JP2008137184A - セラミック成形体の押出成形装置及びそれを用いた成形方法 - Google Patents

セラミック成形体の押出成形装置及びそれを用いた成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セラミック成形体の成形不良を抑制しながら、成形速度を向上させることができるセラミック成形体の押出成形装置及びそれを用いた成形方法を提供すること
【解決手段】セラミック成形体の押出成形装置1は、セラミック成形体を成形するための成形型と、セラミック材料を混練すると共に成形型に向けて導く押出スクリュー4をバレル30内に配設したスクリュー押出機3とを有する。押出スクリュー4は、軸体であるスクリュー軸部41と該スクリュー軸部41の外周面410に螺旋状に設けられた尾根形状を呈する1条のリード部42とを有する。押出スクリュー4におけるリード部42が設けられている領域の軸方向の長さをスクリュー長さL、押出スクリュー4の外径をスクリュー径Dとした場合、スクリュー長さLとスクリュー径Dとが13≦L/D≦17の関係を満たす。
【選択図】図2

Description

本発明は、セラミック成形体を成形するための押出成形装置及びそれを用いた成形方法に関する。
近年、自動車等の内燃機関より排出される排ガスの浄化を行う排ガス浄化フィルタ等として、ハニカム構造を有するセラミック成形体が適用されている。
このハニカム構造のセラミック成形体の成形方法としては、押出成形が一般的であり、スクリュー型の押出成形装置等が用いられている(特許文献1参照)。スクリュー型の押出成形装置は、セラミック材料を混練し、成形型に向けて押し出すスクリュー押出機を備えており、セラミック成形体を連続的に成形することができ、生産性に優れている。
ところが、上記スクリュー型の押出成形装置では、セラミック材料のバックフローという問題が生じる。すなわち、スクリュー押出機によって成形型へ導かれるセラミック材料が、成形型の手前で上昇した圧力により押出方向と逆方向に戻されるという現象が生じる。そのため、セラミック成形体の成形速度が低下し、生産性の低下を招く。
これを解決するには、単純に押出圧力を高くして押出速度を速くする方法があるが、この場合には、セラミック材料内に生じる発熱量が大きくなり、この発熱によってセラミック材料中の水分状態にばらつきが生じ、品質低下の問題が生じる。
このようなことから、セラミック成形体の成形不良を抑制しながら、成形速度を向上させることができるセラミック成形体の押出成形装置が望まれている。
特開2001−260116号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、セラミック成形体の成形不良を抑制しながら、成形速度を向上させることができるセラミック成形体の押出成形装置及びそれを用いた成形方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、セラミック成形体を成形するための成形型と、セラミック材料を混練すると共に上記成形型に向けて導く押出スクリューをバレル内に設けたスクリュー押出機とを有するセラミック成形体の押出成形装置において、
上記押出スクリューは、軸体であるスクリュー軸部と該スクリュー軸部の外周面に螺旋状に設けられた尾根形状を呈する1条又は2条以上のリード部とを有し、
上記押出スクリューにおける上記リード部が設けられている領域の軸方向の長さをスクリュー長さL、上記押出スクリューの外径をスクリュー径Dとした場合、上記スクリュー長さLと上記スクリュー径Dとが13≦L/D≦17の関係を満たすことを特徴とするセラミック成形体の押出成形装置にある(請求項1)。
本発明の押出成形装置は、上記成形型と、押出スクリューをバレル内に設けた上記スクリュー押出機とを有する。上記押出スクリューは、スクリュー軸部と該スクリュー軸部の外周面に螺旋状に設けられたリード部とを有する。そして、上記スクリュー長さLと上記スクリュー径Dとが13≦L/D≦17の関係を満たすように、上記押出スクリューに上記リード部を設ける領域と上記押出スクリューの外径とを設定している。
すなわち、上記スクリュー長さLと上記スクリュー径Dとの比を上記特定の範囲内とすることにより、上記押出スクリューによる上記セラミック材料の搬送量を確保しながら、上記セラミック材料を押し出すために上記成形型の手前で上昇する圧力を抑制し、上記セラミック材料を上記成形型から円滑に精度良く押し出すことができる。これにより、上記成形型の手前で上昇した圧力によって上記セラミック材料が押出方向と逆方向に戻される、いわゆるバックフロー現象を抑制することができる。
よって、上記押出成形装置を用いることにより、セラミック成形体の成形速度を向上させることができると共に、生産性の向上も図ることができる。また、成形不良を抑制しながら、高品質なセラミック成形体を成形することができる。
このように、本発明によれば、セラミック成形体の成形不良を抑制しながら、成形速度を向上させることができるセラミック成形体の押出成形装置を提供することができる。
第2の発明は、上記第1の発明の上記セラミック成形体の押出成形装置を用いて、上記スクリュー押出機から圧送された上記セラミック材料を上記成形型から押し出して所望の形状のセラミック成形体を成形する方法において、
上記成形型から押し出される上記セラミック材料の押出圧力は、150kg/cm2以下であることを特徴とするセラミック成形体の成形方法にある(請求項7)。
本発明の成形方法は、上記第1の発明の上記セラミック成形体の押出成形装置を用いてセラミック成形体を成形する。そのため、上述のごとく、上記セラミック材料を上記成形型から円滑に精度良く押し出すことができる。そして、セラミック成形体の成形不良を抑制しながら、成形速度を向上させることができる。
また、本発明では、上記成形型から押し出される上記セラミック材料の押出圧力を150kg/cm2以下にして成形する。すなわち、上記押出圧力を上記特定の値以下とすることにより、押出成形時において上記セラミック材料内に生じる発熱及びこの発熱によって生じる上記セラミック材料中の水分状態のばらつきを抑制することができる。これにより、得られるセラミック成形体は、より高品質なものとなる。
また、上記押出圧力を上記特定の値以下とすることにより、上記セラミック材料のバックフローを抑制する効果も期待できる。そのため、セラミック成形体の成形速度及び生産性をさらに向上させることができる。
このように、本発明の成形方法によれば、セラミック成形体の成形不良を抑制しながら、成形速度を向上させることができる。そして、より高品質なセラミック成形体を成形することができる。
上記第1の発明においては、上記スクリュー長さLと上記スクリュー径Dとの関係がL/D<13の場合には、上記セラミック材料のバックフローが増大し、セラミック成形体の成形速度の向上を図ることができないおそれがある。一方、L/D>17の場合には、上記セラミック材料を押し出すために必要な圧力が大きくなる。そのため、上記セラミック材料を円滑に押し出すためには設備が大型化するおそれがある。
また、上記押出スクリューの外径端から上記スクリュー軸部の外周面までの径方向の距離を溝深さhとした場合、該溝深さhと上記スクリュー径Dとが0.08≦h/D≦0.12の関係を満たすことが好ましい(請求項2)。
上記溝深さhと上記スクリュー径Dとの関係がh/D<0.08の場合には、上記押出スクリューによる上記セラミック材料の搬送量が減少し、セラミック成形体の成形速度の向上を図ることができないおそれがある。一方、h/D>0.12の場合には、上記セラミック材料のバックフローが増大し、同様に成形速度の向上を図ることができないおそれがある。
また、上記押出スクリューの外径端から上記バレルの内周面までの径方向の距離をクリアランスcとした場合、該クリアランスcと上記スクリュー径Dとが0.004≦c/D≦0.009の関係を満たすことが好ましい(請求項3)。
上記クリアランスcと上記スクリュー径Dとの関係がc/D<0.004の場合には、上記押出スクリューの上記リード表面におけるせん断力が大きくなり、上記セラミック材料に含まれるセラミック原料粉末粒子の潰れが大きくなる。そのため、得られるセラミック成形体の品質の低下やばらつきを招くおそれがある。また、上記押出スクリューによる上記セラミック材料の搬送量が減少し、セラミック成形体の成形速度の向上を図ることができないおそれがある。一方、c/D>0.009の場合には、上記セラミック材料のバックフローが増大し、同様に成形速度の向上を図ることができないおそれがある。
また、上記成形型は、上記セラミック材料を供給するための供給穴と、該供給穴に連通して格子状に設けられ上記セラミック材料をハニカム形状に成形するためのスリット溝とを有することが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記セラミック材料を上記供給穴から供給して、上記スリット溝から押し出すことにより、ハニカム構造を有するセラミック成形体を成形することができる。
また、上記供給穴は、格子状に設けられた上記スリット溝の縦方向及び横方向の1つおきの格子点に対応する場所に設けられており、
上記供給穴の内径を供給穴径R、上記スリット溝の幅をスリット溝幅t、上記スリット溝のピッチ幅をスリットピッチpとした場合、4pt/(πR2)<1の関係を満たすことが好ましい(請求項5)。
4pt/(πR2)≧1の場合には、上記セラミック材料が上記供給穴に充分に供給されず、成形後のセラミック成形体に欠損等の成形不良が生じるおそれがある。
また、上記供給穴は、格子状に設けられた上記スリット溝の全ての格子点に対応する場所に設けられており、
上記供給穴の内径を供給穴径R、上記スリット溝の幅をスリット溝幅t、上記スリット溝のピッチ幅をスリットピッチpとした場合、2pt/(πR2)<1の関係を満たすことが好ましい(請求項6)。
2pt/(πR2)≧1の場合には、上記セラミック材料が上記供給穴に充分に供給されず、成形後のセラミック成形体に欠損等の成形不良が生じるおそれがある。
上記第2の発明においては、上記成形型から押し出される上記セラミック材料の押出圧力が150kg/cm2を超える場合には、上記セラミック材料内に生じる発熱量が大きくなる。そして、この発熱量によって上記セラミック材料中の水分状態にばらつきが生じ、得られるセラミック成形体の品質が低下するおそれがある。
また、上記セラミック材料のバックフローが増大し、上記押出スクリューによる上記セラミック材料の搬送量が低下するおそれがある。そのため、セラミック成形体の成形速度の向上を図ることができないおそれがある。
また、上記セラミック材料は、少なくともセラミック原料粉末及びグラファイトを含有し、上記セラミック原料粉末100重量%に対する上記グラファイトの添加量が15〜30重量%であることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記グラファイトの存在によって上記セラミック材料の滑り性が向上し、より円滑に押し出すことができる。そのため、セラミック成形体の成形速度をさらに向上させることができる。
また、上記セラミック材料におけるグラファイトの含有量が15重量%未満の場合には、上記セラミック材料の滑り性を向上させることができないおそれがある。一方、30重量%を超える場合には、成形後のセラミック成形体を焼成する際に、グラファイトの燃焼による発熱量が多くなり、焼成割れ等の不具合が発生するおそれがある。
また、上記セラミック成形体は、ハニカム状のセル壁に囲まれた多数のセルと外周側面を覆う筒状の外周壁とを有するハニカム構造体であることが好ましい(請求項9)。
ハニカム構造を有するセラミック成形体は、複雑な形状であり、その押出圧力も比較的高くなる。そのため、上記の優れた押出成形装置を用いることは、ハニカム構造を有するセラミック成形体の成形に非常に有効であり、セラミック成形体の成形不良を抑制しながら、成形速度を向上させることができるという効果を充分に発揮することができる。
また、上記セル壁の厚みは、0.2〜0.4mmであることが好ましい(請求項10)。
上記セル壁の厚みが薄くなるほど、その押出圧力も高くなる。そして、上記セル壁の変形等が生じ易くなり、成形もより困難となる。そのため、上記の優れた押出成形装置を用いることは非常に有効であり、上記セラミック材料を円滑に精度良く押し出すことによって、上記セル壁の変形等を抑制することができる。これにより、成形不良を抑制しながらセラミック成形体を成形することができる。
なお、上記セラミック成形体を構成する上記セラミック材料としては、例えば焼成後にコーディエライトとなるセラミック原料粉末を主成分として含有する材料等を用いることができる。
また、ハニカム構造を有する上記セラミック成形体は、焼成後にディーゼルエンジン用排ガス浄化フィルタ(DPF)等として適用される。
(実施例1)
本発明の実施例にかかる押出成形装置について、図を用いて説明する。
本例の押出成形装置1は、図1に示すごとく、セラミック成形体8を成形するための成形型7と、セラミック材料を混練すると共に成形型7に向けて導く押出スクリュー4をバレル30内に設けたスクリュー押出機3とを有している。押出スクリュー4は、軸体であるスクリュー軸部41と該スクリュー軸部41の外周面410に螺旋状に設けられた尾根形状を呈する1条のリード部42とを有している。
そして、図2に示すごとく、押出スクリュー4におけるリード部42が設けられている領域の軸方向の長さをスクリュー長さL、押出スクリュー4の外径をスクリュー径Dとした場合、スクリュー長さLとスクリュー径Dとが13≦L/D≦17の関係を満たす。
以下、これを詳説する。
本例において押出成形するセラミック成形体8は、図4に示すごとく、自動車のディーゼルエンジンより排出される排ガスの浄化を行う排ガス浄化フィルタとして適用されるハニカム構造体である。
セラミック成形体8は、焼成後にコーディエライトとなるセラミック材料よりなり、ハニカム状のセル壁81に囲まれた多数のセル82と外周側面を覆う筒状の外周壁83とを有する。本例のサイズは、直径160mm、長さ100mm、セル壁の厚み0.3mmである。
本例のセラミック成形体8を成形する押出成形装置1は、図1に示すごとく、2段のスクリュー押出機2、3を備えてなり、上段部のスクリュー押出機2に供給したセラミック材料80をスクリュー押出機2によって混練して前進させ、濾過部21を通して下段部のスクリュー押出機3に供給できるよう構成してある。
なお、押出成形装置1におけるスクリュー押出機は、3段以上に増やすこともできるし、1段のみとすることもできる。
また、同図に示すごとく、押出成形装置1における下段部には、セラミック材料80を押出成形する成形型7と、該成形型7にセラミック材料80を供給するスクリュー押出機3と、セラミック材料80を濾過する濾過装置5と、セラミック材料80の均一性を高める抵抗管6とを配設してある。
スクリュー押出機3は、略円筒形状を呈するバレル30内に押出スクリュー4を備えている。押出スクリュー4は、回転軸体であるスクリュー軸部41と該スクリュー軸部41の外周面410に螺旋状に設けられた1条のリード部42とで構成されている。押出スクリュー4は、このリード部42によりセラミック材料80を混練加圧して、成形型7へ向けて前進させることができるよう構成してある。
なお、リード部42は、2条以上とすることもできる。
濾過装置5は、濾過網51と該濾過網51を支持する支持体52とよりなる。支持体52は、金属よりなる部材であって、セラミック材料80を通過させるための貫通穴520を多数設けてある。濾過網51は、ステンレス製の細線を編み込み、細かい編み目を形成してメッシュ状としてある。
成形型7は、セラミック材料80をセラミック成形体8として成形するための型であり、本例ではハニカム状に成形するための金型71を備えている。
抵抗管6は、この成形型7とスクリュー押出機3との間に設けられ、略円筒形状を呈すると共にスクリュー押出機3側から成形型7側へ向けて内径が徐々に縮径してなる。
また、本例の押出成形装置1において、図2に示すごとく、押出スクリュー4におけるリード部42が設けられている領域の軸方向の長さであるスクリュー長さLは2.9mである。
また、押出スクリュー4の外径であるスクリュー径Dは197mmであり、スクリュー軸部41の径である軸部径dは163mmである。また、押出スクリュー4の外径端からスクリュー軸部41の外周面410までの径方向の距離である溝深さhは17mmである。
また、バレル30の内径であるバレル内径Bは200mmであり、押出スクリュー4の外径端からバレル30の内周面300までの径方向の距離であるクリアランスcは1.5mmである。
そして、スクリュー長さLとスクリュー径Dとは、13≦L/D≦17の関係を満たしている。本例では、L/D=14.7である。
また、溝深さhとスクリュー径Dとは、0.08≦h/D≦0.12の関係を満たしている。本例では、h/D=0.09である。
また、クリアランスcとスクリュー径Dとは、0.004≦c/D≦0.009の関係を満たしている。本例では、c/D=0.008である。
また、本例の成形型7に備えられた金型71は、図3に示すごとく、セラミック材料80を供給するための供給穴72と、該供給穴72に連通して格子状に設けられ、セラミック材料80をハニカム形状に成形するためのスリット溝73とを有する。供給穴72は、金型71の穴形成面720に設けられており、スリット溝73は、金型71の溝形成面730に四角形格子状に設けられている。供給穴72は、格子状に設けられたスリット溝73の縦方向及び横方向の1つおきの格子点に対応する場所に設けられている。
なお、供給穴72は、スリット溝73の全ての格子点に対応する場所に設けることもできる。
また、本例の金型71において、図4(a)に示すごとく、供給穴72の内径である供給穴径Rは1.2mmである。また、図4(b)に示すごとく、スリット溝73の幅であるスリット溝幅tは0.3mmであり、スリット溝73のピッチ幅であるスリットピッチpは1.5mmである。
そして、供給穴径R、スリット溝幅t及びスリットピッチpは、4pt/(πR2)<1の関係を満たす。本例では、4pt/(πR2)=0.4である。
次に、上記構成の押出成形装置1を用いて、セラミック成形体8を成形する方法について説明する。
まず、セラミック成形体8の材料となるセラミック材料80は、カオリン、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク等のうちの複数種を含有し、最終的にコーディエライトを主成分とする組成となるように調整したセラミック原料粉末100重量%に対して、水20重量%、有機バインダ9重量%、さらに滑り性を向上させるためのグラファイト20重量%を添加し、混練して作製する。
次いで、本例の押出成形装置1を用いて、セラミック成形体8を押出成形する際には、図1に示すごとく、まず上段にあるスクリュー押出機2により混練したセラミック材料80を下段のスクリュー押出機3の上流側に投入する。そして、このセラミック材料80を押出スクリュー4のリード部42によって加圧混練しながら、成形型7に向けて前進させる。
次いで、成形型7までの途中において、セラミック材料80を濾過装置5の濾過網51に通過させ、混入した異物等を除去し、セラミック材料80を濾過する。濾過されたセラミック材料80は、さらに抵抗管6に導入される。この抵抗管6においては、その内周面とセラミック材料80との摩擦抵抗や流路断面積の減少によるセラミック材料80内部での流動抵抗により、セラミック材料80の均一性が高められる。
次いで、均一性の高いセラミック材料80が成形型7に供給される。セラミック材料80は、図3に示すごとく、金型71の供給穴72から供給され、スリット溝73からハニカム形状に押し出される。このとき、成形型7から押し出されるセラミック材料80の押出圧力は、150kg/cm2以下となるようにする。
これにより、図5に示すごとく、ハニカム状のセル壁81に囲まれた多数のセル82と外周側面を覆う筒状の外周壁83とを有するセラミック成形体8を成形する。
次に、本例の押出成形装置1における作用効果について説明する。
本例の押出成形装置1は、成形型7と、押出スクリュー4をバレル30内に設けたスクリュー押出機3とを有するスクリュー型の押出成形装置である。そして、スクリュー長さLとスクリュー径Dとが13≦L/D≦17の関係を満たすように、押出スクリュー4にリード部42を設ける領域と押出スクリュー4の外径とを設定している。
すなわち、スクリュー長さLとスクリュー径Dとの比を上記特定の範囲内とすることにより、押出スクリュー4によるセラミック材料80の搬送量を確保しながら、セラミック材料80を押し出すために成形型7の手前で上昇する圧力を抑制し、セラミック材料80を成形型7から円滑に精度良く押し出すことができる。これにより、成形型7の手前で上昇した圧力によってセラミック材料80が押出方向と逆方向に戻される、いわゆるバックフロー現象を抑制することができる。
よって、押出成形装置1を用いることにより、セラミック成形体8の成形速度を向上させることができると共に、生産性の向上も図ることができる。また、成形不良を抑制しながら、高品質なセラミック成形体8を成形することができる。
さらに、本例の押出成形装置1においては、溝深さhとスクリュー径Dとが0.08≦h/D≦0.12の関係を満たす。そのため、セラミック材料80のバックフローを抑制しながら、押出スクリュー4によるセラミック材料80の搬送量を充分に確保することができる。これにより、セラミック成形体8の成形速度及び生産性をさらに向上させることができる。
また、クリアランスcとスクリュー径Dとが0.004≦c/D≦0.009の関係を満たす。そのため、押出スクリュー4のリード部42表面におけるせん断力を適正な範囲とし、セラミック材料80に含まれるセラミック原料粒子の潰れを抑制することができる。そして、得られるセラミック成形体8の品質の低下やばらつきを防止することができる。また、セラミック材料80のバックフローを抑制しながら、押出スクリュー4によるセラミック材料80の搬送量を充分に確保することができる。これにより、セラミック成形体8の成形速度及び生産性をさらに向上させることができる。
また、成形型7に備えられた金型71においては、供給穴径R、スリット溝幅t及びスリットピッチpが4pt/(πR2)<1の関係を満たす。そのため、セラミック材料80が供給穴72に充分に緻密な状態で供給され、そのままの状態でスリット溝73からハニカム形状に押し出される。これにより、欠損等のない、強固な上記セル壁を有するセラミック成形体を成形することができる。
また、本例の押出成形装置1を用いたセラミック成形体8の成形方法においては、成形型7から押し出されるセラミック材料80の押出圧力を150kg/cm2以下にして成形する。すなわち、上記押出圧力を上記特定の値以下とすることにより、押出成形時においてセラミック材料80内に生じる発熱及びこの発熱によって生じるセラミック材料80中の水分状態のばらつきを抑制することができる。これにより、得られるセラミック成形体8は、より高品質なものとなる。
また、上記押出圧力を上記特定の値以下とすることにより、セラミック材料80のバックフローを抑制する効果も期待できる。そのため、セラミック成形体8の成形速度及び生産性をさらに向上を図ることができる。
また、セラミック材料80は、セラミック原料粉末100重量%に対するグラファイトの添加量が20重量%である。そのため、グラファイトの存在によってセラミック材料80の滑り性が向上し、より円滑に押し出すことができる。これにより、セラミック成形体8の成形速度及び生産性をさらに向上させることができる。
また、セラミック成形体8は、ハニカム状のセル壁81に囲まれた多数のセル82と外周側面を覆う筒状の外周壁83とを有するハニカム構造体である。そして、セル壁81の厚みは、0.3mmである。ハニカム構造を有するセラミック成形体8は、複雑な形状であり、セル壁81の厚みが薄くなるほど、その押出圧力も高くなる。そのため、上記の優れた押出成形装置1を用いることは、ハニカム構造を有するセラミック成形体8の成形に非常に有効である。これにより、セル壁81の変形等の成形不良を抑制しながら、成形速度を向上させることができるという効果を充分に発揮することができる。
このように、本例の押出成形装置を用いることにより、セラミック成形体の成形不良を抑制しながら、成形速度を向上させることができる。また、これによってセラミック成形体の生産性の向上を図ることができる。そして、高品質なセラミック成形体を成形することができる。
(実施例2)
本例は、実施例1で用いたセラミック材料80の特性について評価した例である。
本例では、セラミック材料80の粘度とせん断速度との関係について評価した。この評価は、キャピラリータイプのフローテスターを用いて測定した。
なお、セラミック材料80の基本的な配合は実施例1と同様である。
その結果を図6に示す。同図は、縦軸にセラミック材料の粘度(Pa・s)、横軸にせん断速度(s-1)を示したものである。
同図から知られるように、せん断速度が速くなるほど、セラミック材料の粘度が低くなる。すなわち、セラミック材料は、せん断速度によって粘度が変化する性質を有することがわかる。
(実施例3)
本例は、実施例1の押出成形装置1を用いてセラミック成形体8を成形し、様々な評価を行った例である。
本例では、スクリュー径D(=197mm)を一定とし、スクリュー長さL、溝深さh、又はクリアランスcが異なる押出成形装置1を用いて成形を行った。そして、各特性(セラミック材料80の押出量、セラミック材料80中のセラミック原料粉末粒子の平均粒径)について評価した。
なお、押出成形装置1の基本的なサイズ、セラミック材料80の基本的な配合等は実施例1と同様である。また、押出スクリュー4の周速は6m/minとした。
以下、各特性の評価について説明する。
まず、押出スクリュー4のスクリュー長さLが異なる押出成形装置1を用いて成形を行い、成形型7から押し出されるセラミック材料80の押出量を評価した。
その結果を図7に示す。同図は、縦軸にセラミック材料の押出量(m3/sec)、横軸にスクリュー長さL(m)を示したものである。
同図から知られるように、スクリュー長さLが長くなるほど、セラミック材料の押出量が多くなる。これは、スクリュー長さLが長くなるほど、セラミック材料のバックフローを抑制する効果が得られることを示している。但し、スクリュー長さLが長くなるほど押出量の増大幅も鈍化しており、それと共にバックフローを抑制する効果も小さくなる。
この結果から、スクリュー径D(=197mm)を一定とした場合、スクリュー長さLとスクリュー径Dとが13≦L/D≦17の関係を満たすように、例えばスクリュー長さLを2.6〜3.3mの範囲内とすれば、セラミック材料の押出量がセラミック成形体の成形に適正な1.5×10-63/sec以上となることがわかる。よって、セラミック成形体を良好に成形するためには、スクリュー長さLとスクリュー径Dとが13≦L/D≦17の関係を満たすことが好ましいことがわかる。
次に、リード部42の溝深さhが異なる押出成形装置1を用いて成形を行い、成形型7から押し出されるセラミック材料80の押出量を調べた。
その結果を図8に示す。同図は、縦軸にセラミック材料の押出量(m3/sec)、横軸に溝深さh(mm)を示したものである。
同図から知られるように、セラミック材料の押出量は、溝深さhが5mmのときに最大値を示し、溝深さhがそれより大きくても小さくても押出量は小さくなる。これは、セラミック材料の粘度がせん断速度に対して依存性を有することにより、溝深さhとセラミック材料の押出量との間に最適値が存在するものと考えられる。
この結果から、スクリュー径D(=197mm)を一定とした場合、溝深さhとスクリュー径Dとが0.08≦h/D≦0.12の関係を満たすように、例えば溝深さhを16〜23mmの範囲内とすれば、セラミック材料の押出量がセラミック成形体の成形に適正な1.5×10-63/sec以上、さらにはより一層望ましい1.7×10-63/sec以上となることがわかる。よって、セラミック成形体を良好に成形し、バックフローを抑制する効果を充分に得るためには、溝深さhとスクリュー径Dとが0.08≦h/D≦0.12の関係を満たすことが好ましいことがわかる。
次に、押出スクリュー4とバレル30との間のクリアランスcが異なる押出成形装置1を用いて成形を行い、その際のセラミック材料80に含まれるセラミック原料粉末粒子の平均粒径を調べた。
その結果を図9に示す。同図は、縦軸にセラミック原料粉末粒子の平均粒径(μm)、横軸にクリアランスc(mm)を示したものである。
同図から知られるように、クリアランスcが0.7mm未満の場合には、クリアランスcが小さくなるほど、平均粒径が小さくなる。一方、クリアランスcが0.7mm以上の場合には、平均粒径がほとんど変化しないことから、セラミック原料粉末粒子の潰れを抑制する効果が得られることがわかる。
この結果から、スクリュー径D(=197mm)を一定とした場合、クリアランスcとスクリュー径Dとが0.004≦c/D≦0.009の関係を満たすように、例えばクリアランスcを0.8〜1.7mmの範囲内とすれば、セラミック材料中のセラミック原料粉末粒子の潰れを抑制する効果を充分に得られることがわかる。よって、セラミック成形体を良好に成形するためには、クリアランスcとスクリュー径Dとが0.004≦c/D≦0.009の関係を満たすことが好ましいことがわかる。
(実施例4)
本例は、実施例1の押出成形装置1を用いてセラミック成形体8を成形し、評価を行った例である。
本例では、グラファイトの添加量が異なるセラミック材料80を用いて押出成形装置1により成形を行い、セラミック成形体8の成形速度を調べた。
なお、ここでいう成形速度とは、成形型7から押し出されるセラミック材料80(セラミック成形体8)の押出方向の速度である。また、押出成形装置1の基本的なサイズ、セラミック材料80の基本的な配合等は実施例1と同様である。また、押出スクリュー4の周速は6m/minとした。
その結果を図10に示す。同図は、縦軸にセラミック成形体の成形速度(m/min)、横軸にグラファイト添加量(重量%)を示したものである。
同図から知られるように、グラファイト添加量が多くなるほど、セラミック成形体の成形速度は速くなる。これは、グラファイトの存在によってセラミック材料の滑り性が向上し、成形速度が速くなったと考えられる。また、グラファイト添加量が15重量%以上の場合には、成形速度の変化が緩やかとなった。
この結果から、セラミック成形体の成形速度をセラミック成形体の成形に適正な1.5m/min以上とし、セラミック材料の滑り性を向上させる効果を充分に得るためには、上記セラミック材料中のセラミック原料粉末100重量%に対するグラファイトの添加量を15〜30重量%の範囲内とすることが好ましいことがわかる。
実施例1における、押出成形装置の構造を示す説明図。 実施例1における、押出成形装置の各部のサイズを示す説明図。 実施例1における、金型の構造を示す説明図。 実施例1における、金型の(a)穴形成面、(b)溝形成面を示す説明図。 実施例1における、セラミック成形体を示す説明図。 実施例2における、粘度とせん断速度との関係を示す説明図。 実施例3における、スクリュー長さLと押出量との関係を示す説明図。 実施例3における、溝深さhと押出量との関係を示す説明図。 実施例3における、クリアランスcと平均粒径との関係を示す説明図。 実施例4における、グラファイト添加量と成形速度との関係を示す説明図。
符号の説明
1 押出成形装置
2、3 スクリュー押出機
30 バレル
4 押出スクリュー
41 スクリュー軸部
410 外周面(スクリュー軸部の外周面)
42 リード部
7 成形型
8 セラミック成形体
80 セラミック材料

Claims (10)

  1. セラミック成形体を成形するための成形型と、セラミック材料を混練すると共に上記成形型に向けて導く押出スクリューをバレル内に設けたスクリュー押出機とを有するセラミック成形体の押出成形装置において、
    上記押出スクリューは、軸体であるスクリュー軸部と該スクリュー軸部の外周面に螺旋状に設けられた尾根形状を呈する1条又は2条以上のリード部とを有し、
    上記押出スクリューにおける上記リード部が設けられている領域の軸方向の長さをスクリュー長さL、上記押出スクリューの外径をスクリュー径Dとした場合、上記スクリュー長さLと上記スクリュー径Dとが13≦L/D≦17の関係を満たすことを特徴とするセラミック成形体の押出成形装置。
  2. 請求項1において、上記押出スクリューの外径端から上記スクリュー軸部の外周面までの径方向の距離を溝深さhとした場合、該溝深さhと上記スクリュー径Dとが0.08≦h/D≦0.12の関係を満たすことを特徴とするセラミック成形体の押出成形装置。
  3. 請求項1又は2において、上記押出スクリューの外径端から上記バレルの内周面までの径方向の距離をクリアランスcとした場合、該クリアランスcと上記スクリュー径Dとが0.004≦c/D≦0.009の関係を満たすことを特徴とするセラミック成形体の押出成形装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記成形型は、上記セラミック材料を供給するための供給穴と、該供給穴に連通して格子状に設けられ上記セラミック材料をハニカム形状に成形するためのスリット溝とを有することを特徴とするセラミック成形体の押出成形装置。
  5. 請求項4において、上記供給穴は、格子状に設けられた上記スリット溝の縦方向及び横方向の1つおきの格子点に対応する場所に設けられており、
    上記供給穴の内径を供給穴径R、上記スリット溝の幅をスリット溝幅t、上記スリット溝のピッチ幅をスリットピッチpとした場合、4pt/(πR2)<1の関係を満たすことを特徴とするセラミック成形体の押出成形装置。
  6. 請求項4において、上記供給穴は、格子状に設けられた上記スリット溝の全ての格子点に対応する場所に設けられており、
    上記供給穴の内径を供給穴径R、上記スリット溝の幅をスリット溝幅t、上記スリット溝のピッチ幅をスリットピッチpとした場合、2pt/(πR2)<1の関係を満たすことを特徴とするセラミック成形体の押出成形装置。
  7. 請求項1〜6に記載の上記セラミック成形体の押出成形装置を用いて、上記スクリュー押出機から圧送された上記セラミック材料を上記成形型から押し出して所望の形状のセラミック成形体を成形する方法において、
    上記成形型から押し出される上記セラミック材料の押出圧力は、150kg/cm2以下であることを特徴とするセラミック成形体の成形方法。
  8. 請求項7において、上記セラミック材料は、少なくともセラミック原料粉末及びグラファイトを含有し、上記セラミック原料粉末100重量%に対する上記グラファイトの添加量が15〜30重量%であることを特徴とするセラミック成形体の成形方法。
  9. 請求項7又は8において、上記セラミック成形体は、ハニカム状のセル壁に囲まれた多数のセルと外周側面を覆う筒状の外周壁とを有するハニカム構造体であることを特徴とするセラミック成形体の成形方法。
  10. 請求項9において、上記セル壁の厚みは、0.2〜0.4mmであることを特徴とするセラミック成形体の成形方法。
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