JP2008157153A - 高速回転機器用ガスシール装置 - Google Patents

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Abstract

【目的】 オイルミストのガスシールへの侵入を確実に阻止し得て、高速回転機器の長期連続運転を実現することができる高速回転機器用ガスシール装置を提供する。
【構成】 ガスシール5の機外大気領域側においてシールケース2の内周部に形成したシール室16に軸流シール6を配設してある。軸流シール6は、回転軸3に微小な環状隙間17,17を有して嵌挿された一対のカーボン製のシールリング18,18と、シールガス19を環状隙間17,17からシール室16の両側領域B,C3に流出させるべくシール室16にオリフィス20を介してシールガス19を供給させるシールガス供給路21とを具備して、機外大気領域Bで発生するオイルミストのガスシール5への侵入を阻止するように構成されている。両シールリング18,18の内周面に対向する回転軸3の外周面部分は、超硬合金材のコーティング層25で構成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガスを扱う高速の回転機器であって、特に、長期に亘って継続運転される高速コンプレッサ,高速ポンプ等の高速回転機器に装備されるガスシール装置に関するものであり、具体的には、機器ハウジングに取り付けたシールケースとこれを洞貫する回転軸との間に形成されたシール空間に複数の非接触形メカニカルシールを軸線方向に並列配置してなるガスシールにより、機内ガス領域とオイルミストが発生する機外大気領域とを遮蔽シールするように構成された高速回転機器用ガスシール装置に関するものである。
このような高速回転機器用ガスシール装置としては、一般に、シールケース側密封環と回転軸側密封環とをその対向端面間に動圧を発生することにより非接触状態に保持するように構成された複数の非接触形メカニカルシールをタンデム配置してなるガスシールにより、機内ガス領域と機外大気領域とを遮蔽シールするように構成されたものが周知である(例えば、非特許文献1の第53頁に記載されたタンデムシール又はトリプルシールを参照)。
産業機械(第494号 平成3年11月号)、社団法人 日本産業機械工業会発行、平成3年11月20日発行、第51〜54頁
しかし、コンプレッサ等の高速回転機器においては、機外大気領域に設けられた軸受部から回転軸の高速回転により潤滑油が飛散してオイルミストが発生し、それがガスシールのシール部(両密封環の対向端面間の部分)に侵入する虞れがあり、このようなオイルミストのシール部への侵入を放置しておくと、ガスシール機能が低下,喪失することになる。一方、オイルミストによるガスシール機能低下を回避するためにはガスシール装置のメンテナンスを頻繁に行う必要があるが、高速コンプレッサや高速ポンプ等の高速回転機器は、その用途上、長期に亘って連続運転することが要求されることが多いため、このような頻繁なメンテンナスを行うことはできず、その対策に苦慮しているのが実情である。なお、軸受部とガスシール装置との間に配して回転軸にスリンガ等の油切りを設けて、潤滑油のガスシール装置への侵入を阻止することも試みられているが、このようなスリンガ等によっては、オイルが液状のままシール部へと侵入するのを阻止できるにすぎず(オイルの飛散液滴の侵入を阻止できるにすぎず)、オイルミストの発生,侵入はこれを阻止することができず、上記問題の解決策たり得ない。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、機外大気領域で発生するオイルミストの侵入を確実に阻止し得て、長期に亘ってメンテナンスを必要とすることなく適正且つ良好なシール機能を発揮することができ、高速回転機器の長期連続運転を実現することができる高速回転機器用ガスシール装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、機器ハウジングに取り付けたシールケースとこれを洞貫する回転軸との間に複数の非接触形メカニカルシールを軸線方向に並列配置してなるガスシールにより、機内ガス領域とオイルミストが発生する機外大気領域とを遮蔽シールするように構成された高速回転機器用ガスシール装置において、ガスシールの機外大気領域側においてシールケースの内周部に形成した環状のシール室に、次のような軸流シールを配設しておくことを提案するものである。すなわち、この軸流シールは、シール室の軸線方向における対向壁面に押圧接触された状態で且つ回転軸にこれとの間に微小な環状隙間を有した状態で嵌挿された一対のシールリングと、シールガスを前記環状隙間からシール室の両側領域に所定流量で流出させるべくシール室にオリフィスを介してシールガスを供給させるシールガス供給路とを具備して、ガスシールへのオイルミストの侵入を阻止するように構成されたものである。
而して、好ましい実施の形態にあって、軸流シールにおける各シールリングの内径は、シールガスの供給状態において前記環状隙間が40〜100μm(好ましくは50〜80μm)に保持されるように設定される。すなわち、シールガスの供給状態においては、環状隙間を通過するシールガスによってシールリングの内周面がその全周に亘って回転軸に接触しない状態(以下「環状隙間形成状態」という)に当該シールリングが保持されるように、シールガス供給路に供給されるシールガスの圧力及び流量が設定されるが、かかる環状隙間形成状態においては、シールリングの内周面と回転軸の外周面との半径方向間隔が周方向に均一である場合は勿論、当該半径方向間隔が周方向において不均一である場合(シールリングが回転軸に対して偏心した場合やシールリング等の加工精度や熱変形によってより半径方向間隔に広狭が生じている場合)にも、当該半径方向間隔が40〜100μm(好ましくは50〜80μm)の範囲となるように、当該シールリングの内径を回転軸の外径(当該シールリングが嵌挿されている回転軸部分の外径)に応じて設定しておくのである。半径方向間隔が40μm未満であると(シールリングが回転軸に対して偏心している場合においては最小の半径方向間隔が40μm未満であると)、シールリングと回転軸との相対回転部分において急激な温度上昇や摩耗が生じて安定した軸流シール機能を発揮できないが、40μm以上(好ましくは50μm以上)であると、このような問題を生じることなく、長期に亘って適正且つ安定した軸流シール機能が発揮される。また、半径方向間隔が100μmを超えると(シールリングが回転軸に対して偏心している場合においては最大の半径方向間隔が100μmを超えると)、環状隙間からのシールガス漏洩量が必要以上に多くなるが、100μm以下(好ましくは80μm以下)であると、上記シールガス漏洩量を必要最小限に抑制しつつ、シールガスによる環状隙間形成状態を確保することができる。
また、シールガスの供給量及び供給圧力は、上記した環状隙間形成状態が確保される範囲で適宜に設定されるが、シールガス供給路に配設されたオリフィスにより、環状隙間を通過するシールガス流速が5m/s以上(好ましくは10m/s以上)となるように調整される。すなわち、環状隙間を通過するシールガス流速が5m/s未満であると、機外大気領域で発生するオイルミストが軸流シールのシール部(環状隙間)に侵入して軸流シール機能を低下させ、その結果、オイルミストがガスシールのシール部まで侵入して機内ガス領域のシールを適正に行い得ない虞れがあるが、オリフィスにより当該シールガス流速が5m/s以上(好ましくは10m/s以上)となるように調整しておくと、オイルミストの軸流シールへの侵入を確実に防止することができ、オイルミストによるガスシール機能低下を回避することができる。
また、好ましい実施の形態にあって、軸流シールとしてセグメントシールが採用される。かかるセグメントシールにあっては、各シールリングが円弧状セグメントをガータスプリングにより環状に緊縛してなるセグメントリングで構成される。この場合、各シールリングは、一つのセグメントリングで構成される他、必要に応じて、複数のセグメントリングを軸線方向に密着状に並列してなるものに構成しておくことができる。また、ガスシールとしては、一般に、シールケース側密封環と回転軸側密封環とをその対向端面間に動圧を発生することにより非接触状態に保持するように構成された複数の非接触形メカニカルシールをタンデム配置してなるもの(例えば、非特許文献1に示されたタンデムシール,トリプルシール等)が採用される。
また、軸流シールにあって、運転開始時又は運転停止時におけるシールリングと回転軸との接触による摩耗,損傷を効果的に防止するために、両シールリングをカーボン製のものとすると共に、両シールリングの内周面に対向する回転軸の外周面部分に超硬合金材をコーティングしておくことが好ましい。この場合において、シールリングの真円度は20μm以下としておくことが好ましい。真円度が20μmを超えると、軸流シールのシール部における摩耗や損傷(接触痕)が発生し易い。
本発明の高速回転機器用ガスシール装置によれば、ガスシールへのオイルミスト侵入を軸流シールによって確実に阻止することができ、その結果、ガスシールによるシール機能を長期に亘ってメンテナンスを必要とすることなく適正且つ良好に発揮させることができて、高速回転機器の長期連続運転を実現することができる。
図1は本発明に係る高速回転機器用ガスシール装置の実施の形態を示す上半部の縦断側面図であり、図2は当該ガスシール装置の下半部を示す縦断側面図であり、図3及び図4は夫々図1及び図2の要部(軸流シール)を拡大して示す詳細図であり、図5はシールリングと回転軸との環状隙間が不均一な状態を模式的に示す断面図である。
図1及び図2に示す高速回転機器用ガスシール装置は、高速回転機器(例えば、高速コンプレッサ,高速ポンプ等)の機器ハウジング1に取り付けられたシールケース2とこれを洞貫する回転軸(例えば、タービン軸,ポンプ軸等)3との対向周面間にガスシール5及び軸流シール6を並列配設して、両シール5,6により機内ガス領域(機器ハウジング1内の高圧ガス領域)Aと機外大気領域(機器ハウジング1外の大気領域)Bとの間をシールするように構成されている。機外大気領域Bにおいては、回転軸3の軸受部(図示せず)が設けられているが、回転軸3が高速回転するために、当該回転軸3の回転に伴って当該軸受部の潤滑油が飛散してミスト化し、オイルミストが発生する。なお、軸受部から飛散した潤滑油の液状分(液滴)は、当該軸受部と軸流シール6との間に配して回転軸3に設けた油切り部材(スリング)7により、軸流シール6への侵入が阻止される。
ガスシール5は、図1及び図2に示す如く、シールケース2と回転軸3との対向周面間(同心円形をなすシールケース内周面と回転軸外周面との間)に複数の非接触形メカニカルシール(この例では第1及び第2非接触形メカニカルシール)5a,5bを軸線方向(図1及び図2における左右方向)に並列配置してなるタンデムシールである。機内ガス領域側(図1及び図2における右側)の第1非接触形メカニカルシール5aと機外大気領域側(図1及び図2における左側)の第2非接触形メカニカルシール5bとは、向きを同一とするタンデム配置された同一構成をなすものである。すなわち、各非接触形メカニカルシール5a,5bは、シールケース2に軸線方向移動可能に保持された静止環8と、静止環8の機内ガス領域側に配して回転軸3に固定された回転軸側密封環たる回転環9と、シールケース2と静止環8との間に介装されたスプリング10(図2参照)と、両環8,9間に挟圧保持されたケース側密封環たる遊動環11と、を具備して、回転環9の密封端面(遊動環11との対向端面)に形成した動圧発生溝9aにより回転環9と遊動環11との間に動圧を発生させることにより、両環9,11間を非接触状態に保持しつつ、両環9,11の対向面部分(シール部分)の外周側領域と内周側領域とを遮蔽シールするように構成された動圧形のノンコンタクトガスシールである。第1非接触形メカニカルシール5aは、そのシール部分の外周側領域であって機内ガス領域Aに連通する第1ケース内領域C1と当該シール部分の内周側領域であって第2非接触形メカニカルシール5bとの間の第2ケース内領域C2とを、当該シール部分において、第1ケース内領域C1から第2ケース内領域C2への微量漏れを許容しつつシールするものであり、第2非接触形メカニカルシール5bは、そのシール部分の外周側領域である第2ケース内領域C2と当該シール部分の内周側領域であって後述する軸流シール6との間の第3ケース内領域C3とを、当該シール部分において、第2ケース内領域C2から第3ケース内領域C3への微量漏れを許容しつつシールするものである。
なお、回転軸3は、図1及び図2に示す如く、本体軸3aとこれに嵌挿固定された複数のスリーブ3b,3c,3d,3eとからなる。第1非接触形メカニカルシール5aの回転環9は本体軸3aに嵌挿固定した第1スリーブ3bに嵌合固定されており、第2非接触形メカニカルシール5bの回転環9は第1スリーブ3bに嵌挿固定した第2スリーブ3cに嵌合固定されている。第2スリーブ3cは、図1に示す如く、本体軸3aに分割リング3f及びピン3gを介して相対回転不能に嵌合固定された第3スリーブ3dに連結されており、この第3スリーブ3d及び本体軸3aに嵌挿固定された第4スリーブ3eにスリンガ7が固着されている。また、各静止環8は、図1に示す如く、これに取り付けたドライブピン8aをシールケース2に設けた係合孔に係合させることにより、軸線方向移動を許容しつつシールケース2に対する相対回転を阻止されている。また、各遊動環11は、図2に示す如く、これに設けた係合孔に静止環8に取り付けたドライブピン8bを係合させることにより、静止環8に対する相対回転を阻止されている。また、静止環8と遊動環11との間は、この間に介装したOリング12により二次シールされている。
また、機内ガス領域Aと第1ケース内領域C1との連通部分つまりシールケース2における機器ハウジング1への取付部(シールケース2の先端部)と回転軸3との対向周面間には、図1及び図2に示す如く、ラビリンスシール13が設けられていて、機内ガス領域Aから第1ケース内領域C1への異物侵入を可及的に阻止するように工夫されている。また、シールケース2には、図1に示す如く、第1ケース内領域C1へと開口する圧力調整通路2aが形成されていて、この通路2aから加圧ガス14を供給することによって、ラビリンスシール13による第1ケース内領域C1の圧力損失を防止するように工夫されている。すなわち、加圧ガス14の第1ケース内領域C1への供給により、第1ケース内領域C1を機内ガス領域Aと同一又は略同一の圧力に保持し、これによって、機内ガス領域Aから第1ケース内領域C1へのガス漏洩を可及的に防止している。加圧ガス14としては、各領域A,B,C1,C2,C3の流体に対して不活性であり機外大気領域Bに漏洩して支障ない無害なガス(この例では、窒素ガス)が使用される。また、シールケース2には、図1に示す如く、第2ケース内領域C2に開口するドレン路2bが形成されていて、第1ケース内領域C1から第2ケース内領域C2への漏洩流体15を排除するように工夫されている。
軸流シール6は、図1〜図4に示す如く、ガスシール5の機外大気領域側においてシールケース2の内周部に形成した環状のシール室16に配設されており、シール室16の軸線方向における対向壁面たるシール面16a,16aに押圧接触された状態で且つ回転軸3にこれとの間に微小な環状隙間17,17(図3及び図4を参照)を有した状態で嵌挿された一対のシールリング18,18と、シールガス19を前記環状隙間17,17からシール室16の両側領域たる第3ケース内領域C1と機外大気領域Bとに所定流量で流出させるべくシール室16にオリフィス20を介してシールガス19を供給させるシールガス供給路21(図1及び図3参照)とを具備して、機外大気領域Bで発生するオイルミストのガスシール5への侵入を阻止するように構成されたものである。
シールケース2の内周部には、図1〜図4に示す如く、シール室16を軸線方向に二分する環状の仕切壁16bが突設されており、各シールリング18は各シール面16aとこれに対向する仕切壁16bの端面との間に装填されている。
軸流シール6は、各シールリング18を周方向に複数部分(円弧状セグメント)に分割された一つのセグメントリング18aで構成したセグメントシールとされている。各セグメントリング18aは、図1〜図4に示す如く、複数の円弧状セグメントをガータスプリング22でリング状に緊縛してなるものであり、回転軸3(シール室16内に位置する回転軸部分である第4スリーブ3e)に嵌挿されている。両シールリング18,18は、図4に示す如く、その間に介装した適当数(一つのみ図示)のスプリング(圧縮コイルスプリング)23により軸線方向に離間すべく附勢されている。すなわち、各シールリング18つまりセグメントリング18aの側端面は、スプリング23によってシール面16aに押圧接触されている。仕切壁16bには、図4に示す如く、後述するシールガス供給路21と交差することなく軸線方向に貫通するスプリング保持孔16cが形成されており、このスプリング保持孔16cにスプリング23が挿通保持されている。また、仕切壁16bには、図4に示す如く、当該シールガス供給路21と交差することなく軸線方向に延びる適当数(一つのみ図示)のドライブピン24が貫通支持されており、このドライブピン24の両端部を両セグメントリング18a,18aの対向面に形成した係合孔18c,18cに係合させることにより、各セグメントリング18aのシールケース2に対する相対回転を阻止している。
各セグメントリング18aはカーボン製のものである。一方、回転軸3はSUS403等の金属製のものであるが、両セグメントリング18a,18aの内周面に対向する回転軸3の外周面部分つまり第4スリーブ3eの外周面部分には、図3及び図4に示す如く、超硬合金材25を溶射等によりコーティングしてある。
各シールリング18つまり各セグメントリング18aの内径は、シールガス19の供給状態おいて、つまり環状隙間17にシールガス19が供給されることによって当該リング18aがその内周面の全周に亘って回転軸3に対して非接触に保持された環状隙間形成状態において、環状隙間17が40〜100μm(好ましくは50〜80μm)に保持されるように設定されている。すなわち、環状隙間形成状態においては、シールリングの内周面と回転軸の外周面との半径方向間隔が周方向に均一である場合は勿論、当該半径方向間隔が周方向において不均一である場合(シールリングが回転軸に対して偏心した場合やシールリング等の加工精度や熱変形によってより半径方向間隔に広狭が生じている場合)にも、当該半径方向間隔が40〜100μm(好ましくは50〜80μm)の範囲となるように、当該シールリング18の内径を回転軸3の外径(超硬合金コーティング層25が形成された回転軸部分の外径)に応じて設定してある。例えば、環状隙間17に図5に示す広狭がある場合において、当該シールリング18と回転軸3との対向周面間における半径方向間隔の最小値δ1がδ1≧40μm(好ましくはδ1≧50μm)となり且つ当該半径方向間隔の最大値δ2がδ2≦100μm(好ましくはδ2≦80μm)となるように、シールリング18(セグメントリング18a)の内径は設定される。
シールガス供給路21は、図1及び図3に示す如く、シールケース2及び仕切壁16bを径方向に貫通して仕切壁16aの内周部に開口されており、シール室16の両側領域B,C3より高圧のシールガス19をシール室16に供給するようになっている。シールガス19としては、前記加圧ガス14と同様に、各領域A,B,C1,C2,C3の流体に対して不活性であり機外大気領域Bに漏洩して支障ない無害なガス(この例では、窒素ガス)が使用される。
シールガス19の圧力及び供給量は、前記環状隙間形成状態(環状隙間17を通過するシールガス19によってシールリング18の内周面がその全周に亘って回転軸3に接触しない状態)を維持しうる範囲において、前記した如く設定される環状隙間17に応じて適宜に設定されるが、シールガス供給路21には、環状隙間17を通過するシールガス流速が5m/s以上(好ましくは10m/s以上)となるように調整するためのオリフィス20が配設されている。すなわち、図3に示す如く、シールガス供給路21の適所であって仕切壁16bを貫通するシールガス供給路部分の近傍上流側の部位に環状板20aを配して、その中心孔で形成されるオリフィス20により、当該シールガス流速を上記した如くに調整するようになっている。
なお、シールケース2には、図1及び図3に示す如く、第3ケース内領域C3に連通するシールガス排出路2cが形成されていて、このシールガス排出路2cから、非接触形メカニカルシール5bから第3ケース内領域C3に漏洩する流体(ガス)を同伴しつつ、環状隙間17から第3ケース内領域C3に漏洩するシールガス19が排出されるようになっている。
以上のように構成された高速回転機器用ガスシール装置によれば、機内ガス領域Aの流体(被密封流体たる高圧ガス)がタンデムシール5によってシールすることができ、且つ機外大気領域Bで発生するオイルミストのタンデムシール5への侵入を軸流シール6によって確実に阻止することができる。
すなわち、軸流シール6にあっては、両セグメントリング18a,18aがシール面16a,16aに押圧接触された状態で回転軸3に嵌挿されており、機外大気領域B及び第3ケース内領域C3より高圧のシールガス19がシールガス供給路21からシール室16に供給される。このとき、シール室16に供給されたシールガス19は、両セグメントリング18a,18aと回転軸3との対向周面間から両領域B,C3へと分流して漏洩することになる。したがって、機外大気領域Bと第3ケース内領域C3との間が確実に遮蔽シールされることになる。このとき、環状隙間17を通過するシールガス流速をオフィリス20により5m/s以上(好ましくは10m/s以上)に調整しておくことにより、機外大気領域Bで発生するオイルミストの軸流シール6への侵入が確実に阻止されることになる。また、セグメントリング18aの内径を環状隙間17が40〜100μm(好ましくは50〜80μm)となるように設定しておくことにより、両領域B,C3へのシールガス漏洩量を必要最小限に抑制しつつ、軸流シール6のシール部における急激な温度上昇や摩耗を回避することができる。さらに、運転開始時等においてカーボン製のセグメントシール18aと回転軸3とが接触するような場合にも、セグメントシール18aが接触する回転軸外周面が超硬合金コーティング層25で形成されているから、両者3,18aの接触による摩耗や損傷(接触痕の発生)が可及的に防止される。
また、シールガス19はシールガス供給路21に配設したオリフィス20によって絞られた上でシール室16に供給されることから、シール室16の両側領域B,C3の差圧や圧力が変動する等の不安定なシール条件下においても、シールガス供給路21からシール室16に供給されるシールガス量(シールガス供給量)が過大になったり、逆に過少となって第3ケース内領域C3(又は機外大気領域B)からシール室16への逆流現象が生じたりするようなことがなく、常にシール室16には適正量のシールガス19が供給されることになり、軸流シール6によるシール機能が良好に発揮されることになる。すなわち、シールガス供給量が過大となると、当該シールガス供給量とシール室16からのシールガス漏洩量(環状隙間17,17から両領域B,C3に流出するシールガス量)とが不均衡となって、シール室16内の圧力つまりシールガス供給路21におけるオリフィス20より下流側部分の圧力が上昇して、オリフィス20を通過するガス量が減少し、シールガス供給量が適正に調整(減少)される。逆に、シールガス供給量が過少となった場合、シールガス供給量とシールガス漏洩量とが不均衡となって、シール室16内の圧力(シールガス供給路21におけるオリフィス20より下流側部分の圧力)が減少して、オリフィス20を通過するガス量が増大し、シールガス供給量が適正に調整(増加)される。このように、シールガス供給量がオリフィス20の機能により自動的に調整制御されて、常に、適正なシールガス供給量が得られ、軸流シール6によるシール機能が良好に発揮される。
したがって、軸流シール5によるシール機能を、長期に亘ってメンテナンスフリーで安定且つ適正に発揮させることができる。その結果、オイルミストがガスシール5に悪影響を及ぼすことがなく、ガスシール5によるシール機能を、長期に亘ってメンテナンスフリーで安定且つ適正に発揮させることができる。これらのことから、本発明の高速回転機器用ガスシール装置を装備しておくことによって、高速コンプレッサ等の高速回転機器を長期に亘って良好に継続することが可能となる。
なお、本発明に係る高速回転機器用ガスシール装置は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。
例えば、軸流シール6がセグメントシールである場合にあっては、図6に示す如く、各シールリング18を軸線方向に密接する一対のセグメントリング18a,18aで構成しておくことも可能である。また、軸流シール6としては、上記したセグメントシール(フローティングリングシール)の他、サーカムファレンシャルシール,固定ブッシュシール,レイリーステップシール等を採用することもできる。また、ガスシール5を構成する非接触形メカニカルシールの数は任意であり、当該非接触形メカニカルシールの構成も、上記した誘導環型に限定されるものではない。
本発明に係る高速回転機器用ガスシール装置の上半部を示す縦断側面図である。 同ガスシール装置の下半部を示す縦断側面図である。 図1の要部(軸流シール)の拡大詳細図である。 図2の要部(軸流シール)の拡大詳細図である。 回転軸とシールリングとの関係を示す模式的断面図である。 本発明に係る高速回転機器用ガスシール装置の変形例を示す図3相当の縦断側面図である。
符号の説明
1 機器ハウジング
2 シールケース
3 回転軸
5 ガスシール
5a 第1非接触形メカニカルシール
5b 第2非接触形メカニカルシール
6 軸流シール
8 静止環
9 回転環
11 遊動環
16 シール室
16a シール面(シール室の対向壁面)
16b 仕切壁
17 環状隙間
18 シールリング
18a セグメントリング
19 シールガス
20 オリフィス
21 シールガス供給路
22 ガータスプリング
25 超硬合金コーティング層
A 機内ガス領域
B 機外大気領域
C3 第3ケース内領域

Claims (6)

  1. 機器ハウジングに取り付けたシールケースとこれを洞貫する回転軸との間に複数の非接触形メカニカルシールを軸線方向に並列配置してなるガスシールにより、機内ガス領域とオイルミストが発生する機外大気領域とを遮蔽シールするように構成された高速回転機器用ガスシール装置において、ガスシールの機外大気領域側においてシールケースの内周部に形成した環状のシール室に軸流シールを配設してあり、この軸流シールは、シール室の軸線方向における対向壁面に押圧接触された状態で且つ回転軸にこれとの間に微小な環状隙間を有した状態で嵌挿された一対のシールリングと、シールガスを前記環状隙間からシール室の両側領域に所定流量で流出させるべくシール室にオリフィスを介してシールガスを供給させるシールガス供給路とを具備して、ガスシールへのオイルミストの侵入を阻止するように構成されたものであることを特徴とする高速回転機器用ガスシール装置。
  2. 各シールリングの内径を、シールガスの供給状態において前記環状隙間が40〜100μmに保持されるように設定してあることを特徴とする、請求項1に記載する高速回転機器用ガスシール装置。
  3. シールガス供給路に配設されたオリフィスにより、前記環状隙間を通過するシールガス流速が5m/s以上となるように調整するように構成したことを特徴とする、請求項2に記載する高速回転機器用ガスシール装置。
  4. 軸流シールがセグメントシールであって、各シールリングが円弧状セグメントをガータスプリングにより環状に緊縛してなるセグメントリングで構成されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載する高速回転機器用ガスシール装置。
  5. 両シールリングがカーボン製のものであり、両シールリングの内周面に対向する回転軸の外周面部分に超硬合金材をコーティングしてあることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載する高速回転機器用ガスシール装置。
  6. ガスシールが、シールケース側密封環と回転軸側密封環とをその対向端面間に動圧を発生することにより非接触状態に保持するように構成された複数の非接触形メカニカルシールをタンデム配置してなるものであることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載する高速回転機器用ガスシール装置。
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