JP2008136363A - 細胞培養用ガス濃度調節剤の気密性容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 培養容器を載置して顕微鏡観察可能としてなる透明部を設けた培養部と該培養部を所定のガス雰囲気に制御するガス濃度調節剤の収納部とを有し、かつ、顕微鏡観察ステージに搭載可能な顕微鏡観察用の気密性容器であって、天井面が光学的に透明平滑な角型の本体上部(1)、該本体上部1の下端で繋合する角型の底枠(2)、該底枠2の内面に搭置された透明シート(3)、本体上部(1)と底枠(2)上の透明シート(3)の周囲との間にシール材(4)、および本体上部1の一つの側壁部にガス濃度調節剤の収納部(5)と該側壁に圧力調節部(6)とを設けてなる顕微鏡観察用の気密性容器。
【選択図】 なし
Description
生細胞観察を長時間連続して行う場合、培養液中の生細胞を通常培養温度で一定に保持するとともに培養液のpHも一定に保持する必要がある。その際、例えば、培養液のpHを血液の通常状態と同じpH7.4に保持するための条件は雰囲気二酸化炭素濃度を5%にすることである。
温度、湿度、ガス濃度をコントロールした試料室内に撮像ユニットを設けた装置(特許文献1)や、温度、湿度、ガス濃度をコントロールした培養室とその下にこれと隔離した顕微鏡観察室を設けた培養顕微鏡(特許文献2)などが開発されている。
すなわち、本発明は、培養容器を載置して顕微鏡観察可能としてなる透明部を設けた培養部と該培養部を所定のガス雰囲気に制御するガス濃度調節剤の収納部とを有し、かつ、顕微鏡観察ステージに搭載可能な顕微鏡観察用の気密性容器であって、天井面が光学的に透明平滑な角型の本体上部(1)、該本体上部1の下端で繋合する角型の底枠(2)、該底枠2の内面に搭置された透明シート(3)、本体上部(1)と底枠(2)上の透明シート(3)の周囲との間にシール材(4)、および本体上部1の一つの側壁部にガス濃度調節剤の収納部(5)と該側壁に圧力調節部(6)とを設けてなる顕微鏡観察用の気密性容器である。
気密性容器の繰り返し使用により、傷が付き観察に支障が出やすい底面部2の部品のみを、交換する構造とすることで、その他の部分は、繰り返し使用が可能なため、経済性も高い。
図1は、本発明の顕微鏡観察用の気密性容器の斜視図である。図2は、図1の側面図であり、図3は、図1の上から見た平面図である。また、図4は、シール部の典型例の拡大図である。
図1において、顕微鏡観察用の気密性容器は、天井面が光学的に透明平滑な角型の本体上部(1)、断面ほぼL型で角型の底枠(2)、透明シート(3)、本体上部(1)と底枠(2)の上の透明シート(3)の周囲との間のシール材(4)、本体上部(1)の一つの側壁部にガス濃度調節剤の収納部(5)と該側壁に圧力調節部(6)とを設けてなる。
そして、本体上部1は、その一つの側壁部にガス濃度調節剤の収納部(5)と圧力調節部(6)とを有する。ガス濃度調節剤の収納部5は、その上部で本体上部1に着脱自在としてなり、側面部は、適宜、開口を形成したものであり、透明シート上に収納された培養容器との間でのガス交換を容易としてなる。
また、この収納部5を設けた本体上部1の側壁には、圧力調節部6が設置される。
なお、本図面には記載していないが、本体上部1と底枠2とは、別途、留め具を用いて固定される。
全光線透過率が高く、光学的に均一なものとして使用できるものとしては、ガラス、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、脂環式アクリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、スチレン・メチルメタクリレート樹脂、スチレン・アクリロニトリル樹脂が例示される。
側壁部や底枠に用いる材質は、上記した透明材質は当然に使用できるが、上記以外として、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロエチレン樹脂など、前記樹脂類にガラス繊維他の強化材を配合した繊維強化プラスチックス類、アルミニウムおよびその合金などが例示される。
位相差顕微鏡においては、複屈折の少ない材料が必須であり、ガラス、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、脂環式アクリレート樹脂、ポリスチレンとポリカーボネートのブロック共重合樹脂などが例示される。
蛍光顕微鏡による観察は、その励起光として、通常、波長350〜750nmの光を使用し、励起光より長波長の蛍光を観察する。したがって、蛍光顕微鏡による観察用としては、広い波長領域にわたって透過率が高い材料が必須であり、ガラスあるいは波長350nm以上で全光線透過率が80%以上であるシクロオレフィンポリマー(ZENOX,ZEONOR 日本ゼオン製)が例示される。一方、紫外線を遮蔽する容器材料として、ポリエチレンナフタレートなどが例示される。
可視光線による観察に使用する容器材料としては、ガラスや強度的に優れているポリカーボネートが例示される。
ゆえに、透明シート3は、当然に顕微鏡観察可能な光学特性を有したものでなければならない。この点から、厚さは、0.05〜3mm、特に0.1〜1.5mmが好ましい。
また、透明シート3は、培養容器の底面、顕微鏡ステージ面、および培養用恒温槽床面などと直接接触することとなるので、特に、外底面には、適宜、保護フィルムを仮接着しておき、顕微鏡観察時のみ、これを剥がして使用するようにすることが好ましい。また、透明シート3の培養容器搭載面には、適宜、防曇加工を施すか、防曇フィルムを貼付して使用する。また、培養容器が接触する部分に関しての傷対策として、適宜、ハードコートを施して使用する。さらに、底枠2と直接接着などしていない場合には、傷などによる不都合が発生した場合には新品と取り替える。
本発明においては、圧力調節部6にて、容器内外の圧力差を容器の天井面や底面(透明シート3)が実質的に変形しない範囲に調節することから、シール材にかかる圧力差は小さい。ゆえに、より軟質の材料でも圧力差による変形に耐えることができるので、密閉シールのために過剰の締めつけを行うことなくシール可能な軟質材料が好適に使用できる。具体的には超軟質ウレタン樹脂やオイル含浸ポリエチレンなどが好ましい。
さらには、硬化型の液状のシール材も用いた本体材質との関係を考慮して適宜選択でき、例えば、ポリカーボネートの場合、一成分系無溶剤型のシリコーンシール剤が使用できる。
耐熱性の高いものとしては、シリコンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴムなどが例示される。ガス透過性のより小さいシール材としては、ブチルゴム、多硫化ゴム、エピクロロヒドリンゴム、高ニトリルゴム、フッ素ゴムが例示される。
また、シール材の断面形状としては、長方形、丸型、U字、V字、L字、コ字等のシーリング材が適用可能である。
本気密性容器の底枠2は、本体上部1を取った後、背の低い培養容器を取り出しやすいように、高さが2cm以下で、特にマルチウェルプレートなどの場合にも、直接容器を掴みやすいように、アーム位置に対応する部分を1cm以下とすることが好ましい。強度の維持との観点からは高さ0.5cm以上、1cm以下であることが好ましい。本体上部1は高さ5cm以下、通常、1〜5cmから選択されることとなる。
この気密性は、シール部からの漏れがなければ達成できるものであることから、シール部で空気漏れの発生しない構造およびシール材を選択する。
この形から、底面を構成する透明シート3の取替えが容易である。 また、シール材の説明においても記載したようにより軟質のシール材を採用することにより、十分な密閉を可能とする。
ガス濃度調節剤の収納部は、ガス濃度調整剤が培養容器へ接触することを避け、かつ、ガス濃度調節剤が簡便に着脱できるように、通常、ガス濃度調節剤を収納する補助具を、一つの側壁部に近い天井面、両側の側壁などに着脱自在に取り付け可能とする。例えば、補助具を天井に取り付けて、天井部分に隔壁ができる形状とすることが例示され、この場合、通常、反応の初期にガス濃度調節剤から発生する水蒸気が、顕微鏡観察部分に相当する天井部へ回り込むことを抑えることができる。
具体的には、マルチウェルプレート、ディッシュ、チャンバースライド、ガス透過性素材からなる培養バッグや容器、ガスフィルター付きフラスコ等が挙げられる。
通常、ガス濃度調節剤はガスバリア性(通常、アルミバリア)外袋から取り出し、気密性容器のガス濃度調節剤の収納部5に入れて直ちに気密性容器を密閉して使用する。密閉後、一定時間の経過後に所定のガス濃度に到達し、該状態を所定の時間維持する。
本培養においては、濃度調節するガス成分は、主に、酸素と炭酸ガスで、酸素濃度を低下させ、炭酸ガス濃度を例えば3〜10%程度の所定濃度に維持するものであり、通常、水蒸気は飽和とされる。
ガス濃度調節剤として、アスコルビン酸類、金属塩、多孔質担体、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩および水からなる組成物がある(特許文献5)。
これらを具体化した商品には、細胞培養用ガス濃度調節剤カルチャーパル(商品名、三菱ガス化学(株)製)などがある。具体的には、所定の容積の容器内を、カルチャーパル・CO2は酸素濃度15%、炭酸ガス濃度5%に、カルチャーパル・ファイブは酸素濃度5%、炭酸ガス濃度5%に、カルチャーパル・ゼロは酸素濃度0%、炭酸ガス濃度5%にそれぞれ調節する機能に設計された滅菌されたガス濃度調整剤である。
また、上記に説明したガス調整剤による体積変化だけでなく、37℃の培養温度に加温する際の体積変化に対しても、上記圧力調節部は、有効にはたらき、底部の圧力変動による変形を避けることが出来る。
さらに、ガス調節剤による短時間での急激な圧力変化をバルブや逆止弁で対応して、温度変化による体積変化をバッグやバルーン等の可逆的な圧力調節で対応させることも出来る。
また、連続観察の場合、電子撮像装置付き小型顕微鏡ユニットとこの培養容器キットを通常の恒温槽に設置することにより、細胞培養の連続モニターが実現できる。この電子撮像装置付き位相差顕微鏡としては倒立型細胞観測マイクロスコープ セルウォチャー(コアフロント株式会社製)などがある。
また、本発明の気密性容器を先に説明した培養顕微鏡装置に用いることにより、培養容器を入れた気密性容器ごとに異なるガス濃度組成を簡便に作出し、維持することが出来る。さらに気密性容器間でのクロスコンタミネーションを防止することが出来る。
以上に説明したものを使用して、本発明の細胞培養などを行いつつ、顕微鏡観察を行う。
2 底枠
3 底面透明シート
4 シール材
4’ 緩衝材
5 ガス濃度調節部
6 圧力調節部
Claims (6)
- 培養容器を載置して顕微鏡観察可能としてなる透明部を設けた培養部と該培養部を所定のガス雰囲気に制御するガス濃度調節剤の収納部とを有し、かつ、顕微鏡観察ステージに搭載可能な顕微鏡観察用の気密性容器であって、天井面が光学的に透明平滑な角型の本体上部(1)、該本体上部1の下端で繋合する角型の底枠(2)、該底枠2の内面に搭置された透明シート(3)、本体上部(1)と底枠(2)上の透明シート(3)の周囲との間にシール材(4)、および本体上部(1)の一つの側壁部にガス濃度調節剤の収納部(5)と該側壁に圧力調節部(6)とを設けてなる顕微鏡観察用の気密性容器。
- 該シール材(4)が、軟質樹脂である請求項1記載の顕微鏡観察用の気密性容器。
- 該透明シート(3)が、厚さ0.1〜1.5mmである請求項1記載の顕微鏡観察用の気密性容器。
- 該透明シート(3)が、培養容器の搭載部を凹賦形して該底枠(2)の底面と該透明シート(3)の下面とを同一平面としてなるものである請求項1記載の顕微鏡観察用の気密性容器。
- 該透明シート(3)が、該培養容器の底面形状の外形に対応して凹凸賦形してなるものである請求項1記載の顕微鏡観察用の気密性容器。
- 該底枠(2)の所定部分の高さが、5〜10mmである請求項1記載の顕微鏡観察用の気密性容器。
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