JP2008171154A - シミュレーション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御信号に出力される模擬信号に重畳させるノイズパターンを予め設定し、反復出力することにより、ノイズシミュレーションの精度を向上させることのできるシミュレーション装置を提供する。
【解決手段】制御対象を模擬して制御装置7に模擬信号を出力する模擬信号出力部2と、模擬信号に応答して制御装置7から入力される制御信号を計測する信号計測部3とを備えてなるシミュレーション装置であって、模擬信号出力部2は、所定周期で反復する標準信号パターンと標準信号パターンに外乱を重畳した複数の異常信号パターンを記憶する信号記憶部2cと、信号記憶部2cに記憶された各信号パターンを選択して模擬信号を生成する信号生成部2aと、信号生成部2aによる各信号パターンの選択順序を制御するパターン選択制御部2bを備え、模擬信号が所定周期で切り替えられて出力される。
【選択図】図2
【解決手段】制御対象を模擬して制御装置7に模擬信号を出力する模擬信号出力部2と、模擬信号に応答して制御装置7から入力される制御信号を計測する信号計測部3とを備えてなるシミュレーション装置であって、模擬信号出力部2は、所定周期で反復する標準信号パターンと標準信号パターンに外乱を重畳した複数の異常信号パターンを記憶する信号記憶部2cと、信号記憶部2cに記憶された各信号パターンを選択して模擬信号を生成する信号生成部2aと、信号生成部2aによる各信号パターンの選択順序を制御するパターン選択制御部2bを備え、模擬信号が所定周期で切り替えられて出力される。
【選択図】図2
Description
本発明は、制御対象を模擬して制御対象の状態を表す状態信号を制御対象の制御装置に出力する模擬信号出力部を備え、前記模擬信号出力部から出力する前記状態信号に外乱を重畳することが可能なシミュレーション装置に関する。
近年、様々な分野において製品等の開発に要する期間やコストを削減するとともに製品等の安全性を事前検証し、或いは実際のプラントに対する運転の模擬訓練を行なうことを目的として、実際の装置やプラントにおけるメカニズムや電気的信号等の果たす役割を数式化したモデルをコンピュータに演算させて、その結果に基づいて製品等の特性を確認し、起こり得る問題を事前に解決、或いは訓練するシミュレーションシステムが利用されている。
このようなシミュレーション装置として、特許文献1には、仮想的に車両用エンジン制御装置を実車両に装着した環境を作り出し、動作確認および性能評価を行うための装置であって、予め設定されるプログラムに従って、仮想的な車両に相当する車両モデルとして動作し、クランク角度およびエンジンの各行程にそれぞれ対応する模擬信号を生成し、模擬信号を車両用エンジン制御装置に与えて動作の確認および性能評価を行うモデル用コンピュータ装置と、モデル用コンピュータ装置と協調して動作し、モデル用コンピュータ装置の車両モデルに必要な信号を発生する信号発生装置とを備えたシミュレーション装置が提案されている。
当該シミュレーション装置では、エンジンを模擬するモデル演算部からエンジン制御装置に模擬クランクパルス信号が出力され、これに対応してエンジン制御装置から出力される燃料噴射パルスや点火パルス等の制御信号が信号計測部で計測され、当該制御信号に対応する計測データがメモリに記憶された後にモニタに出力されるように構成されており、オペレータがモニタに表示された計測データを目視してエンジン制御装置が正常動作しているか否かを判断するように構成されている。
特開平11−326135号公報
しかし、上述した特許文献1に記載されたシミュレーション装置では、モデル演算部から制御装置に出力される模擬信号は予め想定されて理想的な信号を模擬するものに過ぎず、外乱により乱れた模擬信号を出力することができなかった。
そのため、外乱を発生させるために、制御装置に接続される模擬信号の信号ラインに外部装置からノイズを重畳させる必要があったが、シミュレーション装置から出力されている模擬信号に、目的のタイミングでノイズを印加することは難しいため、様々なノイズパターンを繰り返し重畳させることができず、ノイズシミュレーションが制限されるという問題があった。
つまり、制御装置に搭載される制御プログラムを評価する場合、特定のノイズパターンで誤動作することがあり、どのタイミングでどのようなノイズにより誤動作が発生するのかを精査する場合に、従来技術による場合には再現性が乏しく、十分な検証ができないという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、制御信号に出力される模擬信号に重畳させるノイズパターンを予め設定し、反復出力することにより、ノイズシミュレーションの精度を向上させることのできるシミュレーション装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明によるシミュレーション装置の特徴構成は、制御対象を模擬して制御対象の状態を表す状態信号を制御対象の制御装置に出力する模擬信号出力部を備え、前記模擬信号出力部から出力する前記状態信号に外乱を重畳することが可能なシミュレーション装置であって、前記模擬信号出力部は、所定周期長の信号パターンに基づいて信号を出力することを、前記所定周期毎に繰り返すことによって制御装置に前記状態信号を出力するものであり、前記状態信号に外乱を重畳する場合には、信号パターンを外乱が含まれる信号パターンに変更する点にある。
上述の構成によれば、所定の信号パターンや外乱が重畳された信号パターンが所定周期毎に繰り返された状態信号として、模擬信号出力部から制御装置に出力される。
以上説明した通り、本発明によれば、制御信号に出力される模擬信号に重畳させるノイズパターンを予め設定し、反復出力することにより、ノイズシミュレーションの精度を向上させることのできるシミュレーション装置を提供することができるようになった。
以下に、本発明によるシミュレーション装置について説明する。図1及び図2に示すように、シミュレーション装置1は車両に搭載されるエンジン制御装置7を評価するための装置で、エンジン動作を模擬してエンジン制御装置(以下、「制御装置」と記す。)7に制御対象の状態を表す状態信号である模擬信号を出力するモデル演算部である模擬信号出力部2と、模擬信号に応答して制御装置7から入力される制御信号を計測して当該制御信号の計測データを出力する信号計測部3と、オペレータの操作に基づいて模擬信号出力部2及び信号計測部3の動作を制御するとともに、信号計測部3から入力される計測データに基づいて当該制御信号をモニタ表示する操作装置6を備えて構成されている。
模擬信号出力部2は、所定周期で反復する標準信号パターンと標準信号パターンに外乱を重畳した複数の異常信号パターンを記憶する信号記憶部2cと、信号記憶部2cに記憶された各信号パターンを選択して模擬信号を生成する信号生成部2aと、信号生成部2aにより生成される各信号パターンの選択順序を制御するパターン選択制御部2bを備え、模擬信号を所定周期で切り替えて出力するように構成されている。
操作装置6は、信号記憶部2cに記憶される各信号パターンを登録する信号パターン登録部60aと、パターン選択制御部2bによる各信号パターンの選択順序を設定する出力パターン設定部60bを備えた環境設定部60が設けられている。
模擬信号出力部2及び信号計測部3はラック5に組み込まれた複数枚の信号処理ボードで構成されるとともに、操作装置6はパーソナルコンピュータ6a等で構成され、それらが所定周期で交信可能なようにLAN(Ethernet、ゼロックス社の登録商標)4bで接続されている。
操作装置6は、所定のオペレーティングシステム(以下、「OS」と略記する。)の下で動作する操作及び表示用のシミュレーションプログラムがインストールされ、OSに組み込まれたGUI(Graphical User Interface)を介してオペレータが操作入力し、またはシミュレーション結果が表示されるモニタやキーボード及びマウス等の入出力機器6bが接続されている。
当該シミュレーションプログラムが実行されることにより、シミュレーション装置1と制御装置7との間で遣り取りされる入出力信号の定義情報、模擬信号出力部2における模擬信号出力条件、信号計測部3における信号計測条件等のシミュレーションの環境条件を設定する環境設定部60と、信号計測部3から出力された計測データを受信してモニタに表示する計測信号表示処理部61と、模擬信号出力部2及び信号計測部3の動作を制御するモデル制御部62が構成される。
上述の信号処理ボードは、メインCPUが搭載されたマザーボード5aと、マザーボード5aとPCIバスで接続された複数枚の入出力変換ボード5bと、入出力変換ボード5bと制御装置7との間で遣り取りされる入出力信号線を中継する複数枚の信号中継ボード5cを備え、信号中継ボード5cを介して制御装置7とハーネス4aで接続されている。
マザーボード5aに搭載されたメモリにはOS及びOSに基づいて動作するシミュレーションプログラムが格納され、OSの下で当該シミュレーションプログラムが実行されることにより動作するマザーボード5a、入出力変換ボード5b、及び信号中継ボード5cにより上述の模擬信号出力部2及び信号計測部3が構成される。
マザーボード5aでは、シミュレーションプログラムの一部であるエンジン動作を模擬するモデルプログラムが実行され、エンジン制御装置(以下、「制御装置」と記す。)7に出力される模擬信号の「出力の有無」や「大きさ」、「周期」等の論理的な特性データが生成され、PCIバスを介して入出力変換ボード5bに出力される。つまりモデルプログラムは、入力データに基づいて所定の演算を実行して、所定の出力データを生成出力するプログラムであり、例えばエンジン回転数が入力されると、当該回転数をクランクパルス信号に変換して回転数に対応するパルス周波数データを出力し、スロットル操作データが入力されると対応するスロットル開度データを出力する等のプログラムである。
例えば、エンジンから出力されるクランクパルス信号を模擬して模擬クランクパルス信号を出力する場合を説明すると、図3に示すように、マザーボード5a上のメモリに区画された信号記憶領域つまり信号記憶部2cに、操作装置6の環境設定部60から送信された複数の信号パターンが記憶されており、パターン選択制御部2bにより選択されたパターンNo.またはパターンNo.の組合せ、及び、エンジン回転数に対応する周期データ等でなる特性データが入出力変換ボード5bに出力される。
入出力変換ボード5bにはプログラマブルな論理回路であるFPGAが搭載され、FPGAのレジスタに入力された模擬信号の特性データに基づいて物理的な模擬信号が生成される。例えば、模擬クランクパルス信号を出力する場合には、図4に示すような模擬クランクパルスが、FPGAに備えたパルス生成回路、分周回路、カウンタ回路等でなる論理回路で生成されて信号中継ボード5cに出力される。
例えば、パルス生成回路で生成されたパルスを、0.1°CA刻みのパルスに分周する第一分周回路と、標準パターンのパルスに分周する第二分周回路と、0.1°CA刻みのパルスをカウントするカウンタ回路と、カウンタ回路の値が所定のカウント値となったときに第二分周回路の出力に第一分周回路の出力を加算する加算回路を備えることにより、標準パターンの模擬クランクパルスに所定のクランク角で0.1°CAのノイズパルスを重畳させて出力することができる。このとき各分周回路における分周比はエンジン回転数に基づいて設定される。
信号中継ボード5cには制御装置7との間の入出力信号の中継状態、つまり、信号経路や電圧レベルやインピーダンス等の信号形態を個別に切り替えるインタフェース切替部が設けられ、入出力変換ボード5bから入力される模擬クランクパルスが設定された信号経路を通り、制御装置7に対する電圧レベルやインピーダンス等が整合されて出力される。従って、インタフェース切替部には信号経路を切替設定するスイッチ回路、信号レベルを切り替えるレベル切替回路、信号をプルアップし或いはプルダウンする切替回路等が設けられている。つまり、入出力変換ボード5b及び信号中継ボード5cの一部により信号生成部2aが構成される。
また、制御装置7から出力される制御信号は、信号中継ボード5cにより電圧レベルやインピーダンス等が整合され、設定された信号経路で入出力変換ボード5bに出力され、入出力変換ボード5bに備えたクロック回路、カウンタ回路、パルス検出回路等でなる信号検出回路により当該制御信号が計測されて計測データ、つまり「出力の有無」や「大きさ」、「周期」「パルス幅」等の論理的な特性データが生成される。
入出力変換ボード5bで生成された特性データはFPGA上のメモリにバッファリングされ、PCIバスを介してマザーボード5aに出力される。マザーボード5aでは入出力変換ボード5bから入力された当該計測データがメモリに格納され、所定周期でLANを介して操作装置6に出力される。
操作装置6では、マザーボード5aから入力された当該計測データがメモリに格納され、格納された当該計測データの履歴に基づいてモニタに当該制御信号がトレンドグラフとして表示され、オペレータが当該制御信号を目視確認できるように構成されている。
つまり、上述した入出力信号の定義情報とは信号中継ボード5cにおける経路情報及び信号形態の定義情報や操作装置6と模擬信号出力部2及び信号計測部3との間で遣り取りされるデータの定義情報等をいい、模擬信号出力条件とは例えば上述したエンジン回転数を模擬する模擬クランクパルスを生成するための信号パターンや周期等のデータをいい、信号計測条件とは制御装置7から入力される制御信号の計測対象、サンプリングタイミング、生成される計測データの定義情報等をいう。
このような環境設定情報がオペレータの操作入力に基づいて環境設定部60からマザーボード5aを介して各ボード5b、5cに送信され、シミュレーション環境が整えられた後に、モデル制御部62によりシミュレーションが実行制御され、その際に計測されたデータが計測信号表示処理部61により表示処理されるのである。
以下、模擬信号の一例である模擬クランクパルスの登録について詳述する。操作装置6に備えた信号パターン登録部60aは、GUIを介したオペレータ操作により、図4に示すような各種の信号パターンを操作装置6のメモリに登録するように構成されている。
具体的には、ノイズが重畳されない標準パターンとノイズが重畳されるノイズパターンを識別するパターン属性、0.1°CA(「CA」は「Clank Angle(クランク角)」の略記である。)から10°CAまでの0.1°CA単位で設定可能なCA精度、ノイズ付加、プランクパルス欠落、クランクパルス遅延等を定義するノイズ属性、ノイズ付加、クランクパルス欠落、クランクパルス遅延等のタイミングを規定するノイズタイミングの各データが登録パターンNO.で一意的に定義されて登録される。
例えば、図3に示す登録パターンNo.1は、図4(a)に示すような0.1°CAの精度でノイズが重畳されない標準パターンであり、図3に示す登録パターンNo.2は、図4(b)に示すような1.0°CAの精度でノイズが重畳されない標準パターンである。
また、図3に示す登録パターンNo.4は、図4(c)に示すような0.1°CAの精度(パルス幅)のノイズがA1°CAのタイミングで重畳されるノイズパターンであり、図3に示す登録パターンNo.6は、図4(d)に示すような1.0°CAの精度(パルス幅)のクランクパルスがA1°CAのタイミングで欠落するノイズパターンである。
オペレータがGUIを介して波形を入力するとともに、CA精度、ノイズタイミング、ノイズ属性等を入力して登録操作することにより、任意の信号パターンが生成され登録されるのである。
操作装置6に備えた出力パターン設定部60bは、信号パターンの登録後、GUIを介したオペレータ操作により、図5に示すような出力パターンを操作装置6のメモリに登録するように構成されている。図5は、試験Aから試験Dまでの四つのノイズ試験に対応して、一周期720度毎に図3に示した登録パターンNo.の何れが出力するのかを設定した出力パターン情報を示しており、例えば、試験Aでは最初の周期で登録パターンNo.2の信号(標準パターン2)が出力され、次の周期では登録パターンNo.4の信号(標準パターン2にノイズパターン1が重畳された信号)が出力され、以後、同様のパターンが繰り返されるような出力パターンが設定されている。
このような登録パターン情報及び出力パターン情報にエンジン回転数を加えた模擬信号出力条件である環境情報が送信された模擬信号出力部2では、当該環境情報が信号記憶部2cに記憶され、記憶された出力パターン情報に基づいてパターン選択制御部2bにより各周期に対応する信号パターンが選択されて信号生成部2aに対応する登録パターンが順に出力される。入力された登録パターン及びエンジン回転数に基づいて信号生成部2aにより模擬クランクパルスが出力される。
以下、上述したシミュレーション装置1の動作の一例として、模擬信号出力部2から模擬信号であるクランクパルス信号を制御装置7に出力し、制御装置7から出力されるべき点火信号及び噴射信号を信号計測部で計測し、操作装置6に表示する動作を、図6,図7,図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
図6に示すように、シミュレーション装置1に電源が投入されると、OSが起動して初期設定が行なわれ、アプリケーションであるシミュレーションプログラムが起動される(SA1,SB1,SC1)。環境設定部60により操作装置6の表示部に環境設定画面が表示され(SA2)、オペレータにより上述した環境設定が行なわれる。当該ステップで、上述した登録パターン情報及び出力パターン情報にエンジン回転数を加えた模擬信号出力条件が設定される。
設定が完了すると(SA3)、設定された環境情報が操作装置6からLAN4bを介して模擬信号出力部2及び信号計測部3に送信され(SA4)、模擬信号出力部2では入出力信号の定義情報、模擬信号出力条件に基づいて環境が設定され、信号計測部3では入出力信号の定義情報、信号計測条件に基づいて環境が設定される(SB2,SC2)。
ここでは、上述した模擬信号出力条件に加えて、制御装置7から入力される点火信号及び噴射信号に応答して出力する異常検知用の確認信号であるフェール信号のタイミング及びパルス幅等の模擬信号出力条件(これらもステップSA2で設定される)が設定され、信号計測条件として制御装置7から出力される点火信号及び噴射信号の計測タイミングであるクランク角度範囲、各信号が欠落したとき及びエンジン停止時の擬似計測データ(これもステップSA2で設定される)等が設定される。
オペレータからシミュレーションの起動操作がなされると(SA5)、モデル制御部62により操作装置6から模擬信号出力部2及び信号計測部3にシミュレーションの開始指令が送信される(SA6)。模擬信号出力部2ではエンジンのモデル演算が起動され(SB3)、設定された模擬信号出力条件に基づいて図5に示すような順序で模擬クランクパルスが制御装置7に出力される(SB4)。
模擬信号出力部2では、図7に示すように、信号記憶部2cに記憶されている出力パターン情報から設定されている試験に対応した出力パターン情報及び対応する登録パターン情報がパターン選択制御部2bにより読み出され(SD1)、出力パターン情報に規定される最初の周期に対応する登録パターンが初期パターンとして信号生成部2aに設定され(SD2)、信号生成部2aから制御装置7に模擬クランクパルスが出力される(SD5)。
模擬クランクパルスの一周期(720°CA)よりも短い所定周期が経過すると(SD3)、パターン選択制御部2bにより次のクランク周期で切り替える登録パターンが信号生成部2aに設定される(SD4)。信号生成部2aでは設定された登録パターンに対応する模擬クランクパルスをクランク角周期に同期して切り替えて出力する(SD5)。このような動作が繰り返されることにより、設定されたノイズパターンが重畳された模擬クランクパルスが出力され、シミュレーションの終了操作がなされるまでステップSD3からステップSD5の処理が繰り返される(SD6)。
つまり、模擬信号出力部は、所定周期長の信号パターンに基づいて信号を出力することを、所定周期毎に繰り返すことによって制御装置に状態信号を出力するものであり、状態信号に外乱を重畳する場合には、信号パターンを外乱が含まれる信号パターンに変更するように構成されている。
尚、出力パターン情報は、複数のクランク角周期にわたり設定されているが、最終のパターンが出力された後には最初のパターンに戻り、同様の出力パターンが繰り返されるものである。
さらに、当該シミュレーション装置では、シミュレーションの実行中にオペレータにより操作装置を介して模擬信号の出力パターンが変更操作されたり、新たな信号パターンが登録されると、当該操作に応答して模擬信号出力部2から出力される模擬クランクパルスがクランクパルスの一周期に同期して切り替えられるように構成されている。
図8に示すように、オペレータにより信号パターンが追加登録され、或いは登録されている信号パターンの出力パターン情報が変更操作されると(SE1)、新たな信号パターンが登録され(SE2)、さらに現在再生されている信号パターンの変更操作がなされると(SE3)、模擬信号出力部2から出力される模擬信号を切り替えるための切替フラグがセットされ(SE4)、新たな信号パターンや出力パターン情報と切替フラグのフラグデータを含む変更情報が模擬信号出力部2に送信される(SE5)。
模擬信号出力部2では、当該変更情報が受信され(SF1)、新たな信号パターンや出力パターン情報が信号記憶部2cに格納される(SF2)。シミュレーションが起動され、最初に模擬信号が出力されるタイミングでは(SF3)、出力パターン情報に規定される登録パターンが初期パターンとして信号生成部2aに設定され(SD7)、信号生成部2aから制御装置7に模擬クランクパルスが出力される(SD8)。
その後、上述のステップSE5により送信された切替フラグのフラグデータがセットされているときには(SF4)、現在出力されている模擬クランクパルスが一周期分出力されたか否かをクランク角が719.9°CAになったか否かにより判断し(SF5)、一周期が経過したタイミングで切替フラグをリセットして(SF6)、新たな登録パターンが信号生成部2aに設定され(SD7)、信号生成部2aから制御装置7に模擬クランクパルスが出力される(SD8)。
オペレータにより信号パターンの変更操作がなされないときや、一旦変更操作がなされてステップSF6で切替フラグがリセットされているときや(SF4)、現在出力されている模擬クランクパルスが一周期経過していないときには(SF5)、そのまま現在の模擬クランクパルスが出力される(SF8)。
図6に戻り、信号計測部3では制御装置7から出力される制御信号、ここでは点火信号及び噴射信号が計測され(SC3)、計測データが生成され、模擬信号出力部2及び操作装置6に出力される(SC4)。点火信号及び噴射信号が計測されなかったときには擬似計測データが生成されて出力される(SC4)。
信号計測部3は、模擬信号出力部2から入力される模擬クランクパルスをカウンタ回路で計測してクランク角をモニタしながら、環境情報で設定されたクランク角度範囲(計測タイミング)で点火信号及び噴射信号が計測されるか否かを監視し、正回転の模擬クランクパルスが出力される定常状態において、点火信号及び噴射信号が計測されると当該信号のオンエッジ及びオフエッジに対応するクランク角と、オンエッジからオフエッジまでのパルス幅に対応するクランク角でなる特性データを計測データとして生成する。
ここでは、制御装置7に出力される模擬クランクパルスそのものが信号計測部3に入力されるのではなく、ノイズの重畳していない標準パターンの模擬クランクパルスが入力されるように構成されている。つまり、信号生成部2aでは、出力パターン情報に基づいてノイズが重畳された模擬クランクパルスを制御装置7に出力する系統と、ノイズが重畳されていない標準の模擬クランクパルスを信号計測部3に出力する系統の二系統の回路ブロックを備えている。
擬似計測データは、本来制御装置7から出力されたデータであるか否かが識別可能なデータであれば適宜設定することができ、これにより、オペレータが制御装置7の動作状態をモニタすることができるようになる。
既に説明したように、模擬信号出力部2への計測データの出力は、入出力変換ボード5bで生成されFPGA上のメモリにバッファリングされた計測データがPCIバスを介してマザーボード5aのメモリに格納されることにより実現され、操作装置6への計測データの出力は、マザーボード5aからLAN4bを介して送信されることにより実現される。
模擬信号出力部2は、点火信号または噴射信号の計測データが入力されると、対応する模擬フェール信号を生成して(SB5)、制御装置7に出力する(SB6)
操作装置6では、点火信号または噴射信号の計測データが入力されると(SA7)、計測信号表示処理部61により、過去の計測データとともにトレンドグラフとして表示部に表示される(SA8)。
このようにして、オペレータにより終了操作されるまで、操作装置6ではステップSA7からSA8が繰り返され、模擬信号出力部2ではステップSB3からSB6が繰り返され、信号計測部3ではステップSC3からSC4が繰り返される。
終了操作がなされると(SA9)、モデル制御部62により模擬信号出力部2及び信号計測部3に終了指令が送信され(SA10)、当該終了指令を受信した模擬信号出力部2及び信号計測部3は処理を終了する(SB7,SC5)。
以下に、別実施形態について説明する。上述した実施形態では、信号計測部3が模擬信号出力部2から出力される第二の系統の模擬クランクパルスを入力してクランク角を把握するものを説明したが、模擬信号出力部2から入力されるエンジン回転状態を示す信号は模擬クランクパルスに限るものではなく、他の信号またはデータであってもよい。例えば、回転数情報及びクランク角情報が直接入力されるものであってもよく、クランク角情報は一周期の最初のタイミングが模擬信号出力部2から入力され、それをトリガーとして信号計測部3が内部でクランク角をカウントするものであってもよい。
上述した実施形態では、720°CAを一周期として当該クランク周期を所定周期として模擬信号が切り替えられて出力されるものを説明したが、所定周期はこのようなクランク周期に限るものではなく、180°CA,360°CA,540°CA等任意に設定することができる。
上述した実施形態では、標準パターンの模擬クランクパルスに所定のクランク角度で所定のパルス幅のノイズが一回重畳されるノイズパターンが登録されるものを説明したが、登録されるノイズパターンはこのようなパターンに限るものではなく、異なる種類(付加、欠落、遅延等)のノイズを任意のクランク角で任意の回数重畳させるようなパターンを登録することも可能である。
上述した実施形態では、模擬クランクパルスが連続したパルスである例を示したが、欠け歯を有する模擬クランクパルスであってもよい。また、何れの場合であっても制御装置7が気筒判別のために他の模擬信号、例えば、バルブ駆動軸のカム信号等の模擬信号を必要とする場合には、必要な他の模擬信号が模擬信号出力部2により適宜生成されるものである。
上述した実施形態では、模擬信号としてクランクパルスを例示し、クランクパルスに応答して制御装置から出力される点火信号及び噴射信号を計測するものを説明したが、本発明による模擬信号及び計測信号はこのような信号に限定されるものではなく、何らかの模擬信号に応答して制御装置から出力される制御信号を計測するものに広く適用できるものであることはいうまでもない。
つまり、制御対象を模擬して制御装置に模擬信号を出力する模擬信号出力部と、前記模擬信号に応答して前記制御装置から入力される制御信号を計測する信号計測部とを備えてなるシミュレーション装置であって、前記模擬信号出力部は、所定周期で反復する標準信号パターンと前記標準信号パターンに外乱を重畳した複数の異常信号パターンを記憶する信号記憶部と、前記信号記憶部に記憶された各信号パターンを選択して模擬信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部による各信号パターンの選択順序を制御するパターン選択制御部を備え、前記模擬信号が前記所定周期で切り替えられて出力されるものであればよい。
上述した実施形態では、モデル演算部及び信号計測部が、マザーボード5aと、入出力変換ボード5bと、信号中継ボード5cの複数の信号処理ボードで構成されるものを説明したが、モデル演算部及び信号計測部の具体的な構成はこのようなものに限るものではなく、本発明の機能が実現される限りにおいて適宜構成することができ、例えば、一枚の信号処理ボード上に構成されるものであってもよい。
上述した実施形態は、本発明を実現する一実施例を説明するものであり、各部の具体的な構成は、本発明の作用効果を奏する限りにおいて、構築するシステムに応じて適宜変更設計することが可能である。
1:シミュレーション装置
2:模擬信号出力部(モデル演算部)
2a:信号生成部
2b:パターン選択制御部
2c:信号記憶部
3:信号計測部
4a:ハーネス
4b:LAN
5:ラック
5a:マザーボード
5b:入出力変換ボード
5c:信号中継ボード
6:操作装置
60:環境設定部
60a:信号パターン登録部
60b:出力パターン設定部
61:計測信号表示処理部
62:モデル制御部
2:模擬信号出力部(モデル演算部)
2a:信号生成部
2b:パターン選択制御部
2c:信号記憶部
3:信号計測部
4a:ハーネス
4b:LAN
5:ラック
5a:マザーボード
5b:入出力変換ボード
5c:信号中継ボード
6:操作装置
60:環境設定部
60a:信号パターン登録部
60b:出力パターン設定部
61:計測信号表示処理部
62:モデル制御部
Claims (3)
- 制御対象を模擬して制御対象の状態を表す状態信号を制御対象の制御装置に出力する模擬信号出力部を備え、前記模擬信号出力部から出力する前記状態信号に外乱を重畳することが可能なシミュレーション装置であって、
前記模擬信号出力部は、所定周期長の信号パターンに基づいて信号を出力することを、前記所定周期毎に繰り返すことによって制御装置に前記状態信号を出力するものであり、前記状態信号に外乱を重畳する場合には、信号パターンを外乱が含まれる信号パターンに変更するシミュレーション装置。 - 前記模擬信号出力部は、ユーザによって前記状態信号の出力に用いる信号パターンを変更する指示が行われると、変更の指示が行われた後の前記所定周期が始まるタイミングで、前記状態信号の出力に用いる信号パターンを変更する請求項1記載のシミュレーション装置。
- エンジンを模擬してクランク角信号をエンジン制御装置に出力する模擬信号出力部を備え、前記模擬信号出力部から出力する前記クランク角信号に外乱を重畳することが可能なシミュレーション装置であって、
前記模擬信号出力部は、エンジンの回転周期長の信号パターンに基づいて信号を出力することを、前記回転周期毎に繰り返すことによってエンジン制御装置に前記クランク角信号を出力するものであり、前記クランク角信号に外乱を重畳する場合には、信号パターンを外乱が含まれる信号パターンに変更するシミュレーション装置。
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