Si(OCH33、CF3(CH22Si(OC253、CF3(CH22Si(OC373、CF3(CH22Si(OC493、CF3(CF25(CH22Si(OCH33、CF3(CF25(CH22Si(OC253、CF3(CF25(CH22Si(OC373、CF3(CF27(CH22Si(OCH33、CF3(CF27(CH22Si(OC253、CF3(CF27(CH22Si(OC373、CF3(CF27(CH22Si(OCH3)(OC372、CF3(CF27(CH22Si(OCH32OC37、CF3(CF27(CH22SiCH3(OCH32、CF3(CF27(CH22SiCH3(OC252、CF3(CF27(CH22SiCH3(OC372、(CF32CF(CF28(CH22Si(OCH33、C715CONH(CH23Si(OC253、C817SO2NH(CH23Si(OC253、C817(CH22OCONH(CH23Si(OCH33、CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OCH32、CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OC252、CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OC372、CF3(CF27(CH22Si(C25)(OCH32、CF3(CF27(CH22Si(C25)(OC372、CF3(CH22Si(CH3)(OCH32、CF3(CH22Si(CH3)(OC252、CF3(CH22Si(CH3)(OC372、CF3(CF25(CH22Si(CH3)(OCH32、CF3(CF25(CH22Si(CH3)(OC372、CF3(CF22O(CF23(CH22Si(OC37)、C715CH2O(CH23Si(OC253、C817SO2O(CH23Si(OC253、C817(CH22OCHO(CH23Si(OCH33などが挙げられるが、この限りでない。
上記フッ素系シラン化合物としては、例えば信越化学工業株式会社製KP801M、X−24−9146、ジーイー東芝シリコーン株式会社XC98−A5382、XC98−B2472、ダイキン工業(株)オプツールDSX、株式会社フロロテクノロジー製FG5010などが挙げられ、表面処理のための化合物としては、パーフルオロアルキルシラザン、パーフルオロアルキルシラン、もしくはパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、特にパーフルオロアルキルトリアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルトリアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルジトリアルコキシシランが挙げられる。
これらのシラン化合物を用いる際には、フッ素を含まない有機溶媒で0.01〜10質量%、好ましくは0.03〜5質量%、更に好ましくは0.05〜2質量%に希釈された状態で用いることが好ましい。
本発明において、前記シラン化合物溶液を調製するためにフッ素を含まない有機溶媒が好ましく用いられるが、以下のものが挙げられる。
本発明に用いられる防汚層用の塗布組成物の溶媒としては、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステル、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルとしては具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなど。又、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルとしては特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルなど、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酪酸エチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドその他の溶媒などが挙げられる。或いは、これらの溶媒が、適宜混合されて用いられる。混合される溶媒としては、特にこれらに限定されるものではない。
特に好ましい溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる1種類以上の有機溶媒である。
これらの溶媒中には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのような常圧における沸点が100℃未満のもの(低沸点溶媒)と、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブチルアルコールのような沸点が100℃以上のもの(高沸点溶媒)を併用することが好ましく、特に沸点が60〜98℃のものと、100〜160℃のものを併用することが好ましい。併用する場合の低沸点溶媒と高沸点溶媒の比率は、低沸点溶媒は組成物中、98.0質量%以上であり、高沸点溶媒が0.5〜2質量%であることが好ましい。
本発明に用いられる防汚層形成用組成物においては、酸を添加してpHを5.0以下に調整し用いることが好ましい。酸は前記シラン化合物の加水分解を促し、重縮合反応の触媒として作用するので、基材表面にシラン化合物の重縮合膜の形成を容易にし、防汚性を高めることができる。pHは1.5〜5.0の範囲が良く、1.5以下では溶液の酸性が強過ぎて、容器や配管をいためる恐れがあり、5以上では反応が進行しにくい。好ましくはpH2.0〜4.0の範囲である。
本発明においては、防汚処理に用いるシラン化合物溶液に積極的には水を添加せず、調製後、主として乾燥時に、空気中の水分等により加水分解反応を起こさせることが好ましい。その為に溶液の固形分濃度を希釈したところで用いる。処理液に水を添加し過ぎると、その分ポットライフが短くなる。
本発明においては硫酸、塩酸、硝酸、次亜塩素酸、ホウ酸、フッ酸、好ましくは塩酸、硝酸等の無機酸のほか、スルホ基(スルホン酸基ともいう)またはカルボキシル基を有する有機酸、例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メチルスルホン酸等が用いられる。有機酸は1分子内に水酸基とカルボキシル基を有する化合物であればいっそう好ましく、例えば、クエン酸または酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸が用いられる。また、有機酸は水溶性の酸であることが更に好ましく、例えば上記クエン酸や酒石酸の他に、レブリン酸、ギ酸、プロピオン酸、リンゴ酸、コハク酸、メチルコハク酸、フマル酸、オキサロ酢酸、ピルビン酸、2−オキソグルタル酸、グリコール酸、D−グリセリン酸、D−グルコン酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、イソクエン酸、乳酸等が好ましく用いられる。また、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、アトロバ酸等も適宜用いることができる。
添加量は、前記シラン化合物の部分加水分解物100質量部に対して0.1質量部〜10質量部、好ましくは0.2質量部〜5質量部がよい。また、水の添加量については部分加水分解物が理論上100%加水分解し得る量以上であればよく、100%〜300%相当量、好ましくは100%〜200%相当量を添加するのがよい。
フッ素含有のシラン化合物を用いることによって、防汚層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましいのみでなく、耐傷性が高く、またフィルム同士のブロッキングに特に優れるという効果がある。
(バックコート層)
本発明の防眩性フィルムまたは防眩性反射防止フィルムでは、透明基材の活性光線硬化型樹脂層を設けた側と反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、活性光線硬化樹脂層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。即ち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために微粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものがヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
これらの微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられる反射防止フィルムは、活性エネルギー線硬化樹脂層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層は、具体的にはセルロースエステルフィルムを溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合物の他さらに溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合いや樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。このような混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解または膨潤させる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム等がある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノールまたは炭化水素類(トルエン、キシレン)等がある。
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマー等が市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することもできる。
特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
バックコート層を塗設する順番は透明基材への活性光線硬化型樹脂層を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。または2回以上に分けてバックコート層を塗布することもできる。
前記低屈折率層で説明したビックケミージャパン社製の界面活性剤BYKシリーズ、GE東芝シリコーン社製のジメチルシリコーンシリーズは、低屈折率層以外の反射防止層にも好ましく用いることができる。
〔反射防止層の形成〕
本発明では反射防止層を設ける方法は特に限定されないが、塗布により形成することが好ましい。
本発明において、基材フィルム上に凸構造部及び透明樹脂層により凹凸構造を形成し、上記の高屈折率層組成物、低屈折率層組成物を用いて順次コーティングする工程により反射防止層を製造することが好ましい。また、前記防汚層をコーティングすることも好ましい。
好ましい防眩性反射防止フィルムの構成を下記に示すが、これらに限定されるものではない。ここで本発明の防眩層とは、本発明に係る凸構造部及び透明樹脂層からなる層を意味する。
基材フィルム/本発明の防眩層/低屈折率層
基材フィルム/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/帯電防止層/本発明の防眩層/低屈折率層
基材フィルム/帯電防止層/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/本発明の防眩層/低屈折率層/防汚層
基材フィルム/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層
基材フィルム/帯電防止層/本発明の防眩層/低屈折率層/防汚層
基材フィルム/帯電防止層/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層
バックコート層/基材フィルム/本発明の防眩層/低屈折率層
バックコート層/基材フィルム/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/基材フィルム/本発明の防眩層/低屈折率層/防汚層
バックコート層/基材フィルム/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層
本発明では、上記本発明の防眩層を形成した後本発明の防眩層の表面に表面処理行い、該表面処理を行った本発明の防眩層表面に本発明に用いられる低屈折率層(及び高屈折率層)を形成することが好ましい。また、防汚層を設ける前に該低屈折率層に表面処理を行うことも好ましい。
表面処理は、洗浄法、アルカリ処理法、フレームプラズマ処理法、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、スパッタリング法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等が挙げられ、好ましくはアルカリ処理法、コロナ処理法であり、特に好ましくはアルカリ処理法を用いることができる。コロナ処理とは、大気圧下、電極間に1kV以上の高電圧を印加し、放電することで行う処理のことであり、春日電機(株)や(株)トーヨー電機などで市販されている装置を用いて行うことができる。コロナ放電処理の強度は、電極間距離、単位面積当たりの出力、ジェネレーターの周波数に依存する。コロナ処理装置の一方の電極(A電極)は、市販のものを用いることができるが、材質はアルミニウム、ステンレスなどから選択ができる。もう一方はプラスチックフィルムを抱かせるための電極(B電極)であり、コロナ処理が、安定かつ均一に実施されるように、前記A電極に対して一定の距離に設置されるロール電極である。これも通常市販されているものを用いることが出来、材質は、アルミニウム、ステンレス、及びそれらの金属で出来たロールに、セラミックス、シリコン、EPTゴム、ハイパロンゴムなどがライニングされているロールが好ましく用いられる。本発明に用いられるコロナ処理に用いる周波数は、20kHz以上100kHz以下の周波数であり、30kHz〜60kHzの周波数が好ましい。周波数が低下するとコロナ処理の均一性が劣化し、コロナ処理のムラが発生する。また、周波数が大きくなると、高出力のコロナ処理を行う場合には、特に問題ないが、低出力のコロナ処理を実施する場合には、安定した処理を行うことが難しくなり、結果として、処理ムラが発生する。コロナ処理の出力は、1〜5w・min./m2であるが、2〜4w・min./m2の出力が好ましい。電極とフィルムとの距離は、5mm以上50mm以下であるが、好ましくは、10mm以上35mm以下である。間隙が開いてくると、一定の出力を維持するためにより高電圧が必要になり、ムラが発生し易くなる。また、間隙が狭くなり過ぎると、印加する電圧が低くなり過ぎ、ムラが発生し易くなる。更にまた、フィルムを搬送して連続処理する際に電極にフィルムが接触し傷が発生する。
アルカリ処理方法としては、ハードコート層を塗設したフィルムをアルカリ水溶液に浸す方法であれば特に限定されない。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液等が使用可能であり、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度、例えば水酸化ナトリウム濃度は0.1〜25質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
アルカリ処理温度は通常10〜80℃、好ましく20〜60℃である。
アルカリ処理時間は5秒〜5分、好ましくは30秒〜3分である。アルカリ処理後のフィルムは酸性水で中和した後、十分に水洗いを行うことが好ましい。
反射防止層の各層は、凸構造部及び透明樹脂層上に、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法を用いて、塗布により形成することができる。塗布に際しては、基材フィルムが、幅が1.4〜4mでロール状に巻き取られた状態から繰り出して、上記塗布を行い、乾燥・硬化処理した後、ロール状に巻き取られることが好ましい。
更に、本発明の防眩性フィルムを用いた防眩性反射防止フィルムは、基材フィルム上に前記反射防止層を積層した後、ロール状に巻き取った状態で50〜150℃、1〜30日の範囲で加熱処理を行う製造方法によって製造することができる。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば、50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、150℃であれば1〜3日の範囲が好ましい。通常は、巻外部、巻中央部、巻き芯部の加熱処理効果が偏らないように、比較的低温に設定することが好ましく、50〜80℃付近で3〜7日間程度行うことが好ましい。
加熱処理を安定して行うためには、温湿度が調整可能な場所で行うことが必要であり、塵のないクリーンルーム等の加熱処理室で行うことが好ましい。
上記反射防止層や防汚層等の機能性薄膜がコーティングされた防眩性フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度に耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであっても良く、例えばフェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。またガラス繊維などの充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることが更に好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。
このようにして長巻の基材フィルム上に機能性薄膜がコーティングされ、プラスチックコアに巻き取られたロールを、巻き取った状態で前記加熱処理を行うとき、該ロールを回転させることが好ましく、回転は、1分間に1回転以下の速度が好まく、連続でも良く断続的な回転であっても良い。又、加熱期間中に該ロールの巻き替えを1回以上行うことが好ましい。
コアに巻き取られた長巻の防眩性フィルムロールを加熱処理中に回転させる為加熱処理室に専用の回転台を設けることが好ましい。
回転は、断続の場合は停止している時間を10時間以内とすることが好ましく、停止位置は、円周方向に均一となる様にすることが好ましく、停止時間は10分以内とすることがより好ましい。最も好ましくは、連続回転である。
連続回転での回転速度は、1回転に要する時間は好ましくは10時間以下とすることであり、早いと装置的に負担となるため実質的には、15分から2時間の範囲が好ましい。
尚、回転機能を有する専用の台車の場合には、移動や保管中にも防眩性フィルムロールを回転させることが出来て好ましく、この場合、保管期間が長い場合に生じるブラックバンド対策として回転が有効に機能する。
(偏光板)
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には該フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC4FR、以上コニカミノルタオプト(株)製)も好ましく用いられる。本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが590nmで、30〜300nm、Rtが70〜400nmの位相差を有していることが好ましい。これらは例えば、特開2002−71957、特願2002−155395記載の方法で作製することができる。或いは更にディスコチック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することができる。本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
(表示装置)
本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することができる。本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムは平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。画面が30型以上、中でも30型〜54型の大画面の表示装置では、画面の均一性が高く、色むら、ぎらつきや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果に優れており、特にMVA型液晶表示装置、IPS型液晶表示装置では顕著な効果が認められた。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔防眩性フィルムの作製〕
(ハードコート層1の塗布)
市販のセルロースエステルフィルム(コニカミノルタタック KC4UY)の一方の面に、下記のハードコート層塗布組成物をスリットダイで塗布し、熱風の温度、風速を徐々に強め最終的に85℃で乾燥し、続いて活性光線照射部より115mJ/cm2の照射強度で紫外線照射してハードコート層1を設けた。続いて、表3記載のようにハードコート層に表面自由エネルギーを調整する本発明の化合物を添加し、ハードコート層2〜10を作製した。試料の乾燥膜厚は、約5μmになるように固形分と溶媒量を調整した。
(固形分)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
界面活性剤(シリコーン系界面活性剤;エマルゲン404(花王(株)製))
0.5質量部
界面活性剤(シリコーン系界面活性剤;KF−351A(信越化学(株)製))
0.3質量部
(溶媒)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
酢酸エチル 50質量部
作製したハードコートフィルムへ純水を滴下して、20℃で接触角を測定し、表面自由エネルギーを求め表3に記載した。接触角の測定っは、DropMaster(協和界面科学(株)製)を用いて測定した。
Figure 2008185792
(インクジェット法による凸構造部を有する防眩性フィルムの作製)
前記ハードコート層の上に、下記凸構造部塗布液1〜8をインクジェット方式によりインク液滴として4pl、720dpiで出射、着弾し、乾燥後0.2秒後に活性光線照射部より紫外線の照度が0.1W/cm2で、照射量が100mJ/cm2で硬化させ、凸構造部を形成した。インクジェット出射装置は、ラインヘッド方式(図4の(a))を使用し、ノズル間隔が70μmでノズル径が20μmのノズルを256個有するインクジェットヘッドを20基を準備した。インクジェットヘッドは図3に記載の構成のものを使用した。インク供給系は、インク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッド及び配管から構成されており、インク供給タンクからインクジェットヘッド部までは、断熱及び加温(40℃)し、出射温度は40℃、駆動周波数は20kHzで行った。
こうして作製された凸構造部に、表4記載の透明樹脂層用塗布液1〜5を減圧押出し法によって塗布し、表5記載の防眩性フィルム1〜24を作製した。各防眩性フィルムは、塗布長60m、塗布巾0.7mで作製し、後述する評価は、塗布の先頭(塗布長手10m)、後尾(塗布長手60m)および塗布長手35mにおける巾手方向2点(巾手1(フィルム右端から15cm)、巾手2(フィルム左端から15cm))について行った。
(凸構造部塗布液1)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
プロピレングリコールモノエチルエーテル 70質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 30質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部塗布液1を調製した。
(凸構造部塗布液2)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
N−メチル−2−ピロリドン 5質量部
プロピレングリコールモノエチルエーテル 65質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 30質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部塗布液2を調製した。
(凸構造部塗布液3)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
N−メチル−2−ピロリドン 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 95質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部塗布液3を調製した。
(凸構造部塗布液4)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
N−メチル−2−ピロリドン 1質量部
プロピレングリコールモノエチルエーテル 19質量部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部塗布液4を調製した。
(凸構造部塗布液5)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
N−メチル−2−ピロリドン 30質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 70質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部塗布液5を調製した。
(凸構造部塗布液6)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
γ−ブチロラクトン 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 95質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部塗布液6を調製した。
(凸構造部塗布液7)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
γ−ブチロラクトン 5質量部
N−メチル−2−ピロリドン 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 90質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部塗布液7を調製した。
(凸構造部塗布液8)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
γ−ブチロラクトン 1質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 99質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部塗布液8を調製した。
(透明樹脂層塗布液1)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 10質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
0.6質量部
界面活性剤(シリコーン系界面活性剤;FZ2207(日本ユニカー製))
0.05質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
メチルエチルケトン 50質量部
上記組成物を混合撹拌し、透明樹脂層塗布液1を調製した。
次いで、同様な方法で表4に示すように本発明の環状アミド化合物および環状エステル化合物及び微粒子を添加し、透明樹脂塗布液2〜5を調製した。乾燥膜厚は、透明樹脂層塗布液1と同じになるように溶媒量のみを変更し調製した。
Figure 2008185792
《測定・評価》
(Smの測定)
輪郭要素曲線の平均長さ(Sm)は、透明樹脂層を形成した後の試料を用いて、WYKO社製光学干渉式表面粗さ測定機を用いて、JIS B 0601の測定方法により測定した。
(防眩効果)
窓のあるオフィスにて、各フィルムを机の上に広げ、天井の蛍光灯照明及び外光のフィルムへの写り込みを下記のように評価した。
5:蛍光灯の輪郭、及び外光がぼけて写り込みが全く気にならない
4:5と3の中間
3:蛍光灯の輪郭、及び外光の写り込みが僅かに認められる
2:3と1の中間
1:蛍光灯の輪郭、及び外光が分かり写り込みが気になる
(ぎらつき)
作製したフィルムについて、目視にてぎらつきを判定した。
5:ぎらつきが全く分からない
4:ぎらつきが極僅かに分かる
3:ややぎらつきが分かる
2:3と1の中間
1:ぎらつきがかなり気になる
(密着性の評価)
JIS K 5400に準拠した碁盤目試験を行った。具体的には、得られた防眩性フィルムの防眩層を形成した段階の試料を用いて、1mm間隔で縦、横に11本の切れ目を入れ、1mm角の碁盤目を100個作り、この上にセロハン粘着テープを貼り付け、90°で素早く剥がし、剥がれずに残った碁盤目の数をカウントし、下記に示すようなランク評価を行った。また、防眩層を表面にして60℃90%高温高湿サーモにて250時間保存後に同様な密着性評価を行った。更に、防眩層を表面にして常温で紫外線100時間照射後に同様な密着性評価を行った。
◎:100
○:95〜99
△:90〜94
×:70以下
×は実用不可である。
結果を表5、表6、表7に示す。
Figure 2008185792
Figure 2008185792
Figure 2008185792
試料No.24は、凸構造部塗布液を付着させる段階で安定に液滴が付着せず評価不能であった。
表3より本発明の試料は、塗布方向長手及び幅手方向で、防眩性、ぎらつき、密着性において安定した性能が得られることがわかる。
表4より、いずれも本発明の防眩性フィルムは密着性に優れることが分かる。
実施例2
実施例1で作製した防眩性フィルム1〜23の透明樹脂層上に下記低屈折率層を塗設した。
〔反射防止層の作製:低屈折率層〕
下記の低屈折率層塗布組成物1を押出しコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥させた後、紫外線を0.1J/cm2照射して硬化させ、更に120℃で5分間熱硬化させ、厚さ95nmとなるように低屈折率層を設け、防眩性反射防止フィルム1〜23を作製した。尚、この低屈折率層の屈折率は1.37であった。
また作製した防眩性反射防止フィルムについて、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。反射防止性能は広い波長領域において反射率が小さいほど良好であるため、測定結果から450〜650nmにおける最低反射率を求めた。測定は、観察側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率の測定を行った。測定の結果、上記防眩性反射防止フィルムはいずれも反射率で0.7〜1.2の間に反射率を有し良好な結果を示した。
(低屈折率層塗布組成物1の調製)
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン289gとエタノール553gを混和し、これに0.15%酢酸水溶液157gを添加し、25℃のウォーターバス中で30時間攪拌することで加水分解物Aを調製した。
テトラエトキシシラン加水分解物A 110質量部
中空シリカ系微粒子(下記P−2)分散液 30質量部
KBM503(シランカップリング剤、信越化学(株)製) 4質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ−2207、日本ユニカー(株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 400質量部
イソプロピルアルコール 400質量部
〈中空シリカ系微粒子P−2分散液の調製〉
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23核粒子分散液を調製した。(工程(a))
この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO2・Al23多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO228質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ系微粒子(P−2)分散液を調製した。
この中空シリカ系微粒子の第1シリカ被覆層の厚さは3nm、平均粒径は47nm、MOx/SiO2(モル比)は0.0017、屈折率は1.28であった。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定した。
得られた防眩性反射防止フィルムについて、実施例1と同様にして、防眩性、ぎらつきの評価を行い、結果を表8に示した。
次いで、各防眩性反射防止フィルム1〜23を用いて偏光板を作製した。
a)偏光膜の作製
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
b)偏光板の作製
下記工程1〜5に従って偏光膜と前記防眩性反射防止フィルム1〜23、裏面側のセルロースエステルフィルムKC8UCR−5(コニカミノルタオプト(株)製)を貼り合わせて偏光板を作製した。裏面側の偏光板保護フィルムは位相差を有するセルロースエステルフィルムであり、リターデーション値はRo=43nm、Rt=132nmであった。
工程1:50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光膜と貼合する側を鹸化した防眩性反射防止フィルム、セルロースエステルフィルムを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した防眩性反射防止フィルム、セルロースエステルフィルムの上にのせて、更に反射防止層が外側になるように積層し、配置した。
工程4:工程3で積層した防眩性反射防止フィルムと偏光膜とセルロースエステルフィルム試料を圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜とセルロースエステルフィルムと防眩性反射防止フィルム1〜23とを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板1〜23を作製した。
《液晶表示装置の作製》
液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
市販の32型液晶テレビ(MVA型セル)の予め貼合されていた表面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板1〜23をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、位相差を有するセルロースエステルフィルムの面が、液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置1〜23を各々作製した。
《評価》
得られた液晶表示装置1〜23を用いて、図8で示した様な環境で観察し、前記防眩効果、ぎらつき、及び下記視認性及び動画を表示したときの黒のしまりを各々下記の基準に従い目視にて評価した。尚、照明は40W蛍光灯(松下電器製FLR40S−EX−D/M)10本を天井に設置した。また窓から外光が差し込む状態で評価した。
(視認性及び動画を表示したときの黒のしまり)
前述の様に天井からは蛍光灯による人工照明と窓からの外光が差し込んでいる環境下でTV番組の動画像を同ディスプレイに表示し、比較実験を行った。ディスプレイ正面から1m離れた位置で動画像を観察し官能評価を行った。
5:画面上部の蛍光灯の写り込みが気にならず、画面中央部は外光があっても黒がしまって見え、観察中、観察直後においても疲れず違和感がない
4:5と3の中間
3:画面上部の蛍光灯の写り込みが僅かに認められ、画面中央部は外光があると黒がややしまりに欠け、観察後やや疲れる
2:3と1の中間
1:画面上部の蛍光灯の写り込みが認められ、画面中央部は外光の影響で黒のしまりに欠け、見ていると目が疲れる
防眩性反射防止フィルム/液晶表示装置の構成及び上記評価結果を下記表8に示す。
Figure 2008185792
上表より、本発明の防眩性反射防止フィルム、それを用いた偏光板/液晶表示装置は、実施例1と同様に防眩効果、ぎらつき、更には人工照明と窓からの外光が差し込んでいる環境下でも、黒のしまりに優れることが分かる。
基材と液滴による接触角の測定の原理を示した模式図である。 本発明に用いられるインクジェット方式に用いることのできるインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。 本発明で用いることのできるインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。 本発明で好ましく用いることのできるインクジェット方式の一例を示す模式図である。 凸構造部と凸構造部の無い部分の両者を透明樹脂層が覆うことで、なだらかな凹凸が形成される様子を示した模式図である。 本発明の防眩性フィルムの構成を示す模式図である。 基材フィルム上にインクジェット方式で微細凹凸構造形成を行う方法の一例である。 防眩性反射防止フィルムを液晶表示装置に適用した時の観察時の環境を模式的に示した図である。
符号の説明
10 基材フィルム
11 基板
12 圧電素子
13 流路版
13a インク流路
13b 壁部
14 共通液室構成部材
15 インク供給パイプ
16 ノズルプレート
16a ノズル
17 駆動用回路プリント板
18 リード部
19 駆動電極
20 溝
21 保護板
22 流体抵抗
23、24 電極
25 上部隔壁
26 ヒータ
27 ヒータ電源
28 伝熱部材
29 活性光線照射部
30 インクジェットヘッド
31 液滴
32 ノズル
35 バックロール
101 積層ロール
103 第1コータ
104A〜D バックロール
105A〜D 乾燥ゾーン
107 プラズマ処理部
108 インク供給タンク
109 インクジェット出射部
110 加熱部
113 巻き取りロール

Claims (12)

  1. 表面自由エネルギーが1〜15mN/mである透明基材上に、液滴を付着させて凸構造部を形成したのち、該凸構造部を被覆するように透明樹脂層を形成する防眩性フィルムの製造方法であって、該凸構造部を形成する液滴が下記一般式(1)で表される環状アミド化合物または下記一般式(2)で表される環状エステル化合物と活性光線硬化型樹脂と溶媒とを少なくとも含んでなることを特徴とする防眩性フィルムの製造方法。
    Figure 2008185792
    [式中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、かつXは、水素原子、または、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜6のアルキル基を表す]。
    Figure 2008185792
    [式中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の、C2〜12の飽和炭化水素鎖を表し、かつXは、−CH2−または−O−を表す]。
  2. 前記透明基材がフッ素系化合物またはシリコーン化合物を含有する紫外線硬化型樹脂を塗設した平滑なハードコートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  3. 前記防眩性フィルムの製造方法において、輪郭要素曲線の平均長さ(Sm)を10〜35μmとすることを特徴とする請求項1または2に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  4. 前記凸構造部を形成する液滴が、沸点が140〜250℃、粘度が1〜15mPa・sである少なくとも1種の溶媒を60質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  5. 前記溶媒が下記の一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
    一般式(3) R1−O−(Cx2x−O)n−R2
    式中R1、R2は水素原子、アリール基、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基。炭化水素鎖は直鎖でも分岐していてもよい。但し、R1、R2の少なくとも一方は水素原子以外の置換基である。
    n:1〜3の整数
    x:2〜4の整数
  6. 前記凸構造部を被覆する透明樹脂層が、前記環状アミド化合物及び前記環状エステル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  7. 前記凸構造部及び該凸構造部を被覆する透明樹脂層に含有される前記環状アミド化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びε−カプロラクタムからなる群より選択され、前記環状エステル化合物が、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、炭酸プロピレン、及び炭酸エチレンからなる群より選択されること化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  8. 前記凸構造部を被覆する透明樹脂層が、凸構造部長径且つ凸構造部高さより小さい粒子径を有する微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  9. 前記透明基材上に前記凸構造部及び前記透明樹脂層を形成した後、該透明樹脂層上に反射防止層を設けることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法により製造したことを特徴とする防眩性フィルム。
  11. 請求項10に記載の防眩性フィルムを用いることを特徴とする偏光板。
  12. 請求項10に記載の防眩性フィルム、または請求項11に記載の偏光板を用いることを特徴とする表示装置。
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