JP2008181397A - 交通流分岐率推定装置、交通流分岐率推定システムおよび交通流分岐率推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで分岐率を推定できる交通流分岐率推定装置、交通流分岐率推定システムおよび交通流分岐率推定方法を提供すること。
【解決手段】流入リンク交通量速度算出部220は、流入リンクの車両感知器による計測データと軌跡追跡法から、流入リンクにおける車両の走行軌跡を求める。流出リンク交通量速度算出部230は、流入リンクにおける車両の走行軌跡、流出リンクの車両感知器による計測データ、および軌跡追跡法から、流出リンクにおける車両の走行軌跡を求める。分岐交通量関係式構築部240は、車両の流入リンクから流出リンクへの走行軌跡に同期する流入リンクおよび流出リンクの交通量の関係式を構築する。分岐率組合せ探索部260は、分岐率組合せ生成部250により生成された分岐率の組合せの候補の中から、構築された関係式を最も良く満足する分岐率の組合せを探索する。
【選択図】図1
【解決手段】流入リンク交通量速度算出部220は、流入リンクの車両感知器による計測データと軌跡追跡法から、流入リンクにおける車両の走行軌跡を求める。流出リンク交通量速度算出部230は、流入リンクにおける車両の走行軌跡、流出リンクの車両感知器による計測データ、および軌跡追跡法から、流出リンクにおける車両の走行軌跡を求める。分岐交通量関係式構築部240は、車両の流入リンクから流出リンクへの走行軌跡に同期する流入リンクおよび流出リンクの交通量の関係式を構築する。分岐率組合せ探索部260は、分岐率組合せ生成部250により生成された分岐率の組合せの候補の中から、構築された関係式を最も良く満足する分岐率の組合せを探索する。
【選択図】図1
Description
本発明は、道路交差点等の交通流分岐箇所における交通流の分岐率を推定する交通流分岐率推定装置、交通流分岐率推定システムおよび交通流分岐率推定方法に関する。
道路交差点における交通流の分岐率(以下単に「分岐率」という)は、道路交通管制システムや交通情報提供システムにおいて利用される情報の一つである。分岐率に基づいて信号制御や車両の運転者への情報提供が行われ、交通渋滞の緩和など、道路環境の改善が図られている。
従来、分岐率の計測手法は、目視計測やビデオ撮影データの解析といった現地調査によるものが主流であった。ところが、より利用価値の高い計測結果を得ようとする場合、頻繁かつより多くの地点における計測と、経年変化や周辺環境の変化に応じた長期的な計測の実施が求められる。このような計測を人手による現地調査で行った場合、人件費の問題が生じる。
そこで、交差点に車両が流入する流入リンクと、交差点から車両が流出する流出リンクとに、通過車両の車両番号を認識するAVI(Automatic Vehicle Identification:車番認識装置)をそれぞれ設置して、分岐率を自動計測する技術が、たとえば特許文献1および特許文献2に記載されている。この技術によれば、各AVIで認識された車両番号を照合して個々の車両の分岐方向を判別し、判別された分岐方向を集計する。これにより、人手による現地調査で行うことなく、分岐率を計測できる。
また、交差点にカメラを設置し、カメラ画像に基づいて個々の車両の分岐方向を判別し、同様に分岐方向を集計して分岐率を自動計測する技術が、たとえば特許文献3に記載されている。
特開平6-203288号公報
特開2002-312886号公報
特開2005-190142号公報
しかしながら、上記した特許文献1および特許文献2記載の技術では、全リンクの組合せをカバーするようにAVIを設置してシステム化しなければならない。したがって、導入に多大なコストを要するという問題がある。特許文献3記載の技術も、画像解析が可能な高性能のカメラが交差点ごとに必要であり、やはりコスト面で問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、低コストで分岐率を推定できる交通流分岐率推定装置、交通流分岐率推定システムおよび交通流分岐率推定方法を提供する。
本発明の交通流分岐率推定装置は、流入リンクから複数の流出リンクへと交通流が分岐するノードにおける交通流の分岐率を推定する交通流分岐率推定装置であって、流入リンクと流出リンクとのそれぞれに設置された車両感知器の計測データから、それぞれの設置地点における一定時間間隔ごとの交通量および交通流の速度を取得するデータ取得手段と、前記一定時間間隔ごとの交通流の速度から、流入リンクから流出リンクへと走行する車両の走行軌跡を求め、前記一定時間間隔ごとの交通量から、前記走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量とを算出する交通量算出手段と、前記走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量との関係式を構築する分岐交通量関係式構築手段と、前記関係式に当てはめたときに最もよく適合する分岐率の組合せを探索する分岐率探索手段とを具備する構成を採る。
本発明の交通流分岐率推定システムは、上記交通流分岐率推定装置と他の交通流分岐率推定装置を含んでなる交通流分岐率推定システムであって、前記他の交通流分岐率推定装置は、流入リンクと流出リンクとのそれぞれに設置された交通情報収集提供装置の計測データから、それぞれの設置地点における一定時間間隔ごとの交通量と、それぞれの設置地点で車載機積載車両から送出される前記車両の識別情報および前記識別情報の送出時刻とを取得するデータ取得手段と、前記識別情報および前記識別情報の送出時刻から、流入リンクから流出リンクへと走行する車載機積載車両の走行軌跡を求め、前記一定時間間隔ごとの交通量から、前記車載機積載車両の走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量とを算出する交通量算出手段と、前記車載機積載車両の走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量との関係式を構築する分岐交通量関係式構築手段と、前記車載機積載車両の走行軌跡に同期する交通量の関係式に当てはめたときに最もよく適合する分岐率の組合せを探索する分岐率探索手段とを有する構成を採る。
本発明の交通流分岐率推定システムは、上記交通流分岐率推定装置と他の交通流分岐率推定装置を含んでなる交通流分岐率推定システムであって、前記他の交通流分岐率推定装置は、前記車両感知器の計測データから、それぞれの設置地点における一定時間間隔ごとの交通量を取得するとともに、流入リンクから流出リンクへと走行するプローブカーから送出される前記プローブカーの識別情報、前記識別情報の送出時刻および前記識別情報の送出位置を取得するデータ取得手段と、前記識別情報、前記識別情報の送出時刻、および前記識別情報の送出位置から、前記プローブカーの走行軌跡を求め、前記一定時間間隔ごとの交通量から、前記プローブカーの走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量とを算出する交通量算出手段と、前記プローブカーの走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量との関係式を構築する分岐交通量関係式構築手段と、前記プローブカーの走行軌跡に同期する交通量の関係式に当てはめたときに最もよく適合する分岐率の組合せを探索する分岐率探索手段とを有する構成を採る。
本発明の交通流分岐率推定方法は、流入リンクから複数の流出リンクへと交通流が分岐するノードにおける交通流の分岐率を推定する交通流分岐率推定方法であって、流入リンクと流出リンクとのそれぞれに設置された車両感知器の計測データから、それぞれの設置地点における一定時間間隔ごとの交通量および交通流の速度を取得するデータ取得ステップと、流入リンクにおける前記一定時間間隔ごとの交通流の速度から、前記流入リンクにおける車両の走行軌跡を求める流入リンク走行軌跡算出ステップと、前記流入リンク走行軌跡算出ステップで走行軌跡が求められた車両の流入リンク終点の通過時刻と、流出リンクにおける前記一定時間間隔ごとの交通流の速度とから、前記流出リンクにおける前記車両の走行軌跡を求める流出リンク走行軌跡算出ステップと、前記車両の前記流入リンクから前記流出リンクへの走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量とを、前記流入リンクにおける一定時間間隔ごとの交通量および前記流出リンクにおける一定時間間隔ごとの交通量から算出する交通量算出ステップと、前記走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量との関係式を構築する分岐交通量関係式構築ステップと、前記関係式に当てはめたときに最もよく適合する分岐率の組合せを探索する前記分岐率探索ステップとを有するようにした。
本発明によれば、道路に設置されている既存の車両感知器を利用して、ノード(交差点)における分岐率を推定できる。これにより、AVIやカメラを特に設置することなく、低コストで分岐率を推定できる。
以下、本発明の各実施の形態について、それぞれ図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る交通流分岐率推定装置を含む交通流分岐率推定システムの構成を示すシステム構成図である。交通流分岐率推定システム100は、ノード110に接続される第1〜第4のリンク120−1〜120−4に設置された既存の超音波式車両感知器(以下単に「車両感知器」という)130を用いて、ノード110における交通流の分岐率を推定するシステムである。ノード110は、任意の交差点であり、第1〜第4のリンク120−1〜120−4は、相互通行の道路である。
図1は、本発明の実施の形態1に係る交通流分岐率推定装置を含む交通流分岐率推定システムの構成を示すシステム構成図である。交通流分岐率推定システム100は、ノード110に接続される第1〜第4のリンク120−1〜120−4に設置された既存の超音波式車両感知器(以下単に「車両感知器」という)130を用いて、ノード110における交通流の分岐率を推定するシステムである。ノード110は、任意の交差点であり、第1〜第4のリンク120−1〜120−4は、相互通行の道路である。
図1において、交通流分岐率推定システム100は、ノード110へ車両が流入する道路(以下「流入リンク」という)と、ノード110から車両が流出する道路(以下「流出リンク」という)にそれぞれ設置された車両感知器130と、交通流分岐率推定装置200とを有する。以下、第1〜第4のリンク120−1〜120−4の流入リンクを第1〜第4の流入リンクといい、第1〜第4のリンク120−1〜120−4の流出リンクを第1〜第4の流出リンクという。
車両感知器130は、第1〜第4の流入リンクおよび第1〜第4の流出リンクの任意位置の路面垂直方向に設置されている。車両感知器130は、任意の時間間隔ごとに、直下の計測地点の交通量と車両の存在時間の占める割合とを計測または算出し、任意の時間間隔ごとの時点データとして、交通流分岐率推定装置200に送出する。以下、この任意の時間間隔を5分間隔として説明する。この場合、上記時点データは、5分間隔における通過車両台数を示す5分間交通量と、5分間隔における車両の存在時間(占有時間)またはこの時間の割合を示す占有率とを含む。
交通流分岐率推定装置200は、マイクロコンピュータからなり、車両感知器130の計測データに基づいて、第1〜第4の流入リンクそれぞれの分岐率を算出する。交通流分岐率推定装置200は、データベース210、流入リンク交通量速度算出部220、流出リンク交通量速度算出部230、分岐交通量関係式構築部240、分岐率組合せ生成部250、分岐率組合せ探索部260、および記憶領域(図示せず)を有する。
データベース210は、各車両感知器130から送出される5分間隔ごとの時点データを、時系列に記録する。
流入リンク交通量速度算出部220は、流入リンクごとおよび5分間隔ごとに、感知器130の時点データから交通流の速度を求め、速度データと軌跡追跡法から、5分間隔の最初の時点に計測地点を通過したとする車両およびと最後の時点に計測地点を通過したとする車両の流入リンク終点への到着時刻を求める。また、流入リンク交通量速度算出部220は、流入リンクごとおよび5分間隔ごとに、平均交通量および平均速度を算出する。流入リンクにおける平均交通量は、着目する5分間隔を含む時間帯において5分間交通量を平滑化したものであり、流入リンクにおける平均速度は、同時間帯において交通流の速度を平滑化したものである。
流出リンク交通量速度算出部230は、流出リンクごとおよび5分間隔ごとに、感知器130の時点データから交通流の速度を求める。また、流出リンク交通量速度算出部230は、上記流入リンク終点への到着時刻、速度データおよび軌跡追跡法から、5分間隔ごとに、5分間隔の最初の時点および最後の時点に流入リンクの計測地点を通過したとする車両の流出リンクの計測地点を通過する時刻を求める。そして、求めた時刻と車両感知器130の時点データから、平均交通量および平均速度を算出する。流出リンクにおける平均交通量は、着目する5分間隔の最初の時点および最後の時点に流入リンクの計測地点を通過したとする車両が流出リンクの計測地点を通過する時刻を含む時間帯において5分間交通量を平滑化したものであり、流出リンクにおける平均速度は、同時間帯において交通流の速度を平滑化したものである。
分岐交通量関係式構築部240は、流入リンクの平均交通量と流出リンクの平均交通量から、分岐率の推定の対象となる任意の時間帯について、流入交通量と流出交通量との関係式(以下単に「関係式」という)を構築する。
分岐率組合せ生成部250は、交通状況の日常の観察や経験に基づいて定められた制約条件を充足する第1〜第4の流入リンクの分岐率の組合せ候補を生成する。
分岐率組合せ探索部260は、分岐率の組合せ候補を全流入リンクに対して組合せ、関係式を最も満足する分岐率の組合せを選択する。
以上の構成を有する交通流分岐率推定システム100の動作について、以下、詳細に説明する。
ここで、分岐率の推定の対象となる任意の時間帯を、任意日の7時〜8時の1時間とした場合について説明する。以下、インデックスtは、上記1時間における5分間隔の時点を示し、1,2,3,…,12の値をとる。また、交通流分岐率推定装置200の記憶領域には、全てのリンクについて、リンク始点から計測地点までの距離と、計測地点からリンク終点までの距離とが、あらかじめ格納されているものとする。
第i(i=1,2,3,4)の流入リンクに設置された各車両感知器130は、時点t=1,2,3,…,12に、過去5分間のデータを集計し、5分間交通量Qi*(t)と占有率または占有時間とを交通流分岐率推定装置200に送出する。5分間交通量Qi*(t)は、時点tの5分間隔における第iの流入リンクの全流出リンク“*”(ワイルドカード)への交通量である。
第j(j=1,2,3,4)の流出リンクに設置された各車両感知器130も、各時点tに過去5分間のデータを集計し、5分間交通量Q*j(t)と占有率または占有時間とを交通流分岐率推定装置200に送出する。5分間交通量Q*j(t)は、時点tの5分間隔における第jの流出リンクの全流入リンク“*”からの交通量である。
交通流分岐率推定装置200において、データベース210は、各車両感知器130から送出される5分間交通量Q(t)と占有率または占有時間とを、時系列に蓄積する。
流入リンク交通量速度算出部220は、データベース210に蓄積された占有率または占有時間と、あらかじめ定められた平均車長から、流入リンクごとおよび5分間隔ごとに流入リンクの5分間速度Vi*(t)を算出し、データベース210に蓄積する。5分間速度V(t)は、時刻tの5分間隔における車両速度の平均である。
具体的には、流入リンク交通量速度算出部220は、5分間交通量Qi*(t)に平均車長Lを乗じた値を占有時間Oi*(t)で除して、5分間速度Vi*(t)を算出する。占有時間ではなく占有率が車両感知器130で計測される場合には、5分に占有率を乗じることにより占有時間Oi*(t)を得る。算出された5分間速度Vi*(t)は、データベース210に格納される。以下、5分間交通量Q(t)とこれに対応する5分間速度V(t)とを、「交通流データ」と総称する。
流出リンク交通量速度算出部230は、流入リンク交通量速度算出部220と同様に、流出リンクごとおよび5分間隔ごとに流出リンクの5分間速度V*j(t)を算出し、データベース210に蓄積する。なお、5分間速度Vi*(t),V*j(t)が車両感知器130から送出される場合には、そのままデータベース210に格納される。
分岐率推定の対象となる時間帯の全ての時点tおよび全てにリンクについて、5分間交通量Q(t)と5分間速度V(t)とがデータベース210に格納されると、分岐率推定の処理が開始される。処理の概要は次の通りである。
まず、流入リンク交通量速度算出部220は、5分間交通量Qi*(t)および5分間速度Vi*(t)から平均交通量Q'i*(t)を求め、流出リンク交通量速度算出部230は、5分間交通量Q*j(t)および5分間速度V*j(t)から平均交通量Q'*j(t)を求める。そして、分岐率組合せ探索部260は、分岐率交通量関係式構築部240により構築される関係式と、分岐率組合せ生成部250により生成される分岐率の組合せとを用いて、第iの流入リンクから第jの流出リンクへの分岐率βijを求める。平均交通量Q'i*(t)に分岐率βijを乗じた値が、第iの流入リンクから第jの流出リンクへの推定された分岐平均交通量となる。また、5分間交通量Qi*(t)に分岐率βij乗じた場合には、車両感知器130で時点tに集計された計測データに対する推定された分岐交通量となる。
以下、上述の処理について詳細に説明する。まず、流入リンク交通量速度算出部220の動作について説明する。
図2は、流入リンク交通量速度算出部220の処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS1110において、流入リンク交通量速度算出部220は、分岐率の推定の対象となる時間帯を含む時間帯の交通流データを、データベース210から読み込む。
次に、ステップS1120において、流入リンク交通量速度算出部220は、流入リンクおよび任意の時間間隔(5分間隔)をそれぞれ1つ選択する。そして、流入リンク交通量速度算出部220は、任意の時間間隔の最初の時点に計測地点を通過したとする車両(以下「先頭車両」という)の、流入リンク始点の出発時刻および流入リンク終点への到着時刻を、車両感知器130による速度データと軌跡追跡法から求める。具体的には、流入リンク交通量速度算出部220は、各5分間隔の5分間速度Vi*と、流入リンク始点から計測地点までの距離、および計測地点から流入リンク終点までの距離から、先頭車両および末尾車両の走行軌跡を追跡し、上記時刻を求める。
次に、ステップS1130において、流入リンク交通量速度算出部220は、任意の時間間隔の最後の時点に計測地点を通過したとする車両(以下「末尾車両」という)の、流入リンク始点の出発時刻および流入リンク終点への到着時刻を、車両感知器130による速度データと軌跡追跡法から、同様に求める。
次に、ステップS1140において、流入リンク交通量速度算出部220は、選択した任意の時間間隔を含む時間帯の平均速度V'i*(t)と平均交通量Q'i*(t)とを求める。
具体的には、流入リンク交通量速度算出部220は、流入リンクが短い場合には、選択した任意の時間間隔を通過する車両の、流入リンク始点の最も過去の出発時刻と、流入リンク終点への最も新しい到着時刻とを含む時間帯を抽出する。つまり、先頭車両の流入リンク始点の出発時刻と、末尾車両の流入リンク終点への到着時刻とを含む、5分間隔からなる時間帯を抽出する。そして、流入リンク交通量速度算出部220は、抽出した時間帯の5分間速度Vi*と5分間交通量Qi*をそれぞれ平均し、平均速度V'i*(t)と平均交通量Q'i*(t)を算出する。
一方、流入リンクが長く、計測地点の位置が流入リンク中の前後にずれるような場合には、抽出の対象となる交通流データの数が多くなり、平均速度V'i*(t)や平均交通量Q'i*(t)を算出する際の平滑化項数が増大する。したがって、このような場合には、計測地点の通過時刻、つまり選択した任意の時間間隔の最初の時刻と最後の時刻と、末尾車両の流入リンク終点への到着時刻とを含む時間帯を抽出し、同様に平均速度V'i*(t)と平均交通量Q'i*(t)を求めてもよい。
ここでは、流入リンクが短く、先頭車両の流入リンク始点の出発時刻と末尾車両の流入リンク終点への到着時刻とを含む時間帯の平均値が算出されるものとする。
次に、ステップS1150において、流入リンク交通量速度算出部220は、ステップS1120で選択した任意の時間間隔について、ステップS1120〜S1140の処理を全ての流入リンク分終了したかを判別する。流入リンク交通量速度算出部220は、いずれかの流入リンクに対して上記処理を行っていない場合には(S1150:NO)、ステップS1120に戻って未処理の流入リンクを選択し、上記処理を全ての流入リンク分終了した場合には(S1150:YES)、ステップS1160に進む。
ステップS1160において、流入リンク交通量速度算出部220は、ステップS1120〜S1150の処理を、分岐率の推定の対象となる時間帯の全ての5分間隔分終了したかを判別する。流入リンク交通量速度算出部220は、いずれかの5分間隔に対して上記処理を行っていない場合には(S1160:NO)、ステップS1120に戻って未処理の5分間隔を選択し、上記処理を全ての5分間隔分終了した場合には(S1160:YES)、ステップS1170に進む。
図1に示すように、1本の流出リンクに対して3本の流入リンクが接続されている場合、それぞれの任意の時間間隔で、6組の先頭車両の流入リンク始点の出発時刻および末尾車両の流入リンク終点への到着時刻と、3組の平均速度V'i*(t)および平均交通量Q'i*(t)が得られる。そして、分岐率の推定の対象となる時間帯全体では、これらのデータが12セット(t=1,2,3,…,12)得られる。
図2のステップS1170において、流入リンク交通量速度算出部220は、流入リンクごとおよび5分間隔ごとに求めた、先頭車両および末尾車両それぞれのリンク終点到着時刻と、平均交通量Q'i*(t)とを、交通流分岐率推定装置200の記憶領域に保存し、一連の処理を終了する。
たとえば、ステップS1120,S1130で、時点t=5の5分間隔における先頭車両の流入リンク始点の出発時刻と末尾車両の流入リンク終点への到着時刻が、7時22分、7時34分と算出されたとする。この場合、これらの時刻を含む5分間隔単位の時間帯は、7時20分〜7時35分となる。したがって、ステップS1140で、7時20分〜7時25分、7時25分〜7時30分、7時30分〜7時35分に対応する5分間交通量Qi*(4)、Qi*(5)、Qi*(6)の平均値と、5分間速度Vi*(4)、Vi*(5)、Vi*(6)の平均値が算出される。そして、これらの平均値が、平均交通量Q'i*(5)、平均速度V'i*(5)となる。
次に、流出リンク交通量速度算出部230の動作について説明する。
図3は、流出リンク交通量速度算出部230の処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS1210において、流出リンク交通量速度算出部230は、分岐率の推定の対象となる時間帯を含む時間帯の交通流データを、データベース210から読み込む。また、流出リンク交通量速度算出部230は、分岐率の推定の対象となる時間帯の各時点tについて算出された先頭車両および末尾車両の流入リンク終点への到着時刻を、交通流分岐率推定装置200の記憶領域から読み込む。
次に、ステップS1220において、流出リンク交通量速度算出部230は、流出リンクおよび任意の時間間隔(5分間隔)をそれぞれ1つ選択する。流出リンク交通量速度算出部230は、流出リンク始点の出発時刻を、接続する各流入リンクの終点への到着時刻と置く。そして、先頭車両および末尾車両の流入リンク終点への到着時刻と、車両感知器130による速度データと、軌跡追跡法から、先頭車両および末尾車両それぞれの計測地点の通過時刻および流出リンク終点への到着時刻を求める。具体的には、流出リンク交通量速度算出部230は、各5分間隔の5分間速度V*jと、流出リンク始点から計測地点までの距離、および計測地点から流出リンク終点までの距離から、先頭車両および末尾車両の走行軌跡を追跡し、上記時刻を求める。
次に、ステップS1230において、流出リンク交通量速度算出部230は、先頭車両および末尾車両の計測地点通過時刻を含む時間帯の平均速度V'*j(t)と平均交通量Q'*j(t)とを求める。
具体的には、流出リンク交通量速度算出部230は、流出リンクが短い場合には、流出リンク始点における最も過去の出発時刻と、流出リンク終点における最も新しい到着時刻とを含む5分間隔からなる時間帯を抽出する。そして、流出リンク交通量速度算出部230は、抽出した時間帯の5分間速度V*jと5分間交通量Q*jをそれぞれ平均し、平均速度V'*j(t)と平均交通量Q'*j(t)を求める。
一方、流出リンクが長く、計測地点の位置が流出リンク中の前後にずれるような場合には、先頭車両の流出リンク始点の出発時刻と末尾車両の計測地点通過時刻とを含む時間帯を抽出して平均速度V'*j(t)と平均交通量Q'*j(t)を求め、平滑化項数の増大を抑えるようにしてもよい。
ここでは、流出リンクが短く、先頭車両の流出リンク始点の出発時刻と末尾車両の流出リンク終点への到着時刻とを含む時間帯の平均値が算出されるものとする。
また、一般には1つの流出リンクに複数の流入リンクがあるため、流出リンク交通量速度算出部230は、複数の走行軌跡から、平均速度V'*j(t)および平均交通量Q'*j(t)を求める。たとえば、先頭車両の流入リンク終点への到着時刻のうち最も過去の到着時刻と、末尾車両の流入リンク終点への到着時刻のうち最も新しい到着時刻から、先頭車両の流出リンク始点の出発時刻と末尾車両の流出リンク終点への到着時刻とを求める。
次に、ステップS1240において、流出リンク交通量速度算出部230は、ステップS1220で選択した任意の時間間隔について、ステップS1220,S1230の処理を全ての流出リンク分終了したかを判別する。流出リンク交通量速度算出部230は、いずれかの流出リンクに対して上記処理を行っていない場合には(S1240:NO)、ステップS1220に戻って未処理の流出リンクを選択し、上記処理を全ての流出リンク分終了した場合には(S1240:YES)、ステップS1250に進む。
ステップS1250において、流出リンク交通量速度算出部230は、ステップS1220〜S1240の処理を、分岐率の推定の対象となる時間帯の全ての5分間隔分終了したかを判別する。流出リンク交通量速度算出部230は、いずれかの5分間隔に対して上記処理を行っていない場合には(S1250:NO)、ステップS1220に戻って未処理の5分間隔を選択し、上記処理を全ての5分間隔分終了した場合には(S1250:YES)、ステップS1260に進む。
図1に示すように、1本の流出リンクに対して3本の流入リンクが接続されている場合、それぞれの任意の時間間隔で、それぞれの任意の時間間隔で、6組の先頭車両の流出リンク始点の出発時刻(=先頭車両の流入リンク終点への到着時刻)および末尾車両の流出リンク終点への到着時刻と、1組の平均速度V'*j(t)および平均交通量Q'*j(t)が得られる。そして、分岐率の推定の対象となる時間帯全体では、これらのデータが12セット(t=1,2,3,…,12)得られる。
図3のステップS1260において、流出リンク交通量速度算出部230は、流出リンクごとおよび5分間隔ごとに求めた平均交通量Q'*j(t)を、交通流分岐率推定装置200の記憶領域に保存し、一連の処理を終了する。
たとえば、流入リンクと流出リンクが1本ずつであり、流入リンク側のt=5の5分間隔7時25分〜7時30分に対応する先頭車両および末尾車両の流出リンク始点の出発時刻が、7時27分、7時34分と算出されたとする。また、先頭車両の計測地点通過時刻と末尾車両の計測地点通過時刻が、7時31分、7時37分と算出され、先頭車両の流出リンク終点への到着時刻と末尾車両の流出リンク終点への到着時刻が、7時33分、7時41分と算出されたとする。この場合、先頭車両の流出リンク始点の出発時刻と末尾車両の流出リンク終点への到着時刻が、7時27分、7時41分であることから、これらを含む5分間隔単位の時間帯は、7時25分〜7時45分となる。
したがって、この場合、ステップS1230で、7時25分〜7時30分、7時30分〜7時35分、7時35分〜7時40分、7時40分〜7時45分の5分間交通量Q*j(5)、Q*j(6)、Q*j(7)、Q*j(8)の平均値と、5分間速度V*j(5)、V*j(6)、V*j(7)、V*j(8)の平均値が算出される。そして、これらの平均値が、平均交通量Q'*j(5)、平均速度V'*j(5)となる。
このようにして、任意の時間間隔ごとに、任意の時間間隔の最初の時点および最後の時点に流入リンクの計測地点を通過したとする車両が、流出リンクの計測地点を通過する時刻が求められる。そして、流入リンクで計測された車両が流出リンクで計測されるまでの時間差を考慮した形で、流入リンクの交通流データと流出リンクの交通流データが対応付けられ、任意の時間間隔の平均交通量Q'i*(t)に対応する平均交通量Q'*j(t)が求められる。
図4は、図2および図3の処理を概念的に示す説明図である。図4は、第1,3,4の流入リンクから第2の流出リンク方向への分岐率を求める場合において、1流入・1流出として、第1の流入リンクから第2の流出リンクへの平均交通量と平均速度を求める概念を示している。
図4(A)は、第1、第3、第4の流入リンクの分岐交通量と第2の流出リンクへの流入交通量との関係を示す。第1、第3、第4の流入リンクから第2の流出リンクへの分岐交通量Q12(t),Q32(t),Q42(t)は、5分間交通量Q1*(t),Q3*(t),Q4*(t)に、それぞれ分岐率β12,β32,β42を乗じて得ることができる。分岐交通量Q12,Q32,Q42は、第2のリンク120−2に流入する。
図4(B)は、第1のリンク120−1から第2のリンク120−2へと流入する走行車両の軌跡追跡から出発時刻や到着時刻を求める過程を示す。まず、時点tの5分間隔301の5分間交通量Q1*(t)および5分間速度V1*(t)と、前後の5分間隔の5分間速度V1*(t-1),V1*(t+1)が取得される。そして、軌跡追跡法により、先頭車両と末尾車両の第1の流入リンク始点出発時刻311,312と、第1の流入リンク終点への到着時刻321,322とが求められる。次に、上記到着時刻321,322が、それぞれ先頭車両と末尾車両の第2の流出リンク始点出発時刻331,332と置かれる。そして、各5分間隔における5分間速度V*2から、軌跡追跡法により、先頭車両と末尾車両の第2の流出リンクにおける計測地点通過時刻341,342と、流出リンク終点への到着時刻351,352とが求められる。通過時刻341,342間の時間範囲302は、5分間交通量Q12(t)に対応する交通流が、第2の流出リンクの計測地点を通過する時間範囲である。
図4(C)は、図4(B)に示す過程で求められた時刻や車両感知器130による交通流データから得た平均交通量や平均速度による軌跡追跡結果を示す。まず、出発時刻311および到着時刻322を含む時間帯の5分間交通量Q1*および5分間速度V1*がそれぞれ平滑化され、平均交通量Q'1*(t)および平均速度V'1*(t)が求められる。また、図4(B)に示す出発時刻331および到着時刻352を含む時間帯の5分間交通量Q*2および5分間速度V*2がそれぞれ平滑化され、平均交通量Q'*2(t)および平均速度V'*2(t)が求められる。平均交通量Q'*2(t)に相当する時間範囲は、図4(C)に示す時間範囲303である。
次に、分岐交通量関係式構築部240の動作について説明する。
図5は、分岐交通量関係式構築部240の処理を示すフローチャートである。ここでは、分岐交通量関係式構築部240は、分岐率βijを未知の係数として流入リンクの平均交通量Q'i*(t)に乗じた分岐交通量の流入リンク分の総和と、流出リンクの平均交通量Q'*j(t)とから、平均交通量と分岐率の関係式を構築する。
まず、ステップS1310において、分岐交通量関係式構築部240は、交通流分岐率推定装置200の記憶領域から、分岐率の推定の対象となる時間帯の各々の流入リンクおよび流出リンクの平均交通量Q'i*(t),Q'*j(t)を読み込む。
次に、ステップS1320において、分岐交通量関係式構築部240は、流入リンクの平均交通量Q'i*(t)、流出リンクの平均交通量Q'*j(t)および分岐率βijの関係式を、以下の式(1)のように構築する。
次に、ステップS1330において、分岐交通量関係式構築部240は、構築した関係式を交通流分岐率推定装置200の記憶領域に保存し、一連の処理を終了する。
なお、本実施の形態では、1時間のデータに基づいて関係式を構築するようにしているが、さらに直近の他の時間帯のデータを用いてもよい。この場合には、この追加された時間帯または直後の分岐率を求めることになる。また、過去の同一の時間帯のデータが多数存在する場合には、それらのデータも用いてもよい。この場合には、関係式の数が増加する。
次に、分岐率組合せ生成部250および分岐率組合せ探索部260の動作について説明する。
分岐率組合せ生成部250は、分岐率の組合せを生成する。分岐率組合せ探索部260は、生成された分岐率の組合せの中から、関係式を満足するものを探索する。しかしながら、この関係式を満足する分岐率の組合せは、多数存在する可能性がある。
そこで、分岐率組合せ生成部250は、値「0」〜「1」の数値範囲を、たとえば0.1刻みというように任意のきざみ幅Δbで分割して分岐率βijを離散化し、さらに分岐率の組合せの制約条件を適用することにより、組合せ数の増大を抑制する。上記制約条件としては、たとえば、各流入リンクから流出リンクへの分岐の大小による分岐順序と分岐率βijの最大および最小の下限のしきい値があらかじめ設定され、交通流分岐率推定装置200の記憶領域に保存される。
分岐率の組合せの数は分岐率のきざみ幅Δbによって増減する。したがって、計算負荷と求められる推定精度とを考慮して、適切なきざみ幅Δbを選定すればよい。また、分岐率の制約条件には、時間帯ごとの交通状況の日常の観察や経験等を反映させればよい。たとえば、幹線道路で直進方向への分岐が半数以上と観察される場合、直進方向への分岐率に0.5以上という制約条件が設定される。
図6は、分岐率組合せ生成部250の処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS1410において、分岐率組合せ生成部250は、交通流分岐率推定装置200の記憶領域から、各流入・流出リンクの制約条件を読み込む。この制約条件は、たとえば、各流入リンクから流出リンクへの分岐順序と、分岐率βijの最大および最小の下限のしきい値である。
次に、ステップS1420において、分岐率組合せ生成部250は、各流入・流出リンクの制約条件を充足する各流入リンクの分岐率の組合せを、求める分岐率の組合せの候補として生成する。このとき、分岐のロスがないものとして、第iの流入リンクについての分岐率の総和(Σjβij)が1.0となるような分岐率の組合せを生成する。
たとえば、第1の流入リンクの各流出リンクへの分岐が、降順に第3の流出リンク、第4の流出リンク、第2の流出リンクと設定され、分岐率βijの最小の下限値が0.1、最大の下限値が0.5とそれぞれ設定されたとする。この場合、第2のリンク120−2への分岐率βijは0.1以上となり、第3のリンク120−3への分岐率βijは0.5以上となる。これは、第1のリンク120−1からノード110に流入する車両の少なくとも半分以上が直進し、1割程度が左折するという分岐関係である。第3,4,2の流出リンクへの分岐率の組合せ候補は、{0.5,0.4,0.1},{0.5,0.3,0.2},{0.6,0.3,0.1},{0.7,0.2,0.1}となる。
なお、上記制約条件として、それぞれの分岐方向にレンジを設定してもよい。この場合には、分岐率組合せ生成部250は、全ての方向の分岐率βijが設定された範囲にあるか、または1方向の分岐率βijのみ範囲外にあるような分岐率の組合せ候補を決定する。
次に、ステップS1430において、分岐率組合せ生成部250は、ステップS1420で生成した分岐率の組合せ候補を交通流分岐率推定装置200の記憶領域に保存し、一連の処理を終了する。
図7は、分岐率組合せ探索部260の処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS1510において、分岐率組合せ探索部260は、交通流分岐率推定装置200の記憶領域から、分岐率推定の対象となる時間帯の全ての流入リンクの分岐率の組合せ候補を読み込む。
次に、ステップS1520において、分岐率組合せ探索部260は、上記記憶領域から、関係式に組み込まれた各々の流入リンクと流出リンクの平均交通量Q'i*(t),Q'*j(t)を読み込む。
次に、ステップS1530において、分岐率組合せ探索部260は、分岐率の組合せ候補を全ての流入リンクの全ての時点tの平均交通量Q'i*(t)に対して適用し、関係式を最も良く満足する分岐率の組合せを選択する。
分岐率組合せ探索部260は、たとえば、最適化手法を用い、関係式を最もよく近似する分岐率の組合せを求める。組合せ数が少ない場合には、総当り法を用いて、関係式を最も満足する組合せを特定してもよい。具体的には、たとえば、分岐率の組合せによって、式(1)に示す関係式の左辺から求められる値、つまり交通量の推定値と、式(1)に示す関係式の右辺の値との誤差や自乗誤差の総和を最小化する分岐率の組合せを特定すればよい。組合せ数が多く、組合せ爆発を起こす場合には、ランダム探索法といった手法を適用し、分岐率の組合せ候補を確率的に選択し、最も良好な組合せを求めてもよい。
次に、ステップS1540において、分岐率組合せ探索部260は、選択した分岐率の組合せを、交通流分岐率推定装置200の記憶領域に格納し、一連の処理を終了する。
このようにして、車両感知器130で計測された交通流データから、各流入リンクから各流出リンクへの分岐率βijが推定される。分岐交通量を求める場合には、上記時間帯の交通量に分岐率βijを乗ずればよい。分岐率βijのデータは、たとえば、直後の時間帯や次の日の同じ時間帯における信号制御のためのデータとして用いたり、運転者への情報提供に用いたりして、道路交通渋滞の解消などに役立てることができる。なお、分岐交通量関係式構築部240が生成する関係式が多ければ多いほど、より一般化された推定結果として、分岐率βijが得られる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、流入リンクにおける車両感知器の計測データから、軌跡追跡法により先頭車両および末尾車両の流入リンクにおける走行軌跡を求め、先頭車両および末尾車両の流入リンク終点への到着時刻と流出リンクにおける車両感知器の計測データから、さらに軌跡追跡法により先頭車両および末尾車両の流出リンクにおける走行軌跡を求める。次に、得られた走行軌跡と車両感知器の計測データから、流入・流出リンクそれぞれについて、車両感知器の計測地点を先頭車両が通過してから末尾車両が通過するまでの時間範囲の交通量、つまり先頭車両と末尾車両の走行軌跡に同期する交通量を算出する。そして、同期する流入交通量と流出交通量との関係式を最も良く満足する分岐率の組合せを探索する。これにより、道路に設置されている既存の車両感知器を利用して、ノード(交差点)における分岐率を推定できる。つまり、路上への新たな機材の設置を要しないため、低コストで分岐率を推定でき、各交差点に容易に導入し、既存の交通管制システムや情報提供システムに適用できる。また、得られた分岐率によって、信号制御や交通管理の精度や性能向上に寄与できる。
車両感知器は、交差点から比較的離れた位置に設置されていることが多い。したがって、通常、流入リンクの車両感知器で計測された車両が、流出リンクの車両感知器で計測されるまでには時間差が生じる。本実施の形態によれば、軌跡追跡法により、車両の流入リンクの計測地点通過時刻と流出リンクの計測地点通過時刻とを対応付けて、流入リンクと流出リンクと分岐率の平均交通量関係式を構築するので、上記時間差を考慮した高い精度での分岐率推定が可能となる。
また、本実施の形態によれば、分岐率の制約条件に基づいて分岐率の組合せを生成し、この分岐率の組合せに対して上記探索を行う。これにより、分岐率を効率良く推定することができる。この分岐率の制約条件に、時間帯ごとの交通状況の日常の観察や経験等を反映させるようにすれば、分岐率の推定をさらに効率良く行うことができるだけでなく、上記観察および経験に沿った分岐率推定が可能となる。さらに、分岐率推定の対象となる時間帯の任意の時間間隔ごとに関係式を構築するので、異なる複数の時間範囲における複数の関係式が構築され、高い精度で分岐率βijを推定できる。また、全ての任意の時間間隔における流入リンク計測地点の交通量を均一に用いて上記複数の関係式を構築するので、上記時間帯でより一般化された推定結果を得ることができる。
なお、以上説明した本実施の形態では、車両感知器における計測の単位となる任意の時間間隔の最初の時点および最後の時点に流入リンクの計測地点を通過したとする車両の走行軌跡を求め、これらの走行軌跡に同期する交通量により関係式を構築したが、これに限るものではない。任意の時点に流入リンクの計測地点を通過したとする車両の走行軌跡に同期する交通量により関係式を構築してもよい。また、1つの走行軌跡に同期する交通量から関係式を構築するようにしてもよい。この場合、たとえば、平均交通量を算出する時間幅をあらかじめ定めておくようにすればよい。
(実施の形態2)
光ビーコンは、車両感知のための赤外線通信機能を備えた端末であり、交通情報収集提供装置または光学式車両感知器とも呼ばれる装置である。光ビーコンは、主要な幹線道路には既に導入され、車両感知器と同様に交通量を計測するとともに、一意の車両ID(identifier)を割り振られた車載機を搭載した車両(以下「車載機搭載車両」という)が計測地点を通過するとき、車載機からIDを受信する。実施の形態1で求められる走行軌跡は、感知器の計測データによって算出される仮想的なものであり、実際の車両の走行軌跡とは必ずしも一致しない。一方、光ビーコンのデータからは、車載機搭載車両が実際に計測地点を通過した時刻が求められ、この時刻データを用いることにより、より高い精度で分岐率を推定できる。そこで、本実施の形態では、光ビーコンが各リンクに設置された交差点に対しては光ビーコンのデータから分岐率を推定することにより、車両感知器の計測データから推定された分岐率の誤差を補償し、道路交通網における分岐率推定の精度の向上を図る。
光ビーコンは、車両感知のための赤外線通信機能を備えた端末であり、交通情報収集提供装置または光学式車両感知器とも呼ばれる装置である。光ビーコンは、主要な幹線道路には既に導入され、車両感知器と同様に交通量を計測するとともに、一意の車両ID(identifier)を割り振られた車載機を搭載した車両(以下「車載機搭載車両」という)が計測地点を通過するとき、車載機からIDを受信する。実施の形態1で求められる走行軌跡は、感知器の計測データによって算出される仮想的なものであり、実際の車両の走行軌跡とは必ずしも一致しない。一方、光ビーコンのデータからは、車載機搭載車両が実際に計測地点を通過した時刻が求められ、この時刻データを用いることにより、より高い精度で分岐率を推定できる。そこで、本実施の形態では、光ビーコンが各リンクに設置された交差点に対しては光ビーコンのデータから分岐率を推定することにより、車両感知器の計測データから推定された分岐率の誤差を補償し、道路交通網における分岐率推定の精度の向上を図る。
図8は、本発明の実施の形態2に係る交通流分岐率推定システムの構成を示すシステム構成図であり、実施の形態1の図1に対応するものである。図8において、図1と等価な部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
図8に示すように、交通流分岐率推定システム400は、ノード410に接続された第1〜第4のリンク420の流入・流出リンクのそれぞれに配置された光ビーコン430と、交通流分岐率推定装置500とを有する。各光ビーコン430は、交通流分岐率推定装置500に接続されている。交通流分岐率推定システム400は、図1に示す交通流分岐率推定装置200および第1〜第4のリンク120に設置された車両感知器130を含むが、ここでの図示を省略する。以下、第1〜第4のリンク420−1〜420−4の流入リンクを第1〜第4の流入リンクといい、第1〜第4のリンク420−1〜420−4の流出リンクを第1〜第4の流出リンクという。
光ビーコン430は、第1〜第4の流入リンクおよび第1〜第4の流出リンクの任意位置の路面垂直方向に設置されている。各光ビーコン430は、任意の時間間隔ごとに直下の計測地点の交通量を計測とともに、計測地点において車載機搭載車両から送出されるID等のアップリンクデータを取得する。光ビーコン430は、計測した交通量と、受信したアップリンクデータとを、任意の時間間隔ごとの時点データとして、交通流分岐率推定装置500に送出する。以下、この任意の時間間隔を5分間隔として説明する。この場合、時点データは、5分間隔の通過車両台数を示す計測交通量Q(t)を含む。
交通流分岐率推定装置500は、マイクロコンピュータからなり、光ビーコン430の計測交通量データおよびアップリンクデータに基づいて、第1〜第4の流入リンクの分岐率を算出する。交通流分岐率推定装置500は、流入・流出通過交通量算定部520および分岐交通量関係式構築部540を有する。
データベース210は、各光ビーコン430から送出される時点データを、時系列に蓄積する。
流入・流出通過交通量算定部520は、各流入リンクで取得された車載機搭載車両のIDおよび計測地点通過時刻と、各流出リンクで取得された車載機搭載車両のIDおよび計測地点通過時刻とを照合して車載機搭載車両の軌跡を追跡する。そして、流入・流出通過交通量算定部520は、軌跡追跡車両の計測地点通過時刻、つまり軌跡追跡車両の走行軌跡に同期する流入リンクの通過交通量と流出リンクの通過交通量とを算出する。
分岐交通量関係式構築部540は、流入リンクの通過交通量と流出リンクの通過交通量から、分岐率の推定の対象となる任意の時間帯について、流入交通量と流出交通量との関係式(以下単に「関係式」という)を構築する。
分岐率組合せ生成部250は、軌跡追跡車両の分岐率β'ijに基づく制約条件を充足する第1〜第4の流入リンクの分岐率の組合せ候補を生成する。
分岐率組合せ探索部260は、分岐率の組合せ候補を全流入リンクに対して組合せ、関係式を最も満足する分岐率の組合せを選択する。
以上の構成を有する交通流分岐率推定システム400の動作について、以下、詳細に説明する。
ここで、実施の形態1と同様に、分岐率の推定の対象となる任意の時間帯は任意日の7時〜8時の1時間とし、インデックスtは上記1時間における5分間隔の時点を示す。また、交通流分岐率推定装置500の記憶領域には、全てのリンクについて、リンク始点から計測地点までの距離と、計測地点からリンク終点までの距離とが、あらかじめ格納されているものとする。
各光ビーコン430は、時点t=1,2,3,…,12に、過去5分間のデータを集計し、計測交通量Q(t)と、車載機搭載車両から受信したアップリンクデータを、交通流分岐率推定装置500に送出する。
交通流分岐率推定装置500において、データベース210は、各光ビーコン430から送出される計測交通量Q(t)を時系列に蓄積するとともに、各光ビーコン430から送出されるアップリンクデータを計測地点の通過時刻と対応付けて蓄積する。
流入・流出通過交通量算定部520は、各流入リンクで取得された車載機搭載車両のIDおよび計測地点通過時刻と、各流出リンクで取得された車載機搭載車両のIDおよび計測地点通過時刻とを照合して車載機搭載車両の軌跡を追跡し、車載機搭載車両の分岐を確定する。そして、流入・流出通過交通量算定部520は、分岐が確定された車両(以下「軌跡追跡車両」という)の分岐方向から、軌跡追跡車両の分岐率を算出し、交通流分岐率推定装置500の記憶領域(図示せず)に格納する。具体的には、分岐方向が得られた全車両数で分岐方向別の車両数を除し、各流入リンクから各流出リンク方向への軌跡追跡車両の分岐率β'ijを算出する。
分岐率推定の対象となる時間帯の全ての時点tおよび全てにリンクについて、計測交通量Q(t)および受信したアップリンクデータがデータベース210に格納され、上記時間帯の軌跡追跡車両の分岐率β'ijが記憶領域に格納されると、分岐率推定の処理が開始される。ここでは、軌跡追跡車両の走行軌跡という付与データを参考に、流入・流出交通量に均衡する分岐率、つまり、これらのデータセットに対して平均的な意味で近似する一意の分岐率を推定するものとして説明する。与えるデータが時間帯や傾向等で類似のものであれば、その時間帯や交通状況での交通量によって推定された分岐率β"ijとなる。処理の概要は次の通りである。
まず、流入・流出通過交通量算定部520は、計測交通量Qi*(t),Q*j(t)から、軌跡追跡車両の各計測地点通過時刻に同期する通過交通量Q"i*(t),Q"*j(t)を算出する。そして、分岐率組合せ探索部260は、分岐交通量関係式構築部540により構築される関係式と、軌跡追跡車両の分岐率β'ijに基づき分岐率組合せ生成部250により生成される分岐率の組合せから、通過交通量Q"i*(t),Q"*j(t)に均衡する上記時間帯の分岐率β"ijを推定する。推定分岐率β"ijに任意の時点tの計測交通量Qi*(t)を乗じた値は、第iの流入リンクから第jの流出リンク方向への推定された平均的な分岐交通量となる。
以下、上述の処理について詳細に説明する。まず、流入・流出通過交通量算定部520の動作について説明する。
図9は、流入・流出通過交通量算定部520の処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS4110において、流入・流出通過交通量算定部520は、データベース210から、分岐率の推定の対象となる時間帯について、全ての光ビーコン430における軌跡追跡車両の通過時刻データを、データベース210から読み込む。
次に、ステップS4120において、流入・流出通過交通量算定部520は、分岐率の推定の対象となる時間帯の全ての光ビーコン430の計測交通量データを、データベース210から読み込む。
次に、ステップS4130において、流入・流出通過交通量算定部520は、流入リンクおよび任意の時間間隔(5分間隔)をそれぞれ1つ選択する。そして、流入・流出通過交通量算定部520は、軌跡追跡車両の通過時刻データから、任意の時間間隔内における最も過去の軌跡追跡車両の計測地点通過時刻と最も新しい軌跡追跡車両の計測地点通過時刻を求める。つまり、流入・流出通過交通量算定部520は、任意の時間間隔で、流入リンクの計測地点を最初に通過した軌跡追跡車両(以下「先頭追跡車両」という)の計測地点通過時刻と、最後に通過した軌跡追跡車両(以下「末尾追跡車両」という)の計測地点通過時刻とを求める。
次に、ステップS4140において、流入・流出通過交通量算定部520は、選択した任意の時間間隔の計測交通量Qi*(t)から、先頭追跡車両の計測地点通過時刻から末尾追跡車両の計測地点通過時刻までの時間範囲における通過交通量Q"i*(t)を求める。
図10は、第iの流入リンクにおける通過交通量の算出の概念の一例を示す説明図である。横軸を流入リンクの始点からの距離、縦軸を時間軸とし、7時〜7時5分(t=1)に流入リンクの計測地点を通過した交通流について図示している。
図10に示すように、7時〜7時5分に、光ビーコン430の計測地点611を、車両612が複数台通過し、先頭追跡車両と末尾追跡車両の計測地点通過時刻613,614がそれぞれ7時1分、7時4分であったとする。流入・流出通過交通量算定部520は、通過時刻613から通過時刻614までの時間範囲615の通過交通量Q"i*(1)を、t=1の時間範囲616の計測地点611における計測交通量Qi*(1)と、時間範囲615が時間範囲616において占める割合から算出する。
たとえば、計測交通量Qi*(1)、つまり7時〜7時5分の5分間の交通量が50台であったとする。この場合、流入・流出通過交通量算定部520は、7時1分から7時4分までの時間が3分であることから、通過交通量Q"i*(1)を、50[台]×3[分]/5[分]=30[台]と算定する。
つまり、流入・流出通過交通量算定部520は、任意の時間間隔に対する先頭追跡車両の計測地点通過時刻から末尾追跡車両の計測地点通過時刻までの時間の割合を、計測交通量Qi*(t)に乗じて、通過交通量Q"i*(t)を求める。なお、車載機を搭載していない車両を含む各通過車両の通過時刻も計測されている場合には、先頭追跡車両の流入リンクの計測地点通過時刻から末尾追跡車両の流入リンクの計測地点通過時刻までの実際の通過交通量をカウントしてもよい。
図9のステップS4150において、流入・流出通過交通量算定部520は、選択した任意の時間間隔について、ステップS4130,S4140の処理を全ての流入リンク分終了したかを判別する。流入・流出通過交通量算定部520は、いずれかの流入リンクに対して上記処理を行っていない場合には(S4150:NO)、ステップS4130に戻って未処理の流入リンクを選択し、上記処理を全ての流入リンク分終了した場合には(S4150:YES)、ステップS4160に進む。
ステップS4160において、流入・流出通過交通量算定部520は、流出リンクを1つ選択する。そして、流入・流出通過交通量算定部520は、軌跡追跡車両の通過時刻データから、選択した任意の時間間隔における全流入リンクの先頭追跡車両および末尾追跡車両のうち、流出リンクにおける最も過去の先頭追跡車両の計測地点通過時刻と、最も新しい末尾追跡車両の計測地点通過時刻とを求める。
次に、ステップS4170において、流入・流出通過交通量算定部520は、計測交通量Q*jから、先頭追跡車両の計測地点通過時刻から末尾追跡車両の計測地点通過時刻までの通過交通量Q"*j(t)を求める。ただし、流入側と流出側では、各々で走行軌跡に基づく通過時刻に同期する交通量が求められるため、データの計測時刻には差が存在する。
図11は、第jの流出リンクにおける通過交通量の算出の概念の一例を示す説明図であり、図10に対応するものである。図11は、7時〜7時5分(t=1)に流入リンクの計測地点を通過した交通流が、7時〜7時10分(t=1,2)に流出リンクの計測地点を通過した場合について示している。
流入・流出通過交通量算定部520は、流出リンクにおける先頭追跡車両の最も過去の計測地点通過時刻622から、末尾追跡車両の最も新しい計測地点通過時刻623までの時間範囲624を含む時間範囲625、626の交通量、つまり計測交通量Q*j(1)、Q*j(2)から、通過交通量Q"*j(1)を算出する。
たとえば、通過時刻622,623が、7時2分と7時9分であり、7時〜7時5分の交通量と7時5分〜7時10分の交通量、つまり計測交通量Q*j(1),Q*j(2)が、それぞれ60台、50台であったとする。この場合、流入・流出通過交通量算定部520は、7時2分から7時5分までの時間が3分、7時5分から7時9分までの時間が4分であることから、それぞれの時間範囲625,626に占める割合を用いて、通過交通量Q"*j(1)を、60[台]×3[分]/5[分]+50[台]×4[分]/5[分]=76[台]と算定する。
次に、図9のステップS4180において、流入・流出通過交通量算定部520は、ステップS4130で選択した任意の時間間隔について、ステップS4160,S4170の処理を全ての流出リンク分終了したかを判別する。流入・流出通過交通量算定部520は、いずれかの流出リンクに対して上記処理を行っていない場合には(S4180:NO)、ステップS4160に戻って未処理の流出リンクを選択し、上記処理を全ての流出リンク分終了した場合には(S4180:YES)、ステップS4190に進む。
ステップS4190において、流入・流出通過交通量算定部520は、ステップS4130〜S4180の処理を、分岐率の推定の対象となる時間帯の全ての5分間隔分終了したかを判別する。流入・流出通過交通量算定部520は、いずれかの5分間隔に対して上記処理を行っていない場合には(S4190:NO)、ステップS4130に戻って未処理の5分間隔を選択し、上記処理を全ての5分間隔分終了した場合には(S4190:YES)、ステップS4200に進む。
ステップS4200において、流入・流出通過交通量算定部520は、付与データの時点数分(ここでは、t=1,2,3,…,12)、つまり12組生成された通過交通量Q"i*(t),Q"*j(t)からなるデータセットを、交通流分岐率推定装置500の記憶領域に格納し、一連の処理を終了する。
このようにして、分岐率の推定の対象となる時間帯について、軌跡追跡車両の走行軌跡に同期する通過交通量Q"i*(t),Q"*j(t)が求められる。
次に、分岐交通量関係式構築部540の動作について説明する。
図12は、分岐交通量関係式構築部540の処理を示すフローチャートである。ここでは、分岐交通量関係式構築部540は、分岐率β"ijを未知の係数として流入リンクの通過交通量Q"i*(t)に乗じた分岐交通量の流入リンク分の総和と、流出リンクの通過交通量Q"*j(t)とから、通過交通量と分岐率の関係式を構築する
まず、ステップS4310において、分岐交通量関係式構築部540は、交通流分岐率推定装置500の記憶領域から、分岐率の推定の対象となる時間帯の各々の流入リンクおよび流出リンクの通過交通量Q"i*(t),Q"*j(t)を読み込む。
次に、ステップS4320において、分岐交通量関係式構築部540は、流入リンクの通過交通量Q"i*(t)、流出リンクの通過交通量Q"*j(t)および分岐率β"ijの関係式を、以下の式(2)のように構築する。
ステップS4330において、分岐交通量関係式構築部540は、構築した関係式を、交通流分岐率推定装置500の記憶領域に格納し、一連の処理を終了する。
次に、分岐率組合せ生成部250の動作について説明する。
分岐率組合せ生成部250は、実施の形態1と同様に、各流入・流出リンクの制約条件を読み込み、制約条件を充足する分岐率の組合せ候補を生成する。このとき、本実施の形態では、軌跡追跡車両の分岐率β'ijから、分岐率の組合せの制約条件が設定される。
具体的には、分岐率組合せ生成部250は、たとえば、レンジを利用し、分岐率推定の対象となる時間帯で得られた軌跡追跡車両の分岐率β'ijの分布範囲内に、全ての流出方向への分岐率β"ijが存在するか、または1つを除く流出方向への分岐率β"ijが存在する組合せを生成する。たとえば、第1の流入リンクから第2〜4の流出リンクへの軌跡追跡車両の分岐率β'ijの範囲が、順に0.1〜0.2,0.6〜0.8,0.1〜0.3であるとき、{0.1,0.6,0.3},{0.2,0.7,0.1},{0.3,0.6,0.1},{0.2,0.5,0.3}といった分岐率の組合せが生成される。生成された分岐率の組合せは、交通流分岐率推定装置500の記憶領域に保存される。
以降、実施の形態1と同様に、分岐率組合せ探索部260は、分岐率組合せ生成部250により生成された分岐率の組合せの中から、分岐交通量関係式構築部540により構築された関係式を最も満足する分岐率の組合せを探索する。
このように、本実施の形態によれば、光ビーコンのアップリンクデータから車載機搭載車両の走行軌跡を求め、光ビーコンの計測交通量データから、この走行軌跡に同期する流入・流出リンクの通過交通量を算出し、これら通過交通量の関係式を最も良く満足する分岐率の組合せを探索する。光ビーコンの車載機搭載車両の実際の走行軌跡を用いるので、車両速度と軌跡追跡法から算出された走行軌跡を用いる場合よりも分岐率推定の精度を向上させることができる。これにより、他の交差点で感知器の計測データから推定される分岐率の誤差を補償し、道路交通網全体における分岐率推定の精度向上を図れる。また、走行軌跡を車両速度と軌跡追跡法から算出する必要が無いので、より簡単な処理で交通流の分岐率を推定できる。また、実際の車載機搭載車両の分岐率を分岐率の組合せ候補の制約条件に用いるので、分岐率の推定を効率良くかつ精度良く行うことができる。さらに、道路に設置されている既存の光ビーコンを利用して分岐率を推定できるので、路上への新たな機材の設置を要せず、低コストでシステムを構築できる。
光ビーコンは既に道路に設置されている設備であるが、車載機搭載車両の実際の交通流に占める割合は現状ではまだ十分に高くない。このため、上記した軌跡追跡車両の分岐率のみでは低い精度でしか分岐率を推定できない。これに対し、本実施の形態では、車載機搭載車両以外の車両も含めた交通量のデータを用いるので、より高い精度の分岐率推定を実現できる。
なお、光ビーコンが設置されたリンクに車両感知器など交通量計測が可能な他の設備が設置されている場合には、この設備の計測データを用いてもよい。ただし、この場合には、軌跡追跡車両の走行軌跡から、上記他の設備の計測地点を軌跡追跡車両が通過する時刻を求める必要がある。
また、先頭追跡車両と末尾追跡車両ではなく、他の2つの軌跡追跡車両の軌跡から、通過交通量を求めるようにしてもよい。
さらに、必ずしも任意の時間間隔ごとに2つの軌跡追跡車両を設定しなくてもよい。この場合には、流出リンクにおける通過交通量の算定と同様の手法により、複数の時点の計測交通量から、流入リンクにおける2つの軌跡追跡車両の間の通過交通量を求めればよい。
(実施の形態3)
プローブカーシステムは、携帯電話機等を利用して、車両側から送出されるID、位置情報、および時刻データなどを収集するシステムである。プローブカーシステムでは、このようなデータの送信を行う車両(以下「プローブカー」という)が計測地点を通過した時刻を高い精度で求めることができ、この時刻データを用いることにより、感知器のみを用いた仮想的な走行軌跡を用いる場合に比べて、高い精度で分岐率を推定できる。そこで、本実施の形態では、プローブカーが通過する交差点に対してはプローブカーのデータを用いて分岐率を推定することにより、感知器の計測データを用いて推定される分岐率の誤差を補償し、道路交通網における分岐率推定の精度の向上を図る。
プローブカーシステムは、携帯電話機等を利用して、車両側から送出されるID、位置情報、および時刻データなどを収集するシステムである。プローブカーシステムでは、このようなデータの送信を行う車両(以下「プローブカー」という)が計測地点を通過した時刻を高い精度で求めることができ、この時刻データを用いることにより、感知器のみを用いた仮想的な走行軌跡を用いる場合に比べて、高い精度で分岐率を推定できる。そこで、本実施の形態では、プローブカーが通過する交差点に対してはプローブカーのデータを用いて分岐率を推定することにより、感知器の計測データを用いて推定される分岐率の誤差を補償し、道路交通網における分岐率推定の精度の向上を図る。
図13は、本発明の実施の形態3に係る交通流分岐率推定システムの構成を示すシステム構成図であり、実施の形態1の図1および実施の形態2の図8に対応するものである。図13において、図1および図8と等価な部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
図13に示すように、交通流分岐率推定システム700は、ノード710に接続された第1〜第4のリンク720の流入・流出リンクのそれぞれに配置された車両感知器730と、交通流分岐率推定装置800とを有する。各車両感知器730は、交通流分岐率推定装置800に接続されている。交通流分岐率推定システム700は、図1に示す交通流分岐率推定装置200および第1〜第4のリンク120に設置された車両感知器130を含むが、ここでの図示を省略する。以下、第1〜第4のリンク720−1〜720−4の流入リンクを第1〜第4の流入リンクといい、第1〜第4のリンク720−1〜720−4の流出リンクを第1〜第4の流出リンクという。
車両感知器730は、任意の時間間隔ごとの時点データとして計測交通量を交通流分岐率推定装置800に送出する。以下、この任意の時間間隔を5分間隔として説明する。
交通流分岐率推定装置800は、マイクロコンピュータからなり、車両感知器730の計測交通量データおよびプローブカーデータに基づいて、第1〜第4の流入リンクの分岐率を算出する。交通流分岐率推定装置800は、流入・流出通過交通量算定部820を有する。
また、交通流分岐率推定装置800は、第1〜第4の流入リンクおよび第1〜第4の流出リンクを走行するプローブカーから送出されるプローブカーデータを受信する。プローブカーデータは、プローブカーのIDと、データの送信位置とを含む。
データベース210は、車両感知器730から送出される時点データを時系列に蓄積するとともに、プローブカーから受信したプローブカーデータをデータの受信時刻に対応付けて蓄積する。
流入・流出通過交通量算定部820は、各流入リンクで取得されたプローブカーデータおよび時刻データと、各流出リンクで取得されたプローブカーデータおよび時刻データとを照合してプローブカーの軌跡を追跡し、プローブカーの分岐を確定する。そして、流入・流出通過交通量算定部820は、分岐が確定された車両(以下「軌跡追跡車両」という)の分岐方向から、実施の形態2と同様に、軌跡追跡車両の分岐率を算出し、交通流分岐率推定装置800の記憶領域(図示せず)に格納する。
また、流入・流出通過交通量算定部820は、計測交通量および軌跡追跡車両の走行軌跡に基づいて、軌跡追跡車両の計測地点通過時刻、つまり軌跡追跡車両の走行軌跡に同期する流入リンクの通過交通量と流出リンクの通過交通量とを算出する。ただし、プローブカーデータのデータ送信位置は固定ではないため、流入・流出通過交通量算定部820は、軌跡追跡車両の送信位置と送信時刻から、車両感知器730の計測地点を通過する時刻を算出する。
図14は、流入・流出通過交通量算定部820の処理を示すフローチャートであり、実施の形態2の図9に対応するものである。図14において、図9と同様の部分には同一ステップ番号を付し、これについての説明を省略する。
まず、ステップS7110において、流入・流出通過交通量算定部820は、推定の対象となる時間帯について、対象となる全リンクにおける軌跡追跡車両のデータ送信位置と時刻データとを、データベース210から読み込む。
次に、ステップS7120において、流入・流出通過交通量算定部820は、分岐率の推定の対象となる時間帯をカバーする任意の時間間隔(5分間隔)について、対象となる全てのリンクに設置された車両感知器730で集計された計測交通量データを、データベース210から読み込む。
次に、ステップS7130において、流入・流出通過交通量算定部820は、ある軌跡追跡車両の全ての位置データおよび時刻データ(以下「軌跡追跡車両データ」と総称する)を選択し、流入リンクおよび流出リンク双方における車両感知器730の計測地点の推定通過時刻を求める。
たとえば、軌跡追跡車両が、時点T1,T2(T2>T1)の2回、車両感知器設置位置Pdetを挟む位置Pdet−P1,Pdet+P2でデータ送信を行ったとする。ここで、P1,P2は、それぞれ車両感知器設置位置Pdetまでのデータ送信位置からの距離とする。このとき、流入・流出通過交通量算定部820は、T1+(T2−T1)×{P1/(P1+P2)}というように、線形補間により計測地点の推定通過時刻を求める。また、たとえば、複数の軌跡追跡車両データから、任意の時間間隔ごとの軌跡追跡車両の速度を推定し、推定された車両速度と軌跡追跡法から、計測地点の推定通過時刻を求めてもよい。
次に、ステップS7140において、流入・流出通過交通量算定部820は、ステップS7130,S7140の処理を全ての軌跡追跡車両データ分終了したかを判別する。流入・流出通過交通量算定部820は、いずれかの軌跡追跡車両データに対して処理を行なっていない場合には(S7140:NO)、ステップS7130に戻り、上記処理を全ての軌跡追跡車両データ分終了した場合には(S7140:YES)、ステップS7150に進む。
ステップS7150において、流入・流出通過交通量算定部820は、流入リンクおよび任意の時間間隔をそれぞれ1つ選択する。そして、流入・流出通過交通量算定部820は、軌跡追跡車両の推定通過時刻データから、任意の時間間隔内における最も過去の軌跡追跡車両の計測地点推定通過時刻と最も新しい軌跡追跡車両の計測地点通過時刻を求める。つまり、流入・流出通過交通量算定部820は、任意の時間間隔で、流入リンクの計測地点を最初に通過した軌跡追跡車両(以下「先頭追跡車両」という)の計測地点推定通過時刻と、最後に通過した軌跡追跡車両(以下「末尾追跡車両」という)の計測地点推定通過時刻とを求める。
ステップS7150で求められる計測地点推定通過時刻は、図9のステップS4130で求められる計測地点通過時刻と等価である。したがって、流入・流出通過交通量算定部820は、求めた計測地点推定通過時刻を計測地点通過時刻とおき、次のステップS4140で、実施の形態2と同様に、流入リンクの通過交通量Q"i*(t)を求める。そして、流入・流出通過交通量算定部820は、ステップS7150,S4140の処理をいずれかの流入リンクに対して行っていない場合(S4150:NO)、ステップS7150に戻り、上記処理を全ての流出リンク分終了した場合には(S4150:YES)、ステップS7160に進む。
ステップS7160において、流入・流出通過交通量算定部820は、流出リンクを1つ選択し、各流入リンクから流入してきた先頭追跡車両の最も過去の計測地点推定通過時刻と、各流入リンクから流入してきた末尾追跡車両の最も新しい計測地点推定通過時刻とを求める。つまり、流入・流出通過交通量算定部820は、流出リンクの計測地点を最初に通過したと推定される先頭追跡車両の計測地点推定通過時刻と、最後に通過したと推定される末尾追跡車両の計測地点推定通過時刻とを求める。そして、流入・流出通過交通量算定部820は、ステップS4170に進む。
ステップS7160で求められる計測地点推定通過時刻は、図9のステップS4160で求められる計測地点通過時刻と等価である。したがって、流入・流出通過交通量算定部820は、求めた計測地点推定通過時刻を計測地点通過時刻とおき、ステップS4170で、実施の形態2と同様に、流出リンクの通過交通量Q"*j(t)を求める。そして、流入・流出通過交通量算定部820は、ステップS7160,S4170の処理をいずれかの流出リンクに対して行っていない場合(S4180:NO)、ステップS7150に戻り、上記処理を全ての流出リンク分終了した場合には(S4180:YES)、ステップS4190に進む。
そして、流入・流出通過交通量算定部820は、ステップS7150〜S4180の処理をいずれかの5分間隔に対して行っていない場合には(S4190:NO)、ステップS7150に戻り、全ての5分間隔に対して処理を行った場合には(S4190:YES)、ステップS4200に進む。このようにして、付与の全時点データに対して通過交通量Q"i*(t),Q"*j(t)が算定され、これらのデータセットが記憶領域に保存される。
このようにして、プローブカーデータと車両感知器730の計測交通量データから、軌跡追跡車両の走行軌跡に同期する各流入リンクの通過交通量Q"i*(t)および流出リンクの通過交通量Q"*j(t)が求められる。以降、実施の形態2と同様に、分岐率組合せの制約条件としてプローブカーの軌跡追跡車両の分岐率が用いられ、分岐率の組合せの中から関係式を満たすものを探索する形で交通流の分岐率が推定される。
このように、本実施の形態によれば、実施の形態2と同様に、軌跡追跡車両の走行軌跡に同期する流入・流出リンクの通過交通量の関係式を構築し、交通流の分岐率を推定することができる。プローブカーの情報送出は固定点において行われるものではなく、さらにプローブカーシステムではプローブカー以外の車両の交通量を計測できないが、車両感知器を併用するとともに、走行軌跡を追跡して車両感知器の計測地点の通過時刻を求めることにより、プローブカーのデータを仮想的に光ビーコンによるデータと等価に扱える。つまり、プローブカーの実際の走行軌跡を用いるので、車両速度と軌跡追跡法から算出された走行軌跡を用いる場合よりも分岐率推定の精度を向上させることができる。これにより、他の交差点で感知器の計測データから推定される分岐率の誤差を補償し、道路交通網全体における分岐率推定の精度を向上が図れる。また、実際のプローブカーの分岐率を分岐率の組合せ候補の制約条件に用いるので、分岐率の推定を効率良くかつ精度良く行うことができる。さらに、既存のプローブカーシステムと車両感知器とを利用して分岐率を推定できるので、路上への新たな機材の設置を要せず、低コストでシステムを構築できる。
プローブカーの実際の交通流に占める割合は現状ではまだ十分に高くないため、軌跡追跡車両の分岐率のみでは低い精度でしか分岐率を推定できない。これに対し、本実施の形態では、プローブカー以外の車両も含めた交通量のデータを用いるので、高い精度の分岐率推定を実現できる。
なお、本実施の形態では、感知器が計測した交通量データを用いたが、光ビーコンやその他の設備により計測された交通量データを用いても良い。
また、上記各実施の形態では、4つの流入リンクおよび4つの流出リンクを有する交差点の分岐率を推定する場合について説明したが、他の各種の交差点や交通流分岐箇所に本発明を適用できることは勿論である。
また、交通流データを計測する時間間隔や分岐率の推定の対象となる時間帯は、使用する計測手段や推定結果の使用目的に応じて、それぞれ任意の値を設定できる。
また、交通量を計測する手段として、超音波式車両感知器、光ビーコン、プローブカーシステムを用いる場合を説明したが、これらに限定されるものではない。たとえば、マイクロ波式車両感知器や画像式車両感知器など、それぞれのリンクの一定時間ごとの交通量を計測する装置や、交通流の速度または車両のIDを取得できる装置を用いることも可能である。
本発明に係る交通流分岐率推定装置、交通流分岐率推定システムおよび交通流分岐率推定方法は、低コストで分岐率を推定できる交通流分岐率推定装置、交通流分岐率推定システムおよび交通流分岐率推定方法として有用である。
100,400,700 交通流分岐率推定システム
130,730 車両感知器
200,500,800 交通流分岐率推定装置
210 データベース
220 流入リンク交通量速度算出部
230 流出リンク交通量速度算出部
240,540 分岐交通量関係式構築部
250 分岐率組合せ生成部
260 分岐率組合せ探索部
430 光ビーコン
520,820 流入・流出通過交通量算定部
130,730 車両感知器
200,500,800 交通流分岐率推定装置
210 データベース
220 流入リンク交通量速度算出部
230 流出リンク交通量速度算出部
240,540 分岐交通量関係式構築部
250 分岐率組合せ生成部
260 分岐率組合せ探索部
430 光ビーコン
520,820 流入・流出通過交通量算定部
Claims (12)
- 流入リンクから複数の流出リンクへと交通流が分岐するノードにおける交通流の分岐率を推定する交通流分岐率推定装置であって、
流入リンクと流出リンクとのそれぞれに設置された車両感知器の計測データから、それぞれの設置地点における一定時間間隔ごとの交通量および交通流の速度を取得するデータ取得手段と、
前記一定時間間隔ごとの交通流の速度から、流入リンクから流出リンクへと走行する車両の走行軌跡を求め、前記一定時間間隔ごとの交通量から、前記走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量とを算出する交通量算出手段と、
前記走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量との関係式を構築する分岐交通量関係式構築手段と、
前記関係式に当てはめたときに最もよく適合する分岐率の組合せを探索する分岐率探索手段と、
を有する交通流分岐率推定装置。 - あらかじめ設定された流出リンク側への分岐の大小による順序および分岐の最大と最小の下限のしきい値から、前記ノードにおける交通流の分岐率の組合せの候補を生成する分岐率組合せ生成手段、をさらに有し、
前記分岐率探索手段は、
前記分岐率の組合せの候補の中から、前記関係式に当てはめたときに最もよく適合する分岐率の組合せを探索する、
請求項1記載の交通流分岐率推定装置。 - 前記車両感知器の計測データは、前記車両感知器の設置地点における前記一定時間間隔ごとの車両の占有率又は占有時間を含み、
前記データ取得手段は、
前記占有率又は占有時間と、前記一定時間間隔ごとの交通量と、前記車両感知器の設置地点を通過する車両の平均車長とから、前記交通流の速度を算出する、
請求項1又は請求項2記載の交通流分岐率推定装置。 - 前記交通量算出手段は、
同一の流入リンクから同一の流出リンクへと至る2つの車両のうち、1つ目の車両が前記流入リンクの所定地点を通過してから2つ目の車両が前記流入リンクの所定地点を通過するまでの車両間交通量と、前記1つ目の車両が前記流出リンクの所定地点を通過してから前記2つ目の車両が前記流出リンクの所定地点を通過するまでの交通量とを算出し、
前記分岐交通量関係式構築手段は、
前記流入リンクの車両間交通量と前記流出リンクの車両間交通量との関係式を構築する、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の交通流分岐率推定装置。 - 前記流入リンクの所定地点および前記流出リンクの所定地点は、それぞれ車両感知器の設置地点であり、前記1つ目の車両は、前記一定時間間隔の最初の時点に前記流入リンクの車両感知器の設置地点を通過する車両であり、前記2つ目の車両は、前記一定時間間隔の最初の時点に前記流入リンクの車両感知器の設置地点を通過する車両である、
請求項4記載の交通流分岐率推定装置。 - 前記交通量算出手段は、
前記1つ目の車両および前記2つ目の車両が前記流入リンクの車両感知器の設置地点を通過する時刻を含む時間帯で前記流入リンクの車両感知器の計測データを平滑化して前記流入リンクの平均交通量を算出するとともに、前記1つ目の車両および前記2つ目の車両が前記流出リンクの車両感知器の設置地点を通過する時刻を含む時間帯で前記流出リンクの車両感知器の計測データを平滑化して前記流出リンクの平均交通量を算出し、
前記分岐交通量関係式構築手段は、
前記流入リンクの平均交通量と、前記流出リンクの平均交通量との関係式を構築する、
請求項5記載の交通流分岐率推定装置。 - 前記流入リンクの車両感知器の計測データを平滑化する対象となる時間帯は、前記1つ目の車両が前記流入リンクの車両感知器の設置地点を通過する時刻から前記2つ目の車両が流入リンクの終点に到達する時刻で形成され、前記流出リンクの車両感知器の計測データを平滑化する対象となる時間帯は、前記1つ目の車両が前記流出リンクの始点を出発する時刻から前記2つ目の車両画前記流出リンクの車両感知器の設置地点を通過する時刻で形成される、
請求項6記載の交通流分岐率推定装置。 - 請求項1記載の交通流分岐率推定装置と他の交通流分岐率推定装置を含んでなる交通流分岐率推定システムであって、
前記他の交通流分岐率推定装置は、
流入リンクと流出リンクとのそれぞれに設置された交通情報収集提供装置の計測データから、それぞれの設置地点における一定時間間隔ごとの交通量と、それぞれの設置地点で車載機積載車両から送出される前記車両の識別情報および前記識別情報の送出時刻とを取得するデータ取得手段と、
前記識別情報および前記識別情報の送出時刻から、流入リンクから流出リンクへと走行する車載機積載車両の走行軌跡を求め、前記一定時間間隔ごとの交通量から、前記車載機積載車両の走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量とを算出する交通量算出手段と、
前記車載機積載車両の走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量との関係式を構築する分岐交通量関係式構築手段と、
前記車載機積載車両の走行軌跡に同期する交通量の関係式に当てはめたときに最もよく適合する分岐率の組合せを探索する分岐率探索手段と、
を有する交通流分岐率推定システム。 - 前記他の交通流分岐率推定装置の交通量算出手段は、
同一の流入リンクから同一の流出リンクへと至る2つの車載機積載車両のうち、1つ目の車載機積載車両が前記流入リンクの所定地点を通過してから2つ目の車載機積載車両が前記流入リンクの所定地点を通過するまでの車両間交通量と、前記1つ目の車載機積載車両が前記流出リンクの所定地点を通過してから前記2つ目の車載機積載車両が前記流出リンクの所定地点を通過するまでの交通量とを算出し、
前記分岐交通量関係式構築手段は、
前記2つの車載機積載車両に基づく前記流入リンクの車両間交通量と前記流出リンクの車両間交通量との関係式を構築する、
請求項8記載の交通流分岐率推定システム。 - 請求項1記載の交通流分岐率推定装置と他の交通流分岐率推定装置を含んでなる交通流分岐率推定システムであって、
前記他の交通流分岐率推定装置は、
前記車両感知器の計測データから、それぞれの設置地点における一定時間間隔ごとの交通量を取得するとともに、流入リンクから流出リンクへと走行するプローブカーから送出される前記プローブカーの識別情報、前記識別情報の送出時刻および前記識別情報の送出位置を取得するデータ取得手段と、
前記識別情報、前記識別情報の送出時刻、および前記識別情報の送出位置から、前記プローブカーの走行軌跡を求め、前記一定時間間隔ごとの交通量から、前記プローブカーの走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量とを算出する交通量算出手段と、
前記プローブカーの走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量との関係式を構築する分岐交通量関係式構築手段と、
前記プローブカーの走行軌跡に同期する交通量の関係式に当てはめたときに最もよく適合する分岐率の組合せを探索する分岐率探索手段と、
を有する交通流分岐率推定システム。 - 前記他の交通流分岐率推定装置の交通量算出手段は、
同一の流入リンクから同一の流出リンクへと至る2つのプローブカーのうち、1つ目のプローブカーが前記流入リンクの所定地点を通過してから2つ目のプローブカーが前記流入リンクの所定地点を通過するまでの車両間交通量と、前記1つ目のプローブカーが前記流出リンクの所定地点を通過してから前記2つ目のプローブカーが前記流出リンクの所定地点を通過するまでの交通量とを算出し、
前記分岐交通量関係式構築手段は、
前記2つのプローブカーに基づく前記流入リンクの車両間交通量と前記流出リンクの車両間交通量との関係式を構築する、
請求項10記載の交通流分岐率推定システム。 - 流入リンクから複数の流出リンクへと交通流が分岐するノードにおける交通流の分岐率を推定する交通流分岐率推定方法であって、
流入リンクと流出リンクとのそれぞれに設置された車両感知器の計測データから、それぞれの設置地点における一定時間間隔ごとの交通量および交通流の速度を取得するデータ取得ステップと、
流入リンクにおける前記一定時間間隔ごとの交通流の速度から、前記流入リンクにおける車両の走行軌跡を求める流入リンク走行軌跡算出ステップと、
前記流入リンク走行軌跡算出ステップで走行軌跡が求められた車両の流入リンク終点の通過時刻と、流出リンクにおける前記一定時間間隔ごとの交通流の速度とから、前記流出リンクにおける前記車両の走行軌跡を求める流出リンク走行軌跡算出ステップと、
前記車両の前記流入リンクから前記流出リンクへの走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量とを、前記流入リンクにおける一定時間間隔ごとの交通量および前記流出リンクにおける一定時間間隔ごとの交通量から算出する交通量算出ステップと、
前記走行軌跡に同期する前記流入リンクの交通量と前記流出リンクの交通量との関係式を構築する分岐交通量関係式構築ステップと、
前記関係式に当てはめたときに最もよく適合する分岐率の組合せを探索する前記分岐率探索ステップと、
を有する交通流分岐率推定方法。
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