JP2008139468A - 2成分現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】流動性が良好で、スペント現象が生じることを抑制でき、かつ、クリーニング性も良好な2成分現像剤を提供すること。
【解決手段】穂切板32は、現像スリーブ31の周面に磁気ブラシ状に形成された2成分現像剤の厚みを規制するものである。2成分現像剤が穂切板32を通過する際に、トナーと磁性キャリアとが互いに摩擦し合ってトナーが帯電する。磁気ブラシ状の2成分現像剤が感光体20の表面と接触することで、感光体20上にトナー像が形成されて、感光体20に担持されている静電潜像が現像される。この現像に用いられる2成分現像剤は、溶融状態にあるトナー成分を円筒繊維状に引き伸ばし切断して作製された円柱状トナー粒子に微粒子を外添して得られるトナーと、平均球形化度0.95以上の球形キャリアからなる磁性キャリアと、を含んでいる。
【選択図】図1

Description

この発明は、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤に関するものである。
一般に電子写真法では、感光体表面を所定極性に一様に帯電し、次いで光照射による画像露光が行われて、感光体の表面に静電潜像が形成され、この静電潜像が現像剤によって現像されてトナー像が形成される。このトナー像は用紙に転写され、この用紙を定着装置において加熱および加圧等させることによってトナー像が用紙に定着される。これにより、画像形成が行われる。
このような画像形成行程で静電荷像の現像に用いられる現像剤としては、トナーおよび磁性キャリアとからなる2成分現像剤が代表的であり、2成分現像方式による現像に用いられる。
この2成分現像方式では、たとえば、現像装置において2成分現像剤はドラム状の感光体に対向配置された現像スリーブに供給される。現像スリーブは多数の磁極を有するマグネットを内蔵しており、このため、現像スリーブの周面に磁気ブラシ状に形成された2成分現像剤が付着される。この現像スリーブには、現像剤の層厚を規制し、またトナーを帯電させるための穂切板が現像ローラ表面と一定の間隔を有して配置されており、現像剤が穂切板を通過する際にトナーと磁性キャリアとが互いに摩擦し合って、トナーが帯電するようになっている。磁気ブラシ状の2成分現像剤が感光体と接触すると、磁気ブラシ中のトナーのみが感光体上に付着し、感光体上にトナー像が形成される。トナー像転写後に感光体に残存するトナーはクリーニング装置により除去される。
特開2001−134099号公報
良好な画像を長期にわたって安定的に得るためには、現像装置におけるトナーの流動性が高いことが望ましい。そのため、磁性キャリアの球形化度が高いことが好ましい。
しかしながら、磁性キャリアが球形化されていると、現像剤の密度が相対的に高くなり、現像スリーブ上にある現像剤が穂切板を通過する際に現像剤に加わる機械的ストレスは、より高いものとなる。このとき、トナー粒子が球形化度の低い角張った形状のものであれば、トナーが磁性キャリアの粒子表面に付着するスペント現象が生じるおそれがある。
その一方で、トナーのトナー粒子として球形化度の高いものを用いるとすれば、クリーニング装置からトナーがすり抜けて、感光体からのトナーの除去が不十分になる。
そこで、この発明は、流動性が良好で、スペント現象が生じることを抑制でき、かつ、クリーニング性も良好な2成分現像剤を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、溶融状態にあるトナー成分を円筒繊維状に引き伸ばし切断して作製された円柱状トナー粒子に微粒子を外添して得られるトナーと、平均球形化度0.95以上の球形キャリアからなる磁性キャリアと、を含むことを特徴とする2成分現像剤である。
この構成によれば、磁性キャリアは球形化度が非常に高い。このため、トナーの流動性を良好なものとすることができる。また、トナー粒子は円柱状を有している。そのため、トナー粒子は転がり易く、磁性キャリアに挟まれてもトナー粒子に力が加わりにくい。そのため、トナーが磁性キャリアの粒子表面に付着するスペント現象の発生を抑制することができる。さらに、円柱状のトナー粒子は端面のエッジ部分で引っ掛りがあるために、クリーニング装置によって適切に除去される。このため、クリーニング性が良好である。これらにより、良好な画像を長期にわたって安定的に得ることができる。
2成分現像剤において、磁性キャリアの平均球形化度が0.95未満では、トナーの流動性が良好ではなく、良好な画像を安定的に得ることが困難である。また、トナー粒子の形状が円柱状でなく球状である場合、球形化度の低い角張ったものであれば、キャリアへのスペント現象が発生し易く、球形化度の高い真球に近いものであれば、感光体表面のクリーニング性が悪い。
以下では、図面を参照して、この発明の実施形態を、具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態にかかる2成分現像剤を用いて画像形成が行われる画像形成機構100の構成を示す概略図である。
図1を参照して、画像形成機構100は、円筒状の感光体20と、感光体20の表面を帯電させるための帯電器21と、帯電器21により帯電された感光体20の表面を、画像データに対応して露光するための露光器22と、感光体20に2成分現像剤を供給して、露光により静電潜像を現像する現像装置23と、感光体20の表面に形成されたトナー画像を用紙に転写するための転写装置24と、トナー画像が用紙に転写された後の像担持体20の表面に残留するトナーを除去するためのクリーニング装置25と、トナー画像が転写された後の感光体ドラム2の表面を除電するための除電器26と、を備えている。これら帯電器21、露光器22、現像装置23、転写装置24、クリーニング装置25および除電器26は、像担持体20の回転方向(矢印27で示す方向)に沿って順に配置されている。
現像装置23は、2成分現像剤を収容する現像槽30を備えている。現像槽30の内部には、円筒状の現像スリーブ31が、感光体20に対向するように、回転可能に取り付けられている。現像スリーブ31は磁極を有するマグネットローラに形成されており、このため、現像スリーブ31の周面には2成分現像剤からなる磁気ブラシが形成されるようになっている。
現像装置23は、また、現像スリーブ31の周面に磁気ブラシ状に付着した2成分現像剤の厚みを規制するための穂切板32を備えている。穂切板32は現像スリーブ31と一定の間隔を有して配置されており、そのため、2成分現像剤が穂切板32を通過する際に、トナーと磁性キャリアとが互いに摩擦し合ってトナーが帯電する。磁気ブラシ状の2成分現像剤が感光体20の表面と接触すると、磁気ブラシ中のトナーは感光体20上に付着し、感光体20上にトナー像が形成される。これにより、感光体20に担持されている静電潜像が現像される。磁性キャリアは現像によっては消費されず、そのまま現像槽30に回収され、再びトナーと混合されて使用される。
クリーニング装置25は、感光体20の周面と当接して、感光体20に周面に付着しているトナーを掻き取るためのクリーニングブレード25Aを備えている。
この発明にかかる2成分現像剤は、後述する製造方法によって作製された円柱状トナーと、球形キャリアからなる磁性キャリアとを含んでいる。
円柱状トナー粒子は、以下のメルトブローン法によって作製されている。このメルトブローン法は、たとえば特開2006−106236号公報に詳しく記載されている。この製造方法は、トナー原料を溶融状態とし混練する混練工程と、溶融状態で混練された溶融トナーを繊維状に形成する繊維化工程と、繊維状に形成されたトナーを切断する切断工程とを含んでいる。
図2および図3を参照して、混練工程では、エクストルーダ1を用いてトナー原料の混練が行われる。トナー原料は、結着樹脂、着色料、電荷制御剤および離型剤を含み、これらのトナー原料は、予備混合装置(例えば、ホソカワミクロン(株)製:サイクロミックス)7で予備的に混合された後に、ホッパ1Aを介して、エクストルーダ1に与えられる。エクストルーダ1は、その内部に、トナー原料を加熱するためのヒータ(図示せず。)と、トナー原料を混練する混練部材としての回転スクリュー15とを備えている。エクストルーダ1に与えられたトナー原料はヒータによって加熱されて溶融状態となり、その溶融トナーが、所定の混練温度(たとえば140℃)で、回転スクリュー15で混練される。エクストルーダ1はギアポンプを介して静止型ミキサ2に接続されており、エクストルーダ1によって混練された溶融トナーは、静止型ミキサ2に与えられるようになっている。
静止型ミキサ2は捩られた曲面からなる複数の羽根体14を有しており、その内部には、複数の羽根体14によって螺旋状の流路が区画されている。エクストルーダ1によって混練された溶融トナーは、羽根体14の回転によってさらに混練される。これにより、静止型ミキサ2では、トナー原料の各成分が均一に細かく分散した状態で保持される。この静止型ミキサ2では、溶融トナーは、上記の混練温度よりも高温(180℃)で保持されている。なお、前記のギアポンプ4は、後述するノズル6からの溶融トナーの押し出し量を調節するためのものであり、たとえばモータ5によって駆動されている。次に、繊維化工程に移る。
静止型ミキサ2には、多段の分配流路3Aを有する流路構造体3が接続されている。分配流路3Aには、静止型ミキサ2から混練状態の溶融トナーが与えられるようになっており、この溶融トナーは、流路構造体3に設けられたヒータ(図示しない。)によってさらに高温(たとえば215℃)に加熱されて、各分配流路3Aの流路出口に設けられたノズル6から押し出される。
各ノズル6から押し出された溶融トナーは繊維状となっており、この繊維状の溶融トナーが図示しない延伸用エアー吹き出し装置から吹き出される熱風(たとえば215℃)によって延伸された後、冷風の吹き付けによって急速に冷却されて、繊維状トナー12が形成される。
次に、繊維状トナー12を切断する切断工程について説明する。図3に示すように、ノズル6から押し出されて形成された繊維状トナー12は、搬送装置11によって切断装置8へと搬送される。この切断装置8は、搬送装置11上を搬送される繊維状トナー12の搬送方向と直交する方向に延びた固定刃9と、図示しないモータによって回転駆動される回転刃10とを備えている。固定刃9と回転刃10との間に繊維状トナー12が連続的に供給されると、固定刃9のエッジ9aと、回転刃10の切断刃10aとの間で生じる剪断作用によって繊維状トナー12が順次切断されて、円柱状トナー粒子13が連続的に製造される。
以上説明した製造方法によって作製された円柱状トナー粒子13に外添剤を添加した後に混合されて、トナーが得られる。外添剤は、トナーの流動性を改善するためものであり、その粒径は、たとえば数十nm〜数百nmのものである。
円柱状トナー粒子13の円柱断面直径は、たとえば5.0μmである。また、円柱状トナー粒子の円柱断面直径は、たとえば5.0μm〜10.0μmである。
この発明にかかる2成分現像剤では、上記のメルトブローン法で作製された円柱状トナー粒子を用いているから、トナー粒子は転がり易く、磁性キャリアに挟まれてもトナー粒子に力が加わりにくい。そのため、トナーが磁性キャリアの粒子表面に付着するスペント現象の発生を抑制することができる。
また、円柱状のトナー粒子は端面のエッジ部分で引っ掛りがあるために、クリーニング装置25によって適切に除去される。このため、クリーニング性が良好である。
一方、磁性キャリアは、たとえば、鉄粉やフェライト粒子等の磁性粒子や樹脂中に磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが用いられる。また、トナーの帯電量や極性の制御、湿度依存性の改良、フィルミング(スペント現象)の発生防止、流動性向上等の目的のため、上記磁性粒子をキャリア芯材として、その表面に樹脂被覆層を形成した、いわゆる樹脂被覆キャリアが用いられている。磁性キャリアの重量平均粒径は、10μm〜200μmの範囲内、特に30μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。
この磁性キャリアは、球形キャリアであるが、その平均球形化度が0.95以上であることが好ましい。磁性キャリアの平均球形化度が0.95未満では、トナーの流動性が良好ではなく、良好な画像を安定的に得ることが困難である。
磁性キャリアの平均球形化度が0.95以上であるため、トナーの流動性を良好なものとすることができる。また、トナー粒子は円柱状を有している。これにより、良好な画像を長期にわたって安定的に得ることができる。
トナー粒子の原料となる結着樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂およびスチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂は、スチレンの単独重合体だけでなく、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。スチレンと共重合可能な共重合モノマーとしては、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて、スチレンと共重合させることができる。
ポリスチレン系樹脂の分子量は、結着樹脂において、二つの質量平均分子量ピーク(低分子量ピークおよび高分子量ピークと称する。)を有することが好ましい。具体的に、低分子量ピークが3000〜20000の範囲内であり、もう一つの高分子量ピークが300000〜1500000の範囲内であり、Mw/Mnが10以上あるものが好ましい。質量平均分子量ピークがこのような範囲内にあれば、2成分現像剤を容易に定着させることができ、また、耐オフセット性を向上させることもできる。なお、結着樹脂の質量平均分子量は、分子量測定装置(GPC)を用いて、カラムからの溶出時間を測定し、標準ポリスチレン樹脂を用いて予め作成しておいた検量線と照らし合わせることにより、求めることができる。
また、ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られるものが用いられる。ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のものが挙げられる。まず、2価または3価以上のアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5,−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が例示される。
さらに、2価または3価以上のカルボン酸成分としては、2価または3価カルボン酸、この酸無水物またはこの低級アルキルエステルが用いられ、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキルまたはアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が例示される。
ポリエステル系樹脂の軟化点は、110℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは120℃〜140℃である。
また、結着樹脂は、定着性が良好な観点から熱可塑性樹脂が好ましいが、ソックスレー抽出器を用いて測定される架橋部分量(ゲル量)が10質量%以下の値、より好ましくは0.1質量%〜10質量%の範囲内の値であれば、熱硬化性樹脂であってもよい。このように一部架橋構造を導入することにより、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性や形態保持性、あるいは耐久性をより向上させることができる。よって、トナーの結着樹脂として、熱可塑性樹脂を100質量%使用する必要はなく、架橋剤を添加し、あるいは、熱硬化性樹脂を一部使用することも好ましい。
したがって、熱硬化性樹脂として、エポキシ系樹脂やシアネート系樹脂等を使用することができる。より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂等の1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、このような結着樹脂において、磁性粉の分散性を向上させるために、ヒドキロキシ(水酸)基、カルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ(エポキシ)基から選択される少なくとも一つの官能基を分子内に有する樹脂を使用することが好ましい。なお、これらの官能基を有しているか否かは、FT−IR装置を用いて確認することができ、さらに滴定法を用いて定量することができる。
さらに、結着樹脂において、ガラス転移点(Tg)を50℃〜70℃の範囲内の値とするのが好ましい。結着樹脂のガラス転移点が、50℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する傾向がある。一方、結着樹脂のガラス転移点が、70℃を超えると、トナーの定着性が乏しくなる傾向がある。なお、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。
離型剤としてのワックスとしては、特に限定はなく、例えばカルナバワックスやサトウワックス、木ワックス等の植物性ワックス;蜜ワックスや昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスなどの動物性ワックス;エステルを側鎖に有するフィッシャートロプシュ(以下、「FT」と記すことがある)ワックスやポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスなどが挙げられる。この中でも分散性の点から、エステルを側鎖に有すFTワックスやポリエチレンワックスの使用が推奨される。
また、離型剤としてのワックスは、示差走査熱量計による吸熱曲線における吸熱メインピークが70℃〜120℃の範囲であるものが好ましい。吸熱メインピークが70℃未満にある場合、トナーブロッキングおよびホットオフセットが生じるおそれがあり、他方吸熱メインピークが120℃を超える場合、低温定着性が得られない虞があるからである。
さらに、離型剤としてのワックスの添加量は結着樹脂100重量部に対して1〜20重量部の範囲が好ましい。ワックスの添加量が1重量部より少ないと充分なワックスの効果が得られにくく、他方添加量が20重量部より多いと耐ブロッキング性が低下し、またトナーからの脱離が生じるおそれがある。
着色剤としては、例えば、黒色顔料として、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック;黄色顔料として、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマンネントイエローNCG、タートラジンレーキ;橙色顔料として、赤口黄鉛、モリブテンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK;赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B;紫色顔料として、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ;青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC;緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG;白色顔料として、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛;白色顔料として、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を使用できる。このような着色剤は結着樹脂100重量部当り2〜20重量部、特に3〜15重量部の量で使用するのが好ましい。
電荷制御剤の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ニグロシン、第四級アンモニウム塩化合物、樹脂にアミン系化合物を結合させた樹脂タイプの電荷制御剤等の正帯電性を示す電荷制御剤を使用することができる。カラートナー用と使用する場合には無色ないし白色のものが好ましい。結着樹脂100重量部当り0.5〜10重量部、特に1〜5重量部の量で使用するのが好ましい。
外添剤には、シリカ、アルミナ、酸化スズ、酸化チタン、酸化ストロンチウム、各種樹脂粉等の従来公知の外添剤を用いることができる。
一方、磁性キャリアでは、キャリア芯材として、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルト等の粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、アルミニウム等との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金等の粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム等のセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩等の高誘電率物質の粒子、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリア等、従来公知の種々のものが用いられる。
磁性キャリアの樹脂被覆層として、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂等のコーティングキャリア用として従来公知の種々の樹脂を用いることができる。これらは、単独で、或いは2種以上混合して使用される。
また、上記樹脂被覆層には必要に応じて、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の、樹脂コート層の特性を調整するための添加剤を含有させることもできる。
樹脂コート層の膜厚は従来と同程度でよく、特に限定されないが、具体的には、キャリア芯材へのコート量で表して、キャリア芯材に対して0.01〜10重量%、特に0.05〜5重量%コート量であることが好ましい。
2成分現像剤には、この発明の効果を害しない範囲で、たとえば表面処理剤といった、その他の添加剤を付加することもできる。
以下に、この発明を実施例および比較例を挙げて、さらに詳しく説明する。
(トナーの作製)
スチレン-アクリル系樹脂からなる結着樹脂92重量部、着色剤としてのカーボンブラック(MA−100:三菱化学(株)製):5重量部と、電荷制御剤(N−01:オリエント化学(株)製)3重量部とをトナー原料として、上述の図2および図3に示す装置を用い、上述のメルトブローン法によって円柱断面直径5.0μm、円柱高さ8.0μmの円柱状トナー粒子を作製し、この円柱状トナー粒子に、外添剤としてシリカ(RA−200H:日本アエロジル(株)製)1.0質量部、酸化チタン(ST−100、チタン工業(株)製)0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)にて混合させ、トナー(非磁性正帯電性トナー)を作製した。
実施例1:上記のトナーに、平均球形化度0.95のフェライトキャリア(平均粒径80μm)を、トナーおよび磁性キャリアの比が1:19となるように配合し、ブラックの2成分現像剤を作製した。
実施例2:実施例1と同じトナーに、平均球形化度0.96の樹脂キャリア(平均粒径80μm)を、実施例1と同じ比率で配合し、ブラックの2成分現像剤を作製した。
比較例1:粉砕法により作製した平均球形化度0.92のトナー粒子を用いたトナーに、平均球形化度0.95のフェライトキャリア(平均粒径80μm)を、実施例1と同じ比率で配合し、ブラックの2成分現像剤を作製した。
比較例2:懸濁重合法により作製した作製した平均球形化度0.98のトナー粒子を用いたトナーに、平均球形化度0.95のフェライトキャリア(平均粒径80μm)を、実施例1と同じ比率で配合し、ブラックの2成分現像剤を作製した。
比較例3:実施例1と同じトナーに、平均球形化度0.94のフェライトキャリア(平均粒径80μm)を、実施例1と同じ比率で配合し、ブラックの2成分現像剤を作製した。
平均球形化度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス(株)製FPIA−2100)を用いて測定を行い、測定された粒子の球形化度(a)を下記式(1)により求め、さらに測定された全粒子の球形化度の総和を粒子数で除した値を平均球形化度と定義する。
a=L0/L ・・・(1)
(L0:粒子の投影像と、同じ投影面積を持つ円の周囲長、L:粒子の投影像の周囲長)
(性能評価)
上述した5種の2成分現像剤のうち、実施例1,2、比較例1〜3の2成分現像剤を、2成分現像方式を採用する複写機(京セラミタ(株)製「KM−4055」を改造したもの)を使用して、温度20℃、湿度65%の常温常湿環境下で、原稿濃度4%の原稿に基づいて画像を形成し、以下の性能評価を行った。
(i)画像濃度
この発明による画像安定性の向上という効果の有無を確かめるために、画像濃度評価を行った。1枚の複写画像の黒ベタ部の3箇所(画像両サイド及び中央部)における画像濃度を、反射濃度計(東京電色(株)製TC−6D)を用いて計測し、計測画像濃度の平均値をその形成画像の画像濃度とした。評価の基準として、画像濃度は、1.30以上であることが求められ、1.40以上であればより好ましい。
(ii)かぶり濃度
同じく、クリーニング性を良好にするという効果の有無を確かめるために、かぶり濃度評価を行った。1枚の複写画像の白紙相当部の3箇所(上記黒ベタ部下部)における画像濃度を、反射濃度計(東京電色(株)製TC−6D)を用いて計測し、その計測画像濃度をかぶり濃度とした。かぶり濃度は、0.005以下であることが求められ、0.002以下であればより好ましい。
(iii) スペント量(スペント現象により磁性キャリアに付着したトナー量)
回収キャリアのスペント量、すなわち、スペント現象の発生により磁性キャリアに付着しているトナー量を測定した。
回収現像剤を400メッシュのふるい上にのせて、下からブロアにより吸引し、トナーと磁性キャリアとを分離した。ふるい上に残った磁性キャリア5gをトルエンと合わせてビーカーに入れ、磁性キャリアの粒子表面に付着したトナーを溶解した。その後、ビーカーの下から磁石で磁性キャリアを引きつけた状態でトルエン溶液を捨てた。これをトルエンが無色になるまで数回繰り返し、オーブンでトルエンを蒸発させた後に得られた残留物の重量を測定した。最初にビーカーに入れた磁性キャリアの重量とトルエン蒸発後との重量差が、スペントにより磁性キャリアの粒子表面に付着したトナーの量(スペント量)である。スペント量は、磁性キャリア1gに対してスペントにより付着するトナーの重量(mg)を示す。このスペント量は、0.3以下であることが求められる。
この性能評価は、画像形成処理の開始時(0枚)、および2万枚、4万枚、6万枚、8万枚の連続耐刷後の各タイミングで行われる。ただし、スペント量の測定は画像形成処理の開始時(0枚)には行わない。ここで、連続耐刷とは、画像形成を連続的に行う印刷のことである。
性能評価の結果を表1に示す。
Figure 2008139468
比較例1では、6万枚の時点でかぶり濃度が高く、トナー飛散も生じていたため、その時点で試験を中止した。また、比較例2では、2万枚の時点でかぶり濃度が高く、その時点で試験を中止した。
表1に示す試験結果から、上述のメルトブローン法によって作製された円柱状のトナー粒子を備えたトナーと、平均球形化度0.95以上の球形キャリアからなる磁性キャリアと、を含む2成分現像剤である実施例1、2は、その他の製造方法によって作製されたトナー粒子を用いた2成分現像剤である比較例1,2と比較して、耐印後の画質(画像濃度、かぶり濃度)が良好で、かつ、スペント現象の発生が抑制できることがわかった。また、実施例1、2は、平均球形化度が上記範囲内にない比較例3と比較して、とくに、スペント現象の発生が抑制できることがわかった。
この発明の一実施形態にかかる2成分現像剤を用いて画像形成が行われる画像形成機構の構成を示す概略図である。 円柱状トナー粒子の製造方法のうち、混練工程および繊維化工程を説明するための図である。 円柱状トナー粒子の製造方法のうち、切断工程を説明するための図である。
符号の説明
1 画像形成機構
23 現像装置

Claims (1)

  1. 溶融状態にあるトナー成分を円筒繊維状に引き伸ばし切断して作製された円柱状トナー粒子に微粒子を外添して得られるトナーと、
    平均球形化度0.95以上の球形キャリアからなる磁性キャリアと、
    を含むことを特徴とする2成分現像剤。
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