JP2008135889A - 基地局、伝送品質補償方法 - Google Patents

基地局、伝送品質補償方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 時分割多重方式におけるフレームデータにおける同期符号の挿入を伝送品質に応じて動的に行うことで、伝送品質の改善もしくは維持および伝送速度の高速化を図る。
【解決手段】 時分割多重方式に基づくタイムスロットを用いて携帯端末装置140と無線通信を行う本発明の基地局130は、フレーム中の複数のタイムスロットを連結した連結スロットを携帯端末装置140に割り当てるスロット連結部310と、携帯端末装置との無線通信におけるフレームデータ内の異なる領域の伝送品質の差である伝送偏差を検出する伝送品質検出部312と、伝送偏差が、変調方式毎に定められた伝送偏差上限値を超えるとフレームデータに同期符号を挿入し、伝送偏差下限値を下回るとフレームデータから同期符号を抜出する偏差調整部316と、を備えることを特徴としている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、時分割多重方式に基づくタイムスロットを用いて携帯端末装置と無線通信を行う基地局、伝送品質補償方法に関する。
携帯電話等の携帯端末装置とその通信対象である基地局には、フレームを時分割した複数のタイムスロットをそれぞれチャネルに割り当てて通信を行う時分割多重方式(TDMA:Time Division Multiple Access)が採用されている。時分割多重方式では、データがフレームに分割され、さらにそのフレーム分のデータ(フレームデータ)が1タイムスロット分のパケットに変換され、このパケット単位で送受信が実行される。
このような時分割多重方式を用いた無線通信では、反射等の相異する伝送経路を通じた位相差による干渉(フェージング)により、所望する受信レベルが得られないことがある。そこで、上記フレームデータ中に複数のパイロットシンボルを設け、各パイロットシンボルを復調してフェージング歪を推定し、情報データを補償する技術が知られている(例えば、特許文献1)。かかる技術を用いることで、無線通信装置はフェージング等の弊害を低減することができる。
また、フェージング等により伝送品質、例えば、フレームエラーレート(FER:Frame Error Rate)が悪化した場合に、携帯端末装置との変調方式を切り換え(適応変調)伝送速度を下げることで通信を継続する技術も知られている。このような変調方式切換の技術では、フレームエラーレートの所定の閾値との比較のみによって変調方式が切り換わるので、切換頻度が不必要に多いという問題があった。
特開2002−111756号公報
時分割多重方式では、一つの基地局における複数のチャネルをそれぞれ別体の携帯端末装置に割り当てることができ、一方では、このような複数のチャネルを連結させて、その連結されたタイムスロット個数分高速伝送を遂行することも可能である。
このようなスロット連結では、フレームデータが長くなるので、その途中でフェージング等により伝送品質が劣化する場合がある。かかる伝送品質の劣化によって情報が欠落するのを防止するため、例えば、フレームデータの中程に同期符号(ユニークワード)を設け、ペイロード領域の情報を同期させることも可能である。このとき、基地局からフレームデータを受信した携帯端末装置は、かかる同期符号を検出してデータ同期をとり、その後のペイロードを抽出する。
しかし、このような同期符号を機械的にフレームデータに付すだけでは、伝送速度が安定している場合においても所定のデータ領域を占有してしまい、却って伝送速度を落とすことになりかねない。従って、単に同期符号を採用するだけでは伝送品質を確実に向上することは困難である。
そこで、本願発明者は、フレームデータに同期符号を挿入すると伝送品質が改善する場合とそうでない場合があり、それは携帯端末装置と基地局との通信環境に応じて変化することに着目し、同期符号を伝送品質に応じて動的(ダイナミック)に挿入することで伝送品質の改善が可能なことを見出して本発明を完成するに至った。
本発明は、従来の無線通信が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、同期符号の挿入を伝送品質に応じて動的に行うことで、伝送品質の改善もしくは維持および伝送速度の高速化を図ることが可能な、新規かつ改良された基地局、伝送品質補償方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、時分割多重方式に基づくタイムスロットを用いて携帯端末装置と無線通信を行う基地局であって、フレーム中の複数のタイムスロットを連結した連結スロットを携帯端末装置に割り当てるスロット連結部と、携帯端末装置との無線通信におけるフレームデータ内の異なる領域の伝送品質の差である伝送偏差を検出する伝送品質検出部と、伝送偏差が、変調方式毎に定められた伝送偏差上限値を超えるとフレームデータに同期符号を挿入し、伝送偏差下限値を下回るとフレームデータから同期符号を抜出する偏差調整部と、を備えることを特徴とする、基地局が提供される。
タイムスロットを連結するとフレームデータが長くなり、その分フレーム中の通信実時間も長くなる。そして、フェージング等の影響によりフレームデータ内でも位相差が生じ、伝送品質が偏って伝送偏差が大きくなる。かかる伝送偏差の増加は、フレームデータの途中に同期符号を追加挿入してその同期符号以降の同期をとることで改善できる。このような同期符号の挿入を伝送偏差に応じて動的に行うことで、伝送品質の改善もしくは維持および伝送速度の高速化を図ることが可能となる。
偏差調整部が同期符号を挿入した後、伝送品質検出部に再度伝送偏差を検出させ、伝送偏差が所定閾値以上改善されていなければ挿入した同期符号を抜出する偏差再調整部をさらに備えるとしてもよい。
携帯端末装置と基地局との通信環境によっては、同期符号を追加挿入しても伝送偏差が所定閾値以上改善されない場合がある。そのときは、挿入した同期符号を再度抜出することでフレームデータのペイロード領域を有効活用させることができる。
偏差調整部は、同期符号をタイムスロット単位の先頭に挿入してもよい。同期符号の挿入箇所をある程度限定することで同期符号の挿入処理を規則的にすることができ、安定した伝送品質の改善、維持を図ることができる。
フレームデータには、どのタイムスロットに同期符号が挿入されているかを示す同期情報領域が設けられ、偏差調整部は、同期情報領域を参照して、予め定義された挿入順または抜出順に同期符号を挿入または抜出し、その結果を同期情報領域に反映することができる。
同期符号は、フレームデータ全体の伝送品質を均一に保つため均等に配置するのが望ましい。例えば、4タイムスロット長のフレームデータに同期符号を追加する場合、1タイムスロットには予め同期符号が固定されているので、3スロット目、4スロット目、2スロット目といった順に挿入していく。従って、偏差調整部は、どこのタイムスロットに同期符号があるかのを同期情報領域から参照し、予め定義された挿入順に従って次の挿入箇所に同期符号を挿入する。
伝送品質検出部は、フレームデータ全体の伝送品質も検出し、伝送品質が、変調方式毎に定められた伝送品質下限値を下回るとより低い変調方式に切り換え、伝送品質上限値を超えるとより高い変調方式に切り換える変調切換部をさらに備えてもよい。
上述した同期符号の動的挿入と適応変調とを協同させることで、より確実に伝送品質の改善もしくは維持および伝送速度の高速化を図ることができる。また、同一の変調方式内で、伝送品質を調整することが可能となるので、伝送品質が低下した場合においても変調方式を変更しないで伝送品質を改善することができ、無用な変調方式の切換を削減することが可能となる。
変調方式は、BPSK、QPSK、8PSK、16QAM、32QAM、64QAM、128QAM、256QAMの群から選択される2以上の方式であってもよい。
上記の変調方式は、伝送品質、特に伝送速度において、BPSK、QPSK、8PSK、16QAM、32QAM、64QAM、128QAM、256QAMの順に高くなる。従って、より低い変調方式への切り換えとは、例えばQPSKからBPSKへの切換を言い、より高い変調方式への切り換えとは、例えばQPSKから8PSKへの切換を言う。
伝送品質はフレームエラーレート(FER:Frame Error Rate)またはエラーベクター振幅(EVM:Error Vector Magnitude)を基準にして判断してもよい。
このようにフレームエラーレートやエラーベクター振幅を基準とした場合、数値が高いほど伝送品質は悪く、低いほど伝送品質が良いことになる。
伝送偏差は、連結したタイムスロットの前半部と後半部との伝送品質の差としてもよい。
上述したように、タイムスロットを連結してフレームデータが長くなると、フェージング等の影響によりフレームデータ内でも位相差が生じ、伝送品質が偏って伝送偏差が大きくなる。本発明では、フレームデータを前半部と後半部に分けてその伝送品質の差を伝送偏差として適切に導出している。
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、時分割多重方式に基づくタイムスロットを用いて携帯端末装置と無線通信を行う基地局で実行される伝送品質補償方法であって、フレーム中の複数のタイムスロットを連結した連結スロットを携帯端末装置に割り当てるスロット連結ステップと、携帯端末装置との無線通信におけるフレームデータ内の異なる領域の伝送品質の差である伝送偏差を検出する伝送品質検出ステップと、伝送偏差が、変調方式毎に定められた伝送偏差上限値を超えるとフレームデータに同期符号を挿入し、伝送偏差下限値を下回るとフレームデータから同期符号を抜出する偏差調整ステップと、を含むことを特徴とする、伝送品質補償方法が提供される。
上述した基地局における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該伝送品質補償方法にも適用可能である。
以上説明したように本発明によれば、時分割多重方式に基づくタイムスロットを用いて携帯端末装置と無線通信を行う基地局において、伝送品質に応じて、フレームデータへの同期符号の挿入を動的に行うことで、伝送品質の改善もしくは維持および伝送速度の高速化を図ることが可能となる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)端末等の携帯端末装置と基地局は、時分割多重方式により通信を行っている。時分割多重方式では、一つの基地局における複数のチャネルをそれぞれ別体の携帯端末装置に割り当てることができ、一方では、このような複数のチャネルを連結させて、その連結されたタイムスロット個数分高速伝送を遂行することも可能である。
図1は、スロット連結の構成を説明するためのタイミング図である。図1の(a)を参照すると、携帯端末装置と基地局との無線通信では、送受信されるデータが5msecのフレーム単位(図中1フレーム)に分割され、さらにそのフレームは複数(ここでは8つ)のタイムスロット10に分割される。そして、フレーム分のデータはタイムスロット分に変換され、8つのタイムスロット10の1つを通じて送受信される。図中上側12にあるタイムスロット10は、下り(基地局から携帯端末装置へ)のタイムスロット10であり、下側14は、上り(携帯端末装置から基地局への)のタイムスロットである。従って、携帯端末装置と基地局は、斜線で示した下りと上りの計2つのタイムスロット10を用いて無線通信を実行している。
スロット連結は、図1(b)に示されるように、タイムスロット10を複数連結して1つの連結スロット20としている。例えば、上りデータはそのままで、下りデータのみ4つのタイムスロット10を連結する。下りデータにおける1つのタイムスロット10の伝送速度を32kbpsとした場合に、上記連結スロット20では、その4倍の128kbpsの高速伝送を行うことが可能となる。
しかし、上述したようにタイムスロット10を連結すると、フレームデータが長くなり、その分通信実時間も長くなる。そして、フェージング等の影響によりフレームデータ内でも位相差が生じ、伝送品質が偏って伝送偏差が大きくなる。かかる伝送偏差の増加は、フレームデータの途中に同期符号を追加挿入してその同期符号以降の同期をとることで改善できる。
本実施形態では、このような同期符号の挿入を伝送偏差に応じて動的に行うことで、伝送品質の改善もしくは維持および伝送速度の高速化を図る。以下、本実施形態を遂行する無線通信システム100の概略を説明し、その後で各構成要素に関して詳述する。
図2は、無線通信システム100の概略的な構成を示したブロック図である。かかる無線通信システム100は、中継サーバ110と、インターネットや専用回線等の通信網120と、基地局130と、携帯端末装置140と、他の携帯端末装置150とを含んで構成される。
上記無線通信システム100では、携帯端末装置140を利用して他の携帯端末装置150に電話しようと試みた場合、ユーザは、自己の携帯端末装置140を操作して、無線通信可能領域にある基地局130と無線通信を確立し、通信網120、中継サーバ110、および、他の携帯端末装置150の無線通信可能領域にある基地局130を介して、通信相手の有する他の携帯端末装置150と音声通話を遂行する。
また、ユーザは、携帯端末装置140を、中継サーバ110を介して通信網120に接続し、インターネット等から様々なサービスを受けることができる。このとき、下りデータのタイムスロットが連結されるとデータの高速ダウンロードを実現することが可能となり、ユーザは快適な通信環境で当該無線通信システム100を利用することができる。以下、無線通信システム100における基地局130と、携帯端末装置140とを詳述する。
(基地局130)
図3は、基地局130のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。基地局130は、基地局制御部210と、基地局メモリ212と、基地局無線部214を含んで構成される。
上記基地局制御部210は、中央処理装置を含む半導体集積回路により基地局130全体を管理および制御する。また、基地局制御部210は、基地局メモリ212のプログラムを用いて、携帯端末装置140同士間の通話もしくは通信を支援する。
上記基地局メモリ212は、ROM、RAM、EPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、基地局制御部210で処理されるプログラムや、携帯端末装置140同士間で送受信されるデータを記憶する。
上記基地局無線部214は、携帯端末装置140と携帯電話網に基づく双方向の無線通信を行う。特に本実施形態では、時分割多重方式が採用されている。
以上のような基地局130のハードウェア上で遂行される機能および動作を詳述する。
図4は、基地局130の概略的な機能を示した機能ブロック図である。基地局130の基地局制御部210は、基地局メモリ212のプログラムを用いて、スロット連結部310と、伝送品質検出部312と、変調切換部314と、偏差調整部316と、偏差再調整部318として機能する。
上記スロット連結部310は、時分割多重方式におけるフレーム中の複数のスロットを連結して、その連結スロットを一つの携帯端末装置140に割り当てる。
上記伝送品質検出部312は、携帯端末装置との無線通信におけるフレームデータ全体の伝送品質と、フレームデータ内の異なる領域の伝送品質の差である伝送偏差とを検出する。
かかる伝送品質はフレームエラーレートまたはエラーベクター振幅を基準にして判断してもよい。このフレームエラーレートは、フレーム単位の誤り率が%で示され、許容されるフレームエラーレートは1%程度となる。また、エラーベクター振幅は理想波形と計測波形との測度差が%で示され、許容値は数%とされる。このようにフレームエラーレートやエラーベクター振幅を基準とした場合、数値が高いほど伝送品質は悪く、低いほど伝送品質が良いことになる。従って、後述する伝送品質下限値を下回るとは例えばフレームエラーレートが所定上限値を超えることを示し、伝送品質上限値を超えるとはフレームエラーレートが所定下限値を下回ることを示す。
また、伝送偏差は、連結したタイムスロットの前半部と後半部との伝送品質の差としてもよい。上述したようにタイムスロットを連結してフレームデータが長くなると、伝送偏差が大きくなる場合がある。本実施形態では、フレームデータを前半部と後半部(例えば、連結されたタイムスロットが4つの場合、前後2つのスロット)に分けてその伝送品質の差を伝送偏差として適切に導出する。
上記変調切換部314は、伝送品質が、変調方式毎に定められた伝送品質下限値を下回るとより低い変調方式に切り換え、伝送品質上限値を超えるとより高い変調方式に切り換える。
変調方式は、例えば、BPSK(2値位相変調:Binary Phase Shift Keying)、QPSK(4相位相変調:Quadrature Phase Shift Keying)、8PSK(8相直交振幅変調:8 Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、32QAM、64QAM、128QAM、256QAMであり、伝送品質、特に伝送速度が、BPSK、QPSK、8PSK、16QAM、32QAM、64QAM、128QAM、256QAMの順に高くなる。従って、より低い変調方式への切り換えとは、例えばQPSKからBPSKへの切換を示し、より高い変調方式への切り換えとは、例えばQPSKから8PSKへの切換を示す。
また、伝送品質下限値は、これ以下に伝送品質が下がると通信環境が厳しくなったと判断され最早現行の変調方式では無線通信を維持できないといった限界値である。伝送品質がかかる伝送品質下限値以下になると、変調方式を1段階(1クラス)下げる。
伝送品質上限値は、さらに変調方式を1段階上げたとしても伝送速度が落ちる可能性が少ない閾値である。よって、伝送品質がかかる伝送品質上限値以上になると、変調方式を1段階上げる。ただし、現行の変調方式で安定していれば強固に変調方式を昇格する必要はない。また、ここでは、変調方式を1段階ずつ切り換えているが、検出される伝送品質に応じて複数段階飛び越して切り換えることも可能である。
上記偏差調整部316は、伝送偏差が、変調方式毎に定められた伝送偏差上限値を超えるとフレームデータに同期符号(UW:Unique Word)を挿入し、伝送偏差下限値を下回るとフレームデータから同期符号を抜出する。かかる同期符号は、常にQPSKの変調方式がとられるとし、フレームデータの先頭には固定的に同期符号が付されるものとする。
ここで伝送偏差下限値は、これ以上に伝送偏差が大きくなると、フェージングなどによりスロットの前半部と後半部とで乱れが生じるとみなすことができる値である。前半部と後半部の伝送偏差が大きくなると、偏差調整部316は同期符号を挿入して同期を試みる。
また、伝送偏差上限値は、挿入した同期符号を抜出したとしても伝送速度が落ちる可能性が少ない閾値である。従って、偏差調整部316は、フレームデータから同期符号を抜き、その分フレームデータのペイロード領域を確保させる。
上述したようにタイムスロットを連結すると、伝送偏差が大きくなる場合がある。かかる伝送偏差の増加は、フレームデータの途中に同期符号を追加挿入してその同期符号以降の同期をとることで改善できるので、偏差調整部316が同期符号の挿入を伝送偏差に応じて動的に行うことで、伝送品質の改善もしくは維持および伝送速度の高速化を図ることができる。
このような偏差調整部316と上述した変調切換部314とを協同させることで、より確実に伝送品質の改善もしくは維持および伝送速度の高速化を図ることができる。また、同一の変調方式内で、伝送品質を調整することが可能となるので、伝送品質が低下した場合においても、変調方式を変更しないで、同期符号の動的挿入のみによって伝送品質を改善することができる。従って、無用な変調方式の切換を削減することが可能となる。
上記同期符号を挿入する位置は、タイムスロット単位の先頭としてもよい。同期符号の挿入箇所をある程度限定することで同期符号の挿入処理を規則的にすることができ、伝送品質の安定した改善、維持を図ることができる。
また、フレームデータには、どのタイムスロットに同期符号が挿入されているかを示す同期情報領域が設けられ、偏差調整部316は、同期情報領域を参照して、予め定義された挿入順または抜出順に同期符号を挿入または抜出し、その結果を同期情報領域に反映することができる。
図5は、フレームデータに順次同期符号を配置する処理を説明するための説明図である。フレームデータが生成された時点を示す図5(a)を参照すると、フレームデータ400には4つのタイムスロット10が連結され、先頭には、デフォルトの同期符号410と同期情報領域412が付されている。かかる同期符号410は、タイムスロットが625μsecであるのに対して約20μsecを占有する。
ここで、伝送偏差が伝送偏差上限値を超えると偏差調整部316が同期符号を挿入する。同期符号は、フレームデータ全体の伝送品質を均一に保つため均等に配置するのが望ましい。そこで、図5のような4タイムスロット長のフレームデータに同期符号を追加する場合、まず、図5(b)のように3スロット目に挿入する。かかる3スロット目の先頭位置は当該フレームデータ400のほぼ真ん中に当たるからである。
その後、さらに同期符号を追加する場合、図5(c)のように4スロット目に挿入し、次に、図5(d)のように2スロット目に順位挿入していく。このように、偏差調整部316は、どこのタイムスロットに同期符号があるかをフィールドから参照し、予め定義された挿入順に従って次の挿入箇所に同期符号を挿入する。
また、例えば、スロット連結の最大値である7つのタイムスロットの場合、同期符号の追加は、5スロット目、3スロット目、7スロット目、6スロット目、4スロット目、2スロット目の順で行うことができる。かかる同期符号の挿入順は、伝送品質の改善が見込まれる範囲で事前に定義さえできれば、どのような順であってもよい。
また、偏差調整部316が同期符号を追加した後に変調切換部314が変調方式を切り換えた場合においても、挿入した同期符号はそのままの配置を維持する。これは、切り換えられた1ランク下の変調方式では伝送速度が安定するはずなので、伝送品質が回復すれば後述するように同期符号が抜出され、自動的に同期符号の妥当な挿入数に落ち着くからである。
また、一方で、偏差調整部316は、変調切換部314が変調方式を切り換えたとき、フレームデータの先頭にある同期符号以外を抜出してもよい。このように変調方式の変化時に同期符号をリセットするかもしくは維持するかは伝送品質を維持する観点で自由に設定することができる。
上記偏差再調整部318は、偏差調整部316が同期符号を挿入した後、伝送品質検出部312に再度伝送偏差を検出させ、伝送偏差が所定閾値以上改善されていなければ、挿入した同期符号を抜出する。
携帯端末装置140と基地局130との通信環境によっては、同期符号を追加挿入しても伝送偏差が所定閾値以上改善されない場合がある。そのときは、挿入した同期符号を再度抜出することで空いた領域をペイロートに割り当てることができ、フレームデータの情報領域を有効活用させることができる。
また、コンピュータによって、上記基地局130として機能するプログラムも提供され得る。
(携帯端末装置140)
次に、基地局130と無線通信を行う携帯端末装置140に関して簡単に説明する。
図6は、携帯端末装置140のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。携帯端末装置140は、上述した携帯電話やPHSの他に、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯可能な様々な電子機器で構成され、構成要素として、端末制御部510と、端末メモリ512と、表示部514と、操作部516と、音声入出力部518と、端末無線部520とを含んでいる。
上記端末制御部510は、中央処理装置を含む半導体集積回路により携帯端末装置140全体を管理および制御する。また、端末制御部510は、端末メモリ512のプログラムを用いて、携帯端末装置140を利用した通話機能やメール配信機能を遂行する。
上記端末メモリ512は、ROM、RAM、EPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、端末制御部510で処理されるプログラムや、各基地局130からの所定時間分のデータを記憶する。
上記表示部514は、カラーまたはモノクロのディスプレイで構成され、端末メモリ512に記憶された、または通信網120を介してアプリケーション中継サーバ(図示せず)から提供される、WebブラウザやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
上記操作部516は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。
上記音声入出力部518は、マイクやスピーカから構成され、通話時に入力されたユーザの音声を音声信号に変換し、また、通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、着信音や操作部516による操作音、アラーム音等も出力できる。
上記端末無線部520は、携帯電話網における基地局130と双方向の無線通信を行う。本実施形態では、時分割多重方式に基づいたタイムスロットを用いて無線通信を遂行する他、タイムスロットが連結されたスロット連結にも対応する。また、フレームデータの同期情報領域412を参照し、基地局130において同期符号が挿入されているかどうか、および、挿入されていた場合の挿入位置はどこであるかを抽出し、その同期符号に従って、フレームデータのデータ同期を遂行する。
(伝送品質補償方法)
次に、時分割多重方式に基づくタイムスロットを用いて携帯端末装置140と無線通信を行う基地局130で実行される伝送品質補償方法を説明する。
図7は、伝送品質補償方法の全体的な流れを示したフローチャートである。ここでは、基地局130のループ処理の流れが示されている。
まず、基地局のスロット連結部310は、フレーム中の複数のスロットを連結して一つの携帯端末装置140に割り当てる(S700)。そして、伝送品質検出部312が携帯端末装置140との無線通信におけるフレームデータ全体の伝送品質およびフレームデータ内の伝送偏差を検出する(S702)。
次に、前回実行された処理が同期符号の追加(S722)であったかどうかが判断され(S704)、同期符号の追加であれば今回検出された伝送偏差と前回の伝送偏差とが比較され(S706)、伝送偏差が所定閾値以上改善されていなければ、前回の処理で追加された同期符号を抜出する(S708)。そして、今回の伝送偏差の検出値を次回の前回値として記憶する(S710)。
続いて、変調方式を切り換えるべきかどうかが判断される。具体的には、変調切換部314が、変調方式毎に定められた伝送品質下限値を下回っているかどうかが判断され(S712)、下回っていれば変調方式を1段階低い変調方式に切り換えて(S714)、ループ処理に帰還する。伝送品質下限値を下回ってなければ、引き続き伝送品質上限値を超えるかどうかが判断され(S716)、超えていれば変調方式を1段階高い変調方式に切り換えて(S718)、ループ処理に帰還する。
変調方式の切換処理が発生しなかった場合、続いて、同期符号を挿入または抜出するかどうかが判断される。具体的には、偏差調整部316が、検出された伝送偏差が変調方式毎に定められた伝送偏差上限値を超えるかどうかが判断され(S720)、超えていればフレームデータの所定位置に同期符号を挿入して(S722)ループ処理に帰還する。伝送偏差上限値を超えていなければ、引き続き伝送偏差下限値を下回っているかどうかが判断され(S724)、下回っていればフレームデータの所定位置に挿入された同期符号を抜出する(S726)。かかる同期符号の抜出は、挿入順として事前に定義された順番の逆の順番に行われる。従って、前回挿入した同期符号から抜出されることとなる。
最後に、携帯端末装置140との通信を終了するかどうかが判断され(S728)、終了しなければ伝送品質および伝送偏差の検出(S702)からの処理を繰り返す。
上述した本実施形態の基地局130または伝送品質補償方法を用いることで、同期符号の挿入および変調方式の切換を伝送品質に応じて動的に遂行することができ、伝送品質の改善もしくは維持および伝送速度の高速化を図ることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本明細書の伝送品質補償方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むとしても良い。
本発明は、時分割多重方式に基づくタイムスロットを用いて携帯端末装置と無線通信を行う基地局、伝送品質補償方法に利用可能である。
本実施形態によるスロット連結の構成を説明するためのタイミング図である。 本実施形態による無線通信システムの概略的な構成を示したブロック図である。 本実施形態による基地局のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。 本実施形態による基地局の概略的な機能を示した機能ブロック図である。 本実施形態によるフレームデータに順次同期符号を配置する処理を説明するための説明図である。 本実施形態による携帯端末装置のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。 本実施形態による伝送品質補償方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
符号の説明
10 タイムスロット
130 基地局
140 携帯端末装置
310 スロット連結部
312 伝送品質検出部
314 変調切換部
316 偏差調整部
318 偏差再調整部
410 同期符号
412 同期情報領域

Claims (10)

  1. 時分割多重方式に基づくタイムスロットを用いて携帯端末装置と無線通信を行う基地局であって、
    フレーム中の複数のタイムスロットを連結した連結スロットを前記携帯端末装置に割り当てるスロット連結部と、
    前記携帯端末装置との無線通信におけるフレームデータ内の異なる領域の伝送品質の差である伝送偏差を検出する伝送品質検出部と、
    前記伝送偏差が、変調方式毎に定められた伝送偏差上限値を超えるとフレームデータに同期符号を挿入し、伝送偏差下限値を下回るとフレームデータから同期符号を抜出する偏差調整部と、
    を備えることを特徴とする、基地局。
  2. 前記偏差調整部が同期符号を挿入した後、前記伝送品質検出部に再度伝送偏差を検出させ、伝送偏差が所定閾値以上改善されていなければ前記挿入した同期符号を抜出する偏差再調整部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の基地局。
  3. 前記偏差調整部は、前記同期符号をタイムスロット単位の先頭に挿入することを特徴とする、請求項1または2に記載の基地局。
  4. 前記フレームデータには、どのタイムスロットに同期符号が挿入されているかを示す同期情報領域が設けられ、
    前記偏差調整部は、前記同期情報領域を参照して、予め定義された挿入順または抜出順に同期符号を挿入または抜出し、その結果を同期情報領域に反映することを特徴とする、請求項3に記載の基地局。
  5. 前記伝送品質検出部は、前記フレームデータ全体の伝送品質も検出し、
    前記伝送品質が、変調方式毎に定められた伝送品質下限値を下回るとより低い変調方式に切り換え、伝送品質上限値を超えるとより高い変調方式に切り換える変調切換部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基地局。
  6. 前記変調方式は、BPSK、QPSK、8PSK、16QAM、32QAM、64QAM、128QAM、256QAMの群から選択される2以上の方式であることを特徴とする、請求項5に記載の基地局。
  7. 前記伝送品質はフレームエラーレートを基準にして判断することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の基地局。
  8. 前記伝送品質はエラーベクター振幅を基準にして判断することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の基地局。
  9. 前記伝送偏差は、連結したタイムスロットの前半部と後半部との伝送品質の差であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の基地局。
  10. 時分割多重方式に基づくタイムスロットを用いて携帯端末装置と無線通信を行う基地局で実行される伝送品質補償方法であって、
    フレーム中の複数のタイムスロットを連結した連結スロットを前記携帯端末装置に割り当てるスロット連結ステップと、
    前記携帯端末装置との無線通信における該フレームデータ内の異なる領域の伝送品質の差である伝送偏差を検出する伝送品質検出ステップと、
    前記伝送偏差が、変調方式毎に定められた伝送偏差上限値を超えるとフレームデータに同期符号を挿入し、伝送偏差下限値を下回るとフレームデータから同期符号を抜出する偏差調整ステップと、
    を含むことを特徴とする、伝送品質補償方法。
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