JP2008158046A - アイリス面空間分割カラーフィルタ、透過率制御型空間分割アイリス、時間制御型空間分割アイリスおよび撮像装置 - Google Patents

アイリス面空間分割カラーフィルタ、透過率制御型空間分割アイリス、時間制御型空間分割アイリスおよび撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】一つの固体撮像素子で鮮明に撮れる分光部を構成することが可能なカラーフィルタ、アイリスおよびそれを用いた撮像装置を提案する。
【解決手段】結像光学系のアイリス面内または該アイリス面の近傍に位置する面内に、複数の電子シャッタ付き分光フィルタを内設した単板または積層複数板を配置してなるアイリス面空間分割カラーフィルタ、時間制御型空間分割アイリス、透過率制御型空間分割アイリスおよびそれを用いた撮像装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、アイリス面空間分割カラーフィルタおよびそれを用いた撮像装置に関する。
動画を撮像することを主たる機能とし静止画も撮像することができるデジタルビデオカメラが普及しつつある。デジタルビデオカメラに代表される撮像装置には、一般向けからプロまで使用できる高級なものもある。また資格をもつ医師などが人体内の胃や腸を診るときに使用する内視鏡と称されるものもある(特許文献1)。このような撮像装置に対しては、鮮明に撮れる事が必要とされる。
ここで高級なデジタルビデオカメラには、高い分光特性を有し優れた解像度と色再現性を実現できる3CCDカメラシステムが一般的に採用されている。3CCDカメラシステムを採用したものは、3つの分光プリズムを組み合わせた分光部と、3枚の専用CCDを有する。以下、図により3CCDカメラシステムの分光部について説明する。
図7(a)は分光部の立体図であり、図7(b)は各分光プリズムで分光された光の光路を示した側面図である。1Aは結像光学系の光軸を示す。入射光1Bが固体撮像素子上に結像する光路上に分光プリズム10、11、12があり、結像光学系からの入射光1Bが3つの分光プリズム10、11、12で分光される。すなわち、分光プリズム10の出射面近傍に配置されたR用CCD10A上にR(赤)の分光像が結像し、分光プリズム11の出射面近傍に配置されたG用CCD11A上にG(緑)の分光像が結像し、さらに分光プリズム12の出射面近傍に配置されたB用CCD12A上にB(青)の分光像が結像するよう設計されている。
このような3CCDカメラシステムを採用したタイプのものによれば、結像光学系に入射した被写体からの入射光1Bを3つの分光プリズムからなる分光部で分光し、分光像を3つの専用CCD10A、11A、12Aで電気信号として捕らえることができる。なお図9には一般用に限らず、プロ用にも採用されている結像光学系の構成を示す。図9中、4は第1メニスカスレンズ、5は第2メニスカスレンズ、6は一対のガウス型レンズ、7はバックフォーカス調整用レンズを示す。8はアイリス面に配置した機械式絞りを示す。
この一対のガウス型レンズ6を中心として複数のレンズを配置した結像光学系によれば、光軸1A方向に沿って移動させることができるレンズによりピント合わせおよび結像倍率を変えるズーミングを実現でき、また手ぶれ補正機能を付加することもできるから、デジタルビデオカメラに好適である。
特開昭61‐50546号公報
しかし、3CCDカメラシステムを採用したタイプのものは、3つの分光プリズムを組み合わせた分光部が嵩張り、しかも固体撮像素子に比べて重いため、小型・軽量化を図ることが難しいという解決困難な問題がある。また3つの分光プリズムは高精度な加工が必要であり、3軸回転、フォーカス位置、垂直・水平の正確な位置合わせが要求される。このため、3CCDカメラシステムを採用したタイプのものは、高価となる欠点がある。
一方、小型・軽量化が達成できるものとして、同一平面内に複数の分光フィルタを設けたカラーフィルタが公知である。図10には、R、G、Bの各分光フィルタの分光特性を示す。一般用のデジタルビデオカメラとしては、このようなカラーフィルタを一つの固体撮像素子に貼り付け、分光部としたものがある。
このようなカラーフィルタ付き固体撮像素子を搭載したデジタルビデオカメラの問題点を以下、図8を用いて説明する。図8中、13Aはカラーフィルタ付き固体撮像素子を示す。
ここでカラーフィルタ13には、図8(c)に示したように、所定の周期パターンでR、G、Bの分光フィルタを設けてなる。この配列は、Gの色を透過する分光フィルタの2領域に対し、R、Bの色を透過する分光フィルタの1領域で、固体撮像素子の1画素を構成している。このため、固体撮像素子の1画素がR、G、Bの分光フィルタを各1以上含む4領域で構成されているため、画像の解像度が3CCDカメラシステムを採用したタイプのものに比べて約1/4に低下するという大きな問題がある。
また一つの固体撮像素子にカラーフィルタを貼り付けたものは、3CCDカメラシステムと異なり、固体撮像素子の1画素がR、G、Bの分光フィルタを各1以上含む4領域で構成されており、R、G、Bのサンプリング点が異なる上に、離散的であるため、例えば、細かい赤または青等の縞模様を撮像した場合、画像を再現すると赤または青のモアレパターンが発生し、被写体と異なる画像が現れる。
このように一つの固体撮像素子を用い、優れた解像度と色再現性を実現できる結像光学系は実現していないし、鮮明に撮れる撮像装置も実現していない。一つの固体撮像素子を用い、鮮明に撮れる分光部を有する結像光学系が実現できれば、デジタルビデオカメラに限らず、色々な撮像装置の小型・軽量化を図ることができるので有用である。
そこで本発明は、上記従来技術に鑑み、一つの固体撮像素子で鮮明に撮れる分光部を構成することが可能なカラーフィルタおよびそれを用いた撮像装置を提案することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討し、結像光学系のアイリス面空間を通過する入射光線は、一つの固体撮像素子上に結像させたとき、全画素に対して同じ条件で結像する。つまりアイリス面の開口面積を変えると、固体撮像素子上の全ての画素で同じ割合で光強度が変化するということを利用し、上記課題を解決できることを知見して本発明をなした。
本発明は、以下のとおりである。
1.結像光学系のアイリス面内または該アイリス面の近傍に位置する面内に、複数の電子シャッタ付き分光フィルタを内設した単板または積層複数板を配置してなることを特徴とするアイリス面空間分割カラーフィルタ。
2.前記複数の電子シャッタが液晶シャッタであることを特徴とする上記1.に記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
3.前記結像光学系がメニスカスレンズと一対のガウス型レンズの組み合わせからなることを特徴とする上記1.または2.に記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
4.前記結像光学系のアイリス面内または該アイリス面の近傍に位置する面内に、絞りを配置してなることを特徴とする上記1.〜3.のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
5.前記単板にアイリス面空間を3等分した分光フィルタを設けたことを特徴とする上記1.〜4.のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
6.前記単板に設けた分光フィルタの形状が光軸を中心とする扇形であることを特徴とする上記1.〜5.のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
7.前記単板に設けた分光フィルタの形状が光軸を中心とする円形とそれに外周が接する同芯円のリング状であることを特徴とする上記1.〜5.のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
8.6.に記載の扇形分割パターンをさらに、請求項7に記載の同心円リング状分割で分割したことを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
9.上記1.〜8.のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタと、それを有する結像光学系と、該結像光学系に入射した入射光を各分光フィルタで分光し結像させた分光像を電気信号として捕らえる一つの固体撮像素子と、該固体撮像素子の動作を制御するマイクロプロセッサとを具備し、該マイクロプロセッサは、複数の電子シャッタを時間順に開閉する開閉手段と、該開閉手段の動作に同期させて、前記固体撮像素子上に結像した分光像の画像データを順次出力する画像エンジンとを有することを特徴とする撮像装置。
10.上記8.に記載の固体撮像素子をCCDまたはCMOSとしてなることを特徴とする撮像装置。
11.1.〜10.のいずれかに記載の、アイリス面空間分割カラーフィルタの電子シャッタの透過率を1.0と0.0の2値制御だけでなく、中間調と0.0の制御により、本来のアイリスの機能である明るさ制御をも実現することを特徴とするアイリス面空間分割カラーフィルタ付き透過率制御型空間分割アイリス。
12.11.に記載の電子シャッタを、高速2値制御を行うものと、アイリス機能を実現する中間調整制御を行うものとの2層積層シャッタとしてなることを特徴とするアイリス面空間分割カラーフィルタ付き透過率制御型空間分割アイリス。
13.11.に記載の電子シャッタに、強誘電性液晶等の超高速デバイスを用い、2値制御の単層のみで、1つの空間分割カラーフィルタに対応した分光画像撮影時間(撮像素子の積分時間)より、さらに短い時間のみ、透過率を1.0にすることによって、時間制御で実効的に透過率を制御し、アイリスの明るさ制御の機能をも実現することを特徴とするアイリス面空間分割カラーフィルタ付き時間制御型空間分割アイリス。
本発明によれば、一つの固体撮像素子にはカラーフィルタを貼り付けず、その代わり、アイリス面内またはその近傍に位置する面内にカラーフィルタを配置してアイリス面空間分割カラーフィルタとしたので、分光動作を複数の電子シャッタで時間順に行うことができる分光部を構成できる。このため、小型・軽量化を図り、かつ一つの固体撮像素子で3つの固体撮像素子(3CCDまたは3CMOS)と同等の解像度の鮮明な撮影ができる分光部を有する結像光学系を実現できる。
したがって、それをデジタルビデオカメラに限らず、内視鏡などを含む撮像装置に適用することで、小型・軽量化と、画像の高解像度化とを同時に実現可能である。なお結像光学系には反射鏡を含んでもよい。
以下、本発明の一例のアイリス面空間分割カラーフィルタを組み込んだデジタルビデオカメラについて、図1、2により説明する。図1(a)は本発明を撮像装置であるデジタルビデオカメラに適用した一例を示す側面図、図1(b)はその要部拡大図である。また図2(a)、(b)は単板2Aに設けて好適な分光フィルタを示す正面図である。なお1Aは結像光学系の光軸を示す。
この結像光学系はデジタルビデオカメラに好適に用いられ、図1(a)に示したように、一対のガウス型レンズ6を中心とし、広角や望遠を実現するため、被写体側に第1メニスカスレンズ4、第2メニスカスレンズ5を配置し、反対側に被写体の結像を固体撮像素子3上に結像させるバックフォーカス調整用レンズ7を1枚配置した例である。一対のガウス型レンズ6間には明るさ調整用の機械式絞り8が設置されている。
このアイリス面に配置した機械式絞り8に近接させて、本発明にかかる複数の電子シャッタ付き分光フィルタ2が設置され、この複数の分光フィルタを設けた単板2Aを、一例のアイリス面空間分割カラーフィルタとしてなる。この複数の電子シャッタ付き分光フィルタ2は、分光フィルタ2A1、2A2、2A3を設けた単板2Aと、単板2Aに対向させて設けた液晶パネル2Bと、単板2Aと液晶パネル2Bを間に挟んで配置された一対の偏光板2C、2Dとで構成した。
この液晶パネル2Bとそれを間に挟んで配置された一対の偏光板2C、2Dとにより、図2に示したように、単板2Aに設けた分光フィルタ2A1、2A2、2A3ごとに、R、G、Bの分光動作を切り換える液晶シャッタが構成されている。この液晶シャッタのことを液晶デバイスとも称す。
なお前記した液晶パネル2Bには、図1に示したように、固体撮像素子3の動作を制御するマイクロプロセッサ9が接続されている。このマイクロプロセッサ9には、複数の電子シャッタを時間順に開閉する開閉手段と、開閉手段の動作に同期させて、固体撮像素子3上に結像した分光像の画像データを順次出力する画像エンジンとが内蔵されており、後述するように、一例のアイリス面空間分割カラーフィルタによる分光動作、すなわちマイクロプロセッサ9により、固体撮像素子3上に結像させる分光像を時間順にR、G、Bと変える分光動作が実行できる。
次いで図5を参照しつつ、一例のアイリス面空間分割カラーフィルタによる分光動作について説明する。この図5は、アイリス面空間を3分割し、R、G、Bの3原色の分光フィルタを設けた場合のタイムチャートである。Tは、1フレーム時間を示す。
違和感のない動画とするには、毎秒60フレーム(T=1/60秒)で撮像する必要があり、その1/3に当たる1/180秒の間だけRの分光フィルタに対応する液晶デバイスの透過率を“1”にし、その他のG、Bの分光フィルタに対応する液晶デバイスの透過率を“0”にする。そうすると、一つの固体撮像素子3上にRの分光像が結像する。このRの分光像によって生じる光の強度に応じた画像データを固体撮像素子3からマイクロプロセッサ9に出力し終わった時点で、次の分光動作を行う。
次の分光動作は、一つの固体撮像素子3上にGの分光像を結像させるため、Gの分光フィルタに対応する液晶デバイスの透過率を同じ時間間隔だけ“1”にし、その他の分光フィルタに対応する液晶デバイスの透過率を“0”にする。同様にGの分光像によって生じる光の強度に応じた画像データを固体撮像素子3からマイクロプロセッサ9に出力し終わった時点で、Bの分光フィルタを用い、分光動作を同様にして行う。同様にBの分光像によって生じる光の強度に応じた画像データを固体撮像素子3からマイクロプロセッサ9に出力し終わると、1フレームの画像データが得られる。動画撮影ではこれを繰り返す。1フレームの画像データをマイクロプロセッサ9に内蔵した画像エンジンで画像処理することで、例えばその場にて液晶表示装置に1画像を表示することができる。
このようにしてスムースな動画を撮像するには、毎秒60フレーム(R、G、Bの分光像の撮像に要する時間<1/180秒=5.5ms)とすることが重要である。本発明を適用したデジタルビデオカメラの液晶シャッタに、強誘電性液晶(FLC)の2値制御を採用すれば液晶の応答時間が10〜100μs、OCBモードの2値制御を採用すれば液晶の応答時間が1msであるから、それが達成できる。その他、液晶デバイスとして強誘電性液晶(FLC)を用い、アナログスイッチングを可能とした強誘電性液晶(FLC)の電傾効果モードがある。これによればスイッチング速度液晶の応答時間が1μsと速いので1/106sのシャッタ速度が得られ、静止画に好適である。また固体撮像素子3としてはCCDやCMOSがあるが、CCDが安価であるので好ましい。
単板2Aに設ける分光フィルタは、図2に示したように、R、G、Bの3原色とするのが、鮮明な画像を容易に得ることができるので好ましいが、それに限定されない。単板2Aに設ける分光フィルタの数を図3のように6とすることも本発明に含む。また分光フィルタの数が3で、図4(a)のように、光軸1Aを中心点とし、その周りに等角度回転させると重なるように単板2Aに円形の分光フィルタが設けてある場合や、図4(b)のように、円形に代えて楕円形の分光フィルタが設けてある場合も本発明に含む。斜線部はブラックマスク層(BM層)を形成した部分である。ただし、分光フィルタの部分の面積を広くするのが明るい結像光学系を構成できるので好ましい。
各分光フィルタは、従来のカラーフィルタと同様、透明樹脂製の単板2Aに着色層を形成して作ることができる。各分光フィルタの分光特性は、例えば図10に示した特性としてもよい。また分光フィルタはR、G、Bの3原色に限定されず、分光の範囲も可視光域だけでなく、赤外〜紫外領域まで含むこともできる。
(本発明を適用した場合の解像度)
単板CCDを1とした時の本発明例の相対的解像度、および3CCDシステムの相対的解像度を、下記4要素の分類の下に表1に示す。
Figure 2008158046
本発明例:アイリス面空間を3等分し、そこにR、G、Bの3原色の分光フィルタを設けた場合。単板CCDタイプ:一つの固体撮像素子にカラーフィルタ13を貼り付けたタイプ(図8参照)すなわち、1画素がR、G、Bの分光フィルタを各1以上含む4領域で構成されている。3CCDタイプ:3CCDカメラシステムを採用したタイプ(図7参照)。
4要素とは、要素1:結像系のM.T.F(Modulation Transfer Function)、すなわち幾何光学的解像度、要素2:撮像素子の解像度、要素3:光の空間的コヒーレンス長、要素4:アイリスの開口の直径である。
表1では、要素1、2の大小に関する分類を横に、要素3、4の大小に関する分類(アイリス開口条件:狭い、広い)の分類を縦に表示してある。
要素1の結像系のM.T.Fは主にザイデルの5収差で決まる解像度で一般に幾何光学によって決まる。要素2は撮像素子(CCDまたはCMOS)のピッチ(分解能)を意味する。
要素1≧要素2の場合、結像系のM.T.Fがどんなによくても、撮像素子の分解能が悪ければ、システムの解像度は、悪い方の撮像素子の分解能で決まる。逆に、要素1<要素2の場合は、撮像素子の分解能がどんなに良くても、結像系のM.T.Fが悪ければ、システムの解像度は、悪い方の結像系のM.T.Fで決まることになる。よって、ビデオカメラ設計の場合、要素1と要素2とが略等しくなるように設計されている。つまり、表1の横分類の要素1≧要素2の欄の値が、一般のビデオカメラの場合に相当する。
表1の縦方向の分類は、主に、波動光学の回析による結像限界による分解能で、要素3:光のコヒーレンス長と要素4:アイリス開口の直径の大小で分解能を決めるメインファクタが変化する。
要素3の光のコヒーレンス長とは、光の位相がそろっている空間的長さであり、この長さが要素4のアイリス開口の直径より長ければ、アイリスを通過した光の位相のそろっている空間的長さは、アイリス開口の直径となる(要素3>要素4)。逆に、カメラに入ってくる光の空間的コヒーレンス長が、もともとアイリス開口の直径より短ければ、アイリスを通過しても、このコヒーレンス長は変化しない(要素3<要素4)。
固体撮像素子(CCDまたはCMOS)上の、波動光学的回析による結像分解能は、アイリス通過後の光の空間的コヒーレンス長により決まる。一般のカメラの対象となる光は、レーザ光のようなコヒーレント光ではなく、インコヒーレント光である自然光なので、空間的コヒーレンス長は、約0.1mm程度である。
通常のビデオカメラのアイリス開口直径は、絞った状態でも、0.1mm程度であるので、表1の縦分類の下側(要素3<要素4)、すなわちアイリス開口条件:広い場合が一般のビデオカメラの範囲となる。すなわち、本発明例の相対的解像度は、単板CCDの4倍となる。
なお、アイリス開口を絞って0.1mm以下にした場合、アイリス面空間をn分割したカラーフィルタを適用すると、各分光フィルタの面積が1/nとなるため、直径(サイズ)は1/√nとなり、結像分解能も1/√nとなる。そしてR、G、B、3分割の場合、結像分解能が1/√3となるから、本発明例の相対的解像度は、単板CCDの4/√3となる。しかし、前述したように、一般のビデオカメラ設計は、アイリス開口を絞っても、解像度劣化が生じないアイリス開口を確保するため、アイリス開口条件:広い場合の相対的解像度となる。
よって、本発明例によれば、単板CCDで、通常の原色カラーフィルタ付き単板CCDの4倍の解像度を実現でき、3CCDに比べて小型・軽量化を図ることができ、3CCDと同じ解像度を実現できる。
(絞り機構について)
図6を用い、機械式絞り8について言及しておく。図6は絞りの動作を説明する正面図である。図中、8Aは機械式絞り8の動作によってアイリス面の開口面積を可変とする薄片を示す。この機械式絞り8を、アイリス面内またはその近傍に位置する面内に配置するのが、固体撮像素子3上の全ての画素で同じ割合で光強度を調整できるので好ましい。
ところで、前記した本発明にかかるアイリス面空間分割カラーフィルタに、さらに機能を付加し、中間調と0.0の制御により、本来のアイリス機能である明るさ制御をも実現する透過率制御型空間分割アイリスとするのが好ましい。それには、一般的に液晶デバイスは中間調の応答速度が遅くなるため、図1(c)に示すように、中間調整制御を行う液晶パネル2Eと偏光板2Fとを有する中間調透過率制御用液晶デバイスをシステムにさらに付加する。このように、本発明のアイリス面空間分割カラーフィルタにつける電子シャッタを、高速2値制御を行うものと、アイリス機能を実現する中間調整制御を行うものとの2層積層シャッタとすることで、中間調と0を切り換える中間調整制御を行うものにより、機械方式絞り器(図1(a)の8)の機能を実現することができる。要するに、アイリス制御は一般的に1フレームより遅いため、液晶デバイスの中間調制御で十分実現できる。
次いでアイリス制御方式として、図1(b)の2Bに超高速液晶デバイス(例えば強誘電性液晶デバイス)を設置し、このデバイスの透過率を1.0と0.0の2値スイッチングのみで、明るさ制御をも可能にするアイリス面空間分割カラーフィルタの動作について、図5(b)により説明する。
つまり、中間調の透過率で明るさ制御するのではなく、固体撮像デバイス(CCDやCMOS)の積分時間(R、G、Bの各フィールド時間)を、さらに分割し、積分時間(フィールド時間)よりさらに短い時間のみ、液晶デバイスの透過率を1.0にする方式である。例えば1フィールドの1/10の時間だけ、1.0の透過率とした場合、中間調の0.1の透過率に対応する。この方式を、時間制御型空間分割アイリスと名づける。
一般のビデオカメラ撮影環境の明るさの変化は、晴天の昼と新月の夜で1億倍(108倍)あり、固体撮像素子のダイナミックレンジ(CCDまたはCMOS)が約100万倍(106倍)であるので、アイリスに要求されるダイナミックレンジは100倍である。
R、G、B、各フィールド時間fr、fg、fbは、毎秒60フレームの場合、5.5msecであるため、1/100の動作で55μsecとなり、強誘電性液晶(応答速度:10〜100μsec)の2値制御のみで、R、G、Bのカラーフィールドシーケンシャル撮像と、明るさ制御のアイリス機能の両方を実現できることになる。
上述の透過率制御型空間分割アイリスと、時間制御型空間分割アイリスは、分割カラーフィルタ毎に独立に重みを付けることができるため、ホワイトバランス調整や、撮像時の特殊効果用のカラーフィルタの機能も、フィルタの交換なしで可能となる。時間制御型空間分割アイリスは、2層積層液晶デバイスの透過率制御型空間分割アイリスに比較して、1層のみであるため、透過率がよく、明るい。さらに、液晶デバイスが1層のみであるため、軽量かつ安価となる。
時間制御型空間分割アイリスと、透過率制御型空間分割アイリスは、ともに、メカニカルな機構はなく、耐久性に優れ、かつ、動作時に、メカニカルな音を発生しないため、ビデオカメラのマイクに雑音を入れてしまうことがない長所を有している。
(a)は本発明の適用例を示す側面図、(b)はその要部拡大図である。また(c)は、(b)に、さらにアイリス機能を実現する中間調透過率制御用液晶デバイスを追加した構成を示す。 (a)、(b)は単板に設けて好適な分光フィルタの形状を示す正面図である。 他の分光フィルタの形状を示す正面図である。 その他の分光フィルタの形状を示す正面図である。 (a)は本発明例のアイリス面空間分割カラーフィルタの分光動作を説明する特性図である。また(b)は、図1(b)に示した時間制御型空間分割アイリスの分光動作を説明する特性図である。 機械式絞りの動作を説明する正面図である。 (a)は3CCDカメラに内蔵されている分光部の立体図、(b)はその分光状態を示す側面図である。 従来の一つの固体撮像素子に設けたカラーフィルタの構造を示す側面図(a)、立体図(b)および要部拡大図(c)である。 従来のビデオカメラに搭載される結像光学系の構成を示す側面図である。 分光フィルタの分光特性図である。
符号の説明
1 結像光学系
1A 光軸
1B 入射光
2 複数の電子シャッタ付き分光フィルタ
2A 単板(アイリス面空間分割カラーフィルタ)
2A1、2A2、2A3 分光フィルタ
2B、2E 液晶パネル
2C、2D、2F 偏光板
3 固体撮像素子
4 第1メニスカスレンズ
5 第2メニスカスレンズ
6 一対のガウス型レンズ
7 バックフォーカス調整用レンズ
8 機械式絞り
8A 薄片
9 マイクロプロセッサ
10、11、12 分光プリズム
10A、11A、12A 専用CCD
13 カラーフィルタ
13A カラーフィルタ付き固体撮像素子
T 1フレーム時間

Claims (13)

  1. 結像光学系のアイリス面内または該アイリス面の近傍に位置する面内に、複数の電子シャッタ付き分光フィルタを内設した単板または積層複数板を配置してなることを特徴とするアイリス面空間分割カラーフィルタ。
  2. 前記複数の電子シャッタが液晶シャッタであることを特徴とする請求項1に記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
  3. 前記結像光学系がメニスカスレンズと一対のガウス型レンズの組み合わせからなることを特徴とする請求項1または2に記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
  4. 前記結像光学系のアイリス面内または該アイリス面の近傍に位置する面内に、絞りを配置してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
  5. 前記単板にアイリス面空間を3等分した分光フィルタを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
  6. 前記単板に設けた分光フィルタの形状が光軸を中心とする扇形であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
  7. 前記単板に設けた分光フィルタの形状が光軸を中心とする円形とそれに外周が接する同芯円のリング状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
  8. 請求項6に記載の扇形分割パターンをさらに、請求項7に記載の同心円リング状分割で分割したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタ。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のアイリス面空間分割カラーフィルタと、それを有する結像光学系と、該結像光学系に入射した入射光を各分光フィルタで分光し結像させた分光像を電気信号として捕らえる一つの固体撮像素子と、該固体撮像素子の動作を制御するマイクロプロセッサとを具備し、
    該マイクロプロセッサは、複数の電子シャッタを時間順に開閉する開閉手段と、該開閉手段の動作に同期させて、前記固体撮像素子上に結像した分光像の画像データを順次出力する画像エンジンとを有することを特徴とする撮像装置。
  10. 請求項9に記載の固体撮像素子をCCDまたはCMOSとしてなることを特徴とする撮像装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の、アイリス面空間分割カラーフィルタの電子シャッタの透過率を、1.0と0.0の2値制御だけでなく、中間調と0.0の制御により、本来のアイリス機能である明るさ制御をも実現することを特徴とするアイリス面空間分割カラーフィルタ付き透過率制御型空間分割アイリス。
  12. 請求項11に記載の電子シャッタを、高速2値制御を行うものと、アイリス機能を実現する中間調整制御を行うものとの2層積層シャッタとしてなることを特徴とするアイリス面空間分割カラーフィルタ付き透過率制御型空間分割アイリス。
  13. 請求項11に記載の電子シャッタに、強誘電性液晶等の超高速デバイスを用い、2値制御の単層のみで、1つの空間分割カラーフィルタに対応した分光画像撮影時間(撮像素子の積分時間)より、さらに短い時間のみ、透過率を1.0にすることによって、時間制御で実効的に透過率を制御し、アイリスの明るさ制御の機能をも実現することを特徴とするアイリス面空間分割カラーフィルタ付き時間制御型空間分割アイリス。
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