JP2008137413A - 車両用ステアリングシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】ステアバイワイヤ型のステアリングシステムにおいて、ステアリングホイールの立位置と、ばね力によってステアリングホイールに操作反力を付与する操作反力付与装置の中立状態との不一致の防止,検知,その不一致への対処の容易化を図る。
【解決手段】ステアリングホイールと連係する状態においてそれの操作量に応じて動作するスライダ122を有し、そのスライダの動作量に応じた付勢力でスライダを付勢する付勢スプリング124を有する操作反力付与装置24と、その装置とステアリングホイールとが連係する状態と連係しない状態とを切り換える切換装置26とを備えるステアリングシステムにおいて、スライダが、操作反力付与装置24が中立状態となる特定動作位置に位置すること、つまり、スライダが中立位置に位置することを検出するための検出器170を設ける。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両に装備されるステアリングシステム、詳しくは、ステアリングホイール等の操作部材の操作に対する反力を付与するための装置を備えたステアリングシステムに関する。
近年では、ステアリングホイール等のステアリング操作部材(以下、単に「操作部材」という場合がある)に加えられる操作力によらず、電動モータ等の駆動源が発生させる力によって、車輪を転舵するステアリングシステムが検討されている。このシステムは、いわゆる、ステアバイワイヤ型のシステムと呼ばれ、例えば、駆動源が操作部材の操作量に基づいて制御されることで、操作部材の操作に応じた車輪の転舵が可能とされている。このようなステアリングシステムでは、上記駆動源を有して車輪を転舵するための装置(以下、「車輪転舵装置」という場合がある)と操作部材とが機械的に連結されていないため、その車輪転舵装置からは、運転者の操舵操作に対する反力(以下、「操作反力」という場合がある)が得られないことになる。そのため、下記特許文献に記載されているように、操作部材と連係し、ばねの弾撥力等を利用して操作部材に操作反力を付与するための装置(以下、「操作反力付与装置」という場合がある)が設けられる。
特開2005−47338号公報 特開2004−359011号公報 特開2004−182062号公報
上述の操作反力付与装置が設けられたステアリングシステムでは、その操作反力付与装置が機能しない状態とされることが望ましい場合がある。例えば、制御系統,転舵装置の駆動源等の失陥時等、操作部材と車輪転舵装置とを連結させて、運転者が操作部材に加える力によって車輪を転舵させるような場合である。そのような場合を想定し、操作反力付与装置と操作部材との連係を解除することも検討されている。ところが、操作反力付与装置と操作部材との連係を解除可能に構成すれば、連係が解除された状態から連係する状態に切り換える際に、適切に連係されない可能性がある。具体的に言えば、操作部材の中立位置、すなわち、操作部材が操作されていない状態における位置(車両の直進状態における操作部材の操作位置と考えることもできる)と、操作反力付与装置の中立状態、すなわち、連係状態においても操作部材に対して操作反力を付与しない状態とが不一致となる可能性があるのである。このような不一致は、例えば、運転者に、操舵操作に対する違和感を与える一因となる。
本発明は、上述した操作部材の中立位置と操作反力付与装置の中立状態との不一致の問題に鑑みてなされたものであり、その不一致の防止,検知、不一致への対処等を容易に行い得る車両用ステアリングシステムを提供することを課題とする。
本発明の車両用ステアリングシステムは、操作反力付与装置、具体的に言えば、操作部材と連係する状態において操作部材の操作量に応じて動作する動作体を有し、その動作体の動作量に応じた付勢力でその動作体を付勢する動作体付勢機構とを有する操作反力付与装置と、その装置と操作部材とが連係する状態と連係しない状態とを切り換える切換装置とを備えるシステムであって、動作体が、操作反力付与装置が上記中立状態となる特定動作位置(以下、「動作体の中立位置」あるいは単に「中立位置」という場合がある)に位置することを検出するための検出器を備えたことを特徴とする。
本発明の車両用ステアリングシステムは、操作反力付与装置が有する上記動作体の中立位置を検出する検出器が設けられていることで、操作反力付与装置の中立状態を検知することが可能となる。したがって、本発明の車両用ステアリングシステムによれば、例えば、操作反力付与装置と操作部材とを、操作反力付与装置が中立状態にありかつ操作部材が中立位置に位置するときに連係させることができ、それら中立状態と中立位置との不一致を容易に防止することができる。また、連係状態において何らかの原因によってそれらの不一致が生じた場合にも、その不一致を容易に検知できることから、その不一致に容易に対処することが可能となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、下記(1)項が請求項1に相当し、(3)項が請求項2に、(4)項が請求項3に、(5)項が請求項4に、(7)項が請求項5に、(8)項が請求項6に、それぞれ相当する。
(1)運転者によって操作される操作部材と、
その操作部材と連係する連係状態において、その操作部材に操作反力を付与する操作反力付与装置であって、(a)前記連係状態において操作部材の操作量に応じて動作する動作体と、(b)その動作体の動作量に応じた付勢力でその動作体を付勢する動作体付勢機構とを有し、その付勢力に依拠した前記操作反力を発生させる構造とされた操作反力付与装置と、
前記連係状態と、前記操作部材と前記操作反力付与装置とが連係しない非連係状態とを切り換える連係・非連係切換装置と、
前記動作体が、前記連係状態においても当該操作反力装置が前記操作反力を発生させない動作位置である特定動作位置に位置することを検知する特定動作位置検出器と
を備えた車両用ステアリングシステム。
本項の態様の車両用ステアリングシステムは、簡単に言えば、操作部材との連係,非連係が切り換えられる操作反力付与装置を備えており、その操作反力付与装置が、操舵操作の中立位置に対応した状態である中立状態であることを検出するための検出器を有することを特徴とする。したがって、本項の態様のシステムでは、操作部材と操作反力付与装置との適切な連係を実現させることができる。具体的に言えば、操作部材が中立位置にあり、かつ、操作反力付与装置が中立状態にあるときに、両者を連係させることで、両者の適切な連係を実現させることができるのである。また、連係状態において、何らかの原因によって操作部材の中立位置と操作反力付与装置の中立状態とがズレた場合においても、容易に、そのズレを検出することが可能であり、そのズレに対処することが可能である。つまり、本項の態様によれば、操作部材の中立位置と操作反力付与装置の中立状態との不一致の防止,検知、その不一致への対処等を容易に行い得るステアリングシステムが実現されるのである。
本項の態様のシステムにおける操作反力付与装置は、その構造が特に限定されるものではない。連係状態において、動作体の動作量(動作体の特定動作位置を基準とする動作量)が、操作部材の操作量(中立位置を基準とした操作量)に応じるように構成され、非連係状態においては、操作部材の操作量の如何に拘わらず、上記付勢力の作用によって動作体が特定動作位置に位置させられるような構成とすることが可能である。ちなみに、特定動作位置は、操作部材の中立位置に対応するものと考えることができるため、以下、特定動作位置を、「動作体の中立位置」あるいは単に「中立位置」と呼ぶ場合があることとする。
動作体の動作に関しても、特に限定されず、操作反力付与装置は、動作体が一定の軌道に沿って直線的に動作するような構造のとされてもよく、また、何らかの軸線を中心に回転動作,回動動作するような構造のものとされてもよい。ちなみに、操作部材がステアリングホイールのように回転操作されるものである場合において、動作体を直線的に連係動作させる場合には、操作反力付与装置は、ねじ機構,ラックアンドピニオン機構等の動作変換機構を有するような構造とすればよい。
操作部材は、一般に、左右の旋回操作に対応して、中立位置を挟んだ両側に操作される。本項の態様の操作反力付与装置は、動作体が、操作部材の両側の操作に対応して、特定動作位置を挟んで両側(詳しく言えば、両側の領域)に動作させられるような構造のもの、つまり、自身についての中立位置から双方向に動作させられるような構造のものであってもよく、また、操作部材が中立位置のいずれの側に操作されるか拘わらず、動作体が、特定動作位置から片側(詳しく言えば、片側の領域)に動作させられるような構造のもの、つまり、自身についての中立位置から一方向にしか動作させられないような構造のものであってもよい。前者の場合、動作体付勢機構は、動作体に対して双方向に付勢力を作用させるような構造とすればよく、後者の場合には、一方向に付勢力を作用させるような構造とすればよい。
また、操作反力付与装置が有する動作体付勢機構は、その構造が特に限定されるものではない。付勢力の発生の根拠に関して言えば、例えば、後に説明するように、弾性体の弾撥力に依拠する付勢力を発生させるような構造、磁石,電磁石等が発生させる磁力,電磁力等に依拠する付勢力を発生させるような構造等、種々の構造のものとすることが可能である。なお、動作体が特定動作位置から双方向に動作させられる場合には、それぞれの方向に対応して、弾性体を複数あるいは磁石,電磁石を複数対設けるような構造としてもよい。
さらに、動作体付勢機構は、動作体が特定動作位置にある場合、付勢力が動作体に作用しない構造とされてもよく、動作体に付勢力が作用する構造とされてもよい。後者の場合、動作体が特定動作位置に位置する状態において、例えば、複数の付勢力が釣り合うことで、動作体が実質的に移動しないように構成することができ、また、例えば、動作体の移動を禁止する係止手段を設けることで、動作体が実質的に移動しないように構成することができる。
連係・非連係切換装置は、その構造が特に限定されるものではない。例えば、連係状態において、動作体の操作部材に対する連係動作が確保され、非連係状態において、付勢力によって動作体が特定動作位置に復帰あるいは定置させられるとともに操作部材の操作に拘わらず動作体が移動させられない状態を実現するものであればよい。具体的には、一般にクラッチ機構と呼ばれるような機構を含んで構成することが可能である。
また、特定動作位置検出器も、その構造が特に限定されるものではない。後に説明するように、動作体が特定動作位置に位置する場合にその動作体と接することによって動作体を介した電気的導通が実現され、その電気的導通を検出することで動作体が特定動作位置に位置することを検出するような機構を採用することが可能である。また、一般的な、接触,非接触のセンサ、リミットスイッチ等を採用することも可能である。
なお、本項の態様は、先に説明したように、いわゆるステアバイワイヤ型のステアリングシステムに好適であるが、ステアバイワイヤ型以外のシステム、例えば、操作部材に加えられる操作力によって車輪が転舵される構成のステアリングシステムに適用されてもよい。
(2)前記動作体付勢機構が、前記動作体の動作量に応じた量変形してその動作体に弾撥力を作用させる弾性体とを有し、その弾撥力によって前記動作体を付勢するものである(1)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、動作体付勢機構を、弾性体の弾性力に依拠する付勢力を発生させる構造のものに限定した態様ある。弾性体としては、圧縮コイルスプリング,引張コイルスプリング,捩りコイルスプリング,板ばね等、各種形態のばねを採用することが可能である。なお、先に説明したように、動作体が、特定動作位置を挟んで両側に動作するようにされている場合には、双方向の動作に対応して、1対のあるいは複数対の弾性体を設けてもよい。
(3)当該車両用ステアリングシステムが、さらに、当該システムの作動を制御する制御装置と、前記操作部材の操作位置を検出する操作位置検出器とを備える(1)項または(2)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様によれば、操作部材の中立位置と操作反力付与装置の中立状態との一致・不一致を容易に検知することができる。また、後に説明するように、本項の態様がステアバイワイヤ型のステアリングシステムに適用される場合、操作部材の操作量に応じた車輪の転舵が容易に実現されることになる。
(4)前記制御装置が、
前記操作位置検出器によって前記操作部材が操作されていない位置に位置することが検出されたこと、および、前記特定動作位置検出器によって前記動作体が特定動作位置に位置することが検出されたことを条件として、前記連係・非連係切換装置に、前記非連係状態から前記連係状態への切り換えを実行させる特定動作位置依拠連係状態移行部を有する(3)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、操作部材と操作反力付与装置との連係を、それらの中立位置と中立状態とが一致する場合に実行する態様である。本項の態様によれば、操作部材と操作反力付与装置とが、適切に連係させられることになる。
(5)前記制御装置が、
前記連係状態において、前記操作位置検出器によって前記操作部材が操作されていない位置に位置することが検出された時点で、前記特定動作位置検出器によって前記動作体が特定動作位置に位置しないことが検出された場合に、前記操作部材と前記操作反力付与装置の連係のズレを判断する連係ズレ判断部を有する(3)項または(4)項に記載の車両用ステアリングシステム。
適切な連係状態が実現されたにも拘わらず、その後の操舵操作において何らかの原因で、操作部材の中立位置と操作反力付与装置の中立状態とがズレることも考えられる。本項の態様は、そのようなズレ、つまり、操作部材の中立位置と操作反力付与装置の中立状態との不一致に対処するために好適な態様である。
(6)前記操作部材が回転操作されるものとされ、かつ、前記動作体が直線動作するものとされ、
前記操作反力付与装置が、前記操作部材の回転動作と前記動作体の直線動作とを相互に変換する動作変換機構を有する(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、例えば、一般的なステアリングホイールを操作部材とし、移動体付勢機構に圧縮あるいは引張コイルスプリングを採用するような場合において好適な態様である。動作変換機構として、例えば、ねじ機構,ラックアンドピニオン機構等を採用することが可能である。
(7)前記動作体が導電体とされ、前記操作反力付与装置が、前記動作体が前記特定動作位置に位置する場合において前記動作体と接触するとともにその特定動作位置から離れる場合において前記動作体に接触しない状態となる接点部材を有し、
前記特定動作位置検出器が、前記動作体と前記接点部材との電気的導通を検出することで、前記動作体が特定動作位置に位置することを検出するように構成された(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、特定動作位置検出器の具体的な構造を限定した態様であり、本項の態様では、動作体を介する電気的導通の有無により、動作体が特定動作位置に位置することが検出される。本項の態様によれば、特定動作位置検出器の構成を単純化することが可能となる。
(8)前記動作体が、前記特定動作位置を挟む両側の領域に動作可能とされ、
前記操作反力付与装置が、
それぞれが前記接点部材として機能するとともに、前記動作体が前記両側の領域の一方に動作する場合にその動作体と接触しない状態となる第1接点部材と、前記動作体が前記両側の領域の他方に動作する場合にその動作体と接触しない状態となる第2接点部材とを有し、
前記特定動作位置検出器が、前記第1接点部材と前記第2接点部材との間の前記動作体を介した電気的導通を検出することで、前記動作体が特定動作位置に位置することを検出するように構成された(7)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、操作反力付与装置が、動作体が特定動作位置から双方向に動作するよう構成されたことを前提とし、その構成において、上述した動作体を介した電気的導通の検出を実現するための構造を限定した態様である。
(9)前記連係・非連係切換装置が、
前記操作部材の操作に応じて互いに相対動作可能な1対の部材を有し、それら1対の部材を係合させてそれらの間に生じる摩擦力によってそれらの相対動作を禁止することで前記連係状態を実現し、それら1対の部材の係合を解除してそれらの相対移動を許容することで前記非連係状態を実現するための摩擦係合機構を有する(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、連係・非連係切換装置が、いわゆる摩擦クラッチ機構を採用する態様である。摩擦クラッチ機構を採用する場合、例えば、摩擦係合において発生させられる摩擦力を超えた外部からの力により、連係状態において操作部材の中立位置と操作反力付与装置の中立状態とがズレることが予測される。したがって、本項の態様では、操作反力付与装置の中立状態を検出可能とすることによるメリットが、充分に活かされることになる。
(10)当該車両用ステアリングシステムが、駆動源を有してその駆動源の力によって車輪を転舵させる車輪転舵装置と、当該システムの作動を制御する制御装置を備え、
その車輪転舵装置と前記操作部材とが連結されていない状態において、前記駆動源を制御することで、前記車輪転舵装置による前記操作部材の操作量に応じた車輪の転舵を実現する非連結時車輪転舵部を有する(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、いわゆるステアバイワイヤ型のステアリングシステムを実現させるための態様である。先に説明したように、操作反力付与装置を設けること、その操作反力付与装置と操作部材との連係・非連係を切り換えることによるメリットは、ステアバイワイヤ型のシステムにおいて充分に享受されることになる。
(11)当該車両用ステアリングシステムが、前記操作部材の操作による車輪の転舵を可能にその操作部材と車輪転舵装置とを連結する操作部材転舵装置連結装置を備えた(10)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、ステアバイワイヤ型のシステムにおいて、例えば制御系統等の失陥に対処可能とされた態様である。本項の態様では、操作部材と車輪転舵装置とが連結される場合には、運転者が操作部材を操作する力によって、車輪が転舵されることになる。
(12)前記制御装置が、
前記操作部材と前記車輪転舵装置とが連結していない状態において前記連係状態を実現し、前記操作部材転舵装置連結装置によって前記操作部材と前記車輪転舵装置とが連結された状態において前記非連係状態を実現するように構成された(11)項に記載の車両用ステアリングシステム。
操作部材と車輪転舵装置とが連結される場合、車輪転舵装置からの操作反力が得られることになるため、上記操作反力付与装置による操作反力が加われば、操舵操作の際、運転者は大きな負担を強いられる可能性がある。本項の態様は、そのような実情に鑑み、操作部材と車輪転舵装置との連結状態において、上述の操作部材と操作反力付与装置との連係状態を解除するように構成されている。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪車両用ステアリングシステムの全体構成≫
本実施例の車両用ステアリングシステムは、図1に示すように、操作部10と、転舵部12とが機械的に分離され、操作部材としてのステアリングホイール14に加えられる力、(以下、「操作力」という場合がある)によらずに、転舵部12に設けられた駆動源の力によって転舵車輪16(以下、単に「車輪16」という場合がある)を転舵するステアリングシステム、いわゆるステアバイワイヤ型のステアリングシステムである。また、本システムは、異常が発生した場合等に必要に応じて、操作部10と、転舵部12とを機械的に連結する連結部18を備えている。そのため、連結部18によって操作力を転舵部12に伝達することで、転舵部12の駆動源の力に拠らない車輪16の転舵が可能とされている。
操作部10には、ステアリングホイール14と、そのステアリングホイール14を操作可能に支持するステアリング操作装置20(以後、「操作装置20」と略す場合がある)とが設けられている。操作装置20は、後方端部(車両後方側、つまり運転者側の端部)にステアリングホイール14が取り付けられるシャフト22を有している。また、操作装置20は、そのシャフト22を含んで構成されてそのシャフト22を介してステアリングホイール14にばね力に依拠する操作反力を付与する操作反力付与装置24を備えている。そしてまた、操作反力付与装置24による操作反力の発生の有無を切り換えるべく、ステアリングホイール14と操作反力付与装置24とが連係する状態である連係状態と、それらが連係しない状態である非連係状態とを切り換える連係・非連係切換装置26を備えている。さらに、操作装置20は、シャフト22を介してステアリングホイール14に自身の力に依拠する操作反力を付与するための反力モータ30が設けられ、また、シャフト22の回転位置を検出することで、ステアリングホイール14の操作位置(回転位置)を検出する操作位置検出器としての操作位置センサ32が設けられている。
連結部18は、操作部10が有する操作装置20と転舵部12が有する車輪転舵装置36(詳しくは後述する)とを連結する装置、すなわち、ステアリングホイール14と車輪転舵装置36とを連結する操作部材転舵装置連結装置38(以下、「連結装置38」と略する場合がある)を主体として構成されている。その連結装置38は、操作力が入力される入力プーリ40,操作力が出力される出力ローラ42,および,入力プーリ40と出力ローラ42とをそれらの間の操作力の伝達の有無を切り換え可能に連結する電磁クラッチ44を備えている。入力プーリ40は、シャフト22の概ね前方端部に相対回転不能に固定された出力プーリ46(図2参照)と、ベルト50によって接続されており、ステアリングホイール14になされた操舵操作に応じて回転させられるようにされている。電磁クラッチ44は、電力が供給されない消磁状態において入力プーリ40と出力ローラ42とを連結し、それによって、連結部18は、操舵部10と転舵部12とを連結状態にする。その一方で、電磁クラッチ44は、励磁状態において入力プーリ40と出力ローラ42との連結を解除し、そのことによって、連結部18は、操作部10と転舵部12とを非連結状態にする。出力ローラ42は、伝達ケーブル52を介して転舵部12の入力ローラ54と接続されており、連結状態において、操作力を転舵部12に出力するようにされている。なお、伝達ケーブル52は、ガイドチューブ56にガイドされており、そのガイドチューブ56の中を滑らかに摺動することができるようにされている。
転舵部12が有する車輪転舵装置36(以下、「転舵装置36」と略す場合がある)は、車輪16を転舵させるための装置であり、その転舵装置36は、ハウジング62と、そのハウジング62を車幅方向に貫通した状態でハウジング62に支持された転舵ロッド64とを備えている。その転舵ロッド64は、両端部の各々において、ボールジョイント66を介してタイロッド70と連結されている。そのタイロッド70は、車輪16を回転可能に保持するステアリングナックル72に設けられたナックルアーム74に連結されている。すなわち、転舵装置36は、転舵ロッド64を左右に駆動することによって、ステアリングナックル72を回転させ、車輪16の転舵を行うのである。
本ステアリングシステムにおいて、転舵装置36は、それの駆動源である転舵モータ76によって転舵ロッド64を駆動する第1駆動部80と、上述の操作力によって転舵ロッド64を駆動する第2駆動部82とを備えている。第2駆動部82は、ピニオンギヤと、そのピニオンギヤと噛み合うように転舵ロッド64に形成されたラックギヤとを含んで構成されており、ピニオンギヤが回転することによって転舵ロッド64を左右に駆動する。そのピニオンギヤは、上述の入力ローラ54に相対回転不能に接続されており、電磁クラッチ44が消磁状態とされている場合、つまり、操作部10と転舵部12とが連結状態にある場合に、操作力によって、操舵操作に応じて回転させられる。その一方で、電磁クラッチ44が励磁状態とされている場合、つまり、操作部10と転舵部12とが非連結状態にある場合には、操作力によっては回転させられないようになっている。なお、通常時には、電磁クラッチ44が励磁状態とされており、操作力、つまり、操舵操作は第2駆動部82に伝達されず、ステアリングホイール14の操作によっては、車輪16の転舵は実行されない。
なお、転舵装置36には、ピニオンギヤの回転位置を検出することで車輪16の転舵位置(転舵角ということもできる)を検出する転舵位置センサ88が設けられている。ピニオンギヤは、転舵ロッド64が軸方向に移動するのに伴い回転させられるため、そのピニオンギヤの回転位置により、転舵ロッド64の移動量、すなわち、車輪16の転舵位置を取得することができるのである。
≪ステアリング操作装置の構造≫
図2および図3に示すように、操作装置20は、概して円筒状をなすハウジング100を備えており、そのハウジング100は、車両後方側(図において右側)に位置する第1ハウジング部102と、車両前方側に位置する第2ハウジング部104とが組み付けられて構成されている。第1ハウジング部102は、両端が閉塞された概して円筒状をなし、シャフト22を自身に貫通させた状態で、両端壁において軸受を介してそのシャフト22を回転可能かつシャフト22の延びる方向(以下、操作装置の軸線の延びる方向であり、以下、この方向を「軸線方向」という場合がある)に移動不能に保持している。なお、シャフト22は、図における右側の端部において、ステアリングホイール14を保持するよにされている。
操作反力付与装置24は、第1ハウジング部102と、それの内部に配設された操作反力付与装置本体108(以下、「装置本体108」と略する場合がある)とを含んで構成されている。装置本体108の内部構造については後に詳しく説明するが、装置本体108は、円柱状の外形をなしており、シャフト22を自身に貫通させた状態で、そのシャフト22によって支持されている。また、後に詳しく説明するように、装置本体108は第1ハウジング部102に対して回転可能とされており、回転が許容される状態では、ステアリングホイール14には操作反力が付与されない。つまり、この状態が、操作反力付与装置24とステアリングホイール14とが連係しない状態、すなわち、非連係状態である。一方、装置本体108の第1ハウジング部102に対する回転が禁止される状態では、操作反力付与装置24は、シャフト22を介して、ステアリングホイール14に操作反力を付与することが可能となる。つまり、この状態が、操作反力付与装置24とステアリングホイール14とが連係する状態、すなわち、連係状態である。ちなみに、図2は、非連係状態を示しており、図3は、連係状態を示している。
上述の連係状態と非連係状態との切り換えを行う装置が、連係・非連係切換装置26である。連係・非連係切換装置26は、装置本体108の外周部に押し付けられた状態において摩擦力によって装置本体108の回転を禁止する制動部材110と、第1ハウジング部102の外周部に配設されて制動部材110を装置本体108に接近・離間させる電磁アクチュエータ112とを含んで構成されている。制動部材110は、第1ハウジング部102の内周面と装置本体108の外周面との間に、装置本体108に対して、接近・離間可能に配置されている。また、制動部材110は、概して矩形の平板が装置本体108の外周に沿うように湾曲させらた形状をなしており、装置本体108の外周部に対して比較的広い面積で接触するようになっている。さらに、制動部材110の装置本体108と向かい合う面には、摩擦係数が大きな摩擦材によって形成されたライニング113(例えば、ドラムブレーキに使用されるものと同様な材質のもの)が施されている。
電磁アクチュエータ112は、その先端部に制動部材110が固定されたプランジャ114と、電力が供給された励磁状態において磁気を発生させてプランジャ114を装置本体108に接近する向きに移動させるコイル116と、プランジャ114を装置本体108から離間する向きに付勢する離間スプリング118(圧縮コイルスプリングである)とを含んで構成されている。プランジャ114は、第1ハウジング部102の周壁を貫通するように配設されており、励磁状態においてコイル116が発生する磁力によって第1ハウジング部102内に進入する向きに移動させられ、先端に固定された制動部材110は、装置本体108の外周面に押し付けられる。その一方で、コイル116が消磁状態の際には、離間スプリング118の付勢力によって、プランジャ114は、第1ハウジング部102から退出する向きに移動させられ、制動部材110は、装置本体108から離間させられる。なお、図2には、コイル116が消磁状態とされ、制動部材110が装置本体108から離間させられた状態が示されており、図3には、制動部材110が装置本体108の外周面に押し付けられた状態が示されている。
上述のような構成から、装置本体108の外殻部材であるケーシング120と、上記制動部材110とは、ステアリングホイール14の操作に応じて互いに相対動作する1対の部材として機能し、連係・非連係切換装置26は、それらケーシング120と制動部材110とを摩擦係合させる摩擦係合機構を有するものとされている。詳しく言えば、摩擦係合機構は、それらケーシング120,制動部材110,電磁アクチュエータ112を含んで構成され、それらケーシング120と制動部材110とを摩擦係合させ、それらの間に生じる摩擦力によって、それらの相対動作を禁止することで、上記連係状態を実現し、それらの係合を解除してそれらの相対動作を許容することで、上記非連係状態を実現する。つまり、連係・非連係切換装置26は、いわゆる摩擦クラッチ機構を有するものとされているのである。
操作反力付与装置本体108が有するケーシング120は、概して円筒状をなし、両端が閉塞されている。シャフト22は、両端の壁面を貫通しており、ケーシング120は、その両壁面において、軸受を介してシャフト22に回転可能かつ軸線方向に移動不能に保持されている。このような構造によって、先に説明したように、装置本体108が、第1ハウジング部102に対して回転可能とされているのである。そして、ケーシング120の第1ハウジング102に対する回転は、先に説明したように、上記電磁コイル116が励磁状態の場合に禁止され、電磁コイル116が消磁状態の場合に許容されるのである。
ケーシング120内には、シャフト22に保持され、ケーシング120に対して回転不能かつ軸方向に移動可能に配設されたスライダ122が配設されている。また、軸線方向におけるスライダ122の両側には、それぞれが、圧縮コイルスプリングであり、スライダ122を軸線方向に付勢可能な1対の付勢スプリング124が配設されている。装置本体108は、それらスライダ122と1対の付勢スプリング124とを含んで構成されている。
詳しく説明すれば、スライダ122は、ベアリングボールを保持するナットとされており、一方、シャフト22には、それの外周部に、ねじ溝が設けられている。スライダ122は、シャフト22と螺合しており、それらは、ボールねじ機構を構成している。また、スライダ122は、軸線方向における中央部が大径部126とされるとともに両端部が小径部128とされた段付の円筒形状をなしており、大径部126の外周部には、周方向における1の箇所に、軸線方向に延びる凸条130を有している。この凸条130は、キーとして機能し、ケーシング120の内周面設けられて軸線方向に延びる1条のキー溝132と嵌合している。このような構造ににより、スライダ122は、ケーシング120に対する回転が禁止されるとともに、軸線方向の移動が許容されているのである。
1対の付勢スプリング124の各々は、一端部が、ケーシング120の両端の壁面の一方に、また、他端部が、概して段付きの円環状をなしてシャフト22を貫通させた状態で配設された支持リング134に、それぞれ支持されている。支持リング134は、1対の付勢スプリング124に対応して1対設けられてており、それらは、一方が軸線方向におけるスライダ122の一方の側に、他方が他方の側に位置させられている。各支持リング134の外周部には、周方向における3等配の位置に、3つの突起136が設けられている。それらの突起136は、ケーシング120の内周面に軸線方向に延びるようにして形成された3条のガイド溝138と、それぞれ、嵌合している。ガイド溝138は、1対の支持リング134の各々に対応して、3条ずつ設けられている。また、各ガイド溝138は、ケーシング120の軸線方向における一方の端部から中央部付近までしか形成されておらず、各支持リング134は、所定の位置を超えて他方の端部に向う方向の移動が禁止されている。つまり、支持リング134は、ガイド溝138のケーシング120の軸線方向における中央寄りの端部に位置する状態において、ケーシング120の中央部分、つまり、軸線方向において2つのガイド溝138に挟まれる部分によって係止されるのである。なお、支持リング134が上記所定の位置(以下、「移動許容端位置」という場合がある)に位置している状態においても、付勢スプリング124は、圧縮状態とされている。
なお、各支持リング134の付勢スプリング124を支持する側の面とは反対側の面には、薄い環状のゴム板140が貼着されており、さらにそのゴム板140の表面に、薄い環状をなす電極板142が貼着されている。そのため、各支持リング134は、ゴム板140および電極板142を介して、スライダ122の大径部126の端面に当接する。なお、電極板142の機能については後に詳しく説明するが、ゴム板140は、スライダ122と支持リング134との当接に対する緩衝機能を有するとともに、電極板142と支持リング134とを電気的に絶縁させる機能を有している。
図2は、1対の支持リング134が、両者とも、上記移動許容端位置に位置する状態を示している。この状態においては、それら支持リング134の各々に設けられた電極板142が、両者とも、スライド部材122にちょうど接する状態とされている。詳しく言えば、2つの支持リングの各々に設けられたゴム板140が、いずれもほんの僅かに変形する状態となっており、スライダ122は、2つの付勢スプリング124による付勢力を殆ど受けていない状態とされている。なお、この状態におけるスライダ122の軸線方向の位置、つまり、図2におけるスライダ122の位置を、特定動作位置と呼ぶこととする。後に説明するように、スライダ122が特定動作位置から軸線方向に移動した場合には、その移動に伴って一方の支持リング134が移動し、1対の付勢スプリング124の一方がさらに圧縮されることになる。この、付勢スプリング124のさらなる圧縮によって、スライダ122に対して、それを特定動作位置に戻す方向の付勢力が、スライダ122に作用することになる。
ケーシング120の外周部と制動部材110とが係合していない状態、つまり、上述の非連係状態において、ステアリングホイール14が操作された場合を考える。この場合には、ステアリングホイール14の操作によってシャフト22が回転させられても、ケーシング120の回転が許容されているため、1対の付勢スプリング124の上記作用によって、スライダ122の動作位置は、特定動作位置に維持させられることになる。つまり、スライダ122の動作位置が特定動作位置に維持させられたままで、シャフト22とケーシング120とが、あたかも一体されたようにして、回転させられることになる。その結果、スライダ122には、付勢スプリング124による力は殆ど作用せず、ステアリングホイール14の操作に対する反力、つまり、操作反力は付与されないことになる。
それに対して、ケーシング120の外周部に制動部材110が押し付けられた場合、両者は摩擦係合する状態となる。この状態、つまり、連係状態においては、ケーシング120の回転が禁止される。そのため、図3に示すように、ステアリングホイール14の操作によってシャフト22が回転させられれば、上述したボールねじ機構によって、スライダ122は、軸線方向に移動させられることになる。このスライダ122の動作に伴って、1対の付勢スプリング124の一方が圧縮変形し、その変形に依拠して、スライダ122に対して、それを特定動作位置に戻そうとする方向の弾撥力、つまり、付勢力が作用することになる。この付勢力は、スライダ122およびシャフト22を介して、ステアリングホイール14に伝達される。つまり、ステアリングホイール14に対して、操作反力が付与されるのである。なお、このスライダ122の動作方向は、ステアリングホイール14の操作方向に応じた方向となり、また、スライダ122の上記特定動作位置からの動作量は、ステアリングホイール14の操作量に応じた量となる。したがって、付勢スプリング124の変形量もその操作量に応じたものとなり、ステアリングホイール14の操作量に応じた大きさの操作反力が付与されることになる。ちなみに、スライダ122が特定動作位置に位置している場合には、操作反力付与装置24が連係状態とされていても、いずれの付勢スプリング124もスライダ122を付勢せず、操作反力は発生させられない。
上述したような構造から、操作反力付与装置24において、スライダ122は、連係状態においてステアリングホイール14の操作量に応じて動作する動作体ととして機能する。このスライダ122は、車両の旋回方向に対応して、特定動作位置を挟む両側の領域に動作する。つまり、ステアリングホイール14の操作方向に対応して、特定動作位置の前方と後方との両方に移動するようにされている。また、1対の付勢スプリング124の各々は、スライダ122の動作量に応じた量変形してスライダ122に弾撥力を作用させる弾性体として機能するものとされている。そして、操作反力付与装置24は、付勢スプリング124の弾性力に依拠した付勢力を、スライダに付勢する動作体付勢機構を含んで構成されているのである。なお、ステアリングホイール14は、回転操作されるものとされており、操作反力付与装置24において、上述したボールねじ機構は、ステアリングホイール14の回転動作を、スライダ122の直線動作に変換する動作変換機構として機能するものとなっている。
なお、操作反力付与装置24は、連係状態におけるステアリングホイール14の操作範囲を規定する機能を有している。具体的に言えば、ステアリングホイール14の操作量が大きくなるにつれて、スライダ122の動作量が大きくなるのであるが、スライダ122の動作量がある程度大きくなった場合には、スライダ122の小径部128の端部がケーシング120の端部壁に設けられた筒状の突出部144に当接する。この突出部144により、それ以上のスライダ122の軸線方向の移動が禁止されることで、それ以上のステアリングホイール14の操作が禁止されることになる。突出部144は、ステアリングホイール14の双方向の操作に対応して、両方の端部壁に、それぞれ設けられており、それぞれが、操舵操作のエンドストッパとして機能するものとなっている。
操作装置20の操作反力付与装置24の前方側の部分、つまり、第2ハウジング104には、反力モータ30,操作位置センサ32等が配設されている。第2ハウジング104内には、シャフト22の前方端部が第1ハウジング102から延び出している。そのシャフト22の前方端部には、連結部18に操舵操作を出力するための出力プーリ46,および反力モータ30によって駆動される被駆動ギヤ150が、シャフト22に対して相対回転不能に固定されている。反力モータ30は、第2ハウジング104の前方端部の穴に嵌合して相対回転不能に固定されるとともに、反力モータ30のモータ軸が第2ハウジング104内に設けられたブラケット152によって軸受を介して回転可能に保持されている。また、そのモータ軸には、駆動ギヤ154が相対回転不能に取り付けられており、その駆動ギヤ154と被駆動ギヤ150とが噛み合わされている。本操作装置20においては、反力モータ30,駆動ギヤ154,および被駆動ギヤ150を含んで、前記モータ反力付与機構が構成されている。
第2ハウジング部104内には、シャフト22の回転を減速する減速機構160が設けられている。減速機構160は、シャフト22の前方端部に相対回転不能に固定されたシャフト側ギヤ162,およびシャフト側ギヤ162に噛み合わされてシャフト側ギヤ162の回転を減速する減速ギヤ164と含んで構成されている。シャフト側ギヤ162は、シャフト22の内周部に相対回転不能に嵌合した嵌合軸166に固定されている。減速ギヤ164は、第2ハウジング104の前方端部に軸受を介して回転可能に保持された回転軸168に相対回転不能に固定されている。操作位置センサ32は、絶対回転位置を取得するアブソリュートエンコーダによって構成されており、回転軸168の絶対回転位置を取得するように第2ハウジング104の前方端面に配設されている。回転軸168は、減速機構160を介してシャフト22に接続されており、回転軸168の絶対回転位置を取得することによって、シャフト22およびステアリングホイール14の絶対回転位置、つまり、操作位置を取得することができるのである。
本ステアリングシステムにおいては、操作装置20を構成する反力付与装置24は、スライダ122が上記特定動作位置に位置することを検出する特定動作位置検出器としてのスライダ位置検出器170が設けられている。このスライダ位置検出器170は、上述した1対の電極板142を含んで構成されている。スライダ122が特定動作位置に位置している場合には、1対の電極板142の各々は、ともに、スライダ122の小径部128の端面と接触している。スライダ122は電気伝導性のある材料によって形成されており、その場合には、1対の電極板142の間は、電気的に導通している。電極板142の各々には、電線172が接続されており(接続手法については図示を省略)、それら電線172の各々は、その各々に対応するケーシング120の端部において径方向に延び出し、さらに、後に説明するテンショナ174を介して、第1ハウジング102の外部に延び出している。つまり、スライダ位置検出器170では、1対の電極板142が、第1接点部材,第2接点部材として機能し、それら接点部材間のスライダ122を介した電気的導通が検出されることで、スライダ122が特定動作位置に位置することが検出される。
一方、操作反力付与装置24が連係状態とされている場合において、ステアリングホイール14が操作されたときには、先に説明したように、スライダ122は軸線方向に移動し、一方の電極板142が、スライダ122から離間する。それによって、電極板142間の電気的導通が絶たれることになる。本スライダ位置検出器170では、電極板142の電気的絶縁状態が検出されることで、スライダ122が特定動作位置に位置していないことが検出される。
なお、非連係状態においてステアリングホイール14が操作された場合には、ケーシング120が回転し、それに伴って電線142のケーシング120から延び出す部分は、ケーシング120の外周部に、それの全周にわたって設けられた溝176において、巻回されることになる。また、連係状態においてステアリングホイール14が操作された場合には、スライダ122の軸線方向の移動に伴って、ケーシング120内において、一方の電線172が弛むことになる。テンショナ174は、電線172の一部分を延出可能に収容するとともに、電線172にテンションを付与する構造とされている。このような構造によって、テンショナ174は、上記電線の巻回,弛みに対して、適切に電線172を捌くようにされているのである。
≪制御装置とステアリングシステムの制御≫
本ステアリングシステムは、自身の作動を制御するための制御装置として、ステアリング電子制御ユニット200(ステアリングECU、以下、単に「ECU200」という場合がある)を備えている。ECU200は、コンピュータを主体として、各種モータ,各種機構等を駆動する駆動回路等を含んで構成されている。ECU200には、操作位置センサ32,転舵位置センサ88,車速センサ202等の各種センサが接続され、また、前述のスライダ位置検出器170が接続されている。さらに、車室内には、後に説明するステアリングホイール14と操作反力付与装置24との連係ズレの発生を報知するインジケータ204,連係ズレを解消あるいは防止を目的とするキャリブレーション処理を実行するためのキャリブレーションスイッチ206,イグニッションスイッチ208が設けられており、ECU200には、それらも接続されている。さらにまた、ECU200は、駆動回路を介して、反力モータ30、転舵モータ76、電磁クラッチ44、連係・非連係切換装置26等が接続されている。ECU200のコンピュータの記憶部には、当該ステアリングシステムを制御するための各種の制御プログラムが記憶されており、それら制御プログラムがコンピュータによって実行されることで、当該システムの作動が制御される。
本システムでは、車両のイグニッションスイッチ208がONとされている状態において、通常、電磁クラッチ44には励磁電流が供給される。つまり、通常では、連結装置38による操作装置20と転舵装置36とは連結されておらず、本システムは、いわゆるステアバイワイヤ型のステアリングシステムとされる。言い換えれば、ステアリングホイール14の操作量に応じた車輪の転舵がなされるように、ECU200によって、転舵装置36が有する転舵モータ76が制御駆動される(以下、この制御を「転舵制御」という場合がある)。具体的に言えば、転舵制御では、まず、操作位置センサ32の検出信号に基づいて取得されたステアリングホイール14の操作位置から、記憶部に記憶されているマップデータを参照して、転舵装置36の転舵位置(転舵装置36の動作位置と考えることができる)の目標である目標転舵位置が決定される。そして、転舵位置センサ88の検出信号に基づいて取得された実際の転舵位置の目標転舵位置からの偏差を減少させるように、転舵モータ76に電力が供給される。その結果として、ステアリングホイール14の操作に応じた車輪16の転舵が実行されるのである。
ちなみに、操作位置センサ32および転舵位置センサ88は、ともに絶対位置を検出可能とされていることから、転舵制御においては、ステアリングホイール14の中立位置(車両が直進する状態において位置すべきステアリングホイール14の操作位置)と、転舵装置36の中立位置(車両が直進する状態の転舵位置)とが、自動的に.一致するようになっている。
転舵制御が実行されている場合には、操作反力付与装置24は、自身による操作反力をステアリングホイール14に付与可能な状態とされる。具体的に言えば、電磁アクチュエータ112のコイル116は励磁させられ、連係・非連係切換装置26によって、操作反力付与装置24は、連係状態とされる。したがって、転舵制御が実行される間、操作反力付与装置24によって、ステアリングホイール14に対して、それの操作量に応じた大きさの操作反力が付与される。
また、本システムでは、転舵制御が実行されている場合には、ステアリングホイール14に対して、反力モータ30による操作反力も付与される。つまり、その操作反力を付与するためのモータ反力制御が実行される。モータ反力制御では、詳しく言えば、操作位置センサ32によって検出された操作位置,その操作位置に基づいて演算されたステアリングホイール14の操作速度,車速センサ202によって検出された車両走行速度等のパラメータに基づいて、反力モータ30が制御され、上記操作反力付与装置24による操作反力が補正される。具体的に言えば、操作位置が操舵操作範囲の限界近くとなった場合に、その限界を運転者に感知させるべく、操作反力を大きくし、また、操舵操作,車両走行等の安定性等に鑑み、操作速度が速い場合に遅い場合に比較して操作反力を大きくし、車両走行速度が高い場合に低い場合に比較して操作反力を大きくするように、反力モータ30による操作反力が付与される。
本ステアリングシステムでは、例えば、電源,ECU200,反力モータ30等、当該システムを構成する各部の失陥、特に、電気系統の失陥が発生した場合には、上記転舵制御,モータ反力制御が適切に実施できない可能性がある。そこで、それらの失陥が発生した場合には、ステアリングホイール14に加えられた操作力による車輪16の転舵を実現すべく、連結装置38により、操作装置20と転舵装置36とが連結される。具体的に言えば、電磁クラッチ44への電力の供給が絶たれて、電磁クラッチ44が消磁状態とされる。これにより、先に説明したように、ステアリングホイール14に加えられた操作力は、連結部18によって、転舵装置36へ伝達されることになる。
なお、操作力によって車輪16の転舵を行う場合には、連結装置38によって操作装置20と転舵装置36とが連結されているため、運転者は、操舵操作において転舵装置36からの操作反力、つまり、車輪16からの操作反力を受けることになる。したがって、転舵制御が実行されている場合と異なり、反力モータ30による操作反力および操作反力付与装置24による操作反力を付与すれば、操作反力が過大となり、操舵操作重くなり過ぎてしまうことが予想される。このことに鑑み、連結装置38によって操作装置20と転舵装置36とが連結され場合には、モータ反力は付与されず、また、操作反力付与装置24は、操作反力が発生しないようにされる。具体的に言えば、電磁アクチュエータ112が消磁状態とされ、制動部材110がケーシング120から離間させられることで、操作反力付与装置24が非連係状態とされるのである。
また、イグニッションスイッチ208がOFFとされた場合、つまり、車両の作動が停止させられた場合にも、転舵装置36と操作装置20とが連結される。これにより、例えば、ステアリングホイール14が操作された状態(いわゆるハンドルがきられた状態)で車両の動作が停止させられても、ステアリングホイール14の操作位置と転舵位置との関係が、その時点の関係のままで維持されることになる。つまり、車両の動作が停止している状態では、ステアリングホイール14の操作等によって、転舵の中立位置と操作の中立位置とのズレが生じる。転舵装置36と操作装置20との連結は、このズレを防止している。なお、付勢スプリング124が変形したままとなること等を懸念して、イグニッションスイッチ208がOFF状態とされた場合にも、操作反力付与装置24は、非連係状態とされる。
≪ステアリングホイールと操作反力付与装置との連係のズレ≫
ステアリングホイール14は、それの形状の周方向における異方性から、車両が直進状態である場合に、ある特定の回転姿勢となることが望ましい。そのため、ステアリングホイール14の中立位置は、その姿勢を考慮して決定されている。一方、先に説明したように、転舵制御が実行されて操作反力付与装置24が連係状態とされた場合であっても、スライダ122が特定動作位置に位置する場合には、ステアリングホイール14に操作反力が付与されない。つまり、スライダ122が中立位置に位置する場合には、操作反力付与装置24が中立状態とされているのである。適正な回転姿勢において操作反力が付与されないようにするため、本ステアリングシステムでは、ステアリングホイール14の中立位置と操作反力付与装置24の中立状態とを一致させるようにされている。
ここで、操作反力付与装置24が連係状態とされている場合に、それの上記中立状態とステアリングホイール14の中立位置との不一致、つまり、それらにズレが生じた場合を考える。操作反力付与装置24は、付勢スプリング124の弾撥力によって、中立状態に復帰する機能を有している。したがって、上記ズレが生じている状況において、運転者がステアリングホイール14に操作力を加えていない場合には、上記復帰作用によって、ステアリングホイール14が中立位置から動作させられてしまう。このことは、前述の転舵制御、つまり、ステアリングホイール14の操作位置に基づく車輪16の転舵を実行する制御の適切性を阻害する一因となる。また、運転者がステアリングホイール14を中立位置において保持している場合には、ステアリングホイール14は、上記ズレに起因する操作反力付与装置24からの操作反力を受けることになる。このことは、操舵操作に対して違和感を与える一因となる。このような理由からも、ステアリングホイール14の中立位置と操作反力付与装置24の中立状態とを一致させることが望ましく、つまり、ステアリングホイール14と操作反力付与装置24との連係のズレ(以下、単に「連係ズレ」と略す場合がある)を回避する必要があるのである。
前述のように、連係状態においては、ステアリングホイール14の操作範囲は、スライダ122がケーシング120の突出部144に当接することによって規定される。ところが、例えば、操作範囲の限度において過大な操作力がステアリングホイール14に加わった場合、ケーシング120に、それと制動部材110との間の摩擦力を超える回転力が作用し、ケーシング120と制動部材110との間に滑りが生じて、ケーシング120が回転してしまうことになる。このケーシング120の滑りが生じた後に、操作反力付与装置24が中立状態に復帰した場合、ステアリングホイール14の操作位置は中立位置から外れた位置となる。例えば、このようにして上記連係ズレが生じてしまうのである。
また、連係ズレは、連係・非連係切換装置26による連係状態と非連係状態との切換によっても生じる。連係・非連係切換装置26は、イグニッションスイッチ208がON状態からOFF状態に切り換わった場合に、操作反力付与装置24を、連係状態から非連係状態に切り換える。例えば、ステアリングホイール14の操作位置が中立位置から外れた状態において、イグニッションスイッチ208をOFF状態にする場合を考える。この場合、転舵装置36と操作装置20とが連結装置38によって連結されるため、ステアリングホイール14の操作位置は、その時点の位置に維持されることになる。ところが、操作反力付与装置24は、非連係状態とされるため、付勢スプリング124の弾撥力によって、スライダ122は特定動作位置に復帰するともに、ケーシング120は回転する。つまり、操作反力付与装置24は、中立状態に復帰することになる。この状態において、イグニッションスイッチ208をON状態とすれば、中立位置に位置しないステアリングホイール14と中立状態の操作反力付与装置24が連係させられるため、上記連係ズレが発生するのである。
そこで、本ステアリングシステムでは、上述した連係ズレを監視する機能を有している。転舵制御が実行されている場合において、ECU200は、操作位置センサ32の検出信号によってステアリングホイール14の操作位置を常に把握しており、スライダ位置検出器170を利用して、スライダ122が特定動作位置に位置しているか否か、つまり、操作反力付与装置24が中立状態であるか否かを常に把握している。そして、ステアリングホイール14の操作位置が中立位置となっているときに、操作反力付与装置24が中立状態となっていない場合において、連係ズレが発生していると判断する。本システムにおいて、ECU200は、このような連係ズレ判断処理を実行する。
また、本システムでは、連係ズレが発生している場合には、ECU200は、インジケータ204を介して、運転者に連係ズレの発生を報知する。そして、また、ECU200は、連係ズレを解消あるいは防止するための調整処理、すなわち、キャリブレーション処理を実行するようにされている。連係ズレを解消するためのキャリブレーション処理は、車両が走行しておらず、かつ、ステアリングホイール14が操作されていないことを条件とし、運転者によるキャリブレーションスイッチ206の操作によって開始される。このキャリブレーション処理では、まず、連係・非連係切換装置26によって、一旦、操作反力付与装置24が非連係状態とされ、次いで、反力モータ30の動作によって、ステアリングホイール14が回転駆動され、操作位置センサ32の検出信号に基づいて、ステアリングホイール14の操作位置が中立位置とされる。続いて、スライダ位置検出器170の検出信号によって、スライダ122が特定動作位置に復帰していること、つまり、操作反力付与装置24が中立状態にあることが確認され、その確認の後に、連係・非連係切換装置26によって、操作反力付与装置24が連係状態とされる。そして、連係状態とされた後、反力モータ30が動作させられて、ステアリングホイール14が回転駆動され、転舵位置センサ88によって検出される転舵位置とステアリングホイール14の操作位置とを整合させてキャリブレーション処理が終了させられる。
さらに、本ステアリングシステムでは、イグニッションスイッチ208がON状態とされた場合にも、キャリブレーション処理が実行される。この処理は、具体的には、イグニッションスイッチ208がON状態とされて、連結装置38による転舵装置36と操作装置20との連結が解除された後に、上述したの同様の処理が自動的に実行されることによって行われる。つまり、連係ズレを防止するためのキャリブレーション処理が実行されて、操作反力付与装置24が、非連係状態から連係状態に移行させられるのである。それらのキャリブレーション処理は、スライダ122の動作位置が上述の特定動作位置となっていることを確認した上で、操作反力付与装置24を連係状態とする処理であり、すなわち、特定動作位置依拠連係状態移行処理と考えることができる。
≪制御プログラムとECUの機能≫
先に説明した本ステアリングシステムの制御は、図4にフローチャートを示すステアリング制御プログラムが実行されることによって行われる。このプログラムは、イグニッションスイッチ208がON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec〜数十msec)をおいて、繰り返し実行される。以下に、フローチャートを参照しつつ、本システムの制御の流れを簡単に説明する。
ステアリング制御プログラムでは、ステップ1(以下「S1」と略す。他のステップも同様である)において、イグニッションスイッチ208がON状態とされたか否かが判定され、S2において、キャリブレーションスイッチ206が操作されたか否かが、S3において、イグニッションスイッチ208がON状態とされたか否かが、S4において、当該システムが失陥しているか否かが、それぞれ判定される。S1〜S4のすべての判定がNoである場合、つまり、通常の操舵状態である場合には、S5以下の処理が実行される。なお、後に説明するように、通常の操舵状態では、本システムは、いわゆるステアバイワイヤ型のシステムとして機能するため、連結装置38による操作部10と転舵部12の連結は解除されるとともに、操作反力付与装置24は連係状態とされている。
S5では、ステアリングホイール14の操作位置が中立位置であるか否かが判定され、中立位置にある場合は、S6において、スライダ位置検出器170の検出結果から、スライダ122が中立位置、すなわち、特定動作位置にあるか否かが判定される。スライダ122の位置が中立位置となっている場合には、S7において、後に説明するインジケータ204による連係ズレの報知をキャンセルする処理(連係ズレが報知されてない場合にはその状態を維持する処理)が行われ、中立位置となっていない場合には、連係ズレが生じているものと認定されて、S8において、インジケータ204に、連係ズレが生じていることを報知させる指令が発せられる。なお、S5の判定で操作位置が中立位置となっていない場合、S6〜S8の処理はスキップされる。
連係ズレの判断に関する上記処理が実行された後、S9において、転舵制御が実行される。この転舵制御は、上述したように、操作部10と転舵部12とが連結されていない状態において、転舵モータ76を制御することで、ステアリングホイール14の操作量に応じた車輪16の転舵を実現させるための制御である。次に、S10において、モータ反力制御が実行される。モータ反力制御では、先に説明したように、反力モータ30が制御されることで、操作反力付与装置24による操作反力が、前述した種々のパラメータに基づいて補正される。
車両が始動時には、S1の判定に基づき、S12以降の処理、つまり、キャリブレーション処理を主体とする処理が実行される。具体的には、S12において、連結装置38によって操作部10と転舵部12との連結が解除され、続くS13において、操作反力付与装置24が非連係状態とされる(厳密には、始動時における処理では非連係状態が維持される)。次いで、S14において、反力モータ30の動作によって、ステアリングホイール14の操作位置が中立位置に位置させられる(既に中立位置にある場合は、その位置が維持される)。S15では、操作位置が中立位置とされた後、S16において、スライダ位置検出器170の検出結果に基づき、スライダ122が中立位置に位置するか否かが判断される。中立位置に位置することが確認された場合には、S16において、上述した連係ズレのキャンセル処理が実行され、操作反力付与装置24が連係状態とされるとともに、S18において、反力モータ30の動作により、ステアリングホイール14の操作位置が、転舵位置に整合させられる。なお、S15においてスライダ122が中立位置となっていないと判断された場合には、S19において、インジケータ204によって連係ズレが報知される。
連係ズレが生じており、その連係ズレを解消すべく運転者がキャリブレーションスイッチ206を操作した場合には、S11において、キャリブレーション処理の実行が許容される条件、つまり、車両が走行しておらずかつ運転者がステアリングホイール14を操作していないという条件を充足しているが否かが判断される。この許容条件を充足する場合にのみ、S12以降の処理が実行される。
イグニッションスイッチ208がOFF状態とされた場合,当該システムに失陥が生じているあるいは生じた場合には、S20において、操作反力付与装置24が非連係状態とされるともに、S21において、連結装置38によって、操作部10と転舵部12とが連結される。なお、キャリブレーション処理のS15においてスライダ122が中立位置に位置していないと判定された場合は、適正なキャリブレーション処理が行い得ないと考えることができるため、その場合にも、S20,S21が実行される。
ECU200は、ステアリング制御プログラムの実行によって、上述した種々の処理を行う。このECU200の機能について補足すれば、ECU200は、S5〜S8の処理を実行する機能部である連係ズレ判断処理部を有しており、また、S12〜S18の処理を実行する機能部である特定動作位置依拠連係状態移行部を有していると考えることができる。なお、S9の転舵制御を実行する機能部は、転舵装置36と操作装置20とが連結されていない状態において車輪16の転舵を実行する機能部であり、ステアバイワイヤ型ステアリングシステムの操舵操作におけ主体的な役割を果たすものある。したがって、ECU200は、その機能部である非連結時車輪転舵部を有していると考えることができる。
請求可能発明の車両用ステアリングシステムの全体構成を概略的に示す図である。 図1の車両用ステアリングシステムが備えるステアリング操作装置(非連係状態)の車両側方からの視点における断面図である。 図1の車両用ステアリングシステムが備えるステアリング操作装置(連係状態)の車両側方からの視点における断面図である。 図1の車両用ステアリングシステムにおいて制御装置が実行するステアリング制御プログラムのフローチャートである。
符号の説明
10:操作部 12:転舵部 14:ステアリングホイール 16:転舵車輪 18:連結部 20:ステアリング操作装置 22:シャフト 24:操作反力付与装置 26:連係・非連係切換装置 32:操作位置センサ 36:車輪転舵装置 38:操作部材転舵装置連結装置 76:転舵モータ 88:転舵位置センサ 108:操作反力付与装置本体 110:制動部材 112:電磁アクチュエータ 120:ケーシング 122:スライダ 124:付勢スプリング 134:支持リング 142:電極板 170:スライダ位置検出器 200:ステアリング電子制御ユニット(ECU)

Claims (6)

  1. 運転者によって操作される操作部材と、
    その操作部材と連係する連係状態において、その操作部材に操作反力を付与する操作反力付与装置であって、(a)前記連係状態において操作部材の操作量に応じて動作する動作体と、(b)その動作体の動作量に応じた付勢力でその動作体を付勢する動作体付勢機構とを有し、その付勢力に依拠した前記操作反力を発生させる構造とされた操作反力付与装置と、
    前記連係状態と、前記操作部材と前記操作反力付与装置とが連係しない非連係状態とを切り換える連係・非連係切換装置と、
    前記動作体が、前記連係状態においても当該操作反力装置が前記操作反力を発生させない動作位置である特定動作位置に位置することを検知する特定動作位置検出器と
    を備えた車両用ステアリングシステム。
  2. 当該車両用ステアリングシステムが、さらに、当該システムの作動を制御する制御装置と、前記操作部材の操作位置を検出する操作位置検出器とを備える請求項1に記載の車両用ステアリングシステム。
  3. 前記制御装置が、
    前記操作位置検出器によって前記操作部材が操作されていない位置に位置することが検出されたこと、および、前記特定動作位置検出器によって前記動作体が特定動作位置に位置することが検出されたことを条件として、前記連係・非連係切換装置に、前記非連係状態から前記連係状態への切り換えを実行させる特定動作位置依拠連係状態移行部を有する請求項2に記載の車両用ステアリングシステム。
  4. 前記制御装置が、
    前記連係状態において、前記操作位置検出器によって前記操作部材が操作されていない位置に位置することが検出された時点で、前記特定動作位置検出器によって前記動作体が特定動作位置に位置しないことが検出された場合に、前記操作部材と前記操作反力付与装置の連係のズレを判断する連係ズレ判断部を有する請求項2または請求項3に記載の車両用ステアリングシステム。
  5. 前記動作体が導電体とされ、前記操作反力付与装置が、前記動作体が前記特定動作位置に位置する場合において前記動作体と接触するとともにその特定動作位置から離れる場合において前記動作体に接触しない状態となる接点部材を有し、
    前記特定動作位置検出器が、前記動作体と前記接点部材との電気的導通を検出することで、前記動作体が特定動作位置に位置することを検出するように構成された請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
  6. 前記動作体が、前記特定動作位置を挟む両側の領域に動作可能とされ、
    前記操作反力付与装置が、
    それぞれが前記接点部材として機能するとともに、前記動作体が前記両側の領域の一方に動作する場合にその動作体と接触しない状態となる第1接点部材と、前記動作体が前記両側の領域の他方に動作する場合にその動作体と接触しない状態となる第2接点部材とを有し、
    前記特定動作位置検出器が、前記第1接点部材と前記第2接点部材との間の前記動作体を介した電気的導通を検出することで、前記動作体が特定動作位置に位置することを検出するように構成された請求項5に記載の車両用ステアリングシステム。
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