JP2008174805A - 高降伏強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%、Co:0.0010〜0.0050%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、実質的にフェライト単相組織であり、Ti、MoおよびVを含む複合炭化物と、Vのみを含む炭化物が分散析出するとともに、それらの炭化物が0.1000<Tp+Vp<0.4000(Tp:Ti、MoおよびVを含む複合炭化物として析出しているTi量(mass%)、Vp:Vのみを含む炭化物として析出しているV量(mass%))を満たす。
【選択図】なし
Description
(a)実質的にフェライト単相組織とし、微細析出物で強化することにより、高い降伏強度と良好な曲げ加工性が得られる。
(b)1000MPa以上の降伏強度と曲げ特性を両立させるためには、C、Ti、Mo、Vを添加し、Ti、MoおよびVを含む複合炭化物と、Vのみを含む炭化物とを微細分散析出させることが有効である。
(c)加工後の曲げ特性向上には、炭化物の微細分散に加え微量のCo添加が有効である。
(1)質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%、Co:0.0010〜0.0050%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、実質的にフェライト単相組織であり、Ti、MoおよびVを含む複合炭化物と、Vのみを含む炭化物が分散析出するとともに、それらの炭化物が下式を満たすことを特徴とする降伏強度1000MPa以上の高降伏強度熱延鋼板。
0.1000<Tp+Vp<0.4000
ただし、
Tp:Ti、MoおよびVを含む複合炭化物として析出しているTi量(mass%)、
Vp:Vのみを含む炭化物として析出しているV量(mass%)
を表す。
(2)表面に溶融亜鉛系めっき被膜を有することを特徴とする上記(1)に記載の降伏強度1000MPa以上の高降伏強度熱延鋼板。
(3)質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%、Co:0.0010〜0.0050%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材に対し、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度570℃以上の条件で熱間圧延を施し、実質的にフェライト単相組織であり、Ti、MoおよびVを含む複合炭化物と、Vのみを含む炭化物が分散析出するとともに、それらの炭化物が下式を満たす鋼板を得ることを特徴とする、降伏強度1000MPa以上の高降伏強度熱延鋼板の製造方法。
0.1000<Tp+Vp<0.4000
ただし、
Tp:Ti、MoおよびVを含む複合炭化物として析出しているTi量(mass%)、
Vp:Vのみを含む炭化物として析出しているV量(mass%)
を表す。
まず、本発明の基礎となった実験結果について説明する。
高周波真空溶解炉でC:0.16%、Si:0.01%、Mn:1.35%、P:0.01%、S:0.001%、Al:0.05%、N:0.003%、Mo:0.32%、Ti:0.16%とし、V:0.1〜0.3%、Co:0.0005〜0.0060%で変化させた鋼を溶製し、分塊圧延により板厚27mmの実験室熱延用シートバーとした。このようにして得られたシートバーを1270℃に加熱後、7パスの熱間圧延により板厚3.0mmの熱延鋼板を作製した。このとき、仕上げ圧延終了温度は950℃とし、熱延後は直ちに冷却速度70℃/sで冷却し、巻き取り処理として、610℃で1時間保持を行ったのち炉冷した。こうして得られた熱延板を酸洗したのち、冷間圧延により圧下率10%の冷間加工を施した。冷間加工率を10%としたのは、衝突安全部材の製造工程において、10%程度の冷間加工に相当するひずみが加えられたのちに、曲げ加工が行われる場合を想定してのものである。冷間加工後の鋼板から、曲げ加工試験片を採取し、JIS Z 2248(1996)に基づいて押し曲げ法にて曲げ試験を行い、割れの発生する曲げ角度を曲げ限界角度として求めた。鋼にTi、MoおよびVを複合添加した場合には、炭化物形成能力の高いTiを核にまずTi、MoおよびVを含む炭化物が析出すると考えられる。その後、Tiがすべて消費され、かつVが固溶状態で残存している場合には、Vのみを含む炭化物が析出する。したがって、鋼の降伏強度に対しては、Ti、MoおよびVを含む炭化物量とVのみを含む炭化物量が影響すると考えられる。そこで、降伏強度とこれら炭化物量の和との関係を検討した。図1に降伏強度(YS)におよぼすTp+Vp量(Tp:Ti、MoおよびVを含む複合炭化物として析出しているTi量(mass%)、Vp:Vのみを含む炭化物として析出しているV量(mass%))の影響を示す。また、図2に10%冷間加工後の曲げ限界角度におよぼすCo量の影響を示す。なお、図1はCo:0.0010〜0.0020%、図2はTp+Vp:0.2000〜0.3000%とした場合の結果である。図1から降伏強度1000MPaを得るためにはTp+Vp量を0.1000%以上とする必要があることが分かる。また、図2から曲げ限界角はCo添加量が0.0010%以上で急激に向上し、0.0050%程度で飽和していることが分かる。なお、Co添加量が0.0010%以上の曲げ限界角は90度以上となり、たとえ曲げ加工前に鋼板に加工が施されていても、角筒形状に加工可能であり、加工後の曲げ特性に優れることが分かる。
(1)熱延板を酸洗後、(社)日本鉄鋼協会分析部会の推奨法に基づき、AA系電解液(10%アセチルアセトン−1%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール)でサンプルを電解処理し、抽出残渣を孔径0.2マイクロメートルのフィルタでろ過捕集して、炭化物として析出しているTiをA(mass%)、MoをB(mass%)、VをC(mass%)とする。
(2)次に鋼板の板厚1/4位置から採取して作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)によって組織観察を行うとともに、析出物中のTi、Mo、Vの組成をTEMに装備されたエネルギー分散型X線分光装置(EDX)による分析から決定した。ここで、析出物は、粒径が100nm以下のものをランダムに30個選択し、各々についてTi、Mo、Vの含有量を測定し、30個の平均組成からTi、MoおよびVを含む複合炭化物中のTi:Mo:Vの原子比を1:b:cの形式で求める。
(3)上記(1)、(2)の結果をもとにTi、MoおよびVを含む炭化物として析出しているTi量、Tp(mass%)を下記の3つの場合に分けて定義する。
(i)TpがTi量律速の場合(A/48<(B/96/b)かつA/48<(C/51/c)の場合)
Tp=A
(ii)TpがMo量律速の場合(A/48>(B/96/b)かつ(C/51/c)>(B/96/b)の場合)
Tp=(B/96/b)*48
(iii)TpがV量律速の場合(A/48>(C/51/c)かつ(B/96/b)>(C/51/c)の場合)
Tp=(C/51/c)*48
(4)上記(3)で求めたTpをもとに、Vのみを含む炭化物として析出しているV量、Vp(mass%)を次式により定義する。
Vp=C−(Tp/48)*51*c
本発明に係る高張力鋼板は、実質的にフェライト単相組織であり、Ti、MoおよびVを1種または2種以上含む炭化物が析出している。
マトリックスを実質的にフェライト単相組織としたのは、加工後の曲げ特性に対して、粗大で硬質な第2相などほとんどが存在せず、延性に富むフェライト単相組織とすることが、有効であるためである。しかし、マトリックスは必ずしも完全にフェライト単相組織でなくともよく、実質的にフェライト単相組織であればよい。すなわち微量の他の相ないしは析出物は許容される。好ましくは面積比率で95%以上フェライトであればよく、本発明において、実質的にフェライト単相組織とは、面積比率で95%以上フェライトであることを意味する。なお、ベイニティックフェライトやアシキュラーフェライト等も本発明におけるフェライト相に含まれる。
Ti、Mo、Vの3種を含む炭化物は、微細となり、析出量も確保できるため鋼を強化するのに有効である。しかしながら、降伏強度1000MPaをTi、Mo、Vの3種を含む炭化物のみで得ようとすると、析出の核となるTiを大量に添加することが必要となるが、大量のTi添加はスラブ加熱時のTi炭化物の溶け残りにつながり、結局は所望の降伏強度を得ることができなくなる。本発明者らは、Ti、Mo、Vの3種を含む炭化物とVのみを含む炭化物を適切に組み合わせて用いることで、1100〜1300℃のスラブ加熱温度でもTi炭化物が溶解し、かつ熱間圧延後の巻き取り工程において、微細なTi、Mo、Vの3種を含む炭化物とVのみを含む炭化物が分散析出することで、降伏強度1000MPa以上が得られることを見出した。
すなわち、MoおよびV、特にMoは析出物形成傾向(炭化物形成傾向)がTiよりも弱い。このため、TiとMo、Vを含む複合炭化物は強化に寄与しない粗大な析出物となることなく、安定して微細に存在することができ、加工性を低下させない比較的少量の添加量で有効に強化できると考えられる。
0.1000<Tp+Vp<0.4000
ただし、
Tp:Ti、MoおよびVを含む複合炭化物として析出しているTi量(mass%)
Vp:Vのみを含む炭化物として析出しているV量(mass%)
・C:0.06超〜0.24%
Cは炭化物を形成し、鋼を強化するのに有効である。しかし、0.06%以下では、鋼の強化が不十分であり、0.24%を超えて添加するとスポット溶接が困難となるため、C含有量は0.06超〜0.24%が好ましい。より好ましくは、0.07%以上であり、特に1100MPa以上の引張強度を得るためには0.1%以上であることが望ましい。一層好ましいC含有量範囲は、0.11〜0.2%である。
Siは固溶強化に有効な元素として、従来は積極的に用いられており、高張力鋼に約0.4%以上添加されることも多いが、本発明ではSiの含有量を0.3%以下とする。これは、0.3%を超えて添加すると、フェライトからのC析出が促進されて粒界に粗大な鉄炭化物が析出しやすくなり、曲げ特性が低下するためである。また、本発明においては、Siを低減することによりオーステナイトの圧延荷重を低減し、薄物の製造が容易となる。また、0.3%を超えて添加すると、めっき性が低下する。これらの理由により、Si含有量は0.3%以下が好ましい。さらに好ましくは0.15%以下であり、望ましくは0.05%以下である。なお、Siを極端に低減することは、製造コストを悪化させるため、その大きなコストアップを伴わない実用的な下限値は0.001%程度である。
Mnは固溶強化により鋼を強化する観点からは0.5%以上が好ましいが、2.0%を超えて添加すると偏析し、かつ硬質相が形成され、伸びフランジ性が低下する。このため、Mn含有量は0.5〜2.0%が好ましい。より好ましくは1.0%以上である。
Pは固溶強化に有効であるが、0.06%を超えて含有すると偏析して伸びフランジ性を低下させるため、0.06%以下とすることが好ましい。なお、Pを極端に低減することは、製造コストを悪化させるため、その大きなコストアップを伴わない実用的な下限値は0.001%程度である。
Sは少ないほど好ましく、0.005%を超えると曲げ特性が低下するため、0.005%以下が好ましい。なお、Sを極端に低減することは、製造コストを悪化させるため、その大きなコストアップを伴わない実用的な下限値は0.0005%程度である。
Alは脱酸剤として添加してよい。しかし、鋼中のAl量が0.06%を超えると伸びおよび曲げ加工性が低下するため、0.06%以下が好ましい。下限は特にないが、脱酸剤としての効果を十分に得るためにはAl量を0.01%以上とすることが好ましい。
Nは少ないほど好ましく、0.006%を超えると粗大な窒化物が増え、伸びフランジ性が低下するため、0.006%以下が好ましい。なお、Nを極端に低減することは、製造コストを悪化させるため、その大きなコストアップを伴わない実用的な下限値は0.0005%程度である。
Moは本発明において重要な元素であり、0.05%以上含有することでパーライト変態を抑制する効果がある。さらにTi、Vと微細な析出物(複合炭化物)を形成し、曲げ特性を低下させず、鋼を強化することができる。しかし、0.5%を超えて含有すると硬質相が形成され伸びフランジ性が低下し、曲げ特性も低下するため、Mo含有量は0.05〜0.5%が好ましい。なお、より好ましい下限値は0.15%、より好ましい上限値は0.4%である。
Tiは本発明において重要な元素である。Mo、Vと複合炭化物を形成することで、優れた伸びおよび伸びフランジ性を確保しつつ、鋼を強化することができる。しかし、0.03%未満では、鋼を強化する効果が不十分であり、0.2%を超えると曲げ特性が低下するとともに、熱延前のスラブ加熱温度を1300℃以上という高温にしなければ炭化物が溶解しないため、これ以上含有しても微細析出物として有効に析出させることができない。したがって、Ti含有量は0.03〜0.2%が好ましい。より好ましくは0.08〜0.2%である。
Vは本発明において重要な元素である。前述のように、炭化物が安定して微細に存在できるためにはTi、Mo、Vの3種を含む炭化物とすることが必要である。加えて、降伏強度1000MPa以上を得るためには、Vのみを含む炭化物を用いることも必要である。この点、本発明者らが詳細に検討した結果、Cを0.06%超えて添加するとともに、Vを多量に添加することでVの析出効率が上昇し、上述した0.1000<Tp+Vp<0.4000を満足できることがわかった。Vの含有量が0.15%以下では、Vのみを含む炭化物の析出量が不足して、十分な降伏強度が得られない。一方、Vの含有量が1.2%を超えると固溶Vが多くなり、曲げ特性が低下する。したがって、Vの含有量は0.15超〜1.2%が好ましい。より好ましくは、0.2〜1.0%である。
Coは本発明において、加工後の曲げ特性を確保するうえで重要な元素である。Coを0.001%以上含有することにより、10%冷間加工後の曲げ特性が向上する。ただし、その効果は0.0050%以上で飽和する。したがって、上記効果を得るため、Ta含有量の下限は0.0010%が好ましく、また、0.0050%を超えて添加しても効果が飽和してコストアップとなるだけであるため、Ta含有量の上限は0.0050%が好ましい。より好ましくは、0.0015〜0.0040%である。
高張力鋼板においては、他の炭化物形成元素、例えばNb、W等を添加することがある。しかし本発明の場合は炭化物中の最適なTi、Mo、Vバランスを崩す可能性があるので、これらの添加は避け、その含有量は不純物として許容される範囲とすることが好ましい。とくにNbは熱間圧延荷重を増大させて薄物の製造を困難にするほか、本発明の鋼組成においてはCの粗大化を促進して強度を低下させる可能性がある。したがって、Nbは0.02%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.003%以下とする。Wも0.02%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.005%以下とする。
本発明では、上記成分組成を有する鋼を溶製して、熱間圧延に供する鋼素材である鋼片(インゴット、スラブ、薄スラブを含む)とし、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度570℃以上の条件で熱間圧延を行う。
鋼スラブなどの鋼片は一旦冷却後、所定の温度(いわゆるスラブ加熱温度)に再加熱してから熱間圧延を施してもよいし、また、鋼片が前記所定の温度より低温となる前に直ちに熱間圧延を行ってもよい。さらに、鋼片が冷め切る前に前記所定の温度まで短時間の加熱を行い、熱間圧延を施してもよい。
仕上圧延終了温度は圧延荷重の低減に重要である。880℃未満では未再結晶で圧延が進行するために起こる歪みの蓄積量が増大し、圧延荷重が著しく増大することで薄物の熱間圧延が困難となる。このため仕上圧延終了温度は、880℃以上とする。上限は特に規定する必要はないが、900〜1050℃の範囲で仕上圧延を終了することが好ましい。
フェライト組織を得るため、また十分な炭化物の析出を確保するため、さらに仕上圧延機から巻取り装置までの間に設置されているランナウトテーブル上での注水量を抑えて薄物を安定通板させるため、巻取温度は570℃以上とする。ランナウトテーブル上の鋼板の走行安定性を確保するには600℃以上が好ましい。なお、パーライトの生成を抑制するためには、巻取温度は700℃以下とするのが望ましい。
表1に示す化学成分を有する鋼片を、1150〜1270℃に加熱し、通常の熱間圧延工程によって仕上げ圧延終了温度850〜1020℃で、板厚3.0mmに仕上げた。この後、540〜680℃の温度範囲で巻取りコイルとしたのち、酸洗により表面のスケールを除去した。
(1)熱延板を酸洗後、AA系の電解液を用いて抽出した残渣から炭化物として析出しているTiをA(mass%)、MoをB(mass%)、VをC(mass%)とする。
(2)次に鋼板の板厚1/4位置から採取して作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)によって組織観察を行うとともに、析出物中のTi、Mo、Vの組成をTEMに装備されたエネルギー分散型X線分光装置(EDX)による分析から決定した。ここで、析出物は、粒径が100nm以下のものをランダムに30個選択し、各々についてTi、Mo、Vの含有量を測定し、30個の平均組成からTi、MoおよびVを含む複合炭化物中のTi:Mo:Vの原子比を1:b:cの形式で求める。
(3)上記(1)、(2)の結果をもとにTi、MoおよびVを含む炭化物として析出しているTi量、Tp(mass%)を下記の3つの場合に分けて定義する。
(i)TpがTi量律速の場合(A/48<(B/96/b)かつA/48<(C/51/c)の場合)
Tp=A
(ii)TpがMo量律速の場合(A/48>(B/96/b)かつ(C/51/c)>(B/96/b)の場合)
Tp=(B/96/b)*48
(iii)TpがV量律速の場合(A/48>(C/51/c)かつ(B/96/b)>(C/51/c)の場合)
Tp=(C/51/c)*48
(4)上記(3)で求めたTpをもとに、Vのみを含む炭化物として析出しているV量、Vp(mass%)を次式により定義する。
Vp=C−(Tp/48)*51*c
表1に化学成分を示す鋼のうちD、G、K、L鋼を仕上圧延終了温度950〜980℃、巻取温度610〜620℃で熱間圧延を行い、板厚1.6mmの熱延鋼板を製造した。これら熱延鋼板を酸洗後、亜鉛をめっき浴とする溶融亜鉛めっきを施した後、合金化処理を施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%、Co:0.0010〜0.0050%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、実質的にフェライト単相組織であり、Ti、MoおよびVを含む複合炭化物と、Vのみを含む炭化物が分散析出するとともに、それらの炭化物が下式を満たすことを特徴とする降伏強度1000MPa以上の高降伏強度熱延鋼板。
0.1000<Tp+Vp<0.4000
ただし、
Tp:Ti、MoおよびVを含む複合炭化物として析出しているTi量(mass%)、
Vp:Vのみを含む炭化物として析出しているV量(mass%) - 表面に溶融亜鉛系めっき皮膜を有することを特徴とする請求項1に記載の降伏強度1000MPa以上の高降伏強度熱延鋼板。
- 質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%、Co:0.0010〜0.0050%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材に対し、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度570℃以上の条件で熱間圧延を施し、実質的にフェライト単相組織であり、Ti、MoおよびVを含む複合炭化物と、Vのみを含む炭化物が分散析出するとともに、それらの炭化物が下式を満たす鋼板を得ることを特徴とする、降伏強度1000MPa以上の高降伏強度熱延鋼板の製造方法。
0.1000<Tp+Vp<0.4000
ただし、
Tp:Ti、MoおよびVを含む複合炭化物として析出しているTi量(mass%)、
Vp:Vのみを含む炭化物として析出しているV量(mass%)
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