JP2008177101A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、アノード側ガス流路内の不純物質の分布状態に応じた排気流量制御を行うことができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【解決手段】アノード側のガス流路の下流側端部を排気弁14によって開閉可能とする。排気弁14は、アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードを備える。排気モードにおいて、燃料電池2の出力電流値が大きいほど排気弁14の排気流量を多くし、出力電流値が小さいほど排気弁14の排気流量を少なくする
【選択図】図1

Description

この発明は、アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池を備えた燃料電池システムに関する。
従来、例えば下記の各特許文献に開示されるように、燃料電池の内部に燃料ガスを止めて運転する燃料電池システム(以下、アノードデッドエンド型システムという)が知られている。アノードデッドエンド型システムでは、運転時間の経過と共に燃料電池のアノード側ガス流路内に窒素や水分といった不純物質が蓄積されていく。これら不純物質が膜電極接合体の表面を覆ってしまうと電極触媒における起電反応が阻害されて電圧の低下を招いてしまう。また、発生した異常電位が膜電極接合体を劣化させてしまうおそれもある。このため、従来のアノードデッドエンド型システムでは、適宜のタイミングで排気弁を開き、アノード側ガス流路内に蓄積された不純物質をアノードの下流端部から系外に排気していた。
特開2005−353569号公報 特開2005−353303号公報 特開2005−243477号公報 特開平9−312167号公報
ところで、アノード側ガス流路内に存在する不純物質は、常に一定の分布状態で当該ガス流路内に存在するわけではない。すなわち、ガス流路内の不純物質は、例えば当該ガス流路へ供給される燃料ガスの流速など、種々の要因によって、その分布状態が変化する。
従来のアノードデッドエンド型システムでは、この点を考慮した排気流量制御が行われていない。このため、排気弁を開いたとき、不純物質だけでなくアノード側ガス流路内の燃料ガスが無駄に排気されるという事態が生じうる。また、逆に、排気弁が適切なタイミングで開弁されず、不純物質が燃料電池の出力に影響を及ぼすほどに蓄積されたりするなどの事態も生じうる。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、アノード側ガス流路内の不純物質の分布状態に応じた排気流量制御を行うことができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池システムであって、
内部に電解質膜を有し、アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードを備える排気機構と、
前記燃料電池の出力電流値を測定する電流計と、
前記排気モードにおいて、前記燃料電池の出力電流値が大きいほど前記排気機構の排気流量を多くし、該出力電流値が小さいほど前記排気機構の排気流量を少なくする制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記制御手段は、前記燃料電池の出力電流値が所定電流値を超えている状況においては、前記燃料電池の出力電流値が所定電流値以下の状況に比して、前記排気流量の増加または減少の割合を小さくすることを特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、
前記制御手段は、前記燃料電池の出力電流値が前記所定電流値を超えている状況においては、前記排気流量の増加量または減少量を実質的に零とすることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至3の発明において、
前記燃料電池の出力電流値の増加時に、前記制御手段による前記排気流量の増加に加えて該排気流量を所定時間だけ更に増加する増加過渡時制御手段を備えることを特徴とする。
また、第5の発明は、第4の発明において、
前記増加過渡時制御手段は、前記燃料電池の出力電流値の増加時に、前記排気流量の更なる増加に伴う前記所定時間内での排気量の予想増加量が、該出力電流値の変化率が大きいほど多くなり、該出力電流値の変化率が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする。
また、第6の発明は、第4または第5の発明において、
前記増加過渡時制御手段は、前記燃料電池の出力電流値の増加時に、前記排気流量の更なる増加に伴う前記所定時間内での排気量の予想増加量が、前記増加の前の出力電流値が小さいほど多くなり、前記増加の前の出力電流値が大きいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする。
また、第7の発明は、第4乃至6の発明において、
前記アノード側ガス流路内の不純物質の量を推定する不純物量推定手段と、
前記アノード側ガス流路内における不純物質の許容量を算出する許容量算出手段と、を備え、
前記増加過渡時制御手段は、前記出力電流値の増加時、該出力電流値の増加前における前記アノード側ガス流路内の不純物質量が該出力電流値の増加後における前記不純物質許容量よりも多い場合に、前記排気流量の更なる増加に伴う前記所定時間内での排気量の予想増加量が、該不純物質量と該不純物質許容量の差が大きいほど多くなり、該差が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする。
また、第8の発明は、第7の発明において、
前記不純物量推定手段は、前記電解質膜のクロスリーク量に関連する物理量と、所定基準時刻からの経過時間とに基づいて、前記アノード側ガス流路内の不純物質の量を求めることを特徴とする。
また、第9の発明は、第1乃至8の発明において、
前記燃料電池の出力電流値の減少時に、前記制御手段による前記排気流量の減少に加えて、所定時間だけ、該排気流量の更なる減少または該排気の停止を行う減少過渡時制御手段を備えることを特徴とする。
また、第10の発明は、第9の発明において、
前記減少過渡時制御手段は、前記燃料電池の出力電流値の減少時に、前記排気流量の更なる減少または停止に伴う前記所定時間内での排気量の予想減少量が、該出力電流値の変化率が大きいほど多くなり、該出力電流値の変化率が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする。
また、第11の発明は、第9または10の発明において、
前記減少過渡時制御手段は、前記制御手段による前記排気流量の減少に加えて該排気を所定時間だけ停止する場合に、前記排気の停止時間を、前記出力電流値の変化率が大きいほど長くし、該出力電流値の変化率が小さいほど短くすることを特徴とする。
また、第12の発明は、第9乃至11の発明において、
前記減少過渡時制御手段は、前記燃料電池の出力電流値の減少時に、前記排気流量の更なる減少または停止に伴う前記所定時間内での排気量の予想減少量が、前記減少の前の出力電流値が大きいほど多くなり、該減少の前の出力電流値が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする。
また、第13の発明は、第9乃至12の発明において、
前記アノード側ガス流路内の不純物質の量を推定する不純物量推定手段と、
前記出力電流値に基づいて、前記アノード側ガス流路内における不純物質の許容量を算出する許容量算出手段と、を備え、
前記減少過渡時制御手段は、前記出力電流値の減少時、該出力電流値の減少前における前記アノード側ガス流路内の不純物質量が該出力電流値の減少後における前記不純物質許容量よりも小さい場合に、前記排気流量の更なる減少または停止に伴う前記所定時間内での排気量の予想減少量が、該不純物質量と該不純物質許容量の差が大きいほど多くなり、該差が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする。
また、第14の発明は、第13の発明において、
前記不純物量推定手段は、前記電解質膜のクロスリーク量に関連する物理量と、所定基準時刻からの経過時間とに基づいて、前記アノード側ガス流路内の不純物質の量を求めることを特徴とする。
また、第15の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池システムであって、 内部に電解質膜を有し、アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードと、前記アノード側ガス流路と系外との連通を遮断する閉塞モードとを択一的に選択可能な排気機構と、
前記燃料電池の出力電流値を計測する電流計と、
前記排気機構の動作を制御する制御手段であって、前記燃料電池が所定の高出力域で運転されているときには前記排気モードを選択し、前記燃料電池が前記所定高出力域よりも低出力域で運転されているときには前記閉塞モードを選択する制御手段と、
前記排気モードにおいて、前記出力電流値の増加時に、前記排気機構の排気流量を所定時間だけ増加する増加過渡時制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第16の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池システムであって、内部に電解質膜を有し、アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードと、前記アノード側ガス流路と系外との連通を遮断する閉塞モードとを択一的に選択可能な排気機構と、
前記燃料電池の出力電流値を計測する電流計と、
前記排気機構の動作を制御する制御手段であって、前記燃料電池が所定の高出力域で運転されているときには前記排気モードを選択し、前記燃料電池が前記所定高出力域よりも低出力域で運転されているときには前記閉塞モードを選択する制御手段と、
前記排気モードにおいて、前記出力電流値の減少時に、所定時間だけ、前記排気機構の排気流量の減少または排気の停止を行う減少過渡時制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第17の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池システムであって、
内部に電解質膜を有し、アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードを備える排気機構と、
前記燃料電池に対する出力の要求値を取得する要求値取得手段と、
前記排気モードにおいて、前記燃料電池への出力要求値が大きいほど前記排気機構の排気流量を多くし、該出力要求値が小さいほど前記排気機構の排気流量を少なくする制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第18の発明は、第17の発明において、
前記制御手段は、前記燃料電池への出力要求値が所定値を超えている状況においては、前記排気流量の増加量または減少量を実質的に零とすることを特徴とする。
また、第19の発明は、第17または第18の発明において、
前記燃料電池の出力要求値の増加時に、前記制御手段による前記排気流量の増加に加えて該排気流量を所定時間だけ更に増加する増加過渡時制御手段を備えることを特徴とする。
また、第20の発明は、第17乃至19の発明において、
前記燃料電池の出力要求値の減少時に、前記制御手段による前記排気流量の減少に加えて、所定時間だけ、該排気流量の更なる減少または該排気の停止を行う減少過渡時制御手段を備えることを特徴とする。
また、第21の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池システムであって、
アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードを備える排気機構と、
前記アノード側ガス流路内の燃料ガスの流速に関連する物理量を計測する計測手段と、
前記排気モードにおいて、前記計測手段の計測値を参照して、前記燃料ガスの流速が大きいほど前記排気機構の排気流量が多くなり、該燃料ガスの流速が小さいほど前記排気機構の排気流量が少なくなるように、該排気機構を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第22の発明は、第21の発明において、
前記燃料ガスの流速の増加時に、前記制御手段による前記排気流量の増加に加えて該排気流量を所定時間だけ更に増加する増加過渡時制御手段を備えることを特徴とする。
また、第23の発明は、第22または第23の発明において、
前記燃料ガスの流速の減少時に、前記制御手段による前記排気流量の減少に加えて、所定時間だけ、該排気流量の更なる減少または該排気の停止を行う減少過渡時制御手段を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気することで、燃料ガスの無駄な排気を抑えつつアノード側ガス流路の下流側端部に溜まる不純物質を系外に少しずつ排気することができ、燃料電池性能の低下を招くほどに不純物質が蓄積されることを防止できる。しかも、アノード側ガス流路の下流側端部における不純物質濃度の高低を燃料電池の出力電流値に基づいて判断し、当該下流側端部の不純物質濃度が高いほど排気流量を多くし、当該下流側端部の不純物質濃度が低いほど排気流量を少なくすることができる。
第2の発明によれば、アノード側ガス流路内における不純物質の濃度勾配の変化が殆ど認められなくなる状況か否かを燃料電池の出力電流値によって判定し、当該変化が殆ど認められなくなる所定電流値より低い状態で燃料電池が運転されているときには、排気流量の増加および減少の制御量を少なくすることができる。これにより、アノード側ガス流路内の不純物質の蓄積に起因する燃料電池性能の低下の防止と、系外への燃料ガスの排気流量の抑制とを高次元で両立することができる。
第3の発明によれば、所定の出力電流値よりも低出力の状態で運転されているときには、排気流量を実質的に一定にすることができる。よって、燃料電池性能の低下の防止と、系外への燃料ガスの排気流量の抑制とを高次元で両立することができる。
第4の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を増加することができる。これにより、アノード側ガス流路内の不純物質の蓄積に起因する燃料電池性能の低下の防止をより効果的に行うことができる。
第5の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を増加する際に、その増加量を適切な値に調整することができる。
第6の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を増加する際に、その増加量を適切な値に調整することができる。
第7の発明によれば、アノード側ガス流路内の不純物質量と当該ガス流路内の不純物質の許容量とに基づいて、当該ガス流路の不純物質の分布状態の変化時、その変化の前後の過渡的な状況下における適切な排気流量を定めることができる。
第8の発明によれば、電解質膜のクロスリーク量に関連する物理量と、所定基準時刻からの経過時間とをそれぞれ測定することで、アノード側ガス流路内の不純物質量を間接的に算出することができる。つまり、不純物質量を直接検出するための専用のセンサを必要としない。
第9の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を抑制することができる。これにより、系外へ燃料ガスが排気されることを、より効果的に抑制することができる。
第10の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を抑制する際に、その抑制量を適切な値に調整することができる。
第11の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気を停止する際に、当該停止する時間を適切な値に調整することができる。
第12の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を抑制する際に、その抑制量を適切な値に調整することができる。
第13の発明によれば、アノード側ガス流路内の不純物質量と当該ガス流路内の不純物質の許容量とに基づいて、当該ガス流路の不純物質の分布状態の変化時、その変化の前後の過渡的な状況下における適切な排気流量を定めることができる。
第14の発明によれば、電解質膜のクロスリーク量に関連する物理量と、所定基準時刻からの経過時間とをそれぞれ測定することで、アノード側ガス流路内の不純物質量を間接的に算出することができる。つまり、不純物質量を直接検出するための専用のセンサを必要としない。
第15の発明によれば、アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気することで、燃料ガスの無駄な排気を抑えつつアノード側ガス流路の下流側端部に溜まる不純物質を系外に少しずつ排気することができ、燃料電池性能の低下を招くほどに不純物質が蓄積されることを防止できる。しかも、アノード側ガス流路の下流側端部に不純物質が溜まり得る状況か否かを燃料電池の出力電流値によって判定し、不純物質が溜まり得る所定の高出力域よりも低出力域で運転されているときにはアノード側ガス流路と系外との連通を遮断することで、燃料ガスが無駄に排気されることを防止できる。そして、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を増加することができる。
第16の発明によれば、アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気することで、燃料ガスの無駄な排気を抑えつつアノード側ガス流路の下流側端部に溜まる不純物質を系外に少しずつ排気することができ、燃料電池性能の低下を招くほどに不純物質が蓄積されることを防止できる。しかも、アノード側ガス流路の下流側端部に不純物質が溜まり得る状況か否かを燃料電池の出力電流値によって判定し、不純物質が溜まり得る所定の高出力域よりも低出力域で運転されているときにはアノード側ガス流路と系外との連通を遮断することで、燃料ガスが無駄に排気されることを防止できる。そして、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を抑制または停止することができる。
第17の発明によれば、アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気することで、燃料ガスの無駄な排気を抑えつつアノード側ガス流路の下流側端部に溜まる不純物質を系外に少しずつ排気することができ、燃料電池性能の低下を招くほどに不純物質が蓄積されることを防止できる。しかも、アノード側ガス流路の下流側端部における不純物質量の変化を燃料電池の出力要求値に基づいて推測し、当該下流側端部の不純物質濃度が高いほど排気流量を多くし、当該下流側端部の不純物質濃度が低いほど排気流量を少なくすることができる。
第18の発明によれば、所定の出力要求値よりも低い出力要求値が燃料電池へと送られている場合には、排気流量を実質的に一定にすることができる。よって、燃料電池性能の低下の防止と、系外への燃料ガスの排気流量の抑制とを高次元で両立することができる。
第19の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を増加することができる。よって、アノード側ガス流路内の不純物質の蓄積に起因する燃料電池性能の低下の防止をより効果的に行うことができる。
第20の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を抑制することができる。よって、系外へ燃料ガスが排気されることを、より効果的に抑制することができる。
第21の発明によれば、アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気することで、燃料ガスの無駄な排気を抑えつつアノード側ガス流路の下流側端部に溜まる不純物質を系外に少しずつ排気することができ、燃料電池性能の低下を招くほどに不純物質が蓄積されることを防止できる。しかも、アノード側ガス流路の下流側端部における不純物質量の変化を燃料ガスの流速に基づいて推測し、当該下流側端部の不純物質濃度の高低に応じて排気流量を増減することができる。そして、アノード側ガス流路内の燃料ガスの流速に関連する物理量を計測し、当該計測値に基づいてアノード側ガス流路の下流側端部における不純物質濃度の高低を判断するので、当該不純物濃度を計測するための専用のセンサを必要としない。
第22の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を増加することができる。これにより、アノード側ガス流路内の不純物質の蓄積に起因する燃料電池性能の低下の防止をより効果的に行うことができる。
第23の発明によれば、アノード側ガス流路の不純物質の分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を抑制することができる。これにより、系外へ燃料ガスが排気されることを、より効果的に抑制することができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
以下、図1を参照して、本発明の実施の形態1の構成について説明する。
図1は、本発明が適用される燃料電池システムの構成を模式的に示す図である。燃料電池システムは、燃料電池2によって発電してその電力をモータ等の負荷に供給するシステムである。通常、燃料電池2は、複数の単位燃料電池を積層してなる燃料電池スタックとして使用される。単位燃料電池は、図示は省略するが、膜電極接合体を一対の集電板で挟んだ構成になっている。膜電極接合体は、固体高分子電解質膜の両面に触媒が一体化されたものであり、さらにその各面にはカーボンシート等で作られたガス拡散層が一体化されている。集電板は、隣接する2枚の膜電極接合体の間を仕切るセパレータとしても機能している。各単位燃料電池は、アノードに燃料ガスとしての水素の供給を受け、カソードに空気の供給を受けて発電する。なお、各単位燃料電池の構成の詳細については、後述する実施の形態1の動作の説明の中で、当該単位燃料電池内で生ずる物理現象とともに説明することとする。
燃料電池2には、高圧水素タンク4から燃料電池2に水素を供給するための水素供給管6が接続されている。水素供給管6の途中には、その上流から水素調圧弁8と水素入口弁10が順に配置されている。水素は調圧弁8で減圧され所望の圧力に調整されてから燃料電池2に供給される。燃料電池2に供給された水素は、燃料電池2内に形成された供給マニホールド(図示略)によって各単位燃料電池のアノードに分配される。
本実施の形態の燃料電池システムは、燃料電池2内からアノードガスを抜き出すための排気管12を備えている。この排気管12は、燃料電池2内に形成された排気マニホールド(図示略)を介して、各単位燃料電池のアノード側ガス流路の下流側端部に接続されている。アノード側ガス流路内のガス(アノードガス)は、排気マニホールドに集められて排気管12に排出される。排気管12の先端は大気に開放されるか、若しくは、希釈器に接続されている。
排気管12には、排気管12の連通状態を切り替える排気機構として、デューティ制御が可能な電磁式の排気弁14が設けられている。排気弁14は、好ましくは、流量の制御性に優れるインジェクタ式とする。排気弁14の動作としては、完全に閉状態(つまり、デューティ比がゼロ)とされる閉塞モードと、所定のデューティ比で開制御される排気モードとが択一的に選択可能である。閉塞モードが選択されたとき、燃料電池2のアノード側ガス流路と系外との連通は遮断される。
一方、排気モードが選択されたときは、アノード側ガス流路と系外との連通が実現れてアノードガスの系外への排気が可能になる。ただし、排気モードでのデューティ比は小さく、系外へ排気されるアノードガスの流量はアノード側ガス流路内での水素の消費量に比較して極微小な値に調整されている。以下、閉塞モード選択時の燃料電池システムの運転をアノードデッドエンド運転と言い、排気モード選択時の燃料電池システムの運転を少量排気運転と言う。また、以下の説明では、排気弁14から系外へと単位時間当たりに排出されるガスの量を「排気流量」とも呼称する。
また、燃料電池2には、空気を供給するための空気供給管30が接続されている。空気供給管30には空気ポンプ32が配置されている。空気ポンプ32の作動によって空気供給管30に空気が取り込まれ燃料電池2に供給される。燃料電池2に供給された空気は、燃料電池2内に形成された供給マニホールドによって各単位燃料電池のカソードに分配される。各単位燃料電池のカソードを通過した空気は、燃料電池2内に形成された排気マニホールドに集められて排気管34に排出される。
実施の形態1のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)20を備えている。ECU20には、燃料電池2に接続された電流計22、温度センサ24が接続されている。また、水素供給管6には、圧力センサ26が備えられている。圧力センサ26は、ECU20に接続されている。また、排気弁14はECU20と接続されている。ECU20は、上記の閉塞モードと排気モードを含む排気流量制御を実現すべく、排気弁14へと制御信号を送信する。
[実施の形態1の動作]
以下、図2乃至10を参照して、実施の形態1の燃料電池システムの動作について説明する。以下の説明では、先ず、上述した単位燃料電池内部における不純物質の挙動について述べ、続いて、本実施形態における、当該不純物質の挙動に対応する排気流量制御手法を説明する。
(実施の形態1における燃料電池内部の不純物質の挙動)
図2は、燃料電池2を構成する単位燃料電池の内部構造と、そこで起きている現象を模式的に示す図である。図2では、本発明の特徴に特に係る部分を示し、集電体やマニホールド等、本発明の特徴以外の部分については図示を省略している。以下、図1とあわせて図2も参照して説明する。
図2に示すように、膜電極接合体40の各面に沿ってガス流路42,44が形成されている。膜電極接合体40のアノード側のガス流路42には、水素が供給されている。膜電極接合体40のカソード側のガス流路44には、空気が供給されている。なお、これらガス流路42,44の形状や構成には限定はない。例えば、集電体(セパレータ)の表面に溝を形成し、その溝をガス流路42,44としてもよい。また、集電体と膜電極接合体40との間に導電性材料からなる多孔体層を設け、多孔体層内の連続する気孔によってガス流路42,44を形成してもよい。
カソード側ガス流路44に供給される空気には、発電に使用される酸素(O2)のほかに窒素(N2)が含まれている。窒素は不活性ガスであって発電には供されず、そのままカソード側ガス流路44から系外に排気される。しかし、一部の窒素は、図2中に矢印で模式的に示すように膜電極接合体40を透過してアノード側ガス流路42に侵入してしまう。このとき窒素をアノード側ガス流路42側に移動させる駆動力となるのは、カソード側ガス流路44とアノード側ガス流路42との間での窒素の分圧差である。膜電極接合体40を透過した窒素(N2)は、アノード側ガス流路4内の水素(H2)の流れによって、図2中に矢印で模式的に示すようにアノード側ガス流路42の下流へと流されていく。
なお、空気には窒素以外にも水蒸気や二酸化炭素等の発電に供されない不純物質が含まれている。しかし、それらの空気中における濃度は窒素に比較すれば極微小であるので、ここでは不純物質として窒素にのみ着目するものとする。ただし、本発明が想定する不純物質から窒素以外の物質を除外することを意味するものではない。
前述のように、本実施の形態の燃料電池システムは、排気弁12を閉塞モードとすることにより、水素を有効に使用するアノードデッドエンド運転が可能である。しかし、その場合、アノードガス中の不純物質である窒素は、図2中に模式的に示すように、アノード側ガス流路42の下流端部に次第に蓄積されていく。窒素が膜電極接合体40の表面を覆ってしまうと触媒における起電反応が阻害され、電圧の低下や異常電位による膜電極接合体40の劣化を招いてしまう。
この点に関し、本実施の形態の燃料電池システムでは、排気弁12を排気モードとすることによる連続少量排気運転によって、アノード側ガス流路42の下流端部への窒素の蓄積を防止することができる。つまり、アノード側ガス流路42内での水素の消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気することで、アノード側ガス流路42の下流側端部に溜まる窒素を系外に少しずつ排気することができる。これによれば、水素の無駄な排気を抑えつつ燃料電池性能の低下を招くほどに窒素が蓄積されることを防止できる。
図3は、アノードデッドエンド運転時のアノード側ガス流路42内の水素濃度分布を示す図である。水素濃度の100%に対する差が窒素濃度を表している。アノード側ガス流路42の下流端部に窒素が蓄積されると、水素濃度分布は図3中に実線で示すようになる。上記の連続少量排気運転による効果は、このようにアノード側ガス流路42の下流端部に窒素が蓄積され得る状況において得られる効果である。
アノード側ガス流路42における窒素の分布は、アノード側ガス流路42内での窒素の流れの状態によって決まる。図2中に矢印で模式的に示すように、窒素がアノード側ガス流路42を下流方向に流れている場合には、必然的に窒素が下流端部に蓄積され得る状況となる。アノード側ガス流路42内の窒素の流れは、アノード側ガス流路42内の窒素の拡散速度と、アノード側ガス流路42内の水素の流速とによって決まる。水素の流速が窒素の拡散速度よりも大きければ、膜電極接合体40を透過してきた窒素はアノード側ガス流路42の上流に拡散することなく下流へ流されていくことになる。その結果、図3中に実線で示すような水素濃度分布ができることになる。
一方、水素の流速が窒素の拡散速度よりも小さければ、アノード側ガス流路42の上流まで窒素が拡散していき、図3中に破線で示すような水素濃度分布ができることになる。水素濃度分布が図3中に破線で示すようになっている場合、つまり、窒素がアノード側ガス流路42中に分散しているような状況では、連続少量排気運転を実行すると水素を無駄に排気してしまうことになる。アノード側ガス流路42の下流端部に窒素が蓄積されていないからである。
排気弁を開いたときに燃料ガスが無駄に排気されることは、燃費の向上という観点から出来る限り抑えたい。また、排気弁が適切なタイミングで開弁されず、不純物質が燃料電池の出力に影響を及ぼすほどに蓄積されたりするなどの事態は好ましくない。前述のように出力電圧の低下やMEAの劣化を生じさせてしまうからである。このような二つの要求、即ち、不純物質の蓄積に起因する燃料電池性能の低下の防止と、燃料ガスの排気流量の抑制による燃費の向上とは、例えば従来のアノードデッドエンド型システムにとっては背反する要求となっている。このため、従来のアノードデッドエンド型システムでは、これら二つの要求を同時に満たすことは容易ではない。
(本実施形態における排気流量制御手法)
そこで本実施形態では、上述の背反する要求に応えるために、上述した窒素の分布状態(より具体的には、アノード側ガス流路42の下流端部における窒素濃度)に応じて、適切な排気制御を行うこととする。先ず、本実施形態の排気制御の思想について、以下説明する。
図4は、連続少量排気運転時における、アノード側ガス流路42の出口付近(下流側端部)における不純物質の分布の挙動を、より詳細に説明するための図である。図4において、横軸はアノード側ガス流路42の位置、縦軸は水素濃度であり、燃料電池の出力電流密度を異ならしめて得られた複数の濃度分布が示されている。各濃度分布は、出力電流密度を0.1〜1.0の比率で相対的に異ならしめて計算した結果得られたものである。なお、以下の説明において「セル出口」と呼称した場合には、アノード側ガス流路42の流路出口を指すものとする。また、以下図中などで単に「出力」と記載した場合には、原則として、出力電流値について主に言及しているものとする。
アノード側ガス流路42内における不純物質の分布は、当該ガス流路内に流れ込む水素の流速に左右される。アノード側ガス流路42に流入する水素の流速は、アノード側ガス流路42の流路形状が一定であるならば、燃料電池2の出力電流から一義的に決まる。そこで、水素の流速に応じた水素濃度分布変化の傾向を把握すべく、出力電流値をパラメータとして各出力電流値に対応する水素濃度分布状態を計算した結果、図4が得られている。なお、図4における水素の濃度分布状態を反転したもの(水素濃度100%に対する差)は、不純物質の濃度分布に相当している。
図4にあるように、連続少量排気運転時におけるアノード側ガス流路42内の水素濃度は、出力電流密度が増加するにつれてその濃度勾配が急になり、かつ、セル出口付近における水素濃度が低下するという分布を示している。そこで本実施形態では、このような傾向に基づいて、アノード側ガス流路内の不純物質の分布状態に応じた排気流量制御を行うこととする。
また、図4には、出力電流密度が1.0と同じでありながら、形状が異なる二つの水素分布が示されている。出力電流密度1.0に対応する二つの分布のうち、水素の分布領域が相対的に大きいほうの分布(出力増ではない分布)は、ある程度の時間出力電流密度が変動していない定常状態下における水素濃度分布を示している。これに対し、1.0(出力増)の分布は、例えば0.1などの低出力電流密度から1.0まで出力を増加した直後における分布を示している。
出力電流値を増加すると、それまでアノード側ガス流路42内になだらかに分布していた不純物質がセル出口側へと移動する。このため、図4の1.0(出力増)の分布のように、セル出口側の水素濃度が一気に低下してしまうこととなる。そこで本実施形態では、後述する手法により、アノード側ガス流路42内の窒素濃度分布の変化時に、当該変化の前後の過渡的な状況にも適合するように排気流量を制御することとする。
図5は、本実施形態における排気流量制御手法の概要を説明するための図である。図5には、本実施形態で行う二つの排気流量制御が示されている。二つの制御のうち、一方は定常運転時(出力一定の時)における排気流量の制御(以下、「定常時制御」とも呼称する)であり、他方は排気流量が変化した直後の過渡的な状況における排気流量の制御(以下、「過渡時制御」とも呼称する)である。
図5に示すように、本実施形態における定常時制御では、低出力電流密度領域にあっては電流密度の増加に応じて排気流量を増加させている。そして、所定の電流密度以上の領域では、排気流量を一定としている。また、本実施形態における過渡時制御では、出力電流密度が増加した場合には、定常時制御に加えて更に排気流量を増加することとする。なお、図5には示さないが、本実施形態の過渡時制御は、出力電流密度の減少時には、後述の如く、排気を停止する制御を実行する。以下、定常時制御、過渡時制御のそれぞれについて個別に説明する。
i.定常時制御
先ず、本実施形態における定常時制御について説明する。上述したように、アノード側ガス流路42内(より具体的には、出口付近)の窒素の蓄積量が過剰となると、燃料電池の特性の低下が生じうる。しかしながら、逆に、アノード側ガス流路42に満遍なくある程度の水素濃度が確保され、燃料電池の特性低下に実質的に影響が生じないのであれば、燃料電池内にある程度の窒素が存在することを許容できるとも言うことができる。
図6は、アノード側ガス流路42の下流端部における水素濃度分布を、出力電流密度を一定(I)とし、排気流量を変化させつつ計算した結果を示す図である。図6には、排気流量Vの場合の分布と、排気流量をVから20%低下させた場合(0.8V)の分布と、更に20%低下させた場合(0.6V)の分布の、3つの分布が示されている。
図6に示すように、電流密度が一定の場合、排気流量の減少に応じてセル出口付近の水素濃度が低下していく。換言すれば、排気流量の減少に応じて、セル出口付近の不純物質濃度が上昇する。図6の分布のうち最も排気流量が少ない0.6Vでは、セル出口における水素濃度が数%程度となっている。このような場合、セル出口における不純物質濃度が、燃料電池の出力に影響を及ぼすほど高くなるという事態が生じうる。
一方、図6の分布のうち最も排気流量が多いVでは、セル出口における水素濃度がある程度高くなっている。このような場合、排気弁を開いたときにアノード側ガス流路42から排出される燃料ガス量も多くなる。燃料ガスを効率良く利用するという観点からは、燃料ガスの排出量はできるだけ抑えたい。そこで、本実施例では、出力電流密度に応じて、排気流量を調整する制御を行う。具体的には、例えば図6においては、排気流量がVのように多すぎることも無く、0.6Vのように少なすぎることも無い好適な量(例えば、図6の0.8V)となるように、排気流量を調整することにする。
また、本実施形態では、上記の排出量制御に、次に述べるような制御も加えることとする。前述したように、アノード側ガス流路42内の窒素分布は、アノード側ガス流路42内の窒素の拡散速度と、アノード側ガス流路42内の水素の流速とに影響を受ける。図4で説明したように、水素流速が窒素拡散速度よりも大きい状況下では、それらの速度の差が大きいほど、より多くの窒素がアノード側ガス流路42の下流端部に流れる。その結果、図4に示すように、セル出口からセル中央にかけての水素濃度勾配は、水素流速が大きくなるほど急になる。
しかしながら、水素流速に応じて水素濃度勾配が急になるという挙動は、水素流速の増加に単純に比例するというわけではない。ある程度水素流速が大きくなり、水素濃度勾配が急になると、水素流速の増加に対する水素濃度勾配の変化がそれほど認められなくなる。具体的には、図4における水素濃度勾配の角度が、例えば、82°、84°、86°その他の90°に近い状態となると、水素流速の増加に対する水素濃度勾配の変化がそれほど認められなくなる。このような状況下であって、アノード側ガス流路42へとクロスリークしてくる窒素量が一定の場合には、アノード側ガス流路42から排気されるべき窒素量がほぼ特定の量に定まることとなる。
上述のように、水素流速は、燃料電池の出力電流値に応じて変化する。従って、上記のような、水素濃度勾配の変化が殆ど認められなくなる水素流速は、ある所定の出力電流値に対応することになる。そこで、本実施形態では、燃料電池の出力電流値が上記の所定電流値を超えた場合には、排気流量を一定とする。このようにすることで、燃料電池性能の低下の防止と、系外への燃料ガスの排気流量の抑制とを高次元で両立することができる。なおかつ、制御内容を簡素化することができるという効果も得られる。
図7は、本実施形態における燃料電池システムの定常時制御を説明するための図である。上記説明したように、出力電流値が所定値以下の状況下では、出力電流値が大きいほど排気流量が多くなり、出力電流値が小さいほど排気流量が少なくなるようになっている。これにより、アノード側ガス流路42の下流端部における窒素濃度が高くなりすぎるのを効果的に抑制し、かつ、アノード側ガス流路42の下流端部における水素濃度が高い状態で排気がなされるのを効果的に抑制することができる。
また、出力電流値が所定値以上の状況下では、排気流量が一定とされている。これにより、アノード側ガス流路内の不純物質の蓄積に起因する燃料電池性能の低下の防止と、系外への燃料ガスの排気流量の抑制とを高次元で両立できる。また、制御内容の簡素化も行うことができる。
なお、以下の説明では、上述した二つの定常時制御のうち、出力電流密度に応じて排気流量を調整する制御を、「第1定常時制御」とも呼称する。また、二つの定常時制御のうち、出力電流値が上記の所定電流値を超えた場合に排気流量を一定とする制御を、「第2定常時制御」とも呼称する。
ii.過渡時制御
次に、本実施形態における、過渡時の排出量制御について説明する。図8は、定常運転時における、アノード側ガス流路42下流側端部の窒素濃度分布である。図8は、所定の低出力電流値と、所定の高出力電流値とについて、それぞれ、窒素濃度分布を計算により求めたものである。定常運転時とは、より具体的には、出力電流値が所定値に保たれて、水素濃度分布が定常状態となった状態を意味している。なお、図8の窒素濃度の100%に対する差が、ほぼ水素濃度に対応している。
図8に示すように、出力電流密度が小さい(低出力)時には、窒素がより広範囲に分布している。すなわち、上述した水素流速と窒素拡散速度との関係から、低出力時には水素流速が相対的に小さくなり、窒素がより広く分布する状態となる。反対に、出力電流密度が大きい(高出力)時には、窒素はよりセル出口側に局所的に分布する。そして、高出力時における窒素濃度勾配は、低出力時に比して、急勾配となる。本実施形態では、上述した定常時制御により、このような窒素濃度の分布の変化に対応することができる。なお、図8の窒素分布領域は、換言すれば、窒素の滞留を許容することができる領域ともいうことができる。
ところで、出力電流値の変化時における窒素濃度分布の挙動は、上述した定常時の窒素濃度分布に単純に従うわけではない。より具体的には、高出力から低出力へと出力電流値が変化した場合、窒素濃度分布の変化は、図8に示す高出力時の窒素濃度分布から低出力時の窒素濃度分布への、単なる直接的な変化とはならない。
図9は、出力変化の過渡的な状況下における、窒素濃度分布の挙動を説明するための図である。図9には、図8の定常時の窒素濃度分布に加え、定常時から出力が変化した後の過渡的な状況における窒素濃度分布も示されている。図9の過渡(低→高)の分布は、定常(低出力)時の電流密度から定常(高出力)時の電流密度へと出力が増加した直後の窒素濃度分布に相当している。上述したように、出力電流密度の増加時には、これに対応して水素流速も増加している。その結果、水素流速と窒素拡散速度との関係から、窒素濃度勾配が相対的に急になる。
本実施例では定常時制御による排気流量制御を行っているため、窒素濃度勾配が急になった状態でも、それに応じて適量の排気が行われる。しかしながら、水素流速が増加した直後(変化の瞬間)においては、アノード側ガス流路42内の窒素量は実質的に変わらないまま、窒素濃度勾配が急になるという事態が生じうる。図9の過渡時(低→高)の分布は、このような場合の窒素濃度分布を示している。低出力時の分布と高出力時の分布を比較すると、定常(低出力)の時の窒素量を保ったまま、濃度勾配のみが変化している(図9の矢印)。その結果、過渡(低→高)の分布によれば、セル出口付近で、窒素濃度が100%となる領域が生ずることが予想される。既述したように、窒素100%の領域が生ずることは、燃料電池の良好な発電状態を保つ観点から、好ましくない。
また、図9には、過渡時(高→低)の分布も示されている。この分布は、上記の過渡(低→高)分布とは反対の状況下における分布に相当する。すなわち、図9の過渡(高→低)の分布は、水素流速が減少した直後(変化の瞬間)において、アノード側ガス流路42内の窒素量が実質的に変わらないまま、窒素濃度勾配がなだらかになった場合の状態に相当している。このような場合には、セル出口における窒素濃度は低く(図9では60%程度)なる。その結果、セル出口における水素濃度が高くなる。
水素流速の減少、すなわち出力電流値の減少があれば、それに応じた定常時制御がなされ、排気流量も減少されることが予想される。しかしながら、変化直後の過渡的な状況下においては、図9の過渡時(高→低)の分布状態で排気が行われ、燃料ガスの濃度が高い状態で排気が行われるという事態が生じうる。このような場合には、燃料ガスが無駄に排気されるという事態が生じ、燃料ガスの効率良い利用という観点から好ましくない。
そこで本実施形態では、先ず、窒素100%領域の発生を防止するために、出力電流値の増加時に、定常時制御による排気流量の増加に加えて、当該排気流量を更に増加することとする(以下、この制御を「増加過渡時制御」とも呼称する)。このようにすることで、出力電流値の増加時に、窒素濃度分布状態を、図9の定常(低出力)分布から定常(高出力)分布へと、過渡(低→高)分布を介することなく変化させることができる。これにより、不純物質の蓄積に起因する燃料電池性能低下の防止を、より効果的に行うことができる。
また、本実施形態では、燃料ガスの無駄な排出を防止するために、出力電流値の減少時には、定常時制御による排気流量減少の制御に加えて(定常時制御に割り込む形で)、所定時間、排気の停止を行うこととする(以下、この制御を「減少過渡時制御」とも呼称する)。排気が停止されている間(即ち、閉塞モードの間)は、アノード側ガス流路42内に窒素が溜まる。その結果ガス流路内の窒素量が増加すれば、それに応じて、図9における定常(高出力)分布が定常(低出力分布)へと近づくこととなる。その結果、セル出口における窒素濃度が上昇し、これに応じて、セル出口における水素濃度が減少する。その結果、排気時における、水素の無駄な排出を抑えることができる。
このように、本実施形態の減少過渡時制御を行うことで、出力電流値の減少時に、窒素濃度分布状態を定常(低出力)分布へと近づけた状態で排気を行うことができる。その結果、系外へ燃料ガスが無駄に排出されるという事態を、より効果的に防止することができる。なお、より好ましくは、予め実験や計算により、排気を停止してからセル出口における水素濃度が十分に低くなるまでの時間を求めておく。この時間を前述した排気停止時間とすればよい。
以上説明した過渡時制御によれば、アノード側ガス流路42の不純物質の分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を抑制することができる。なお、本実施形態では、増加過渡時制御と定常時制御との両方が行われている。そして、定常時制御は、第1定常時制御と第2定常時制御の二つの制御を含んでいる。上記の増加過渡時制御は、定常時制御が第1定常時制御と第2定常時制御のどちらの制御領域にあっても、その効果を発揮することができる。
iii.定常時制御と過渡時制御とを適用した動作
図10は、上記の定常時制御と過渡時制御とを共に用いた場合の、燃料電池2の出力変化と、排気弁14の排気流量変化との関係を説明するための図である。図10には、出力変化、定常時制御のみを適用した場合の排気流量変化、過渡時制御と定常時制御を共に用いた場合(以下、「過渡考慮の場合」とも呼称する)の排気流量変化の、3つのグラフが示されている。
図10に示すように、定常時制御では、出力の変化に応じて排気流量が変化している。これに対し、過渡考慮の場合には、定常時制御による排気流量制御に加え、出力増時と出力減時に、それぞれ過渡時制御による排気流量の制御が反映されている。具体的には、出力増時には、定常時制御による増加分に加え、更に排気流量が増加されている。そして、排気流量が一旦増加された後、減少され、所定時間後には定常時制御による排気流量に落ち着いている。
また、出力減時には、定常時制御による排気流量の抑制に加えて、更に減少過渡時制御により排気流量が少なくされている。そして、最終的には、排気弁14が閉塞モードとされて、排気流量が零とされている。そして、当該閉塞モードにおいて所定時間の経過が待たれ、当該時間経過後、定常時制御による排気流量で排気が再開されている。以上、図10を用いて述べた制御によれば、上述したような、定常時および過渡時における窒素濃度分布(水素濃度分布)の変化に応じて、効果的な排気流量制御を実現することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気することで、燃料ガスの無駄な排気を抑えつつアノード側ガス流路の下流側端部に溜まる不純物質を系外に少しずつ排気することができる。その結果、燃料電池性能の低下を招くほどに不純物質が蓄積されることを防止できる。しかも、アノード側ガス流路の下流側端部における不純物質濃度の高低を燃料電池の出力電流値に基づいて判断し、当該下流側端部の不純物質濃度が高いほど排気流量を多くし、当該下流側端部の不純物質濃度が低いほど排気流量を少なくすることができる。
[実施の形態1の具体的処理]
以下、図11乃至12を用いて、実施の形態1の燃料電池システムが行う具体的処理を説明する。図11は、実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートであり、実施の形態1の燃料電池システムの運転中に実行されるフローチャートである。
なお、実施の形態1のECU20は、図11のフローチャート共に、図12に示す電流密度と窒素堆積量の関係のマップを記憶している。図12は、燃料電池2が所定の出力電流密度で運転されている場合に、アノード側ガス流路42内に許容しうる窒素量(以下、「限界窒素堆積量」とも呼称する)について規定したマップの一例である。図12のマップでは、電流密度iが小さくなるのに応じて、限界窒素堆積量QL(i)が大きくなるように設定されている。例えば、高出力時には、水素流速が大きく、アノード側ガス流路42の下流端部に局所的に窒素が分布する。従って、限界窒素堆積量が、QL1やQL2のように相対的に少なく設定されている。逆に、低出力時には、水素流速が小さく、アノード側ガス流路42内により広く窒素が分布する。このため、限界窒素堆積量が、QL3のように相対的に多く設定されている。
また、実施の形態1のECU20は、図8に示したような、定常時制御用の排気流量制御のマップを記憶している。このマップは、予め実験などにより、出力電流値ごとに好適な排気流量を測定しておくことにより、作成する。その際には、アノード側ガス流路42の下流端部(セル出口)の水素濃度が十分な値以上に保たれるように、排気流量を多めに設定しておくこともできる。
なお、本実施形態では、ECU20が、その内部に備えられたタイマにより、前回のルーチン終了時刻から経過した時間Δtを適宜取得可能であるものとする。また、ECU20は、膜電極接合体40が備える電解質膜の窒素透過量QN(クロスリーク量)に関する情報を記憶しているものとする。なお、この窒素透過量に関する情報は、より好ましくは、アノード側ガス流路42内の温度や圧力、燃料電池2の出力に応じたマップとして作成しておく。以下、図11のルーチンの各ステップについて説明する。
図11に示すルーチンでは、先ず、ルーチン実行時における窒素量Q1を予測する処理がなされる(ステップS100)。この処理では、ECU20が、前回のルーチンからの経過時間Δtと窒素透過量QNとに基づいて、下記の式(1)の演算を行う。
=Q10+Δt×Q ・・・(1)
なお、Q10は、前回のルーチン後におけるアノード側ガス流路42内の残存窒素量である。これにより、現在の時刻におけるアノード側ガス流路42内の窒素量Q1が推定される。
続いて、図11のマップが参照され、現在の時刻の出力電流密度iにおける限界窒素堆積量QL(i)が取得される(ステップS110)。その後、上記のQ1とQL(i)とに基づいて、下記の式(2)の演算によりQsが算出される(ステップS120)。このQsは、アノード側ガス流路42内における、実際の窒素量と限界窒素堆積量との関係を判断する基礎となる値である。
Qs=Q−Q(i) ・・・(2)
ステップS120の処理に続き、Qs<0の条件が成立しているか否かが判別される(ステップS130)。この条件の成立が認められた場合には、限界窒素堆積量QL(i)に比して、現在の窒素量Q1が少なくなっていると判断できる。この場合には、アノード側ガス流路42内で未だ窒素を許容できると考えられ、上述の減少過渡時制御を行うべきと判断することができる。従って、燃料ガスの無駄な排出を避ける観点から、排気弁14が閉塞モードとされ、所定時間、排気が停止される(ステップS140)。この排気停止時間は、予め実験などにより好適な長さに定めておくことができる。その後、所定時間の経過後に排気が再開され、今回のルーチンが終了する。
ステップS130の条件の成立が認められない場合には、Qs<Q0の条件が成立しているか否かが判別される(ステップS150)。この処理では、所定の判定値Q0を用いて、燃料電池2の状態が定常運転時と過渡運転時のどちらにあるかの判断を行う。ここで、本実施形態では、判定値Q0にクロスリーク量QNを代入することとする。
燃料電池2が定常運転を行っていても、クロスリークによる窒素量の増減が生じうる。従って、クロスリークにより窒素量が増加し、Qsが増加したとしても、燃料電池2は未だ定常運転状態にある。そこで、判定値Q0にクロスリーク量QNを用いることにより、Qsの増加がクロスリークに起因する増加か、或いは出力電流値の増加に起因する増加のいずれに該当するかを判別することができる。これにより、定常時制御と過渡時制御とを精度よく使い分けることができる。
ステップS150の条件の成立が認められた場合には、燃料電池2は定常運転状態にあると判断される。この場合には、定常時制御が実行され、上述した定常時制御用のマップが参照され、現在の出力電流値に応じた排気流量Qstで排気が行われる(ステップS160)。その後、残存窒素量Q10が下記の式(3)のように更新され、今回のルーチンが終了する。
=Q−Qst×Δt ・・・(3)
ステップS150の成立が認められない場合には、燃料電池2が過渡運転時にあり、上述の増加過渡時制御を実行すべきと判断される。従って、所定時間TSだけ、排気流量の増加が行われる(ステップS170)。本実施形態では、例えばこの所定時間Tsを1〜2秒間程度に設定するものとする。なお、この所定時間TSは、予め実験などにより定めることも可能である。本実施形態の1〜2秒間程度というのはあくまで例示であり、本発明はこれに何ら限定されない。
ステップS170の処理により、アノード側ガス流路42内に窒素が過剰に蓄積するのを防ぎ、燃料電池性能の低下を防止することができる。その後、残存窒素量Q10が下記の式(4)のように更新され、今回のルーチンが終了する。
=Q−QS×Δt/TS ・・・(4)
以上の処理によれば、定常時制御と過渡時制御とを併用し、アノード側ガス流路42内の窒素濃度分布状態(又は水素濃度分布状態)に応じた排気流量制御を行うことができる。これにより、不純物質の蓄積に起因する燃料電池性能の低下の防止と、燃料ガスの排気流量の抑制による燃費の向上という背反する要求を、高次元で両立することができる。
具体的には、先ず、定常時制御により、アノード側ガス流路42下流側端部の窒素量が多いほど排気流量を多くし、当該下流側端部の窒素量が少ないほど排気流量を少なくすることができる。また、上述した具体的処理では、図8のようなマップを利用して、第1定常時制御と第2定常時制御とを含む定常時制御を行っている。これによれば、所定の出力電流値よりも低出力の状態で運転されているときには、排気流量を実質的に一定にすることができる。よって、燃料電池性能の低下の防止と、系外への燃料ガスの排気流量の抑制とを高次元で両立することができる。
また、上述した具体的処理によれば、過渡時制御により、アノード側ガス流路42内の不純物質分布状態の変化時に、その変化の前後の過渡的な状況に合わせて排気流量を調整することができる。また、本実施形態では、窒素量Q1を、クロスリーク量QNと所定基準時刻からの経過時間Δtとを用いて間接的に算出している。つまり、窒素量Q1(不純物質量)を直接検出するための専用のセンサを必要としない。
また、アノード側ガス流路内における不純物質の濃度勾配の変化が殆ど認められなくなる状況か否かを燃料電池の出力電流値によって判定し、当該変化が殆ど認められなくなる所定電流値より低い状態で燃料電池が運転されているときには、排気流量を一定にすることができる。
尚、上述した本実施形態においては、燃料電池2が前記第1の発明の「燃料電池」に、排気弁14が前記第1の発明の「排気機構」に、電流計22が、前記第1の発明の「電流計」および前記第15の発明の「第1計測手段」に、それぞれ相当している。また、上述した具体的処理において、ECU20がステップS160の処理中で定常時制御を実行することで、前記第1の発明または前記第15の発明の「制御手段」が実現されている。
また、ステップS160の処理において、定常時制御用マップ(図8)に基づき、ECU20が第1定常時制御と第2定常時制御とを含む定常時制御を実行することにより、前記第3の発明の「前記排気流量の増加量または減少量を実質的に零とする」という処理が実現されている。
また、ECU20がステップS130、S140の処理を実行することで、前記第4の発明の「増加過渡時制御手段」が実現されている。また、ECU20がステップS150、S170の処理を実行することで、前記第9の発明の「減少過渡時制御手段」が実現されている。
[実施の形態1の変形例]
(第1変形例「定常時制御のみ」)
実施の形態1では、定常時制御と過渡時制御とを併用した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、定常時制御のみを独立して用いてもよい。
(第2変形例「第1定常時制御と第2定常時制御」)
実施の形態1では、定常時制御が、第1定常時制御と第2定常時制御とを含んでいる。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、第2定常時制御を行わずに、第1定常時制御のみを行っても良い。また、実施の形態1の定常時制御では、第2定常時制御において、排気流量の変化量を実質的に零とし、排気流量を一定とした。しかしながら、本発明はこれに限られない。第2定常時制御において、第1定常時制御に比して、電流密度に対する排気流量の変化の割合を相対的に小さくすることとしてもよい。
(第3変形例「ガス流路の構造」)
実施の形態1の構成の説明で述べたように、本発明は、ガス流路として多孔質体層を有する燃料電池に限らず、他の種々のガス流路を有する燃料電池に対して用いることができる。なお、本発明の効果は、特に、ガス流路の長さ(単位燃料電池におけるガス流路の入口から出口までの長さ)が短い燃料電池について用いるとより効果的である。これは、図3を用いて述べた水素濃度分布の挙動からも明らかである。
(第4変形例「過渡時制御の変形例」)
実施の形態1の過渡時制御では、増加過渡時制御において所定時間TSの排気流量増加を行い、減少過渡時制御において所定時間(定数)の排気停止を行っている。これらの過渡時制御による排気流量の制御時間は、例えば、以下述べるような手法を用いて、変数としてもよい。
図8乃至9を用いて述べたように、アノード側ガス流路42内における窒素分布の過渡状態は、変化前の出力電流値や、出力電流値の変化率に応じてそれぞれ異なる。具体的には、例えば、図9で定常(低出力)時分布から過渡(低→高)時分布へと窒素濃度分布が変化する場合について考えると、出力電流値の変化率が大きいほど窒素濃度勾配が急になる。その結果、出力電流値の変化率が大きいほど、窒素100%領域が大きくなると予想できる。
また、図9で定常(低出力)時分布から過渡(低→高)時分布へと窒素濃度分布が変化する際、変化直前の出力電流値(以下、「変化基準電流値」とも呼称する)が低いほど窒素濃度勾配は緩やかな状態にある。この場合、より多くの窒素がアノード側ガス流路42内に存在し、窒素濃度勾配が急になった際に生ずる窒素100%領域が大きくなると予想できる。
ところで、図10には、定常時制御と過渡時制御とを併用した際の、排気流量の時間変化が示されている。図10において過渡考慮の場合の排気流量(丸付点線)を時間で積分した値が、過渡考慮時における総排出量に相当する。また、図10において定常のみの場合の排気流量(太線実線)を時間で積分した値が、定常時における総排出量に相当する。そして、二つの積分値の差が、過渡時制御のみによって発生する排出量の増加分(以下、「増加過渡時総排出量」とも呼称する)と抑制分(以下、「減少過渡時総抑制量」とも呼称する)に相当する。
これらの量を、上記の窒素濃度勾配の状態変化に応じて変化させることとすれば、更に効果的な過渡時制御を行うことが可能となる。そこで、第4変形例では、出力電流値の変化率と変化基準電流値との両方に応じて、増加過渡時総排出量と減少過渡時総抑制量とを好適な値に調整する。具体的には、増加過渡時制御の際、出力電流値の変化率が大きく変化基準電流値が小さいほど、増加過渡時総排出量が多くなるように、排気弁14を制御する。そして、出力電流値の変化率が小さく変化基準電流値が大きいほど、増加過渡時総排出量が少なくなるように、排気弁14を制御する。
また、第4変形例では、更に、減少過渡時制御の際に、出力電流値の変化率が大きく変化基準電流値が小さいほど、減少過渡時総抑制量を多くする。また、出力電流値の変化率が小さく変化基準電流値が大きいほど、減少過渡時総抑制量を小さくする。これは、図9を用いて増加過渡時制御の好適な態様について上記説明した内容を、減少過渡時制御へと応用したものである。
なお、増加過渡時総排出量および減少過渡時総抑制量を増減する際には、具体的には、例えば、排気流量の増加時間や排気の停止時間を増減することで実現できる。また、排気流量の変化率(増加率、減少率)を適宜変更したり、排気流量増加の際の上限、排気流量抑制の際の下限を増減したりすることで実現することができる。なお、出力電流値の変化率に応じた制御と、変化基準電流値に応じた制御のいずれか一方のみを用いることとしてもよい。
尚、本変形例では、増加過渡時総排出量に関する制御が、前記第5及び第6の発明の「排気量の予想増加量」に関する制御に相当している。また、本変形例では、減少過渡時総抑制量に関する制御が、前記第10乃至12の発明の「排気量の予想減少量」に関する制御に相当している。そして、本変形例の変化基準電流値が、前記第6の発明の「前記増加の前の出力電流値」および第12の発明の「前記減少の前の出力電流値」に相当している。
また、ECU20がステップS100の処理を実行することで前記第7及び第13の発明における「不純物量推定手段」が、ECU20がステップS110の処理を実行することで前記第7及び第13の発明における「許容量算出手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
[実施の形態1との比較]
実施の形態1の定常時制御では、所定出力電流値以下の出力で燃料電池2が運転されている場合には、水素流速に応じた排気流量変化(第1定常時制御)を行っている。そして、所定出力電流値よりも高い出力で燃料電池2が運転される場合には、第1定常時制御と第2定常時制御とを切り替えている。
第1定常時制御と第2定常時制御との切り替え時期は、アノード側ガス流路42内における不純物質の濃度勾配の変化が殆ど認められなくなる状況か否かに基づいて、判断されている。しかしながら、第1定常時制御の対象となる出力電流値の範囲が比較的狭い場合には、以下述べる実施の形態2の制御を行うこととしてもよい。なお、実施の形態2は、実施の形態1と同一の構成に適用することができる。従って、特に図示をせず、重複する説明は省略する。
[実施の形態2の排気弁制御]
(定常時制御)
実施の形態1で述べたように、水素の流速が窒素の拡散速度よりも大きければ、膜電極接合体40を透過してきた窒素はアノード側ガス流路42の上流に拡散することなく下流へ流されていくことになる(図3の実線)。一方、水素の流速が窒素の拡散速度よりも小さければ、アノード側ガス流路42の上流まで窒素が拡散していき、図3中に破線で示すような水素濃度分布ができることになる。
このように、アノード側ガス流路42内の窒素の流れは、アノード側ガス流路42内の窒素の拡散速度と、アノード側ガス流路42内の水素の流速とによって決まる。そこで、本実施形態では、アノード側ガス流路42内での窒素の下流方向への流れを間接的に検出し、この検出に基づいて排気モードと閉塞モードとを切り替えることとする。そして、排気モードにおいては、排気流量を一定にする(実施の形態1の第2定常時制御と同じ動作)。
本実施の形態の燃料電池システムでは、アノード側ガス流路42内の水素の流速を直接測定するのではなく、水素の流速に関連する物理量として燃料電池2の出力電流の値を計測する。また、窒素の拡散速度は、アノード側ガス流路42内のガス温度とガス圧力の関数として表すことができる。そこで、本実施の形態の燃料電池システムでは、アノード側ガス流路42内の窒素の拡散速度を直接測定するのではなく、窒素の拡散速度に関連する物理量としてアノード側ガス流路42内のガス圧力とガス温度の各値を計測する。
アノード側ガス流路42内のガス圧力は、水素供給管6における燃料電池2の入口に取り付けられた圧力センサ26によって計測される。アノード側ガス流路42内のガス温度は、燃料電池2の全体温度と略等しいことから、燃料電池2に取り付けられた温度センサ24によって間接的に計測することができる。勿論、アノード側ガス流路42内のガス温度を直接計測してもよい。
本実施の形態の燃料電池システムでは、排気弁14の動作の制御はECU20によって行われる。ECU20には、電流計22、圧力センサ26及び温度センサ24からそれらの計測信号が入力されている。ECU20は、圧力センサ26及び温度センサ24の各計測値から参照値を計算し、電流計22の計測値から参照値と比較すべき比較対象値(参照値と同次元)を計算する。そして、参照値と比較対象値を比較することで、アノード側ガス流路42の下流側端部に窒素が溜まり得る状況か否かを正確に判定し、その判定結果に基づいて排気弁14の動作モードを切り替える。
燃料電池2が高出力域(高出力電流値域)で運転されている場合には、低出力域で運転されている場合に比較して水素の消費量が大きくなる。このため、必然的にアノード側ガス流路42内の水素の流速も大きくなる。したがって、燃料電池2が所定の高出力域で運転されているときには排気モードを選択し、燃料電池2が所定出力域よりも低出力域で運転されているときには閉塞モードを選択すればよい。なお、アノード側ガス流路42の下流側端部に窒素が溜まり得る負荷状態か否かは、そのときの窒素の拡散速度によって左右されることから、前記の所定出力域はアノード側ガス流路42内のガス温度やガス圧力に基づいて設定するのが好ましい。
(過渡時制御)
実施の形態2では、上記の定常時制御を行うと共に、実施の形態1の過渡時制御を併用することとする。その結果、実施の形態1における第2定常時制御の場合の効果を、実施の形態2においても得ることができる。
実施の形態3.
実施の形態1では、電流計22の測定値に基づいて、排気流量制御を行った。しかしながら、本発明はこれに限られない。例えば、燃料電池2に対する出力要求値に基づいて、排気流量制御を行うことができる。具体的には、本発明の燃料電池システムが車両に搭載されている場合には、ドライバからの出力要求値に基づいて、実施の形態1の定常時制御及び過渡時制御を行うことができる。なお、ドライバからの出力要求値は、例えば、アクセルペダル等に基づいて取得することができる。
図13は、実施の形態3の燃料電池システムの構成を説明するための図である。図13のシステムは、図1で述べた実施の形態1のシステムに、アクセルペダル50が追加されたものである。アクセルペダル50は、ECU20に接続されている。アクセルペダル50によりドライバの出力要求値が取得され、ECU20へと送信される。ECU20は、この出力要求値に基づいて、燃料電池2を制御する。
実施の形態3のシステムが定常時制御を行う場合には、ECU20がドライバからの出力要求値を取得した際に、当該出力要求値が所定値を超えているか否かで、第1定常時制御と第2定常時制御を切り替えることとする。切替に用いる所定出力要求値は、実施の形態1における所定電流値を求める際と同様に定めることができる。また、実施の形態3のシステムにおける過渡時制御についても、例えば、出力電流値をドライバからの出力要求値に置き換えた上で、実施の形態1の過渡時制御と同様の制御を行うこととすればよい。これにより、実施の形態3では、フィードフォワード的に排気流量制御を行うことができる。
尚、実施の形態3では、アクセルペダル50が、前記第22の発明の「要求値取得手段」に相当している。また、実施の形態3に対して、実施の形態1で行った種々の制御手法(実施形態1の変形例も含む)を、出力電流値を出力要求値へと置き換えつつ応用することができる。
なお、上記の実施形態では、燃料ガスの流速を燃料電池の出力電流値によって間接的に把握している。しかしながら、本発明はこれに限られない。アノード側ガス流路42内の燃料ガスの流速に関連する物理量を計測するための、種々の計測機器、センサを用いることができる。例えば、ガス流量に応じて変化する抵抗値を利用したガス流速センサを用いることができる。また、所定入力の超音波の変化を検出することでガス流速を検知するガス流速センサを用いることもできる。なお、これらのガス流速センサは公知である。また、燃料電池2の出力電流値ではなく、燃料電池2の負荷の大きさを介して、燃料ガスの流速を間接的に把握してもよい。なお、前記第21の発明の「測定手段」は、少なくとも上記列挙した全ての物理量計測機器、手法を含んでいる。
本発明の実施の形態1の燃料電池システムを説明するための図である。 単位燃料電池の内部構造とそこで起きている現象を説明するための図である。 アノード側ガス流路内の水素濃度の分布と電流値との関係について示す図である。 本実施形態の排気流量制御を説明するための図である。 本実施形態の排気流量制御を説明するための図である。 本実施形態の排気流量制御を説明するための図である。 本実施形態の排気流量制御を説明するための図である。 アノード側ガス流路下流端部の窒素濃度分布の計算結果を説明するための図である。 アノード側ガス流路下流端部の窒素濃度分布の計算結果を説明するための図である。 本実施形態の排気流量制御を説明するための図である。 本実施形態が実行するルーチンのフローチャートである。 出力電流密度に対する窒素許容量の関係を示すマップである。 実施の形態3の燃料電池システムを説明するための図である。
符号の説明
2 燃料電池スタック
4 高圧水素タンク
6 水素供給管
8 水素調圧弁
10 水素入口弁
12 排気管
14 排気弁
20 ECU(Electronic Control Unit)
22 電流計
24 温度センサ
26 圧力センサ
30 空気供給管
32 空気ポンプ
34 排気管
40 膜電極接合体
42 アノード側ガス流路
44 カソード側ガス流路
50 アクセルペダル

Claims (23)

  1. 内部に電解質膜を有し、アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
    前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードを備える排気機構と、
    前記燃料電池の出力電流値を測定する電流計と、
    前記排気モードにおいて、前記燃料電池の出力電流値が大きいほど前記排気機構の排気流量を多くし、該出力電流値が小さいほど前記排気機構の排気流量を少なくする制御手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記制御手段は、前記燃料電池の出力電流値が所定電流値を超えている状況においては、前記燃料電池の出力電流値が所定電流値以下の状況に比して、前記排気流量の増加または減少の割合を小さくすることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記制御手段は、前記燃料電池の出力電流値が前記所定電流値を超えている状況においては、前記排気流量の増加量または減少量を実質的に零とすることを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池の出力電流値の増加時に、前記制御手段による前記排気流量の増加に加えて該排気流量を所定時間だけ更に増加する増加過渡時制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  5. 前記増加過渡時制御手段は、前記燃料電池の出力電流値の増加時に、前記排気流量の更なる増加に伴う前記所定時間内での排気量の予想増加量が、該出力電流値の変化率が大きいほど多くなり、該出力電流値の変化率が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする請求項4記載の燃料電池システム。
  6. 前記増加過渡時制御手段は、前記燃料電池の出力電流値の増加時に、前記排気流量の更なる増加に伴う前記所定時間内での排気量の予想増加量が、前記増加の前の出力電流値が小さいほど多くなり、前記増加の前の出力電流値が大きいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする請求項4または5のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  7. 前記アノード側ガス流路内の不純物質の量を推定する不純物量推定手段と、
    前記アノード側ガス流路内における不純物質の許容量を算出する許容量算出手段と、を備え、
    前記増加過渡時制御手段は、前記出力電流値の増加時、該出力電流値の増加前における前記アノード側ガス流路内の不純物質量が該出力電流値の増加後における前記不純物質許容量よりも多い場合に、前記排気流量の更なる増加に伴う前記所定時間内での排気量の予想増加量が、該不純物質量と該不純物質許容量の差が大きいほど多くなり、該差が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  8. 前記不純物量推定手段は、前記電解質膜のクロスリーク量に関連する物理量と、所定基準時刻からの経過時間とに基づいて、前記アノード側ガス流路内の不純物質の量を求めることを特徴とする請求項7記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池の出力電流値の減少時に、前記制御手段による前記排気流量の減少に加えて、所定時間だけ、該排気流量の更なる減少または該排気の停止を行う減少過渡時制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  10. 前記減少過渡時制御手段は、前記燃料電池の出力電流値の減少時に、前記排気流量の更なる減少または停止に伴う前記所定時間内での排気量の予想減少量が、該出力電流値の変化率が大きいほど多くなり、該出力電流値の変化率が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする請求項9記載の燃料電池システム。
  11. 前記減少過渡時制御手段は、前記制御手段による前記排気流量の減少に加えて該排気を所定時間だけ停止する場合に、前記排気の停止時間を、前記出力電流値の変化率が大きいほど長くし、該出力電流値の変化率が小さいほど短くすることを特徴とする請求項9または10のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  12. 前記減少過渡時制御手段は、前記燃料電池の出力電流値の減少時に、前記排気流量の更なる減少または停止に伴う前記所定時間内での排気量の予想減少量が、前記減少の前の出力電流値が大きいほど多くなり、該減少の前の出力電流値が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  13. 前記アノード側ガス流路内の不純物質の量を推定する不純物量推定手段と、
    前記出力電流値に基づいて、前記アノード側ガス流路内における不純物質の許容量を算出する許容量算出手段と、を備え、
    前記減少過渡時制御手段は、前記出力電流値の減少時、該出力電流値の減少前における前記アノード側ガス流路内の不純物質量が該出力電流値の減少後における前記不純物質許容量よりも小さい場合に、前記排気流量の更なる減少または停止に伴う前記所定時間内での排気量の予想減少量が、該不純物質量と該不純物質許容量の差が大きいほど多くなり、該差が小さいほど少なくなるように、前記排気機構を制御することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  14. 前記不純物量推定手段は、前記電解質膜のクロスリーク量に関連する物理量と、所定基準時刻からの経過時間とに基づいて、前記アノード側ガス流路内の不純物質の量を求めることを特徴とする請求項13記載の燃料電池システム。
  15. 内部に電解質膜を有し、アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
    前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードと、前記アノード側ガス流路と系外との連通を遮断する閉塞モードとを択一的に選択可能な排気機構と、
    前記燃料電池の出力電流値を計測する電流計と、
    前記排気機構の動作を制御する制御手段であって、前記燃料電池が所定の高出力域で運転されているときには前記排気モードを選択し、前記燃料電池が前記所定高出力域よりも低出力域で運転されているときには前記閉塞モードを選択する制御手段と、
    前記排気モードにおいて、前記出力電流値の増加時に、前記排気機構の排気流量を所定時間だけ増加する増加過渡時制御手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  16. 内部に電解質膜を有し、アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
    前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードと、前記アノード側ガス流路と系外との連通を遮断する閉塞モードとを択一的に選択可能な排気機構と、
    前記燃料電池の出力電流値を計測する電流計と、
    前記排気機構の動作を制御する制御手段であって、前記燃料電池が所定の高出力域で運転されているときには前記排気モードを選択し、前記燃料電池が前記所定高出力域よりも低出力域で運転されているときには前記閉塞モードを選択する制御手段と、
    前記排気モードにおいて、前記出力電流値の減少時に、所定時間だけ、前記排気機構の排気流量の減少または排気の停止を行う減少過渡時制御手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  17. 内部に電解質膜を有し、アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
    前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードを備える排気機構と、
    前記燃料電池に対する出力の要求値を取得する要求値取得手段と、
    前記排気モードにおいて、前記燃料電池への出力要求値が大きいほど前記排気機構の排気流量を多くし、該出力要求値が小さいほど前記排気機構の排気流量を少なくする制御手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  18. 前記制御手段は、前記燃料電池への出力要求値が所定値を超えている状況においては、前記排気流量の増加量または減少量を実質的に零とすることを特徴とする請求項17記載の燃料電池システム。
  19. 前記燃料電池の出力要求値の増加時に、前記制御手段による前記排気流量の増加に加えて該排気流量を所定時間だけ更に増加する増加過渡時制御手段を備えることを特徴とする請求項17または18のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  20. 前記燃料電池の出力要求値の減少時に、前記制御手段による前記排気流量の減少に加えて、所定時間だけ、該排気流量の更なる減少または該排気の停止を行う減少過渡時制御手段を備えることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  21. アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
    前記アノード側のガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、前記アノード側ガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードを備える排気機構と、
    前記アノード側ガス流路内の燃料ガスの流速に関連する物理量を計測する計測手段と、
    前記排気モードにおいて、前記計測手段の計測値を参照して、前記燃料ガスの流速が大きいほど前記排気機構の排気流量が多くなり、該燃料ガスの流速が小さいほど前記排気機構の排気流量が少なくなるように、該排気機構を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  22. 前記燃料ガスの流速の増加時に、前記制御手段による前記排気流量の増加に加えて該排気流量を所定時間だけ更に増加する増加過渡時制御手段を備えることを特徴とする請求項21記載の燃料電池システム。
  23. 前記燃料ガスの流速の減少時に、前記制御手段による前記排気流量の減少に加えて、所定時間だけ、該排気流量の更なる減少または該排気の停止を行う減少過渡時制御手段を備えることを特徴とする請求項22または23のいずれか1項記載の燃料電池システム。
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