JP2008170259A - 熱電材料の評価用基板および熱電材料の一括評価装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定装置の限られたプローブ数に対して、多層配線基板上により多くの熱電試料を配置する。
【解決手段】上面に露出して形成した複数の電極端子と上面周辺部に形成した複数の電極パッドとを層中に形成した複数の配線パターンにより接続する多層配線基板と、電極端子に接触して上面に形成される複数の熱電材料薄膜片とを備え、上面に形成した複数の電極端子は、少なくとも一対の第1の電極端子を有する複数の電極ユニットを構成し、熱電材料薄膜片は電極ユニット上に形成される熱電材料の評価用基板において、隣接する2個の電極ユニット間で、隣接する2個の第1の電極端子を共通電極で構成し、該共通電極を1個の配線パターンによって複数の電極パッドの1個に接続する。
【選択図】図4

Description

本発明は、組成の異なる多数の熱電材料を一括して評価するための熱電材料の評価用基板、および該基板を用いた熱電材料の一括評価装置に関する。
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。この性質を利用することで、産業・民生用プロセスや移動体から排出される廃熱を有効な電力に変換することが可能となる。従って、熱電変換素子は、環境問題に配慮した省エネルギー材料としてその将来が注目されている。熱電変換素子を実用化する上で最も重要な問題は、熱電変換効率の高い材料を開発することである。
熱電材料は一般に多元系物質で構成され、同じ化学式を有していても構成元素の組成比が異なればその熱電特性が変化する。物質が相変化を起こす前後では、わずかな組成比の相違によっても熱電特性が大きく変化する場合がある。従って、熱電変換素子に最適な材料を得るためには、組成比をわずかに変化させた一連の評価材料を用意し、その個々について熱電特性を測定し評価する必要が有る。
近年、コンビナトリアルテクノロジーの進歩によって、組成の異なる材料片を大量にしかも短時間で合成する技術が開発されている。従って、この技術を利用すれば、熱電変換素子の候補材料を大量にかつ短時間で合成することが可能となるが、一方、個々の試料に対する評価作業が膨大となって、これが熱電変換素子開発の速度を低下させるネックとなっている。例えば、熱電材料では、試料を高温(数百度)や低温(数Kから数十K度)に保持してその特性を測定する必要があり、1個の試料であっても測定に長時間を要するが、多数の試料を測定する場合、測定装置の昇温、冷却に時間と手間がかかり、その作業量は膨大なものとなる。
このような観点に立って、本発明者等は、多数の試料の熱電特性を一括して評価することが可能な測定方法を、特願2005−204853「薄膜状試料の測定方法」として既に提案している。この方法により、多数の熱電変換素子候補材料を一括して簡便に測定することが可能となり、実用的な熱電材料を開発する上で効果が大きい。
なお、ゼーベック係数、電気抵抗率などの熱電特性を測定する方法については、既に種々のものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2000−74862号公報 特開平9−222403号公報
本発明は、特願2005−204853「薄膜試料の測定方法」で提案した方法に使用される熱電材料の評価用基板を改良し、できる限り多くの熱電試料を一括して測定することが可能な評価用基板と、この評価用基板を用いた熱電材料の一括評価装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、上面に露出して形成した複数の電極端子と前記上面周辺部に形成した複数の電極パッドとを層中に形成した複数の配線パターンにより接続する多層配線基板と、前記電極端子に接触して前記上面に形成される複数の熱電材料薄膜片と、を備え、前記上面に形成した複数の電極端子は、少なくとも一対の第1の電極端子を有する複数の電極ユニットを構成し、前記熱電材料薄膜片は前記電極ユニット上に形成される熱電材料の評価用基板において、隣接する2個の前記電極ユニット間で、隣接する2個の前記第1の電極端子を共通電極で構成し、該共通電極を1個の配線パターンによって前記複数の電極パッドの1個に接続したことを特徴とする熱電材料の評価用基板を提供する。
上記熱電材料の評価用基板において、前記熱電材料薄膜片はコンビナトリアル薄膜形成方法によって形成され、互いに異なる組成比を有するように構成されていても良い。また、前記共通電極下の前記多層配線基板中には、前記隣接する2個の電極ユニットの隣接部を加熱するためのヒータを埋設しても良い。
上記熱電材料の評価用基板において、前記複数の電極ユニットは、さらに一対の第2の電極を備えていても良い。さらに、上記の熱電材料の評価用基板において、前記多層配線基板の上面には前記電極ユニットをマトリックス状に形成し、前記共通電極は、前記マトリックスの一列または一行全体にわたって1個の共通電極で構成しても良い。
上記課題を解決するために、本発明は、さらに、上記構成を有する熱電材料の評価用基板と、前記熱電材料の評価用基板上に形成された複数の電極パッドのそれぞれに接続される複数のプローブと、前記プローブを介して前記電極パッド間の電気的特性を測定するための手段と、を備える、熱電材料の一括評価装置を提供する。
上記本発明の熱電材料の評価用基板では、隣接する2個の電極ユニット間で隣接する2個の電極端子を共通電極で構成しているが、両端の電極端子は独立した電極端子であるため、個々の電極ユニット上の個々の試料の熱電特性を独立して測定することができる。一方、共通電極は1個の電極パッドに接続されるので、その分、熱電特性を測定すべき試料に対して必要な電極パッドの数が削減される。その結果、一定のプローブ数に対して、より多くの熱電試料を基板上に配置することができる。この効果は、基板上に多くの試料を形成した場合に顕著である。このようにして形成された熱電材料の評価用基板を用いれば、一回のプローブの設定に対して、より多くの試料の効率的な一括評価が可能となる。また、コンビナトリアル薄膜形成法によって多層配線基板の上面に多くの熱電材料の薄膜片を一括して形成すれば、材料の組成比が傾斜的に異なる多数の薄膜片を得ることができるので、試料の熱電特性の評価をより組織的に行うことができる。
多層配線基板中に、隣接する2個の電極ユニットの隣接部を加熱するヒータを設ければ、熱電材料薄膜片のゼーベック係数の算出が効率よく行える。さらに、一個の電極ユニットにおいて2個の点状電極を設ければ、熱電材料薄膜片の電気抵抗率の測定が可能となる。またさらに、共通電極を有する電極ユニットを多層配線基板上にマトリックス状に形成し、同列あるいは同行上の共通電極を一体に形成することにより、試料測定に必要な電極パッド数をさらに削減することが可能となる。この結果、同一のプローブ数に対して同時に測定可能な試料数を大幅に増加させることが可能となる。
本発明の実施形態を説明する前に、特願2005−204853「薄膜試料の測定方法」(以下、先行発明)において提案された熱電材料の評価用基板について説明する。
図1は、先行発明を説明するために作成した熱電材料の評価用基板1の概略平面図、図2は図1のX−X線上断面図(概略)である。図1および2において、2は多層配線基板であって、図示の例では絶縁材料等を材料とする4層の基板20、22、24、26中に銅、アルミニウム、金等を材料とする配線パターン28が埋め込まれている。なお、多層配線基板2は、半導体集積回路等を形成する場合に使用される一般的な配線基板を使用することが可能であり、また基板2中に埋め込まれる多層の配線パターン28も同様に、通常の半導体集積回路製造技術を利用して任意に設計することが可能である。
図1および2において、4は多層配線基板2の上面周辺に形成した電極パッド、6は電極パッド4と測定装置(図示せず)を接続するプローブを示す。なお、プローブ6は測定装置によって制御され、測定時に電極パッド4に接触し、測定が終了すると電極パッド4から離れて次の評価用基板の測定に備える。図2ではこのプローブ6は省略されている。
8は熱電特性測定用の電極ユニットであり、一個のユニット8は、一対のブロード電極(通電電極)80a、80bと一対の点状電極82a、82bを備えている。電極ユニット8は、1個の熱電試料の形成領域を画定する。各ブロード電極80a、80bおよび点状電極82a、82bは、図2に示すように、多層配線基板2中に形成した配線パターン28によって、個々の電極パッド4に接続されている。10は熱電特性の測定のために、評価用基板1全体を加熱するヒータ、12は、ブロード電極80a、80b間に温度勾配を形成するためのヒータを示す。なお、図2において、配線基板20〜26、ヒータ10、12はそれぞれの断面を示しているが、図面を簡略化するために、これらについて断面を示す斜線は省略されている。
図3は、図1および2に示す熱電材料の評価用基板1上に、例えば既知のコンビナトリアル薄膜合成法によって、熱電材料の試料14(14(1)〜14(9))を形成した状態を示す。熱電材料の試料14は、個々の電極ユニット8によって画定される領域に形成され、電極ユニットを構成する各電極に接触している。個々の熱電試料14は、コンビナトリアルケミストリに基づいて、組成が傾斜的に相違した一連の熱電材料である。図示のように熱電試料14が評価用基板1上に形成されると、各ブロード電極80a、80bに配線パターン28を介して接続された対応する電極パッド4に、外部のプローブから電圧を印加し、ブロード電極間に通電する。
このとき、点状電極82a、82bに発生する電圧降下を対応する電極パッド4を介して測定することによって、試料14の電気抵抗率ρを測定することができる。この場合、ヒータ10によって基板1全体を任意の温度に昇温することで、その温度における電気抵抗率の測定が可能となる。熱電試料のゼーベック係数を測定する場合は、ヒータ12によって電極80a、80b間に温度勾配を形成し、その結果として両電極間に発生する起電力を測定する。従って、基板1上の熱電試料を一括して測定する場合は、全ての電極パッド4に測定装置のプローブ6を接続し、測定装置においてプローブ6を適宜選択して通電し、適宜選択したプローブ間の電圧降下あるいは起電力を測定することによって、基板上の全ての熱電試料14の熱電特性を、一回の温度管理で一括して測定することができる。
なお、図1に示した構成は、ゼーベック係数および電気抵抗率の両者を測定する場合の構成であるが、ゼーベック係数のみの測定を行う場合は、熱電試料の両端にブロード電極を形成すればよく、点状電極82a、82bは必要ない。ブロード電極は、熱電試料との良好な接触を図るために比較的広い電極としているが、充分に良好な接触を得られれば特にその形状に限定はない。
評価用基板1に形成することが可能な熱電試料の個数は、熱電特性測定装置のプローブアレイに含まれるプローブの本数によって制限される。各プローブは個々の電極パッドに接続されるため、測定に必要な電極パッドの個数を少なくすれば、同じ数のプローブを有する測定装置において測定可能な熱電試料の個数を増加させることができる。例えば、図1に示す評価用基板では、電極パッド4の総数が36であり、1個の熱電試料に対応する1個の電極ユニット8は4個の電極パッドを必要とするため、基板1上に形成可能な熱電試料14の数は9個である。なお、図1の例ではヒータ10、12を電極パッド4に接続していないが、これを電極パッド4に接続すれば基板上に形成可能な熱電試料14の個数はさらに減少する。
なお、図1の基板1は、直流4端子法による電気抵抗率ρの測定を行うために、1個の電極ユニット8が4個の電極を有しているが、基板1をゼーベック係数αの測定のみに使用する場合は、電極ユニット8は2個の電極のみを必要とし、その結果、18個の熱電試料を基板1上に形成することが可能となる。
本発明は、先行発明にかかる熱電材料の評価用基板において、測定可能な試料数をできる限り多くすることを目的としてなされたものである。以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の図面において、図1〜3に示した符号と同一の符号は、同一あるいは類似の構成要素を示すので重複した説明は行わない。
図4は、本発明の第1の実施形態にかかる熱電材料の評価用基板の構成原理を説明するための図であり、図5は、図4に示す原理に従って、多数の電極ユニットを多層配線基板上にマトリックス状に配列した場合の平面図である。図4および5に示す実施形態では、熱電薄膜のゼーベック係数αと電気抵抗率ρの算出を可能とする構成を有する。
図4に示すように、熱電特性の評価用基板100では、複数の電極ユニット8がマトリックス状に配置されている。個々の電極ユニット、例えば電極ユニット8a、8bは、一方のブロード電極80aと一対の点状電極82a、82bを有している。ブロード電極80aは、図1〜3に示した基板と同様に、電極ユニット8上に形成する熱電材料薄膜(試料)の電気抵抗率ρおよびゼーベック係数αを測定するための電極である。点状電極82a、82bは、熱電材料薄膜の電気抵抗率ρを測定するために必要な電極である。
本実施形態の基板では、図1の基板とは異なって、他方のブロード電極は、電極ユニット8aに隣接する電極ユニット8bの一方のブロード電極と共通化されている。従って、本実施形態の基板100は、隣接する2個の電極ユニット8a、8b間で、その両端に形成される一対のブロード電極80a、80bと二対の点状電極82a、82bとさらに共通電極84を有している。図5に示すように、共通電極84は、電極ユニットのマトリックス状配列において、同じ列の全てを共通化しても良い。この共通電極84は、多層配線基板2中に形成された1個の配線パターン54によって1個の電極パッド4(4)に接続される。配線パターンの設計上可能であれば、図5に示す2個の共通電極84を共に1個の電極パッドに接続しても良い。多層配線基板2における共通電極84の下部には、電極間に温度勾配を形成するためのヒータ86が形成されている。なお、図4および5では実線で示しているが、ヒータ86は図2に示すように、多層配線基板2中に埋め込まれている。
図4において、各電極と電極パッド4を結ぶ各点線は、多層配線基板2中に形成された配線パターン50を示す。図示の例では、電極ユニット8aのブロード電極80aは配線パターン51によって電極パッド4(1)に接続され、点状電極82aは配線パターン52によって電極パッド4(2)に接続されている。点状電極82bは配線パターン53によって電極パッド4(3)に、共通電極84は配線パターン54によって電極パッド4(4)に、それぞれ接続されている。同様に、電極ユニット8bの点状電極82aは電極パッド4(5)に、点状電極82bは電極パッド4(6)に、ブロード電極80bは電極パッド4(7)に接続されている。また、ヒータ86の両端は電極パッド4(8)および4(9)に接続されている。
なお、多層配線基板2の断面構造は図2に示す構造と本質的に同様であり、配線パターンを図5および6に示す構造に適したように設計する点のみが相違するので、ここではその断面の説明は省略する。
図4および5に示す第1の実施形態では、以上のように、隣接する電極ユニット8a、8b間で、一方のブロード電極を共通電極とし、かつマトリックス状に配列された電極ユニット間で、列方向に隣接する電極ユニット間の共通電極を全て共通にし、このようにして形成した共通電極を一個の配線パターン54によって1個の電極パッド4(4)に接続する構成を有している。従って、ヒータ86に対する電極パッドを考慮しない場合、図5に示す電極ユニット全体では、12個の電極ユニット、即ち12個の熱電試料に対して、12×3+1=37個の電極パッドが必要となる。
即ち、本実施形態では、n個の熱電試料を測定するために必要な電極パッド、即ち熱電特性の測定装置におけるプローブ数は、3n+1個となる。これに対して、図1に示す構造の評価用基板では、n個の熱電試料を測定するために4n個の電極パッド、即ちプローブが必要となるので、本実施形態の基板では測定に必要なプローブ数が大幅に削減されていることが分かる。
一方、隣接する電極ユニット8a、8b間で、ブロード電極の一方を共通電極84に変えても、個々の試料に対する電気抵抗率ρおよびゼーベック係数αの測定に影響はない。以下に電気抵抗率ρおよびゼーベック係数αの測定方法の一例について説明する。
まず、電気抵抗率ρの測定方法について説明する。図4の評価用基板100における電気抵抗率ρの測定は、4端子法による。評価用基板100において、電極ユニット8aに形成する熱電試料(図3参照)の電気抵抗率ρの測定は、ブロード電極80aに接続された電極パッド4(1)と共通電極84に接続された電極パッド4(4)を、プローブを介して電源(図8参照)に接続して、ブロード電極80aと共通電極84間に電流を流す。この電流は、点状電極82a、82b間を流れる電流と同じである。
従って、電極パッド4(2)および4(3)を介して電極ユニット8aの点状電極82a、82b間の電圧降下Vを測定することにより、電極ユニット8a上に形成した熱電試料の電気抵抗率ρが得られる。即ち、ブロード電極80aと共通電極84間を流れる電流をIとし、点状電極82a、82b間の距離をL、その間の熱電試料の幅をW、さらに熱電試料の厚さをdとすると、熱電試料の電気抵抗率ρは以下の式によって求められる。
ρ=(W・d・V)/(L・I) (2)
電極間距離L,熱電試料の幅W、厚さdは個々の試料についてほぼ一定であるので、従って、個々の試料について電流Iおよび電圧Vを測定すれば、各試料の電気抵抗率ρを得ることができる。なお、図4および5には示していないが、図1〜3に示す、基板全体を加熱するヒータ10によって基板全体を加熱しながら、点状電極間の電流値および電圧降下を測定することにより、任意の温度での電気抵抗率ρの測定が可能である。
次に、ゼーベック係数αの測定方法について説明する。ゼーベック係数αの測定には、ブロード電極80a、共通電極84、ヒータ86が用いられる。ゼーベック係数αは、試料の両端に温度勾配Tsを形成し、この温度勾配によって試料中に形成される起電力Vefを測定することによって得られる。この場合、ゼーベック係数αは、以下の式で示される。
α=Vef/Ts (2)
従って、温度勾配形成用のヒータ86を駆動して電極ユニット8a、8bの隣接部を加熱し、共通電極84とブロード電極80a間に温度勾配を形成する。その後、共通電極84とブロード電極80a間の起電力Vefを測定することにより、上記式(1)から、熱電試料のゼーベック係数αが算出可能である。なお、温度勾配は、測定装置に設けた温度センサ(図8参照)、あるいはサーモグラフィ等によって検出可能である。図5に示す様に、ヒータ86は個々の電極ユニット8の一端を同時に加熱するために、1個の試料の測定条件、具体的には所定の温度勾配の形成、が整った状態で、他の全ての試料の測定条件も整う。従って、この状態で、測定に使用するプローブを変更することにより、全ての試料の特性が一括して測定される。
なお、ゼーベック係数αに関しては、試料に直流電流を流した場合のペルチエ効果による起電力と、交流電流を流した場合のペルチエ効果による起電力とを測定し、これらの測定値に基づいてゼーベック係数αを算出する方法もあるが、本発明の熱電材料の評価用基板は、どちらの方法であっても適用可能である。
図5の評価用基板の実例について説明する。多層配線基板2のサイズは20mm×20mmであり、1辺につき19個の電極パッド4が形成されている。従って、合計で76個の電極パッドを有する。この評価用基板に対応する測定装置(図8参照)は、図5に示すように、1セットにつき19本のプローブ6が櫛状に配置されたプローブアレイを有する。各プローブはマルチプレクサ(スキャナー)を介してゼーベック係数および電気抵抗率測定用の電圧計、電流形、ヒータ駆動用電源に接続されている。
図5に示す実施形態の場合、3個の電極パッドをヒータの駆動用に使用するので、残りの73個の電極パッドを測定用に使用することができる。従って、73=3n+1より、n=24となって、24個の試料を基板上に配置することが可能となる。
図6および7は、本発明の第2の実施形態にかかる熱電材料の評価用基板200を示す図である。本実施形態の評価用基板200は、ゼーベック係数αのみの測定を可能とする構造を有している。従って、図4、5に示す第1の実施形態の場合とは異なり、各電極ユニット208は、熱電試料の両端部に接触する2個のブロード電極を有するのみで良い。この場合、2個の電極ユニット208a、208b間の隣接するブロード電極を共通電極212として構成する。他方のブロード電極210aおよび210bは、独立した電極とする。
共通電極212は、多層配線基板200の層中に形成された1個の配線パターン205によって、1個の電極パッド4(212)に接続されている。多層配線基板2中の、共通電極212の下方には、温度勾配形成用のヒータ214が埋め込まれている。隣接する2個の電極ユニット208a、208bからなる構造は、図7に示すように、多層配線基板200上でマトリックス形状に配置される。このとき、図示するように、同一の列では、各共通電極は一体に形成され、1個の配線パターンにより1個の電極パッドに接続される。
なお、第1の実施形態の場合と同様に、本実施形態にかかる多層配線基板2の断面構造は図2に示す構造と本質的に変わらず、配線パターンが図6および7に示す構造に適するように適宜設計されている点のみが相違する。したがって、ここではその断面図は省略する。
本実施形態の場合、n個の熱電試料を測定するためには、n+1個の電極パッドを要する(図7の3本の共通電極を1個の電極パッドに接続した場合)。一方、先行発明における基板では、2n個の電極パッドを必要とする。図5に示した実施形態と同数の電極パッド、76、を有する基板の場合、従って、73=n+1よりn=72個の試料を基板上に配置することができる。
図8は、本発明にかかる熱電材料の一括評価装置の概略構成を示すブロック図である。図示するように、本装置は、熱電試料の薄膜片が形成された本発明にかかる熱電材料の評価用基板100または200と、プローブアレイ60および測定装置500とで構成される。測定装置500は、電源装置、電流形、電圧計、プローブアレイの制御装置、温度センサ、温度コントローラを内蔵する。プローブアレイの制御装置は、プローブアレイ60を制御して基板100または200上の電極パッドに各プローブを接触させ、あるいは電極パッドからプローブを取り外す。
電源装置、温度センサ、温度コントローラは、ゼーベック係数α、電気抵抗率ρの測定のための環境を、電極パッドを介して基板上に形成するためのものである。電流計、電圧計は、試料中を流れる電流量、起電圧を測定する。なお、通常、測定の手順は測定装置500内に内蔵されたプログラム(図示せず)によって自動化されている。図8の装置では、多数の熱電試料を形成した基板に対して、プローブアレイ60を一括して接触させ、その後、予めプログラムされた手順に従って測定装置500が各プローブ間の電流、電圧を測定することにより、多数の試料の一括測定および評価が可能となる。
上記第1および第2の実施形態に共通して測定対象となる熱電材料の薄膜片(図3に示す熱電試料14参照)は、例えば、Bi−Sb−Te、Ti−Ni−Si、Mg−Sn−Si等の材料を、イオンビーム蒸着、レーザー蒸着等の物理蒸着法、CVD等の化学蒸着法あるいはメッキ等によって、個々の電極ユニット上でそれぞれの電極端子と接触するように成膜する。このとき、例えば、コンビナトリアル成膜法によって、各薄膜片の組成比を傾斜的に相違させる。
このような成膜法に関しては、例えば、H.Koimura,I.Takeuchi:Nature Materials3,pp249−438,01Jul.2004,鯉沼秀臣及び川崎雅司監修「コンビナトリアルテクノロジー」丸善2004、X.D.Xiang,I.Takeuchi:Combinatorial Materials Synthesis,Marcel Dekker Inc.2003に記載されている。
電極パッド、ブロード電極、点状電極および配線パターンは、例えば銅、金、ニッケル、タングステン、モリブテン等で形成することが可能である。これらの電極は、同一素材を用いて形成することが好ましい。
先行発明における熱電材料の評価用基板の上面図。 図1のX−X線上断面図。 図1に示す評価用基板上に、測定対象である熱電材料の薄膜片を形成した状態を示す図。 本発明の第1の実施形態にかかる熱電材料の評価用基板の構成原理を示す図。 本発明の第1の実施形態にかかる熱電材料の評価用基板の上面図。 本発明の第2の実施形態にかかる熱電材料の評価用基板の構成原理を示す図。 本発明の第2の実施形態にかかる熱電材料の評価用基板の上面図。 本発明の一実施形態にかかる熱電材料の一括評価装置の概略構成を示すブロック図。
符号の説明
2 多層配線基板
4 電極パッド
6 プローブ
8 電極ユニット
10 ヒータ
14 熱電材料薄膜片(試料)
28 配線パターン
50 配線パターン
60 プローブアレイ
80a、80b ブロード電極
82a、82b 点状電極
84 共通電極
86 温度勾配形成用ヒータ
100、200 熱電材料の評価用基板
500 熱電特性の測定装置

Claims (6)

  1. 上面に露出して形成した複数の電極端子と前記上面周辺部に形成した複数の電極パッドとを層中に形成した複数の配線パターンにより接続する多層配線基板と、
    前記電極端子に接触して前記上面に形成される複数の熱電材料薄膜片と、を備え、
    前記上面に形成した複数の電極端子は、少なくとも一対の第1の電極端子を有する複数の電極ユニットを構成し、前記熱電材料薄膜片は前記電極ユニット上に形成される熱電材料の評価用基板において、
    隣接する2個の前記電極ユニット間で、隣接する2個の前記第1の電極端子を共通電極で構成し、該共通電極を1個の配線パターンによって前記複数の電極パッドの1個に接続したことを特徴とする、熱電材料の評価用基板。
  2. 請求項1に記載の熱電材料の評価用基板において、前記熱電材料薄膜片はコンビナトリアル薄膜形成方法によって形成され、互いに異なる組成比を有することを特徴とする、熱電材料の評価用基板。
  3. 請求項1または2に記載の熱電材料の評価用基板において、前記共通電極下の前記多層配線基板中には、前記隣接する2個の電極ユニットの隣接部を加熱するためのヒータが埋設されていることを特徴とする、熱電材料の評価用基板。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱電材料の評価用基板において、前記複数の電極ユニットは、さらに一対の第2の電極を備えることを特徴とする、熱電材料の評価用基板。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の熱電材料の評価用基板において、前記多層配線基板の上面には前記電極ユニットがマトリックス状に形成され、前記共通電極は、前記マトリックスの一列または一行全体にわたって1個の共通電極で構成されていることを特徴とする、熱電材料の評価用基板。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の熱電材料の評価用基板と、
    前記熱電材料の評価用基板上に形成された複数の電極パッドのそれぞれに接続される複数のプローブと、
    前記プローブを介して前記電極パッド間の電気的特性を測定するための手段と、を備える、熱電材料の一括評価装置。
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