JP2008149394A - Memsデバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】可動電極をリリースするときの本来エッチングを望まない部分のサイドエッチング量を軽減し、小型化を図ることが可能なMEMSデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】可動電極50を形成した後、第1の層間絶縁膜15と第1の配線層25とをこの順に積層させて形成し、第1の層間絶縁膜15の一部を可動電極50の全面が覆われるように残して除去し予備開口部C1aを形成する。次に、第2の層間絶縁膜下層11を形成し、さらにSOG膜14を積層させてからエッチバックして予備開口部C1aにSOG膜を残留させる。次に、第2の層間絶縁膜上層12を積層させて第2の層間絶縁膜16を完成し、さらに第2の配線層26を形成して配線積層部30を完成させ、この上に保護膜20を形成する。そして、保護膜20、予備開口部C1aに残留させたSOG膜を含む配線積層部30および犠牲層5のそれぞれの一部を除去して可動電極50をリリースする。
【選択図】図4
【解決手段】可動電極50を形成した後、第1の層間絶縁膜15と第1の配線層25とをこの順に積層させて形成し、第1の層間絶縁膜15の一部を可動電極50の全面が覆われるように残して除去し予備開口部C1aを形成する。次に、第2の層間絶縁膜下層11を形成し、さらにSOG膜14を積層させてからエッチバックして予備開口部C1aにSOG膜を残留させる。次に、第2の層間絶縁膜上層12を積層させて第2の層間絶縁膜16を完成し、さらに第2の配線層26を形成して配線積層部30を完成させ、この上に保護膜20を形成する。そして、保護膜20、予備開口部C1aに残留させたSOG膜を含む配線積層部30および犠牲層5のそれぞれの一部を除去して可動電極50をリリースする。
【選択図】図4
Description
本発明は、半導体製造プロセスを用いて、半導体基板上に機械的に可動な状態で形成される可動電極を備えたMEMSデバイスの製造方法に関するものである。
一般に、MEMS(Micro Electro Mechanical System)と呼ばれる微細加工技術を利用して形成された機械的に可動な可動電極等を備えた電気機械系構造体、例えば、共振器、フィルタ、センサ、モータ等が知られている。そして、この電気機械系構造体を、シリコン基板などの半導体基板上に形成してなるMEMSデバイスが提案されている。このようなMEMSデバイスは、半導体製造プロセスを利用して形成されることにより、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の半導体回路と一体化することが可能であり、携帯電話機等といった小型化および高機能化が要求される通信機器に用いられる高周波回路などへの応用が期待されている。
例えば特許文献1に、デジタル回路やアナログ回路などのCMOSと、静電容量型圧力センサとを1チップに混載したMEMSデバイス(圧力センサ混載型半導体装置)が提案されている。このMEMSデバイスにMEMS構造体として搭載される静電容量型圧力センサ部は、圧力検知部である下部電極(固定電極)と参照用キャパシタ部、およびダイヤフラムとを有している。このうち、シリサイド膜により形成されたダイヤフラムは、下部電極上に積層された酸化シリコン(SiO2)膜(犠牲層)の一部が除去されて形成された空洞内(開口部)に配置されることにより、機械的に可動な状態の可動電極として機能するようになっている。
上記の可動電極を有するMEMSデバイスは、半導体製造プロセスを用いて次のように製造される。まず、シリコンウェハなどの半導体基板上に犠牲層を形成し、この犠牲層上に形成された態様で可動電極を形成する。次に、層間絶縁膜と配線とをこの順に積層させて、複数の配線層を有する配線積層部を形成し、配線積層部の上には保護膜(パッシベーション膜)を形成する。そして、選択比を有したエッチング液を用いたウェットエッチング法により、保護膜と配線積層部および犠牲層の一部をエッチングして除去することにより可動電極を機械的に可動な状態にリリースする。
しかしながら、前述のMEMSデバイスの製造方法では、可動電極をリリースする工程において、可動電極上に形成された保護膜、配線積層部、および犠牲層の一部を一度に除去している。このため、リリースエッチング時間が長くなって、保護膜および層間絶縁膜の本来エッチングを望まない部分のサイドエッチングが進行し、リリースエッチングにより形成される開口部の平面方向の面積が大きくなる。配線積層部に形成する配線の配置は、上記したサイドエッチング量を考慮して開口部から離して設計されるので、MEMSデバイスの小型化に不利であるという問題があった。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたもので、その目的は、可動電極をリリースするときの本来エッチングを望まない部分のサイドエッチング量を軽減し、小型化を図ることが可能なMEMSデバイスの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、半導体基板上に隙間を設けて機械的に可動な状態で配置された可動電極と、可動電極の周囲に配置された配線積層部と、配線積層部上に形成された保護膜と、を有するMEMSデバイスの製造方法であって、半導体基板上に犠牲層を形成する工程と、一部が犠牲層上に形成された態様で可動電極を形成する工程と、可動電極を形成した後に、層間絶縁膜と配線とをこの順に少なくとも一周期積層させて配線積層部の一部を形成する工程と、層間絶縁膜の一部を、可動電極の全面が覆われるように残して除去することにより予備開口部を形成する工程と、予備開口部を形成する工程の後でSOG膜を形成する工程と、予備開口部にSOG膜を残留させるようにSOG膜をエッチバックする工程と、エッチバックする工程の後で、層間絶縁膜と配線をこの順に積層して配線積層部を完成させる工程と、配線積層部上に保護膜を形成する工程と、保護膜、層間絶縁膜、予備開口部に残留させたSOG膜、および犠牲層のそれぞれの一部を除去して可動電極を可動な状態にリリースする工程と、を有することを特徴とする。
このMEMSデバイスの製造方法によれば、可動電極上に形成した配線積層部の一部のうち、層間絶縁膜の一部を除去して予備開口部を形成してから、層間絶縁膜および配線を積層させて配線積層部を完成させ、該配線積層部上に保護膜が形成される。そして、保護膜、配線積層部、および犠牲層の一部を除去して可動電極をリリースする構成になっている。これにより、保護膜、配線積層部、犠牲層の一部を一度にエッチングして可動電極をリリースする従来の方法に比べて、エッチング時間が短縮され、保護膜および配線積層部のサイドエッチング量を抑えることができる。従って、配線積層部の配線を従来よりも内側に配設することができるので、MEMSデバイスの小型化を図ることができる。
また、予備開口部の凹部に残留させているSOG膜により凹凸が軽減されるので、この後に層間絶縁膜と配線および保護膜を順次積層することにより形成される積層体の上面が概ね平坦となる。これにより、保護膜上にリリースエッチング用のマスクを形成するためのフォトレジストを塗布したときに良好な塗布均一性が得られるので、予備開口部を形成することによる弊害を回避しながらMEMSデバイスの小型化を図ることができるという効果を奏する。
また、予備開口部の凹部に残留させているSOG膜により凹凸が軽減されるので、この後に層間絶縁膜と配線および保護膜を順次積層することにより形成される積層体の上面が概ね平坦となる。これにより、保護膜上にリリースエッチング用のマスクを形成するためのフォトレジストを塗布したときに良好な塗布均一性が得られるので、予備開口部を形成することによる弊害を回避しながらMEMSデバイスの小型化を図ることができるという効果を奏する。
本発明では、リリースする工程において、保護膜の一部の除去と、層間絶縁膜、SOG膜、および犠牲層のそれぞれ一部の除去とを分けて行なう構成としてもよい。
この構成によれば、エッチングレートが比較的低い保護膜の除去に好適なエッチング方法により保護膜を除去してから、層間絶縁膜、SOG膜、および犠牲層の一部を除去するリリースエッチングに好適な別のエッチング方法を用いてリリースエッチングが行なえる。これにより、同一のエッチング条件により、保護膜と、配線積層部および犠牲層の一部を一度にリリースエッチングする従来法に比して、エッチング時間を短縮することが可能となるとともに、リリースエッチング後の開口部が精度よく形成される。
従って、MEMSデバイス製造のスループットが向上し、歩留りを向上させることが可能となり、小型化が図れて製造効率が高いMEMSデバイスの製造方法を提供することができる。
従って、MEMSデバイス製造のスループットが向上し、歩留りを向上させることが可能となり、小型化が図れて製造効率が高いMEMSデバイスの製造方法を提供することができる。
本発明では、予備開口部を形成する工程で、ドライエッチング法が用いられていることが好ましい。
この構成によれば、ドライエッチングはエッチング異方性に優れているので、予備開口部形成時のサイドエッチングをより抑えることができる。これにより、可動電極をリリースするリリースエッチング領域の平面方向のサイズの軽減に寄与できるので、より小型化を図ることが可能なMEMSデバイスの製造方法を提供できるという顕著な効果を奏する。
以下、本発明のMEMSデバイスおよびその製造方法の実施形態について説明する。
まず、MEMSデバイスの一実施形態について図面に沿って説明する。図1(a)は、本発明に係るMEMSデバイスの好適な実施形態の構成を示す平面図であり、図1(b)は同図(a)のA−A線断面図である。
図1に示すMEMSデバイス70は、半導体基板としてのシリコン基板1上に、固定された状態で設けられた固定電極40と、固定電極40上に積層して形成された犠牲層5と、配線積層部30と、保護膜20とを有している。また、保護膜20と配線積層部30および犠牲層5による積層体の一部を除去することによって形成された開口部C1内に、犠牲層5が除去されることにより機械的に可動な状態で設けられた可動電極50が備えられている。
シリコン基板1上には、酸化シリコン膜(例えば、熱酸化膜)である絶縁膜2と、窒化シリコン(SiN)などからなる窒化膜3が、この順に積層されている。窒化膜3上には、多結晶シリコン膜を積層させてパターニングすることにより形成された固定電極40が設けられている。固定電極40は、開口部C1に露出された部分と、開口部C1周辺に積層されて形成された犠牲層5に覆われた部分とを有している。また、固定電極40の開口部C1に露出された部分の略中央はパターニングされることにより一部が除去されている。なお、固定電極40は、パターニングされる前の多結晶シリコン膜が積層された段階で、導電性を付与するためにリンイオンなどの不純物イオンのイオン打ち込みが施されている。
固定電極40上に形成された犠牲層5の上には、第1の層間絶縁膜15、配線が形成された第1の配線層25、第2の層間絶縁膜16、配線が形成された第2の配線層26がこの順に積層された配線積層部30が形成されている。第1の層間絶縁膜15は、単一層のの絶縁膜からなっている。これに対して、本実施形態において配線積層部30の層間絶縁膜のうち最も上方に形成される第2の層間絶縁膜16は、第2の層間絶縁膜下層11と、SOG(Spin On Glass)膜14と、第2の層間絶縁膜上層12とがこの順に積層された三層からなっている。本実施形態では、第2の層間絶縁膜下層11および第2の層間絶縁膜上層12の材料には、TEOS(Tetraethyl Orthosilicate Tetraethoxysilane)が用いられている。これに限らず、第2の層間絶縁膜下層11および第2の層間絶縁膜上層12には、エッチングレートが高く且つ低誘電率を有する他の層間絶縁膜用材料を用いてもよい。なお、第1の配線層25上の第2の配線層26との間にはSOG膜14は無く、第2の層間絶縁膜下層11と第2の層間絶縁膜上層12とが重ねて形成されている。
配線積層部30の上には、酸化シリコンなどからなる酸化膜層18と窒化膜層19とがこの順に積層された二層からなる保護膜20が形成されている。
犠牲層5と配線積層部30および保護膜20が積層された積層体の略中央には、円筒形状もしくは略矩形状の凹部である開口部C1が形成されている。開口部C1の凹底部分には、多結晶シリコンからなる可動電極50が形成されている。可動電極50は、一部が窒化膜3上に支持され、犠牲層5が除去されていることにより、窒化膜3および固定電極40と隙間を有して可動な状態で設けられている。なお、可動電極50には、固定電極40と同様に不純物イオンのイオン打ち込みが施されている。
次に、上記の構成を有するMEMSデバイス70の動作の一例について説明する。本実施形態では、可動電極50を中央に挟んで両側に形成された一対の固定電極40の一方を駆動電極、他方を検出電極として説明する。また、可動電極50には直列バイアス電圧が印加されているものとする。
MEMSデバイス70の固定電極40の駆動電極側に駆動電圧を注入すると、固定電極40と可動電極50との間に電位差が生じ、これに伴って電荷が蓄電される。この電位の時間変化、若しくは蓄電される電荷の時間変化により、通常のキャパシタと同様に固定電極40の駆動電極側と可動電極50との間には交流電流が流れる。これは固定電極40の検出電極側と可動電極50との間においても同様であり、MEMSデバイス70全体には2つのキャパシタを直列に接続した場合の静電容量値に相当した交流電流が流れる。
一方で、可動電極50は特定の周波数において固有の振動周波数を有し、特定の周波数において厚み方向へ屈曲が生じる。この場合、前述した固定電極40の駆動電極側および検出電極側と可動電極50との間の静電容量が変動する。静電容量が変動すると、キャパシタへの蓄電量Q=CVを満足させるために電荷の移動が生ずる。この結果、可動電極50の固有振動周波数においては、静電容量の変動に伴い電流が流れる。可動電極50からの出力電流は、固定電極40の検出電極側から検出される。
MEMSデバイス70の固定電極40の駆動電極側に駆動電圧を注入すると、固定電極40と可動電極50との間に電位差が生じ、これに伴って電荷が蓄電される。この電位の時間変化、若しくは蓄電される電荷の時間変化により、通常のキャパシタと同様に固定電極40の駆動電極側と可動電極50との間には交流電流が流れる。これは固定電極40の検出電極側と可動電極50との間においても同様であり、MEMSデバイス70全体には2つのキャパシタを直列に接続した場合の静電容量値に相当した交流電流が流れる。
一方で、可動電極50は特定の周波数において固有の振動周波数を有し、特定の周波数において厚み方向へ屈曲が生じる。この場合、前述した固定電極40の駆動電極側および検出電極側と可動電極50との間の静電容量が変動する。静電容量が変動すると、キャパシタへの蓄電量Q=CVを満足させるために電荷の移動が生ずる。この結果、可動電極50の固有振動周波数においては、静電容量の変動に伴い電流が流れる。可動電極50からの出力電流は、固定電極40の検出電極側から検出される。
次に、上記のMEMSデバイス70の製造方法について説明する。図2〜図6は、MEMSデバイス70の製造工程を説明する概略断面図である。なお、図2〜図6は、図1(b)と同じ位置のMEMSデバイス70の断面を図示している。
MEMSデバイス70の製造においては、半導体製造プロセスが用いられる。
図2(a)に示すように、シリコン基板1表面を熱酸化させるなどしてシリコン酸化膜からなる絶縁膜2を形成した上に、スパッタリングリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより窒化シリコン(SiN)などで構成される窒化膜3を形成する。この窒化膜3は、後述するリリースエッチングを行なう際のエッチングストップ層として機能するベース層となる。
図2(a)に示すように、シリコン基板1表面を熱酸化させるなどしてシリコン酸化膜からなる絶縁膜2を形成した上に、スパッタリングリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより窒化シリコン(SiN)などで構成される窒化膜3を形成する。この窒化膜3は、後述するリリースエッチングを行なう際のエッチングストップ層として機能するベース層となる。
次に、図2(b)に示すように、窒化膜3上に、CVD法などにより多結晶シリコン膜を積層させ、導電性を付与するためにリンイオン(例えば、31P+)などの不純物イオンのイオン注入を施してから、フォトリソグラフィなどによりパターニングすることによって固定電極40を形成する。
次に、図2(c)に示すように、スパッタリングリング法などにより酸化シリコンなどの酸化膜からなる犠牲層5を形成する。次に、図2(d)において、犠牲層5を一部除去して窒化膜3を露出させてからCVD法などにより可動電極50の原型となる多結晶シリコン膜を積層させてからリンイオンなどの不純物イオンのイオン注入を行なって導電性を付与する。そして、フォトリソグラフィによりパターニングすることによって可動電極50を形成する。
次に、図3(e)に示すように、CVD法やスパッタリングなどの方法により、第1の層間絶縁膜15を形成する。このとき、第1の層間絶縁膜15を積層させる下地層は凹凸を有するが、後の工程で第1の層間絶縁膜15上に積層される配線層などの形成を容易にするために、第1の層間絶縁膜15の上面は平坦になるようにすることが望ましい。このため、第1の層間絶縁膜15には、リフローすることにより平坦化することが可能なBPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)やPSG(Phosphorus Silicon Glass)を用いることが好ましい。この他にも、SOG膜を層間絶縁膜として用いたり、酸化シリコンなどをスパッタリングした後に化学的および機械的に研磨するCMP(Chemical Mechanical Polishing)などの平坦化技術を用いたりして層間絶縁膜の上面を平坦化する構成としてもよい。
次に、図3(f)において、第1の層間絶縁膜15および犠牲層5をパターニングして固定電極40を露出するビアホールを形成してから、スパッタリング法やCVD法により、第1の配線層25の原型となる金属層を積層させる。金属層はアルミニウム(Al)や銅(Cu)などからなり、前記のビアホール内にも形成されて固定電極40と導通接続される。そして、金属層をフォトリソグラフィによりパターニングすることにより、第1の配線層25を形成する。
次に、図3(g)において、第1の配線層25を形成した積層体上にスピンコートなどの方法によりフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィにより後述する予備開口部C1a形成用のフォトレジストパターン100を形成する。そして、このフォトレジストパターン100をマスクとして、ドライエッチング法により第1の層間絶縁膜15を、可動電極50が露出しない深さまでエッチングして予備開口部C1aを形成する。
予備開口部C1aを形成するエッチングには、例えばCHF3などの反応性ガスを用いたRIE(リアクティブイオンエッチング)法を用いることが好ましい。RIE法によるドライエッチングは異方性に優れており、フォトレジストパターン100の端部直下から進行するサイドエッチングが起こりにくいので、略鉛直方向にエッチングを進めることができる。
予備開口部C1aを形成するエッチングには、例えばCHF3などの反応性ガスを用いたRIE(リアクティブイオンエッチング)法を用いることが好ましい。RIE法によるドライエッチングは異方性に優れており、フォトレジストパターン100の端部直下から進行するサイドエッチングが起こりにくいので、略鉛直方向にエッチングを進めることができる。
予備開口部C1aは、後述する、可動電極50をリリースするためのリリースエッチングのエッチング量を軽減するために形成されるものなので、なるべく可動電極50上面付近までエッチングすることが望ましい。また、可動電極50が露出しないように第1の層間絶縁膜15の一部を残すのは、後述するリリースエッチングまでの工程において、可動電極50が各工程の処理液や外気などに曝されることによる損傷や汚染を防止する保護膜とするためでもある。従って、可動電極50上に残す第1の層間絶縁膜15の厚さは、予備開口部C1aを形成するときのエッチングばらつきと、以降のリリースエッチングまでの工程の各処理で除去される量とを考慮して、尚且つなるべく薄くすることが好ましい。
次に、図3(h)において、フォトレジストパターン100を剥離してから、CVD法などによりTEOSなどエッチングレートの高い絶縁材料からなる第2の層間絶縁膜下層11を積層する。第2の層間絶縁膜下層11は、後述する第2の層間絶縁膜16の下層部分となる。
次に、図4(i)に示すように、スピンコート法によりSOGを塗布して成膜することによりSOG膜14を形成する。
次に、図4(j)に示すように、SOG膜14を、第1の配線層25上に形成された第2の層間絶縁膜下層11が露出され且つ予備開口部C1aによる凹部にSOG膜14が残留するようにエッチバックする。
次に、図3(k)に示すように、CVD法などによりTEOSなどからなる第2の層間絶縁膜上層12を積層させて形成し、第2の層間絶縁膜下層11、SOG膜14、および第2の層間絶縁膜上層12からなる第2の層間絶縁膜16を完成させる。このとき、第1の配線層25上には第2の層間絶縁膜下層11と第2の層間絶縁膜上層12が重ねて形成される。また、SOG膜14は予備開口部C1aなどの凹部に埋設されるように残留しているので、これにより第2の層間絶縁膜16の上面は略平坦となる。
次に、図4(l)において、第2の層間絶縁膜16の第2の層間絶縁膜上層12および第2の層間絶縁膜下層11をパターニングして第1の配線層25を露出するビアホールを形成してから、スパッタリング法やCVD法により、第2の配線層26の原型となる金属層を積層させる。アルミニウムや銅などからなる金属層はビアホール内にも形成されて第1の配線層25と導通接続される。そして、金属層をフォトリソグラフィによりパターニングすることにより第2の配線層26を形成し、第1の層間絶縁膜15、第1の配線層25、第2の層間絶縁膜16、第2の配線層26による配線積層部30を完成する。
なお、本実施形態では、配線積層部30に、第1の配線層25および第2の配線層26の二つの配線層を形成する例を説明したが、配線層は、必要に応じて三層以上設けて配線積層部を構成することもできる。本発明において、層間絶縁膜と配線層とをこの順に三周期以上積層させて配線積層部を形成する場合には、最終の周期の一つ前の周期まで積層させた段階で、上記の予備開口部C1aと同様な方法にて予備開口部を形成する。そして、SOG膜を形成する工程およびそのSOG膜をエッチバックする工程を含めた上記の第2の層間絶縁膜16、第2の配線層26と同様な方法により、最終の周期の層間絶縁膜および配線層を形成する。
次に、図5(m)に示すように、第2の配線層26が形成された積層体上に、酸化シリコンなどの酸化膜層18と窒化シリコンなどの窒化膜層19を順次積層してなる保護膜20を形成する。保護膜20は、CVD法やスパッタリングリング法などにより形成する。
この他、保護膜20は、例えばプラズマCVDを用いて形成されるシリコンナイトライド(Si3N4)や、スピンコート法により形成する感光性あるいは非感光性のポリイミドなどにより形成してもよい。
この他、保護膜20は、例えばプラズマCVDを用いて形成されるシリコンナイトライド(Si3N4)や、スピンコート法により形成する感光性あるいは非感光性のポリイミドなどにより形成してもよい。
次に、図5(n)に示すように、保護膜20上に、スピンコート法などによりフォトレジスト膜110を形成する。ここで、予備開口部C1aの凹部に埋設されるように残留しているSOG膜14により、保護膜20の上面は略平坦に形成されているので、フォトレジスト膜110は良好な塗布均一性にて塗布され、良好な成膜特性にて形成される。
次に、図5(o)に示すように、フォトレジスト膜110をフォトリソグラフィによりパターニングして、後述するリリースエッチングにより開口部C1を形成する際のマスクとなるフォトレジストパターン110aを形成する。
次に、可動電極50をリリースするためのリリースエッチングを行なう。本実施形態では、図6(p)に示すように、まず、フォトレジストパターン110aをマスクとして酸化膜層18と窒化膜層19からなる保護膜20をエッチングすることにより保護膜開口部C1bを形成する。保護膜開口部C1bを形成するためのエッチングには、比較的エッチングレートの低い窒化膜層19を除去するのに好適なエッチング液を用いたウェットエッチング法を用いてもよく、また、ドライエッチング法を用いてもよい。なお、図6(p)では、保護膜20を除去することを説明する便宜上、保護膜20のみが除去されて第2の層間絶縁膜上層12を凹底部分とする保護膜開口部C1bが形成された状態を図示したが、エッチングが第2の層間絶縁膜16におよんでも構わない。
次に、図6(q)に示すように、第2の層間絶縁膜16、第1の層間絶縁膜15、犠牲層5の一部をエッチングして除去することにより開口部C1を形成し、可動電極50を機械的に可動な状態にリリースエッチングする。このリリースエッチングには、多結晶シリコンからなる固定電極40および可動電極50と、窒化シリコンからなる窒化膜3以外の、単結晶の酸化シリコンなどからなる各層をエッチングする選択比を有する例えばフッ化水素(HF)系のエッチング液を用いる。このエッチング液を用いてウェットエッチングすると、エッチングストップ層として機能する窒化膜3によって厚み方向のエッチングが止まり、固定電極40がエッチングされずに残る。また、可動電極50が、窒化膜3および固定電極40と所定の隙間を設けてリリースされて機械的に可動な状態となる。
そして、リリースエッチング後にフォトレジストパターン110aを剥離することにより、図6(r)に示すMEMSデバイス70が得られ、一連のMEMSデバイス70の製造工程を終了する。
次に、上記実施形態の効果を述べる。
(1)上記実施形態のMEMSデバイス70の製造方法では、第1の配線層25が形成された第1の層間絶縁膜15を、可動電極50が露出しない深さまでドライエッチングによりエッチングして予備開口部C1aを形成した。次に、TEOSからなる第2の層間絶縁膜下層11とSOG膜14をこの順に積層させてから、SOG膜14をエッチバックして予備開口部C1aに残留させ、TEOSからなる第2の層間絶縁膜上層12を積層して第2の層間絶縁膜16を形成した。第2の層間絶縁膜上層12上には第2の配線層26を形成し、第1の層間絶縁膜15、第1の配線層25、第2の層間絶縁膜16、第2の配線層26からなる配線積層部30を完成させた。配線積層部30上には、酸化膜層18と窒化膜層19とをこの順に積層させた保護膜20を積層させて形成した。そして、保護膜20、配線積層部30、および犠牲層5の一部を除去するリリースエッチングを行なって、可動電極50をリリースする構成とした。
この構成によれば、予備開口部C1aが形成された後で形成される第2の層間絶縁膜16は、比較的エッチングレートの高いTEOSとSOGとからなっている。これにより、従来の、保護膜と、配線積層部と、リリースされる可動電極50周辺部分とを一度にエッチングしてリリースエッチングする方法に比して、リリースエッチング時間が短縮され、配線積層部30のサイドエッチング量を抑えることができる。
また、エッチバックすることにより予備開口部C1aに残留させたSOG膜14によって、予備開口部C1aの凹部が平坦化されるので、この上に積層されて形成される保護膜20の上面が略平坦になる。これにより、リリースエッチングのマスクとして用いるフォトレジストパターン110aを形成するためのフォトレジスト膜110を良好な塗布均一性にて塗布することができ、リリースエッチングにより形成される開口部C1の寸法を高精度に制御することができる。
従って、リリースエッチングにより形成される開口部C1を、高精度にて比較的小さく形成することができるので、小型化が可能なMEMSデバイスの製造方法を提供することができる。
この構成によれば、予備開口部C1aが形成された後で形成される第2の層間絶縁膜16は、比較的エッチングレートの高いTEOSとSOGとからなっている。これにより、従来の、保護膜と、配線積層部と、リリースされる可動電極50周辺部分とを一度にエッチングしてリリースエッチングする方法に比して、リリースエッチング時間が短縮され、配線積層部30のサイドエッチング量を抑えることができる。
また、エッチバックすることにより予備開口部C1aに残留させたSOG膜14によって、予備開口部C1aの凹部が平坦化されるので、この上に積層されて形成される保護膜20の上面が略平坦になる。これにより、リリースエッチングのマスクとして用いるフォトレジストパターン110aを形成するためのフォトレジスト膜110を良好な塗布均一性にて塗布することができ、リリースエッチングにより形成される開口部C1の寸法を高精度に制御することができる。
従って、リリースエッチングにより形成される開口部C1を、高精度にて比較的小さく形成することができるので、小型化が可能なMEMSデバイスの製造方法を提供することができる。
(2)上記のMEMSデバイス70の製造方法では、第1の層間絶縁膜15を可動電極50が露出しない深さまでエッチングして予備開口部C1aを形成するときに、RIE法などのドライエッチング法を用いる構成とした。
この構成によれば、ドライエッチングは異方性に優れているので、フォトレジストパターン100の端部直下から進行するサイドエッチングが抑制でき、略鉛直方向にエッチングが進むという特徴を有する。これにより、予備開口部C1aの大きさを軽減して且つ良好な寸法精度にて形成することが可能となるので、より小型化が図れるMEMSデバイスの製造方法に寄与することができる。
この構成によれば、ドライエッチングは異方性に優れているので、フォトレジストパターン100の端部直下から進行するサイドエッチングが抑制でき、略鉛直方向にエッチングが進むという特徴を有する。これにより、予備開口部C1aの大きさを軽減して且つ良好な寸法精度にて形成することが可能となるので、より小型化が図れるMEMSデバイスの製造方法に寄与することができる。
(3)上記のMEMSデバイス70の製造方法では、可動電極50をリリースする工程において、窒化膜層19を含む保護膜20の一部の除去と、配線積層部30および犠牲層5のそれぞれの一部の除去とを分けて行なう構成とした。保護膜20の除去には、エッチングレートが比較的低い窒化膜層19を含む保護膜20の除去に好適なエッチング液によるウェットエッチング、若しくはドライエッチング法を用いるようにした。また、第2の層間絶縁膜16、第1の層間絶縁膜15、および犠牲層5の各層と、可動電極50や固定電極40および窒化膜3とに対して選択比を有するエッチング液によるウェットエッチング法により、リリースエッチングを行なうようにした。これにより、リリースエッチングにおける保護膜の一部を除去する時間を短縮することができるので、これに伴って本来エッチングを望まない部分のサイドエッチング量を軽減できるとともに、製造効率を向上させることが可能になる。
なお、本発明のMEMSデバイスおよびその製造方法は、上述した実施形態および図示例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では固定電極40や可動電極50などのMEMS構造体を多結晶シリコンにより形成したが、CMOSトランジスタにおけるシリサイド化された他のゲート電極材料を用いるなど、他の素材で構成することができる。
また、上記実施形態において、MEMSデバイス70を構成する可動電極50などのMEMS構造体を簡略化して示したが、これに限らない。例えば、MEMS共振器、静電アクチュエータ、ジャイロセンサ、加速度センサを構成するように、MEMS構造体やMEMS構造体と対向する電極構造を設ける構成とすることもできる。
さらに、本発明のMEMSデバイスの製造方法では、半導体製造プロセスを用いているので、半導体基板上に、MEMS構造体と、種々の半導体素子や半導体回路とを集積させて形成することが可能であるため、小型で高機能を有するMEMSデバイスを形成することができる。また、半導体基板としてSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることも可能である。
1…半導体基板としてのシリコン基板、5…犠牲層、14…SOG膜、15…第1の層間絶縁膜、16…第2の層間絶縁膜、20…保護膜、30…配線積層部、25…配線が形成される第1の配線層、26…配線が形成される第2の配線層、40…固定電極、50…可動電極、70…MEMSデバイス、C1a…予備開口部、C1…開口部。
Claims (3)
- 半導体基板上に隙間を設けて機械的に可動な状態で配置された可動電極と、前記可動電極の周囲に配置された配線積層部と、前記配線積層部上に形成された保護膜と、を有するMEMSデバイスの製造方法であって、
前記半導体基板上に犠牲層を形成する工程と、
一部が前記犠牲層上に形成された態様で前記可動電極を形成する工程と、
前記可動電極を形成した後に、前記層間絶縁膜と前記配線とをこの順に少なくとも一周期積層させて前記配線積層部の一部を形成する工程と、
前記層間絶縁膜の一部を、前記可動電極の全面が覆われるように残して除去するとともに予備開口部を形成する工程と、
前記予備開口部を形成する工程の後でSOG膜を形成する工程と、
前記予備開口部に前記SOG膜を残留させるように前記SOG膜をエッチバックする工程と、
前記エッチバックする工程の後で、前記層間絶縁膜と前記配線をこの順に積層して前記配線積層部を完成させる工程と、
前記配線積層部上に前記保護膜を形成する工程と、
前記保護膜、前記層間絶縁膜、前記予備開口部に残留させた前記SOG膜、および前記犠牲層のそれぞれの一部を除去して前記可動電極を可動な状態にリリースする工程と、を有することを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。 - 請求項1に記載のMEMSデバイスの製造方法であって、
前記リリースする工程において、前記保護膜の一部の除去と、前記層間絶縁膜、前記SOG膜、および前記犠牲層のそれぞれ一部の除去とを分けて行なうことを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。 - 請求項1または2に記載のMEMSデバイスの製造方法であって、
前記予備開口部を形成する工程で、ドライエッチング法が用いられていることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006338043A JP2008149394A (ja) | 2006-12-15 | 2006-12-15 | Memsデバイスの製造方法 |
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CN105384144A (zh) * | 2014-09-04 | 2016-03-09 | 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 | 一种mems器件及其制备方法、电子装置 |
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2006
- 2006-12-15 JP JP2006338043A patent/JP2008149394A/ja not_active Withdrawn
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CN105384144B (zh) * | 2014-09-04 | 2017-10-20 | 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 | 一种mems器件及其制备方法、电子装置 |
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