JP2008145218A - 病理組織検査標本作成用の包埋トレイ - Google Patents

病理組織検査標本作成用の包埋トレイ Download PDF

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Abstract

【課題】本体の側面に記録部が設けられたカセットを用いてパラフィンブロック付着体を作成する際に、記録部にパラフィンが付着して該記録部の文字が見え難くなったり、付着したパラフィンを除去する煩雑なトリミング作業を必要としない病理組織検査標本作成用の包埋トレイを提供する。
【解決手段】 パラフィン収容部2は底部3とその周りに立設された側壁4とからなる上面が開口した方形の容器からなり、該収容部2の各上端角部にはカセット支承部5が設けられ、各側壁4の上端からはカセットをパラフィン収容部2上に載置し係止する係止壁6が立設され、少なくともカセットの記録部C3が配置される辺は、隣り合うカセット支承部5,5間が側壁4から係止壁6に渡って略面一に形成されるとともに、係止壁6が実質的に該記録部C3を覆わないように低く形成され、更に、該係止壁の外周に略水平状の額縁部を備えていないことを特徴とする病理組織検査標本作成用の包埋トレイ1である。
【選択図】図1

Description

本発明は病理組織検査標本作成用の包埋トレイに関し、更に詳しくは、本体の側面に記録部が設けられたカセットを用いてパラフィンブロック付着体を作成する際に、記録部にパラフィンが付着して該記録部の文字が見え難くなったり、付着したパラフィンを除去する手間と時間を要する煩雑なトリミング作業を必要としない病理組織検査標本作成用の包埋トレイに関する。
従来、この種の病理組織検査標本作成用の包埋トレイとしては、図19に示したようなものが多用されている。この包埋トレイTはパラフィン収容部T1と、その周縁に水平状に設けられた、カセットを載置するためのカセット支承部T2と、その周縁に立設されたカセットの動きを止めるためのカセット係止部T3と、その周縁に水平状に設けられた額縁部T4となり、更に、長手方向の額縁部T4の略中央部に横設された把持部T5とから構成されている。
また、近年では、方形の容器からなるパラフィン収容部とその周縁に設けられたパラフィンブロック付着体の載置部とからなり、前記載置部が少なくとも2個設けられており、サイズの異なる2種類以上のカセット等に対応できる病理組織検査標本作成用トレイが知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記病理組織検査標本作成用トレイを使用して顕微鏡標本を作製するには、図20,図21に示すように、まず、カセット本体C1内に採取した検体Sを収容して蓋C2を取り付けて、記録部C3には被験者の氏名や番号等を記入しておく。次いで、カセット本体C1の底部や蓋C2に穿設された透孔C4から水を流入させて、検体Sを水洗し、次いでアルコールにより検体Sの水分を除去し、キシレンにより後述する液状パラフィンとの親和性を付与する。
次に、図22に示すとおり、検体SをトレイTに移して該トレイTのカセット支承部T2にカセット本体C1の底部を載せ、上方からパラフィンPを注入する。この場合、通常パラフィンPの注入作業性の面から、トレイTの額縁部T4からオーバーフローするまで注入される。次いで、パラフィンPを冷却固化させた後、トレイTを取り除くことにより、図23に示したように、検体Sを包埋したパラフィンPがカセット本体C1の底部に付着してなるパラフィンブロックBを得る。その後、ミクロトームでパラフィンに包埋された検体Sをスライスして薄片を得て、これに染色等の所定の処理を施すことにより顕微鏡標本を得るのである。
しかしながら、上記の方法では、図23に示すように、カセット本体C1の記録部C3に記載した被験者の氏名や番号等がパラフィンP1により覆われ、記録内容を十分に確認することができないため、このパラフィンP1をナイフで削り取るトリミング作業が不可欠である。しかしながら、固化したパラフィンは硬く、このパラフィンP1の削り取り作業は極めて面倒で、作業性を大きく低下させる。またナイフでの削り取り作業の際に、記録部C3の表面が傷付けられ、この傷が益々パラフィンを強固に付着させ、トリミング作業を一層厄介なものとするばかりでなく、カセット本体C1の外観を損ない、また、繰り返し使用の回数を低下させる原因となる。
一方、上記面倒なパラフィンP1のトリミング作業を回避せんとして、パラフィンPが記録部C3を覆わないように注意してパラフィンPのレベルをカセット係止部T3の下位に止めるように注入しようとする事が考えられるが、この場合は、パラフィンP1の注入に細心の注意が必要で、注入作業が面倒となるとともに、時間が掛かり、結局、作業性の大幅な低下は避けられない。
他方、パラフィンP1のトリミング作業を行わず、記録部C3の記録内容の確認が不十分な状態で作業を進めると、被験者を誤認し、信頼性が大きく損なわれるという重大な結果を招くことになる。
特開2006−300745号公報
本発明者らは、かかる実情に鑑み、上記問題点を解消するべく鋭意研究の結果、上記現象は、第1に、従来の包埋トレイがパラフィンの溜まり易い水平部分からなるカセット支承部T2や額縁部T4を有するためであり、第2に、カセット係止部T3が不必要に高いことに起因することを突き止め、少なくともカセットの記録部が配される辺については、包埋トレイのカセット支承部を形成する水平部分を極力少なくするとともに、カセット係止部を低くすることにより、初期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、本発明の請求項1は、パラフィン収容部の上端にカセットを載置して使用する病理組織検査標本作成用の包埋トレイであって、前記パラフィン収容部は底部とその周りに立設された側壁とからなる上面が開口した方形の容器からなり、該収容部の各上端角部にはカセット支承部が設けられ、各側壁の上端からはカセットをパラフィン収容部上に載置し係止する係止壁が立設され、少なくともカセットの記録部が配置される辺は、隣り合うカセット支承部間が側壁から係止壁に渡って略面一に形成されるとともに、係止壁が実質的に該記録部を覆わないように低く形成され、更に、該係止壁の外周に略水平状の額縁部を備えていないことを特徴とする病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
本発明の請求項2は、四辺の全ての辺において、隣り合うカセット支承部間が側壁から係止壁に渡って略面一に形成されるとともに、係止壁が実質的に該記録部を覆わないように低く形成され、更に、該係止壁の外周に略水平状の額縁部を備えていないことを特徴とする請求項1記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
本発明の請求項3は、カセットの記録部が配置される辺の係止壁の高さは、パラフィン収容部上に載置するカセットの高さの4分の1以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
本発明の請求項4は、把持部が、カセットの記録部が配置されない係止壁の上端から横設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
本発明の請求項5は、パラフィン収容部の形状が左右非対称であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
本発明の病理検査標本作成用の包埋トレイは、少なくともカセットの記録部が配置される側壁において、隣り合うカセット支承部間が側壁から係止壁に渡って略面一に形成され、且つ、壁部の係止壁は実質的に該記録部を覆わないように低く形成されるとともに、該係止壁の外周に略水平状の額縁部を備えていないので、余分のパラフィンは云わば切りっ放しの係止壁により下方に切り落とされる。また、記録部の下方にはパラフィンが滞留し盛り上がるような水平部分がなく、記録部をパラフィンが覆うようなことがなくなる。従って、付着したパラフィンを削り取る面倒なトリミング作業が不要で、作業性が高められるとともに、容易且つ確実に記録内容を確認できる。
この係止壁の高さはカセットの高さの4分の1以下が好ましく、より好ましくは5分の1以下であり、この程度であると、実質上記載された文字等がパラフィンで覆われるようなこともない。
また、カセットの記録部が配される辺のみならず、残りの三辺も含め四辺全ての辺を同様の構造とすることにより、包埋トレイの材料が節約できるとともにパラフィンの量も少なくてすみ、更に、四辺の切りっ放しの係止壁によりパラフィンが下方に切り落とされるので作業性が高められる。
また、把持部をカセットの記録部が配置されない壁部の係止壁の上端から横設すれば、例え把持部の上にパラフィンが盛り上がったとしても記録部に記載された被験者名等を覆うことがなく、且つ該トレイが持ちやすくなるので、作業性は大巾に向上する。
さらに、パラフィン収容部の形状を左右非対称とすれば、顕微鏡標本を作製したとき、パラフィンの形状で標本の左右が判別できるため、標本の取り違え等の危険性が減少し、検査の信頼性が向上する。
本発明の病理検査標本作成用の包埋トレイ(以下、単に包埋トレイと記す)は、パラフィン収容部の上端にカセットを載置して使用される。本発明の包埋トレイは、パラフィン収容部が底部とその周りに立設された側壁とからなる上面が開口した方形の容器からなり、該収容部の各上端角部にはカセット支承部が設けられ、各側壁の上端からはカセットをパラフィン収容部上に載置し係止する係止壁が立設され、少なくともカセットの記録部が配置される辺は、隣り合うカセット支承部間が側壁から係止壁に渡って略面一に形成されるとともに、係止壁が実質的に該記録部を覆わないように低く形成され、更に、該係止壁の外周にはパラフィンの滞留し易い略水平状の額縁部を備えていないことを特徴とするものである。
本発明の包埋トレイは液状(溶融)パラフィンに耐える耐熱性素材から作られ、かかる素材としては、ステンレス等の金属、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール等の樹脂等が挙げられる。
パラフィン収容部は、パラフィンブロックの脱型を容易にするため、通常、側壁が底部から開口部に向かって末広がりのテーパー状の容器からなる。
パラフィン収容部の各上端角部にはカセット支承部が設けられる。該カセット支承部は、パラフィンブロック収容部の上端角部にカセットを載置できるものであれば特に制限されないが、パラフィン収容部の角部をやや内側に陥入させた構造が例示できる。カセット支承部の形状は特に制限されず、三角形、四角形、扇形等のいずれでもよい。
なお、パラフィンはこのカセット支承部の上で盛り上がってカセットの角部を覆う場合があるが、検体を識別するための文字等は、通常の場合、記録部の中央部寄りに記載されるため、盛り上がったパラフィンにより隠される恐れは殆どない。しかしながら、この恐れを更に小さくするため、少なくとも記録部が配置される側壁に接するカセット支承部はできるだけ小さい方が好ましい。
各側壁の上端からはカセットをパラフィン収容部上に載置し係止する係止壁が立設される。係止壁の高さは、カセットの側部を覆うパラフィンを減らし、記録部に記載された文字等を確実に読み取るために、実質的に該記録部を覆わないように低く形成される。
具体的な係止壁の高さはカセットの大きさに応じて適宜決定すればよく、特に限定されないが、記録部に記載する文字の大きさ等を考慮すると、好ましくは該カセットの高さの4分の1以下、より好ましくは5分の1以下であれば、記録部に記載される文字等が隠される恐れが少なく、記録部は実質的に覆われない。
本発明において、少なくともカセットの記録部が載置される辺では、パラフィン収容部の側壁からその上部の係止壁まで略面一に形成される。これにより側壁から係止壁にかけてパラフィンが溜まることろがなく、従ってパラフィンが盛り上がった状態で固化し記録部の文字が隠される恐れがなくなる。なお、ここでいう略面一とは、パラフィンを貯留させるような突部や水平部分がないことを意味するのであって、適正なカセット装着位置を示すために線や型番などが刻印される程度の凹凸はあってもかまわない。
また、カセットの記録部が設けられていない面がパラフィンで覆われても記録の読み取りには支障がないため、記録部が配置されない側壁については必ずしも略面一にする必要はない。特に、把持部をカセットの記録部が配置されない側壁や係止壁の上端から横設し、この把持部の上でパラフィンが盛り上がったとしても記録部の文字を隠すことはないので特に不都合はない。
しかしながら、カセットの記録部が配される辺のみならず、残りの三辺も含め四辺全ての辺を同様の構造とすることにより、包埋トレイの材料が節約できるとともにパラフィンの量も少なくてすみ、更に、四辺の切りっ放しの係止壁によりパラフィンが下方に切り落とされるので作業性が高められる。
パラフィン収容部の形状は、左右非対称とすることにより、ミクロトームでスライスされた薄片の左右が明確に区別されるので、作業性が高められ、また左右誤認により検体を取り違えるといったトラブルが防止されるので、検査の信頼性が向上する。
左右非対称とする方法は特に限定されないが、例えば、角部のアール半径を変える(大きくする)方法、角部の形状を変える方法、記録部が配置されない辺の側壁を波形にするなどの方法が採用できる。
本発明の包埋トレイでパラフィンブロックを作成するカセットは側面に記録部を有するカセットであれば特に限定はなく、代表的なカセットとして、図17,20に示すように、側壁外側にミクロトームのアダプターにより係止するためのアダプター係止部C5を設けたカセット、図18, 21に示したように、斜面状の記録部C3を設けたカセット等が挙げられる。
以下、本発明を図面に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことは云うまでもない。
実施例1
本実施例の包埋トレイ1は、図1〜図3に示すように、底部3とそれを取り囲む側壁4とから形成される方形の容器からなるパラフィン収容部2と、該収容部2の上端、即ち、該収容部2の開口部に四辺とも低く立設された係止壁6と、係止壁6の上端から横設された把持部7からなる。
パラフィン収容部2の右側及び左上の角部は若干内側に陥入されてアール処理されており、その上端からは水平にカセット支承部5が延設されている。そして、左下の角部は他の角部と比較して大きく嵌入されており、その上端から延設されるカセット支承部5aも大きくされている。これによりパラフィン収容部2は左右非対称とされており、パラフィンブロックBから顕微鏡標本を作製した後も、その検体を含むパラフィンの形状を見ることによりその検体の向きを判断できる。
図4は本実施例の包埋トレイ1の断面図を実線で示すと共に、検体SとカセットCを破線で示した図である。なお、図4におけるカセットCは図17及び図20に示したものである。この包埋トレイ1は、破線で示したように、検体Sをパラフィン収容部2に投入するとともに、カセット本体C1をカセット支承部5の上に載置して使用する。この場合、カセット本体C1の記録部C3は把持部7が設けられていない辺、具体的には図4における左右の辺(図1における右辺と左辺)のいずれかに配置されるが、本図においては右辺に配置されている。
本実施例の包埋トレイ1の四辺全ての辺においてカセット支承部5,5の間の部分は、側壁4からその上端の係止壁6まで略面一とされ、即ち、この部分には支承部や把持部といった水平部分がなく、係止壁6から側壁4にかけてパラフィンが溜まるところがない。従って図5で示したように、、本実施例の包埋トレイ1を用いて使用したパラフィンブロックBでは、固化したパラフィンが盛り上がって記録部に記載される文字等Nが隠される事もない。
なお、図5では、パラフィンブロックBの角部ではパラフィンPがカセット支承部5の上部で少し盛り上がっているが、この程度の盛り上がりは特に問題ではなく、また、通常の場合、被験者の名前等Nは記録部C3の中央寄りに記録されるため、実質的に記録の読み取りには支障がない。また、把持部6の上に余分なパラフィンP1が盛り上がっているが、把持部6はカセットの記録部が配置されない係止壁6の上端から横設されており、当然このパラフィンP1が記録部の文字等Nを隠すことはない。
本実施例においてパラフィン収容部の大きさは、開口部が40mm×28mm、底部が36.6mm×25.6mm、高さが8mmである。パラフィン収容部の上端に立設された係止壁の高さは1.2mmであり、その上端から横設される把持部7は2mm×20mmである。なお、使用する予定のカセットの高さは6.4mmであるので、係止壁の高さはカセットの高さの4分の1以下(1.2/6.4)である。
実施例2
本実施例の包埋トレイ1は、図6に示すように、実施例1の図1において、左下の大きいカセット支承部5aを他の3つのカセット支承部5と同じ大きさとした他は実施例1と同様である。
実施例3
本実施例の包埋トレイ1は、図7〜図9に示すように、底部3とそれを取り囲む側壁4とから形成される方形の容器からなるパラフィン収容部2と、該収容部2の上端、即ち、該収容部2の開口部に立設された係止壁6と、係止壁6の上端から横設された把持部7からなる。
パラフィン収容部2の右側の角部は若干内側に陥入されてアール処理されており、上下及び左側の側壁4の上端全体からカセット支承部5が横設されている。従って、本実施例ではパラフィン収容部2の各上端角部を含む広範な部分にカセット支承部5aが設けられ、カセットCはより安定的にパラフィン収容部2上に載置される。左下の角部は他の角部と比較して大きく嵌入されており、その上端から延設されるカセット支承部5も大きくされている。これによりパラフィン収容部2は左右非対称とされており、パラフィンブロックBから顕微鏡標本を作製した後も、検体Sを含むパラフィンPの形状を見ることによりその検体Sの向きを判断できる。
図10は本実施例の包埋トレイ1の断面図を実線で示すと共に、検体SとカセットCを破線で示した図である。なお、図10におけるカセットCは図18及び図21に示したものである。この包埋トレイ1は、破線で示したように、検体Sをパラフィン収容部2に投入するとともに、カセット本体C1をカセット支承部5の上に載置して使用する。この場合、カセット本体C1の記録部C3はカセット支承部5及び把持部7がいずれも設けられていない辺、具体的には図10における右辺(図7における右辺)に配置される。
本実施例の包埋トレイ1の右辺(カセット本体C1の記録部C3が配される側)においてカセット支承部5の間の部分は、側壁4から係止壁6まで略面一とされ、即ち支承部や把持部といった水平部分がなく、係止壁6から側壁4にかけてパラフィンが溜まるところがない。従って、本実施例の包埋トレイ1を用いて使用したパラフィンブロックBでは、固化したパラフィンが盛り上がって記録部に記載される被験者の名前等Nが隠される事もない。
なお、図11で示したように、パラフィンブロックBの左右ではパラフィンPがカセット支承部5の上部で少し盛り上がっているが、この程度の盛り上がりは特に問題ではなく、また、通常の場合、名前等Nは記録部C3の中央寄りに記録されるため、実質的に記録の読み取りには支障がない。また、把持部6の上に余分なパラフィンP1が盛り上がっているが、把持部6はカセットの記録部が配置されない係止壁6の上端から横設されており、当然このパラフィンP1が記録部の名前等Nを隠すことはない。
本実施例においてパラフィン収容部の大きさは、開口部が41.6mm×28.8mm、底部が36.6mm×25.6mm、高さが8.4mmである。パラフィン収容部の上端に立設された係止壁の高さは、記録部が配置される右側で1.2mm、その他で2.2mmであり、その上端から横設される把持部7は2mm×20mmである。なお、使用する予定のカセットの高さは6.4mmであるので、記録部が配置される側壁の係止壁の高さはカセットの高さの4分の1以下(1.2/6.4)である。
実施例4
本実施例の包埋トレイ1は、図12〜14に示すように、底部3とそれを取り囲む側壁4とから形成される方形の容器からなるパラフィン収容部2と、該収容部2の上端、即ち、該収容部2の開口部に四辺とも低く立設された係止壁6からなる。
パラフィン収容部2の右側の角部は若干内側に陥入されてアール処理されてカセット支承部5が設けられ、左側の角部は右側の角部と比較して大きく嵌入され大きいカセット支承部5aが設けられている。これによりパラフィン収容部2は左右非対称とされており、パラフィンブロックから顕微鏡標本を作製した後も、その検体に付随するパラフィンの形状を見ることによりその検体の向きを判断できる。
図15は、本実施例の包埋トレイ1の断面図を実線で示すと共に、検体SとカセットCを破線で示した図である。なお、図15におけるカセットCは図17及び図20に示したものである。この包埋トレイ1は、破線で示したように、検体Sをパラフィン収容部2に投入するとともに、カセット本体C1をカセット支承部5の上に載置して使用する。本実施例の場合、包埋トレイ1のいずれの辺にもカセット支承部5及び把持部7が設けられていないため、任意の辺に記録部C3を配置でき、言い換えると、カセットCのいずれの側面に被験者の名前等Nを記載しても、盛り上がったパラフィンPにより隠される恐れがない。
本実施例の包埋トレイ1の上下左右の各側壁4,4においてカセット支承部5,5の間の部分は、側壁4からその上端の係止壁6まで略面一とされ、即ちこの部分には支承部や把持部といった水平部分がなく、係止壁6から側壁4にかけてパラフィンが溜まるところがない。従って、本実施例の包埋トレイ1を用いて使用したパラフィンブロックBでは、固化したパラフィンが盛り上がって記録部に記載される文字等Nが隠される事もない。
なお、図16で示したように、パラフィンブロックBの角部ではパラフィンPがカセット支承部5の上部で少し盛り上がっているが、この程度の盛り上がりは特に問題ではなく、また、通常の場合、名前等Nは記録部C3の中央寄りに記録されるため、実質的に記録の読み取りには支障がない。
本実施例においてパラフィン収容部の大きさは、開口部が40mm×28mm、底部が36.6mm×25.6mm、高さが8mmである。パラフィン収容部の上端に立設された係止壁の高さは0.8mmである。なお、使用する予定のカセットの高さは6.4mmであるので、記録部が配置される側壁の係止壁の高さはカセットの高さの4分の1以下(0.8/6.4)である。
叙上のとおり、本発明の病理組織検査標本作成用の包埋トレイは、本体の側面に記録部が設けられたカセットを用いてパラフィンブロック付着体を作成する際に、記録部にパラフィンが付着して該記録部の文字が見え難くなることがなく、また、付着したパラフィンを除去する煩雑なトリミング作業が不要であるため、病理組織検査標本を作成する作業性や検査の信頼性が大幅に高められ、その有用性は頗る大である。
本発明の包埋トレイの実施例1を示す平面図である。 実施例1の側面図である。 実施例1の正面図である。 実施例1(図1)のA−A断面図である。 実施例1の包埋トレイを使用して作成したパラフィンブロックである。 本発明の包埋トレイの実施例2を示す平面図である。 本発明の包埋トレイの実施例3を示す平面図である。 実施例3の側面図である。 実施例3の正面図である。 実施例3(図7)のB−B断面図である。 実施例3の包埋トレイを使用して作成したパラフィンブロックである。 本発明の包埋トレイの実施例4を示す平面図である。 実施例4の側面図である。 実施例4の正面図である。 実施例4(図12)のC−C断面図である。 実施例4の包埋トレイを使用して作成したパラフィンブロックである。 カセットの例を示す斜視図である。 カセットの他の例を示す斜視図である。 従来の包埋トレイの例を示す斜視図である。 カセット内に検体を入れた状態を示す断面図である。 カセット内に検体を入れた状態を示す断面図である。 従来の顕微鏡標本の作製方法を示す説明図である。 従来の顕微鏡標本の作製方法を示す説明図である。
符号の説明
1 包埋トレイ
2 パラフィン収容部
3 底部
4 側壁
5、5a カセット支承部
6 係止壁
7 把持部
C カセット
C1 本体
C2 蓋
C3 記録部
C4 透孔
C5 アダプター係止部
P パラフィン
P1 余分なパラフィン
S 検体
T 従来のトレイ
T1 底部
T2 カセット支承部
T3 カセット係止部
T4 額縁部
T5 把持部
B パラフィンブロック
N 被験者の名前等

Claims (5)

  1. パラフィン収容部の上端にカセットを載置して使用する病理組織検査標本作成用の包埋トレイであって、前記パラフィン収容部は底部とその周りに立設された側壁とからなる上面が開口した方形の容器からなり、該収容部の各上端角部にはカセット支承部が設けられ、各側壁の上端からはカセットをパラフィン収容部上に載置し係止する係止壁が立設され、少なくともカセットの記録部が配置される辺は、隣り合うカセット支承部間が側壁から係止壁に渡って略面一に形成されるとともに、係止壁が実質的に該記録部を覆わないように低く形成され、更に、該係止壁の外周に略水平状の額縁部を備えていないことを特徴とする病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
  2. 四辺の全ての辺において、隣り合うカセット支承部間が側壁から係止壁に渡って略面一に形成されるとともに、係止壁が実質的に該記録部を覆わないように低く形成され、更に、該係止壁の外周に略水平状の額縁部を備えていないことを特徴とする請求項1記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
  3. カセットの記録部が配置される辺の係止壁の高さは、パラフィン収容部上に載置するカセットの高さの4分の1以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
  4. 把持部が、カセットの記録部が配置されない係止壁の上端から横設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
  5. パラフィン収容部の形状が左右非対称であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
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