JP2008185530A - 分離回収用ゲル組成物及びこれを用いた分離回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロマトグラフィーや電気泳動において分離後のゲルから生体物質を容易に溶出することが可能な分離回収用ゲル組成物及びこれを用いた分離回収方法を提供する。
【解決手段】A成分及びB成分を含み、かつ添加剤を添加することでゾル化する分離回収用ゲル組成物であって、A成分は、分子内に少なくともホスホリルコリン類似基と第1の官能基を含有する重合体であり、B成分は、分子内に少なくとも第1の官能基と結合する第2の官能基を含有する高分子化合物である。添加剤は、A成分に対する結合定数がB成分よりも大きい低分子化合物である。
【選択図】なし
【解決手段】A成分及びB成分を含み、かつ添加剤を添加することでゾル化する分離回収用ゲル組成物であって、A成分は、分子内に少なくともホスホリルコリン類似基と第1の官能基を含有する重合体であり、B成分は、分子内に少なくとも第1の官能基と結合する第2の官能基を含有する高分子化合物である。添加剤は、A成分に対する結合定数がB成分よりも大きい低分子化合物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、分離回収用ゲル組成物及びこれを用いた分離回収方法に係り、特に、クロマトグラフィー用や電気泳動用の分離用ゲルとして好適に用いられ、かつ分離後の生体物質をゲルから回収することが可能な分離回収用ゲル組成物及びこれを用いた分離回収方法に関する。
生命工学の研究では、タンパク質やDNAなどの生体物質を分離・精製し、生理活性や立体構造などの各種解析に用いている。従来、複数の生体物質の中から目的とする生体物質を分離・回収するために、ポリアクリルアミドやアガロースなどの高分子ゲルが用いられてきた。
例えばタンパク質の分離では、ドデシル硫酸ナトリウムを用いたポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE法)が広く用いられている。SDS−PAGE法は、分離用ゲルとしてポリアクリルアミドゲルを用い、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)で変性させたタンパク質を電場中で泳動させて分離する方法である。ポリアクリルアミドゲルは三次元網目構造をしており、この中をタンパク質が泳動する際に分子量の大きいものほど網目構造により移動が阻害されることから、タンパク質の分子量に応じて分離することができる。
分離後のゲルから目的タンパク質を溶出させるには、まず分離後のスラブゲルをCBB染色などにより染色し、現れたバンドの中から中から目的タンパク質のバンドを確認して、このバンドを含むゲル断片を剃刀などで切り出す。
続いて、切り出したゲル断片を遠心チューブに入れてホモジナイズ等により破砕し、拡散法や電気泳動溶出法などの方法により破砕後のゲル断片から目的タンパク質を溶出する(例えば、非特許文献1)。
続いて、切り出したゲル断片を遠心チューブに入れてホモジナイズ等により破砕し、拡散法や電気泳動溶出法などの方法により破砕後のゲル断片から目的タンパク質を溶出する(例えば、非特許文献1)。
しかしながら、ゲル中のタンパク質は、網目構造によって移動が阻害されるため、ゲルの中から目的タンパク質を完全に溶出させることは容易でなく、多くの目的タンパク質が溶出されずにゲル中に残存する。また、溶出工程に長時間を要するため、目的タンパク質の変性等が生じることがあり、所望の生理活性や構造特性が得られないという不都合もある。
さらに、溶出操作で目的タンパク質がチューブやホモジナイザなどに付着し、収量が低下するという問題もあった。また、チューブやホモジナイザなどに付着したケラチンなどのタンパク質が試料中に混入し、目的タンパク質の純度低下や失活、分解等を引き起こすこともあった。
さらに、溶出操作で目的タンパク質がチューブやホモジナイザなどに付着し、収量が低下するという問題もあった。また、チューブやホモジナイザなどに付着したケラチンなどのタンパク質が試料中に混入し、目的タンパク質の純度低下や失活、分解等を引き起こすこともあった。
ところで、本発明の発明者らは、先に2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンから誘導される構成単位を有する重合体を生体関連物質分離用ゲル膜として用いる技術を開発している(例えば、特許文献1)。
この構成単位を有する化合物は、細胞膜の構成成分であるリン脂質が有するホスホリルコリン基と類似する官能基(以下、ホスホリルコリン類似基)を有するため、細胞膜と同様にタンパク質や血球といった生体物質との相互作用が極めて弱く、これらの生体物質の吸着や変性を抑制する性質を有している。このため、生体関連物質分離用ゲル膜として用いることで、試料の吸着や変性をさせることなく効率的に生体関連物質を分離することができる。
この構成単位を有する化合物は、細胞膜の構成成分であるリン脂質が有するホスホリルコリン基と類似する官能基(以下、ホスホリルコリン類似基)を有するため、細胞膜と同様にタンパク質や血球といった生体物質との相互作用が極めて弱く、これらの生体物質の吸着や変性を抑制する性質を有している。このため、生体関連物質分離用ゲル膜として用いることで、試料の吸着や変性をさせることなく効率的に生体関連物質を分離することができる。
しかしながら、ホスホリルコリン類似基を有する生体関連物質分離用ゲル膜であっても、分離後の生体関連物質を溶出させる際には上述したSDS−PAGE法と同様に抽出操作が必要となる。このため、上述したように溶出の過程で目的とする生体関連物質の収量の減少や目的外物質の混入が生じるという問題があった。
特に、天然物から微量な物質を分離・溶出する場合、収量の減少は、研究・開発の進展を妨げる大きな要因となっていた。
特に、天然物から微量な物質を分離・溶出する場合、収量の減少は、研究・開発の進展を妨げる大きな要因となっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、クロマトグラフィーや電気泳動において分離後のゲルから生体物質を容易に溶出させることが可能なゲル組成物及びこれを用いた分離回収方法を提供する。
すなわち、上記課題は、本発明の分離回収用ゲル組成物によれば、A成分及びB成分を含み、かつ添加剤を添加することでゾル化する分離回収用ゲル組成物であって、
前記A成分は、分子内に少なくとも下記一般式(1)
(式中、R1は炭素数2〜12の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)で示されるホスホリルコリン類似基と、他の官能基を含有する重合体であり、
前記B成分は、前記A成分の前記他の官能基と結合してゲル化する高分子化合物であり、
前記添加剤は、前記A成分と前記B成分の結合を解離させる低分子化合物であることにより解決される。
前記A成分は、分子内に少なくとも下記一般式(1)
前記B成分は、前記A成分の前記他の官能基と結合してゲル化する高分子化合物であり、
前記添加剤は、前記A成分と前記B成分の結合を解離させる低分子化合物であることにより解決される。
この場合、前記A成分は、前記ホスホリルコリン類似基と、
下記一般式(2)
(式中、Xは置換基を有していてもよいフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−、−C(O)NH−若しくは−S−で表される基を示す。)で示される芳香族ボロン酸基と、を含有する重合体であり、
前記B成分は、分子内に下記一般式(3)
(式中、R8は水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基を示し、pは0又は1であり、2つの水酸基がシス位又はトランス位のいずれであってもよい。)で示されるジオール構造を有する高分子重合体であり、
前記添加剤は、分子内に前記ジオール構造を有し、かつ前記A成分に対する結合定数が前記B成分よりも大きい低分子化合物であることが好ましい。
下記一般式(2)
前記B成分は、分子内に下記一般式(3)
前記添加剤は、分子内に前記ジオール構造を有し、かつ前記A成分に対する結合定数が前記B成分よりも大きい低分子化合物であることが好ましい。
さらに、前記A成分は、下記一般式(4)
(式中、R1は炭素数2〜12の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、R6及びR7はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Xは置換基を有していてもよいフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−、−C(O)NH−若しくは−S−で表される基を示し、mは0.20から0.95、nは0.05から0.80の範囲であり、かつこれらの和が1.00となる。)で示される重合体であると好適である。
また、前記B成分が、アミロース、アミロペクチン、キチン糖、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2,3−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ((メタ)アクリル酸配糖体)から選択される重合体であると好適である。
あるいはまた、前記添加剤が、単糖類、二糖類、三糖類又は低分子多価アルコールから選択される化合物であると好適である。
また、前記A成分は、前記ホスホリルコリン類似基と、
下記一般式(5)
(式中、R10は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)で示される正電荷型官能基と、を含有する重合体であり、
前記B成分は、分子内に下記一般式(6)
(式中、R14は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。)で示される負電荷型官能基を含有する高分子化合物であり、
前記添加剤は、水溶液中で電離して1価又は2価の陽イオンを生成する無機塩であることが好ましい。
下記一般式(5)
前記B成分は、分子内に下記一般式(6)
前記添加剤は、水溶液中で電離して1価又は2価の陽イオンを生成する無機塩であることが好ましい。
あるいは、前記A成分は、前記ホスホリルコリン類似基と、カルボキシル基を含有する重合体であり、
前記B成分は、分子内に下記一般式(7)
(式中、R15は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。)で示されるアルキル基を含有する重合体であり、
前記添加剤は、酸、塩基、水素結合切断剤から選択される低分子化合物であることが好ましい。
前記B成分は、分子内に下記一般式(7)
前記添加剤は、酸、塩基、水素結合切断剤から選択される低分子化合物であることが好ましい。
上記課題は、本発明の分離回収方法によれば、上記した分離回収用ゲル組成物を用いて目的とする生体物質を分離、回収する分離回収方法であって、前記A成分と前記B成分を結合させて前記分離回収用ゲル組成物を作成する作成工程と、前記分離回収用ゲル組成物に生体物質を通過させて分離する分離工程と、前記分離後の分離回収用ゲルのうち前記目的とする生体物質を含む部分を切り出す切出し工程と、前記切り出された前記分離回収用ゲルに前記添加剤を添加して前記A成分と前記B成分を解離させて前記目的とする生体物質を回収する回収工程と、を行うことより解決される。
この場合、前記回収工程により前記A成分と前記B成分を解離させた後の状態のまま前記目的とする生体物質を保存することが好ましい。
本発明の分離回収用ゲル組成物によれば、A成分とB成分を解離させることができるため、分離後のゲルに添加剤を加えることで目的とする生体物質を溶出させて容易に回収することができる。
本発明の分離回収用ゲル組成物を用いた分離回収方法によれば、A成分とB成分からなるゲル組成物を用いて生体物質を分離した後でゲルを切り出し、添加剤を加えることで目的とする生体物質を溶出させて容易に回収することができる。
以下に、本発明の分離回収用ゲル組成物について説明する。なお、以下に説明する材料,器具,条件などは本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
本発明の分離回収用ゲル組成物は、A成分とB成分が結合したゲル状の組成物であり、A成分とB成分の結合を解離させる添加剤を加えることでA成分とB成分が解離してゾル化する。このため、本発明の分離回収用ゲル組成物を生体物質の分離用ゲルとして用い、分離後のゲルに添加剤を加えてゾル化させることで目的とする生体物質を容易に回収できるようにした点を特徴としている。
A成分とB成分からなるゲル組成物は、その結合様式によって、(1)可逆的共有結合型、(2)静電結合型、(3)水素結合型などに大別される。
以下、それぞれの結合様式に分けて、分離回収用ゲル組成物と生体物質の分離回収方法について詳細に説明する。
以下、それぞれの結合様式に分けて、分離回収用ゲル組成物と生体物質の分離回収方法について詳細に説明する。
(1)可逆的共有結合型ゲル組成物
A成分とB成分が可逆的共有結合することでゲル化した組成物である。添加剤としてB成分よりもA成分に対する結合定数が大きな低分子化合物をゲルに加えることで、A成分とB成分の共有結合が開裂してA成分と添加剤が共有結合することでゾル化する。
A成分とB成分が可逆的共有結合することでゲル化した組成物である。添加剤としてB成分よりもA成分に対する結合定数が大きな低分子化合物をゲルに加えることで、A成分とB成分の共有結合が開裂してA成分と添加剤が共有結合することでゾル化する。
(A成分)
前記A成分は、分子内に少なくとも下記一般式(1)
(式中、R1は炭素数2〜12の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)で示されるホスホリルコリン類似基と、
下記一般式(2)
(式中、Xは置換基を有していてもよいフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−、−C(O)NH−若しくは−S−で表される基を示す。)で示される芳香族ボロン酸基と、を含有する重合体である。
前記A成分は、分子内に少なくとも下記一般式(1)
下記一般式(2)
ホスホリルコリン類似基は、生体膜の構成成分の1つであるリン脂質極性基(ホスホリルコリン基)と同一又は類似した構造をしている。このため、ホスホリルコリン類似基を分子内に含むA成分は、水溶媒内で自己組織化して生体膜と類似した性質の擬似生体膜を構築する。この擬似生体膜中にタンパク質やDNAなどの生体物質が保持されることで、生体膜内に存在する場合と同様に安定した状態となり、生体物質を安定化させることができる。
さらに、ホスホリルコリン類似基は、リン酸基とコリン類似基の二つの荷電性基を有している。このリン酸基のマイナス電荷とコリン類似基のプラス電荷は分子内で打ち消しあうため、ホスホリルコリン類似基は電気的に中性な官能基として挙動する。したがって、ホスホリルコリン類似基は、分離される生体物質中の荷電性側鎖と静電的相互作用を起こしにくく、生体物質の構造変化を防止することができると考えられる。
さらにまた、A成分は生体に対する毒性が低いため、取扱いが容易である。これは、重合体の有するホスホリルコリン類似基が生体膜の成分であるリン脂質極性基と類似した構造をしており、生体が異物として認識しにくいためであると推定される。
芳香族ボロン酸基は、ジオール構造に含まれる2つの水酸基と特異的に共有結合する官能基である。A成分の芳香族ボロン酸基は、後述するB成分や添加剤の分子中に含まれる2つの水酸基と共有結合する。
次に、A成分の製造方法について説明する。
A成分は、分子内にホスホリルコリン類似基を含む単量体(ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1))と、分子内に芳香族ボロン酸基を有する単量体(芳香族ボロン酸基含有単量体(a2))を共重合させることで製造することができる。
A成分は、分子内にホスホリルコリン類似基を含む単量体(ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1))と、分子内に芳香族ボロン酸基を有する単量体(芳香族ボロン酸基含有単量体(a2))を共重合させることで製造することができる。
ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)としては、ホスホリルコリン類似基を側鎖に有し、かつ分子内に重合性の(メタ)アクリロイル基を有する単量体から選択することができる。
具体的には、下記一般式(8)で示される化合物が好適に使用される。
(式中、R1は炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R3,R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、R6は水素またはメチル基である。)
このような化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2´−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2´−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2´−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−2´−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3´−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3´−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3´−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−3´−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−3´−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4´−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4´−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−4´−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−4´−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2´−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2´−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2´−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェートなどが挙げられる。ここで、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリルおよび/またはアクリルを意味する、以下同じ意味で使用する。なお、上記化合物は、使用に際して単独又は混合物として用いることができる。
このうち、入手が特に容易などの理由から、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2´−トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(別名、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)が好適である。
このうち、入手が特に容易などの理由から、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2´−トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(別名、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)が好適である。
芳香族ボロン酸基含有単量体(a2)としては、フェニルボロン酸基を側鎖として備え、かつ、分子内に重合性の(メタ)アクリロイル基を有する単量体から選択することができる。
具体的には、下記一般式(9)で示される化合物が好適に使用される。
(式中、R7は水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Xは置換基を有していてもよいフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−、−C(O)NH−若しくは−S−で表される基を示す。)
このような化合物としては、例えば、p−ビニルフェニルボロン酸、m−ビニルフェニルボロン酸、p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルボロン酸、m−(メタ)アクリロイルオキシフェニルボロン酸、p−(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸、m−(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸、p−ビニルオキシフェニルボロン酸、m−ビニルオキシフェニルボロン酸、ビニルウレタンフェニルボロン酸などが挙げられる。なお、上記化合物は、使用に際して単独又は混合物として用いることができる。
このうち、入手が特に容易などの理由から、p−ビニルフェニルボロン酸又はm−ビニルフェニルボロン酸が好適である。
このうち、入手が特に容易などの理由から、p−ビニルフェニルボロン酸又はm−ビニルフェニルボロン酸が好適である。
A成分は、ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)と芳香族ボロン酸基含有単量体(a2)を重合させることで製造される。得られるA成分は、下記一般式(4)
(式中、R1は炭素数2〜12の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、R6及びR7はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Xは置換基を有していてもよいフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−、−C(O)NH−若しくは−S−で表される基を示し、mは0.20から0.95、nは0.05から0.80の範囲であり、かつこれらの和が1.00となる。)で示される重合体である。
上記一般式(4)の重合体は、ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)と芳香族ボロン酸基含有単量体(a2)の2種類の単量体のみを共重合させた二元共重合体であるが、本発明のA成分としては二元共重合体のみに限定されない。疎水性や荷電性、基材等への吸着性や化学結合性を重合体に付与する目的で、第3の単量体やそれ以上を共重合させて三元以上の共重合体としてもよい。
第3の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の親水性単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン等のアルキルオキシシランを有する単量体、シロキサン基を有する単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基を有する単量体、アリルアミン、アミノエチル(メタ)アクリレート、2−メチルアリルアミン等のアミノ基を有する単量体、カルボキシル、水酸基、アルデヒド、チオール、ハロゲン、メトキシ、エポキシ、スクシンイミド、マレイン酸イミド等の基を有する単量体などを挙げることができる。
例えば、第3の単量体としてブチル(メタ)アクリレートなどの側鎖に疎水性基を有する化合物を共重合させることで、ゲルが内包する水の量を低下させ、強度を向上させることができる。
例えば、第3の単量体としてブチル(メタ)アクリレートなどの側鎖に疎水性基を有する化合物を共重合させることで、ゲルが内包する水の量を低下させ、強度を向上させることができる。
重合反応の際に、これら単量体成分が溶液中で均一となっていることが好ましく、固形状の単量体を使用する際には、これらを均一に溶解する溶媒を添加することが好ましい。
さらに、生成する重合体も溶解させることのできる溶媒を使用することが、構造の安定した重合体を得る上で好ましい。また、溶媒は単一である必要はなく、二種類以上の混合溶媒でもよい。
さらに、生成する重合体も溶解させることのできる溶媒を使用することが、構造の安定した重合体を得る上で好ましい。また、溶媒は単一である必要はなく、二種類以上の混合溶媒でもよい。
A成分の重合様式としては、ランダム共重合,ブロック共重合,グラフト共重合など、公知の重合様式のいずれであってもよい。各単量体の重合は、溶液重合,乳化重合,懸濁重合等の公知の方法を用いて行われる。この際、必要に応じて重合系を、窒素,アルゴン等の不活性ガスで置換して、あるいは不活性ガスの雰囲気下において重合を行うとよい。
重合に際しては、公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、反応温度30〜90℃の範囲で分解し、ラジカルを発生するものであれば制限なく使用することができる。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、2,2−アゾビス(2−アミジノプロピル)二塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、こはく酸パーオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2 −アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、t−ブチルペルオキシネオデカノエート等が挙げられる。
特に、安全性、安定性の観点から、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)又は2,2−アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合物、過酸化ベンゾイルやこはく酸パーオキシド等の過酸化物が好適である。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、2,2−アゾビス(2−アミジノプロピル)二塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、こはく酸パーオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2 −アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、t−ブチルペルオキシネオデカノエート等が挙げられる。
特に、安全性、安定性の観点から、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)又は2,2−アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合物、過酸化ベンゾイルやこはく酸パーオキシド等の過酸化物が好適である。
これらのラジカル重合開始剤は単独で用いても混合物で用いてもよい。また、重合開始剤には各種レドックス系の促進剤を用いても良い。重合開始剤の使用量は、単量体組成物100重量部に対して0.05〜3.0重量部が好ましい。反応温度は通常30〜90℃の範囲であり、特に好ましくは40〜80℃である。
ラジカル重合開始剤の種類や濃度、反応時間や反応温度などを適便選択することにより、所望の数平均分子量を有する重合体を得ることができる。さらに、光照射でラジカルを発生する重合開始剤、原子移動リビングラジカル重合反応、可逆的付加開裂連鎖移動重合法などを利用し、分子構造と分子量の制御を行うことも妨げない。
重合体の精製は、再沈殿法,透析法,精密濾過法,限外濾過法など一般的な精製方法により行うことができる。
ラジカル重合開始剤の種類や濃度、反応時間や反応温度などを適便選択することにより、所望の数平均分子量を有する重合体を得ることができる。さらに、光照射でラジカルを発生する重合開始剤、原子移動リビングラジカル重合反応、可逆的付加開裂連鎖移動重合法などを利用し、分子構造と分子量の制御を行うことも妨げない。
重合体の精製は、再沈殿法,透析法,精密濾過法,限外濾過法など一般的な精製方法により行うことができる。
ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)と芳香族ボロン酸基含有単量体(a2)の組成比は、分離する生体物質の安定性やゲルの強度などを考慮して任意の比率とすることができる。
具体的には、重合体中でのホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)の含有割合は、モル分率(すなわち、m/m+n)で0.20〜0.95の範囲であればよい。逆に、芳香族ボロン酸基含有共重合体(a2)の含有割合は、モル分率(すなわち、n/m+n)で0.05〜0.80の範囲であればよい。ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)のモル分率が小さすぎると、水系溶媒への溶解度が小さくなり好ましくない。一方、芳香族ボロン酸基のモル分率が小さすぎるとゲル化しなかったりゲルの強度が著しく低かったりするため好ましくない。
具体的には、重合体中でのホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)の含有割合は、モル分率(すなわち、m/m+n)で0.20〜0.95の範囲であればよい。逆に、芳香族ボロン酸基含有共重合体(a2)の含有割合は、モル分率(すなわち、n/m+n)で0.05〜0.80の範囲であればよい。ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)のモル分率が小さすぎると、水系溶媒への溶解度が小さくなり好ましくない。一方、芳香族ボロン酸基のモル分率が小さすぎるとゲル化しなかったりゲルの強度が著しく低かったりするため好ましくない。
A成分を構成する構成単位の構成割合は、重合反応開始前の各単量体の混合比にほぼ等しくなるため、混合比を調整することで所望の組成比とすることが可能である。例えば、ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)と芳香族ボロン酸基含有単量体(a2)のモル分率(すなわち、m/m+n)構成比率が4:6の共重合体を製造する場合、重合開始前の溶液中のホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)とアルキル基含有単量体(a2)の混合比をモル比で4:6にすればよい。
また、A成分の分子量は、特には限定されないが、数平均分子量で通常1,000〜5,000,000の範囲内にあればよく、好ましくは10,000〜1,000,000の範囲である。分子量が小さすぎるとゲル化しなかったりゲルの強度が低かったりするため好ましくなく、大きすぎるとA成分が溶媒中で溶解しにくくなるため好ましくない。PCポリマーの分子量は、重合開始剤の濃度などの重合条件によって調整することができる。
なお、この場合の数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)により標準ポリエチレングリコールを用いて換算した数平均分子量を意味する。本明細書中の他の記載においても同様の意味である。
なお、この場合の数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)により標準ポリエチレングリコールを用いて換算した数平均分子量を意味する。本明細書中の他の記載においても同様の意味である。
精製した重合体は、乾燥して粉末状で保存するか、または水、各種緩衝液、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ニトロメタンなどの溶媒中で保存することができる。溶媒としては、水溶液や有機溶媒、又は有機溶媒と水溶媒を混合した混合溶媒などを用いることができる。有機溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルオキシド、アセトニトリル、ジオキサン、アセトン、塩化メチレン、クロロホルム、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、n−ヘキサン、イソプロピルエーテル、四塩化炭素、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
(B成分)
次に、B成分について説明する。
B成分は、分子内に下記一般式(3)
(式中、R8は水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基を示し、pは0又は1であり、2つの水酸基がシス位又はトランス位のいずれであってもよい。)で示されるジオール構造を有する高分子重合体である。B成分は、A成分と結合してゲル化する。
なお、pが2以上であると、立体構造上の制約から、ジオール構造の2つの水酸基が芳香族ボロン酸基の2つの水酸基と共有結合できなくなる。
このようなジオール構造を有する重合体としては、アミロース、アミロペクチン、キチン糖の多糖類、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2,3−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ((メタ)アクリル酸配糖体)などのアルコール由来の重合体や、これらの重合体を構成する単量体の2種類以上から構成される共重合体などから選択することができる。
B成分は、水酸基を有する単量体を単独重合させた重合体でもよく、水酸基を有する単量体を2種類以上重合させた共重合体でもよい。また、A成分と結合してゲル化するものであれば、水酸基を有する単量体と水酸基を有しない単量体との共重合体であってもよい。
次に、B成分について説明する。
B成分は、分子内に下記一般式(3)
なお、pが2以上であると、立体構造上の制約から、ジオール構造の2つの水酸基が芳香族ボロン酸基の2つの水酸基と共有結合できなくなる。
このようなジオール構造を有する重合体としては、アミロース、アミロペクチン、キチン糖の多糖類、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2,3−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ((メタ)アクリル酸配糖体)などのアルコール由来の重合体や、これらの重合体を構成する単量体の2種類以上から構成される共重合体などから選択することができる。
B成分は、水酸基を有する単量体を単独重合させた重合体でもよく、水酸基を有する単量体を2種類以上重合させた共重合体でもよい。また、A成分と結合してゲル化するものであれば、水酸基を有する単量体と水酸基を有しない単量体との共重合体であってもよい。
B成分は、A成分と結合してゾル化する必要があるため、ある程度の分子量が必要である。これは、B成分が分子量の小さい低分子化合物であると、A成分と重合しても不溶化しないためである。B成分の数平均分子量は、通常4,000〜1,000,000の範囲内にあればよく、特に、三次元架橋体の生成能力と水系溶媒への溶解性の観点から5,000〜200,000の範囲が好適である。
(添加剤)
次に、添加剤について説明する。
添加剤は、分子内に少なくとも2つの水酸基を有し、かつA成分の芳香族ボロン酸基に対してB成分の2つの水酸基よりも結合力が強く、A成分に対する結合定数がB成分よりも大きい化合物である。このような化合物としては、水系溶媒に溶解し、均一な溶液となることが好ましい。
さらに、添加剤は、後述するようにA成分とB成分が結合してゲル化した状態に添加することでゾル化させる(すなわち、溶媒中に可溶化させる)性質を有する必要がある。このため、添加剤としては、B成分のような高分子化合物ではなく、より分子量の小さい低分子化合物が好ましい。
次に、添加剤について説明する。
添加剤は、分子内に少なくとも2つの水酸基を有し、かつA成分の芳香族ボロン酸基に対してB成分の2つの水酸基よりも結合力が強く、A成分に対する結合定数がB成分よりも大きい化合物である。このような化合物としては、水系溶媒に溶解し、均一な溶液となることが好ましい。
さらに、添加剤は、後述するようにA成分とB成分が結合してゲル化した状態に添加することでゾル化させる(すなわち、溶媒中に可溶化させる)性質を有する必要がある。このため、添加剤としては、B成分のような高分子化合物ではなく、より分子量の小さい低分子化合物が好ましい。
添加剤は、B成分と同様に分子内に下記一般式(3)
(式中、R8は水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基を示し、pは0又は1であり、2つの水酸基がシス位又はトランス位のいずれであってもよい。)で示されるジオール構造を有する低分子化合物である。添加剤、A成分に対する結合定数がB成分よりも大きく、A成分と結合してゾル化させる。
上記ジオール構造のうち、p=1の1,3−ジオール構造よりもp=0の1,2−ジオール構造のほうがA成分の芳香族ボロン酸基との結合力が大きいため好ましい。また、2つの水酸基がトランス位にあるよりもシス位にあるときのほうが芳香族ボロン酸基との結合力が大きく好ましい。
なお、pが2以上であると、立体構造上の制約から、ジオール構造の2つの水酸基が芳香族ボロン酸基の2つの水酸基と共有結合できなくなる。
なお、pが2以上であると、立体構造上の制約から、ジオール構造の2つの水酸基が芳香族ボロン酸基の2つの水酸基と共有結合できなくなる。
添加剤の具体例として、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、フルクトサミンなどの単糖類やその誘導体、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロースなどの二糖類やその誘導体、マルトトリオース、ガラクトトリオース、キシロトリオース、ラフィノース、パノース、メレジトース、ゲンチアノースなどの三糖類やその誘導体、グリセリン、合成ジオール、トリオールなどの低分子多価アルコールなどが挙げられる。このうち、芳香族ボロン酸基との結合力が強く、A成分に対する結合定数が大きい単糖類が好ましい。特に、上述したように1,2−ジオール構造を有し、かつ2つの水酸基がシス位にある化合物が、芳香族ボロン酸基との結合性が高いため好ましい。このような条件を満たし、入手も容易で、かつ生体成分であるため毒性の少ないグルコースが最適である。
なお、四糖類以上のオリゴ糖や多糖類では、A成分と結合してもゾル化しにくいため、添加剤としては不向きである。この点から、添加剤の数平均分子量は、通常520以下であることが好ましい。
なお、四糖類以上のオリゴ糖や多糖類では、A成分と結合してもゾル化しにくいため、添加剤としては不向きである。この点から、添加剤の数平均分子量は、通常520以下であることが好ましい。
(A成分とB成分のゲル化)
A成分とB成分を混合することで、三次元架橋構造を有する分離回収用ゲル組成物が生成する。これは、下記一般式(10)に示すように、A成分中の芳香族ボロン酸基の水酸基とB成分中の2つの水酸基(ジオール)が可逆的共有結合により結合するためと考えられる。
A成分とB成分を混合することで、三次元架橋構造を有する分離回収用ゲル組成物が生成する。これは、下記一般式(10)に示すように、A成分中の芳香族ボロン酸基の水酸基とB成分中の2つの水酸基(ジオール)が可逆的共有結合により結合するためと考えられる。
A成分を溶解した水溶液とB成分を溶解した水溶液を混合することで、特別な添加剤を加えなくてもゲル化して分離回収用ゲル組成物が生成する。なお、粉末状のA成分とB成分を用意し、溶媒中に各粉末を添加して混合することでゲル化させてゲル化させてもよい。
溶媒としては、水や各種緩衝液を用いることができる。緩衝液の具体例としては、リン酸バッファー、酢酸バッファー、クエン酸バッファー、Tris−塩酸バッファー、Tris−酢酸バッファー、Hepesバッファー、MOPSバッファーなどが挙げられる。
A成分の濃度は、通常2.5wt%以上、ゲル化の観点から好ましくは5.0wt%以上である。B成分の濃度は、通常0.625wt%以上、ゲル化の観点から好ましくは2.5wt%が好適である。
A成分の濃度は、通常2.5wt%以上、ゲル化の観点から好ましくは5.0wt%以上である。B成分の濃度は、通常0.625wt%以上、ゲル化の観点から好ましくは2.5wt%が好適である。
A成分とB成分の混合比は、通常1:4〜16:1程度で、ゲルの強度の観点から1:1〜8:1程度が好ましい。
反応温度は、通常10〜50℃であり、特に20〜35℃程度が好ましい。
ゲル化後は、上記溶媒に保存することができる。長期保存の観点から、保存温度は低温、例えば4℃程度が好ましい。
反応温度は、通常10〜50℃であり、特に20〜35℃程度が好ましい。
ゲル化後は、上記溶媒に保存することができる。長期保存の観点から、保存温度は低温、例えば4℃程度が好ましい。
ゲル中には、A成分とB成分のゲル化を阻害しない範囲内で、還元剤、変性剤、キレート剤などの任意の成分を混合することができる。
還元剤としてはジチオトレイトール(DTT)、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、N,N´−ジメチルエチレンジアミン、3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミン、N,N´−ジメチルピペラジンなどが挙げられる。
変性剤としてはドデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン界面活性剤や尿素などの低分子変性剤が挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸などが挙げられる。
その他、目的とする生体物質の特定に応じて、補酵素、ビタミンなどを添加してもよい。
還元剤としてはジチオトレイトール(DTT)、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、N,N´−ジメチルエチレンジアミン、3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミン、N,N´−ジメチルピペラジンなどが挙げられる。
変性剤としてはドデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン界面活性剤や尿素などの低分子変性剤が挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸などが挙げられる。
その他、目的とする生体物質の特定に応じて、補酵素、ビタミンなどを添加してもよい。
分離回収用ゲル組成物は、電気泳動やクロマトグラフィーにおいてタンパク質、DNA、RNAなどの生体物質の分離用に用いることができる。
分離回収用ゲル組成物の形状は、平板状や円筒状などが挙げられる。分離回収用ゲル組成物は、A成分とB成分を混合した直後のゾル状態の混合液を板状のガラス板や円筒状のカラムに流し込んでゲル化させることで、所定の形状にすることができる。
分離回収用ゲル組成物の形状は、平板状や円筒状などが挙げられる。分離回収用ゲル組成物は、A成分とB成分を混合した直後のゾル状態の混合液を板状のガラス板や円筒状のカラムに流し込んでゲル化させることで、所定の形状にすることができる。
作成した分離用ゲルは、三次元網目構造をしているため、分子量の大きさで分子を分離する電気泳動や分子ふるいクロマトグラフィーに用いることができる。
電気泳動の種類としては、分子量の大きさに応じて生体物質を分離する通常の電気泳動のほか、pH勾配を設けて等電点の違いにより生体物質を分離する等電点電気泳動や、分子量による分離と等電点による分離を組み合わせた二次元電気泳動などが挙げられる。
電気泳動の種類としては、分子量の大きさに応じて生体物質を分離する通常の電気泳動のほか、pH勾配を設けて等電点の違いにより生体物質を分離する等電点電気泳動や、分子量による分離と等電点による分離を組み合わせた二次元電気泳動などが挙げられる。
また、様々な特性の側鎖を有する第3の単量体を共重合させて、イオン交換能や特定の分子への特異的結合能を持たせることで、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなど他のクロマトグラフィーに用いることもできる。
例えば、側鎖に荷電性官能基を有する化合物を第3の単量体として用いることで、イオン交換クロマトグラフィー用のゲルとすることができる。また、疎水性側鎖を有する化合物を第3の単量体として用いることで、疎水性相互作用によるアフィニティークロマトグラフィー用のゲルとすることができる。
例えば、側鎖に荷電性官能基を有する化合物を第3の単量体として用いることで、イオン交換クロマトグラフィー用のゲルとすることができる。また、疎水性側鎖を有する化合物を第3の単量体として用いることで、疎水性相互作用によるアフィニティークロマトグラフィー用のゲルとすることができる。
分離後のゲルに対して各種染色を行うことで、目的とする生体物質の位置を確認することができる。タンパク質の場合、クーマシーブリリアントブルー(CBB)、塩化銀、塩化亜鉛、塩化銅、酢酸ナトリウムなどを用いて染色することができる。また、DNAやRNAの場合、臭化エチジウム、塩化銀などにより染色することができる。なお、試料分離前のゲルにこれらの染料を予め加えておいてもよい。
染色後の分離ゲルのうち目的とする生体物質の含まれるバンドを含むゲル断片を剃刀などで切り出し、以下に述べる添加剤を加えて分離ゲルをゾル化させることで、目的とする生体物質を溶出させることができる。
(A成分とB成分のゾル化)
ゲル化している分離回収用ゲル組成物に添加剤を加えると、A成分の芳香族ボロン酸基とB成分のジオールが解離してゾル化する。これは、B成分のジオールよりも添加剤のジオールのほうが、A成分の芳香族ボロン酸基に対する結合力が強いため、下記一般式(11)で示されるように、添加剤を加えることで可逆的共有結合によりゲル化していたA成分とB成分の結合が切断され、A成分と添加剤とが強固に結合するためと考えられる。
ゲル化している分離回収用ゲル組成物に添加剤を加えると、A成分の芳香族ボロン酸基とB成分のジオールが解離してゾル化する。これは、B成分のジオールよりも添加剤のジオールのほうが、A成分の芳香族ボロン酸基に対する結合力が強いため、下記一般式(11)で示されるように、添加剤を加えることで可逆的共有結合によりゲル化していたA成分とB成分の結合が切断され、A成分と添加剤とが強固に結合するためと考えられる。
添加剤としてグルコースを用いる場合、濃度1%の条件下、室温で1晩攪拌することで、ゲルをほぼ完全に溶解させることができる。
ゾル化に要する時間や温度などは、ゲルの強度、溶出させる目的生体物質の特性などを勘案し、適宜設定することができる。
ゾル化に要する時間や温度などは、ゲルの強度、溶出させる目的生体物質の特性などを勘案し、適宜設定することができる。
溶出後の溶液中には、ホスホリルコリン類似基を含むA成分が含まれている。ホスホリルコリン類似基は、上述したように生体物質に対する安定性に優れているため、ゾル化後の溶液のままで目的とする生体物質を安定的に保存することができる。これにより、目的生体物質の溶出後に保存安定化のためのバッファー交換といった特別な処理を行う必要が無く、A成分が残存した状態でそのまま保存することができる。このため、目的物質の溶出と保存とを一貫して行うことができ、分離・回収処理の省力化を図ることができる。
(2)静電結合型ゲル組成物
次に、静電結合型ゲル組成物について説明する。静電結合型ゲル組成物は、A成分とB成分とが静電相互作用(すなわち、イオン結合)により複合体を形成することでゲル化した組成物である。添加剤としてA成分とB成分の静電相互作用を弱める陽イオンを加えることで、A成分とB成分の間のイオン結合が切断されゾル化する。
次に、静電結合型ゲル組成物について説明する。静電結合型ゲル組成物は、A成分とB成分とが静電相互作用(すなわち、イオン結合)により複合体を形成することでゲル化した組成物である。添加剤としてA成分とB成分の静電相互作用を弱める陽イオンを加えることで、A成分とB成分の間のイオン結合が切断されゾル化する。
(A成分)
A成分は、一般式(1)で示されるホスホリルコリン類似基と、
下記一般式(5)
(式中、R10は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)で示される正電荷型官能基と、を含有する重合体である。
正電荷型官能基は、後述するB成分の負電荷型官能基と静電的相互作用して静電結合型複合体(ポリイオンコンプレックス)を形成し、ゲル化する。
A成分は、一般式(1)で示されるホスホリルコリン類似基と、
下記一般式(5)
正電荷型官能基は、後述するB成分の負電荷型官能基と静電的相互作用して静電結合型複合体(ポリイオンコンプレックス)を形成し、ゲル化する。
A成分は、分子内にホスホリルコリン類似基を含む単量体(ホスホリルコリン類似基含有単量体(b1))と、分子内に正電荷型官能基に含む単量体(正電荷型官能基含有単量体(b2))を共重合させることで製造することができる。
ホスホリルコリン類似基は、上述した一般式(1)で示される官能基である。ホスホリルコリン類似基の詳細については上で述べたとおりであるため、ここで詳細な説明は省略する。また、ホスホリルコリン類似基含有単量体(b1)についても、上述したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
ホスホリルコリン類似基は、上述した一般式(1)で示される官能基である。ホスホリルコリン類似基の詳細については上で述べたとおりであるため、ここで詳細な説明は省略する。また、ホスホリルコリン類似基含有単量体(b1)についても、上述したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
正電荷型官能基含有単量体(b2)は、一般式(5)で示される正電荷型官能基を側鎖に有し、かつ分子内に重合性の(メタ)アクリロイル基を有する単量体から選択することができる。
このような化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエチルアンモニウム塩、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリエチルアンモニウム塩、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルトリエチルアンモニウム塩、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリエチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリプロピルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリブチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシペンチルトリメチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメチルアンモニウム塩、2−(ビニルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(アリルオイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(p−ビニルベンジルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(スチリルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(ビニルオキシカルボニル)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(アリルオキシカルボニル)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(アクリロイルアミノ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(ビニルカルボニルアミノ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(アリルオキシカルボニルアミノ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(ブテロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(クロトノイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩等が好ましく挙げられる。より好ましくは、入手が容易であるなどの理由から、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
この場合、アンモニウムイオンの対となるイオンは1価の陰イオンであることが好ましく、具体的には、Cl−,I−,Br−,CH3COO−等が好適である。
このような化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエチルアンモニウム塩、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリエチルアンモニウム塩、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルトリエチルアンモニウム塩、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリエチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリプロピルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリブチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシペンチルトリメチルアンモニウム塩、2−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメチルアンモニウム塩、2−(ビニルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(アリルオイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(p−ビニルベンジルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(スチリルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(ビニルオキシカルボニル)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(アリルオキシカルボニル)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(アクリロイルアミノ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(ビニルカルボニルアミノ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(アリルオキシカルボニルアミノ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(ブテロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩、2−(クロトノイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩等が好ましく挙げられる。より好ましくは、入手が容易であるなどの理由から、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
この場合、アンモニウムイオンの対となるイオンは1価の陰イオンであることが好ましく、具体的には、Cl−,I−,Br−,CH3COO−等が好適である。
A成分の具体例として、下記一般式(12)
(式中、R1は炭素数2〜12の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、R6及びR16はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R10は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、mは0.20から0.95、nは0.05から0.80の範囲であり、かつこれらの和が1.00となる。)で示される共重合体が挙げられる。
B成分は、分子内にホスホリルコリン類似基を含む単量体(ホスホリルコリン類似基含有単量体(c1))と、分子内に負電荷型官能基に含む単量体(負電荷型官能基含有単量体(c2))を共重合させることで製造することができる。
負電荷型官能基含有単量体(c2)は、一般式(6)で示される負電荷型官能基を側鎖に有し、かつ分子内に重合性の(メタ)アクリロイル基を有する単量体から選択することができる。
このような化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルスルホン酸塩、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルスルホン酸塩、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルスルホン酸塩、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシペンチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルスルホン酸塩、2−(ビニルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(アリルオイルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(p−ビニルベンジルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(スチリルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(ビニルオキシカルボニル)エチルスルホン酸塩、2−(アリルオキシカルボニル)エチルスルホン酸塩、2−(アクリロイルアミノ)エチルスルホン酸塩、2−(ビニルカルボニルアミノ)エチルスルホン酸塩、2−(アリルオキシカルボニルアミノ)エチルスルホン酸塩、2−(ブテロイルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(クロトノイルオキシ)エチルスルホン酸塩等が好ましく挙げられる。より好ましくは、入手が容易などの理由から、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩が挙げられる。
この場合、スルホン酸の対となるイオンは1価の陽イオンであることが好ましく、具体的には、Na+,K+,NH4 +等が好適である。
このような化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルスルホン酸塩、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルスルホン酸塩、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルスルホン酸塩、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシペンチルスルホン酸塩、2−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルスルホン酸塩、2−(ビニルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(アリルオイルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(p−ビニルベンジルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(スチリルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(ビニルオキシカルボニル)エチルスルホン酸塩、2−(アリルオキシカルボニル)エチルスルホン酸塩、2−(アクリロイルアミノ)エチルスルホン酸塩、2−(ビニルカルボニルアミノ)エチルスルホン酸塩、2−(アリルオキシカルボニルアミノ)エチルスルホン酸塩、2−(ブテロイルオキシ)エチルスルホン酸塩、2−(クロトノイルオキシ)エチルスルホン酸塩等が好ましく挙げられる。より好ましくは、入手が容易などの理由から、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩が挙げられる。
この場合、スルホン酸の対となるイオンは1価の陽イオンであることが好ましく、具体的には、Na+,K+,NH4 +等が好適である。
B成分の具体例として、下記一般式(13)
(式中、R1は炭素数2〜12の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、R6及びR16はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R14は炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、mは0.20から0.95、nは0.05から0.80の範囲であり、かつこれらの和が1.00となる。)で示される共重合体が挙げられる。
(添加剤)
静電結合型ゲル組成物の添加剤は、A成分の正電荷型官能基とB成分の負電荷型官能基との静電的相互作用を解離させる低分子化合物が挙げられる。具体的には、水溶液中で1価又は2価の陽イオンに電離する無機塩である。
添加剤の具体例としては、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
添加剤の濃度としては、A成分とB成分を解離させるのに十分な電解質濃度となればよく、例えば5M程度が挙げられる。
なお、鉄などの3価の陽イオンは、添加してもゾル化しないため好ましくない。
静電結合型ゲル組成物の添加剤は、A成分の正電荷型官能基とB成分の負電荷型官能基との静電的相互作用を解離させる低分子化合物が挙げられる。具体的には、水溶液中で1価又は2価の陽イオンに電離する無機塩である。
添加剤の具体例としては、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
添加剤の濃度としては、A成分とB成分を解離させるのに十分な電解質濃度となればよく、例えば5M程度が挙げられる。
なお、鉄などの3価の陽イオンは、添加してもゾル化しないため好ましくない。
(A成分とB成分のゲル化)
A成分とB成分を混合することで、三次元架橋構造を有する分離回収用ゲル組成物が生成する。A成分の正電荷型官能基とB成分の負電荷型官能基が静電的相互作用をするためである。
(A成分とB成分のゾル化)
ゲル化している分離回収用ゲル組成物に添加剤を加えると、A成分とB成分が解離してゾル化する。これは、添加剤である無機塩を加えることで電解質強度が上昇し、A成分の正電荷型官能基とB成分の負電荷型官能基の相互作用が弱くなって両成分が解離するためである。
A成分とB成分を混合することで、三次元架橋構造を有する分離回収用ゲル組成物が生成する。A成分の正電荷型官能基とB成分の負電荷型官能基が静電的相互作用をするためである。
(A成分とB成分のゾル化)
ゲル化している分離回収用ゲル組成物に添加剤を加えると、A成分とB成分が解離してゾル化する。これは、添加剤である無機塩を加えることで電解質強度が上昇し、A成分の正電荷型官能基とB成分の負電荷型官能基の相互作用が弱くなって両成分が解離するためである。
(3)水素結合型ゲル組成物
次に、水素結合型ゲル組成物について説明する。水素結合型ゲル組成物は、A成分とB成分が水素結合により複合体を形成することでゲル化した組成物である。添加剤としてA成分に対する結合定数がB成分よりも大きく、A成分とB成分との間の水素結合を切断する添加剤を加えることで、A成分とB成分の間の水素結合が切断されゾル化する。
次に、水素結合型ゲル組成物について説明する。水素結合型ゲル組成物は、A成分とB成分が水素結合により複合体を形成することでゲル化した組成物である。添加剤としてA成分に対する結合定数がB成分よりも大きく、A成分とB成分との間の水素結合を切断する添加剤を加えることで、A成分とB成分の間の水素結合が切断されゾル化する。
前記A成分は、前記ホスホリルコリン類似基と、カルボキシル基を含有する重合体である。
A成分は、分子内にホスホリルコリン類似基を含む単量体(ホスホリルコリン類似基含有単量体(d1))と、カルボキシル基を含む単量体(カルボキシル基含有単量体(d2))を共重合させることで製造することができる。
カルボキシル基含有単量体(b2)は、カルボキシル基を側鎖に有し、かつ分子内に重合性の(メタ)アクリロイル基を有する単量体から選択することができる。このような化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
A成分は、分子内にホスホリルコリン類似基を含む単量体(ホスホリルコリン類似基含有単量体(d1))と、カルボキシル基を含む単量体(カルボキシル基含有単量体(d2))を共重合させることで製造することができる。
カルボキシル基含有単量体(b2)は、カルボキシル基を側鎖に有し、かつ分子内に重合性の(メタ)アクリロイル基を有する単量体から選択することができる。このような化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
A成分の具体例として、下記一般式(14)
(式中、R1は炭素数2〜12の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、R6及びR16はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を示しmは0.20から0.95、nは0.05から0.80の範囲であり、かつこれらの和が1.00となる。)で示される共重合体が挙げられる。
B成分は、分子内にホスホリルコリン類似基を含む単量体(ホスホリルコリン類似基含有単量体(e1))と、アルキル基を含む単量体(アルキル基含有単量体(e2))を共重合させることで製造することができる。
アルキル基含有単量体(e2)は、一般式(7)で示されるアルキル基を側鎖に有し、かつ分子内に重合性の(メタ)アクリロイル基を有する単量体から選択することができる。
このような化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルキル基含有単量体(e2)は、一般式(7)で示されるアルキル基を側鎖に有し、かつ分子内に重合性の(メタ)アクリロイル基を有する単量体から選択することができる。
このような化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
B成分の具体例として、下記一般式(15)
(式中、R1は炭素数2〜12の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の2価の炭化水素基を示し、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、R6及びR16はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を示しmは0.20から0.95、nは0.05から0.80の範囲であり、かつこれらの和が1.00となる。)で示される共重合体が挙げられる。
(添加剤)
水素結合型ゲル組成物の添加剤は、A成分のカルボキシル基とB成分のアルキル基との水素結合を切断する低分子化合物が挙げられる。具体的には、酸、塩基、水素結合切断剤から選択される低分子化合物である。
酸としては塩酸、酢酸、硫酸などが、塩基としては水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
水素結合切断剤としては、活性プロトン含有基やアミド基を有する低分子化合物が挙げられる。具体例としては、尿素、ホルムアミド、アセトアミドなどが挙げられる。
水素結合型ゲル組成物の添加剤は、A成分のカルボキシル基とB成分のアルキル基との水素結合を切断する低分子化合物が挙げられる。具体的には、酸、塩基、水素結合切断剤から選択される低分子化合物である。
酸としては塩酸、酢酸、硫酸などが、塩基としては水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
水素結合切断剤としては、活性プロトン含有基やアミド基を有する低分子化合物が挙げられる。具体例としては、尿素、ホルムアミド、アセトアミドなどが挙げられる。
(A成分とB成分のゲル化)
A成分とB成分を混合することで、三次元架橋構造を有する分離回収用ゲル組成物が生成する。B成分のアルキル基により水中で形成される疎水性領域に、A成分のカルボキシル基が入り込み、カルボキシル基間に新たに水素結合が生じるためである。
pHが3より小さい場合は、カルボキシル基の解離が抑制され、水中ですでに水素結合を形成しているため、B成分とのネットワークが形成されにくく、ゲルが生成しにくい。
一方、pHが8より大きい場合は、カルボキシル基の解離が促進され、水素結合ができにくい。このため、ゲル化は、通常pH3〜8の範囲内で行われる。
A成分とB成分を混合することで、三次元架橋構造を有する分離回収用ゲル組成物が生成する。B成分のアルキル基により水中で形成される疎水性領域に、A成分のカルボキシル基が入り込み、カルボキシル基間に新たに水素結合が生じるためである。
pHが3より小さい場合は、カルボキシル基の解離が抑制され、水中ですでに水素結合を形成しているため、B成分とのネットワークが形成されにくく、ゲルが生成しにくい。
一方、pHが8より大きい場合は、カルボキシル基の解離が促進され、水素結合ができにくい。このため、ゲル化は、通常pH3〜8の範囲内で行われる。
(A成分とB成分のゾル化)
ゲル化している分離回収用ゲル組成物に添加剤として酸や塩基を加えてpHをそれぞれ3以下又は7以上にすると、A成分とB成分が解離してゾル化する。これは、添加剤を加えることでA成分とB成分の水素結合が切断され、両成分が解離するためである。
また、添加剤として活性プロトン含有基又はアミド基を含有する低分子化合物を加えても、水素結合が切断されるためゾル化する。
ゲル化している分離回収用ゲル組成物に添加剤として酸や塩基を加えてpHをそれぞれ3以下又は7以上にすると、A成分とB成分が解離してゾル化する。これは、添加剤を加えることでA成分とB成分の水素結合が切断され、両成分が解離するためである。
また、添加剤として活性プロトン含有基又はアミド基を含有する低分子化合物を加えても、水素結合が切断されるためゾル化する。
以下に、実施例を用いて本発明の内容をより具体的に説明する。
本実施例では、A成分として可逆的共有結合型ゲル組成物を用いた。A成分を構成する単量体のうち、ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)として2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2−トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(以下、MPCと略記する)、芳香族ボロン酸基含有単量体(a2)としてp−ビニルフェニルボロン酸(以下、p−VPBと略記する)、更に第3の単量体としてブチル(メタ)アクリレート(以下、BMAと略記する)からなる三元共重合体(以下、PMBVと略記する)を使用した。共重合体中のMPCとp−VPBとBMAのモル比はMPC:p−VPB:BMA=6:1:3である。また、B成分として、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)を用いた。
本実施例では、A成分として可逆的共有結合型ゲル組成物を用いた。A成分を構成する単量体のうち、ホスホリルコリン類似基含有単量体(a1)として2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2−トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(以下、MPCと略記する)、芳香族ボロン酸基含有単量体(a2)としてp−ビニルフェニルボロン酸(以下、p−VPBと略記する)、更に第3の単量体としてブチル(メタ)アクリレート(以下、BMAと略記する)からなる三元共重合体(以下、PMBVと略記する)を使用した。共重合体中のMPCとp−VPBとBMAのモル比はMPC:p−VPB:BMA=6:1:3である。また、B成分として、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)を用いた。
(A成分の合成)
フラスコにMPCを53g秤量し、エタノール300gを仕込み、かき混ぜながら容器内をアルゴンで置換した。次いで、p−VPBを4.4g、BMAを13g、2,2´−アゾビスイソブチロニトリルを0.49g添加し、全体が均一となるようにかき混ぜた。密栓をした後、60℃に加温し、48時間かき混ぜた。得られた溶液を取り出し、ジエチルエーテル/クロロホルム(組成比:8/2)混合溶液6000ml中に滴下して固形のポリマー(PMBV)を得た。収量は50g、収率は71%であった。これを減圧乾燥し、粉末状のポリマーを得た。
IR分析条件に従ってPMBVを分析した結果、フェニル基に由来する赤外吸収が3600cm−1に、エステル結合に由来する赤外吸収が1730cm−1に確認できた。NMRの測定結果よりPMBV中の各モノマーユニットの組成はMPC/p−VPB/BMA=58/11/31(モル%)であった。数平均分子量は39,000であった。
フラスコにMPCを53g秤量し、エタノール300gを仕込み、かき混ぜながら容器内をアルゴンで置換した。次いで、p−VPBを4.4g、BMAを13g、2,2´−アゾビスイソブチロニトリルを0.49g添加し、全体が均一となるようにかき混ぜた。密栓をした後、60℃に加温し、48時間かき混ぜた。得られた溶液を取り出し、ジエチルエーテル/クロロホルム(組成比:8/2)混合溶液6000ml中に滴下して固形のポリマー(PMBV)を得た。収量は50g、収率は71%であった。これを減圧乾燥し、粉末状のポリマーを得た。
IR分析条件に従ってPMBVを分析した結果、フェニル基に由来する赤外吸収が3600cm−1に、エステル結合に由来する赤外吸収が1730cm−1に確認できた。NMRの測定結果よりPMBV中の各モノマーユニットの組成はMPC/p−VPB/BMA=58/11/31(モル%)であった。数平均分子量は39,000であった。
(ゲル化)
上で得られたPMBVを水に溶解し、所定濃度のポリマー水溶液を調製した。一方、PVAを温水で溶解し、水溶液を調製した後、所定の濃度となるよう水で希釈した。これらを室温で混合することにより、三次元架橋構造を有するゲルを形成させた。
PMBV溶液とPVA溶液を種々の濃度で混合し、ゲル形成能を調べた。その結果を表1に示す。この表で、横軸が混合前のPMBV溶液の濃度(wt%)、縦軸が混合前のPBA溶液の濃度(wt%)を示している。混合比は、PMBV溶液:PVA溶液=1:1である。ゲル形成能の評価は、目視により行った。
○:溶液全体が流動性を失い、完全にゲル化する。
△:一部分の溶液が残存し、ゲルが部分的に生成する。
×:溶液状態を維持し、ゲルの生成が認められない。
上で得られたPMBVを水に溶解し、所定濃度のポリマー水溶液を調製した。一方、PVAを温水で溶解し、水溶液を調製した後、所定の濃度となるよう水で希釈した。これらを室温で混合することにより、三次元架橋構造を有するゲルを形成させた。
PMBV溶液とPVA溶液を種々の濃度で混合し、ゲル形成能を調べた。その結果を表1に示す。この表で、横軸が混合前のPMBV溶液の濃度(wt%)、縦軸が混合前のPBA溶液の濃度(wt%)を示している。混合比は、PMBV溶液:PVA溶液=1:1である。ゲル形成能の評価は、目視により行った。
△:一部分の溶液が残存し、ゲルが部分的に生成する。
×:溶液状態を維持し、ゲルの生成が認められない。
この表から、PMBAの濃度が2.5%よりも低いと完全にゲル化することはなく、2.5%であってもPVAの濃度が5wt%と高濃度でなければ完全なゲル化は起こらなかった。一方、PMBAの濃度が5.0%のときは、PVAの濃度が0.625%と低くても完全にゲル化した。
このように、PMBAとPVAの濃度と混合比を調整することで、ゲルの強度を調整することができることがわかった。
このように、PMBAとPVAの濃度と混合比を調整することで、ゲルの強度を調整することができることがわかった。
Claims (9)
- 前記A成分は、前記ホスホリルコリン類似基と、
下記一般式(2)
前記B成分は、分子内に下記一般式(3)
前記添加剤は、分子内に前記ジオール構造を有し、かつ前記A成分に対する結合定数が前記B成分よりも大きい低分子化合物であることを特徴とする請求項1に記載の分離回収用ゲル組成物。 - 前記B成分が、アミロース、アミロペクチン、キチン糖、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2,3−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ((メタ)アクリル酸配糖体)から選択される重合体であることを特徴とする請求項2に記載の分離回収用ゲル組成物。
- 前記添加剤が、単糖類、二糖類、三糖類又は低分子多価アルコールから選択される化合物であることを特徴とする請求項2に記載の分離回収用ゲル組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の分離回収用ゲル組成物を用いて目的とする生体物質を分離、回収する分離回収方法であって、
前記A成分と前記B成分を結合させて前記分離回収用ゲル組成物を作成する作成工程と、
前記分離回収用ゲル組成物に生体物質を通過させて分離する分離工程と、
前記分離後の分離回収用ゲルのうち前記目的とする生体物質を含む部分を切り出す切出し工程と、
前記切り出された前記分離回収用ゲルに前記添加剤を添加して前記A成分と前記B成分を解離させて前記目的とする生体物質を回収する回収工程と、を行うことを特徴とする分離回収方法。 - 前記回収工程により前記A成分と前記B成分を解離させた後の状態のまま前記目的とする生体物質を保存することを特徴とする請求項8に記載の分離回収方法。
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