JP2008169511A - 芯鞘型溶融紡糸法により極細炭素繊維を製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】極細の炭素繊維と活性炭素繊維状の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン(Polyolefin)及び炭素含有ポリマー(polymer)を鞘部とし、ポリオレフィンを芯部として芯鞘型(Sheath & Core)溶融紡糸方法によって炭素前駆体(precursor)の芯鞘型繊維を直接紡糸し、温度雰囲気下で芯鞘型繊維を安定化(stabilization)させ、最後に不活性雰囲気中において、安定化された芯鞘型繊維を600℃〜1500℃で高温炭化処理して繊維径が20〜800nmの極細炭素繊維を得る。その後CO2、水蒸気及び空気又はその混合ガスにおいて600℃〜1500℃で活性化して極細活性炭素繊維を生成することもできる。
【選択図】図3
【解決手段】ポリオレフィン(Polyolefin)及び炭素含有ポリマー(polymer)を鞘部とし、ポリオレフィンを芯部として芯鞘型(Sheath & Core)溶融紡糸方法によって炭素前駆体(precursor)の芯鞘型繊維を直接紡糸し、温度雰囲気下で芯鞘型繊維を安定化(stabilization)させ、最後に不活性雰囲気中において、安定化された芯鞘型繊維を600℃〜1500℃で高温炭化処理して繊維径が20〜800nmの極細炭素繊維を得る。その後CO2、水蒸気及び空気又はその混合ガスにおいて600℃〜1500℃で活性化して極細活性炭素繊維を生成することもできる。
【選択図】図3
Description
本発明は、極細炭素繊維及び活性炭素繊維の製造方法に関し、特に、ポリオレフィン(Polyolefin)及び炭素含有ポリマー(polymer)を鞘部とし、ポリオレフィンを芯部として芯鞘型(Sheath&Core)溶融紡糸法により炭素前駆体(precursor)の芯鞘型繊維を直接紡糸し、温度雰囲気下で芯鞘型繊維を安定化(stabilization)させ、最後にN2ガス雰囲気中において、600℃〜1500℃で、安定化された芯鞘型繊維を高温炭化処理して繊維径が20〜800nmの極細炭素繊維を得る方法に関する。前記得られた極細炭素繊維はCO2、水蒸気及び空気又はその混合ガスにおいて600℃〜1500℃で活性化されて極細活性炭素繊維を生成することができる。前記得られた極細炭素繊維は更に、Arガス雰囲気中において1500℃〜3000℃で高温黒鉛化処理されて極細黒鉛系炭素繊維を得ることもできる。
炭素繊維は、その優れた機械的特性、特に比強度、比弾性率が比較的高いという特徴を有しているため、航空宇宙用途、レジャー用品、一般産業用途などに広く使用されている。しかし、その性能は用途によっては十分でなく、高強度、微細で軽量、良好な熱伝導性および導電性を有し、強化複合材料の補強材、水素吸蔵材料、リチウムイオン電池の電極、スーパーキャパシタまたはろ過用途などに広く使用可能な高性能の微細炭素繊維又は活性炭素繊維の開発が強く要請されている。
このため、新たな機能性付与を目的として微粒子などの形態で異種化合物を炭素繊維内部へ混合する技術(特公昭61−58404号公報、特開平2−251615号公報、特開平4−272236号公報)、または各種の樹脂をポリアクリロニトリル系ポリマーと混合する技術(特開平5−195324号公報、台湾特許公告番号561207)、更に固体又は気体の原子又は分子を真空下でイオン化し、電場によって加速して炭素繊維の表層部に注入し、表層構造を改質する技術(特開平3−180514号公報)などが提案されている。
しかし、前記微粒子含有炭素繊維において、微粒子は異物として単繊維内部の全体に分散して作用し、製糸および焼成工程で糸切れなどが起こりやすいため、成形性を低下させ、引張強度などの機械的特性を低下させる原因となっていた。また、圧縮強度を向上させる一つの手段として、炭素繊維を構成している黒鉛結晶のサイズを小さくして黒鉛結晶間のせん断強度、または横方向強度を上げることが有効であることが知られているが、金属元素を含有した微粒子を混合すると、触媒黒鉛化作用によって逆に結晶が成長して圧縮強度に不利となる場合もあった。
このため、微粒子不用で炭素繊維の微細構造を改質することを目的として、各種の樹脂をポリアクリロニトリル系ポリマーと混合する方法などが試みられているが、均一な構造をもつ炭素繊維を得るのが困難となり、且つ強度の低下を招くことがある。また、不純物元素を炭素繊維にイオン注入して表層の構造を改質する技術は、炭素繊維の基本特性を向上する効果があると認められているが、真空下での処理が要求され、且つ微細炭素繊維を作製できないため、工業規模での製造に達していない。
更に、気相成長法によりナノ炭素繊維を製造する技術が台湾特許公告番号73021に記載されているが、この気相成長法は高温で炭素含有ガスを金属触媒によって熱分解してナノ炭素繊維を形成するものであり、この方法によって得られたナノ炭素繊維は、極めて安価な炭素含有ガス原料からナノ構造の極細炭素繊維を生産することができ、且つ単一工程の製造プロセスで作製可能である。この気相成長法はまた化学気相堆積法(CVD)とも呼ばれているが、その製造時間が長く、生産量が少なく、製法の改良が必要である。
日本群馬大学の大谷朝男教授が日本の「機能材料」2000年4月号(vol.20,No.4,Page20−26)に発表した極細炭素繊維の開発では、炭素前駆体ポリマーと熱分解消失性ポリマーとを溶剤で分散混合して微粒子を形成し、溶融紡糸法および炭素化法を組合わせて極細炭素繊維を調製する。その方法は、溶剤を用いて炭素前駆体ポリマーを溶剤に溶解した後、表面を被覆しうる別のポリマー溶液によってミクロンサイズの粒子を形成するものであり、原料が予め溶剤処理される必要があり、製造プロセスが複雑で、環境汚染問題が発生しやすい。極細炭素繊維の調製に至っては、上述の大谷朝男教授が2000年に発表したポリマーの溶剤による分散混合・溶融紡糸法は、炭素前駆体ポリマーと熱分解消失性ポリマーとを分散混合することにより微粒子を形成し、更に溶融紡糸法及び炭素化法により微細炭素繊維を調製し、溶剤で数ミクロンよりも小さいフェノールポリマーを生成し、ポリエチレンポリマーに内包させ、溶剤を除去してフェノール−ポリエチレンポリマービーズを形成する。数ミクロンよりも小さいビーズ、ポリエチレンを3:7の重量比で、150℃で溶融混練した後、溶融紡糸し、この繊維を酸性雰囲気で安定化させ、アンモニア水による中和、脱イオン水による洗浄、乾燥などによって得られた安定化した繊維は数十ミクロンの繊維径を有し、最後に600℃で窒素気流中において10分間炭素化する。この炭素繊維は炭素化された後、ポリエチレンを分解してフェノール樹脂から誘導した繊維径が約200〜250ナノメーターの極細炭素繊維を得る。この方法は、溶剤でポリマーを溶解してから別のポリマー溶液で被覆した後、溶剤を除去してミクロンサイズの粒子を形成する必要があるため、原料が予め溶剤処理されることが必要となり、生産工程が複雑で、環境汚染問題が発生しやすい。
日本公開特許公報の特開2001−73226に開示されたフェノール系極細炭素繊維の製造方法では、フェノール樹脂とポリエチレンとを混練温度120℃〜160℃で一定の時間混練し、ペレット化した後、120℃〜200℃で溶融紡糸するのが最も好適な製造方法であり、酸性環境において96℃、24時間浸漬した後、アンモニア水による中和、脱イオン水による洗浄、乾燥などによって得られた安定化繊維は、数十ミクロンの繊維径を有し、最後に窒素気流中、600℃で10分間炭素化し、フェノール樹脂から誘導した極細炭素繊維を得る。この方法は、フェノール樹脂とポリエチレンとの混練時に一定の混練時間が必要で、例えば、フェノール樹脂とポリエチレンが約100gの場合、混練時間が約50分間が必要となる。
特開2001−73226号公報
極細炭素繊維及び該語極細炭素繊維から極細活性炭素繊維を効率よく、安価且つ量産する製法を開発する。
上述の従来技術の不都合(生産量が少なく、製造工程が複雑で溶剤の使用が必要、製造時間が長く、製造コストが高い)を解決するために、鋭意研究、検討を重ねた結果、本発明者らはポリオレフィン及び炭素含有ポリマーを鞘部、ポリオレフィンを芯部とし、芯鞘型溶融紡糸法によって炭素前駆体の芯鞘型繊維を(図1を参照されたい。)直接紡糸し、さらに芯鞘型繊維を安定化処理し、最後にN2雰囲気下において600℃〜1500℃で、安定化された芯鞘型繊維を高温炭化処理して、繊維径が20〜800nmの極細炭素繊維が得られることを見出した。前記得られた極細炭素繊維は、CO2、水蒸気及び空気又はその混合ガス中において600℃〜1500℃で活性化されて極細活性炭素繊維を生成することができる。前記得られた極細炭素繊維は更に、Arガス雰囲気中において1500℃〜3000℃で高温黒鉛化処理されて極細黒鉛系炭素繊維を得ることもできる。したがって、芯鞘型溶融紡糸法を用いるより効率的な極細炭素繊維の製造技術を達成した。
図1に示される芯鞘型繊維は、2種及び/又は2種以上のポリマーを、芯部及び鞘部を有する芯鞘型紡糸口金を介してそれぞれ溶融押し出しして成形される芯鞘型繊維である。その断面構造は、芯部/鞘部に用いるポリマー量により変更でき、好ましくは芯部及び鞘部の比率がそれぞれ90%重量〜10%重量及び10%重量〜90%重量の範囲にある。断面図の形状は同心円状、偏心円状及び三つ葉形などの形状でありうる。
前記炭素含有ポリマーは、フェノールホルムアルデヒド(Phenol−Formaldehyde;PF)、熱可塑性ポリアクリロニトリル(Thermoplastic Polyacrylonitrile;TPAN)、熱可塑性ポリビニルアルコール(Thermoplastic Polyvinyl alcohol;TPVA)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride;PVC)、メソフェーズピッチ (mesophase pitch;MP)などのポリマーを含む。
前記ポリオレフィンは、通常、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテンまたはオレフィン共重合体などのポリオレフィン系を用いることができる。
一般にフェノール繊維に紡糸可能なものは、数平均分子量が500〜2000であるフェノール樹脂を採用し、通常、湿式紡糸又は乾式紡糸により未硬化のフェノール繊維を得られるが、溶融紡糸時に糸が切れやすいため、溶融紡糸法によって未硬化のフェノール繊維を作製することが難しい。未硬化のフェノール繊維はその後、例えば塩酸、燐酸、硫酸などの酸性触媒と、例えばフォルムアルデヒド、ポリフォルムアルデヒド、トリオキサン(trioxane)、テトラオキサン(tetraoxane)などのアルデヒド類との混合水溶液で硬化処理されること、又は、前記混合水溶液において未硬化のフェノール繊維の外層部分を予め硬化した後、例えばアンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン、尿素、水酸化カリウムなどのアルカリ性水溶液で繊維を中和することによって、硬化フェノール繊維を得る。通常、前記酸性触媒、アルカリ性水溶液及びアルデヒド類はそれぞれ、塩酸、アンモニア水、フォルムアルデヒドを用いる。また、硬化フェノール繊維自体は不溶性(non-fusible)で、しかも炭素の含有率が高いため、炭素繊維用の前駆体繊維に適用できる。
本発明の方法の炭素含有ポリマーに用いられるフェノール樹脂(PF)は、その数平均分子量が2000〜10000で、容易に溶融紡糸可能なポリオレフィンとともに芯鞘型溶融紡糸法を利用して、安定化されていないフェノール−ポリオレフィン芯鞘型繊維に直接紡糸する必要がある。
単独で石油系又は石炭系ピッチ、等方性又は異方性ピッチで紡糸する場合、通常空気抵抗の影響を受けるため、繊維径が5μm以下の炭素前駆体繊維を作製することが難しい。それは、ピッチ粘度の温度依存性が大きいので、紡糸口金から吐出されるピッチが急速に繊維化されるため、紡糸時の冷風温度を十分制御しても、紡糸原料としてのピッチの粘度変化に大いに影響し、糸切れを起こしやすいのである。このため、ピッチ系原料は、高分子のように引っ張られることができず、5〜15μmの低繊度で紡糸する必要があるため、紡糸口金の吐出量が比較的小さく、紡糸口金の背圧も普通の高分子よりも低い。従って、高粘度の不純物がある場合、紡糸口金の詰まり現象が起きやすい。この現象を防止するために、粗原料の石油系又は石炭系重油における高粘度の不純物を除去することが必要となる。紡糸原料となるピッチは、不純物の固形分を除去されても、蒸留、メソフェーズピッチ化などの加熱処理又は酸化処理などにおいて、時間的変化により紡糸原料としてのピッチの高粘度化を招き、紡糸孔の詰まり現象が生じて糸が切れてしまうことがある。したがって、メソフェーズピッチを紡糸原料とする場合、上述の問題点を解決することが必要である。
本発明の方法に適用する炭素含有ポリマーのメソフェーズピッチは、コールタールをニッケル−モリブデン系触媒の存在下で、水素ガスを注入しながら400℃、120分で反応させて得られる。得られた水素化コールタールを1μmのフィルタで濾過して固形物を除去した後、350℃で蒸留し、水素化ピッチが得られる。その後、520℃、17mmHgで7分間熱処理し、メソフェーズピッチを得る。炭素繊維用前駆体繊維に適用するメソフェーズピッチは、軟化点が235〜267℃、トルエン不溶物の含有量が73.1%重量以上で、異方性量が85〜90.1%であるメソフェーズピッチを用いることができる。
微細炭素繊維を製造する時、従来からその製造プロセスにおいて、微粒子などの形態で異種化合物を炭素繊維内部へ混合する技術、又は各種の樹脂をポリアクリロニトリル系ポリマーと混合する技術、又は不純物元素を炭素繊維にイオン注入して表層の構造を改質する技術、又は気相成長法によりナノ炭素繊維を製造する技術、又は単独で石油系又は石炭系ピッチ、等方性又は異方性ピッチで紡糸する場合、繊維径が5μm以下の炭素前駆体繊維を作製することが難しく、又は溶剤でフェノール樹脂とポリエチレンとの炭化可能なポリマーのミクロン粒子を調製し、又はフェノール樹脂とポリエチレンとを長時間混練してから、溶融紡糸法又は乾式紡糸法及び炭素化法により極細炭素繊維を調製する、などの方法があるが、しかし、生産効率が低く、製造工程が複雑で溶剤の使用が必要、製造時間が長く、製造コストが高いなどの不具合があるので、実用的ではなかった。
このため、本発明は各種の製造プロセスのメリットを利用し、ポリオレフィンポリマー及び炭素含有ポリマーを鞘部とし、ポリオレフィンポリマーを芯部とすることによって、直接に芯鞘型紡糸方法によって炭素前駆体の芯鞘型繊維を連続して紡糸することを可能にし、溶剤による調製又は長時間の混練などが不用となる。更に、芯鞘型繊維を安定化処理し、最後にN2ガス雰囲気下において、600〜1500℃で、安定化された芯鞘型繊維を高温炭化処理してポリオレフィンを分解し、炭素前駆体樹脂から誘導した繊維径が20〜80nmの極細炭素繊維を得る。
炭素前駆体として使用可能なポリマーは、必要に応じて熱可塑性フェノールホルムアルデヒド、熱可塑性ポリアクリロニトリル系ポリマー、熱可塑性ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、メソフェーズピッチなどを鞘材として組合せることができるが、これらの炭素含有ポリマーを芯鞘溶融紡糸法を利用し、炭素前駆体の芯鞘繊維に直接紡糸し、鞘部において、炭素含有ポリマーとポリオレフィンポリマーを直接溶融混練して、フィブリル―マトリックス(fibirl−matrix)の形態(図2をご参照されたい)を形成し、炭素含有ポリマーがフィブリル部分(図2の21)、ポリオレフィンがマトリックス部分(図2の22)となる。これに対し、芯材はポリオレフィンポリマーからなり(図2の23をご参照されたい)、ポリオレフィンポリマーが容易に溶融紡糸可能であって、糸切れしにくいメリットを有するため、芯鞘型繊維の強度を確保でき、芯鞘型繊維が早めに切れることを防止できる。この芯鞘繊維に対し、得られた芯鞘型繊維を安定化させ、最後に不活性ガスN2雰囲気下において、600〜1500℃で、安定化された芯鞘繊維を高温炭化してポリオレフィンを分解し、炭素含有ポリマーから誘導した極細炭素繊維を得て、更にCO2、水蒸気及び空気又はその混合ガス雰囲気下、600〜1500℃で活性化すると、極細活性炭素繊維を生成することができる。
上記安定化処理を行なうのは、温度制御または処理剤により芯鞘型繊維の分子同士に架橋させ、ネットワーク構造を形成し、それによって高温炭化する際に炭素含有ポリマーから誘導した極細炭素繊維を形成し易いからである。
上記安定化処理を行なうのは、温度制御または処理剤により芯鞘型繊維の分子同士に架橋させ、ネットワーク構造を形成し、それによって高温炭化する際に炭素含有ポリマーから誘導した極細炭素繊維を形成し易いからである。
前記芯鞘型溶融紡糸時の鞘部と芯部との比率は、それぞれ20%重量〜80%重量及び80%重量〜20%重量の範囲にするのが好ましい。鞘部の炭素含有ポリマーとポリオレフィンポリマーとの重量比率は1:5乃至3:2の範囲にするのが好ましい。
本発明の方法により、炭素前駆体ポリマーとポリオレフィンポリマーからなる鞘部と、ポリオレフィンポリマーからなる芯部とを、直接芯鞘型溶融紡糸し、鞘部に極細炭素前駆体を含有し、極細炭素繊維製造用の基本材料となる芯鞘型繊維を作製することが可能である。
本発明の方法により、炭素前駆体ポリマーとポリオレフィンポリマーからなる鞘部と、ポリオレフィンポリマーからなる芯部とを、直接芯鞘型溶融紡糸し、鞘部に極細炭素前駆体を含有し、極細炭素繊維製造用の基本材料となる芯鞘型繊維を作製することが可能である。
本発明の方法により、製造工程が簡素化されるため、高強度、軽量、良好な熱伝導性および高導電性を有し、繊維繊度が20〜800nmに達することが可能で、強化複合材料の補強材、水素吸蔵材料、リチウムイオン電池の電極及びスーパーキャパシタなどの製品に広く使用可能で、更にろ過機能が優れ、産業上の利用可能性を有する極細炭素繊維と極細活性炭素繊維を大量で安価に生産できる。
〔実施例1〕
フェノール樹脂(Dynea社製品、固体シート状フェノール樹脂、数平均分子量が3000である)、ポリエチレン樹脂(カタールペトロケミカルカンパニー「QATAR PETROCHEMICAL COMPANY LIMITED」、Lotrene、固体粒状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン(台湾福聚股▲ふん▼有限公司製品、Pro−fax PT231、固体粒状ポリプロピレン単独重合体)を、芯鞘型溶融紡糸法により、芯鞘型紡糸口金の溶融紡糸温度を205℃、紡糸速度を400m/min、原料の混合比率を、フェノール20重量+ポリエチレン30重量%である鞘部成分(50重量%)と、ポリプロピレン50重量%である芯部成分(50重量%)とする条件下で直接芯鞘溶融紡糸を行い、その後、芯鞘型繊維を18%のホルムアルデヒド水溶液と12%の塩酸水溶液に浸漬し、95℃で安定化(架橋)された芯鞘型繊維を形成し、アンモニア水による中和、洗浄、乾燥などを経て、最後に高温炭素化処理を行い、N2ガス雰囲気下において、800℃で1時間炭素化処理した後、繊維径が100〜600nmの極細炭素繊維を形成した。得られた極細炭素繊維の電子顕微鏡写真では、繊維径が100〜600nmである(図3を参照されたい)。更に1000℃で熱処理する際に水蒸気を導入し、極細多孔質を有する極細活性炭素繊維を生成することができる。
〔実施例2〕
フェノール樹脂(Dynea社製品、固体シート状フェノール樹脂、数平均分子量が3000である)、ポリエチレン樹脂(カタールペトロケミカルカンパニー「QATAR PETROCHEMICAL COMPANY LIMITED」、Lotrene、固体粒状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン(台湾福聚股▲ふん▼有限公司製品、Pro−fax PT231、固体粒状ポリプロピレン単独重合体)を、芯鞘型溶融紡糸法により、芯鞘型紡糸口金の溶融紡糸温度を205℃、紡糸速度を400m/min、原料の混合比率を、フェノール20重量+ポリエチレン30重量%である鞘部成分(50重量%)と、ポリプロピレン50重量%である芯部成分(50重量%)とする条件下で直接芯鞘溶融紡糸を行い、その後、芯鞘型繊維を18%のホルムアルデヒド水溶液と12%の塩酸水溶液に浸漬し、95℃で安定化(架橋)された芯鞘型繊維を形成し、アンモニア水による中和、洗浄、乾燥などを経て、最後に高温炭素化処理を行い、N2ガス雰囲気下において、800℃で1時間炭素化処理した後、繊維径が100〜600nmの極細炭素繊維を形成した。得られた極細炭素繊維の電子顕微鏡写真では、繊維径が100〜600nmである(図3を参照されたい)。更に1000℃で熱処理する際に水蒸気を導入し、極細多孔質を有する極細活性炭素繊維を生成することができる。
〔実施例2〕
メソフェーズピッチ(三菱ガス化学株式会社( Mitsubishi Gas Chemical Co.)製品AR、固体粒状)、ポリプロピレン(Pro−fax PT231、固体粒状)を、芯鞘型溶融紡糸法により、芯鞘型紡糸口金の溶融紡糸温度を310℃、紡糸速度を500m/min、原料の混合比率を、メソフェーズピッチ25重量+ポリエチレン35重量%である鞘部成分(60重量%)と、ポリプロピレン40重量%である芯部成分(40重量%)とする条件下で芯鞘溶融紡糸を行い、芯鞘型繊維を更に60〜200℃で引張り、安定化処理し、最後に高温炭素化処理を行い、N2ガス雰囲気下において、1000℃で炭素化して繊維径が20〜400nmの極細炭素繊維を生成した。得られた極細炭素繊維の電子顕微鏡写真では、繊維径が130nmである(図4を参照されたい)。この極細炭素繊維を更にArガス雰囲気下において2500℃で高温黒鉛化処理して極細黒鉛系炭素繊維を得ることができる。
21 鞘材のフィブリル部分
22 鞘材のマトリックス部分
23 芯材
22 鞘材のマトリックス部分
23 芯材
Claims (3)
- 芯鞘型溶融紡糸法により極細炭素繊維を製造する方法であって、
フェノールホルムアルデヒド、熱可塑性ポリアクリロニトリル系ポリマー、熱可塑性ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニール、メソフェーズピッチからなる群より選ばれた一種以上の炭素含有ポリマーと、ポリオレフィンポリマーとを鞘材成分とし、ポリオレフィンポリマーを芯材成分として、
前記芯鞘型溶融紡糸時の鞘部と芯部との比率を、それぞれ20重量%〜80重量%、及び80重量%〜20重量%の範囲において芯鞘型溶融紡糸を行い、
前記得られた芯鞘型繊維を安定化処理し、
最後に、不活性ガス雰囲気下において600〜1500℃で高温炭化処理することにより、直径が20〜800nmである極細炭素繊維を形成する、
ことを特徴とする極細炭素繊維の製造方法。 - 前記ポリオレフィンポリマーは、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン、オレフィン共重合体からなる群より選ばれる一種以上のものであることを特徴とする、請求項1に記載の極細炭素繊維の製造方法。
- 前記得られた極細炭素繊維は、更に高温熱処理すると同時に、CO2、水蒸気と空気又はその他の混合ガスを導入して、極細活性炭素繊維を形成することを特徴とする、請求項1に記載の極細炭素繊維の製造方法。
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