JP2008162801A - 油圧動力選択型手動操作式ワイヤ巻取バトン昇降装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】一箇所の油圧源駆動装置及び操作位置を備えて一つ又は複数のバトン装置を任意に選択して人間工学的な軽い力の手動感覚で可変速度昇降のための手動操作できる、油圧動力選択型手動操作式バトン昇降装置を提供する。
【解決手段】常時開のワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ8はワイヤ巻取ドラム1’の下部に取付けられる。油圧モータ駆動軸10はスプロケット18と駆動チェーン11を経て回転可能に全てのワイヤ巻取ドラム1’に連結される。油圧制御弁12のスプール軸17と歯車連結されるフィードバック装置16はさらに油圧モータ駆動軸10に歯車群を介して連結される。ナイロンロープ等で人間工学的に手で引き操作される手動操作装置15は連結される歯車群を経て油圧制御弁12のスプール軸17に連結される。
【選択図】図2

Description

この発明は、劇場等に使用されるバトン昇降装置に関する。
従来、劇場等用の手動操作式のカウンターウェイト釣合い型バトン昇降装置、及び電子制御、押しボタン操作式の電動機駆動型又は油圧駆動型のバトン昇降装置は報告されている。これらの内、手動操作式のカウンターウェイト釣合い型昇降装置はカウンターウェイトの載せ替えに掛かる労力や釣合いが取れない時の安全性の問題点が指摘されており、また動力駆動型のバトン昇降装置においてはバトン一本毎に駆動装置が付いているので、バトン昇降装置の昇降速度を可変式にするためには複雑な及び高度な操作のためにコンピュータ等を含むと同時に、バトン昇降装置の台数分の高価な複数の駆動装置と電気制御装置を必要としている。さらにこれらの電気制御装置の初期設置費用は高価であるだけでなく、製品寿命が比較的短いので、従ってこれらのバトン昇降装置の維持管理のために保守・整備にも多大な費用を必要とする問題点があった。
これらの問題を解決するために、単一の油圧モータの油圧力によってバトン昇降装置と力学的釣合いを保持し、多数のバトン昇降装置列の中から操作したいバトン昇降装置を一つ又は複数選択して該当するワイヤ巻取ドラムを駆動し、さらに油圧制御弁を直接手動で操作することによってバトン昇降装置の昇降速度を可変的に運転させる、使用する部品装置点数が少なく、操作が簡単で、安全でしかも設置価格と保守維持価格が安価な油圧動力選択型手動操作式バトン昇降装置が開発された。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、上述の従来の手動操作式のカウンターウェイト釣合い型昇降装置は安価であるという利点がある一方、舞台技術者のカウンターウェイトの載せ替えに掛かる労力や釣合いが取れない時の安全性の問題点が指摘されており、また動力駆動型のバトン昇降装置では、可変式の昇降速度及び複雑な演出のための運転を得るために高価な複数の駆動装置と制御装置を必要とし、さらにそれらの初期設置費用及び保守維持費用に多大な費用が掛かるという欠点がある。
従来の手動操作式のカウンターウェイト釣合い型バトン装置では、重い鉄製のカウンターウェイトを舞台技術者が人力で不自由な体勢で載せ替える労働条件の悪さ、及び舞台技術者の不注意からの不釣合いによる吊り物の落下の事故や舞台技術者が不慮の事故に巻き込まれる危険性もある。
つぎに、従来の動力駆動型のバトン昇降装置では、バトン昇降装置の低速から高速までの広い範囲の制御、複数のバトン装置の組合せ及び同時操作等を行うために、高価なコンピュータ制御装置等を必要とする欠点がある。さらにその上に、これらの高価な複数の駆動装置及びコンピュータ等を含む制御装置は製品寿命が比較的短く、毎年の保守・整備にも多大な費用を必要とする欠点がある。
この発明は、このような課題を解決するために考案されたものであり、一箇所の駆動装置及び操作位置で一つ又は複数のバトン装置を任意に選択して手引き感覚で軽い力で可変速度のための手動操作をすることにより、使用される高価な部品装置の点数を節約し、さらに初期の設備費用及び毎年の保守・整備費用を安価にして、従来の手動操作式のカウンターウェイト釣合い型バトン昇降装置と動力駆動型バトン昇降装置の両方の動作性能の長所を有する油圧動力選択型手動操作式バトン昇降装置(以下HMBという)を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
この発明のHMBは、以下のワイヤ巻取ドラム(1’)、油圧モータ(9)、油圧モータ駆動軸(10)、駆動チェーン(11)、バトン昇降装置用安全ブレーキ(6)、ワイヤ巻取ドラム用ブレーキ(7)、ワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ(8)、ワイヤ巻取ドラム選択弁(13)、ワイヤ巻取ドラム用ブレーキ弁(14)、手動操作装置(15)、油圧制御弁(12)、フィードバック装置(16)、油圧制御弁スプール軸(12)、油圧回転継手(24)を有する。油圧源装置(図示せず)は同時に作動させるバトン昇降装置の本数分の動力を備えるだけで十分であり、バトン一本ずつに油圧モータ(9)を必要とする従来の油圧式バトンの油圧源に比べて、大幅にその容量を節減できる。油圧モータ(9)はただの一箇所だけでよく、バトン一本ずつに油圧モータを必要とする従来の油圧式バトン昇降装置の油圧モータに比べて、大幅なコスト低減となる。駆動チェーン(11)は油圧モータ(9)の回転力をバトン昇降装置を昇降させるワイヤ巻取ドラム(1’)の軸に選択的に伝達する。
バトン昇降装置用安全ブレーキ(6)は常時圧縮バネで閉に保持され、圧力油の導入によって開放される安全ブレーキある。通常、油圧駆動源の運転中においても手動操作装置(15)を動かそうとしても油圧制御弁(12)はこの安全ブレーキ(6)のために動かすことができず、従ってバトン昇降装置は安全に静止したままである。ワイヤ巻取ドラム用ブレーキ(7)は巻取ドラムの回転を安全に保持するためのもので、構造は安全ブレーキ(6)に類似している常時閉型で、ワイヤ巻取ドラムブレーキ弁(14)と組合わされて作動される。ワイヤ巻取ドラム選択弁(13)は巻取ドラムを回転させるか保持のままにするかを選択するためのもので、この選択は既存技術の簡単な押しボタン電子制御によって行われる。手動操作装置(15)は選択されるバトン装置のワイヤ巻取ドラム(1’)を回転させるために操作するもので、この操作は一般に麻又はナイロン製の連続したロープの前側又は後側を上下に引くことによって行われる。油圧制御弁(12)は手動操作装置(15)によって操作されるスプール軸(17)を回転により横移動させることにより作動油の供給口が選択的に開かれ、油圧モータ(9)の回転方向を定める。フィードバック装置(16)はワイヤ巻取ドラム(1’)の軸に歯車連動されており、手動操作装置(15)によるスプール軸の回転に従ってワイヤ巻取ドラム(1’)が回転されると、油圧制御弁(12)を手動操作装置(15)による回転方向と反対に回転し、ギヤ結合されるスプール軸を反対方向に移動させる。これらの手動操作装置(15)のロープの移動量とスプール軸(17)の回転数即ちギヤ結合されるスプール軸の移動量、及びフィードバック装置(16)の移動量は適切なギヤ比で連結調整される。
ワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ(8)について説明すると、通常、ワイヤ巻取ドラム(1’)は前記のワイヤ巻取ドラム用ブレーキ(7)によって保持固定されているが、一方、ワイヤ巻取ドラム(1’)と一体に連結されるワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ(8)に組み込まれる駆動軸(19)はバネ(22)によって常時開放されており、従って駆動チェーン(11)によってスプロケット(18)が回転してもワイヤ巻取ドラム(1)は回転しない。ワイヤ巻取ドラム(1’)が回転運転のためにワイヤ巻取ドラム選択弁(13)によって選択されると、圧力作動油が油圧回転継手(24)の送油口(23)に送られるとフリーピストン(20)が摩擦板群(21)を押付け、従ってワイヤ巻取ドラム(1’)と駆動軸(19)が一体に連結されてワイヤ巻取ドラム(1’)に回転トルクが伝達される。
発明の効果
この発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明のHMBによれば、HMBは一箇所の油圧動力装置のみを有し、それによって作動させたいバトン昇降装置のワイヤ巻取ドラム(1’)を任意に一つ又は複数選択した後で、その部分にのみ回転動力を連結して、その可変速度の運動を人間の手動感覚の引き操作によって自由に行うことができる。
さらにHMBは、多点吊りバトン装置以外の一点吊り装置を任意に複数選択して運転することもできるので、既存の一点吊り装置のように個々の一点吊り装置に駆動装置を必要とすることなく、しかも吊り点を設定するのに複雑な滑車装置の配置を必要としないので、設置時間が短く、操作が簡単で、極めて経済的である。
さらにHMDは劇場に一箇所又は多くても二箇所程度の設置で済むために、使用する部品装置の点数が少ないことから初期の設備費が安価で、しかもこれらを作動させる複雑なコンピュータを含む電子制御装置も必要としないのでさらに安価である。その上、HMDが簡単な構成によるためにこれらに関連する保守維持費が既存の設備に比べて非常に安価でであり、従って初期、及び長期に渡り経済的なワイヤ巻取装置を提供できる。
以下、HMBにかかる発明の実施の形態について説明する。
最初に、HMBの構成について説明する。
図1は本発明のHMBに関連する既存の電動機駆動型電子制御式バトン吊物機構の簡単な舞台上の正面配置図である。既存の電動機駆動型電子制御式バトン吊物機構のワイヤ巻取ドラム(1)は主に劇場等の舞台上の天井構造物に水平に配置される場合と、図1のように舞台構造物の側壁に垂直に配置される場合があるが、本発明においては図1のように舞台構造物の側壁に垂直に配置される場合について説明する。通常、舞台上においては様々なパフォーマンスが行われるが、それに必要な背景幕、背景画、照明・音響装置等が一般的に図1に示すようなバトンに吊下げられて昇降される。一般的に多くの劇場等においては、図1に示すようなワイヤ巻取ドラム(1)によってワイヤ(5)が巻き取られ、昇降されるバトンは必要な台数分だけ舞台の奥行方向に多数配置されている。これらのワイヤ巻取ドラム(1)とバトンは一般的に一組として図1のように配置され、夫々のワイヤ巻取ドラム(1)には電動機(4)、減速機(3)、ブレーキ(2)が備えられている。
またこのような電動機駆動型バトン吊物機構の昇降制御は、図示していないが一般的に可変昇降速度を得るために可変速度式電動機やインバーター等の制御装置を必要とし、さらに演出効果を上げるためのバトン装置を組合せた連続操作を行うために高度なコンピュータを必要としている。
図2は本発明のHMBの具体例を示す。本発明のHMBは既存の電動機駆動型電子制御式バトン吊物機構のワイヤ巻取ドラム(1)の駆動方式とブレーキ方式、及び制御操作を大幅に改良したものである。
先ず本発明のHMBの大きな特徴は、既存の電動機駆動型電子制御式バトン吊物機構においては、夫々のワイヤ巻取ドラム(1)に電動機等の駆動装置が夫々取付けられているのに対して、HMBのワイヤ巻取ドラム(1’)には駆動装置が取付けられてなく、別に離れて設けられる一箇所の駆動装置が一台以上の複数のワイヤ巻取ドラム(1’)をワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ(8)選択することにより駆動することである。バトン装置が非運転状態にある時は、常時閉のワイヤ巻取ドラム用ブレーキ(7)がワイヤ巻取ドラム(1’)を保持しているのでバトンは常に停止している。
バトンを昇降させる場合には、最初に油圧駆動源(図示せず)を運転させた後で操作盤(図示せず)から安全ブレーキ(6)用の押しボタン(図示せず)を押せば、ソレノイドに通電されて圧力油が常時閉の安全ブレーキ(6)に送られてブレーキが開放され、油圧制御弁(12)の軸が運転操作可能な状態になる。手動操作装置(15)は上半分がチェーンで下半分がナイロン等のロープを一体に連結した長楕円形で、上部のチェーン部は油圧制御弁(12)の軸とスプロケットの歯車で噛合い、一方下部のロープは滑車と滑り噛合う。従って、この手動操作装置(15)は舞台技術者が下半分のロープを引き操作することにより油圧制御弁(12)を制御することが可能になる。この長楕円形の手動操作装置(15)の行程はバトン装置の昇降行程の約半分程度に歯車装置によって制限される。この状態で手動操作装置(15)を操作すると、油圧制御弁(12)の軸が動かされて油圧モータ(9)に圧力油が送られて油圧モータ駆動軸(10)が回転し、駆動チェーン(11)を経由して回転が伝達されるが、ワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ(8)は常時開のために駆動軸(19)は回転してもワイヤ巻取ドラム(1’)は回転しない。次に運転させたいバトンを操作盤の押しボタン(図示せず)を押して選択すると、選択されたバトンのワイヤ巻取ドラム(1’)用のワイヤ巻取ドラム選択弁(13)のソレノイドに通電され、油圧モータ軸とその選択されたワイヤ巻取ドラム(1’)の軸が機械的に連結されて油圧で釣合う状態になる。次に同様に押しボタン操作によりワイヤ巻取ドラム用ブレーキ弁(14)のソレノイドに通電すると、常時閉のワイヤ巻取ドラム用ブレーキ(7)が開放されて運転スタンバイの状態になる。この後、手動操作装置(15)を操作すると、油圧制御弁(12)の軸が動かされて油圧モータ(9)に圧力油が送られて油圧モータ駆動軸(10)が回転し、駆動チェーン(11)を経由して選択されたバトンのワイヤ巻取ドラム(1’)を回転させる。さらに、フィードバック装置(16)はワイヤ巻取ドラム(1’)の軸に機械的に連動されているので、例えバトンが不意に動いてもこのフィードバック装置(16)により、ギヤ結合されるスプール軸をバトンの反対の動きを生じるように移動させ、バトンを静止状態に戻す。
図3はワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ(8)の詳細を示す。バトンを常時静止状態に保持するブレーキは一般的な常時閉のワイヤ巻取ドラム用ブレーキ(7)で、これは常に機械式の圧縮バネによって安全に保持される。これに対して、ワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ(8)はワイヤ巻取ドラム(1’)と一体に結合されており、通常は圧縮バネ(22)によってワイヤ巻取ドラム(1’)と駆動軸(19)は連結されないので、油圧モータ(9)からの回転トルクはワイヤ巻取ドラム(1’)に伝達されない。運転させたいバトンが選択されて、相応するワイヤ巻取ドラム選択弁(13)が選択されて、圧力作動油が油圧回転継手(24)の送油口(23)に送られると、フリーピストン(20)が圧縮バネ(22)に抗して摩擦板群(21)を押付け、従ってワイヤ巻取ドラム(1’)と駆動軸(19)が一体に連結されてワイヤ巻取ドラム(1’)に回転トルクが伝達される。
以上のことから、本実施の形態によれば図2に示すように、一箇所の駆動源である油圧モータ(9)によって運転させたい一本又は複数のバトンがその該当するワイヤ巻取ドラム選択弁(13)とワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ(8)によって任意に選択されて動力が伝達され、手動操作装置(15)を人間工学的に軽く操作することによってバトン装置を可変速度で昇降させることができる。
一般的な舞台用吊物機構の一例を示す配置正面図である。 この発明の油圧動力選択型手動操作式ワイヤ巻取バトン昇降装置を示す概要図である。 油圧動力選択型手動操作式ワイヤ巻取バトン昇降装置のワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキを示す詳細図である。
符号の説明
1・・・・従来型ワイヤ巻取ドラム、1’・・・・ワイヤ巻取ドラム、2・・・・従来型ブレーキ、3・・・・従来型減速機、4・・・・従来型電動機、5・・・・ワイヤ、6・・・・バトン昇降装置用安全ブレーキ、7・・・・ワイヤ巻取ドラム用安全ブレーキ、8・・・・ワイヤ巻取ドラム選択用ブレーキ、9・・・・油圧モータ、10・・・・油圧モータ駆動軸、11・・・・駆動チェーン、12・・・・油圧制御弁、13・・・・ワイヤ巻取ドラム選択弁、14・・・・ワイヤ巻取ドラム用ブレーキ弁、15・・・・手動操作装置、16・・・・フィードバック装置、17・・・・油圧制御弁スプール軸、18・・・・スプロケット、19・・・・駆動軸、20・・・・フリーピストン、21・・・・摩擦板群、22・・・・圧縮バネ、23・・・・送油口、24・・・・油圧回転継手。

Claims (1)

  1. 油圧源から駆動される一箇所の油圧モータによる油圧力によってバトン装置と釣合いを取り、及び油圧モータからの回転トルクを油圧ブレーキの選択的な閉鎖及び開放によって、バトン装置列から運転したい一つ以上の複数のバトン装置を任意に選択して該当するワイヤ巻取ドラムに伝達し、フィードバック回路を備えた油圧制御弁を介して該油圧操作弁のスプール軸を人間工学的な感覚で手動操作することによって安全、確実に可変速度昇降制御できる、使用する部品点数が少ないバトン昇降装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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