JP2008140707A - リチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウムイオン二次電池用負極材料は、炭素質物質および第一黒鉛粒子が複合化した平均粒子径が10μm未満の複合黒鉛粒子と、この複合黒鉛粒子よりも大きな平均粒子径の第二黒鉛粒子とが接着することなく混合している混合物である。リチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法は、第一黒鉛粒子および炭素質物質前駆体の混合物を焼成することにより炭素質物質および第一黒鉛粒子の複合黒鉛を製造する工程と、粉砕により複合黒鉛の粒子径を調整する工程と、複合黒鉛粒子およびこの粒子よりも大きな平均粒子径の第二黒鉛粒子を混合する工程とを有する。
【選択図】なし
Description
複合黒鉛粒子は、第一黒鉛粒子と炭素質物質とが複合化した粒子であり、この複合化により、第一黒鉛粒子よりも高硬度となっている。なお、複合黒鉛粒子が第一黒鉛粒子よりも高硬度であることは、次の方法により確認することができる。シリンダーに試料(複合黒鉛粒子または第一黒鉛粒子)を定量充填し、測定試料が定常密度となる圧力を加える。このとき、第一黒鉛粒子よりも高硬度の複合黒鉛粒子の方が高い圧力が必要となる。
第二黒鉛粒子は、第一黒鉛粒子とは平均粒子径が異なる黒鉛粒子である。第二黒鉛粒子は、第一黒鉛粒子と同様、黒鉛である限り、鱗片状黒鉛など特に限定されない。
1.複合黒鉛粒子の調製
第一黒鉛粒子である平均粒子径が6μmの鱗片状天然黒鉛210質量部、炭素質物質前駆体であるコールタールピッチ90質量部、およびN−メチルピロリドン200質量部を混合し、次に、この混合物を2時間、窒素気流中800℃で焼成し、更に2時間、窒素気流中1100℃で焼成して塊状の複合黒鉛を得た。この塊状複合黒鉛をジェットミルで粉砕して、平均粒子径が6μmの複合黒鉛粒子を得た。
平均粒子径30μmの鱗片状天然黒鉛200gを、ホソカワミクロン株式会社製「カウンタージェットAFG100」を使用し(ノズル吐出空気圧:0.20MPa、操作時間:20分)、平均粒子径が25μmであって球状の第二黒鉛粒子を得た。
上記調製で得た複合黒鉛粒子10質量部および第二黒鉛粒子90質量部を混合し、実施例1の負極材料を調製した。
実施例1の複合黒鉛粒子調製におけるコールタールピッチおよびN−メチルピロリドンをコールタール234質量部に替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の負極材料を調製した。
実施例1の複合黒鉛粒子調製において、コールタールピッチおよびN−メチルピロリドンをコールタール234質量部に変更し、1100℃の焼成温度を2800℃の焼成温度に変更した。これら以外は実施例1と同様にして、実施例3の負極材料を調製した。
実施例1の第二黒鉛粒子調製法と同様の方法で調製した第二黒鉛粒子を比較例1の負極材料とした。
実施例1における第一黒鉛粒子(平均粒子径が6μmの鱗片状天然黒鉛)5質量部と、実施例1の第二黒鉛粒子調製法と同様の方法で調製した第二黒鉛粒子95質量部とを混合して、比較例2の負極材料を調製した。
実施例1の複合黒鉛粒子調製において、第一黒鉛粒子の平均粒子径を15μmに変更し、複合黒鉛粒子の平均粒子径を12μmに変更した。これら以外は、実施例1と同様にして、比較例3の負極材料を調製した。
1.負極の作製
100質量部の実施例ないしは比較例の負極材料、50質量部のバインダー水溶液(2.0質量%カルボキシメチルセルロース水溶液)、および20質量部の5.0質量%スチレンブタジエンゴム水溶液を混合し、これに30質量部の水を加えてスラリー状にした。得られたスラリーを厚さ18μmの銅箔上に塗布し、乾燥機(100℃)で10分間乾燥した。乾燥後、直径1.6cmの円形に打ち抜いたのち、銅箔を除く塗布量を測定すると18mgであった。この膜をローラープレス機で、銅箔上に塗布した塗布物の密度が1.60g/ccとなるようにプレスし、リチウムイオン二次電池用の負極を作製した。
リチウムイオン二次電池用の正極としては、低温充電特性および負荷特性を算出するためのリチウムイオン二次電池用にはリチウム箔を用い、サイクル特性を算出するためのリチウムイオン二次電池用にはLiCoO2を活物質とする電極を用いた。LiCoO2を活物質とする電極は、次のようにして作製した。LiCoO290質量部に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量部、導電材としてカーボンブラック5質量部を夫々混合し、これにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200質量部を加えてスラリーを作製した。得られたスラリーを厚さ30μmのアルミ箔上に塗布し、乾燥機(100℃)で20分間乾燥した。乾燥後の膜を直径1.6cmの円形に打ち抜いた後、アルミ箔を除く塗布量を測定すると45mgであった。この膜をローラープレス機で、アルミ箔上に塗布した塗布物の密度が2.8g/ccとなるようにプレスしてリチウムイオン二次電池用の正極を作製した。
上記正極と負極とを、セパレータを介して対向させて、ステンレス製セルに組み込み、リチウムイオン二次電池(コイン型)を作製した。電池の組み立てはアルゴンガス雰囲気下で行ない、電解液としては、1MのLiPF6/(EC+DMC)0.05mLを、セパレータとしてはCelgard社製の「セルガード#3501(商品名)」を用いた。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を容積比1:1で混合した溶媒に、LiPF6を1Mの濃度になるように溶解したものである(三菱化学社製、商品名「ソルライト」)。
電池の充電を、電極面積に対する電流密度0.37mA/cm2(0.1C)の定電流値で0Vまで行い、続けて、0Vの定電位で電流値が0.06mA/cm2になるまで行った。次に、放電を電流値0.37mA/cm2で1Vになるまで行った。電池の初期効率を次式(1)により算出した。
電池の充電を、電極面積に対する電流密度が0.37mA/cm2(0.1C)の定電流値で、正極と負極の電位差が0Vになるまでを行い、続けて、0Vの定電位で電流値が0.06mAcm2に下がるまで行った。充電後、0.37mA/cm2(0.1C)で1Vまで放電した放電容量と、9.2mA/cm2(2.5C)で1Vまで放電した放電容量とから、次式(2)により算出した。
電池の充電を、室温にて、3.7mA/cm2(1C)の定電流で0Vまで行った。このときの負極における単位質量あたりの充電容量(mAh/g)で評価した。
電池の充電を、電流値6.4mAで4.2Vまで行った後、続けて、4.2Vの定電圧で電流値が0.2mAになるまで行なった。次に、放電を、電流値6.4mAで3.0Vになるまで行なった。この充電と放電とを室温にて所定回数繰り返し、次式(3)によりサイクル特性を算出した。
リチウムイオン二次電池の作製に使用した負極に3μLのプロピレンカーボネートを滴下し、滴下したプロピレンカーボネート全量が負極に吸収される時間を測定した。なお、プロピレンカーボネートが吸収されたか否かは、目視で確認した。
Claims (7)
- 炭素質物質および第一黒鉛粒子が複合化した平均粒子径が10μm未満の複合黒鉛粒子と、該複合黒鉛粒子よりも大きな平均粒子径の第二黒鉛粒子とを有し、前記複合黒鉛粒子と第二黒鉛粒子とが接着することなく混合されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記複合黒鉛粒子における炭素質物質が非晶質炭素である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記複合黒鉛粒子における炭素質物質が第三黒鉛である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料に使用する原料であって、平均粒子径が10μm未満、かつ、炭素質物質と第一黒鉛粒子が複合化した複合黒鉛粒子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を備える負極。
- 請求項5に記載の負極を備えるリチウムイオン二次電池。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法であって、第一黒鉛粒子および炭素質物質前駆体の混合物を焼成することにより炭素質物質および前記第一黒鉛粒子が複合化した複合黒鉛を製造する工程と、前記複合黒鉛を粉砕して前記複合黒鉛の粒子径を調整する工程と、前記粒子径を調整した複合黒鉛の粒子および該粒子よりも大きな平均粒子径の第二黒鉛粒子を混合する工程とを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
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