JP2008148936A - X線断層撮影装置 - Google Patents

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靖浩 今井
Ryosuke Fujimoto
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Abstract

【課題】
位置ずれの影響をできるだけ小さくしたデュアルエネルギー像を再構成し、位置ずれが生じている箇所を示すことができるX線断層撮影装置を提供する。
【解決手段】
X線断層撮影装置は、それぞれ異なるエネルギーを有する低エネルギーX線および高エネルギーX線を発生するX線発生装置(101)と、該X線発生装置に対向して配置されたX線検出器(103)とを有し、被検体を通過したX線がX線検出器により検出される撮影部(100)と、被検体の同一の断層像撮影位置に対し、低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射を、被検体の同一の断層像撮影位置に対し、さらに複数回行うように撮影部を制御可能な制御部(23)と、複数回の低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて、デュアルエネルギー像が画像再構成される画像再構成部(21)と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線断層撮影技術に係り、特にデュアルエネルギー法に基づいて取得した被写体の情報を表示するX線断層撮影装置に関し、特に心拍または呼吸の影響により位置ずれが生じたデュアルエネルギー像を表示するX線断層撮影装置に関する。
デュアルエネルギー法は、異なる2つのエネルギースペクトルを有するX線によって取得された被写体のX線投影データに基づいて、被検体の特定物質を強調した画像を取得できる。つまり、高エネルギーX線で得られた画像と低エネルギーX線で得られた画像とを重み付け減算して骨や石灰化病変をわかりやすく表示したデュアルエネルギー像、あるいは軟部組織をわかりやすく表示したデュアルエネルギー像などを得ることができる。
デュアルエネルギー法を行うために、X線撮像装置が照射するX線の管電圧をスキャンごとに高電圧と低電圧とに交互に切り替えたり、X線エネルギーを変化させるためにX線フィルタを入れ替えたりすることにより高エネルギーX線で得られた投影データと低エネルギーX線で得られた投影データとを得ている。たとえば特許文献1では、高エネルギーX線で得られた画像と低エネルギーX線で得られた画像とに基づいて、骨の画像または軟部組織の画像からノイズを少なくして表示させる発明を開示している。
特開2003−244542
しかしながら、X線の管電圧をスキャンごとに高電圧と低電圧とに交互に切り替えたり、X線エネルギーを変化させるためにX線フィルタを入れ替えたりすると、早くしても0.1秒以上かかってしまう。このような状況では、心拍または呼吸の影響により被検体の部位が動いてしまい、位置ずれが生じてしまう。位置ずれによる影響を考慮しないままデュアルエネルギー像を診て診断してしまっては、病気またはケガなどの過大評価または過小評価につながる。また、このような位置ずれが生じた場合であってもその位置ずれの影響をできるだけ小さくした方が好ましい。
そこで、本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、位置ずれが生じた場合であっても、その位置ずれの影響をできるだけ小さくしたデュアルエネルギー像を画像再構成するX線断層撮影装置を提供することにある。また、デュアルエネルギー像において、位置ずれが生じている箇所を示すことができるX線断層撮影装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第一観点のX線断層撮影装置は、被検体の断層像を撮影するX線断層撮影装置において、それぞれ異なるエネルギーを有する低エネルギーX線および高エネルギーX線を発生するX線発生装置と、該X線発生装置に対向して配置されたX線検出器とを有し、X線発生装置とX線検出器との間に配された被検体の断層像撮影位置の周囲から、X線発生装置により発生したX線を照射させ、被検体を通過したX線がX線検出器により検出される撮影部と、被検体の同一の断層像撮影位置に対し、低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射を、それぞれ、低エネルギーX線高エネルギーX線または高エネルギーX線低エネルギーX線の順で、被検体の周囲から行うと共に、該低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射を、被検体の同一の断層像撮影位置に対し、さらに複数回行うように撮影部を制御可能な制御部と、複数回の低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて、デュアルエネルギー像が画像再構成される画像再構成部と、を備える。
上記構成によれば、複数回の低エネルギーX線と高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて、デュアルエネルギー像が画像再構成される。このため、それぞれの撮影時間を短くして低エネルギーX線による撮影と高エネルギーX線による撮影との間隔を短くしても、複数の投影データを用いることによりデュアルエネルギー画像のSN比を維持することができる。そのため、デュアルエネルギー像のSN比を損なうことなく、被検体の移動による位置ずれを低減することができる。
第二観点のX線断層撮影装置において、画像再構成部は、複数回の該低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて、低エネルギーX線による複数の投影データ及び高エネルギーX線による複数の投影データをそれぞれ合成することにより、それぞれ合成低投影データ及び合成高投影データがそれぞれ生成される合成部と、合成低投影データおよび合成高投影データに基づいて、デュアルエネルギー像が画像再構成されるデュアルエネルギー像画像再構成部と、を備える。
この構成により、上記構成により、合成低投影データを生成するとともに、合成高投影データを生成し、合成低投影データと合成高投影データとの時間的な差異を小さくすることができる。このためデュアルエネルギー像を表示する際に、SN比を維持することができる。
第三観点の画像再構成手段は、第二観点において、合成低投影データ及び合成高投影データに基づいて、低エネルギー断層像および高エネルギー断層像を画像再構成するエネルギー別画像再構成部をさらに備え、デュアルエネルギー像画像再構成部において、デュアルエネルギー像が、低エネルギー断層像および高エネルギー断層像に基づいて行われる。
この構成により、低エネルギー断層像および高エネルギー断層像が表示することができるとともに、デュアルエネルギー像が画像再構成される。
第四観点のX線断層撮影装置において、画像再構成手段は、該低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて、それぞれ断層像が画像再構成される撮影別画像再構成部と、断層像における、低エネルギーX線による複数の断層像及び高エネルギーX線による複数の断層像をそれぞれ合成することにより、合成低エネルギー断層像及び合成高エネルギー断層像がそれぞれ生成される合成部と、
合成低エネルギー断層像及び合成高エネルギー断層像に基づいてデュアルエネルギー像が画像再構成されるデュアルエネルギー像再構成部と、を備える。
この構成により、低エネルギーX線による複数の断層像及び高エネルギーX線による複数の断層像をそれぞれ合成することにより、合成低エネルギー断層像及び合成高エネルギー断層像がそれぞれ生成する、そして、これらからデュアルエネルギー像が画像再構成される。
第五観点の制御部は、低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射の間隔が、実現可能な範囲でより短くなるように、低エネルギーX線および高エネルギーX線のそれぞれのX線照射時間を短く制御する。
この構成により、低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射の間隔が限りなく短くなり、被検体の位置ずれが生じなくなる。
第六観点のX線断層撮影装置は、制御部は、低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射の順番を、回数ごとに交互に変更可能である。
この構成により、時間的に照射順番を変えることで、デュアルエネルギー像のSN比を損なうことなく、被検体の移動による位置ずれを低減することができる。
第七観点の画像再構成部は、複数回の該低エネルギーX線と高エネルギーX線の照射によって得られた投影データの少なくとも一方のエネルギーの投影データ同士、または、複数回の該低エネルギーX線と高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて画像再構成された断層像の少なくとも一方のエネルギーの断層像同士の差分から、それぞれの投影データまたは断層像の位置ずれを検出する位置ずれ検出部 をさらに備える。
この構成により、時間的に異なる投影データまたは時間的に異なる断層像をそれぞれ差分して位置ずれを検出することができる。
第八観点のX線断層撮影装置では、第七観点において、位置ずれ検出部により位置ずれしていると検出された画素に対し、彩色してデュアルエネルギー像を表示させる表示手段をさらに備えた。
この構成により、デュアルエネルギー像を診て診断する際に、操作者は被検体の部位が動いてしまった画素を容易に認識できる。
本発明によれば、操作者は、デュアルエネルギー像を診て診断する際に、そもそも時間的な位置ずれが生じ難くなる。被検体の部位が動いてしまって位置ずれが生じた場合でも位置ずれした画素を考慮して、原子物質の分布などを診断することができる。つまり、デュアルエネルギー像の撮影で診断したい特定物質(原子)、たとえば、被検体内の造影剤、脂肪、またはカルシウムを、位置ずれを認識して確認することができる。
<X線断層撮影装置の構成>
図1は、本実施形態に係るX線断層撮影装置(X線CT装置)10の構成を示したブロック図である。X線断層撮影装置10は、撮影部の一例であるガントリ100と、このガントリ100の撮影領域内に被検体HBを挿入する寝台109とを装備している。寝台109は、被検体HBの体軸方向であるZ方向に移動する。ガントリ100は、回転リング102を有し、この回転リング102にコーンビーム形状のX線を照射するX線管101とX線管101に対向して配置された多列X線検出器103とを有している。X線管101は、高エネルギースペクトルを有するX線と低エネルギースペクトルを有するX線とを照射するように構成されている。多列X線検出器103は、被検体HBを透過したX線を検出する。
多列X線検出器103は、シンチレータおよびフォトダイオードで構成される。この多列X線検出器103は、同時に複数スライス(複数列)分の投影データを検出できるように、回転リング102の回転軸と略平行なZ方向に沿って複数列に配列されている。また、多列X線検出器103は、X線管101の焦点を中心として円弧状に形成された多チャンネルの形状である。なお、回転軸に平行なZ方向を“スライス方向”と称し、またX線検出素子列の円弧の方向を“チャンネル方向”と称する。多列X線検出器103には、一般的にDAS(data acquisition system) と呼ばれているデータ収集回路104が接続されている。このデータ収集回路104には、多列X線検出器103の各チャンネルの電流信号を電圧に変換するI−V変換器と、この電圧信号をX線の曝射周期に同期して周期的に積分する積分器と、この積分器の出力信号を増幅するアンプと、このプリアンプの出力信号をディジタル信号に変換するアナログ・ディジタル・コンバータとが、チャンネルごとに設けられている。データ収集回路104からのディジタル信号は、データ転送装置105を介して画像処理部20に送られる。
操作コンソール側は、X線に電圧を供給する高電圧・低電圧発生器51が備えられている。高電圧・低電圧発生器51は、周期的に高電圧および低電圧を発生させ、X線管101にスリップリング113を介して高電圧および低電圧を供給する。
操作コンソール側のスキャンコントローラ53は、アキシャルスキャン、ヘリカルスキャン、可変ピッチヘリカルスキャンなどの複数のスキャンパターンを実行する。アキシャルスキャンとは、寝台109をZ軸方向に所定ピッチ移動するごとにX線管101及びX線検出部103を回転機構111で回転させて投影データを取得するスキャン方法である。ヘリカルスキャンとは、X線管101及びX線検出部103とが回転している状態で寝台109を所定速度で移動させ、投影データを取得するスキャン方法である。可変ピッチヘリカルスキャンとは、ヘリカルスキャンと同様にX線管101及びX線検出部103を回転機構111で回転させながら寝台109の速度を可変させて投影データを取得するスキャン方法である。
スキャンコントローラ53は、高電圧・低電圧発生器51に同期して回転機構111を駆動させ、データ収集回路104で周期的に投影データを収集させる等のスキャンに関わるコントロールを統括している。
入力装置55は、操作者の入力を受け付けるキーボードまたはマウスで構成される。記憶装置59は、プログラムやX線検出器データや投影データやX線断層像を記憶する。画像処理部20は、データ収集回路104からの投影データに対して、前処理をしたり、画像再構成処理をしたり、後処理などを実行する。
ディスプレイ60は、被検体の撮影条件を設定したり、X線断層像を表示したりする。また、本実施形態では、被検体の特定物質を強調したデュアルエネルギー像を表示する。
<画像処理部の構成>
画像処理部20は、画像再構成部21と、制御部23とを有している。さらに、画像再構成部21は、合成部21aと、デュアルエネルギー像再構成部21bと,位置ずれ検出部21cと,エネルギー別画像再構成部21dと,撮影別画像再構成部21eと、を有している。
画像再構成部21は、低エネルギーの投影データLDまたは高エネルギーの投影データHDを受けて、その低エネルギーの投影データLDまたは高エネルギーの投影データHDに基づいて画像を再構成する。低エネルギーの投影データLDまたは高エネルギーの投影データHDは、周波数領域に変換する高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)がなされて、それに再構成関数を掛け、逆フーリエ変換する。そして、再構成関数重畳処理した投影データに対して、三次元逆投影処理を行い、被検体HBの体軸方向(Z方向)ごとに断層像(xy平面)を求める。この断層像は、記憶装置59に記憶されるとともに、ディスプレイ60に表示される。
制御部23は、高電圧・低電圧発生器51およびスキャンコントローラ53とともに、X線管101および回転機構111を制御する。制御部23は、X線管101が低エネルギースペクトルまたは高エネルギースペクトルを有するX線を被検体HBに照射する際に、X線検出部103、データ収集回路104およびデータ転送装置105を介して低エネルギーの投影データLDまたは高エネルギーの投影データHDを収集するように制御する。制御部23は、被検体の同一部位に対して、少なくとも二回の低エネルギーの投影データLD1および低エネルギーの投影データLD2を収集し、少なくとも二回の高エネルギーの投影データHD1および高エネルギーの投影データHD2を収集する。さらに、制御部23は、高電圧・低電圧発生器51から低エネルギースペクトルまたは高エネルギースペクトルを有するX線を照射する順番および時間を制御する。
画像再構成部21が有する合成部21aは、低エネルギーの投影データLD1および投影データLD2を合成したり、高エネルギーの投影データHD1および投影データHD2を合成したりする。また、低エネルギーの断層像LT1と断層像LT2と高エネルギーの断層像HT1と断層像HT2とを合成したりする。
デュアルエネルギー像再構成部21bは、高エネルギースペクトルの投影データHDと低エネルギースペクトルの投影データLDとの少なくともいずれか一方の画像から重み付け係数αを掛けた他方の投影データを差し引くことによりデュアルエネルギー像(差分画像)を画像再構成する。また、デュアルエネルギー像再構成部21bは、高エネルギースペクトルの断層像HTと低エネルギースペクトルの断層像LTとの少なくともいずれか一方の画像から重み付け係数αを掛けた他方の画像を差し引くことによりデュアルエネルギー像を画像再構成することも可能である。デュアルエネルギー像については図4または図5で後述する。
位置ずれ検出部21cは、低エネルギーの断層像LT1の画素と断層像LT2の画素との差分をとり、その差分値がしきい値より大きいか否かを判定して、断層像の位置ずれが生じているか否かを検出する。また、位置ずれ検出部21cは、高エネルギーの断層像HT1の画素と断層像HT2の画素との差分をとり、その差分値がしきい値より大きいか否かを判定して、断層像の位置ずれが生じているか否かを検出する。位置ずれ検出部21cは、同様に、低エネルギーの投影データLD1と投影データLD2との差分をとり、または高エネルギーの投影データHD1と投影データHD2との差分をとり、その差分値がしきい値より大きいか否かを判定して、断層像の位置ずれが生じているか否かを検出する。
エネルギー別画像再構成部21dは、合成部21aが少なくとも二つの低エネルギーの投影データLD1および投影データLD2から合成した合成低投影データ、または少なくとも二つの高エネルギーの投影データHD1および投影データHD2から合成した合成高投影データから、エネルギー別の断層像を画像再構成する。
また、撮影別画像再構成部21eは、高エネルギースペクトルのX線による高エネルギーの断層像HTと、低エネルギースペクトルのX線による低エネルギーの断層像LTとを、画像再構成する。
<X線断層撮影装置の動作>
図2は、X線断層撮影装置10の動作フローチャートである。本実施形態に係るX線断層撮影装置10の動作手順を説明する。
ステップS11では、被検体を寝台109に乗せ位置合わせを行う。寝台109の上に乗せられた被検体は各部位の基準点にガントリ100のスライス中心位置を合わせる。そして、スカウト像(スキャノ像、X線透視像ともいう。)収集を行う。スカウト像は被検体の体の大きさによって成人または子供の2種類のスカウト像が撮影できるようになっており、さらに通常0度,90度で撮影することができる。部位によってはたとえば頭部のように、90度スカウト像のみの場合もある。スカウト像撮影では、X線管101と多列X線検出器103とを固定させ、寝台109を直線移動させながらデータ収集動作を行う。
ステップS12では、操作者は、ディスプレイ60に映ったスカウト像に、キーボード55などを使って、断層像撮影を行う断層像の位置・範囲を設定する。このときに、アキシャルスキャンまたはヘリカルスキャンなどの設定も行う。
ステップS13では、断層像撮影条件の設定またはデュアルエネルギー像の撮影条件の設定を行う。X線管101が高エネルギースペクトルを有するX線と低エネルギースペクトルを有するX線とを被検体HBに照射するため、たとえば高電圧と低電圧とをそれぞれ140kV、80kVに設定する。また、できるだけ位置ずれが生じないように、たとえば回転機構111によって設定可能な最速の撮影時間で高電圧のX線と低電圧のX線が交互に照射されるように、設定時間の設定を行う。たとえばX線管101は、X線管101の一回転毎に高電圧と低電圧とが交互に繰り返される設定、または短期間のパルス毎に高電圧と低電圧とが交互に繰り返される設定などを行う。また、高電圧のX線と低電圧のX線それぞれの撮影回数を、その撮影回数分の撮影データを用いた画像を再構成したときに許容レベルのSN比が得られるような回数を設定する。本実施形態では、二回の低エネルギーの投影データLD1および投影データLD2を収集し、二回の高エネルギーの投影データHD1および投影データHD2を収集する。このように投影データの取得についても設定する。この点については図3で説明する。
さらに、ステップS13では、デュアルエネルギー像の撮影で診断したい特定物質(原子)を設定する。たとえば、被検体内の造影剤、脂肪、またはカルシウムなどを設定する。また、画像再構成を行う際のフィルタ関数、Kernel 関数などを設定する。これら設定された条件は、記憶装置59に記録される。なお、本実施形態では、電圧により高エネルギースペクトルと低エネルギースペクトルとを発生させているが、X線コーンビーム中にフィルタを挿入することによりエネルギースペクトルを変化させてもよい。
ステップS14ないしステップS21では、断層像撮影を行う。
ステップS14において、制御部23の制御により、X線データ収集を行う。ここでコンベンショナルスキャンによってデータ収集を行う場合には、寝台109を固定させた状態で、X線管101と多列X線検出器103とを被検体の回りに回転させ、X線検出器データのデータ収集動作を行う。そして、ビュー角度view と、検出器列番号j と、チャネル番号i とで表わされるX線検出器データD0(view,j,i)(j=1〜ROW,i=1〜CH)にz方向座標位置Ztable(view)を付加させる。
低エネルギースペクトルのX線で少なくとも二回分、X線管101と多列X線検出器103とを被検体の回りに回転させる。同様に、高エネルギースペクトルのX線で少なくとも二回分、X線管101と多列X線検出器103とを被検体の回りに回転させる。このようにして、低エネルギースペクトルの投影データLD1およびLD2と高エネルギースペクトルの投影データHD1およびHD2とを得ることになる。制御部23の制御について図3を使って説明する。
ステップS15では、合成部21aが、低エネルギー投影データLD1と投影データLD2とを合算して2で割る。つまり合成部21aは、2つの低エネルギー投影データLDの平均値を計算することで、低エネルギー合成投影データALDを合成する。同様に、合成部21aは、2つの高エネルギー投影データHD1と投影データHD2の平均値を計算することで、高エネルギー合成投影データAHDを合成する。このように合成することにより、ノイズ同士が打ち消されてSN比が向上した断層像を得ることができる。
ステップS16では、低エネルギー合成投影データALD(view,j,i)および高エネルギー合成投影データAHD(view,j,i)に対して前処理を行う。具体的には、オフセット補正を行い、対数変換を行い、X線線量補正を行い、そして感度補正を行う。
ステップS17では、前処理された投影データ低エネルギー合成投影データALD(view, j,i)および高エネルギー合成投影データAHD(view,j,i)に対して、ビームハードニング補正を行う。
ステップS18では、エネルギー別画像再構成部21dがzフィルタ重畳処理を行う。ここでは、ビームハードニング補正された投影データに対して、z方向(列方向)のフィルタをかけるzフィルタ重畳処理を行う。すなわち、各ビュー角度、各X線データ収集系における前処理後、ビームハードニング補正された多列X線検出器の投影データD(ALD(view,j,i)およびAHD(view,j,i)を含む)に対し、列方向に列方向フィルタをかける。
ステップS19では、エネルギー別画像再構成部21dが再構成関数重畳処理を行う。すなわち、X線投影データDを周波数領域に変換するフーリエ変換(Fourier Transform )を行い、再構成関数を掛け、逆フーリエ変換する。再構成関数重畳処理では、再構成関数Kernel(j) 重畳する
ステップS20では、エネルギー別画像再構成部21dが三次元逆投影処理を行う。ここでは、再構成関数重畳処理した投影データDに対して、三次元逆投影処理を行い、逆投影データを求める。画像再構成される画像はz軸に垂直な面であるxy平面に対して三次元画像再構成される。以下の再構成領域Pはxy平面に平行なものとする。
ステップS21では、エネルギー別画像再構成部21dが後処理を行う。逆投影データに対して画像フィルタ重畳、CT値変換などの後処理を行い、高エネルギースペクトルの断層像HTと低エネルギースペクトルの断層像LTとを得ることができる。
ステップS22では、再構成された高エネルギースペクトルの断層像HTと低エネルギースペクトルの断層像LTとを表示する。そして、ステップS23では、これらの断層像HTと断層像LTとを記憶装置59に記憶する。
ステップS24では、心拍または呼吸の影響により被検体の部位が動いてしまって、高エネルギースペクトルの断層像HTと低エネルギースペクトルの断層像LTとの間に位置ずれが生じているか否かを計算し、位置ずれが生じている箇所を表示する。その表示例を図8に示す。
ステップS25では、デュアルエネルギー像再構成部21bが低エネルギー合成投影データALDと高エネルギー合成投影データAHDとに基づいてデュアルエネルギー像DIを画像再構成する。または、高エネルギースペクトルの断層像HTと低エネルギースペクトルの断層像LTとに基づいてデュアルエネルギー像DIを画像再構成する。そして、ディスプレイ60にデュアルエネルギー像を表示する。その表示例を図8に示す。
<低エネルギースペクトルの二回の投影データと高エネルギースペクトルの二回の投影データの取得>
コンベンショナルスキャン等では、低いX線管電圧の断層像と高いX線管電圧の断層像の撮影時刻の間が空いてしまうと、被検体の呼吸、拍動などによる位置ずれが発生してしまい、デュアルエネルギー撮影した断層像上に位置ずれアーチファクトが発生しやすい。これを避けるために、以下のようなより高速な撮影を行うことを以下に示す。
図3は、低いX線管電圧と高いX線管電圧とを切換える例を示す図である。(a−1)および(b−1)は、時間とX線管101の管電圧との関係を示したグラフ、(a−2)および(b−2)は、時間と寝台109との関係を示したグラフである。(a−3)および(b−3)は、ハーフスキャンで、X線管101のX線の照射タイミングを示す図であり、低いX線管電圧の回転領域を実線で示し、高いX線管電圧の回転領域を一転鎖線で示している。多列X線検出器24のファン角度を60度としているため、撮影時間t1,t2はハーフスキャンの場合としてビュー角度は240度になる。1スキャン目と2スキャン目のX線投影データの収集開始ビュー角度を合わせておくと、ハーフスキャンの場合のX線投影データ間の演算、たとえば2つのX線投影データの加重加算処理などは対応するビューを探す手間がないため、制御しやすくなる。
図3(a)に、第1例を示す。最新のX線断層撮影装置10は、回転機構111でX線管101およびX線検出部103を約0.3秒/回転で回転させることができる。そして、制御部23は、(a−1)に示すように、X線管101の管電圧を80kv→140kv→80kv→140kvと変更する。この間、(a−2)が示すように寝台109は、位置z1で停止している。その後、寝台109は、位置z2へ移動する。また、この時に1スキャン目と2スキャン目ともに同一ビュー角度から収集開始するため、(a−3)に示すように、撮影時間t1で1スキャン目の240度分のX線投影データ収集を行う。多列X線検出器24のX線ファンビームのファン角が60度であるとすると、ハーフスキャンH−Scanでは180度+ファン角=240度分、つまり2/3回転分のX線投影データを収集することになる。Δt の間つまりビュー角度120度分はX線投影データ収集を中止し、その間の約0.1秒間にX線間の電圧を変更する。また、撮影時間t2で2スキャン目の240度分のX線投影データ収集を行うようにすれば、1スキャン目,2スキャン目ともに同一ビュー角度でX線投影データの収集が開始できる。
図3(b)に、第2例を示す。第2例では、制御部23は、(b−1)に示すように、X線管101の管電圧を80kv→140kv→140kv→80kvと変更する。このように、管電圧の順番は任意であっても良い。この間、(b−2)が示すように寝台109は、位置z1で停止している。その後、寝台109は、位置z2へ移動する。(b−3)に示すように、ハーフスキャンH−Scanを行い、撮影時間t1で1スキャン目の240度分のX線投影データ収集を行う。
第1例または第2例外と異なる制御でも良いことはいうまでも無い。X線管101の管電圧は、100kV、120kVなどであってもよい。また、図3では、管電圧80kVで二回の投影データLD1およびLD2、管電圧140kVで二回の投影データHD1およびHD2を取得しているが、四回、六回などの回数であってもよい。さらに、三回以上であれば奇数回であっても良い。また、同一ビュー角度でX線投影データの収集をすることは困難であるが、フルスキャンF−Scanである360度スキャンで360度分のX線投影データを収集してもよい。
<デュアルエネルギー像の画像再構成>
図4は、高エネルギースペクトルの断層像HTまたは低エネルギースペクトルの断層像LTを差分処理し、デュアルエネルギー撮影した断層像DIを求める概念図である。
デュアルエネルギー撮影は、あるz方向座標位置を、低いX線管電圧たとえば80kVの断層像LTと、高いX線管電圧たとえば140kVの断層像HTとを差分処理することにより所望の物質の定量的な分布画像の断層像DIを求める。
図4の上段は、図2のステップS14で説明したように、まず、低いエネルギースペクトルのX線投影データLD1およびLD2、ならびに高いエネルギースペクトルのX線投影データHD1およびHD2を求める。
次に、合成部21aが、低エネルギー投影データLD1と投影データLD2とを合算して2で割り、低エネルギー合成投影データALDを合成する。同様に、高エネルギー投影データHD1と投影データHD2とに基づいて、高エネルギー合成投影データAHDを合成する。
次に、エネルギー別画像再構成部21dは、この低エネルギー合成投影データALDおよび高エネルギー合成投影データAHDから、図2で説明したステップS16からステップS21の処理を行い、低エネルギースペクトルの断層像LTおよび高エネルギースペクトルの断層像HTを画像再構成する。
図4の下段では、デュアルエネルギー像再構成部21bが、低エネルギースペクトルの断層像LTには重み付け係数αを乗算し、高エネルギースペクトルの断層像HTには重み付け係数βを乗算し、定数C1とともに差分処理を行う。この重み付け係数α,βおよび定数C1は、抽出したい原子、強調したい原子、表示上で消したい原子または部位により定まる。この重み付け係数α,βは、断層像LTと断層像HTとの比であるから、いずれか一方を1にしても良い。なお、図4では脂肪情報の抽出を示している。
図5は、低いX線管電圧で収集されたX線投影データLDと高いX線管電圧で収集されたX線投影データHDの各々のX線投影データを差分処理し、差分処理されたX線投影データを画像再構成してデュアルエネルギー撮影した断層像DIを求める概念図である。
図5の左欄は、図2のステップS14で説明したように、まず、低いエネルギースペクトルのX線投影データLD1およびLD2、ならびに高いエネルギースペクトルのX線投影データHD1およびHD2を求める。
次に、合成部21aが、低エネルギー投影データLD1と投影データLD2とに基づいて低エネルギー合成投影データALDを合成する。同様に、高エネルギー投影データHD1と投影データHD2とに基づいて、高エネルギー合成投影データAHDを合成する。エネルギー別画像再構成部21dは、この低エネルギー合成投影データALDおよび高エネルギー合成投影データAHDから、図2で説明したステップS16からステップS21の処理を行い、低エネルギースペクトルの断層像LTおよび高エネルギースペクトルの断層像HTを画像再構成する。
その一方で、デュアルエネルギー像再構成部21bが、低エネルギー合成投影データALDと高エネルギー合成投影データAHDとに前処理、ビームハードニング補正およびZフィルタ重畳処理を行う。その低エネルギー合成投影データALDには重み付け係数αを乗算し、高エネルギー合成投影データAHDには重み付け係数βを乗算し、定数C1とともに差分処理を行う。そして、差分処理したX線投影データDDを生成する。デュアルエネルギー像再構成部21bは、そのX線投影データDDを画像再構成してデュアルエネルギー撮影の断層像DIを得ている。図4で説明した、断層像空間におけるデュアルエネルギー撮影の断層像と同様に、この重み付け係数α,βおよび定数C1は、抽出したい原子、強調したい原子、表示上で消したい原子または部位により定まる。
<断層像の位置ずれ検出>
X線管101の管電圧を図3で説明したように、高速に高電圧と低電圧とに交互に切り替えたり、X線エネルギーを変化させるためX線フィルタを入れ替えたりしても、0.1秒以上かかってしまう。このような状況では、心拍または呼吸の影響により被検体の部位が動いてしまい、位置ずれが生じてしまう。このため、心拍または呼吸の影響により被検体の部位が動いた箇所を、位置ずれが生じている画素として表示させる。
図6は、断層像により位置ずれを検出するフローチャートを示したものである。
ステップS41にて、位置ずれ検出部21cは、記憶装置59から低エネルギースペクトルの投影データLD1と投影データLD2および、高エネルギースペクトルの投影データHD1と投影データHD2とを読み出す。
ステップS42において、撮影別画像再構成部21eが、低エネルギースペクトルの断層像LT1および断層像LT2、ならびに高エネルギースペクトルの断層像HT1および断層像HT2を画像再構成する。これらは、低エネルギー合成投影データALDまたは高エネルギー合成投影データAHDから画像再構成された断層像ではない。このため、低エネルギースペクトルの断層像LT1と断層像LT2とは、約0.1秒から約1.0秒程度の時間差のある断層像である。同様に、高エネルギースペクトルの断層像HT1と断層像HT2とは、約0.1秒から約1.0秒程度の時間差のある断層像である。
ステップS43では、画像再構成領域である512×512画素の各々の画素に関して、低エネルギースペクトルの断層像LT1から断層像LT2を差分して低エネルギースペクトルの差分値ΔLT(x,y)を求める。ここでは、この値は絶対値とする。高エネルギースペクトルの断層像に関しても同様に差分計算をし、高エネルギースペクトルの差分値ΔHT(x,y)を求める。
ステップS44では、位置ずれ検出部21cは、低エネルギースペクトルの差分値ΔLT(x,y)がしきい値SH1より大きいか否かを判定して、断層像の位置ずれが生じているか否かを検出する。このしきい値SH1は図2のステップS13において撮影条件を決定する際に任意に設定することができる。たとえば、しきい値SH1をCT値5HU以上に設定し、ΔLT(x,y)がしきい値SH1以下であればステップS49に進み、ΔLT(x,y)がしきい値SH1より大きければステップS45に進む。
ステップS45では、位置ずれ検出部21cは、高エネルギースペクトルの差分値ΔHT(x,y)がしきい値SH2より大きいか否かを判定して、断層像の位置ずれが生じているか否かを検出する。このしきい値SH2は図2のステップS13において撮影条件を決定する際に任意に設定することができる。たとえば、しきい値SH2をCT値5HU以上に設定し、ΔHT(x,y)がしきい値SH2以下であればステップS49に進み、ΔHT(x,y)がしきい値SH2より大きければステップS46に進む。
ステップS46において、判定部は、判定画素領域JGを設定する。たとえば判定部は、位置ずれしていると判定された画像G(x,y)とその周囲の8画素とを設定する。つまり、G(x−1,y−1) 、…G(x−1,y+1)…… G(x−1,y+1)…G(x +1,y+1)と画像G(x,y)とをあわせて9画素を設定する。そして、これら9画素の判定画素領域JG 内のうち、位置ずれした画素数を計算する。所定の比率(しきい値SH3)
、たとえば5画素以上であれば、位置ずれが生じていると判定する。一つの画素のみが位置ずれしている可能性は少なく、ある一つの画素が位置ずれした際にはある領域の画素が位置ずれしているからである。判定部は、ノイズで画素が位置ずれしていると判定してしまうことを防ぐことができる。判定部は位置ずれの発生率を考慮して、画像G(x, y)の周囲の16画素を設定したりしてもよい。位置ずれした画素数が所定比率(しきい値SH3)以下であればステップS49に進み、位置ずれした画素数が所定比率より大きければステップS47に進む。
ステップS47では、画像G(x,y)が位置ずれしていると判定している。
ステップS48では、操作者に位置ずれが生じている画素があることを知らせるために、位置ずれ画素G(x,y)をディスプレイ60に表示する。操作者は、位置ずれによる影
響を考慮して、デュアルエネルギー像を診て診断することができるため、病気またはケガなどの評価を正確に行うことができる。
ステップS49に進めば、画像G(x,y)が位置ずれしていないことになる。低エネルギースペクトルの断層像LT1と断層像LT2とは、異なる時刻に撮影した断層像であるが、位置ずれが生じていないことになる。高エネルギースペクトルの断層像HT1と断層像HT2に関しても同様である。
なお、ステップS44で、ΔLT(x,y)がしきい値SH1より大きければ、点線で示すようにステップS47に進み、画像G(x,y)が位置ずれしていると判定してもよい。同様に、ステップS45で、ΔHT(x,y)がしきい値SH2より大きければ、点線で示すようにステップS47に進み、画像G(x,y)が位置ずれしていると判定してもよい。位置ずれのおそれがある場合に、操作者に知らせることができる。
図7は、投影データにより位置ずれを検出するフローチャートを示したものである。
ステップS51において、位置ずれ検出部21cは、記憶装置59から低エネルギースペクトルの投影データLD1と投影データLD2および、高エネルギースペクトルの投影データHD1と投影データHD2とを読み出す。
ステップS52では、位置ずれ検出部21cは、低エネルギースペクトルの投影データLD1から投影データLD1を差分して低エネルギースペクトルの差分値ΔLD(view,j,i)を求める。ここでは、この値は絶対値とする。高エネルギースペクトルの投影データに関しても同様に差分計算をし、高エネルギースペクトルの差分値ΔHD(view,j,i)を求める。
ステップS53では、位置ずれ検出部21cが、低エネルギースペクトルの差分値ΔLD(view,j,i)がしきい値SH11より大きいか否かを判定して、断層像の位置ずれが生じているか否かを検出する。このしきい値SH1は図2のステップS13において撮影条件を決定する際に任意に設定することができる。ΔLD(view,j,i)がしきい値SH11以下であればステップS57に進み、ΔLD(view,j,i)がしきい値SH11より大きければステップS54に進む。
ステップS54では、位置ずれ検出部21cは、高エネルギースペクトルの差分値ΔHD(view,j,i)がしきい値SH12より大きいか否かを判定して、断層像の位置ずれが生じているか否かを検出する。このしきい値SH12は図2のステップS13において撮影条件を決定する際に任意に設定することができる。ΔHD(view,j,i)がしきい値SH12以下であればステップS57に進み、ΔHD(view,j,i)がしきい値SH12より大きければステップS55に進む。
ステップS55では、LD1またはHD1を画像再構成し、ΔLD(view,j,i)またはΔHD(view,j,i)に対応する画像G(x,y)が位置ずれしていると判定している。
ステップS56では、操作者に位置ずれが生じている画素があることを知らせるために、位置ずれ画素G(x,y)をディスプレイ60に表示する。操作者は、位置ずれによる影響を考慮して、デュアルエネルギー像を診て診断することができるため、病気またはケガなどの評価を正確に行うことができる。
ステップS57に進めば、画像G(x,y)が位置ずれしていないことになる。
なお、ステップS53で、ΔLD(view,j,i)がしきい値SH11より大きければ、点線で示すようにステップS55に進み、画像G(x,y)が位置ずれしていると判定してもよい。
<デュアルエネルギー像と位置ずれ画像の表示例>
図8は、ディスプレイ60に表示されたデュアルエネルギー像D1と位置ずれ画像を表示した例である。図2のステップS24およびS25の表示例である。
サムネイル161にはデュアルエネルギー像D1が表示されている。高エネルギースペクトルの断層像HTまたは低エネルギースペクトルの断層像LTの一方の画像が表示され、そして、操作者が認識しやすいように、脂肪162、カルシウム163、ヨード造影剤164と特定された画素を、それぞれ赤色、青色、緑色に彩色している。表示165は、図2のステップS13で指定した特定物質を示している。
サムネイル166は、位置ずれが生じている画素167を示している。高エネルギースペクトルの断層像HTまたは低エネルギースペクトルの断層像LTの一方の画像が表示され、それに位置ずれが生じていると特定された画素167を、黄色に彩色している。操作者は、サムネイル166を診て、心臓部位に位置ずれが生じていることがわかる。表示168は、位置ずれしている画素を彩色していることを操作者に知らせている。また、ディスプレイ60には、z方向スライダー169が表示されている。このスライダー169を移動させることにより、サムネイル161およびサムネイル166に表示される画像も変化する。操作者は、スライダー169をマススなどの入力装置55を使って、診断したいスライス断面に移動させることができる。
なお、特定物質を彩色したり、位置ずれ画素を彩色したりしたが、断層像HTまたは断層像LT画層と区別できれば、別な方法であってもよい。
<別のX線断層撮影装置の構成>
図9(a)は、本実施形態に係る別のX線断層撮影装置のガントリ200の構成を示したブロック図である。(b)は、このガントリ200でハーフスキャンを行った際の時間とX線管101の管電圧との関係を示したグラフである。
ガントリ200は、回転リング102を有し、この回転リング102にコーンビーム形状のX線を照射する第一X線管101Aと第二X線管101Bを有している。さらに、第一X線管101Aに対向して配置された第一多列X線検出器103Aと、第二X線管101Bに対向して配置された第二多列X線検出器103Bとを有している。
第一多列X線検出器103Aには第一データ収集回路104Aが接続され、第二多列X線検出器103Bには第二データ収集回路104Bが接続されている。この第一データ収集回路104Aおよび第二データ収集回路104Bには、第一データ転送装置105Aおよび第二データ転送装置105Bが接続されている。第一データ転送装置105Aおよび第二データ転送装置105Bは、収集したX線投影データのディジタル信号を画像処理部20に送る。
第一X線管101Aおよび第二X線管101Bは、90度回転した位置に配置してある。このため、第一X線管101Aが高エネルギースペクトルのX線を照射し、第二X線管101Bが低エネルギースペクトルのX線を照射することが可能である。
したがって、図9(b)で示したように、高エネルギースペクトルのX線と低エネルギースペクトルのX線とを重ねて照射することができる。同じ部位に照射する時間間隔が短くなるため、心拍または呼吸の影響により被検体の部位が動いて、位置ずれが生じる可能性が少なくなる。
本発明によれば、デュアルエネルギー像で特定物質を診断することができるとともに、心拍または呼吸の影響により被検体の部位が動いた箇所を、位置ずれが生じている画素として表示することができる。その結果、病気またはケガなどの過大評価または過小評価をすることがなくなる。なお、実施形態では、脂肪、カルシウム、ヨード造影剤などに注目
して説明したが、他の物質に注目しても良いことは言うまでもない。
本実施形態における画像再構成法は、従来公知のフェルドカンプ法による三次元画像再構成法でもよい。本実施形態では、特に特定のスキャン形式に限定されない。つまり、アキシャルスキャン、ヘリカルスキャン、可変ピッチヘリカルスキャン、ヘリカルシャトルスキャンの場合でも同様の効果を出すことができる。また、走査ガントリの傾斜について限定されない。すなわち、いわゆるチルト・スキャンの場合でも同様な効果を出すことができる。また、本実施形態を、生体信号、特に心拍信号に同期させて画像再構成する心拍画像再構成にも適用することができる。
本実施形態に係るX線CT装置10の構成を示したブロック図である。 X線断層撮影装置10の動作フローチャートである。 低いX線管電圧と高いX線管電圧とを切換える例を示す図である。 高エネルギースペクトルの断層像HTまたは低エネルギースペクトルの断層像LTを差分処理し、デュアルエネルギー撮影した断層像DIを求める概念図である。 低いX線管電圧で収集されたX線投影データLDと高いX線管電圧で収集されたX線投影データHDの各々のX線投影データを差分処理し、差分処理されたX線投影データを画像再構成してデュアルエネルギー撮影した断層像DIを求める概念図である。 断層像により位置ずれを検出するフローチャートを示したものである。 投影データにより位置ずれを検出するフローチャートを示したものである。 ディスプレイ60に表示されたデュアルエネルギー像D1と位置ずれ画像を表示した例である。 (a)は、本実施形態に係る別のX線断層撮影装置のガントリ200の構成を示したブロック図である。(b)は、このガントリ200でハーフスキャンを行った際の時間とX線管101の管電圧との関係を示したグラフである。
符号の説明
20 … 画像処理装置
21 … 画像再構成部(21a… 合成部、21b… デユアルエネルギー像再構成部、21c… 位置ずれ検出部、21d… エネルギー別画像再構成部、21e… 撮影別画像再構成部)
51 … 高電圧・低電圧発生器、
59 … 記憶装置
60 … ディスプレイ
100 … ガントリ
101 … X線管
103 … X多列X線検出器
169 … Z方向スライダー
DI … デュアルエネルギー像
AHD … 高エネルギースペクトルの合成投影データ
ALD … 低エネルギースペクトルの合成投影データ
HD1、HD2 … 高エネルギースペクトルの投影データ
LD1、LD2 … 低エネルギースペクトルの投影データ
HT1、HT2 … 高エネルギースペクトルの断層像
LT1、HT2 … 低エネルギースペクトルの断層像
HB … 被検体

Claims (8)

  1. 被検体の断層像を撮影するX線断層撮影装置において、
    それぞれ異なるエネルギーを有する低エネルギーX線および高エネルギーX線を発生するX線発生装置と、該X線発生装置に対向して配置されたX線検出器とを有し、前記X線発生装置と前記X線検出器との間に配された被検体の断層像撮影位置の周囲から、前記X線発生装置により発生したX線を照射させ、前記被検体を通過したX線が前記X線検出器により検出される撮影部と、
    前記被検体の同一の断層像撮影位置に対し、前記低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射を、それぞれ、低エネルギーX線高エネルギーX線または高エネルギーX線低エネルギーX線の順で、被検体の周囲から行うと共に、該低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射を、前記被検体の同一の断層像撮影位置に対し、さらに複数回行うように前記撮影部を制御可能な制御部と、
    前記複数回の低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて、デュアルエネルギー像が画像再構成される画像再構成部と、
    を備えることを特徴とするX線断層撮影装置。
  2. 前記画像再構成部は、
    前記複数回の該低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて、前記低エネルギーX線による複数の投影データ及び前記高エネルギーX線による複数の投影データをそれぞれ合成することにより、それぞれ合成低投影データ及び合成高投影データがそれぞれ生成される合成部と、
    前記合成低投影データおよび前記合成高投影データに基づいて、デュアルエネルギー像が画像再構成されるデュアルエネルギー像画像再構成部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のX線断層撮影装置。
  3. 前記画像再構成手段は、
    前記合成低投影データ及び合成高投影データに基づいて、低エネルギー断層像および高エネルギー断層像を画像再構成するエネルギー別画像再構成部をさらに備え、
    前記デュアルエネルギー像画像再構成部において、デュアルエネルギー像が、前記低エネルギー断層像および高エネルギー断層像に基づいて行われることを特徴とする請求項2に記載のX線断層撮影装置。
  4. 前記画像再構成手段は、
    該低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて、それぞれ断層像が画像再構成される撮影別画像再構成部と、
    前記断層像における、低エネルギーX線による複数の断層像及び前記高エネルギーX線による複数の断層像をそれぞれ合成することにより、合成低エネルギー断層像及び合成高エネルギー断層像がそれぞれ生成される合成部と、
    前記合成低エネルギー断層像及び合成高エネルギー断層像に基づいてデュアルエネルギー像が画像再構成されるデュアルエネルギー像再構成部と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のX線断層撮影装置。
  5. 前記制御部は、前記低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射の間隔が、実現可能な範囲でより短くなるように、前記低エネルギーX線および高エネルギーX線のそれぞれのX線照射時間を短く制御することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のX線断層撮影装置。
  6. 前記制御部は、前記低エネルギーX線および高エネルギーX線の照射の順番を、回数ごとに交互に変更可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のX線断層撮影装置。
  7. 前記画像再構成部は、前記複数回の該低エネルギーX線と高エネルギーX線の照射によって得られた投影データの少なくとも一方のエネルギーの投影データ同士、または、前記複数回の該低エネルギーX線と高エネルギーX線の照射によって得られた投影データに基づいて画像再構成された断層像の少なくとも一方のエネルギーの断層像同士の差分から、それぞれの投影データまたは断層像の位置ずれを検出する位置ずれ検出部
    をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のX線断層撮影装置。
  8. 前記位置ずれ検出部により位置ずれしていると検出された画素に対し、彩色して前記デュアルエネルギー像を表示させる表示手段
    をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載のX線断層撮影装置。
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CN113164132A (zh) * 2018-11-30 2021-07-23 爱可瑞公司 使用多源系统进行可缩放视场成像的设备和方法

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