JP2008172472A - 静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法、表示装置、および指向性音響システム - Google Patents

静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法、表示装置、および指向性音響システム Download PDF

Info

Publication number
JP2008172472A
JP2008172472A JP2007003095A JP2007003095A JP2008172472A JP 2008172472 A JP2008172472 A JP 2008172472A JP 2007003095 A JP2007003095 A JP 2007003095A JP 2007003095 A JP2007003095 A JP 2007003095A JP 2008172472 A JP2008172472 A JP 2008172472A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
hole
ultrasonic transducer
signal
pair
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007003095A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4867662B2 (ja
JP2008172472A5 (ja
Inventor
Kinya Matsuzawa
欣也 松澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2007003095A priority Critical patent/JP4867662B2/ja
Publication of JP2008172472A publication Critical patent/JP2008172472A/ja
Publication of JP2008172472A5 publication Critical patent/JP2008172472A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4867662B2 publication Critical patent/JP4867662B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Transducers For Ultrasonic Waves (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)

Abstract

【課題】静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜の振動面積と開口率を増大させ、低電圧で大振幅を得る。
【解決手段】スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記スリット状の貫通穴と前記第2の電極の前記スリット状の貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、前記第1、第2のスリット状貫通穴の内部の深さ方向に前記振動膜の非振動時における表面に対し所定の間隔を持って前記スリット状貫通穴の長手方向に平行に配置される電極層を有し、前記一対の電極における前記電極層間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯域の信号波で変調した変調波が印加されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、指向性の鋭い音響放射装置に使用される静電型超音波トランスデューサに関し、特に、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜の振動部分の面積と、音響信号を放射する開口部の面積を増大し、さらに低電圧で大振幅を得る事を可能にする、静電型超音波トランスデューサ、該静電型超音波トランスデューサを備える超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法、超音波スピーカを備える表示装置、および指向性音響システムに関する。
指向性の鋭い音響放射装置に使用される超音波トランスデューサとしては、圧電方式と静電方式のものが提案されている。圧電方式の超音波トランスデューサは共振点が鋭く広帯域化が困難であるため音再現性に乏しいという欠点を有している(例えば、特許文献1、2を参照)。
これに対し静電方式の超音波トランスデューサは振動膜の共振自体が鋭くなく、また音響管の気柱共鳴現象を用いる事で広帯域化が可能で音再現性に優れている(音質がよい)という長所を持つ(例えば、特許文献3を参照)。
図10は、従来技術の静電型超音波トランスデューサ3を示す図である。図1(A)は静電型超音波トランスデューサ3の断面を示しており、静電型超音波トランスデューサ3は、振動電極(導電層)32を有する振動膜30と、該振動膜30のそれぞれの面に対向して設けられた前面側固定電極60A及び背面側固定電極60Bからなる一対の固定電極とを有している。振動膜30は電極を形成する振動電極(導電層)32を誘電体膜(絶縁膜)31、33で挟むように形成されている。
また、振動膜30を挟持する前面側固定電極60Aには複数の貫通穴61Aが設けられており、かつ背面側固定電極60Bには前面側固定電極60Aに設けた各貫通穴61Aに対向する位置に同一形状の貫通穴61Bが設けられている。前面側固定電極60Aと背面側固定電極60Bは、それぞれ支持部材62によって振動膜30から所定のギャップを隔てて支持されており、振動膜30と固定電極とが一部空隙を介して対向するように支持部材62は形成されている。図10(B)はトランスデューサの片側平面外観を示したものであり、前面側固定電極60A上に複数の貫通孔61Aがハニカム状に配列されている。
直流電源36は、振動電極32に直流バイアス電圧を印加するための電源であり、交流信号37A、37Bは、振動膜30を駆動するために、前面側固定電極60Aと背面側固定電極60Bに印加される信号である。上記の構成により、静電型超音波トランスデューサ3の前面側固定電極60Aと背面側固定電極60Bとには、センタータップを基準にして、振幅が等しく、位相が互いに反転した交流信号37A、37Bが印加される。
このようにして、交流信号の極性の変化に応じて振動膜30が同方向に静電吸引と静電斥力を受けながら、交互に静電力が働く方向が変化するので、大きな膜振動、すなわち、パラメトリックアレイ効果を得るのに十分な音圧レベルの音響信号を発生することができる。このように、図10に示す静電型超音波トランスデューサ3は、振動膜30が一対の固定電極60A、60Bから力を受けて振動することからプッシュプル(Push−Pull)型の静電型超音波トランスデューサと呼ばれている。
特開昭61−296897号公報 特開2000−287297号公報 特開2006−93932号公報
上述した静電型超音波トランスデューサは、共振型の超音波トランスデューサに比べて、広帯域化が可能で音再現性に優れている(音質がよい)という長所を持つ。
しかしながら、この静電型超音波スピーカでは膜の振動部分面積が、トランスデューサの音響放射面面積に対して、例えば、15%未満と小さいため有効に振動エネルギーを音響エネルギーとして空中に放出することができないという課題を抱えていた。超音波スピーカでは高い音響エネルギーを空中に放出することが必要とされているが、比較的高い音圧が得られる静電方式でも更なる高音庄化が望まれていた。更に静電方式では、高音圧出力を得るためには200V以上の高電圧の信号が必要となり低電圧化が課題であった。
このような問題に対処するために、本願出願人は図11に示す静電型超音波トランスデューサを現在出願中である。図11(A)は、振動膜を挟持する一対の電極70、70Aの一方の電極70を振動膜側からみた平面図を示している。図11(B)は、静電型超音波トランスデューサ断面図を示しており、図11(A)におけるX−X´方向の断面図である。
この静電型超音波トランスデューサは、非導電材料で形成される電極(母材)70に円形の貫通穴71を設け、この円形の貫通穴71中に振動膜30に対向する十字ブリッジ部72を設けたものである。この十字ブリッジ部72は、その長さ(貫通穴の深さ方向の長さ)が、振動膜30の非振動時における表面に対し所定の間隔(例えば、5〜6μm)を持つように形成され、十字ブリッジ部72の振動膜30と対向する面には、電極層73が形成される。同様にして、他方の電極70Aにも、貫通穴71A、十字ブリッジ部72A、および電極層73Aが形成される。そして、振動膜30の振動電極32には直流バイアス電圧が印加され、十字形状の電極層73と電極層73Aの間には交流信号が印加される。
このような構造により電気エネルギーを膜振動エネルギーに効率よく変換する(大振幅の音響信号を得る)ことが可能になる。しかしながら、音響放射面積の増大という課題は解決されないままであった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜の振動部分の面積を増大し、また音響信号を放射する開口部の面積を増大し、さらに低電圧の信号で大振幅の音響信号を得る事を可能にする、静電型超音波トランスデューサ、該静電型超音波トランスデューサを備える超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法、超音波スピーカを備える表示装置、および指向性音響システムを提供することにある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の静電型超音波トランスデューサは、スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、
前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有し、前記一対の電極における前記電極層間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯域の信号波で変調した変調波が印加されることことを特徴とする。
上記構成の静電型超音波トランスデューサでは、振動膜を挟持する一対の電極のそれぞれに、スリット状(矩形状)の貫通穴(開口部)を複数設け、このスリット状の貫通穴の内部に、振動膜と所定の間隔を保持して対向する電極層を貫通穴の長手方向に配置する。
これにより、例えば、貫通穴の形状(振動膜の振動形状)を図11に示す円形状から、図1に示す矩形状(スリット状)に変更できる。このため、振動膜の振動面積を増大するとともに、音響信号を放射する開口部の面積を増大させることができ、低電圧の信号で大振幅の音響信号を得ることができる。その結果、電気/音響エネルギー変換効率を向上し高音圧を得ることができる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、前記第1の電極の前記貫通穴および前記第2の電極の前記貫通穴の内部に、が形成されていることを特徴とする。
上記構成の静電型超音波トランスデューサでは、振動膜を挟持する一対の電極のそれぞれに、スリット状(矩形状)の貫通穴を複数設け、前記貫通穴の長手方向に平行であると共に前記振動膜の非振動時における表面に対して前記貫通穴の深さ方向に所定の間隔を持って対向する振動膜対向面を備えるブリッジ部を有し、前記ブリッジ部の前記振動膜対向面に電極層を形成する。
これにより、電極とブリッジ部とを一体として形成することができると共に、電極層を容易に形成できる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、前記第1の電極、第2の電極、および前記ブリッジ部が非導電性材料で形成されていることを特徴とする。
上記構成の静電型超音波トランスデューサでは、第1の電極、第2の電極、およびブリッジ部を非導電性材料で形成し、ブリッジ部の振動膜対向面に電極層を形成する。
これにより、静電型超音波トランスデューサの電極をプラスチック等の材料で形成することができ、静電型超音波トランスデューサを軽量かつ安価に製作できる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、前記第1の電極と前記第2の電極との少なくともいずれか一方に、前記貫通穴の内部に前記貫通穴を短手方向に横断する補強部材を有することを特徴とする。
上記構成の静電型超音波トランスデューサでは、振動膜を挟持する一対の電極である前記第1の電極と前記第2の電極との少なくともいずれか一方に、前記貫通穴の内部に前記貫通穴を短手方向に横断する補強部材を設ける。
これにより、振動膜の振動面積を増大するとともに、音響信号を放射する開口部の面積を増大させることができる効果に加えて、静電型超音波トランスデューサの電極の強度を増すことができる。このため、大きな面積(例えば、50mm×50mm以上)の静電型超音波トランスデューサを製作することが可能になる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、前記振動膜は、導電層が多層に形成されていることを特徴とする。
上記構成の静電型超音波トランスデューサでは、振動膜の導電層(振動電極)を多層に形成する。
これにより、振動膜に加わる静電力を高めることができ、振動膜の振幅を増大させ、出力される音響信号の音圧レベルを増大させることができる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、前記静電型超音波トランスデューサの背面に音響反射板を設けたことを特徴とする。
上記構成の静電型超音波トランスデューサでは、静電型超音波トランスデューサの背面に音響反射板を設置し、該静電型超音波トランスデューサの背面から放出される超音波を前面に反射させる。この音響反射板を、例えば、静電型超音波トランスデューサ背面の各開口部から放射された超音波が全て同じ長さの経路で静電型超音波トランスデューサ前面に放射されるように配置する。
これにより、静電型超音波トランスデューサの前面および背面から放出される超音波を有効利用できる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、前記音響反射板は、静電型超音波トランスデューサ背面の中心位置に一端が位置し、該中心位置を基準として静電型超音波トランスデューサ背面の両側に対して45°の角度で配置され他端が静電型超音波トランスデューサの端部と一致する長さの一対の第1の反射板と、前記一対の第1の反射板の前記端部と直角の角度をなして各々前記第1の反射板の外側方向に接続され前記第1の反射板長と同等の長さを有する一対の第2の反射板とで構成されていることを特徴とする。
上記構成の静電型超音波トランスデューサでは、音響反射板は、静電型超音波トランスデューサ背面の各開口部から放射された超音波が全て同じ長さの経路で超音波トランスデューサ前面に放射されるように配置される。すなわち、超音波トランスデューサ背面の中心Mの両側に対して45°の角度で第1の反射板を配置し、その端が超音波トランスデューサの端と一致する点までの長さとする。この第1の反射板により超音波トランスデューサ背面から放出された超音波は水平方向へ反射される。次に第1の反射板と直角の角度を持って接続された第2の反射板を各々第1の反射板の外側へ接続することで、超音波は超音波トランスデューサの前面へ放出される。この第2の反射板長も第1の反射板長と同等であることが必要である。このようにして、超音波トランスデューサ背面から放射された超音波が全て同じ長さの経路を持って反射されるようにし、背面から前面に放出される超音波の位相が全てそろうようにする。
これにより、トランスデューサの前面および背面から放出される超音波を有効利用できる。
また、本発明の超音波スピーカは、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波により超音波周波数帯のキャリア波を変調し、該変調波により静電型超音波トランスデューサを駆動することにより可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカであって、前記静電型超音波トランスデューサは、スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有し、前記一対の電極における前記電極層間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯域の信号波で変調した変調波が印加されることを特徴とする。
このように構成した本発明の超音波スピーカでは、可聴周波数帯の信号波により超音波周波数帯のキャリア波を変調し、該変調波により静電型超音波トランスデューサを駆動する超音波スピーカにおいて、電極にスリット状の貫通穴を有すると共に、貫通穴の内部に振動膜と対向する電極層を有する静電型超音波トランスデューサを使用する。
これにより、超音波スピーカに使用される静電型超音波トランスデューサの振動膜の振動面積を増大するとともに、音響信号を放射する開口部の面積を増大させることができる。その結果、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分高い音圧レベルの音響信号を発生することができる超音波スピーカを実現できる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法は、 スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有する、静電型超音波トランスデューサを使用すると共に、信号源により可聴周波数帯の信号波を生成する手順と、キャリア波供給源により超音波周波数帯のキャリア波を生成する手順と、前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調した変調信号を生成する手順と、前記一対の電極における前記電極層間に前記変調信号を印加することにより前記静電型超音波トランスデューサを駆動する手順と、を含むことを特徴とする。
このような手順を含む静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法では、可聴周波数帯の信号波により超音波周波数帯のキャリア波を変調し、該変調波により静電型超音波トランスデューサを駆動する超音波スピーカにおいて、電極にスリット状の貫通穴を有すると共に、貫通穴の内部に振動膜と対向する電極層を有する静電型超音波トランスデューサを使用する。
これにより、超音波スピーカに使用される静電型超音波トランスデューサの振動膜の振動面積を増大するとともに、音響信号を放射する開口部の面積を増大させることができる。その結果、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分高い音圧レベルの音響信号を発生することができる。
また、本発明の表示装置は、音響ソースから供給される音声信号により超音波周波数帯域の搬送波信号を変調し、該変調信号により静電型超音波トランスデューサを駆動して可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、映像を投影面に投影する投影光学系と、で構成される表示装置であって、前記超音波スピーカの静電型超音波トランスデューサは、スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有し、前記一対の電極における前記電極層間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯域の信号波で変調した変調波が印加されることを特徴とする。
上記構成の表示装置では、電極にスリット状の貫通穴を有すると共に、貫通穴の内部に振動膜と対向する電極層を有する静電型超音波トランスデューサで構成される超音波スピーカを使用する。そして、この超音波スピーカにより、音響ソースから供給される音声信号を再生する。
これにより、音響信号を十分な音圧と広帯域特性を持って、スクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。このため、音響信号の再生範囲の制御も容易に行えるようになる。
また、本発明の指向性音響システムは、音響ソースから供給される音声信号のうち第一の音域の信号により超音波周波数帯域の搬送波信号を変調し、該変調信号により静電型超音波トランスデューサを駆動し可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、前記音響ソースから供給される音声信号のうち前記第一の音域よりも低い第二の音域の信号を再生する低音再生用スピーカと、を有する指向性音響システムであって、前記超音波スピーカの静電型超音波トランスデューサは、スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有し、前記一対の電極における前記電極層間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯域の信号波で変調した変調波が印加されることを特徴とする。
上記構成の指向性音響システムでは、電極にスリット状の貫通穴を有すると共に、貫通穴の内部に振動膜と対向する電極層を有する静電型超音波トランスデューサで構成される超音波スピーカを使用する。そして、この超音波スピーカにより、音響ソースから供給される音声信号のうち中高音域(第一の音域)の音声信号を再生する。また、音響ソースから供給される音声信号のうち低音域(第二の音域)の音声信号は低音再生用スピーカにより再生する。
したがって、中高音域の音響を十分な音圧と広帯域特性を持って、スクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。また、低音域の音響は、音響システムに備えられた低音再生用スピーカから直接出力されるので、低音域の補強ができ、より臨場感の高い音場環境を創生できる。
最初に本発明の静電型超音波トランスデューサの概要について説明する。
静電型超音波トランスデューサから放射される音響信号の音圧レベルを上げるには振動膜の振動振幅と振動面積を大きくすることが必要であり、それは膜に働く静電力を大きくすることと振動面積比率を高めることが重要である。本発明では、膜振幅の増大を実現するためのブリッジ構造を改良し、振動膜の振動形状を図11に示す円形状から、図1に示す矩形状(スリット状)にすることで振動膜の振動面積を増大するとともに、音響信号を放射する開口部の面積を増大させる。その結果、電気/音響エネルギー変換効率を向上し高音圧の音響信号を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる静電型超音波トランスデューサの構成例を示す図である。図1(A)は、断面図、図1(B)は振動膜側から見た電極の平面図を示している。
本発明の静電型超音波トランスデューサ1は、振動膜30とそれを狭持する一対の電極である前面側電極(第1の電極)10と背面側電極(第2の電極)20と、それを駆動する回路から成る。
前面側電極10は、振動膜30を挟持するための振動膜支持部11と、スリット状(矩形状)の貫通穴である開口部13と、開口部(貫通穴)13の内部において該貫通穴の長手方向に平行に配置されるブリッジ部12とで形成される。このブリッジ部12は、その底面(振動膜30に対向する振動膜対向面)が、非振動時の振動膜30の膜表面と所定の間隔(例えば、5〜6μm)を保持するように配置される。また、ブリッジ部12の振動膜30と対向する振動膜対向面には、電極層14が形成される。
同様にして、背面側電極20は、振動膜30を挟持するための振動膜支持部21と、スリット状(矩形状)の貫通穴である開口部23と、開口部(貫通穴)23の内部において該貫通穴の長手方向に平行に配置されるブリッジ部22とで形成される。このブリッジ部22は、その底面(振動膜30に対向する振動膜対向面)が、非振動時の振動膜30の膜表面と所定の間隔(例えば、5〜6μm)を保持するように配置される。また、ブリッジ部22の振動膜30と対向する振動膜対向面には、電極層24が形成される。
なお、前面側電極10および背面側電極20の厚みは、例えば、1.5mm程度である。また、図1(B)に示すように、スリット状の貫通穴の幅は、例えば、1.5mm程度、ブリッジ部の幅は0.5mm程度である。
前面側電極10および背面側電極20は非導電性の母材(各種プラスチック、ガラス、セラミクスなど)で形成され、電極層14、24として金属(金、銀、銅、アルミなど)のメッキ、印刷、蒸着、ペーストなどを施した構成とする。電極層14、24には回路側の交流信号37A、37Bにより10〜300V程度のAC電圧が印加される。
振動膜30は、振動電極(導電層)32を誘電体膜(絶縁体)31、32で覆って形成される。例えば、数ミクロン厚の高分子膜(誘電体膜)の片面にメタライズ加工したものが、接着剤により積層されている。高分子膜の材料としては、例えばポリ・エチレン・テレフタレート(PET)、アラミド、ポリ・エステル、ポリ・エチレン・ナフタレート(PEN)、ポリ・フェニレン・サルファイド(PPS)などを用いる。振動電極32を形成するメタライズ部分の材料はAl(アルミ)が最も一般的で、その他、Ni、Cu、SUS、Tiなどでも良い。メタライズ部分の厚さは100Å〜1500Å程度が望ましい。振動膜のメタライズ部分(振動電極32)には回路側の直流電源36より10〜300VのDCバイアス電圧が印加される。
上記構成の静電型超音波トランスデューサ1の動作は、図10に示した静電型超音波トランスデューサ3と基本的には同じであり、振動膜30のプッシュプル動作により音響信号を発生する。すなわち、静電型超音波トランスデューサ1において、一対の電極10、20は、振動膜30を介して対向する位置に同数かつ複数のスリット状の開口部(貫通穴)13、23を有しており、一対の電極10、20のブリッジ部12、22の各電極層14、24の間には信号源37により相互に位相反転した交流信号37A、37Bが印加されるようになっている。電極層14と振動電極32との間、電極層24と振動電極32との間には、それぞれコンデンサが形成されている。また、振動膜30の振動電極32には、直流電源36により単一極性の(本実施形態では正極性の)直流バイアス電圧が印加される。
この結果、信号源37から出力される交流信号37Aの正の半サイクルでは、前面側電極10のブリッジ部12の電極層14に正の電圧が印加されるために、振動膜30の電極10、20で挟持されていない表面部分15Aには、静電反発力が作用し、表面部分15Aは、図1上、下方に引っ張られる。
また、このとき、交流信号37Bが負のサイクルとなり、対向する背面側電極20のブリッジ部22の電極層24には負の電圧が印加されるために、振動膜30の前記表面部分15Aの裏面側である裏面部分15Bには、静電吸引力が作用し、裏面部分15Bは、図1上、さらに下方に引っ張られる。
したがって、振動膜30の一対の電極10、20により挟持されていない膜部分は、同方向に静電吸引力と静電反発力(静電斥力)を受ける。これは、信号源37から出力される交流信号の負の半サイクルについても同様に、振動膜30の表面部分15Aには図1上、上方に静電吸引力が、また裏面部分15Bには、図1上、上方に静電反発力が作用し、振動膜30の一対の電極10、20により挟持されていない膜部分は、同方向に静電吸引力と静電斥力を受ける。このようにして、交流信号の極性の変化に応じて振動膜30が同方向に静電吸引力と静電斥力を受けながら、交互に静電力が働く方向が変化するので、大きな膜振動、すなわち、パラメトリックアレイ効果を得るのに十分な音圧レベルの音響信号を発生することができる。振動膜30から放射された音響信号はスリット状の開口部13、23を通して平面波として外部に放射される。
また、図2は、本発明による静電型超音波トランスデューサの変形例を示す図である。図2(A)、(B)、(C)は前面側電極を振動膜側から見た平面図を示している。なお、背面側電極も同様な構成となる。
図2(A)に示す前面側電極10は、図1(B)に示した前面側電極10と同じであり、本発明の静電型超音波トランスデューサの最も基本的な構成例である。
図2(B)に示す前面側電極40は、電極を形成する母材(例えば、プラスチック等)を補強するための補強部材41を、スリット状の貫通穴の長手方向の中心部分において、貫通穴の長手方向と直交する方向に追加した例を示している。なお、この例では、振動膜に対向する電極層が補強部材41により、電極層42Aと電極層42Bに2分割される例を示しているが、補強部材41の長さ(貫通穴の深さ方向の長さ)をブリッジ部と同じ長さ(貫通穴の深さ方向の長さ)にし、ブリッジ部の面(振動膜に対向する面)と補強部材41の面を合わせることにより、電極層を連続面として形成することもできる。
また、図2(C)に示す前面側電極50は、電極を形成する母材(例えば、プラスチック等)を補強するための2つの補強部材51、52を、スリット状の貫通穴が均等な長さになるように追加した例を示している。なお、この例では、振動膜に対向する電極層が補強部材51、52により、電極層53A、電極層53B、電極層53Cに3分割される例を示しているが、補強部材51、52の長さ(貫通穴の深さ方向の長さ)をブリッジ部と同じ長さ(貫通穴の深さ方向の長さ)にし、ブリッジ部の面(振動膜に対向する面)と補強部材51、52の面を合わせることにより、電極層を連続面として形成することもできる。
このように、トランスデューサ面積が小さい場合には図2(A)に示すようなスリット状の矩形穴(貫通穴)を形成すればよいが、トランスデューサ面積が大きくなり電極の機械的強度を確保する必要がある場合は図2(B)、(C)に示すように、スリットの中間に貫通穴の長手方向と直交する方向に母材を補強する。これにより、静電型超音波トランスデューサの電極の強度を増すことができ、大きな面積(例えば、50mm×50mm以上)の静電型超音波トランスデューサを製作することが可能になる。
以上、本発明の静電型超音波トランスデューサの構造について説明したが、本発明の静電型超音波トランスデューサの特徴は、図2(A)、(B)、(C)に示すように、一対の電極に矩形状(スリット状)に貫通穴(開口部)を空けることであり、特に重要なのは、矩形状の振動膜の中心に対して電極層を形成できるようにブリッジ状に電極パターンを形成する母材(ブリッジ部)を残すように構成することである。これは、図11に示した、丸穴に対するブリッジ構造を矩形穴に拡張したことになる。
図11に示す構造は丸穴(例えば、φ0.75mm)に対して電極層を十字ブリッジ状に形成したものであるが、開口率(音響エネルギーが放射される面積割合)が15%以下である。これに対して本発明の静電型超音波トランスデューサのように矩形状貫通穴にブリッジ構造の電極層を施した場合、振動膜の振動面積を約3倍にすることができると共に、約3倍(45%)の開口率を得ることができる。この数字の意味するところは、丸穴、矩形穴両者の膜振幅量が同じ場合、本発明の矩形状ブリッジ構造の方が3倍の音響エネルギーを放出することが可能であるということである。
また、図1に示す本発明の静電型超音波トランスデューサの電極10、20においては、図11に示す静電型超音波トランスデューサの電極70と比較して、貫通穴内のブリッジ部の構成が単純な構成であり、電極の製造が容易となる。
また、さらに静電力を高めるために、振動膜30Aを3層以上の積層構造にすることも効果がある。すなわち、図3に示す静電型超音波トランスデューサ2のように、2つの振動電極32、34と誘電体膜31、33、35とを積層して振動膜30Aを形成することにより、静電力を高めて膜振幅を増大させることができる。
以上説明したように、本発明の静電型超音波トランスデューサでは、振動膜の振動形状矩形状(スリット状)にすることで振動膜の振動面積を増大するとともに、音響信号を放射する開口部の面積を増大させている。このため、低電圧の信号で大振幅の音響信号を得ることができる。その結果、電気/音響エネルギー変換効率を向上し高音圧の音響信号を得ることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの構成例を図4に示す。本発明の第2の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの構成は、音響反射板を静電型超音波トランスデューサ1の背面に設置したことを除き、図1に示した構成と同一である。
すなわち、本実施形態に係る静電型超音波トランスデューサは、図1に示す静電型超音波トランスデューサ1の背面に音響反射板101、102を設置したことを特徴としている。
音響反射板101、102は、静電型超音波トランスデューサ1の背面側電極20の各開口部23から放射された超音波が全て同じ長さの経路で静電型超音波トランスデューサ1の前面に放射されるように配置されている。
すなわち、音響反射板は、静電型超音波トランスデューサ1の背面の中心位置Mに一端が位置し、該中心位置を基準として静電型超音波トランスデューサ1の背面の両側に対して45°の角度で配置され他端が静電型超音波トランスデューサ1の端部X1、X2と一致する長さの一対の第1の反射板101、101と、一対の第1の反射板101、101の前記端部と直角の角度をなして各々前記第1の反射板の外側方向に接続され前記第1の反射板長と同等の長さを有する一対の第2の反射板102、102とを有している。
上記構成において、超音波トランスデューサ1背面の中心Mの両側に対して45°の角度で第1の反射板101、101を配置し、その端が超音波トランスデューサ1の端と一致する点までの長さが必要となる。この第1の反射板101、101により超音波トランスデューサ1背面から放出された超音波は水平方向へ反射される。
次に第1の反射板101、101と直角の角度を持って接続された第2の反射板102、102を各々第1の反射板101、101の外側へ接続することで超音波は静電型超音波トランスデューサ1の前面へ放出される。この第2の反射板長も第1の反射板長と同等であることが必要である。ここで重要なことは静電型超音波トランスデューサ1背面から放射された超音波が全て同じ長さの経路を持つことである。経路長が同じであることは背面から放出される超音波の位相が全てそろっていることを意味しているからである。
また、図4のように音波を幾何学的に扱うことができるのは、放出する音波が超音波であるため、極めて強い指向性を持つからである。またもう一点言及しておく必要があるのは、静電型超音波トランスデューサ1前面から放出された超音波と背面から反射されて前面へ放出された超音波の時間差である。
トランスデューサの中心からaの距離だけ離れた地点から放出された超音波は、トランスデューサを円形と仮定しその半径をrとすると、トランスデューサ前面まで到達する距離はおおよそ2r、すなわちトランスデューサの直径に等しい。勿論、距離aは次式を満たしていなければならない。
0≦a≦r …… (1)
今、トランスデューサの直径を約10cmとし、音速を340m/secとすると、前面から放出される超音波と背面から放出された超音波が反射して前面に到達するまでの時間差は約0.29msecであり、人間が知覚できない時間差であるので問題はない。すなわち、トランスデューサの前面および背面から放出される超音波を有効利用できる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係わる静電型超音波トランスデューサを使用した超音波スピーカの構成例を図5に示す。本実施形態に係る超音波スピーカは、上述した本発明の静電型超音波トランスデューサ(図1)、すなわち、スリット状の貫通穴(開口部)を有し、貫通穴内のブリッジ部に電極層を設けたPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサで構成される。
図5において、本実施形態に係る超音波スピーカは、可聴波周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波発振源201と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波発振源202と、変調器203と、パワーアンプ204と、静電型超音波トランスデューサ205とを有している。
変調器203は、キャリア波発振源202から出力されるキャリア波を可聴周波数波発振源201から出力される可聴波周波数帯の信号波により変調し、パワーアンプ204を介して静電型超音波トランスデューサ205に供給する。
上記構成において、可聴周波数波発振源201より出力される信号波によってキャリア波発振源202から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器203により変調し、パワーアンプ204で増幅した変調信号により静電型超音波トランスデューサ205を駆動する。この結果、上記変調信号が静電型超音波トランスデューサ205により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が自己再生される。
すなわち、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分な顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波周波数帯)とに波形分離され、可聴波周波数帯の信号波(信号音)が再生される。
静電型超音波トランスデューサ205には、図1に示す本発明の静電型超音波トランスデューサ1が使用され、高音圧の音響信号を広帯域性を持って出力することができる。このため、様々な用途にスピーカとして利用することが可能となる。
超音波は空中では減衰が激しく、その周波数の二乗に比例して減衰する。したがって、キャリア周波数(超音波)が低いと減衰も少なくビーム状に遠くまで音の届く超音波スピーカを提供することができる。
逆にキャリア周波数が高いと減衰が激しいのでパラメトリックアレイ効果が十分に起きず、音が広がる超音波スピーカを提供することができる。これらは同じ超音波スピーカでも用途に応じて使い分けることが可能なため大変有効な機能である。
また、ペットとして人間と生活をともにすることの多い犬は40kHzまで、猫は100kHzまでの音を聴くことが可能であるため、それ以上のキャリア周波数をもちいれば、ペットに及ぼす影響もなくなるという利点も有する。いずれにせよ色々な周波数で利用できるということは多くのメリットをもたらす。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の静電型超音波トランスデューサ、すなわち、スリット状の貫通穴(開口部)を有し、貫通穴内のブリッジ部に電極層を設けたPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサ(図1)で構成される超音波スピーカを使用した指向性音響システムについて説明する。なお、静電型超音波トランスデューサを、以下、単に「超音波トランスデューサ」とも呼ぶ。
以下、本発明に係る指向性音響システムの一例としてプロジェクタ(表示装置)を例に採り説明する。図6は本発明に係るプロジェクタの使用状態を示している。同図に示すように、プロジェクタ301は視聴者303の後方に設置され、視聴者303の前方に設置されたスクリーン302に映像を投影するとともに、プロジェクタ301に搭載されている超音波スピーカによりスクリーン302の投影面に仮想音源を形成し、音声を再生するようになっている。
プロジェクタ301の外観構成を図7に示す。プロジェクタ301は、映像をスクリーン等の投影面に投影する投影光学系を含むプロジェクタ本体320と、超音波周波数帯の音波を発振できる超音波トランスデューサ324A,324Bを含んで構成され、音響ソースから供給される音声信号から可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカとが一体的に構成されている。本実施形態では、ステレオ音声信号を再生するために、投影光学系を構成するプロジェクタレンズ331を挟んで左右に超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ324A,324Bがプロジェクタ本体に搭載されている。
さらに、プロジェクタ本体320の底面には低音再生用スピーカ323が設けられている。また、325は、プロジェクタ本体320の高さ調整を行うための高さ調節ねじ、326は、空冷フアン用の排気口である。
また、プロジェクタ301では、超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサとして本発明によるPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサ(スリット状の貫通穴と、貫通穴内のブリッジ部に電極層を形成した静電型超音波トランスデューサ)を使用しており、広周波数帯域の音響信号(超音波周波数帯の音波)を高音圧で発振することができる。このため、キャリア波の周波数を変更することにより可聴周波数帯の再生信号の空間的な再生範囲を制御することにより、ステレオサラウンドシステムや5.1chサラウンドシステム等で得られるような音響効果を従来必要であった大掛かりな音響システムを必要とすることなく実現でき、かつ持ち運びが容易なプロジェクタを実現することができる。
次に、プロジェクタ301の電気的構成を図8に示す。プロジェクタ301は、操作入力部310と、再生範囲設定部312、再生範囲制御処理部313、音声/映像信号再生部314、キャリア波発振源316、変調器318A,318B、パワーアンプ322A,322B及び静電型超音波トランスデューサ324A,324Bからなる超音波スピーカと、ハイパスフィルタ317A,317Bと、ローパスフィルタ319と、ミキサ321と、パワーアンプ322Cと、低音再生用スピーカ323と、プロジェクタ本体320とを有している。なお、超音波トランスデューサ324A,324Bは本発明によるPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサ(スリット状の貫通穴を有し、貫通穴内のブリッジ部に電極層を形成した静電型超音波トランスデューサ)である。
プロジェクタ本体320は、映像を生成する映像生成部332と、生成された映像を投影面に投影する投影光学系333とを有している。プロジェクタ301は、超音波スピーカ及び低音再生用スピーカ323と、プロジェクタ本体320とが一体化されて構成されている。
操作入力部310は、テンキー、数字キー、電源のオン、オフをおこなうための電源キーを含む各種機能キーを有している。再生範囲設定部312は、ユーザが操作入力部310をキー操作することにより再生信号(信号音)の再生範囲を指定するデータを入力できるようになっており、該データが入力されると、再生信号の再生範囲を規定するキャリア波の周波数が設定され、保持されるようになっている。再生信号の再生範囲の設定は、超音波トランスデューサ324A,324Bの音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離を指定することにより行われる。
また、再生範囲設定部312は、音声/映像信号再生部314より映像内容に応じて出力される制御信号によりキャリア波の周波数が設定できるようになっている。
また、再生範囲制御処理部313は、再生範囲設定部312の設定内容を参照し、設定された再生範囲となるようキャリア波発振源316により生成されるキャリア波の周波数を変更するようにキャリア波発振源316を制御する機能を有する。
例えば、再生範囲設定部312の内部情報として、キャリア波周波数が50kHzに対応する上記距離が設定されている場合、キャリア波発振源316に対して50kHzで発振するように制御する。
再生範囲制御処理部313は、再生範囲を規定する超音波トランスデューサ324A,324Bの音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離とキャリア波の周波数との関係を示すテーブルが予め記憶されている記憶部を有している。このテーブルのデータは、キャリア波の周波数と上記再生信号の到達距離との関係を実際に計測することにより得られる。
再生範囲制御処理部313は、再生範囲設定部312の設定内容に基づいて、上記テーブルを参照して設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数となるようにキャリア波発振源316を制御する。
音声/映像信号再生部314は、例えば、映像媒体としてDVDを用いるDVDプレーヤーであり、再生した音声信号のうちRチャンネルの音声信号は、ハイパスフィルタ317Aを介して変調器318Aに、Lチャンネルの音声信号はハイパスフィルタ317Bを介して変調器318Bに、映像信号はプロジェクタ本体320の映像生成部332にそれぞれ、出力されるようになっている。
また、音声/映像信号再生部314より出力されるRチャンネルの音声信号とLチャンネルの音声信号は、ミキサ321により合成され、ローパスフィルタ319を介してパワーアンプ322Cに入力されるようになっている。音声/映像信号再生部314は、音響ソースに相当する。
ハイパスフィルタ317A,317Bは、それぞれ、Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号における中高音域(第一の音域)の周波数成分のみを通過させる特性を有しており、またローパスフィルタは、Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号における低音域(第二の音域)の周波数成分のみを通過させる特性を有している。
したがって、上記Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号は
、それぞれ超音波トランスデューサ324A、324Bにより再生され、上記Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号のうち低音域の音声信号は低音再生用スピーカ323により再生されることとなる。
なお、音声/映像信号再生部314はDVDプレーヤーに限らず、外部から入力されるビデオ信号を再生する再生装置であってもよい。また、音声/映像信号再生部314は、再生される映像のシーンに応じた音響効果を出すために再生音の再生範囲を動的に変更するように、再生範囲設定部312に再生範囲を指示する制御信号を出力する機能を有している。
キャリア波発振源316は、再生範囲設定部312より指示された超音波周波数帯の周波数のキャリア波を生成し、変調器318A,318Bに出力する機能を有している。
変調器318A,318Bは、キャリア波発振源316から供給されるキャリア波を音声/映像信号再生部314から出力される可聴周波数帯の音声信号でAM変調し、該変調信号を、それぞれパワーアンプ322A,322Bに出力する機能を有する。
超音波トランスデューサ324A,324Bは、それぞれ、変調器318A,318Bからパワーアンプ322A,322Bを介して出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射し、可聴周波数帯の信号音(再生信号)を再生する機能を有する。
映像生成部332は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイと、該ディスプレイを音声/映像信号再生部314から出力される映像信号に基づいて駆動する駆動回路等を有しており、音声/映像信号再生部314から出力される映像信号から得られる映像を生成する。
投影光学系333は、ディスプレイに表示された映像をプロジェクタ本体320の前方に設置されたスクリーン等の投影面に投影する機能を有している。
次に、上記構成からなるプロジェクタ301の動作について説明する。まず、ユーザのキー操作により操作入力部310から再生信号の再生範囲を指示するデータ(距離情報)が再生範囲設定部312に設定され、音声/映像信号再生部314に再生指示がなされる。
この結果、再生範囲設定部312には、再生範囲を規定する距離情報が設定され、再生範囲制御処理部313は、再生範囲設定部312に設定された距離情報を取り込み、内蔵する記憶部に記憶されているテーブルを参照し、上記設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数のキャリア波を生成するようにキャリア波発振源316を制御する。
この結果、キャリア波発振源316は、再生範囲設定部312に設定された距離情報に対応する周波数のキャリア波を生成し、変調器318A,318Bに出力する。
一方、音声/映像信号再生部314は、再生した音声信号のうちRチャンネルの音声信号を、ハイパスフィルタ317Aを介して変調器318Aに、Lチャンネルの音声信号をハイパスフィルタ317Bを介して変調器318Bに、Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号をミキサ321に出力し、映像信号をプロジェクタ本体320の映像生成部332にそれぞれ、出力する。
したがって、ハイパスフィルタ317Aにより上記Rチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号が変調器318に入力され、ハイパスフィルタ317Bにより上記Lチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号が変調器318Bに入力される。
また、上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号はミキサ321により合成され、ローパスフィルタ319により上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号のうち低音域の音声信号がパワーアンプ322Cに入力される。
映像生成部332では、入力された映像信号に基づいてディスプレイを駆動して映像を生成し、表示する。このディスプレイに表示された映像は、投影光学系333により、投影面、例えば、図6に示すスクリーン302に投影される。
他方、変調器318Aは、キャリア波発振源316から出力されるキャリア波をハイパスフィルタ317Aから出力される上記Rチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号でAM変調し、パワーアンプ322Aに出力する。
また、変調器318Bは、キャリア波発振源316から出力されるキャリア波をハイパスフィルタ317Bから出力される上記Lチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号でAM変調し、パワーアンプ322Bに出力する。
パワーアンプ322A,322Bにより増幅された変調信号は、それぞれ、超音波トランスデューサ324A,324Bの前面側電極10の電極層14と背面側電極20の電極層24(図1参照)との間に印加され、該変調信号は、有限振幅レベルの音波(音響信号)に変換され、媒質(空気中)に放射され、超音波トランスデューサ324Aからは、上記Rチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号が再生され、超音波トランスデューサ324Bからは、上記Lチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号が再生される。
また、パワーアンプ322Cで増幅された上記Rチャンネル及びLチャンネルにおける低音域の音声信号は低音再生用スピーカ323により再生される。
前述したように、超音波トランスデューサにより媒質中(空気中)に放射された超音波の伝播においては、その伝播に伴い音圧の高い部分では音速が高くなり、音圧の低い部分では音速は遅くなる。この結果、波形の歪みが発生する。
放射する超音波帯域の信号(キャリア波)を可聴周波数帯の信号で変調(AM変調)しておいた場合には、上記波形歪みの結果により、変調時に用いた可聴周波数帯の信号波が超音波周波数帯のキャリア波と分離して自己復調する形で形成される。その際、再生信号の広がりは超音波の特性からビーム状となり、通常のスピーカとは全く異なる特定方向のみに音が再生される。
超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ324から出力されるビーム状の再生信号は、投影光学系333により映像が投影される投影面(スクリーン)に向けて放射され、投影面で反射され拡散する。この場合に、再生範囲設定部312に設定されるキャリア波の周波数に応じて、超音波トランスデューサ324の音波放射面からその放射軸方向(法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、キャリア波のビーム幅(ビームの拡がり角)が異なるために、再生範囲は、変化する。
プロジェクタ301における超音波トランスデューサ324A,324Bを含んで構成される超音波スピーカによる再生信号の再生時の状態を図9に示す。プロジェクタ301において、キャリア波が音声信号により変調された変調信号により超音波トランスデューサが駆動される際に、再生範囲設定部312により設定されたキャリア周波数が低い場合は、超音波トランスデューサ324の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が長くなる。
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、比較的拡がらずに投影面
(スクリーン)302に到達することとなり、この状態で投影面302において反射するので、再生範囲は、図9において点線の矢印で示す可聴範囲Aとなり、投影面302から比較的に遠くかつ狭い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
これに対して、再生範囲設定部312により設定されたキャリア周波数が上述した場合より高い場合は、超音波トランスデューサ324の音波放射面から放射される音波は、キャリア周波数が低い場合より絞られているが、超音波トランスデューサ324の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が短くなる。
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、投影面302に到達する前に拡がって投影面302に到達することとなり、この状態で投影面302において反射するので、再生範囲は、図9において実線の矢印で示す可聴範囲Bとなり、投影面302から比較的に近くかつ広い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
以上説明したように、本発明のプロジェクタでは、Push−Pull型の静電型超音波トランスデューサ(スリット状の貫通穴を有し、貫通穴内のブリッジ部に電極層を形成した静電型超音波トランスデューサ)で構成された超音波スピーカを使用しており、音響信号を十分な音圧レベルと広帯域特性を持って、スクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。このため、その再生範囲の制御も容易に行えるようになる。
なお、上述したプロジェクタは、大画面で画像を見たい場合に使用されものであるが、近時、大画面液晶テレビや大画面プラズマテレビが急速に普及しており、それらの大画面テレビにも、本発明の超音波スピーカを効果的に使用することができる。
すなわち、大画面テレビに本発明による超音波スピーカを使用することにより、大画面テレビの前方に向けて局所的に音声信号を放射することが可能になる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、および表示装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明の静電型超音波トランスデューサの構成例を示す図。 本発明の静電型超音波トランスデューサの他の構成例を示す図。 振動膜の振動電極を多層にした例を示す図。 静電型超音波トランスデューサの背面に反射板を設けた例を示す図。 本発明による超音波スピーカの構成を示すブロック図 本発明によるプロジェクタの使用状態を示す図。 図6に示したプロジェクタの外観構成を示す図。 図6に示したプロジェクタの電気的構成を示すブロック図。 超音波トランスデューサによる再生信号の再生状態の説明図。 従来のプッシュプル型の静電型超音波トランスデューサの構成を示す図。 円形の貫通穴にブリッジ構造の電極層を設けた例を示す図。
符号の説明
1、2、3・・・静電型超音波トランスデューサ、10・・・前面側電極、11・・・振動膜支持部、12・・・ブリッジ部、13・・・開口部(貫通穴)、14・・・電極層、20・・・背面側電極、21・・・振動膜支持部、22・・・ブリッジ部、23・・・開口部(貫通穴)、24・・・電極層、30、30A・・・振動膜、31、33、35・・・誘電体膜、32、34・・・振動電極、36・・・直流電源、37・・・信号源、37A,37B・・・交流信号、40・・・前面側電極、41・・・補強部材、42A、42B・・・電極層、50・・・前面側電極、51、52・・・補強部材、53A、53B、53C・・・電極層、60A・・・前面側固定電極、60B・・・背面側固定電極、61A、61B・・・貫通孔、62・・・支持部材、70、70A・・・電極、71、71A・・・貫通穴、72、72A・・・十字ブリッジ部、73、73A・・・電極層、101、102・・・反射板、201・・・可聴周波数波発振源、202・・・キャリア波発振源、203・・・変調器、204・・・パワーアンプ、205・・・静電型超音波トランスデューサ、301・・・プロジェクタ、302・・・スクリーン(投影面)、303・・・視聴者、310・・・操作入力部、312・・・再生範囲設定部、313・・・再生範囲制御処理部、314・・・音声/映像信号再生部、316・・・キャリア波発振源、317A、317B・・・ハイパスフィルタ、318A、318B・・・変調器、319・・・ローパスフィルタ、320・・・プロジェクタ本体、321・・・ミキサ、322A、322B・・・パワーアンプ、322C・・・パワーアンプ、323・・・低音再生用スピーカ、324A、324B・・・超音波トランスデューサ、331・・・プロジェクタレンズ、332・・・映像生成部、333・・・投影光学系

Claims (11)

  1. スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、
    スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、
    前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、
    前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有し、
    前記一対の電極における前記電極層間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯域の信号波で変調した変調波が印加されること
    を特徴とする静電型超音波トランスデューサ。
  2. 前記第1の電極の前記貫通穴および前記第2の電極の前記貫通穴の内部に、前記貫通穴の長手方向に平行であると共に前記振動膜の非振動時における表面に対して前記貫通穴の深さ方向に所定の間隔を持って対向する振動膜対向面を備えるブリッジ部を有し、
    前記ブリッジ部の前記振動膜対向面に前記電極層が形成されていること
    を特徴とする静電型超音波トランスデューサ。
  3. 前記第1の電極、第2の電極、および前記ブリッジ部が非導電性材料で形成されていること
    を特徴とする請求項2に記載の静電型超音波トランスデューサ。
  4. 前記第1の電極と前記第2の電極との少なくともいずれか一方に、
    前記貫通穴の内部に前記貫通穴を短手方向に横断する補強部材を有すること
    を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の静電型超音波トランスデューサ。
  5. 前記振動膜は、導電層が多層に形成されていること
    を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の静電型超音波トランスデューサ。
  6. 前記静電型超音波トランスデューサの背面に音響反射板を設けたこと
    を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の静電型超音波トランスデューサ。
  7. 前記音響反射板は、静電型超音波トランスデューサ背面の中心位置に一端が位置し、該中心位置を基準として静電型超音波トランスデューサ背面の両側に対して45°の角度で配置され他端が静電型超音波トランスデューサの端部と一致する長さの一対の第1の反射板と、
    前記一対の第1の反射板の前記端部と直角の角度をなして各々前記第1の反射板の外側方向に接続され前記第1の反射板長と同等の長さを有する一対の第2の反射板とで構成されていること
    を特徴とする請求項6に記載の静電型超音波トランスデューサ。
  8. 可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波により超音波周波数帯のキャリア波を変調し、該変調波により静電型超音波トランスデューサを駆動することにより可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカであって、
    前記静電型超音波トランスデューサは、
    スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、
    スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、
    前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、
    前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有し、
    前記一対の電極における前記電極層間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯域の信号波で変調した変調波が印加されること
    を特徴とする超音波スピーカ。
  9. スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、
    スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、
    前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、
    前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有する、静電型超音波トランスデューサを使用すると共に、
    信号源により可聴周波数帯の信号波を生成する手順と、
    キャリア波供給源により超音波周波数帯のキャリア波を生成する手順と、
    前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調した変調信号を生成する手順と、
    前記一対の電極における前記電極層間に前記変調信号を印加することにより前記静電型超音波トランスデューサを駆動する手順と、
    を含むことを特徴とする静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法。
  10. 音響ソースから供給される音声信号により超音波周波数帯域の搬送波信号を変調し、該変調信号により静電型超音波トランスデューサを駆動して可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、
    映像を投影面に投影する投影光学系と、
    で構成される表示装置であって、
    前記超音波スピーカの静電型超音波トランスデューサは、
    スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、
    スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、
    前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、
    前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有し、
    前記一対の電極における前記電極層間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯域の信号波で変調した変調波が印加されること
    を特徴とする表示装置。
  11. 音響ソースから供給される音声信号のうち第一の音域の信号により超音波周波数帯域の搬送波信号を変調し、該変調信号により静電型超音波トランスデューサを駆動し可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、
    前記音響ソースから供給される音声信号のうち前記第一の音域よりも低い第二の音域の信号を再生する低音再生用スピーカと、
    を有する指向性音響システムであって、
    前記超音波スピーカの静電型超音波トランスデューサは、
    スリット状の貫通穴を有する第1の電極と、
    スリット状の貫通穴を有する第2の電極と、
    前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置され、かつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、
    前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に前記貫通穴の長手方向に配置された電極層を有し、
    前記一対の電極における前記電極層間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯域の信号波で変調した変調波が印加されること
    を特徴とする指向性音響システム。
JP2007003095A 2007-01-11 2007-01-11 静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法 Expired - Fee Related JP4867662B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007003095A JP4867662B2 (ja) 2007-01-11 2007-01-11 静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007003095A JP4867662B2 (ja) 2007-01-11 2007-01-11 静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2008172472A true JP2008172472A (ja) 2008-07-24
JP2008172472A5 JP2008172472A5 (ja) 2010-01-28
JP4867662B2 JP4867662B2 (ja) 2012-02-01

Family

ID=39700154

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007003095A Expired - Fee Related JP4867662B2 (ja) 2007-01-11 2007-01-11 静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4867662B2 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005354472A (ja) * 2004-06-11 2005-12-22 Seiko Epson Corp 超音波トランスデューサ及びこれを用いた超音波スピーカ

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005354472A (ja) * 2004-06-11 2005-12-22 Seiko Epson Corp 超音波トランスデューサ及びこれを用いた超音波スピーカ

Also Published As

Publication number Publication date
JP4867662B2 (ja) 2012-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4802998B2 (ja) 静電型超音波トランスデューサの駆動制御方法、静電型超音波トランスデューサ、これを用いた超音波スピーカ、音声信号再生方法、超指向性音響システム及び表示装置
JP4844411B2 (ja) 静電型超音波トランスデューサ、静電型超音波トランスデューサの製造方法、超音波スピーカ、音声信号再生方法、超指向性音響システム及び表示装置
JP5103873B2 (ja) 静電型超音波トランスデューサの駆動制御方法、静電型超音波トランスデューサ、これを用いた超音波スピーカ、音声信号再生方法、超指向性音響システム及び表示装置
JP4214961B2 (ja) 超指向性音響システム及びプロジェクタ
JP4682927B2 (ja) 静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、音声信号再生方法、超音波トランスデューサの電極の製造方法、超音波トランスデューサの製造方法、超指向性音響システム、および表示装置
JP4285537B2 (ja) 静電型超音波トランスデューサ
JP4983171B2 (ja) 静電型トランスデューサ、容量性負荷の駆動回路、回路定数の設定方法、超音波スピーカ、および指向性音響システム
JP2008042869A (ja) 静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、音声信号再生方法、超指向性音響システム及び表示装置
JP2008244964A (ja) 静電型超音波トランスデューサ、静電型トランスデューサ、超音波スピーカ、スピーカ装置、静電型超音波トランスデューサによる音声信号再生方法、指向性音響システム、および表示装置
JP2007195150A5 (ja)
JP2007184900A5 (ja)
JP2006005845A (ja) 超音波スピーカ、及びプロジェクタ
JP2008118248A (ja) D級アンプの駆動方法、d級アンプの駆動回路、静電型トランスデューサ、超音波スピーカ、表示装置、および指向性音響システム
JP2008118247A (ja) 静電型超音波トランスデューサ、これを用いた超音波スピーカ、音声信号再生方法、超指向性音響システム及び表示装置
JP2008113288A (ja) 静電型超音波トランスデューサ、静電型超音波トランスデューサの製造方法、超音波スピーカ、表示装置、および指向性音響システム
JP4867662B2 (ja) 静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法
JP4803246B2 (ja) 超音波スピーカ、音声信号再生方法、超指向性音響システム
JP2008258864A (ja) 静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法、表示装置、および指向性音響システム
JP2008199342A (ja) 静電型トランスデューサ、静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、スピーカ装置、静電型トランスデューサによる音声信号再生方法、指向性音響システム、および表示装置
JP4803245B2 (ja) 静電型超音波トランスデューサ
JP2005223410A (ja) 超指向性スピーカ、プロジェクタ、及び携帯情報端末
JP2008199341A (ja) 静電型トランスデューサ、超音波スピーカ、スピーカ装置、静電型トランスデューサによる音声信号再生方法、指向性音響システム、および表示装置
JP4241231B2 (ja) プロジェクタ
JP2009118094A (ja) 静電型トランスデューサ、および超音波スピーカ
JP2006019864A (ja) プロジェクタシステム及びスクリーン構造

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091208

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110712

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110811

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111018

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees