JP2008146946A - 燃料電池セル - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池セルを構成する部材同士を締結するための面圧を発生させると共に、燃料電池セルの内部で発生した水分で燃料ガスを媒体として電解質膜を含水状態にすることができ、小型化が可能となる燃料電池セルを提供する。
【解決手段】両面に反応層14、15を形成した電解質膜16、発電時に燃料ガスの拡散および集電するための部材12、13、を少なくとも含む燃料電池部材と、電力を取り出すための燃料電池電極2とが積層された構造を有する燃料電池セルであって、
燃料電池電極は、該燃料電池電極を構成する基板によって形成された、燃料ガスを流入させることによって燃料電池部材に面圧を発生させるための流路7を備え、
流路には、水分保持部材26と該水分保持部材から水分を放出させるための水分放出素子25が設けられ、
該水分放出素子から放出された水分を電解質膜に供給する構成とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池セルに関するものであり、特に、燃料電池セルを構成する部材同士を締結するための面圧を発生させると共に、電解質膜の水管理を可能とする燃料電池セルに関するものである。
従来、使用されている電池として、乾電池と言われている一次電池や、車のバッテリーなどに使われる鉛蓄電池、モバイル機器などで使われるリチウム電池などの二次電池がある。
一次電池は、内部に反応物質を保持しており、反応物質の化学反応により電流を生じるが、反応物質がすべて消費されてしまうと使用できなくなる。
また、近年における電子機器の高性能・多機能化に伴う電力消費量の拡大により十分なエネルギー量を供給出来なくなってきている。
二次電池は、内部に反応物を設け、電流を発生させることで反応物が減少するが、充電することによって逆反応が起こり、生成物質がもとの反応物質に戻ることで繰り返し使用することが出来る。
しかしながら、一回の充電で使用できるエネルギーは一次電池のものよりも少なく、また、充電するために外部電力を必要し、充電するのに数十分から数時間の充電時間を必要としている。
これに対し、近年、地球環境に対して低公害で電力を発生させる燃料電池が注目されている。
燃料電池は従来、宇宙衛星で実用化され、それから、省エネルギー性・環境に対し低公害であることから、発電装置や自動車用の駆動電力源として開発が進められてきた。
また、燃料電池は単位面積当りで、従来の電池に比べ数倍から十倍近い電力が得られることから、さらなる小型・軽量に可能性があるため電気機器の分野でも開発が行われている。
さらに、燃料のみを交換すれば連続して使用が可能であるため、二次電池の様に充電に時間がかかることもない。
燃料電池には、様々な方式のものがあるが、常温から100℃の範囲で作動し、起動時間が短く、単位面積当りの電力が他の燃料電池よりも優れている点から、小型電気機器、とりわけ持ち運びして使用する機器に対しては、固体高分子型燃料電池が適している。
また、大き電力を得るための燃料電池には、水素を燃料に使用するのが効果的である。
常圧下において気体である水素を貯蔵する方法として、つぎのような方法が挙げられる。
第一の方法としては、水素を圧縮して高圧ガスとして保存する方法である。
第二の方法としては、水素を低温にして、液体として貯蔵する方法である。
第三の方法としては、水素吸蔵合金を使用して水素を貯蔵する方法である。
第四の方法として、メタノールやガソリンなどを燃料タンクに積み、改質して水素に変換し使用するという方法がある。
また、最近、第五の方法としてカーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバー、カーボンナノホーンなどの炭素系材料が注目されている。
これらの炭素系材料では、重量当たり約10wt%の水素を吸蔵できる可能性があるためである。
一方、固体高分子型燃料電池の発電は以下の様にして行われる。
高分子電解質膜には、パーフルオロスルホン酸系の陽イオン交換樹脂がよく用いられる。
例えば、このような膜としては、デュポン社のナフィオンなどがよく知られている。
固体高分子電解質膜を、白金などの触媒を担持した一対の多孔質電極、すなわち、燃料極と酸化剤極とで狭持した膜電極複合体が発電セルとなる。
この発電セルに対して、酸化剤極には酸化剤を、燃料極には燃料を供給することにより、高分子電解質膜中をプロトンが移動し、発電が行われる。
この発電反応は60℃〜100℃程度の温度範囲で行われると最も効率がよい。
しかし、このような燃料電池は、水素と白金触媒との反応を良くするため機密性を要する構造体にしなければならない。
このため、設計上の制約が増え、構造体を小さくすることや、組立工程が複雑なものになってしまう。
また、停止時は常温だが、発電時には100℃近くまで上昇するので、燃料電池に使用される部品が熱伸縮を起す。
これにより、燃料電池セルを構成する締結部材同士が熱ひずみにより緩んだり外れたりすることで、機密性を保てなくなったり、積層部材を押さえていた面圧が低下したりなど、燃料電池の発電性能を低下させる問題があった。
以上のような燃料電池セルを構成する部材同士を締結するための面圧の低下を防ぐ構造として、従来において特許文献1では、図6に示すように、面圧発生板42を介してスタック140を締結する圧力を発生させる方法が提案されている。
この方法では、単位燃料電池セル43をセパレータ41で挟み積層してなる燃料電池において、そのセパレータ41に空間44と面圧発生板42が設けられている。
そして、流体入穴45から流入してきた流体が空間44で膨らみ、面圧発生板42を介してスタック140を締結する圧力を発生させている。
一方、前述のパーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系の高分子電解質膜は、耐酸化性に優れ、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示すが、含水率が低下すると膜抵抗が高くなり、電解質として機能しなくなるという性質を有している。
そのため、フッ素系の電解質膜は、通常、飽和含水状態で使用されることが望ましい。
しかし、固体高分子型燃料電池の作動温度は、80℃前後であるので、燃料電池が作動中に電解質膜から水分が蒸発し、電解質膜の含水率が徐々に低下する。
また、プロトンが燃料極側から空気極側に移動する際、水分子も同時に移動するため、燃料極側は、特に乾燥しやすくなっている。これを放置すると電解質膜の膜抵抗が増大して発熱し、電池出力が低下したり、故障の原因となる。
そのため、固体高分子型燃料電池においては、電解質を正常に機能させるために、ガス拡散電極に供給される反応ガスを加湿することが一般に行われている。
このような加湿手段として、従来において特許文献2では、固体高分子型燃料電池の電解質へ供給するべくミスト加湿ユニットを備えた燃料電池用加湿装置が提案されている。
また、特許文献3では、同じく固体高分子型燃料電池の電解質膜燃料極に対向した燃料極側の流路に保水層を設けるようにした固体高分子型燃料電池が提案されている。
特開平6−68898号公報 特開2000−82480号公報 特許第3177256号公報
しかしながら、上記従来例のものにおいては、つぎのような課題を有している。
例えば、特許文献1においては、セパレータ内に面圧発生用の加圧板および空間を必要とする。
そのため、この空間に流体を導くための配管および昇圧器機を使用しなければならず、燃料電池の小型化を図る上で困難が生じる。
また、特許文献2においては、過不足のない燃料ガスへの加湿を行なうものの、その装置は大掛りな装置なっている。
また、特許文献3においては、燃料極側の流路内に保水層を設けることで燃料ガスを通過させるだけで燃料ガスへの加湿を行なわせようとしているものの、電解質膜が十分な含水状態のときにおいても供給されてしまうという不都合が生じる。
本発明は、上記課題に鑑み、燃料電池セルを構成する部材同士を締結するための面圧を発生させると共に、燃料電池セルの内部で発生した水分で燃料ガスを媒体として電解質膜を含水状態にすることができ、小型化が可能となる燃料電池セルの提供を目的とする。
本発明は、次のように構成した燃料電池セルを提供するものである。
本発明の燃料電池セルは、両面に反応層を形成した電解質膜、発電時に燃料ガスの拡散および集電を行なうための部材、電力を取り出すための電極を少なくとも積層した積層体を有する燃料電池セルであって、
前記燃料ガスを流入させることによって前記積層体に印加する面圧を発生する空間を有し、
この前記面圧発生するための流路は、セパレータに設けてもよいし、各セルの電力を取り出すための燃料電池電極に設けてもよく、
直列スタックのようにセパレータを必要としない場合は、燃料電池電極に設けることが好ましい。以下、燃料電池電極に設けた場合を説明する。
前記燃料電池電極は、該燃料電池電極を構成する基板によって形成された、燃料ガスを流入させることによって前記燃料電池部材に面圧を発生させるための流路を備え、
前記流路には、水分保持部材と該水分保持部材から水分を放出させるための水分放出素子が設けられ、
該水分放出素子から放出された水分を前記電解質膜に供給することを特徴とする。
また、本発明の燃料電池セルは、前記燃料電池電極を構成する基板は、可撓性の板状部材によって構成され、
前記板状部材には、流路、配線パターン及び前記水分放出素子を駆動するための駆動デバイスが形成されていることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池セルは、前記水分放出素子が、超音波振動子、またはセラミックヒーターで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池セルは、前記面圧を発生させるための流路と電解質膜側とを繋ぐ流路口、および前記面圧を発生させるための流路へ燃料ガスを供給するための通流口に、水分の移動を制限する部材が設けられていることを特徴とする。
本発明の燃料電池セルによれば、燃料電池セルを構成する部材同士を締結するための面圧を発生させると共に、燃料電池セルの内部で発生した水分で燃料ガスを媒体として電解質膜を含水状態にすることができ、小型化を図ることが可能となる。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例により説明する。
以下に、本発明の実施例について説明する。
なお、以下の各実施例の説明における各図中の各符号は、同じ構成には同一の符号が付されている。
[実施例1]
本発明の実施例1においては、本発明を適用した燃料電池セルについて説明する。
本実施例の燃料電池セルは、燃料電池セルの内部で発生した水分で燃料ガスを媒体として電解質膜を含水状態にするようにしたものであるが、それは図1に示す構成の面圧を発生させるようにした燃料電池セルに適用することで、より大きな効果をもたらす。
したがって、まず、図1に示された面圧を発生させるように構成した燃料電池セルについて説明する。
図1は、この燃料電池のセルを断面にして横から見た概要図である。
図1において、1は燃料電池セル、2は燃料電池電極、3は流路、4は流路、5は通流口、6は通流口、7は面圧を発生させるための流路、8は基板、9は流路口、10は通流口、11は基板である。
12はガス拡散層、13はガス拡散層、14は反応層、15は反応層、16は電解質膜、17はMEA、18は金属層、19はスペーサ、20は固定材、21は通流口、22は筐体、23は開口部、24は通流口である。
上記燃料電池セルにおいて、燃料電池電極2の構造は、燃料ガスが流れる流路3、4、通流口5、6、面圧を発生させるための流路7が形成されている基板8に、流路口9が形成されている基板11が貼り合わされて構成されている。
基板8、11の材料としては、例えば、両面に導電層を形成したフレキシブル基板、セラミック基板、アルミ基板、シリコン基板等に、流路、配線パターンあるいは後述する水分放出素子を駆動する駆動デバイス等が形成されたものが挙げられる。本実施例では、フレキシブルで安価なフレキシブル基板が好ましい。
また、貼り合わせる方法としては、半田接合、超音波接合、接着等が挙げられるが、強度と機密性で優れている接合が好ましい。
これにより、シール部材、気密を保持するための部品精度が必要なくなる。また、基板の両面の電通は、図示しないスルーホールで取られている。
ガス拡散層12、13は、流入してきたガスの拡散と、集電材としての機能を有する。
このような発電時に燃料ガスの拡散および集電を行なうための部材を構成するガス拡散層12、13は、材料にカーボン材等を用いて形成することができる。
両面に反応層14、15を形成した電解質膜16(以下、MEA17と記す)は、燃料電池電極2より流入してきた燃料ガスを外気にリークするのを防ぐため、電解質膜16の外周辺に金属膜18が形成されている。
この金属膜18は、めっき、スパッタなどにより金属層が形成されたものか、薄い金属箔をかしめた構造が挙げられる。スペーサ19は、電極2とMEA17との高さを調整するための部材である。
これらの上記燃料電池電極2上に、以上の燃料電池部材を構成する、ガス拡散層12、MEA17、スペーサ19、ガス拡散層13を積層して、燃料電池セル1とする。
燃料電池電極2、スペーサ19、MEA17は、それぞれ上記で挙げた接合もしくは接着により、シールに必要な部品と部品精度を省くことが出来る。接着剤(固定材)20は、積層した部材を更に固定するものである。
次に、上記燃料電池セルの面圧印加機能について、説明する。
図1にある通流口21、5より流入した燃料ガスは、流路3を介して流路7に至る。
通流口21より流入する燃料ガスは図示しない燃料タンクより導かれている。
その燃料タンクの貯蔵方法として水素吸蔵合金を使用したものが挙げられ、常温で解放圧力が0.2MPaの特徴を有する、例えば、材質としてLaNi5が好ましい。
流路7に至った燃料ガスの圧力により、上下面が膨らみ、積層したガス拡散層12、MEA17を筐体22内壁に押し付けて締結力を発生させることが出来る。これにより、面全体で均一な圧力を加えられるのと、接触抵抗を低減させることが出来る。
さらに燃料ガスは、流路口9を通ってガス拡散層12を介して反応層15に至り、開口部23より流入してきた酸素と反応して発電が始まり、通流口10、流路4、通流口24から、外部へ流出する。
このとき、流路7の圧力を高めるためコンダクタンスは、流路3>流路口10>流路口9の関係が好ましい。
これにより、面全体に燃料ガスが行き亘りつつ、面圧を印加することができる。
次に、以上のような面圧を発生させると共に、燃料電池セルの内部で発生した水分で燃料ガスを媒体として電解質膜を含水状態にするようにした本実施例の燃料電池セルについて説明する。
図2に、本実施例の燃料電池セルの構成を説明するための図を示す。
また、図3に本実施例における超音波振動子を駆動する駆動制御回路を説明するためのブロック図を示す。
動作および各部の構成は、上記図1のものと基本的には同じであるが、ここで特に上記図1に示す構成と異なっている点は、基板8の上に水分放出用の超音波振動子25およびその上に保水シート26を設けたことである。
本実施例において、超音波振動子25は、図3に示すように駆動制御回路27〜29によって、駆動される。
本実施例の燃料電池セルにおいては、燃料電池電極2における面圧を印加するための前記流路7内に、水分保持部材である保水シート26と、該保水シート26から水分を放出させるための水分放出素子である超音波振動子25が設けられている。
これにより、保水シート26から放出された水分が流路口9を通して燃料極側の電解質膜16を含水状態にすることができる。
発電部燃料極側の電解質膜16へ水分を補給する必要がある場合は、主に次の2つがある。
1つは通常発電状態において、発電部酸化剤極での水の発生よりも蒸発のほうが勝っていることで燃料極側の電解質膜16への水分の浸透が少ない場合である。もう1つは、燃料電池を発電せずに長時間放置したことによる発電部燃料極側の電解質膜16の水分蒸発が進み、再起動時において、燃料極側の電解質膜16の水分が不足している場合である。
上述の2つの場合ともこの燃料電池セル1の発電状態を図示しない外部回路より検出していることにより他の状態と判別することができる。
前述の燃料極側の電解質膜16の水分が不足しているという発電状態遷移信号30がこの外部回路から制御回路29へ入力されると、制御回路29から波形出力部28へ所定の周波数の信号を出力するように指令信号を出す。
波形出力部28は、所定周波数の基準信号を駆動部27へ出力し、駆動部27は、所定周波数を基準とした駆動信号を超音波振動子25へ出力する。
因に、所定周波数の範囲は、およそ20KHz〜100KHzの範囲である。
また、このセル1の発電状態を図示しない外部回路において検出するには、例えば、燃料電池セル1の発電出力電圧の変動やMEA17付近の温度変化をとらえる方法などが挙げられる。
超音波振動子25が所望の周波数で振動を始めると、その超音波振動子25の上部に配設された保水シート26へ振動が伝達される。
保水シートの材料としては、シリカなど多孔質体で形成されていることで水分を多数の孔の中に保持できるものであればよい。
また、超音波振動子を駆動するための駆動制御回路等の駆動デバイスは、燃料電池電極2を構成するためのフレキシブル基板に形成することができる。
事前に含水されている保水シート26の内部の水分は、保水シート26に設けられた超音波振動子25が振動することと、水分子同士が振動し合うことにより、水分子として電極2内の流路7に放出される。
放出された水分は、燃料電池電極2に構成された流路口9を通りガス拡散層12へ導かれる。
ガス拡散層12は通常疎水処理が施されているため、水分は反応層15および燃料極側の電解質16へ向かい、電解質膜16へ到達し、含水状態となる。
また、超音波振動子を駆動源とした理由として、次のような点を挙げることができる。
その一つに、水分を放出する手段として熱源に比べ多くの電力を必要としないことが挙げられる。
他の一つに、前述の電極2内流路7という限られた空間に配設する上で、薄いシート状に形成することが容易でありフレキシブル基板上に実装するのに好適であることが挙げられる。
その他に、前述以外の発電部燃料極側の電解質膜16へ水分を補給する必要がある場合についても、上述のような手段を行うことができるのは言うまでもない。
[実施例2]
実施例2においては、水分の放出手段として、実施例1の超音波振動子の代わりに、セラミックヒーター31を用いた構成例について説明する。
図4に、本実施例におけるセラミックヒーターを駆動する駆動制御回路を説明するためのブロック図を示す。
基本的動作は実施例1と同じであるが、本実施例では図4に示すように、駆動制御回路として水分を放出する手段が実施例1とは異なる構成を備えている。
すなわち、本実施例においては、水分の放出手段を超音波振動子25の代わりにセラミックヒーター31を用いられる。
したがって、説明の上では、図2の超音波振動子25の代わりにセラミックヒーター31に置き換えるだけであるため、概要図は省略する。
セラミックヒーター31を用いた理由は、燃料極側の電解質膜16をより多くの含水状態にするためである。
本実施例において、超音波振動子により燃料電池電極2内の流路7へ放出されるのは水分子であり、セラミックヒーター31により放出されるのは水蒸気分子である。
気体中の含ませることのできる水分量は、水蒸気分子のほうが細かい分多くなる。
図4の駆動制御回路は、ヒーターのオンオフ制御でも可能なため、波形出力部を必要としない。以下動作について説明する。
前述燃料極側の電解質膜16の水分が不足しているという発電状態遷移信号30がこの外部回路から制御回路29へ入力されると、制御回路29から駆動部32へセラミックヒータ31を駆動させるように指令信号を出す。
駆動部32は、セラミックヒータ31へ電圧を印加する。セラミックヒータ31が所望の時間だけオンすることにより、そのセラミックヒータ31の上部に配設された保水シート26は加熱される。
事前に含水されている保水シート26の内部の水分は、水蒸気となって燃料電池電極2内の流路7に放出される。
放出された水分は、燃料電池電極2に構成された流路口9を通りガス拡散層12へ導かれる。ガス拡散層12は通常疎水処理が施されているため、水分は反応層15および燃料極側の電解質膜16へ向かい、電解質膜16へ到達し、含水状態となる。
また、燃料電池電極2が前述のようにフレキシブル基板で構成されていることから、つぎのような構成を採ることができる。
すなわち、水分を保水する手段と水分を放出する手段だけではなく、必要とあらばフレキシブル基板上に駆動部32を構成するICの実装パターンを作成し、そこに各ICを実装することで、さらに装置全体の小型化が可能になる構成を採ることができる。
[実施例3]
実施例3においては、実施例2の構成に加え、燃料電池電極における流路口および通流口に機能フィルター33、34を設けた構成例について説明する。
図5に、本実施例における燃料電池セルの構成を説明するための図を示す。
基本的動作は実施例1及び実施例2と同じであるが、本実施例では図5に示すように、水分の放出手段として、セラミックヒーター31を用い、燃料電池電極2に形成された流路口9および通流口5に、機能フィルター33、34が設けられている。
すなわち、本実施例においては、面圧を発生させるための流路が形成された燃料電池電極2において、該流路と電解質膜側とを繋ぐ流路口9に機能フィルター33が、また該流路へ燃料ガスを供給するための通流口5に機能フィルター34が、設けられている。
ここで、機能フィルター33、34を設けた理由は、保水シート26への外部からの多量な水分の流入を制限するためである。
機能フィルター33、34は、一般的に知られているゴアテックスの機能と同様な機能、すなわち、水は通さずに水蒸気は通す機能を有したものとする。
水蒸気は、このフィルターを挟んで温度の高い方から低い方へと移動する。
この性質を利用して、燃料極側の電解質膜16の含水状態が不足している場合には、実施例2と同様の動作することで、燃料極側の電解質膜16の含水状態の不足を解消させることができる。
以上場合とは異なり、本燃料電池セル1が発電状態にあり、酸化剤極側での水の生成が盛んに行われ、同時に発生する水蒸気が燃料極側の電解質膜16へも流れ込んでくる場合について説明する。
燃料極側の電解質膜16にある水蒸気は、前述の流れとは逆に、燃料極側の電解質膜16から流路口9および機能フィルター33を通って、保水シート26まで入り込んでくる。
このとき、燃料極側の電解質膜16と保水シート26の温度の関係は保水シート26側のほうが低い状態になっている。
このままだと、保水シート26への含水状態は、飽和状態に達し、結露が発生してしまう可能性がある。
この結露状態は、この燃料電池電極2内から燃料ガスの流れとは逆向きに燃料ガス流路へ水が流れ出す可能性をもち、これは図示されていない燃料ガスを制御している弁等に悪影響を与えかねない。
そこで、燃料電池電極2内から燃料ガスの流れとは逆向きに燃料ガス流路へ水が流れ出すことを防ぐために通流口5の手前にフィルター34を設けることで改善される。
そして、燃料極側の電解質膜16からの水蒸気の流入を制限するために、燃料電池電極2内に設けたセラミックヒーターを用いて、燃料電池電極2内の温度を制御し、燃料極側の電解質膜16との温度差を無くすことで改善される。
以上のように、本実施例においては、水分の放出に関する機能ばかりでなく、保水手段への吸水に関する制御が可能となる。
以上で説明した上記各実施例の構成によれば、限られた電極の面圧を発生させる空間および流路内で水分を発生させ、燃料ガスを媒体として適時電解質膜を含水状態にすることができる。
これにより、電解質膜を乾燥させてしまうことで電解質膜の膜抵抗が増大して発熱し、電池出力が低下したり、故障の原因となることがなくなり、信頼性を向上させることが可能となる。
本発明の実施例1に用いられる面圧を発生させるように構成した燃料電池セルについて説明するための図。 本発明の実施例1における燃料電池セルの構成を説明するための図。 本発明の実施例1における超音波振動子を駆動する駆動制御回路を説明するためのブロック図。 本発明の実施例2におけるセラミックヒーターを駆動する駆動制御回路を説明するためのブロック図。 本発明の実施例3における燃料電池セルの構成を説明するための図。 従来例の特許文献1の燃料電池において、セパレータ内に面圧発生板と空間を具備し、その空間に加圧された流体を入れることで、締め付け加圧している燃料電池を説明するための概要図。
符号の説明
1:燃料電池セル
2:燃料電池電極
3:流路
4:流路
5:通流口
6:通流口
7:面圧を発生させるための流路
8:基板
9:流路口
10:通流口
11:基板
12:ガス拡散層
13:ガス拡散層
14:反応層
15:反応層
16:電解質膜
17:MEA
18:金属層(金属膜)
19:スペーサ
20:固定材(接着剤)
21:通流口
22:筐体
23:開口部
24:通流口
25:超音波振動子
26:保水シート
27:駆動部
28:波形出力部
29:制御回路
30:発電状態遷移信号
31:セラミックヒーター
32:駆動部
33:フィルター
34:フィルター

Claims (5)

  1. 両面に反応層を形成した電解質膜、発電時に燃料ガスの拡散および集電を行なうための部材、電力を取り出すための電極を少なくとも積層した積層体を有する燃料電池セルであって、
    前記燃料ガスを流入させることによって前記積層体に印加する面圧を発生する空間を有し、
    前記面圧を発生する空間内に水分保持部材と前記水分保持部材から水分を放出させるための水分放出素子を設け、
    放出された水分を前記電解質膜に供給することを特徴とした燃料電池セル。
  2. 両面に反応層を形成した電解質膜、発電時に燃料ガスの拡散および集電するための部材、を少なくとも含む燃料電池部材と、
    電力を取り出すための燃料電池電極と、が積層された構造を有する燃料電池セルであって、
    前記燃料電池電極は、該燃料電池電極を構成する基板によって形成された、燃料ガスを流入させることによって前記燃料電池部材に面圧を発生させるための流路を備え、
    前記流路には、水分保持部材と該水分保持部材から水分を放出させるための水分放出素子が設けられ、
    該水分放出素子から放出された水分を前記電解質膜に供給することを特徴とする燃料電池セル。
  3. 前記燃料電池電極を構成する基板は、可撓性の板状部材によって構成され、
    前記板状部材には、流路、配線パターン及び前記水分放出素子を駆動するための駆動デバイスが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記水分放出素子が、超音波振動子、またはセラミックヒーターで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池セル。
  5. 前記面圧を発生させるための流路と電解質膜側とを繋ぐ流路口、および前記面圧を発生させるための流路へ燃料ガスを供給するための通流口に、水分の移動を制限する部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃料電池セル。
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