JP2008156380A - 規則充填塔の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コークス炉ガスの精製設備のうち、コークス炉ガス中の粗軽油分を脱ベンゾール吸収油に吸収させて回収する規則充填塔に適用して、洗浄期間を短くでき、しかも洗浄費用および粗軽油回収ロスを抑制することができる規則充填塔の洗浄方法を提供する。
【解決手段】当該規則充填塔の充填層に付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去するに際し、重質タール系閉塞物が付着した充填層を塔内に形成したまま、充填層の上部へ加熱した脱ベンゾール吸収油を供給し、自己循環させる規則充填塔の洗浄方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、コークス炉ガスの精製設備のうち、コークス炉ガス中の粗軽油分(90%ベンゼン)を脱ベンゾール吸収油により回収する規則充填塔において、当該規則充填塔の充填層に付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去する際の、規則充填塔の洗浄方法に関する。
石油化学プラントの充填塔内の充填物を、塔外に取り出して洗浄する方法が開示されている(特許文献1)。
この特許文献1に開示されている充填物の洗浄方法は、塔内に形成された充填層を取り崩し、次いで塔外に充填物を取り出し、ゲル状粘着物質が付着した充填物を洗浄するようにしている。なお塔外にて行う充填物の洗浄作業は、ゲル状粘着物質が付着した充填物を、予め塔外に設置した洗浄槽へ入れて行う。洗浄槽内の充填物は、洗浄液に少なくとも一部が浸漬した状態で回転可能に支持され、この充填物を回転させる洗浄装置は、槽外周部に充填物の出し入れを可能にする投入排出部および洗浄液を内外に流入・流出させる複数の通液小孔を備える洗浄槽を有する。
このような洗浄装置を用い、塔外にて行う充填物の洗浄作業は、洗浄槽の投入排出部から充填物投入する投入工程と、洗浄槽を回転させ、洗浄液を洗浄槽の複数の通液小孔を介して出し入れし、ゲル状粘着物質が付着した充填物を洗浄する洗浄工程とを有する。
このため、充填塔内でリサイクル使用できるレベルまで、塔外にて充填物を洗浄した充填物は、再び石油化学プラントの充填塔内に戻した後、石油化学プラントの運転を再開することができる。
特開平8−117801号公報
しかし、特許文献1に記載の充填塔用充填物の洗浄方法は、コークス炉ガス中の粗軽油(90%ベンゼン)分を脱ベンゾール吸収油により回収する規則充填塔に適用した場合、一旦設備を停止し、当該規則充填塔の充填層を取り崩し、次いで塔外に充填物を取り出してから、塔外にて洗浄する必要がある。
したがって、この充填塔用充填物の洗浄方法では、当該規則充填塔の充填層に付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去するに際し、洗浄費用がかかり、粗軽油回収ロスが多いうえに洗浄期間が長いという問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、コークス炉ガスの精製設備のうち、コークス炉ガス中の粗軽油分(90%ベンゼン)を脱ベンゾール吸収油により回収する規則充填塔に適用して、洗浄期間を短くでき、しかも洗浄費用および粗軽油回収ロスを抑制することができる規則充填塔の洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、当該規則充填塔の充填層に付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去するには、洗浄液として、当該規則充填塔で循環使用している塔内循環用の脱ベンゾール吸収油を加熱して用いることで、上記課題を解決できるとの知見に基づき、本発明をなした。
本発明に係る規則充填塔の洗浄方法は、以下である。
1. コークス炉ガスの精製設備のうち、塔内循環用の脱ベンゾール吸収油を自己循環させつつ、コークス炉ガス中の粗軽油分を前記脱ベンゾール吸収油に吸収させて回収する規則充填塔において、当該規則充填塔の充填層に付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去するに際し、前記重質タール系閉塞物が付着した充填層を塔内に形成したまま、当該規則充填塔を運転し、前記充填層の上部へ加熱した脱ベンゾール吸収油を供給し、自己循環させることを特徴とする規則充填塔の洗浄方法。
2. 前記充填層の上部へ加熱した脱ベンゾール吸収油を供給するに際し、当該規則充填塔の通常運転時の吸収油循環量よりも多い量を自己循環させることを特徴とする1.に記載の規則充填塔の洗浄方法。
3. 前記充填層の上部へ加熱した脱ベンゾール吸収油を供給するに際し、当該規則充填塔の塔頂部に設けた洗浄用ノズルを用い、加熱した脱ベンゾール吸収油を噴射することを特徴とする1.または2.に記載の規則充填塔の洗浄方法。
本発明によれば、当該規則充填塔の充填層に付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去するに際し、重質タール系閉塞物が付着した充填層を塔内に形成したまま、当該規則充填塔を運転し、洗浄液として、当該規則充填塔で循環使用している塔内循環用の脱ベンゾール吸収油を加熱して自己循環するので、重質タール系閉塞物が付着した充填層を取り崩し、次いで塔外に充填物を取り出してから、塔外にて洗浄する必要がなくなる。
このため、一旦設備を停止し、重質タール系閉塞物が付着した充填物を塔外に取り出した後、塔外にて洗浄する従来の洗浄方法に比べて、洗浄期間を短くでき、しかも洗浄費用および粗軽油回収ロスを抑制することができる。
本発明をコークス炉ガス(単にCガスともいう)の精製設備のうち、Cガス中の粗軽油分を脱ベンゾール吸収油(単に吸収油ともいう)により回収する規則充填塔に適用した場合について、図を用いて説明する。
図1は、規則充填塔1の通常操業時のフロー図であり、図2は、当該規則充填塔1の洗浄時のフロー図である。なおCガスの精製設備には、規則充填塔1の他、図示しない軽油蒸留塔などが含まれる。
まず、規則充填塔1の通常操業状態について図1により説明する。
当該規則充填塔1は、Cガス中の粗軽油分を吸収油に吸収させて回収するため、その塔頂部に配設した液分散器1Cから軽油分をほとんど含まない吸収油を供給し、上部から下部に規則的に降りてくる吸収油にCガス中の粗軽油分を吸収させ、粗軽油分を含む吸収油塔底部に溜めるようになっている。なおこの当該規則充填塔1には、塔頂部の充填層区間Hに、吸収油を上部から下部に下降させ得る充填物を規則的に充填してなる充填層1Dが形成されている。
また当該規則充填塔1にはそれを連続運転(通常運転)することを目的とし、図1に示すように、吸収油用配管3が配設されている。すなわち、当該規則充填塔1の塔底部に溜まる吸収油を、吸収油用配管3を介して第1の吸収油用ポンプ4で引き出し、軽油蒸留塔へ送り、次いでそこで蒸留した後の吸収油を第2の吸収油用ポンプ5で引き出し、熱交換器6を経て、規則充填塔1の充填層1Dの上部に供給する吸収油循環ラインが構成されている。上記した熱交換器6は、規則充填塔1の塔頂部から供給する前の吸収油を加熱もしくは冷却することが可能な吸収油用ヒーター兼吸収油用クーラーである。規則充填塔1の通常操業時には、それを吸収油用クーラーとして用いるため、冷却水用弁11は開、蒸気用弁12は閉とする。
ここで吸収油用配管3には、規則充填塔1の洗浄を行う時の吸収油循環量増に対応するため、軽油蒸留塔バイパスライン3Aが形成されている。この軽油蒸留塔バイパスライン3Aは、吸収油用弁7を配管途中に配設してなり、規則充填塔1の通常操業時にはこの吸収油用弁7を閉とする。このようにして、塔内循環用の吸収油全量を軽油蒸留塔へ送り、そこで蒸留した後の吸収油を規則充填塔1の充填層1Dの上部に供給するようにしている。
一方、後述する規則充填塔1の洗浄時には、軽油蒸留塔バイパスライン3Aの吸収油用弁7を開としその開度を調整することで、吸収油循環量を増やす(図2参照)吸収油循環ラインが構成される。
以上説明した、通常操業時における吸収油循環ラインに配置した各吸収油用弁7〜10の状態をまとめると、次のとおりである。弁7:閉、弁8:開、弁9:閉、弁10:開
この一例のCガスの精製設備の場合、当該規則充填塔1の通常操業時には、吸収油用配管3内を通過する吸収油循環量が50m3/hで、かつ吸収油が充填層1Dの上部に供給される前に、その温度が熱交換器6で35℃から28℃に下げられている。
説明するまでもないが、規則充填塔1の通常操業時には、コークス炉(図示せず)から、重質タール系閉塞物および粗軽油を含むCガスが、規則充填塔1の塔底部に設けた入り口1Aから供給され、規則充填塔1の充填層1Dを通過する間に、粗軽油は吸収油に吸収され、精製Cガスとして塔頂に設けた出口1Bからそれを消費する設備に送る。一方、Cガス中の重質タール系閉塞物が規則充填塔1内に形成した充填層1Dに徐々に付着する。そして、当該塔内の充填層1Dの充填層区間Hの間での圧力損失が過大となると、操業不能となるため、充填層1Dの上下に設置した圧力計の差圧がある値となったとき、本発明にかかる当該規則充填塔1の洗浄時の操業状態に移行する。
次いで、本発明にかかる当該規則充填塔1の洗浄時の操業状態について図2により説明する。本発明にかかる当該規則充填塔1の洗浄方法は、規則充填塔1の充填層1Dに付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去するに際し、重質タール系閉塞物が付着した充填層1Dを塔内に形成したまま、規則充填塔1を運転し、洗浄液として、塔内循環用の吸収油を熱交換器6で加熱し、加熱した吸収油を充填層1Dの上部へ供給し、自己循環させることが特徴である。
その際、熱交換器6は、吸収油用ヒーターとして用いるため、冷却水用弁11は閉、蒸気用弁12は開とする。また規則充填塔1の洗浄時には、軽油蒸留塔バイパスライン3Aの吸収油用弁7を開としその開度を調整することで、前記した規則充填塔1の通常操業時に比べて、吸収油用配管3内を通過する吸収油循環量を増やすことが好ましい。この理由は、規則充填塔1を運転し、大流量の吸収油を自己循環させることで、大流量の吸収油をハンドリングせずに、規則充填塔1の充填層1Dに付着した重質タール系閉塞物を大流量の加熱した吸収油で効率よく短時間で溶解・除去することができるからである。
また同時に、当該規則充填塔1の塔頂部に配置した洗浄用ノズル2につながる吸収油用弁9を開、液分散器1Cにつながる吸収油用弁10を閉とすることで、洗浄用ノズル2につながる吸収油装入ラインを用い、洗浄用ノズル2から加熱した吸収油を勢いよく噴射するのが、規則充填塔1の充填層1Dに付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去する洗浄効果を高め、洗浄の高効率化を図るうえで好ましい。ここで、吸収油循環ラインに配置した各吸収油用弁7〜10の状態をまとめると、次のとおりである。弁7:開、弁8:開、弁9:開、弁10:閉
この一例のCガスの精製設備の場合、軽油蒸留塔バイパスライン3Aの吸収油用弁7を開としその開度を調整することで、規則充填塔1の通常操業時に比べて、吸収油循環量を70m3/h増やし、吸収油循環量を120m3/hとした。その際、洗浄用ノズル2から噴射する吸収油の圧力は、第2の吸収油用ポンプ5のヘッド圧を調整し0.29MPa程度とすればよい。また当該規則充填塔1の充填層1Dの上部に供給する吸収油の温度は、充填層1Dに付着した重質タール系閉塞物の吸収油への吸収・溶解を促進するため、熱交換器6で加熱して軽油蒸留塔から戻される吸収油の温度(=35℃)よりも高く、好ましくは50℃以上80℃までとするのが適当である。
以上説明した当該規則充填塔1の洗浄作業を以下の条件で行った。
〔自己循環洗浄条件〕
当該規則充填塔の吸収油循環量:120m3/h、吸収油温度:80℃、洗浄用ノズル2から噴射する吸収油の圧力:0.29MPa
なお当該規則充填塔の充填層1Dでの圧力損失がその上下に設置した圧力計の差圧で2.94kPa(=300mmH2O)以上になると操業困難となるため、差圧が1.96kPa(=200mmH2O)となったとき、当該規則充填塔1の洗浄作業を実施した。当該規則充填塔1の通常操業時の差圧は0.98kPaである。
その結果、重質タール系閉塞物が付着した充填層を塔内に形成したまま、当該規則充填塔を運転し、上記自己循環洗浄条件で当該規則充填塔1の洗浄作業を48時間行うことで、当該規則充填塔1の規則充填層1Dに付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去することができ、充填層1D間の圧力損失を通常操業時の0.98kPaまで低減できた。
一方、従来の充填層の洗浄方法は、一旦設備を停止し、当該規則充填塔内に形成した充填層を取り崩し、次いで塔外に充填物を取り出して、塔外にて充填物の洗浄作業を行う必要があった。このため、洗浄費用がかかり、粗軽油回収ロスが多いうえ、洗浄期間中、30日程度の設備停止期間を要していた。
本発明を適用した規則充填塔の通常操業時のフロー図である。 本発明を適用した規則充填塔の洗浄時のフロー図である。
符号の説明
1 規則充填塔
1A 塔底部に設けた入口
1B 塔頂に設けた出口
1C 液分散器
1D 充填層
2 洗浄用ノズル
3 吸収油用配管
3A 軽油蒸留塔バイパスライン
4 第1の吸収油用ポンプ
5 第2の吸収油用ポンプ
6 熱交換器
7、8、9、10 吸収油用弁
11 冷却水用弁
12 蒸気用弁
H 充填層区間

Claims (3)

  1. コークス炉ガスの精製設備のうち、塔内循環用の脱ベンゾール吸収油を自己循環させつつ、コークス炉ガス中の粗軽油分を前記脱ベンゾール吸収油に吸収させて回収する規則充填塔において、当該規則充填塔の充填層に付着した重質タール系閉塞物を溶解・除去するに際し、
    前記重質タール系閉塞物が付着した充填層を塔内に形成したまま、当該規則充填塔を運転し、前記充填層の上部へ加熱した脱ベンゾール吸収油を供給し、自己循環させることを特徴とする規則充填塔の洗浄方法。
  2. 前記充填層の上部へ加熱した脱ベンゾール吸収油を供給するに際し、当該規則充填塔の通常運転時の吸収油循環量よりも多い量を自己循環させることを特徴とする請求項1に記載の規則充填塔の洗浄方法。
  3. 前記充填層の上部へ加熱した脱ベンゾール吸収油を供給するに際し、当該規則充填塔の塔頂部に設けた洗浄用ノズルを用い、加熱した脱ベンゾール吸収油を噴射することを特徴とする請求項1または2に記載の規則充填塔の洗浄方法。
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