JP2008148679A - 新規アッセイ方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生細胞の状態で、細胞内部もしくは細胞外部のみに局在しているルシフェラーゼの発光量を得ること。
【解決手段】細胞膜を浸透することがない発光基質を添加することにより、細胞内部もしくは細胞外部のみに発現しているルシフェラーゼの発光活性のみを測定する。
【選択図】なし
【解決手段】細胞膜を浸透することがない発光基質を添加することにより、細胞内部もしくは細胞外部のみに発現しているルシフェラーゼの発光活性のみを測定する。
【選択図】なし
Description
本発明は、細胞内輸送を経て発現する分泌タンパク質や膜タンパク質の、その阻害・促進を渦鞭毛藻(虫)由来のルシフェラーゼ遺伝子および渦鞭毛藻発光基質を利用して正確に測定する方法に関する。
薬剤の効果に伴うタンパク質分泌活性の変化や細胞内輸送活性の変化を測定する方法の一つに、レポーター遺伝子を用いるものがある。そのレポーター遺伝子からつくられるレポータータンパク質は、薬剤が細胞内輸送におよぼす効果の経時変化が解析できること(時間分解能が高いこと)やレポータータンパク質自体が阻害効果を持たない、あるいは細胞内機能を撹乱しない(細胞毒性がない)などの特性を持つことが要求される。
タンパク質の分泌活性や細胞内輸送をモニタリングする方法に、蛍光タンパク質をレポータータンパク質として用いるイメージングがある。蛍光タンパク質をコードする遺伝子を操作することで、解析対象とする遺伝子に融合して細胞に発現させること、個体の一部で発現させることが容易であるため、遺伝子工学技術の浸透や蛍光シグナル検出機器の進歩とあいまって、その採用が拡大している。しかしながら、蛍光タンパク質は細胞内で過剰量発現させると細胞毒性を有するようになるので、その発現量を精密に制御することが重要となってくる。また、蛍光タンパク質は励起光を照射することによる細胞内機能の異常を惹起する恐れがあることも危惧される。さらに、蛍光タンパク質を用いた方法では、蛍光タンパク質を光らせるために励起光が必須であり、細胞へダメージが与えられる。
また、レポータータンパク質としては、発光生物由来の発光酵素(主にルシフェラーゼ)がある。ルシフェラーゼは、薬剤が転写活性に及ぼす影響を経時的に解析できること(時間分解能が高いこと)やレポータータンパク質自体が阻害効果を持たない、あるいは細胞内機能を撹乱しない(細胞毒性がない)などの特性を持つ。該レポータータンパク質の発現量を測定するためには、細胞を破砕し、その抽出物中のタンパク質量を発光反応により定量する必要がある。これらの特性から、ルシフェラーゼのレポータータンパク質としての用途は、遺伝子の転写活性を測定する方法として定着してきた。特に、北米産ホタルやウミシイタケルシフェラーゼを用いたレポーターアッセイは、高感度で優れた定量性を持つこと、操作がシンプルで自動化しやすい、すなわちハイスループットスクリーニングの適用が可能であり、普及が進んでいる。
発光タンパク質を細胞内輸送系のレポータータンパク質として採用するためには、発光基質が細胞膜を透過して細胞内に導入されることを避けなければならない。この理由は、仮にある薬剤を細胞に処理をした後、細胞内輸送系に異常があった場合でも、輸送途中のレポータータンパク質も発光活性を持つ可能性があるためであり、非特許文献1に示されている。これにより実際の細胞内輸送系の阻害率・促進率を誤って解釈してしまう危険性がある。細胞を生かしたまま、かつ分泌が完了したタンパク質や細胞膜に発現したタンパク質のみを定量するためには、細胞膜を透過しない発光基質を用いることが必須となる。
現在までに多用されている北米産ホタルルシフェリンやウミシイタケのルシフェリンに当たるセレンテラジンは、細胞膜透過性を有している。このため、分泌タンパク質や細胞内輸送系のレポータータンパク質としては不適であった。
Thompson,E.M.,Nagata,S.and Tsuji,F.I.(1990)96.257−262.Gene
Thompson,E.M.,Nagata,S.and Tsuji,F.I.(1990)96.257−262.Gene
本発明の目的は、細胞膜透過性がない発光タンパク質または発光基質を利用することにより、細胞内部もしくは外部に局在する発光タンパク質の活性を測定する方法を提供すること。
本発明者らは、分泌タンパク質もしくは細胞内輸送系のレポータータンパク質として渦鞭毛藻由来のルシフェリンが細胞膜透過性でないことにより、細胞内部にのみ局在する発光タンパク質の活性、もしくは細胞外に分泌されたレポータータンパク質のみ、もしくは細胞膜上で発現したレポータータンパク質のみの発光活性を測定することを可能にする。本発明の要旨は以下の通りである。
(1)生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量を測定する方法。
(2)生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量を測定する方法。
(3)発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、(1)または(2)の方法
(4)発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、(1)または(2)の方法。
(5)生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞内に局在的な発光量を測定する方法。
(6)生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞内に局在的な発光量を測定する方法。
(7)発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、(5)または(6)の方法
(8)発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、(5)または(6)の方法。
(9)生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の増減を測定する方法。
(10)生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の増減を測定する方法。
(11)発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、(9)または(10)の方法
(12)発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、(9)または(10)の方法。
(13)生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の有無を測定する方法。
(14)生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の有無を測定する方法。
(15)発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、(13)または(14)の方法
(16)発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、(13)または(14)の方法。
(17)発光タンパク質をコードしているベクターDNA。
(18)発光タンパク質を恒常的に発現するようせしめた哺乳動物細胞。
(2)生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量を測定する方法。
(3)発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、(1)または(2)の方法
(4)発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、(1)または(2)の方法。
(5)生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞内に局在的な発光量を測定する方法。
(6)生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞内に局在的な発光量を測定する方法。
(7)発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、(5)または(6)の方法
(8)発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、(5)または(6)の方法。
(9)生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の増減を測定する方法。
(10)生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の増減を測定する方法。
(11)発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、(9)または(10)の方法
(12)発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、(9)または(10)の方法。
(13)生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の有無を測定する方法。
(14)生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の有無を測定する方法。
(15)発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、(13)または(14)の方法
(16)発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、(13)または(14)の方法。
(17)発光タンパク質をコードしているベクターDNA。
(18)発光タンパク質を恒常的に発現するようせしめた哺乳動物細胞。
以下、本発明を詳細に説明する。
発光性渦鞭毛藻由来ルシフェラーゼ遺伝子の由来は藻類、特に渦鞭毛藻を広く例示でき、具体的にはPyrocystis lunula,Pyrocystis fusiformis,Lingrodinium polyhedrum,Pyrodinium bahamense,Pyrodinium bahamense,Gonyaulax catenella,Gonyaulax,acatenella,Gonyaulax tamarensis.やNoctiluca scintillansなどを挙げることができる。これら以外の藻類の発光遺伝子として用いることが可能である。
次に、発光性渦鞭毛藻発光基質の由来としても、特に渦鞭毛藻を広く例示できる。具体的には上記に記載の種が例示できる。また具体例に記載したもの以外の藻類由来の発光基質も、細胞膜を透過できなければ使用可能である。
渦鞭毛藻由来のルシフェラーゼ遺伝子を動物細胞で発現させるためのベクターは、恒常的に発現させるように機能するプロモーターの支配下で渦鞭毛藻ルシフェラーゼが発現させることが好ましい。プロモーターとしては、SV40プロモーター、チミジンキナーゼプロモーター、CMVプロモーター等が例示される。さらに渦鞭毛藻由来ルシフェラーゼよりアミノ末端側に分泌シグナルを付加することが好まれる。または、膜貫通ドメインを付加することで細胞膜に留置させるのも好ましい。
細胞膜を透過しない発光基質を添加する場合、発光基質単体で細胞に添加してもよいし、発光基質を保護するために還元剤と同時に添加することも好ましい。還元剤としては、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、システイン、アスコルビン酸、及びジエチルジチトカルバミン酸などが例示され、好ましくはジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール及びアスコルビン酸が例示される。
上記発光基質と還元剤などの試薬は、キットとしての形態もとりうる。
本発明を実施することにより、従来の発光タンパク質を利用することが不適当であった、分泌タンパク質のみの発光活性を測定する方法、従来は不可能であった細胞内輸送系のレポータータンパク質に発光タンパク質を採用することが可能となった。
実施例
渦便毛藻ルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼを哺乳動物細胞で恒常的に発現させるベクターを構築した。各種ルシフェラーをpGV−CSベクター(東洋ビーネット社製)の北米産ホタルをコードしている領域を渦鞭毛藻ルシフェラーゼ遺伝子もしくはウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子と置換した。方法は、制限酵素とリガーゼを使用した、公知の方法で行った。渦鞭毛藻ルシフェラーゼを含んだベクターをpGV−DL、ウミシイタケルシフェラーゼを含んだベクターをpGV−RNとした。北米産ホタルルシフェラーゼを恒常的に発現させるベクターは、pGV−CSベクターを使用した。
次に、動物細胞へ上記の3種類のルシフェラーゼを発現するベクターを導入した。
CHO−K1細胞を96ウェルプレートの1ウェルにつき2.5x104個ずつ播種し、D−MEM/Ham’sF−12培地(和光純薬社製)10%FCS中で培養した。37℃で培養し、翌日各ウェルにpGV−CS0.2μgもしくはpGV−DL0.2μgもしくはpGV−RN0.2μgを25μlのOpti−MEM無血清培地(Gibco BRL社製)と混合し、室温で5分間反応、25μlのOpti−MEM無血清培地で室温5分間反応された2μlのLipofectoamine2000(インビトロジェン社製)と混合し、Opti−MEM無血清培地中でトランスフェクションし、37℃、24時間培養した。
CHO−K1細胞を96ウェルプレートの1ウェルにつき2.5x104個ずつ播種し、D−MEM/Ham’sF−12培地(和光純薬社製)10%FCS中で培養した。37℃で培養し、翌日各ウェルにpGV−CS0.2μgもしくはpGV−DL0.2μgもしくはpGV−RN0.2μgを25μlのOpti−MEM無血清培地(Gibco BRL社製)と混合し、室温で5分間反応、25μlのOpti−MEM無血清培地で室温5分間反応された2μlのLipofectoamine2000(インビトロジェン社製)と混合し、Opti−MEM無血清培地中でトランスフェクションし、37℃、24時間培養した。
次に、北米産ホタルルシフェラーゼを発現させた細胞株が培養されているウェルに、最終濃度が1mM D−ルシフェリン、100mM Tris−リン酸pH8.0になるように添加した。同様にウミシイタケルシフェリンを発現させた細胞株が培養されているウェルに、1mMセレンテラジン、100mM Tris−リン酸pH8.0、渦鞭毛藻ルシフェラーゼ(Pyrocystis lunula由来)を発現させた細胞株が培養されているウェルに1mM渦鞭毛藻ルシフェリン、100mM Tris−リン酸pH8.0を添加した。
その後、37℃ 5%CO2雰囲気下で10分間、20分間、30分間インキュベーションを行った。各インキュベーション時間が経過した後、各試験区のウェルの発光量を測定した。該操作より得られた発光量は、発光基質が細胞内への浸透したことに起因するとみなすことができる。さらに、各発光基質の浸透度を検討するため、上記発光基質およびTris−リン酸pH8.0に加えて最終濃度が0.01%になるように、Triton−X100を発光基質と同時に添加することにより細胞膜を溶解した。この操作を行った後に得られる発光量を発現しているルシフェラーゼの総量を表しているとみなし、Triton−X100を加えずに得られた発光量値をTriton−X100を添加したときに得られた発光量値で除算することにより、Triton−X100無添加時のTriton−X100添加時に対する相対発光量値を求めることにより、発光基質の細胞浸透性を検討した。
その結果、ホタルルシフェリンおよびセレンテラジンを添加した実験区では、添加後10分より発光活性が確認され始める。さらに、添加後30分では、ホタルルシフェリンでは発現しているルシフェラーゼ総発光量の12.6%、セレンテラジンでは26.3%の発光活性が認められた。すなわち、ホタルルシフェリンおよびセレンテラジンは経時的に細胞膜を浸透していることが示されている結果であり、細胞内もしくは細胞外のみに局在するルシフェラーゼの発光活性のみを測定する基質としては不適である。
渦鞭毛藻ルシフェリンは、添加後30分経過してもルシフェラーゼの総発光量に対する相対発光量が2%以下であり、基質が細胞内部に到達していないと結論できる。すなわち、渦鞭毛藻ルシフェリンは生細胞に接触を開始した時間にかかわらず細胞膜を透過せず、発光基質が細胞内部へ到達する速度・割合などを考慮するとこなく、細胞内部もしくは細胞外部にのみ存在するルシフェラーゼの活性を測定することができる。
尚、上記で実施した各発光基質の経時的な細胞膜透過性を比較したグラフを図1に示す。
本発明により、細胞内または外にのみ発現している発光タンパク質の発光活性を測定することが可能となる。本発明を利用することにより分泌されたタンパク質のみの量を測定すること、細胞内輸送機構の評価などが可能となり、創薬においてその治効や副作用の予見に貢献することができる。
Claims (18)
- 生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量を測定する方法。
- 生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量を測定する方法。
- 発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、請求項1または2の方法
- 発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、請求項1または2の方法。
- 生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞内に局在的な発光量を測定する方法。
- 生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞内に局在的な発光量を測定する方法。
- 発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、請求項5または6の方法
- 発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、請求項5または6の方法。
- 生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の増減を測定する方法。
- 生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の増減を測定する方法。
- 発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、請求項9または10の方法
- 発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、請求項9または10の方法。
- 生きた細胞において、発光基質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の有無を測定する方法。
- 生きた細胞において、発光タンパク質の膜不透過性に基づく細胞外に局在的な発光量の有無を測定する方法。
- 発光基質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェリンである、請求項13または14の方法
- 発光タンパク質が渦鞭毛藻(虫)ルシフェラーゼである、請求項13または14の方法。
- 発光タンパク質をコードしているベクターDNA。
- 発光タンパク質を恒常的に発現するようせしめた哺乳動物細胞。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006357270A JP2008148679A (ja) | 2006-12-15 | 2006-12-15 | 新規アッセイ方法 |
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2006
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