JP2008167748A - 高温高圧水を用いた動物用液体飼料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 タンパク質(特に、有機系廃棄物)と水分とを共存させた状態で、温度150℃〜260℃、圧力4MPa〜30MPa、固液比1:10〜1:100の条件で、30分間〜180分間保持することにより、良好な液体飼料を得ることができる。本発明の方法によれば、水熱反応を用いることで、飼料原料における対象範囲を拡大できる。また、タンパク質として、有機系廃棄物を用いた場合には、不要な有機物を有効にリサイクル処理することが可能となり、環境に優しいシステムを構築することができる。
【選択図】 図1
Description
一方、食品リサイクル法の施行により、これまで利用率の低かった食品系廃棄物のさらなる有効利用が求められている。
以上の背景から、食品系廃棄物を原料とした液体飼料化技術が注目されている。液体飼料を製造するための方法の一つとして、製造工程で乳酸菌を加えることにより、食品系廃棄物の分解、可溶化の促進のみならず共生物質効果も得られる発酵液体飼料化法がある。例えば、特許文献1には、そのような方法が開示されている。現在、この飼料化方法を導入する動きが国内で活発になりつつある。しかし、この方法では、原料の種類に制限があるため、普及に伴い原料不足を起こす可能性が高い。そのため、新たな液体飼料製造技術を開発・導入し、原料の対象範囲を拡大する必要がある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、高い加水分解反応場を提供できる水熱反応により、既存方法では飼料化が困難な物質であっても分解・可溶化が行えることを見出した。飼料としては、一般に消化吸収性の高い低分子化合物を多く含むものが望まれている。このため、未利用有機資源の水熱分解挙動を炭素収支及び分子量分布から解明した。また、本発明の摘要により、飼料原料となる対象範囲の拡大を試みた。こうして、本発明は、高温高圧水処理を行うことにより、タンパク質を加水分解して良好な液体飼料または液体肥料を製造する方法を提供することを目的とする。
こうして上記目的を達成するための発明に係る液体飼料の製造方法は、タンパク質と水分とを共存させた状態で、温度150℃〜260℃、圧力0.4MPa〜30MPa、液固比5:1〜100:1の条件で、5分間〜180分間保持することを特徴とする。
本発明において、タンパク質とは、種類を問われないが、農水産系廃棄物、食品系廃棄物、畜産系廃棄物、未利用農産物のような有機系廃棄物であることが好ましい。本発明の目的の一つは、そのような有機系廃棄物を有効にリサイクルすることである。
高温高圧反応において、温度が150℃未満であると、タンパク質を十分に加水分解することが困難となる。また、温度が300℃よりも高くなると、タンパク質から得られたアミノ酸が分解してしまい、全体としてアミノ酸の収量が減少してしまうため好ましくない。このため、温度域としては、150℃〜260℃であることが好ましい。
圧力が30MPaを越えると、実用上の装置として稼働させることが難しくなるため好ましくない。また、圧力が低いと、反応温度を上昇させることが難しくなる。このため、圧力域としては、0.4MPa〜30MPaであることが好ましい。
反応時間が短すぎる場合(例えば、数十秒〜数分)には、実用上の装置を制御することが難しくなる。また、反応時間が長すぎると経済的にコストが上昇してしまい、好ましくない。このため、反応時間としては、5分間〜180分間、好ましくは30分間〜180分間、更に好ましくは60分間〜180分間である。
本発明におけるタンパク質としては、食品系廃棄物(具体的には、調理前残渣、オカラ、大豆製品、お菓子くず、でんぷんかす、ビールかす、ウイスキーかす、清酒かす、味噌、味噌かす、廃水処理おいて発生する汚泥、コンビニ弁当残渣(惣菜を含む)、お米、パン類、麺類、動物腸骨、牛乳・豆乳および飲料、焼酎かす、コーヒー豆、お茶がら・お茶かすなど)、農水産系廃棄物(具体的には、チーズホエー、大豆ホエー、カニ・エビの甲羅、魚のあら、野菜、くだものなど)、畜産系廃棄物(例えば、鶏(ひよこ含む)、羽毛、鶉、卵の殻膜、畜産糞など)、その他有機性廃棄物(例えば、人毛など)などを用いることが好ましい。
また、本発明においては、タンパク質と水分に加えて、卵殻を添加しておくことが好ましい。加水分解の際に卵殻が存在すると、炭酸カルシウムが溶解しpHがアルカリ性領域に変化すること、或いは撹拌に伴う物理的接触によることなどの理由により、アミノ酸生成量が増加できる。また、卵の殻としては、タンパク質1質量部あたり、0.001質量部〜0.05質量部であることが好ましい。
図1には、タンパク質である有機系廃棄物の処理装置1を示した。この処理装置1には、温度制御可能な溶融塩槽2(例えば、耐圧硝子株式会社製、TSC−B600型を用いることができる。)と、その溶融塩槽2の内部に浸漬される耐熱・耐圧な密閉型の処理容器3(例えば、ステンレス製(SUS316)バッチ式反応管(外径12.7mm、肉厚1.24mm、内径10.2mm、長さ10cm、内容積8.0mL)を用いることができる。)と、圧力センサ4とが設けられている。
処理容器3を密閉した後、予め設定温度に加熱しておいた溶融塩槽2に処理容器3を投入し、この時点を0分として、タンパク質の高温高圧処理を開始する。
アミノ酸分析には、高性能送液ユニットLC-10Aポンプを含むLC-10A高速アミノ酸分析HPLCシステムを用いた。その他に、有機酸分析装置、ゲル濾過クロマトグラフィー、全有機炭素計、高周波誘導結合プラズマ分析装置、元素分析装置などを用いて、各パラメータを測定した。
ウシ、ブタなどの家畜に対しては、タンパク質をそのまま飼料として与えるよりも、分解の進んだアミノ酸を飼料として与える方が、飼料の消化・吸収が良いと考えられる。水熱反応によってタンパク質からアミノ酸を生成する反応は加水分解である。この加水分解反応の際には、アミノ酸の熱安定性を考慮して、比較的低温でイオン積が高いような温度・圧力条件下で高温高圧処理を行うことが望ましい。このような考察の下、本発明者らは、200℃〜300℃の亜臨界領域と、450℃の超臨界領域とにおいて、タンパク質を用いて、5分間〜60分間の高温高圧水反応を行った。具体的な条件は、次の通りである。
結果を図2に示した。200℃、250℃、300℃、及び450℃の温度条件のなかでは、250℃付近でのアミノ酸生成量が最も高いことが分かった。このとき、0分間〜30分間の処理時間では、アミノ酸は一定の生成速度で増加したものの、その後は増加速度が減少することが分かった。なお、450℃では、温度条件が厳しすぎ、生成したアミノ酸が更に分解してしまうものと考えられた。
次に、アミノ酸生成量が最も高かった250℃の温度条件において、アミノ酸の生成量と組成とに対する圧力の影響を調べた。タンパク質と水との液固比を上記実施例1と同じ条件とし、処理容器3への充填体積を変化させて、4MPa(250℃での飽和水蒸気圧)と、27.5MPaとの2点において、60分間の高温高圧反応を行った。反応後、処理容器内のサンプル中のアミノ酸を成分毎に測定した。
結果を図3に示した。圧力を変えた場合であっても、アミノ酸の回収量には大きな変化は見られなかった。しかし、得られたアミノ酸の組成に相違が認められた。すなわち、圧力を上昇させると、全アミノ酸に対するグリシン・アラニンの含有率が高くなることが分かった。なお、データには示さないが、4MPaの反応で得られたアミノ酸組成の経時的変化を見ると、反応初期にはヒスチジンの含有率が最も高くなり、その後に低分子量のアミノ酸であるグリシン・アラニンの生成量が増加していることが分かった。
このことから、圧力などの反応条件を適切に制御すれば、目的とするアミノ酸の収率を向上できる可能性があることが分かった。
次に、タンパク質の種類によって、高温高圧水反応の後に得られるアミノ酸組成がどのように変化するかを調べた。タンパク質として、魚腸骨、牛肉、卵白、及び豆乳を選択し、各タンパク質において、高温高圧水反応の前後のアミノ酸組成を調べた。260℃において、その温度での飽和水蒸気圧(約5MPa)の条件で、タンパク質と水との固液比を1:50とし、30分間の高温高圧反応を行った。反応前のタンパク質構成アミノ酸の組成、及び反応後の処理容器内のサンプル中のアミノ酸を成分毎に測定した。
結果を図3に示した。反応前のタンパク質構成アミノ酸の組成は、各タンパク質のいずれにおいても類似していた。また、高温高圧水反応後のアミノ酸組成は、熱分解を受けにくいグリシン(Gly)とアラニン(Ala)が多いことが分かった。
各種のタンパク質への応用を確認するため、羽毛(養鶏場:鶏)、毛髪、卵殻膜、ウズラ(アギーズ養鶉場)、魚のあら(量販店)、おから、汚泥(平松食品)を試料として用いた。
試料は冷凍させた後、凍結乾燥機により1〜3日乾燥させた。その後、羽毛、毛髪、ウズラ、魚のあらは5mm角程度にカットし、卵膜殻、おから、汚泥は乳鉢を用いてパウダー状に粉砕し、実験に使用した。水はイオン交換水(MILLI-QLabo、MILLIPORE製)を使用した。
検討した反応条件を下表1および2に示した。
あらかじめ設定温度に加熱したソルトバスへ反応容器を浸漬し、反応を開始させた。ソルトバスに浸漬した時点を反応開始とし、所定時間の経過後、すぐに反応容器を取り出し、冷水で反応容器を冷却することによって、反応を停止させた。冷却後、反応容器内より液相と反応管内部に付着した反応残渣を回収した。
分子量分布についても、アミノ酸分析と同様の前処理をしたものについてゲル濾過クロマトグラフィーを用い測定した。カラムにはTSK-GEL G2000SWXL 7.8×300mm(TOSHO製)を用いた。カラム温度は26℃、移動層は0.1%TFA+45%アセトニトリルを使用し、流量は0.3ml/minとした。検出器には、示差屈折率計としてRID-10A(島津製作所製)と紫外分光光度計としてSPD-10A(島津製作所製)を用いた。標準物質としては和光純薬工業製であるオキトシン(1007Da、)、ロイシン-エンケファリン(555Da,生化学用)、グルタチオン(307Da,還元型,97+%(Ti))、グリシン(75Da)を用いた。
反応容器からの金属溶出測定については、炭素濃度測定と同様の前処理をしたものを用い、高周波誘導結合プラズマ分析装置(SII製、SPS7700R)により測定した。
元素分析については、各試料を1〜3日凍結乾燥させ、5mm角程度にカットしたものを3〜10mg測りとり、すず箔で包んだ後、元素分析装置(CHNSO製、vario EL III)を用い測定した。
(1)タンパク質分解における挙動解析
a.炭素収支からの検討
水熱反応により処理した羽毛の反応時間別に炭素形態を検討し、その結果をまとめたものを図5に示した。
図より、水熱反応場においては短時間で羽毛の可溶化が行われていることが確認された。可溶化率(DOC/TC)は反応時間10分においておよそ75%であり、反応時間30分においてはおよそ90%であった。また、反応物の多くがDOC(ここでは溶解態有機炭素から有機酸、アミノ酸を除いたものと定義する)の形態で存在していることが分かった。炭素形態の変化については、POC(懸濁態有機炭素)が減少傾向にあるのに対して、アミノ酸の増加量が確認された。これは、タンパク質の低分子化は行われているが、低温域での水熱反応においてアミノ酸の加水分解反応は促進されていないためだと考えられる。DOC、有機酸量については、顕著な変化は見られなかった。
図6より、各試料の炭素形態は、POC(1μm以上)とDOCで構成されていることが明らかになった。その中において、羽毛と毛髪は、主にケラチンタンパク質で構成されていることから、DOCが多いという炭素形態が類似していた。また、動物由来のタンパク質であるウズラ、魚のあら、卵殻膜は、POC(1μm以上)よりも、ややDOCが多い傾向が見られた。おから、汚泥においては、POC(1μm以上)の方が、DOCよりも多い傾向であった。このような傾向は、図12に示すように、含有タンパク質量と相関があり、高タンパク質試料であるほど可溶化が促進されることが分かった。これらにより、溶解性という観点から見た場合、羽毛、毛髪が液体飼料の原料として優れていることが考えられた。なお、含有タンパク質量は、元素分析の窒素の数値と窒素係数:6.25との積により簡易的に算出した。
水熱反応により処理した羽毛の反応時間別に分子量測定を検討し、その結果をまとめたものを図14および図15に示した。これらの図より、反応時間が進むに従い、標準物質から定義した有機酸、アミノ酸域に分子量分布が集中しており低分子化が進行していることが確認された。また、分子量分布の変化は反応時間180分より長い時間では、緩やかに行われていることが確認された。このように本実施形態の水熱反応を用いることにより、生成物の分子量分布を制御できることが分かった。生成物を飼料として用いる場合には、元のタンパク質に比べて、できるだけ分子量の小さいものの割合が多いことが好ましい。このため、本データに基づき、生成物が適当な分子量分布を備えるように、温度・時間を制御することができる。
a.反応時間、温度の影響
羽毛から生成されたアミノ酸量について反応時間、温度の影響を検討し、その結果をまとめたものを図16に示した。180℃での水熱反応では、最も長く設定した反応時間において、アミノ酸生成量が最大となり、その生成量は146mg/g-dryであった。また、アミノ酸生成速度が3段階で構成されていることが確認された。すなわち、まず加水分解反応によりタンパク質が分解され、次に生成されるアミノ酸量と熱に対し分解されやすいアミノ酸の分解量が等しくなり、最後に熱の影響を受けにくいアミノ酸量が増加、もしくは分解されたアミノ酸が構造の単純なアミノ酸として再結合され総量が増加していったものだと考えられた。
羽毛から生成されたアミノ酸量について液固比の影響を検討し、その結果をまとめたものを図17に示した。液固比を5:1〜50:1まで変化させたところ、液固比の増加に従い、アミノ酸生成量は増加する傾向を示し、そのアミノ酸組成に関しては顕著な変化は見られなかった。
以上の結果より、低温域での水熱反応において、反応場中に十分な水が存在しなければ加水分解反応ではなく、熱分解反応が促進されてしまいアミノ酸が分解されてしまうことが示唆された。
羽毛から生成されたアミノ酸量について反応場における雰囲気の影響を液固比の影響と関連して検討し、その結果をまとめたものを図18および図19に示した。アルゴン、窒素で反応場を置換した場合においてアミノ酸生成量に顕著な変化は見られず、液固比を変化させた場合も変化は見られなかった。
以上の結果より、反応場におけるガス置換を行い、酸素を除去した反応場においても、水が十分存在しない場合は熱分解反応が促進されてしまうことが示唆された。
羽毛から生成されたアミノ酸量について添加物として卵の殻を加えた影響を検討し、その結果をまとめたものを図20に示した。添加量の増加に従い、アミノ酸生成量は微量ながら増加することが確認された。この理由として、卵殻の主成分である炭酸カルシウムが溶解しpHがアルカリ性領域に変化したことによる影響と、攪拌に伴う物理的接触による影響とが考えられた。羽毛の分解においてpHがアルカリ性領域である影響は大きいとの報告があることから、攪拌に伴う物理的接触による影響のためだと考えられた。
羽毛、および羽毛を高温高圧水(200℃、60分間、液固比50:1)で処理したものについて、ペプシンを用いて消化性評価を行った。各サンプルにペプシン(MERCK社製:Pepsin EC 3.4.23.1)を2g/Lとなるように添加し、40℃、16時間の消化処理を行った。消化後のサンプルを500μmのフィルターで一度ろ過したのち、0.45μmのフィルターでろ過し、その固形残渣の量を測定した。
羽毛、高温高圧水で処理した羽毛、及びフェザーミールの消化率(消化後固形残渣/消化前固形物量)を図21に示した。但し、フェザーミールの消化率は、文献値(日本標準飼料成分表(2001年度版))を用いた。未処理の羽毛の消化率は12%と低かった。一方、高温高圧水で処理した羽毛では、消化率はほぼ96%と、ほぼ100%に近い高値を示した。なお、フェザーミールとして認められるための最低値は、75%であることから、高温高熱処理を行うことにより、タンパク質の消化率を十分に向上させられることがわかった。更に、タンパク質の消化率を向上させることで、家畜の増体促進が期待できる。
大腸菌群用ウオーターサンプラー(MILLIPORE社製:製品名Coli-Water Tester)を用い、高温高圧水処理後のサンプル中に含まれる大腸菌の存在の有無を調べた。ウオーターサンプラーに、反応生成物(羽毛を200℃、60分間で処理したもの)を浸透させ、インキュベーターにて、35℃、24時間保持した。
その結果、ウオーターサンプラー中には、大腸菌のコロニーは観察されなかったことから、高温高圧水処理によって、滅菌効果が十分であることがわかった。
(1)タンパク質分解における挙動解析
水熱反応を用いて、反応温度200℃における羽毛の分解挙動を炭素収支から検討した結果、30分で可溶化率が90%であった。炭素形態としてはPOCが減少し、アミノ酸量が増加傾向にあることが確認された。これにより、低分子化されるものの、アミノ酸の加水分解反応は促進されていないことが分かった。
各試料別における200℃、60分の炭素形態を検討した結果、主にPOC(1μm以上)とDOCで構成されていた。羽毛、毛髪は水熱反応場において、DOCの値が高いことから、溶解性が高いことが明らかになった。また可溶化率と含有タンパク質量には相関があり、こうタンパク質試料であるほど、可溶化されていることが分かった。
水熱反応を用いて、羽毛から回収されるアミノ酸量に与える反応条件の影響を検討した結果、アミノ酸生成量は200℃、600分において最大値を示し、その回収率はおよそ3割であった。液固比を小さくした場合、熱分解反応が促進されアミノ酸生成量は減少することが確認された。また今回検討した添加剤、反応場におけるガス置換の条件では、アミノ酸生成量に大きな影響をもたらさないことが確認された。
上記実施例で得られたタンパク質の加水分解物を用いて、液体飼料を調製した。この液体飼料をブタに自由摂取させたところ、良好な体重増加曲線を示した。
このように本実施形態によれば、タンパク質を高温高圧水で処理することにより、良好な液体飼料または液体肥料を得ることができた。この液体飼料または液体肥料は、高温処理されているので従来の殺菌処理を行う必要がない。また、材料であるタンパク質として、有機系廃棄物を用いれば、不要な食物のリサイクルを行うことができるので、環境にも優しい。
このように本実施形態によれば、高温高圧水反応により、従来法では液体飼料化が困難な未利用有機資源を短時間で可溶化できることが示された。また、生成物の分子量分布を制御できること、及び反応時間の経過に伴い遊離アミノ酸生成量が増加することが確認された。また、高温高圧水反応を行うことにより、液体飼料の消化率が非常に高くなり、家畜の増体促進に寄与することがわかった。更に、高温高圧水処理後の反応生成物では、大腸菌のコロニーは観察されなかったことから、滅菌効果に優れることがわかった。また、本法では、反応温度は200℃程度であり、後の殺菌処理や生成物の分離精製工程を必要とすることなく、飼料として用いることができる。
以上のことから、水熱反応を用いることで、飼料原料における対象範囲を拡大できることが分かった。また、タンパク質として、有機系廃棄物を用いた場合には、不要な有機物を有効にリサイクル処理することが可能となり、環境に優しいシステムを構築することができる。
Claims (3)
- タンパク質と水分とを共存させた状態で、温度150℃〜260℃、圧力0.4MPa〜30MPa、液固比5:1〜100:1の条件で、5分間〜180分間保持することを特徴とする液体飼料の製造方法。
- 前記タンパク質は、農水産系廃棄物、食品系廃棄物、畜産系廃棄物のうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体飼料の製造方法。
- タンパク質と水分とに加えて、タンパク質1質量部あたり、0.001質量部〜0.05質量部の卵殻を加えることを特徴とする請求項1または2に記載の液体飼料の製造方法。
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