JP2008170887A - 発熱体と画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱体を、急速に発熱でき、発熱量が大きく、均一な温度分布のものとする。
【解決手段】PTC特性を有する発熱抵抗体からなる板状の発熱部材32と、絶縁性のセラミックスからなる板状の強度部材31と、が積層され、かつ、一方向に弓形に湾曲した形状とされ、発熱部材32の湾曲方向の両端部に、湾曲方向と直交する方向に沿って、発熱部材32に電力を供給する電極33が備えられていることを特徴とする発熱体30を用いる。発熱部材32に流れる電流の方向が湾曲方向と一致することで、均一な温度分布の発熱体30となる。また、湾曲形状とすることで、急速発熱時の割れが防止される。また、複数の発熱部材32を積層することで、発熱量を増加させる。
【選択図】図3
【解決手段】PTC特性を有する発熱抵抗体からなる板状の発熱部材32と、絶縁性のセラミックスからなる板状の強度部材31と、が積層され、かつ、一方向に弓形に湾曲した形状とされ、発熱部材32の湾曲方向の両端部に、湾曲方向と直交する方向に沿って、発熱部材32に電力を供給する電極33が備えられていることを特徴とする発熱体30を用いる。発熱部材32に流れる電流の方向が湾曲方向と一致することで、均一な温度分布の発熱体30となる。また、湾曲形状とすることで、急速発熱時の割れが防止される。また、複数の発熱部材32を積層することで、発熱量を増加させる。
【選択図】図3
Description
本発明は、発熱体と画像形成装置に関する。
一般に、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真法や静電記録方式を用いた画像形成装置では、記録媒体上にトナーを転写し、この記録媒体を加熱された定着ベルトと加圧ローラとの間に通過させることにより、前記未定着トナーを記録媒体に定着させている。
近年、画像形成装置の性能を向上させる動向として、印刷信号の着信から印刷開始までの立ち上がり時間を短縮する技術や、印刷速度を高速化させる技術、消費電力を節約する技術等が開発されている。
前記のような性能向上を図る上で、定着ベルトに熱エネルギーを供給する発熱体が備えるべき条件として、短時間に必要な温度まで発熱すること、定着ベルトに供給する単位時間あたりの熱エネルギーが大きいこと、無駄なく発熱すること、効率的に定着ベルトへの熱エネルギー伝達が行えること、が考えられる。このような発熱体として、特許文献1では曲面状の金属基板を用いた発熱体が、特許文献2ではセラミックス基板にPTC特性を有する発熱抵抗体を設置した発熱体が、それぞれ提案されている。
特開2003−84603号公報
特開2001−244055号公報
特許文献1に示された曲面金属基板を用いた発熱体では、瞬時に基板が加熱されるように金属基板の熱容量を小さくする必要があり、このために金属基板の肉厚を薄くする必要がある。しかしながら、肉厚を薄くした金属基板は剛性が低下するために、加圧ローラによって十分なニップ圧を加えることができない。そのため、金属基板を支持する部材が必要となり、実際の熱容量が大きくなることから、発熱体が所定の温度に達するまでの時間が長くなる不都合がある。
また、一般的な画像形成装置は、記録媒体の大きさとして、複数のものに対応できるようになっており、発熱体の幅は、対応した最大判の記録媒体に画像を定着できるような幅になっている。そのため、最大判の記録媒体よりも小判の記録媒体に画像を定着させる場合、記録媒体の幅よりも外側においては、発熱体の熱エネルギーは伝達されずに残留してしまう。例えば特許文献1の発熱体のように、全幅に亘って発熱量が一定であるような発熱体では、熱エネルギーが残留している両端部においても発熱が行われるため、両端部に異常過熱が生じてしまう。そのため、必要以上の電力を消費してしまう不都合がある。
また、小判の記録媒体と大判の記録媒体とに連続して画像定着させる場合には、小判の記録媒体に画像定着を行った際に、発熱体の両端部に異常過熱を生じてしまい、大判の記録媒体に画像定着を行う際には、幅方向に均一な温度を付加することができず、定着むらを起こすということがあった。
そこで、PTC特性を有する発熱抵抗体を用いて、均一な温度に保たれるように工夫された発熱体がある。特許文献2に示された例では、平板状のセラミックス基板上に下層電極、PTC発熱抵抗体、上層電極を薄膜状に重ねて形成し、上層電極を覆ってガラス質の絶縁層を設けている。使用時には、電力を供給されることでPTC発熱抵抗体が発熱し、その熱エネルギーは、上層電極と絶縁層を介して、絶縁層上を通過する記録媒体に伝達され、トナーが定着される。
特許文献2に示された発熱体は、発熱体の温度が均一に保持され、発熱体端部の異常過熱が防止される利点があった。しかしながら、前記発熱体は、セラミックス基板の熱容量や熱伝達率等の熱特性による影響を受けるため、PTC特性を十分に活用しきれないという問題点があった。詳しくは、PTC発熱抵抗体の上層電極側では、熱エネルギーが記録媒体に伝達されるため、温度が低下しやすいが、PTC発熱抵抗体の下層電極側では、加熱されたセラミックス基板から熱エネルギーが供給されるため、温度が低下しにくいという温度特性となっている。発熱抵抗体の抵抗値は、上層電極側の抵抗値が低い部分と、下層電極側の抵抗値が非常に高い部分とを直列に接続した値となるため、必要な熱量を発熱するのに適した抵抗値よりも高い抵抗値となってしまう。したがって、発熱体の発熱量は小さくなり、所定の温度に達するまでに時間を要するものとなってしまう。
また、平板状のセラミックス基板を用いた発熱体を急速加熱させると、セラミックス基板に発熱部を配置した面と裏面との間に温度差が生じ、高温側の面に大きな引張応力が生じてしまう。一般に、セラミックスは引張強度が低く、前記のような引張応力を受けると、割れ等の破損が生じる可能性が高くなる。したがって、平板セラミックス基板を用いた発熱体は、耐久性が低くなってしまう。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、急速加熱が可能であり、発熱量が大きく、しかも、温度分布が均一である発熱体と、この発熱体を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の発熱体は、加熱した定着用熱媒体を周回させて記録媒体上の未定着トナーに当接させ、この記録媒体に前記未定着トナーを定着させる定着器に用いられて、前記定着用熱媒体を加熱する発熱体であって、
PTC特性を有する発熱抵抗体からなる板状の発熱部材と、
絶縁性のセラミックスからなる板状の強度部材と、
が積層され、かつ、
前記定着用熱媒体が周回する方向に沿って弓形に湾曲した形状とされ、
前記発熱部材の湾曲方向の両端部に、湾曲方向と直交する方向に沿って、前記発熱部材に電力を供給する電極が備えられていることを特徴とする。
PTC特性を有する発熱抵抗体からなる板状の発熱部材と、
絶縁性のセラミックスからなる板状の強度部材と、
が積層され、かつ、
前記定着用熱媒体が周回する方向に沿って弓形に湾曲した形状とされ、
前記発熱部材の湾曲方向の両端部に、湾曲方向と直交する方向に沿って、前記発熱部材に電力を供給する電極が備えられていることを特徴とする。
前記強度部材は、剛性が高い部材であるため、前記発熱体に要求される強度を確保できる。したがって、発熱体の支持部材が不要となり、発熱体の熱容量を小さなものとすることができる。よって、前記発熱体は、急速発熱が可能なものとなる。
また、この発熱体は、例えば湾曲した状態で焼成され形成されることにより、凸面側には圧縮応力が残留応力として働いたものとなっている。また、使用時に、発熱部材に電力を供給して、発熱体を例えば急速加熱した際に、発熱体の凸面側には引張応力が熱応力として働く。この熱応力と前記残留応力とは反対方向に作用する応力であるため、前記残留応力は前記熱応力を減少させるように作用する。したがって、急速加熱時等において、引張応力に起因する発熱体の割れが防止される。
また、前記発熱部材は、前記発熱部材の湾曲方向の両端部に、湾曲方向と直交する方向に沿って、前記発熱部材に電力を供給する電極が備えられているため、前記発熱部材に流れる電流の方向と、前記発熱部材の湾曲方向とが一致するものとなる。
使用時において前記定着用熱媒体は、当接する前記記録媒体に熱エネルギーを伝達しつつ周回するため、周回方向と直交する幅方向に、前記記録媒体と同程度の幅で温度低下が生じる。また、前記定着用熱媒体に熱エネルギーを付与する前記発熱体においても、前記記録媒体と同程度の幅で温度低下が生じる。
先述のように、前記発熱部材に流れる電流の方向と、前記発熱部材の湾曲方向とは一致したものとなっており、前記発熱部材はPTC特性を有するものとなっている。したがって、温度が低下した幅位置においては、電流が流れることにより、所定の温度まで加熱が行われるが、温度低下を生じていない幅位置においては、電流が流れないため、加熱が行われない。よって、前記発熱体は、幅方向おいて均一な温度を保つものとなる。
先述のように、前記発熱部材に流れる電流の方向と、前記発熱部材の湾曲方向とは一致したものとなっており、前記発熱部材はPTC特性を有するものとなっている。したがって、温度が低下した幅位置においては、電流が流れることにより、所定の温度まで加熱が行われるが、温度低下を生じていない幅位置においては、電流が流れないため、加熱が行われない。よって、前記発熱体は、幅方向おいて均一な温度を保つものとなる。
また、先述のように、前記発熱部材に流れる電流の方向と、前記発熱部材の湾曲方向とは一致したものとなっているが、前記強度部材の熱容量等の熱特性は積層方向に沿った熱伝達に影響を及ぼすものとなっている。前記発熱部材の湾曲方向と積層方向とは互いに直交する関係にあるため、前記発熱部材の抵抗値は、前記強度部材の熱特性の影響を受けることがなく、湾曲方向に沿って均一なものとなる。よって、湾曲方向に沿って、均一な温度が保たれるものとなる。
また、本発明の発熱体は、前記発熱部材と前記強度部材とのうちの、少なくとも一方が複数備えられており、前記強度部材と前記発熱部材とが交互に積層されてなることが好ましい。
このようにすれば、例えば前記強度部材が複数備えられた発熱体は、発熱体に要求される強度を複数の強度部材で分担して確保することができるため、個々の強度部材を薄いものとすることができる。したがって、厚さ方向の両端面間の温度差が小さくなり、強度部材に働く熱応力が小さくなる。よって、強度部材の割れが防止され、発熱体の破損が防止される。
このようにすれば、例えば前記強度部材が複数備えられた発熱体は、発熱体に要求される強度を複数の強度部材で分担して確保することができるため、個々の強度部材を薄いものとすることができる。したがって、厚さ方向の両端面間の温度差が小さくなり、強度部材に働く熱応力が小さくなる。よって、強度部材の割れが防止され、発熱体の破損が防止される。
また、例えば前記発熱部材が複数備えられた発熱体は、発熱部材と発熱部材との間に絶縁性の強度部材が配置されており、発熱部材と発熱部材とが導通しないため、導通によって発熱部材の抵抗値が下がることが防止されたものとなっている。したがって、発熱体の発熱量は、ぞれぞれの発熱部材の発熱量を足し合わせたものとなり、発熱部材の数を加減することによって、発熱体の発熱量を加減することができるものとなる。よって、例えば、発熱部材の数を増やすことによって、発熱体が前記定着用熱媒体に供給する単位時間の熱エネルギーを増加させることができる。
また、本発明の発熱体は、前記定着用熱媒体と当接する側に前記強度部材が配置されていることが好ましい。
このようにすれば、前記強度部材は絶縁性を有しているので、前記定着用熱媒体と前記発熱体とが導通することを防止でき、前記定着用熱媒体の材料として導電性材料を用いることができる。したがって、定着用熱媒体の材料として、例えば金属を用いた場合、金属は熱伝導率が高いため、定着用熱媒体への熱伝導効率を高めることができ、これにより、定着用熱媒体への伝熱時間を短くすることができる。
このようにすれば、前記強度部材は絶縁性を有しているので、前記定着用熱媒体と前記発熱体とが導通することを防止でき、前記定着用熱媒体の材料として導電性材料を用いることができる。したがって、定着用熱媒体の材料として、例えば金属を用いた場合、金属は熱伝導率が高いため、定着用熱媒体への熱伝導効率を高めることができ、これにより、定着用熱媒体への伝熱時間を短くすることができる。
また、本発明の画像形成装置は、前記発熱体を有した定着器を備えたことを特徴とする。
本発明の画像形成装置によれば、急速加熱時の割れが防止され、前記定着用熱媒体に供給する単位時間熱エネルギーが大きい発熱体を備えているので、短い立ち上がり時間で印刷を開始することができ、連続的に記録媒体への記録が可能なものとなる。
また、幅方向と湾曲方向の双方において、均一な温度となっている前記発熱体を備えているので、前記定着用熱媒体が均一な温度となるように加熱でき、したがって、形成された画像を定着むらのないものとすることができる。
また、前記定着用熱媒体の局所的な異常過熱が防止された前記発熱体を備えているので、消費電力を節約するものとなる。
本発明の画像形成装置によれば、急速加熱時の割れが防止され、前記定着用熱媒体に供給する単位時間熱エネルギーが大きい発熱体を備えているので、短い立ち上がり時間で印刷を開始することができ、連続的に記録媒体への記録が可能なものとなる。
また、幅方向と湾曲方向の双方において、均一な温度となっている前記発熱体を備えているので、前記定着用熱媒体が均一な温度となるように加熱でき、したがって、形成された画像を定着むらのないものとすることができる。
また、前記定着用熱媒体の局所的な異常過熱が防止された前記発熱体を備えているので、消費電力を節約するものとなる。
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を説明する図である。画像形成装置は、画像形成部と、現像部と、転写部と、給紙部と、定着部と、から構成されており、本発明の発熱体は定着部に用いられている。
画像形成部は、像担持体である感光体1、感光体1を一様に帯電する帯電ローラ2、一様帯電した感光体1に静電潜像を形成する露光器3等から構成されている。
現像部は、現像ロータリー4内に配置されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色現像器5から構成されており、ロータリーの回転により各色現像器5が順次感光体1に当接して感光体1上の静電潜像を現像する。
現像部は、現像ロータリー4内に配置されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色現像器5から構成されており、ロータリーの回転により各色現像器5が順次感光体1に当接して感光体1上の静電潜像を現像する。
感光体上のトナー像は、一次転写位置において感光体1に当接する中間転写ベルト6に転写される。中間転写ベルト6は、駆動ローラ7、従動ローラ8間に渡って張架されている。一次転写位置において転写された中間転写ベルト6上のトナー像は、駆動ローラ7と対向して二次転写ローラ9が配置された二次転写部10において、用紙上に二次転写される。
用紙は、給紙カセット11、搬送経路12を通って二次転写部に搬送され、二次転写後、定着部に搬送され、定着器13によって定着トナー像が定着される。両面印字の場合には、用紙は定着後に反転して両面印字時搬送経路14を経由して再度二次転写部10へ搬送されて裏面への記録が行われる。
用紙は、給紙カセット11、搬送経路12を通って二次転写部に搬送され、二次転写後、定着部に搬送され、定着器13によって定着トナー像が定着される。両面印字の場合には、用紙は定着後に反転して両面印字時搬送経路14を経由して再度二次転写部10へ搬送されて裏面への記録が行われる。
図2は、図1における定着器13を詳細に示した図である。定着器13は、定着用熱媒体である定着ベルト20と、本発明の一実施形態である発熱体30と、押圧部材40と、加圧ローラ50と、から構成されている。
本実施形態では、発熱体30が定着ベルト20の内側に設置された例である。発熱体30と押圧部材40とは、ばね等の付勢手段(図示せず)により、互いに離れる方向に押し広げられている。また、定着ベルト20は、発熱体30と押圧部材40との間に架け渡されており、発熱体30と押圧部材40とに押し広げられることにより、定着ベルト20は張力を有するものとなっている。この張力は定着ベルト20を発熱体30に押し付けるように作用するため、発熱体30の熱を効率的に定着ベルト20に伝達することができるようになっている。また、このような張力が働いているため、定着ベルト20は、たるみを生じることなく、発熱体30と押圧部材40との間を、引掛かることなく周回するようになっている。
加圧ローラ50は、外部の駆動力(図示せず)によって駆動される。加圧ローラ50と定着ベルト20との間には摩擦力が働いており、この摩擦力に駆動されて定着ベルト20は周回する。
本実施形態では、発熱体30が定着ベルト20の内側に設置された例である。発熱体30と押圧部材40とは、ばね等の付勢手段(図示せず)により、互いに離れる方向に押し広げられている。また、定着ベルト20は、発熱体30と押圧部材40との間に架け渡されており、発熱体30と押圧部材40とに押し広げられることにより、定着ベルト20は張力を有するものとなっている。この張力は定着ベルト20を発熱体30に押し付けるように作用するため、発熱体30の熱を効率的に定着ベルト20に伝達することができるようになっている。また、このような張力が働いているため、定着ベルト20は、たるみを生じることなく、発熱体30と押圧部材40との間を、引掛かることなく周回するようになっている。
加圧ローラ50は、外部の駆動力(図示せず)によって駆動される。加圧ローラ50と定着ベルト20との間には摩擦力が働いており、この摩擦力に駆動されて定着ベルト20は周回する。
定着ベルト20は、例えば、寸法が周長95〜160mm であり、厚さ30〜50μmのPI(ポリイミド)等の耐熱性樹脂フィルムや、厚さ20〜40μmのSUSやNi、Fe等の金属製基材の表層に、必要に応じて、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂が設けられたものが用いられる。
押圧部材40は、PPS(ポリフェニルスルファイド)やPAI(ポリアミドイミド)、PI等の耐熱性樹脂から形成されており、表面には定着ベルト20の内面との摩擦力を低減するためにPTFEやPFAなどのフッ素樹脂層を有することもある。
加圧ローラ50は、金属製のパイプの表層に1〜5mm程度の弾性層を有し、さらに表層にPFAやPTFE等のフッ素樹脂層が設けられている。
押圧部材40は、PPS(ポリフェニルスルファイド)やPAI(ポリアミドイミド)、PI等の耐熱性樹脂から形成されており、表面には定着ベルト20の内面との摩擦力を低減するためにPTFEやPFAなどのフッ素樹脂層を有することもある。
加圧ローラ50は、金属製のパイプの表層に1〜5mm程度の弾性層を有し、さらに表層にPFAやPTFE等のフッ素樹脂層が設けられている。
図3(a)は、図2における前記発熱体30の斜視図である。前記発熱体30は、絶縁性のセラミックスからなる板状の強度部材31と、PTC特性を有する発熱抵抗体からなる板状の発熱部材32と、をそれぞれ一方向に湾曲させた状態で積層させ、湾曲方向の両端面に前記発熱部材32に電力を供給する一対の電極33が延設されたものである。
図3(b)は、図3(a)のA−A線矢視断面図である。本実施形態では、例えば、前記強度部材31を5枚と、前記発熱部材32を4枚と、を交互に積層させたものとなっており、前記電極33は、前記発熱部材32を一括して、設置されたものとなっている。
前記強度部材31は、例えば、アルミナや窒化アルミ、窒化ケイ素等のセラミックスで形成されていることにより、剛性が高い部材となっており、前記発熱体30に要求される強度が確保されている。したがって、発熱体30の支持部材が不要となり、発熱体30の熱容量を小さなものとすることができる。よって、前記発熱体30は、急速発熱が可能なものとなっている。
また、前記発熱部材32は、例えば、チタン酸バリウム等から形成されていることにより、PTC特性を有するものとなっている。PTC特性とは、抵抗体の温度がキューリー点を超えると、抵抗体の抵抗値が急激に増加する特性であって、発熱部材32は、キューリー点になると電流が流れなくなるため、発熱されなくなり、一定温度を保持するものとなる。
また、前記電極33は、銀や白金等の良導電性材料を、前記発熱部材32の湾曲方向における両端面に、湾曲方向と直交する幅方向に延設することによって形成される。また、前記電極33には、発熱体30の凸面側において、前記電極33を覆って絶縁膜(図示せず)が設けられており、前記電極33と前記定着用ベルト20とが直接接触しないようになっている。
本実施形態では、本発明の発熱体30の一例として、複数の強度部材31と複数の発熱部材32とを備えた発熱体を用いている。
このようにすれば、発熱体30に要求される強度を複数の強度部材31で分担して確保することができるため、個々の強度部材31を薄いものとすることができる。したがって、厚さ方向の両端面間の温度差が小さくなり、強度部材31に働く熱応力が小さくなる。よって、強度部材31の割れが防止され、発熱体30の破損が防止される。
また、発熱部材32と発熱部材32との間に絶縁性の強度部材31が配置され、発熱部材32は、個々の部材が他の部材と導通しないものとなるため、導通によって生じる発熱部材32の抵抗値低下が防止されたものとなる。したがって、発熱体30の発熱量は、それぞれの発熱部材32の発熱量を足し合わせたものとなり、発熱部材32の数を加減することによって、発熱体30の発熱量を加減することができる。よって、例えば、発熱部材32の数を増やすことによって、発熱体30が前記定着ベルト20に供給する単位時間の熱エネルギーを増加させることができる。
このようにすれば、発熱体30に要求される強度を複数の強度部材31で分担して確保することができるため、個々の強度部材31を薄いものとすることができる。したがって、厚さ方向の両端面間の温度差が小さくなり、強度部材31に働く熱応力が小さくなる。よって、強度部材31の割れが防止され、発熱体30の破損が防止される。
また、発熱部材32と発熱部材32との間に絶縁性の強度部材31が配置され、発熱部材32は、個々の部材が他の部材と導通しないものとなるため、導通によって生じる発熱部材32の抵抗値低下が防止されたものとなる。したがって、発熱体30の発熱量は、それぞれの発熱部材32の発熱量を足し合わせたものとなり、発熱部材32の数を加減することによって、発熱体30の発熱量を加減することができる。よって、例えば、発熱部材32の数を増やすことによって、発熱体30が前記定着ベルト20に供給する単位時間の熱エネルギーを増加させることができる。
また、本実施形態では、本発明の発熱体30の一例として、前記定着用ベルト20と当接する側に、強度部材31が配置された発熱体30を用いている。
これにより、前記強度部材31は絶縁性を有しているので、前記定着ベルト20と前記発熱体30とが導通することを防止でき、前記定着ベルト20の材料として導電性材料を用いることができる。したがって、定着用ベルト20の材料として、例えば金属を用いた場合、金属は熱伝導率が高いため、定着用ベルト20への熱伝導効率を高めることができ、これにより、定着用ベルト20への伝熱時間を短くすることができる。
これにより、前記強度部材31は絶縁性を有しているので、前記定着ベルト20と前記発熱体30とが導通することを防止でき、前記定着ベルト20の材料として導電性材料を用いることができる。したがって、定着用ベルト20の材料として、例えば金属を用いた場合、金属は熱伝導率が高いため、定着用ベルト20への熱伝導効率を高めることができ、これにより、定着用ベルト20への伝熱時間を短くすることができる。
前記発熱体30は、例えば、以下のようにして形成される。まず、前記強度部材31のグリーンシートと、前記発熱部材32のグリーンシートと、をそれぞれ平板状に成形し、交互に積層した状態で10Mpa程度の圧力にて一次成形する。
前記強度部材31のグリーンシートの一例としては、アルミナ微粒砕に、結合剤としてポリビニールブチラール、可塑剤としてポリエチレングリコールとフタール酸オクチル、解膠剤としてメンヘーゲン油、溶媒としてトリクロロエチレンおよびエチルアルコールなどを加え、混合粉砕を行い成形したものがある。また、前記発熱部材32のグリーンシートの一例としては、例えば、半導体化したチタン酸バリウムに、微量のランタンやイットリウム等の希土類を添加させ、ガラス粉末等の無機結着剤や有機結着剤を用いて、混練を行い成形したものがある。
次に、ダイアモンドカッターなどを用いて必要な大きさに切り出した後、湾曲面を有する成形冶具に押し当てて、二次成形する。次に、湾曲面を有する焼成冶具上で脱脂、焼成する。
最後に、発熱体30の幅方向と厚さ方向とからなる面に、例えば、銀や白金等の良導電性材料をスクリーン印刷し、焼成することによって、電極33を形成する。
前記強度部材31のグリーンシートの一例としては、アルミナ微粒砕に、結合剤としてポリビニールブチラール、可塑剤としてポリエチレングリコールとフタール酸オクチル、解膠剤としてメンヘーゲン油、溶媒としてトリクロロエチレンおよびエチルアルコールなどを加え、混合粉砕を行い成形したものがある。また、前記発熱部材32のグリーンシートの一例としては、例えば、半導体化したチタン酸バリウムに、微量のランタンやイットリウム等の希土類を添加させ、ガラス粉末等の無機結着剤や有機結着剤を用いて、混練を行い成形したものがある。
次に、ダイアモンドカッターなどを用いて必要な大きさに切り出した後、湾曲面を有する成形冶具に押し当てて、二次成形する。次に、湾曲面を有する焼成冶具上で脱脂、焼成する。
最後に、発熱体30の幅方向と厚さ方向とからなる面に、例えば、銀や白金等の良導電性材料をスクリーン印刷し、焼成することによって、電極33を形成する。
このようにして得られた発熱体30には、図3(b)に示すように、湾曲面の凸面側に、圧縮応力が残留応力F1として働いている。前記発熱体30を、例えば、急速発熱させる際には、湾曲面の凸面側には引張応力が熱応力F2として働く。この熱応力F2と前記残留応力F1とは反対方向に作用する応力であるため、前記残留応力F1は前記熱応力F2を減少させるように作用する。したがって、急速加熱時における発熱体30の割れが防止される。
次に、以上のような構成を持つ発熱体30を備えた定着器13の使用方法について説明する。
画像形成装置が待機状態にある場合、一般に、定着ベルト20の温度はトナー溶融に必要な温度よりも低くなっている。画像形成装置が印刷命令を受信すると、電極33から発熱部材32に、所定の電力が供給され、発熱体30は予熱を開始する。前記発熱体30は、前記のように、熱容量が小さく、しかも、急速発熱時の破損が防止されているため、本発明の発熱体30によれば、予熱時間を短縮することができる。
前記発熱体30が発熱すると、その熱エネルギーは、定着ベルト20が発熱体30に当接する部分に伝わり、この当接部が加熱される。このとき、加圧ローラ50は外部の駆動力によって回転しており、加圧ローラ50と定着ベルト20との間に働く摩擦力によって、定着ベルト20は周回している。加熱された前記当接部は、定着ベルト20の周回運動によって、発熱体30から離れ、押圧部材40と加圧ローラ50とから構成されるニップ部へと搬送される。これと同時に、定着ベルト30の未加熱部が前記当接部へと搬送されてきて、加熱される。このようにして、定着ベルト30は周方向に順次加熱されて、所要の温度に達する。
定着ベルト20が十分に加熱されると、前記ニップ部に、未定着トナーを転写された用紙60(記録媒体)が搬送される。ニップ部では、押圧部材40と加圧ローラ50との間に用紙60を挟持し、用紙60に、加熱された定着ベルト20を押し当てる。このようにして、用紙60に転写された未定着トナーは、定着ベルト20の熱エネルギーによって加熱溶融され、ニップ部から排出される際に放熱凝固し、用紙60に定着する。
このとき、前記定着ベルト20は、用紙60との当接面において熱エネルギーが奪われ、用紙60の幅と同じ幅で温度低下が起きており、前記定着ベルト20が周回すると、発熱体30は、前記温度低下部により多くの熱エネルギーが奪われる。このようにして、使用時において発熱体30は、用紙60と同じ幅で温度低下が起きており、その外側では、温度低下がほとんど起こらなくなる。
本発明の発熱体30は、発熱部材32の湾曲方向の両端部に電極33を備えた構成となっているため、発熱部材32の電流方向と湾曲方向とが一致している。また、発熱部材32は、PTC特性を有するため、発熱部材32の各幅位置に流れる電流は、その幅位置の温度に対応した抵抗値によって制御される。したがって、発熱体30において、温度低下が起きている幅位置には、電流が流れ、発熱がなされるため、温度が上昇する。また、温度低下が起きていない幅位置には、電流が流れず、発熱がなされないため、温度は変化しない。よって、発熱体30は、定着用ベルト20を介して、紙面60に熱エネルギーを奪われた幅位置(温度低下部)のみが発熱し、紙面60の幅より外側の部分では発熱が起こらないため、この部分での異常過熱が防止される。
また、発熱部材32の厚さ方向における端面は、前記定着ベルト20と発熱体30とが当接する凸面側において温度が低下しやすく、その裏面側では前記強度部材31から熱エネルギーを供給されるため、温度が低下しにくいという熱特性になっている。そのため、前記発熱部材32に流れる電流の方向と、厚さ方向とが一致すると、不都合を生じることがある。つまり、電流が流れる方向に沿って、抵抗値が非常に高い部分と抵抗値が低い部分が直列に接続された状態となるため、合成抵抗値は非常に高いものとなってしまい、発熱が必要な場合であっても発熱部材32に電流が流れなくなってしまう。
しかしながら、本発明の発熱体30によれば、発熱部材32に流れる電流の方向は、先述のように、厚さ方向と直交する湾曲方向と一致しているため、強度部材31の熱容量等の熱特性から影響を受けることなく、発熱体30の温度分布は、湾曲方向に沿って均一なものとなる。したがって、定着ベルト20は、周回方向に沿って均一な温度に加熱され、前記用紙60上の未定着トナーを、摺動方向に沿って、均一に加熱することができる。
以上のような発熱体30にあっては、急速加熱時の割れが防止され、しかも、大きな熱エネルギーを供給できるものとなっている。また、紙面60の幅よりも外側の部分において異常過熱が防止されており、幅方向と湾曲方向の双方において、均一な温度が保たれるになっている。
また、画像形成装置にあっては、前記発熱体30を備えることにより、立ち上がり時間が短く、高速印刷に対応でき、定着むらのない画像を形成することができ、また、消費電力を節約できるものとなっている。
また、画像形成装置にあっては、前記発熱体30を備えることにより、立ち上がり時間が短く、高速印刷に対応でき、定着むらのない画像を形成することができ、また、消費電力を節約できるものとなっている。
本発明の発熱体30を備えた定着器13において、発熱体30に通電を行ったところ、従来の発熱体を備えた定着器よりも、短時間で所定の温度に達することが確認され、また、発熱体30の端部において異常過熱が生じず、幅方向と湾曲方向とに均一な温度分布が保持されていることが確認された。また、連続的に通紙を行っても、定着ベルト20の温度低下が生じないことが確認された。
なお、実施形態では、定着用熱媒体として定着ベルト20を用いたが、定着ロール等を用いてもよい。また、発熱体30の構成として、強度部材31を5枚と発熱部材32を4枚とを積層させたものを用いたが、これらの枚数は、必要に応じて、増減させてもよい。また、定着ベルト20と当接する側の面と反対側の面とには、強度部材31を設けなくてもよいし、また、これに代えてPI等で絶縁膜を設けてもよい。
1 感光体、2 帯電ローラ、3 露光機、4 現像ロータリー、5 現像機、
6 中間転写ベルト、7 駆動ローラ、8 従動ローラ、9 二次転写ローラ
10 二次転写部、11 給紙カセット、12 搬送経路、13、定着器
14 両面印刷時搬送経路
20 定着ベルト(定着用熱媒体)、30 発熱体、40 押圧部材、
50 加圧ローラ、60 用紙(記録媒体)
31 強度部材、32 発熱部材、33 電極、F1 残留応力、F2 熱応力
6 中間転写ベルト、7 駆動ローラ、8 従動ローラ、9 二次転写ローラ
10 二次転写部、11 給紙カセット、12 搬送経路、13、定着器
14 両面印刷時搬送経路
20 定着ベルト(定着用熱媒体)、30 発熱体、40 押圧部材、
50 加圧ローラ、60 用紙(記録媒体)
31 強度部材、32 発熱部材、33 電極、F1 残留応力、F2 熱応力
Claims (4)
- 加熱した定着用熱媒体を周回させて記録媒体上の未定着トナーに当接させ、この記録媒体に前記未定着トナーを定着させる定着器に用いられて、前記定着用熱媒体を加熱する発熱体であって、
PTC特性を有する発熱抵抗体からなる板状の発熱部材と、
絶縁性のセラミックスからなる板状の強度部材と、
が積層され、かつ、
前記定着用熱媒体が周回する方向に沿って弓形に湾曲した形状とされ、
前記発熱部材の湾曲方向の両端部に、湾曲方向と直交する方向に沿って、前記発熱部材に電力を供給する電極が備えられていることを特徴とする発熱体。 - 前記発熱部材と前記強度部材とのうちの、少なくとも一方が複数備えられており、前記強度部材と前記発熱部材とが交互に積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
- 前記定着用熱媒体と当接する側に前記強度部材が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発熱体。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載された前記発熱体を有した定着器を備えていることを特徴とした画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007006265A JP2008170887A (ja) | 2007-01-15 | 2007-01-15 | 発熱体と画像形成装置 |
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JP2007006265A JP2008170887A (ja) | 2007-01-15 | 2007-01-15 | 発熱体と画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008170887A true JP2008170887A (ja) | 2008-07-24 |
Family
ID=39699006
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007006265A Withdrawn JP2008170887A (ja) | 2007-01-15 | 2007-01-15 | 発熱体と画像形成装置 |
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Country | Link |
---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8126383B2 (en) | 2008-03-31 | 2012-02-28 | Sharp Kabushiki Kaisha | Fixing apparatus having an enhanced planar heat generating body, and image forming apparatus including the same |
US8406668B2 (en) | 2008-04-14 | 2013-03-26 | Sharp Kabushiki Kaisha | Fixing device and image forming apparatus including the same |
-
2007
- 2007-01-15 JP JP2007006265A patent/JP2008170887A/ja not_active Withdrawn
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