JP2008132608A - 空気入りタイヤの製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】剛体コアの外面に貼り付ける一定長のプライコードを、剛体コア外面の所定位置に正確かつ確実に配置し、空気入りタイヤの品質を向上させる。
【解決手段】プライコードの貼付装置1を、フレーム2、モータ3、マニピュレータ4A、4B、可動機構5、及び押圧手段60A、60B等から構成し、マニピュレータ4A、4B先端のフィンガーチャック10A、10Bでプライコードの両端を保持する。マニピュレータ4A、4Bを、可動機構5により剛体コアに対して接近及び離間させ、かつモータ3により互いに接近及び離間させる。これにより、フィンガーチャック10A、10Bで保持したプライコードに長手方向の張力を付与しつつ剛体コア外面の子午線に沿って配置する。同時に、プライコードを、押圧手段60A、60Bの押圧ローラ63A、63Bにより押圧して剛体コアの外面に圧着する。
【選択図】 図1
【解決手段】プライコードの貼付装置1を、フレーム2、モータ3、マニピュレータ4A、4B、可動機構5、及び押圧手段60A、60B等から構成し、マニピュレータ4A、4B先端のフィンガーチャック10A、10Bでプライコードの両端を保持する。マニピュレータ4A、4Bを、可動機構5により剛体コアに対して接近及び離間させ、かつモータ3により互いに接近及び離間させる。これにより、フィンガーチャック10A、10Bで保持したプライコードに長手方向の張力を付与しつつ剛体コア外面の子午線に沿って配置する。同時に、プライコードを、押圧手段60A、60Bの押圧ローラ63A、63Bにより押圧して剛体コアの外面に圧着する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばトラックやバスに使用される重荷重用タイヤ等の空気入りタイヤを製造する製造装置及び製造方法に関し、特に、製品タイヤの内面形状に対応する外面形状を有する剛体コアの外面に一定長のプライコードを貼り付けてグリーンタイヤ(生タイヤ)を形成する空気入りタイヤの製造装置及び製造方法に関する。
空気入りタイヤは、一般に、カーカスプライやビードコア等の複数の部材から構成され、未加硫ゴム等からなる各種タイヤ構成部材を組み合わせてグリーンタイヤを成型し、加硫成型して所定形状の製品タイヤが製造される。このグリーンタイヤの成型工程では、従来、円筒状の成型ドラムを用いた成型方法が広く採用されている。この方法では、グリーンタイヤは、回転する成型ドラムの外面に、カーカスプライ等の各タイヤ構成部材を順次巻き付け、その両端部近傍に環状のビードコアを装着してこれを包み込むようにカーカスプライ等の端部を折り返し、更に他のタイヤ構成部材を組み合わせる等して成型されるのが一般的である。
この従来の成型方法では、タイヤ構成部材、例えばカーカスプライは、並列させた複数本のコードを未加硫ゴムで被覆し、所定形状に切断等して予めシート状に形成された後、成型ドラムに巻き付けられて円筒状に形成される。そのため、この方法で成型されるグリーンタイヤには、カーカスプライを円筒状にすることによって、その端部同士を接合した継ぎ目(ジョイント部)が形成される。その結果、カーカスプライの切断長さの変動等に伴い、ジョイント部における両端部の重なり量が大きくなってオーバージョイントが生じたり、或いは、グリーンタイヤ成型時に作用する張力等により接合したカーカスプライの両端部が剥離し、ジョイント部にコードオープン等の欠陥が生じることがある。また、ジョイント部の段差等により、タイヤの諸性能に影響する製品タイヤのユニフォーミティやタイヤ周方向等のバランスが低下する恐れもある。更に、この従来の方法では、カーカスプライ等の各タイヤ構成部材を、所定形状に切断等して予め準備する必要があり、近年の多品種少量生産に柔軟に対応できない、という問題もある。
このような問題に対処するため、従来、製品タイヤの内面形状に対応する外面形状を有する剛体コアを使用し、1本のコードをゴムで被覆したプライコードを、剛体コアの外面に貼り付けてカーカスプライを形成し、更にビードコア等の他のタイヤ構成部材を組み合わせる等してグリーンタイヤを形成する製造装置が提案されている(特許文献1参照)。
図5は、特許文献に記載されたものではないが、このような従来の製造装置によりグリーンタイヤを形成する手順の一部を模式的に示す断面図である。
なお、図では、形成したカーカスプライ80の端部側に略環状のビードコア82を配置する工程を、それぞれ剛体コア21の幅方向の断面図で示している。また、以下で説明する各動作は、剛体コア21の赤道面Eを挟んで対称に、かつ同期して実行される。
なお、図では、形成したカーカスプライ80の端部側に略環状のビードコア82を配置する工程を、それぞれ剛体コア21の幅方向の断面図で示している。また、以下で説明する各動作は、剛体コア21の赤道面Eを挟んで対称に、かつ同期して実行される。
この従来の製造装置90は、図示のように、軸線周りに回転可能な略環状の剛体コア21と、外径がビードコア82の内径よりも小径に形成され、剛体コア21の軸方向(図では左右方向)外側に配置されたリング状部材27とを備えている。また、剛体コア21とリング状部材27とを一体として軸線周りに回転させ、かつ、その回転角度を調節可能な回転手段(図示せず)と、リング状部材27を剛体コア21と同芯状に保持するとともに、軸線方向(図では左右方向)に移動させて剛体コア21に接近及び離間させる移動手段(図示せず)とを備えている。
この製造装置90でグリーンタイヤを形成するときには、図5Aに示すように、図示しない貼付装置により、一定長に切断されたプライコードCを、長手方向に張力が付加された状態で剛体コア21の外面に当接させ、剛体コア21の半径方向外側から内側(図では上側から下側)に向かって順次貼り合わせて子午線に沿って配置する。このとき、リング状部材27を剛体コア21から離間させておき、プライコードCの両端部をリング状部材27の上面に貼り付けて固定する。次に、剛体コア21及びリング状部材27を、プライコードCの貼り付けピッチに相当する所定角度だけ回転させ、次のプライコードCを、上記と同様に剛体コア21の外面に配置して両端部をリング状部材27に固定する。これら各手順を、剛体コア21の周方向に沿って繰り返して剛体コア21及びリング状部材27を1周させ、プライコードCを、剛体コア21の全外面を覆うように配置する。
次に、図5Bに示すように、ビードコア82を、剛体コア21の半径方向最内側部(ビード成型部)24に向かって移動させるとともに、リング状部材27を、ビードコア82の移動に連動させて剛体コア21に向かって移動(図の矢印)させる。この移動を、図5Cに示すように、ビードコア82がプライコードCを挟んでビード成型部24に収まるまで行い、ビードコア82を所定位置に配置する。同時に、各プライコードCを剛体コア21の外面に当接させて貼り付け、それらを一体化させてカーカスプライ80を形成する。次に、図示しない折り返し手段により、カーカスプライ80の端部をリング状部材27から剥離させつつビードコア82周りに折り返し、他のタイヤ構成部材を貼り合わせる等してグリーンタイヤを形成する。その後、グリーンタイヤを剛体コア21とともに加硫金型内に装入し、加硫成型して所定形状の製品タイヤを製造する。
従って、この従来の製造装置90によれば、カーカスプライ80にジョイント部が形成されないため、上記したオーバージョイントやコードオープン等の欠陥が生じるのを抑制できるとともに、製品タイヤのユニフォーミティやタイヤ周方向等のバランスを向上させることができる。また、カーカスプライ80を、予め所定形状に形成して準備する必要がないため、タイヤ製造の自由度が増し、多品種少量生産に柔軟に対応することもできる。
しかしながら、この従来の製造装置90では、プライコードCの移動に伴い、その長手方向に付加した張力が変動等してプライコードCに緩みが生じ、剛体コア21の外面の子午線位置からズレた位置にプライコードCが当接して配置される恐れがある。また、ビードコア82及びリング状部材27を剛体コア21に向かって移動させるときにプライコードCが湾曲し、プライコードCに作用する張力が低下することがある。
図6は、図5CのW部におけるプライコードCの状態を模式的に示す拡大図である。
図示のように、プライコードCは、その長手方向の張力が低下して湾曲する結果、特に剛体コア21の幅方向最外側位置近傍の半径方向内側(図では下側)部分(図のT)で緩みが生じ、部分的に剛体コア21の外面から剥離し、又は配置位置にズレ等が発生することがある。このような状態でビードコア82を所定位置に配置した場合には、プライコードCの緩みを是正できずにグリーンタイヤが形成され、グリーンタイヤ内でプライコードCの張力及び位置にタイヤ周方向のばらつきが発生する恐れがある。その結果、形成されたカーカスプライ80に、プライコードCの局部的な波状の変位(コードウェーブ)や隣り合うプライコードC間の段差や接近(ペアコード)等の欠陥が生じるとともに、タイヤサイド部に凹凸ができてタイヤの外観や性能が低下する恐れがある。
図示のように、プライコードCは、その長手方向の張力が低下して湾曲する結果、特に剛体コア21の幅方向最外側位置近傍の半径方向内側(図では下側)部分(図のT)で緩みが生じ、部分的に剛体コア21の外面から剥離し、又は配置位置にズレ等が発生することがある。このような状態でビードコア82を所定位置に配置した場合には、プライコードCの緩みを是正できずにグリーンタイヤが形成され、グリーンタイヤ内でプライコードCの張力及び位置にタイヤ周方向のばらつきが発生する恐れがある。その結果、形成されたカーカスプライ80に、プライコードCの局部的な波状の変位(コードウェーブ)や隣り合うプライコードC間の段差や接近(ペアコード)等の欠陥が生じるとともに、タイヤサイド部に凹凸ができてタイヤの外観や性能が低下する恐れがある。
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、剛体コアの外面に貼り付ける一定長のプライコードに緩みが生じるのを抑制し、かつプライコードを剛体コアの外面の所定位置に正確かつ確実に配置し、空気入りタイヤの品質を向上させることである。
請求項1の発明は、製品タイヤの内面形状に対応する外面形状を有する剛体コアを備え、該剛体コアの外面に子午線に沿ってプライコードを貼り付けてグリーンタイヤを形成する空気入りタイヤの製造装置であって、一定長に切断された前記プライコードの両端部を保持するとともに、該プライコードの長手方向に張力を付加するコード保持手段と、該コード保持手段を前記剛体コアの外面形状に応じて該剛体コアの半径方向及び軸線方向へ移動させ、前記張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面の子午線に沿って配置する前記コード保持手段の移動手段と、前記プライコードを前記剛体コアの外面側に、該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次押圧する押圧手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された空気入りタイヤの製造装置において、前記移動手段は、前記コード保持手段を移動させて前記張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面に該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次配置し、前記押圧手段は、前記プライコードの前記剛体コアの外面への配置に合わせて前記プライコードを押圧し、前記プライコードを前記剛体コアの外面に押圧しつつ配置することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載された空気入りタイヤの製造装置において、前記押圧手段による前記プライコードの押圧力が調節可能であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された空気入りタイヤの製造装置において、前記押圧手段は、前記プライコードを押圧する押圧ローラを有し、前記プライコードを前記押圧ローラの外周面で前記剛体コアの外面の法線方向から押圧することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載された空気入りタイヤの製造装置において、前記押圧手段は、前記プライコードを前記剛体コアの幅方向最外側位置近傍から、装着されるビードコアの外径位置近傍まで押圧することを特徴とする。
請求項6の発明は、製品タイヤの内面形状に対応する外面形状を有する剛体コアの外面に子午線に沿ってプライコードを貼り付けてグリーンタイヤを形成する空気入りタイヤの製造方法であって、一定長に切断された前記プライコードの両端部を保持し、該プライコードの長手方向に張力を付加する工程と、該張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面の子午線に沿って配置する配置工程と、前記プライコードを前記剛体コアの外面側に、該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次押圧する押圧工程と、を有することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載された空気入りタイヤの製造方法において、前記配置工程は、前記張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面に該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次配置し、前記押圧工程は、前記プライコードの前記剛体コアの外面への配置に合わせて前記プライコードを押圧し、前記プライコードを前記剛体コアの外面に押圧しつつ配置することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6または7に記載された空気入りタイヤの製造方法において、前記押圧工程は、前記プライコードを前記剛体コアの幅方向最外側位置近傍から、装着されるビードコアの外径位置近傍まで押圧することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された空気入りタイヤの製造装置において、前記移動手段は、前記コード保持手段を移動させて前記張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面に該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次配置し、前記押圧手段は、前記プライコードの前記剛体コアの外面への配置に合わせて前記プライコードを押圧し、前記プライコードを前記剛体コアの外面に押圧しつつ配置することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載された空気入りタイヤの製造装置において、前記押圧手段による前記プライコードの押圧力が調節可能であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された空気入りタイヤの製造装置において、前記押圧手段は、前記プライコードを押圧する押圧ローラを有し、前記プライコードを前記押圧ローラの外周面で前記剛体コアの外面の法線方向から押圧することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載された空気入りタイヤの製造装置において、前記押圧手段は、前記プライコードを前記剛体コアの幅方向最外側位置近傍から、装着されるビードコアの外径位置近傍まで押圧することを特徴とする。
請求項6の発明は、製品タイヤの内面形状に対応する外面形状を有する剛体コアの外面に子午線に沿ってプライコードを貼り付けてグリーンタイヤを形成する空気入りタイヤの製造方法であって、一定長に切断された前記プライコードの両端部を保持し、該プライコードの長手方向に張力を付加する工程と、該張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面の子午線に沿って配置する配置工程と、前記プライコードを前記剛体コアの外面側に、該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次押圧する押圧工程と、を有することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載された空気入りタイヤの製造方法において、前記配置工程は、前記張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面に該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次配置し、前記押圧工程は、前記プライコードの前記剛体コアの外面への配置に合わせて前記プライコードを押圧し、前記プライコードを前記剛体コアの外面に押圧しつつ配置することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6または7に記載された空気入りタイヤの製造方法において、前記押圧工程は、前記プライコードを前記剛体コアの幅方向最外側位置近傍から、装着されるビードコアの外径位置近傍まで押圧することを特徴とする。
本発明によれば、剛体コアの外面に貼り付ける一定長のプライコードに緩みが生じるのを抑制できるとともに、プライコードを剛体コアの外面の所定位置に正確かつ確実に配置することができ、空気入りタイヤの品質を向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の空気入りタイヤの製造装置は、製品タイヤの内面形状に対応する外面形状を有する剛体コアを備え、一定長に切断されたプライコードを、貼付装置により、剛体コアの外面に子午線に沿って貼り付ける等してカーカスプライを形成し、ビードコア等の他のタイヤ構成部材を組み合わせてグリーンタイヤを形成する装置である。
本実施形態の空気入りタイヤの製造装置は、製品タイヤの内面形状に対応する外面形状を有する剛体コアを備え、一定長に切断されたプライコードを、貼付装置により、剛体コアの外面に子午線に沿って貼り付ける等してカーカスプライを形成し、ビードコア等の他のタイヤ構成部材を組み合わせてグリーンタイヤを形成する装置である。
図1は、本実施形態の製造装置が備えるプライコードの貼付装置を模式的に示す平面図である。
この貼付装置1は、図示のように、略直線状に形成されたフレーム2と、フレーム2の長手方向の一端側(図では下側)に設けられたモータ3と、フレーム2に取付けられ、その長手方向に略直交する同一方向(図では右方向)に延びる一対のマニピュレータ4A、4Bと、フレーム2に対してマニピュレータ4A、4Bの反対側(図では左側)に配置された可動機構5と、各マニピュレータ4A、4Bに互いに対向するように取り付けられた一対の押圧手段60A、60Bと、を備えている。
この貼付装置1は、図示のように、略直線状に形成されたフレーム2と、フレーム2の長手方向の一端側(図では下側)に設けられたモータ3と、フレーム2に取付けられ、その長手方向に略直交する同一方向(図では右方向)に延びる一対のマニピュレータ4A、4Bと、フレーム2に対してマニピュレータ4A、4Bの反対側(図では左側)に配置された可動機構5と、各マニピュレータ4A、4Bに互いに対向するように取り付けられた一対の押圧手段60A、60Bと、を備えている。
可動機構5は、フレーム2を、その長手方向と直交する方向(図では左右方向)に移動させるためのものであり、固定台等(図示せず)に取り付けられた支持体51と、フレーム2の長手方向の中心線P上に配置され、一端が支持体51に固定されたピストン・シリンダ機構52と、中心線Pを挟んで配置された一対のガイド部材53とから構成されている。ピストン・シリンダ機構52は、ピストンロッド52Aがフレーム2側(図では右側)を向くように、エアシリンダ52Bの他端部が支持体5の略中央に固定され、そのピストンロッド52Aの先端がフレーム2の略中央の側面に固定されている。各ガイド部材53は、一端がフレーム2に固定されるとともに、支持体51によりフレーム2の長手方向と直交する方向に摺動自在に支持されており、フレーム2の移動を案内して略平行に移動させる。
この可動機構5は、ピストン・シリンダ機構52を作動させてピストンロッド52Aをエアシリンダ52Bから出し入れし、かつ、ガイド部材53及び支持体51により案内して、フレーム2を、その長手方向と直交する方向に所定距離だけ移動させ、これにより、マニピュレータ4A、4Bを、その長手方向(図では左右方向)に移動させる。なお、可動機構5は、例えばモータとボールネジ及びボールナット等により構成し、モータの回転数を制御してボールネジを回転させ、フレーム2に固定したボールナットの位置を変位させてフレーム2を移動させるようにしてもよい。
フレーム2内には、その長手方向に沿って配置されたボールネジ31が回転可能に支持されている。このボールネジ31は、一端(図では下端)がモータ3に取り付けられるとともに、フレーム2の長手方向の中央部を挟んだ両側に、互いに逆回りで同一ピッチの溝からなる左ネジ部31Aと右ネジ部31Bとを有する。また、これらボールネジ31の各ネジ部31A、31Bには、スライダ32A、32B内に固定された、各ネジ部31A、31Bに噛み合うボールナットが取り付けられている。従って、本実施形態の貼付装置1では、モータ3によりボールネジ31を正逆回転させると、スライダ32A、32Bが、それぞれボールネジ31の長手方向に沿って逆方向に、かつ同一距離移動して、互いに接近及び離間する。また、この貼付装置1では、各スライダ32A、32Bに、後述するマニピュレータ4A、4Bの基端の固定部41A、41Bをそれぞれ固定しており、上記したスライダ32A、32Bの移動により、マニピュレータ4A、4Bを、フレーム2の長手方向に沿って連動して移動させて、互いに接近及び離間させるようになっている。
両マニピュレータ4A、4Bは、それぞれ第1アーム6A、6B、エアシリンダ7A、7B、第2アーム8A、8B、ハンド9A、9B、フィンガーチャック10A、10B、及び押付け部材11A、11B等からなり、それぞれフレーム2の中心線Pを挟んで対称に構成されている。
第1アーム6A、6Bは、それぞれ一端がスライダ32A、32Bに固定された固定部41A、41Bに取付けられ、そこからフレーム2の長手方向と直交する方向に延び、他端に第2アーム8A、8Bが回転軸14A、14Bを介して回転自在に取付けられている。
エアシリンダ7A、7Bは、それぞれ第1アーム6A、6Bのフレーム2の長手方向外側に隣接して配置され、一端が固定部41A、41Bに揺動自在に連結されている。また、その他端から出入りするピストンロッド12A、12Bの先端に、第2アーム8A、8Bが回転軸13A、13Bを介して回転自在に取付けられている。
第2アーム8A、8Bは、フレーム2側の一端側に離間して取り付けられた回転軸13A、13Bと回転軸14A、14Bとを介して、それぞれ第1アーム6A、6Bとエアシリンダ7A、7B(ピストンロッド12A、12B)とを連結するとともに、他端側に回転軸15A、15Bを介してハンド9A、9Bが回転可能に取り付けられている。このハンド9A、9Bの他端(先端)には、フィンガーチャック10A、10B、及び押付け部材11A、11Bが隣接して設けられている。
フィンガーチャック10A、10Bは、プライコードの端部を保持する保持手段あり、ここでは、互いに接近及び離間可能な一対のフィンガーでプライコードの端部を挟んで保持するようになっている。これら各フィンガーチャック10A、10Bは、ハンド9A、9Bに設けられたピストン・シリンダ機構等の駆動手段(図示せず)によりフィンガー間の隙間を開閉し、プライコードの各端部の保持及び開放を行う。押付け部材11A、11Bは、ハンド9A、9Bに内蔵されたピストン・シリンダ機構等の駆動手段(図示せず)により進退し、プライコードの端部を対向する部材に押し付けて貼り付ける。
本実施形態のマニピュレータ4A、4Bは、これら第1アーム6A、6B、エアシリンダ7A、7B、ピストンロッド12A、B、及び第2アーム8A、8Bにより、一対のリンク機構を構成している。即ち、マニピュレータ4Aでは、エアシリンダ7Aとピストンロッド12Aからなるピストン・シリンダ機構を作動させて、ピストンロッド12Aをエアシリンダ7Aから出し入れして往復動させると、その出入長さに応じて、ピストンロッド12Aの先端に取り付けられた回転軸13Aが変位する。その結果、第2アーム8Aが、第1アーム6Aの先端に取り付けられた回転軸14Aを中心として、両方向(図では時計方向及び反時計方向)に回転する。
一方、マニピュレータ4Bでも、同様に、ピストンロッド12Bを往復動させると、第2アーム8Bが、回転軸14Bを中心として他方の第2アーム8Aと対称に両方向(図では反時計方向及び時計方向)に回転する。このように、各マニピュレータ4A、4Bは、ピストンロッド12A、12Bを同期させて往復動させて、第2アーム8A、8Bの先端側(回転軸15A、15B側)の間隔を接近及び離間させ、各先端側に取り付けられたハンド9A、9B(フィンガーチャック10A、10B及び押付け部材11A、11B)を同期して移動させる。また、これら各マニピュレータ4A、4Bの第1アーム6A、6Bには、互いに対向して配置された一対の押圧手段60A、60Bが取り付けられている。
押圧手段60A、60Bは、剛体コアの外面に配置されたプライコードを、剛体コアの外面側に向かって所定の力で押圧し、剛体コア外面又は下層部材に圧着して貼り付けるためのものである。本実施形態では、押圧手段60A、60Bを、第1アーム6A、6Bの先端側に配置された油圧式又はエア圧式のピストン・シリンダ機構61A、61Bと、そのピストンロッド62A、62Bの先端に設けられた、プライコードの押圧部材である略円筒状の押圧ローラ63A、63Bと、から構成している。
ピストン・シリンダ機構61A、61Bは、各ピストンロッド62A、62Bの先端が互いに向き合うように対向して配置されるとともに、連結部材64A、64Bを介して第1アーム6A、6Bの先端側(第2アーム8A、8B側)に揺動可能に連結されている。連結部材64A、64Bは、連結部を中心に両方向(図では時計方向又は反時計方向)に揺動するピストン・シリンダ機構61A、61Bを支持するとともに、それらの連結角度を一定角度に維持可能に構成されている。これにより、第1アーム6A、6Bの長手方向に対するピストンロッド62A、62Bの往復動方向の角度を調節し、プライコードの押圧を適切な角度で行えるようになっている。
押圧ローラ63A、63Bは、外周面でプライコードを押圧するためのローラであり、ピストン・シリンダ機構61A、61Bのピストンロッド62A、62Bの先端に、軸線周りに回転自在に取り付けられている。また、各押圧ローラ63A、63Bは、軸線を第1アーム6A、6B及びフレーム2の長手方向と略直交する方向(図では紙面に略直交する方向)に向けて互いに略平行に配置されている。
この押圧手段60A、60Bによりプライコードを押圧するときには、ピストン・シリンダ機構61A、61Bを作動させてピストンロッド62A、62Bを出し入れし、その先端の押圧ローラ63A、63Bをプライコードに押し付けて剛体コアの外面に向かって押圧する。このとき、本実施形態の押圧手段60A、60Bでは、押圧ローラ63A、63Bのプライコードへの押し付けを、ローラ軸線方向が押し付け位置の剛体コア外面の接線方向に略平行になるように行う等、プライコードを押圧ローラ63A、63Bの外周面で剛体コア外面の法線方向から押圧するようになっている。また、この押圧手段60A、60Bでは、ピストン・シリンダ機構61A、61Bによる押圧ローラ63A、63Bの押し付け力を制御することによりプライコードの押圧力が調節可能であり、最適な力でプライコードの押圧を行えるようになっている。
以上に加えて、貼付装置1は、装置全体の制御を行う制御装置70を備えている。制御装置70は、例えば、各種のデータ処理や解析、演算等を行うマイクロプロセッサ(MPU)等の演算手段72や、各種プログラムを格納したROM、処理のための一時的なデータの保存等を行うRAM等の記憶手段73を備えたマイクロコンピュータ71、及び外部機器との接続のためのインターフェース74等からなる。また、制御装置70は、インターフェース74を介してモータ3、可動機構5、マニピュレータ4A、4B、及び押圧手段60A、60B等の装置の各部やセンサ等に接続されるとともに、例えば剛体コア等のグリーンタイヤの製造時に使用される他の装置にも接続され、それらとの間で駆動・停止指令等の各種データを送受信する。即ち、この制御装置70は、貼付装置1を含めた製造装置全体の制御を行い、所定のプログラムに基づいて接続された各部を予め設定されたタイミングで作動させる等、装置各部を連動して作動させてプライコードの剛体コア外面への配置や押圧等の貼り付け動作等を実行させる。
図2、3は、本実施形態の貼付装置1により1本のプライコードを剛体コアの外面に貼り付ける動作を順に示す模式図であり、図4は、その手順を示すフローチャートである。
なお、図2、3では、剛体コア21及び前記リング状部材27(図5参照)は断面で、貼付装置1はマニピュレータ4A、4Bの先端側(図1の右側)のみ、それぞれ示している。また、プライコードCの剛体コア21への貼り付け動作については、第2アーム8A、8Bや、ハンド9A、9B、フィンガーチャック10A、10Bに掴まれたプライコードC、及び押圧ローラ63A、63B等により示している。
なお、図2、3では、剛体コア21及び前記リング状部材27(図5参照)は断面で、貼付装置1はマニピュレータ4A、4Bの先端側(図1の右側)のみ、それぞれ示している。また、プライコードCの剛体コア21への貼り付け動作については、第2アーム8A、8Bや、ハンド9A、9B、フィンガーチャック10A、10Bに掴まれたプライコードC、及び押圧ローラ63A、63B等により示している。
ここで、プライコードCは、1本のスチールや有機繊維等のコードを未加硫ゴムで被覆したものであり、図示しない切断手段により、剛体コア21のサイズや種類に対応する一定長に切断されて貼付装置1に供給される。また、貼付装置1のフレーム2の長手方向の中心線Pと、剛体コア21の赤道面Eとは、互いに一致するように配置されており、その結果、各マニピュレータ4A、4Bも、剛体コア21の赤道面Eを挟んで対称に配置されている。更に、図示は省略するが、剛体コア21の外面には、例えばインナーライナ等のカーカスプライの下層(内層)に配置される部材が貼り付け済みである。
また、本実施形態の貼付装置1では、プライコードCの両端部を保持する保持手段である両フィンガーチャック10A、10Bは、フレーム2、可動機構5、モータ3、及びマニピュレータ4A、4B等からなる移動手段により、剛体コア21の赤道面Eを挟んで略対称に同期して移動し、以下で説明するプライコードCの配置等を実行する。同様に、押圧手段60A、60Bも、剛体コア21の赤道面Eを挟んだ両側で、略対称に同期してプライコードCの押圧を行う。
この貼付装置1でプライコードCの貼り付けを行うときには、まず、図2に示すように、供給されるプライコードCを受け取るために、可動機構5によりフレーム2を移動させてマニピュレータ4A、4B(フィンガーチャック10A、10B)を所定位置に配置する(図4、S101)。次に、モータ3を作動させてマニピュレータ4A、4Bを互いに接近又は離間させ、フィンガーチャック10A、10Bの間隔をプライコードCの長さに相当する間隔に設定する(S102)。その状態で、一定長に切断された1本のプライコードCを図示しない供給装置により供給し、その両端部を両フィンガーチャック10A、10Bで掴んで保持する(S103)。続いて、エアシリンダ7A、7B及びピストンロッド12A、12Bにより第2アーム8A、8Bを回転させ、フィンガーチャック10A、10B間の距離を調節してプライコードCの長手方向に所定の張力を付加する(S104)。
次に、プライコードCに張力が付加された状態を維持しつつ、フィンガーチャック10A、10Bを、剛体コア21の外面形状に応じて剛体コア21の半径方向及び軸線方向(ここでは半径方向内側及び軸線方向内側)へ移動させ、プライコードCを剛体コア21の外面の子午線に沿って配置し、その貼り付けを開始する(S105)。具体的には、まず、可動機構5により、フレーム2を剛体コア21に接近する方向に移動させて、マニピュレータ4A、4B全体及びプライコードCを剛体コア21に接近させ、プライコードCの長手方向の中央部を剛体コア21の半径方向外側部22に当接(図2のプライコードC1)させる。
続いて、このフレーム2の移動を続行しつつ、モータ3を回転させてマニピュレータ4A、4Bの間隔を徐々に狭めるとともに、エアシリンダ7A、7Bを作動させて、第2アーム8A、8Bをフィンガーチャック10A、10Bが互いに接近する方向に徐々に回転させる。即ち、第2アーム8A、8Bの位置を、それぞれ図2のD1〜D4及びF1〜F4に示すように変化させて、プライコードCを保持するフィンガーチャック10A、10Bを同様に移動させる。これにより、プライコードCを、図2のC1〜C4に示すように、張力が付加された状態のまま剛体コア21の外面に、その半径方向外側から内側に向かって順次配置する。このとき、プライコードCは、その表面に被覆された未加硫ゴムの粘着力により、当接した剛体コア21の外面に密着して子午線に沿って配置される。
以上のように、プライコードCを剛体コア21の外面へ順次配置していき、その当接位置が、剛体コア21の幅方向最外側位置23近傍に到達したときに、押圧手段60A、60BによるプライコードCの押圧を開始し、剛体コア21の子午線に沿って配置されたプライコードCを剛体コア21の外面側に押圧して貼り付ける(S106)。
即ち、図3Aに示すように、プライコードCの当接位置が剛体コア21の幅方向最外側位置23近傍に到達する所定のタイミングで、押圧手段60A、60Bのピストン・シリンダ機構61A、61Bを作動させ、押圧ローラ63A、63Bの外周面をプライコードCに押し付け、プライコードCを剛体コア21の外面側に所定の力で押圧する。次に、この押圧ローラ63A、63Bによる押圧状態を維持しつつ、押圧手段60A、60Bを、上記したフィンガーチャック10A、10Bの移動と同様に、かつその移動と連動して移動させ、押圧ローラ63A、63Bを剛体コア21の外面に沿って転動(図3Aの矢印)させる。これにより、プライコードCを剛体コア21の外面側に、その半径方向外側から内側に向かって順次押圧し、プライコードCを剛体コア21の外面に圧着する。
このとき、押圧手段60A、60Bによる押圧は、フィンガーチャック10A、10BがプライコードCを剛体コア21の外面へ配置するのを追従するように行ってもよく、プライコードCの剛体コア21外面への配置に合わせて押圧し、プライコードCを剛体コア21の外面に押圧しつつ配置するようにしてもよい。
以上のように、プライコードCを剛体コア21の幅方向最外側位置23近傍から半径方向内側に向かって押圧し、図3Bに示すように、ビードコアが装着される剛体コア21のビード成型部24近傍(ここでは、装着されるビードコアの外径位置近傍)まで押圧したときに、押圧手段60A、60Bの移動を停止する。同時に、フィンガーチャック10A、10Bを、プライコードCの両端部が剛体コア21の軸線方向両外側に配置したリング状部材27の上面に位置するように移動させ、押し付け部材11A、11Bを前進させてプライコードCの両端部を各リング状部材27に押し付ける。これにより、プライコードCの端部をリング状部材27に貼り付け(S107)、フィンガーチャック10A、10Bを開いてプライコードCを開放し、1本のプライコードCの貼り付けを完了する。
次に、貼付装置1を最初の状態に戻すとともに、剛体コア21及びリング状部材27を、プライコードCの貼り付けピッチに相当する所定角度だけ回転させて、上記と同様にして次のプライコードCを貼り付ける。これら各手順を、剛体コア21の周方向に沿って繰り返して剛体コア21及びリング状部材27を1周させ、プライコードCを、剛体コア21の全外面に亘って覆うように配置してカーカスプライを形成する。その後、ビードコア(図示せず)の配置やカーカスプライの折り返し等、通常の手順でグリーンタイヤを形成し、グリーンタイヤを剛体コア21とともに加硫金型内で加硫成型して所定形状の製品タイヤを製造する。
以上説明したように、本実施形態によれば、一定長のプライコードCを剛体コア21の外面に配置してカーカスプライを形成するため、カーカスプライにジョイント部が形成されず、製品タイヤのユニフォーミティやタイヤ周方向等のバランスを向上できるとともに、タイヤ製造の自由度が増加して多品種少量生産に柔軟に対応することができる。
また、プライコードCを剛体コア21外面の子午線に沿って配置するときに、その配置に合わせてプライコードCを押圧手段60A、60Bの押圧ローラ63A、63Bにより押圧して剛体コア21の外面に貼り付けるため、プライコードCを、張力が付加された状態を維持しつつ、剛体コア21外面の所定位置に確実かつ強固に貼り付けることができる。その結果、剛体コア21の外面に貼り付けるプライコードCに緩み等が生じるのが抑制されて、その貼り付け精度(配置精度)も向上でき、プライコードCを剛体コア21の外面の子午線上に、より正確かつ確実に配置することができる。
特に、プライコードCの配置位置にズレ等が生じ易い剛体コア21の幅方向最外側位置23近傍から、剛体コア21の半径方向内側に向かってビードコアの外径位置近傍まで、プライコードCを押圧して貼り付けるため、プライコードCの配置精度を効果的に向上させることができる。同時に、ビードコアを剛体コア21のビード成型部24に配置するときには、既に、その付近までプライコードCが剛体コア21に貼り付けられており、ビードコアの配置に伴うプライコードCの移動及び、その際の湾曲や張力低下等が生じないため、従来生じていたプライコードCの部分的な剥離や位置ズレ等を防止することもできる。その結果、カーカスプライにコードウェーブやペアコード等の欠陥が生じるのを抑制できるとともに、タイヤサイド部の凹凸に伴うタイヤの外観や性能の低下を防止でき、空気入りタイヤの品質を向上させることができる。
更に、この貼付装置1では、押圧手段60A、60BによるプライコードCの押圧力が調節可能であるため、プライコードCを適切かつ大きな力で押圧することが可能となり、剛体コア21外面へのプライコードCの圧着力(密着力)を高めることができる。また、押圧ローラ63A、63Bにより、プライコードCを剛体コア21の外面の法線方向から押圧するため、プライコードCが押圧力により押圧方向にズレるのを防止できるとともに、プライコードCを剛体コア21の外面の所定位置に確実に圧着することができ、プライコードCの貼り付けを正確かつ確実に行うことができる。
ここで、本実施形態では、カーカスプライの下層(内層)に配置される部材を、剛体コア21の外面に貼り付けた後にプライコードCの貼り付けを行っている。このように、本発明におけるプライコードCを配置又は貼り付ける剛体コア21の外面には、剛体コア21の外面の他に、既に剛体コア21の外面に配置した他の部材の外面も含む。
なお、本実施形態の貼付装置1では、プライコードCを押圧ローラ63A、63Bにより押圧したが、例えば回転自在に支持された球状部材や、プライコードCとの接触面にゴムが貼り付きにくい低貼付処理が施された略板状部材等、他の押圧部材によりプライコードCの押圧を行うようにしてもよい。また、押圧ローラ63A、63Bの押し付けを、油圧又はエア圧式のピストン・シリンダ機構61A、61Bにより行ったが、例えば弾発力の大きいスプリングにより押圧ローラ63A、63Bを剛体コア21の外面に向かって付勢して押し付ける等、他の押付手段により押圧ローラ63A、63Bの押し付けを行ってもよい。更に、押圧手段60A、60Bを、マニピュレータ4A、4B(第1アーム6A、6B)等に取り付けずに、貼付装置1とは別個な独立した装置として構成し、プライコードCの押圧を、貼付装置1の動作と連動して行うようにしてもよい。
(タイヤ製造試験)
本発明の効果を確認するため、以上のようにして形成(図2、3参照)した実施例のタイヤ(以下、実施品という)と、プライコードCの押圧を行わずに形成(図5参照)した比較例(従来例)のタイヤ(以下、比較品という)を試作して、プライコードCの配置状態について評価した。評価は、試作後の両タイヤのX線透過写真を撮影し、コードウェーブやペアコードの有無や程度を比較して行った。
本発明の効果を確認するため、以上のようにして形成(図2、3参照)した実施例のタイヤ(以下、実施品という)と、プライコードCの押圧を行わずに形成(図5参照)した比較例(従来例)のタイヤ(以下、比較品という)を試作して、プライコードCの配置状態について評価した。評価は、試作後の両タイヤのX線透過写真を撮影し、コードウェーブやペアコードの有無や程度を比較して行った。
その結果、比較品では、剛体コア21の幅方向最外側位置近傍に相当するタイヤサイド部の両位置に、コードウェーブやペアコードが発生していたのに対し、実施品では、同位置を含めてコードウェーブやペアコードの発生がほとんど認められず、それらの発生が大幅に低減してプライコードCの配置精度が向上したことが分かった。
これより、本発明により、剛体コア21の外面に貼り付ける一定長のプライコードCに緩みが生じるのを抑制できるとともに、プライコードCを剛体コア21の外面の所定位置に正確かつ確実に配置することができ、空気入りタイヤの品質を向上できることが証明された。
1・・・貼付装置、2・・・フレーム、3・・・モータ、4A、4B・・・マニピュレータ、5・・・可動機構、6A、6B・・・第1アーム、7A、7B・・・エアシリンダ、8A、8B・・・第2アーム、9A、9B・・・ハンド、10A、10B・・・フィンガーチャック、11A、11B・・・押付け部材、21・・・剛体コア、27・・・リング状部材、60A、60B・・・押圧手段、63A、63B・・・押圧ローラ、70・・・制御装置、C・・・プライコード。
Claims (8)
- 製品タイヤの内面形状に対応する外面形状を有する剛体コアを備え、該剛体コアの外面に子午線に沿ってプライコードを貼り付けてグリーンタイヤを形成する空気入りタイヤの製造装置であって、
一定長に切断された前記プライコードの両端部を保持するとともに、該プライコードの長手方向に張力を付加するコード保持手段と、
該コード保持手段を前記剛体コアの外面形状に応じて該剛体コアの半径方向及び軸線方向へ移動させ、前記張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面の子午線に沿って配置する前記コード保持手段の移動手段と、
前記プライコードを前記剛体コアの外面側に、該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次押圧する押圧手段と、
を備えたことを特徴とする空気入りタイヤの製造装置。 - 請求項1に記載された空気入りタイヤの製造装置において、
前記移動手段は、前記コード保持手段を移動させて前記張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面に該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次配置し、
前記押圧手段は、前記プライコードの前記剛体コアの外面への配置に合わせて前記プライコードを押圧し、
前記プライコードを前記剛体コアの外面に押圧しつつ配置することを特徴とする空気入りタイヤの製造装置。 - 請求項1または2に記載された空気入りタイヤの製造装置において、
前記押圧手段による前記プライコードの押圧力が調節可能であることを特徴とする空気入りタイヤの製造装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載された空気入りタイヤの製造装置において、
前記押圧手段は、前記プライコードを押圧する押圧ローラを有し、前記プライコードを前記押圧ローラの外周面で前記剛体コアの外面の法線方向から押圧することを特徴とする空気入りタイヤの製造装置。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載された空気入りタイヤの製造装置において、
前記押圧手段は、前記プライコードを前記剛体コアの幅方向最外側位置近傍から、装着されるビードコアの外径位置近傍まで押圧することを特徴とする空気入りタイヤの製造装置。 - 製品タイヤの内面形状に対応する外面形状を有する剛体コアの外面に子午線に沿ってプライコードを貼り付けてグリーンタイヤを形成する空気入りタイヤの製造方法であって、
一定長に切断された前記プライコードの両端部を保持し、該プライコードの長手方向に張力を付加する工程と、
該張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面の子午線に沿って配置する配置工程と、
前記プライコードを前記剛体コアの外面側に、該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次押圧する押圧工程と、
を有することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。 - 請求項6に記載された空気入りタイヤの製造方法において、
前記配置工程は、前記張力が付加されたプライコードを前記剛体コアの外面に該剛体コアの半径方向外側から内側に向かって順次配置し、
前記押圧工程は、前記プライコードの前記剛体コアの外面への配置に合わせて前記プライコードを押圧し、
前記プライコードを前記剛体コアの外面に押圧しつつ配置することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。 - 請求項6または7に記載された空気入りタイヤの製造方法において、
前記押圧工程は、前記プライコードを前記剛体コアの幅方向最外側位置近傍から、装着されるビードコアの外径位置近傍まで押圧することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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JP2006318365A JP2008132608A (ja) | 2006-11-27 | 2006-11-27 | 空気入りタイヤの製造装置及び製造方法 |
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-
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- 2006-11-27 JP JP2006318365A patent/JP2008132608A/ja active Pending
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