JP2008132577A - 電気機械素子、電子機器及びプロジェクター - Google Patents
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Abstract
【課題】2つの相対する面の間に空間層を有する電気機械素子において、支持部で支えられた梁(ビーム)の面の高さのばらつきが低減された信頼性の高い電気機械素子、その電気機械素子を備えた電子機器及びプロジェクターを提供すること。
【解決手段】電気機械素子30は、基板33上に、空間を挟んで対向する梁35と、梁35を長軸方向の端部で支持する支持部41とを備え、支持部41は、梁35の短軸方向に複数本設けられる。
【選択図】図1
【解決手段】電気機械素子30は、基板33上に、空間を挟んで対向する梁35と、梁35を長軸方向の端部で支持する支持部41とを備え、支持部41は、梁35の短軸方向に複数本設けられる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電気機械素子、この電気機械素子を備えた電子機器及びプロジェクターに関する。
小型、低消費電力、高性能などの特徴から、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術は様々な分野で応用され、MEMS素子を用いた製品開発は現在多数行われている。MEMS素子には大きく分けると、機械・電子MEMS、光学MEMS、高周波MEMSなどがあり、それらの駆動方式としては、静電駆動、圧電駆動、電磁駆動等が挙げられる。
以下に図14を参照して代表的な静電駆動型のMEMS素子の一例を説明する。
このMEM素子1は、少なくとも表面が絶縁性を有する基板3上に下部電極2が形成され、この下部電極2に空隙であるエアギャップ10を介して、長軸方向(いわゆる長手方向)の両端部を支持部(いわゆる支柱)4で支持された梁(以下、ビームという)5が配置されて成る。このMEM素子1は、いわゆる両持ち梁構造として構成される。基板3としては、例えばシリコン(Si)基板の表面に絶縁膜が形成された基板が用いられる。下部電極2上に例えばSiO2による絶縁膜6が形成される。ビーム5は、絶縁膜と上部電極9の積層膜で形成され、例えば下からSiN膜7、SiO2 膜8、Al電極9の3層構造で形成される。ここで、ビーム5は両端部において、それぞれ1本の支持部4により支持されている。支持部4は、ビーム5を構成する積層膜で一体に形成される。
このMEMS素子1では、上部電極9と下部電極2間に印加する電圧をオン、オフすることにより、両電極間の発生する静電力でビーム5が基板3側にたわみ、あるいは元の状態に復帰する等して静電駆動することになる。MEMS素子1は、上部電極9の上面を反射面とすれば、光学MEMS素子として構成される。また、MEMS素子は、例えば下部電極を出力電極、上部電極を入力電極として、上部電極9に所要周波数信号を入力したときに、ビーム5が共振して下部電極2から所要周波数信号を出力させる共振器として構成することができる。さらには、アクチュエーターとしても構成することもできる。
図15及び図16に、上記MEMS素子のビームを複数配列して、GLVデバイスとして構成した光学MEMSの一例を示す。
GLV(Grating Light Valve)は、米国のSilicon Light Machines社が開発した光変調素子であり(特許文献1)、光の回折光を利用したMEMSデバイスである。このGLVデバイス20においては、図15及び図16に示すように、下部電極12を有する基板13上に、空隙であるエアギャップを介して、支持部14を有する両持ち梁構造のビーム15が複数、この例では6つ、等間隔に並列配置される。これを以下ビーム群21と呼ぶ。このビーム15は、例えば、SiN膜によるブリッジ部材の上部にAl膜が設けられた、反射膜兼上部電極であり、通称リボンと呼ばれる。
ビーム群21は、固定ビーム15a(固定リボン)と可動ビーム15b(可動リボン)が交互に並べられた構成であり、可動ビーム15bは、基板13側の共通の下部電極12とビーム15上の反射膜兼上部電極との間に、微小な電圧をかけると、静電力により、図13に示すように、基板側下部電極12に向かって近接するという静電駆動による構成になっている。このとき、固定ビーム15aはそのままであるから、ビーム群21の図示しない断面図は、固定ビーム15aと可動ビーム15bとで、矩形状の回折格子を形成する。これにより、ビーム群21に入射した光は、隣り合うビーム15のピッチと波長によって決まる方向へ回折する。
これらの回折光は主に±1次光であり、鏡面反射される0次光は、固定ビーム15aに対する可動ビーム15bのたわみが、入射光の波長の4分の1になるまで減少する。そして、電圧の印加を停止すると、可動ビーム15bは、図15に示すように、再びもとの位置に戻るので、入射光は、再び平面反射となる。以上のように、GLV素子20は、ある方向への反射強度を連続的に変えることができるものであり、1次元型の光変調素子として使用するものである。
このように、GLV素子20は、電圧の印加により、電極間に静電力が働き、可動ビーム15bと固定ビーム15aとで回折格子を形成するので、高速に応答することができる等の利点があり、構造もシンプルであるので、様々な研究が進められている。
例えば、特許文献2には、上記のGLV素子が静電駆動方式である為に動作電力が高く、結果として光調節の信頼性が高くないという問題点に鑑み、圧電駆動方式で駆動することにより、変位、駆動速度、信頼性、線形性、及び低電圧駆動確保に優れた回折型薄膜圧電型マイクロミラー及びその製造方法について記載されている。
また、GLV素子において、より高いコントラスト、輝度を実現する構造が特許文献3に記載されている。このブレーズGLV素子は、ビームを傾けて回折光を±1次光の2方向の回折光から−1次光または+1次光の回折光に限定している。
また、GLV素子において、より高いコントラスト、輝度を実現する構造が特許文献3に記載されている。このブレーズGLV素子は、ビームを傾けて回折光を±1次光の2方向の回折光から−1次光または+1次光の回折光に限定している。
上述の1次元型の光変調素子20は、プロジェクターなどに用いられる。
また、DMD(Digital Micro Mirror Device)の様に梁(ビーム)15を1本とする場合は、例えば駆動位置に応じて反射方向を変化させることによりスイッチ機能をもたせ光スイッチとして利用することも可能である。
また、DMD(Digital Micro Mirror Device)の様に梁(ビーム)15を1本とする場合は、例えば駆動位置に応じて反射方向を変化させることによりスイッチ機能をもたせ光スイッチとして利用することも可能である。
上述のような、GLV素子では、可動ビームの高さを変化させて、固定ビームと可動ビームで回折格子を形成することによって回折光を出射している。ところが、もともとのビーム15の高さにばらつきがあると、隣り合うビームの高さが違うので、電圧の印加がオフ状態であっても、反射光に迷光が生じてしまう。GLVデバイスは複数のビームが並置配列される光変調素子であるので、これをプロジェクターなどに利用したときに1本でも1nm高さがずれるだけで、コントラストが悪化するという問題点ある。そして、その隣接ビームの高さがばらついてしまう主な原因は、下部電極、及び製造工程で用いられる犠牲層表面の凸凹成分、いわゆるうねり、であることがわかった。
ところで、MEMS技術は、半導体微細加工技術が用いられており、成膜、リソグラフィー、エッチングの繰り返しによって製造される。上述のような、下部電極、及び犠牲層表面の凸凹成分によるうねりの影響は、GLV素子に限ったものではない。2つの相対した面の間に空間層を有する構造のMEMS素子であれば、同じような製造処理がなされているため、成膜によるうねりの影響がある。
本発明は上述の点に鑑み、2つの相対する面の間に空間層を有する電気機械素子において、支持部で支えられた梁(ビーム)の面の高さのばらつきが低減された信頼性の高い電気機械素子、その電気機械素子を備えた電子機器及びプロジェクターを提供するものである。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の電気機械素子は基板上に、空間を挟んで対向する梁と、梁を長軸方向の端部で支持する支持部とを備え、支持部は、梁の短軸方向に複数本設けられて成ることを特徴とする。
本発明の電気機械素子では、支持部が梁の短軸方向に複数本設けられるために、基板上に設けられる下部電極や、製造工程で設けられる基板上の犠牲層からのうねりの梁に対する影響を低減させることができる。
本発明の電子機器は、基板上に空間を挟んで対向する梁と、梁を長軸方向の端部で支持する支持部とを有し、支持部が梁の短軸方向に複数本設けられてなる電気機械素子を備えたことを特徴とする。
本発明の電子機器では、支持部が梁の短軸方向に複数本設けられた電気機械素子を備えることにより、電気機械素子において梁の高さがらつきが低減し、動作精度が向上する。
本発明のプロジェクターは、基板上に空間を挟んで対向する複数の梁と、各梁を長軸方向の端部で支持する支持部とを有し、支持部が梁の短軸方向に複数本設けられてなる電気機械素子を光変調素子として備えたことを特徴とする。
本発明のプロジェクターでは、複数の梁を有しその支持部が梁の短軸方向に複数本設けられた電気機械素子を光変調素子として備えることにより、隣り合う梁の高さばらつきが低減され、迷光が低減され、また光変調素子に入射する入射光に対する回折光の精度が上がる。
本発明の電気機械素子によれば、梁の高さのばらつきが低減するので、信頼性の高い電気機械素子を提供することができる。
また、本発明の電子機器によれば、内蔵する電気機械素子における梁の高さばらつきが低減し、動作精度が向上するので、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
また、本発明のプロジェクターによれば、隣り合う梁の高さばらつきが低減され、迷光が低減し、回折光の精度が上がるため、コントラストを向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の理解を容易にするために、比較例として、前述した図15、図16のGLV素子20における各ビーム15[15a、15b]の高さばらつきの発生の一因について定性的に説明する。
上記GLV素子20の製造工程には、図17に示すように、下部電極12の上面に犠牲層22を形成する工程aと、犠牲層22において、支持部14が形成される位置を開口23を形成するためのエッチングする工程bと、犠牲層22の上面にSiN、SiO2による絶縁膜7、8、及びAl層9を成膜させて支持部14が一体型となったビームを形成する工程cと、犠牲層22をエッチングする工程dとがある。本例では下部電極12は、不純物がドープされた多結晶シリコンで形成される。また、後にエッチングされる犠牲層22には非結晶シリコン(a-Si)が用いられる。
すなわち、図17(a)に示すように、基板13上に、不純物がドープされた多結晶シリコンである下部電極12が形成され、この下部電極12の上面に、絶縁膜16であるSiO2を介して、非結晶シリコンによる犠牲層22が低温CVD(Chemical Vapor Deposition、化学的気相成長法)により、およそ550℃で形成される。そのときの犠牲層22の膜厚は素子の特性に依存するが、およそ1μmとし得る。続いて、犠牲層22において支持部14を形成すべき位置が選択的にエッチング除去され、開口23が形成される。その後、開口23内を含み、犠牲層22の上面に、SiN膜7、SiO2膜8及びAl層9の積層膜が形成され、パターニングされて、支持部14と一体型であるビーム15が形成される。ビーム15が、前述した絶縁膜7、8及び反射膜兼上部電極9の膜により形成されるときの温度はおよそ800℃である。
ビーム15が形成された後、犠牲層22をエッチング除去することにより、比較例である従来のGLV素子20は形成される。
ビーム15が形成された後、犠牲層22をエッチング除去することにより、比較例である従来のGLV素子20は形成される。
このとき、犠牲層22が形成されるときの温度とビーム15が形成される温度の違いにより犠牲層22が凹凸を持つようになる。これは、550℃で形成された犠牲層22の非結晶シリコンが、ビーム15を形成する際の800℃の熱により結晶成長(グレイン成長)してしまうことに起因しておこる。これが、犠牲層22のうねりの原因のひとつである。これらの要因により、結果的に隣り合うビーム15の高さにばらつきが出てきてしまう。
図18は、比較例におけるビーム群21の支持部14の中心を通って、ビーム配列方向(すなわち短軸方向)に切った断面図を示すものである。支持部14は、ビーム15の中央に位置し、図示しないが、支持部14の横断面形状は正方形である。また、図18に示す曲線Iは、下部電極2、及び犠牲層22表面の凹凸成分の中で発生頻度の高い8.5μmの周期を持つうねりを表したものである。ビーム幅の2倍の周期であるうねりが一番大きくなる。支持部14のピッチは設計上4.25μmであり、ビーム15の高さは、支持部14の高さで決まることから、図に示すように、支持部14の位置にうねりIの振幅の最大値(山)a、最小値(谷)bが来てしまうと、隣り合うビーム15a、15bの高さは最大、振幅の分だけ違ってくることがわかる。
これが、下部電極12、及び犠牲層22表面の凹凸成分に起因するビーム15の支持部での高さのばらつきである。反対側のビーム支持部に高さのばらつきがなかったとしても、ビーム長辺中央にレーザーが照射されることから、この1/2のばらつきが実効ばらつきとなり、迷光に影響する。
本発明に係る実施の形態は、このような検証に基いてビームの高さばらつきを抑制した電気機械素子(いわゆるMEMS素子)、及びこの電気機械素子を備えた各種電子機器、プロジェクターを提供するものである。なお、本実施の形態に係る電気機械素子は、マイクロスケール、ナノスケールの素子である。
図1A〜Cに、本発明に係る代表的な静電駆動型の電気機械素子(いわゆるMEMSデバイス)の第1実施の形態を示す。本実施の形態の電気機械素子30は、少なくとも表面が絶縁性を有する基板33上に下部電極32を形成し、下部電極32上を含む全面に絶縁膜36を形成し、下部電極32に対向して空間(エアギャップ)31を挟んで上部電極39を有した梁(以下、ビームという)35を配置して構成される。ビーム135は、その長軸方向(いわゆる長手方向)の両端部が支持部(いわゆる支柱)41により基板33上に支持される。ビーム35は、いわゆる両持ち梁構造に形成される。
そして、本実施の形態においては、特に、ビーム35の両端部の支持部41を、ビーム35の短軸方向(いわゆる幅方向)に複数本、本例では所要の間隔を置いて2本設けて構成される。また、各支持部41は、図7A〜Gに示すように、その横断面形状が6角以上の多角形(同図B、D、G)、十字形(同図C)、円形(同図A)、楕円形(同図E)または小判形(同図A)、あるいは図示しないが四角形の四隅をアール(R)とした形状(多角形の一種)のいずれか、本例では円形をなして形成される。
基板33としては、例えば、シリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)等の反基板上に絶縁膜を形成した基板、石英基板やガラス基板のような絶縁膜性基板等が用いられる。本例では、シリコン基板の表面に例えばSiO2,SiN等の絶縁膜を形成した基板が用いられる。下部電極32としては、不純物をドーピングした多結晶シリコン膜、金属膜(例えば、多結晶W、Cr蒸着膜)、あるいはシリコン基板に不純物をドーピングした拡散層などで形成される。本例では不純物をドーピングした多結晶シリコン膜で形成される。ビーム35は、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO2膜)、その他の絶縁膜と、上部電極39の積層膜で形成される。本例では強度、弾性定数など物性値がビームの機械的駆動に対して適切なシリコン窒化膜37とその上のシリコン酸化膜38とその上のAl膜による上部電極39との積層膜で形成される。また、支持部41は、ビーム35と一体に、あるいは別体の材料で形成することができる。本例ではビーム35と一体にビーム35と同じ積層膜で支持部41が形成される。
本実施の形態の電気機械素子30の動作は、前述の図16で説明した同様であるので、重複説明を省略する。また、この電気機械素子30の製造方法の一例としては、前述の図17で説明したと同様の製造工程で製造することができる。
図1の本実施の形態の電気機械素子30は、ビーム35の上部電極39の上面を反射面とすれば、光学電気機械素子として構成することができる。例えば、前述と同様に下部電極を共通にして複数のビームを配列して、入射光に対して回折光を反射するようにしたGLV素子として構成することができる。また、この電気機械素子30は、上部電極または下部電極のいずれか一方を、例えば下部電極2を出力電極とし、他方の電極である上部電極39を入力電極として、上部電極39に所要の周波数信号を入力したときに、ビーム35が共振して下部電極から周波数信号を出力させる共振器として構成することができる。この電気機械素子30を複数並列化して信号フィルタとして構成することもできる。さらに、電気機械素子30はアクチュエーターとしても構成することができる。
第1実施の形態に係る電気機械素子30によれば、後述で明らかとなるように、ビーム35を支持する支持部41を、ビーム35の短軸方向に複数本設けることにより、ビーム35に高さばらつきを低減することができる。さらに、支持部41の横断面形状を6角以上の多角形、十字形、円形、楕円系または小判形のいずれか、本例では円形となすときは、支持部41の稜部に働く応力が軽減し、ビームの高さばらつきを抑制することができる。従って、電気機械素子30としての駆動精度を向上することができる。
図2に、本発明に係る電気機械素子の第2実施の形態を示す。本発明実施の形態の電気機械素子は、光学電気機械素子の一例であって、上記第1実施の形態の電気機械素子のビームを複数配列して光変調素子であるGLV素子43として構成した光学電気機械素子である。
本実施の形態に係る電気機械素子、いわゆるGLV素子43は、基板33上に共通の下部電極32を形成し、下部電極32上に絶縁膜(図示ぜず)を形成し、下部電極32に対向するように空間を挟んで複数、本例では6つのビーム35〔35a,35b〕を配列して構成される。各ビーム35〔35a,35b〕は、長軸方向(いわゆるビーム長手方向)の両端部が支持部(いわゆる支柱)41で支持され、且つ支持部41がビーム35の短軸方向(いわゆるビーム幅方向)に複数本、本例では2本設けられる。ビーム35のうち、一つ置きのビーム53aが固定ビーム(固定リボン)となり、他の一つ置きのビーム35bが可動ビーム(可動リボン)となる。支持部41としては、本例では横断面形状が円形に形成される。このGLV素子43は、一次元の光変調素子として使用することができる。
基板33、下部電極32、ビーム35、支持部41の横断面形状などを含む、その他の構成は、前述の図1で説明したと同様であるので、詳細説明を省略する。また、本実施の形態のGLV素子43は、一例として、図17で説明した製造方法と実質的に同様の製造方法で製造することができる。さらに、GLV素子43の動作も、前述の図15及び図16で説明したと同様であるので、重複説明を省略する。
第2実施の形態に係るGLV素子43によれば、ビーム35〔35a,35b〕を支持する支持部41を、ビーム短軸方向に複数本、本例では2本設けたことにより、隣り合うビーム35a,35bの高さのばらつきを低減することができる。図3を用いて定性的に説明する。
図3は、前述した比較例の図18に対応する説明図である。本実施の形態のGLV素子43の製造条件は、前述の比較例と同じにする。また、GLV素子43のビーム35の中心から、隣り合う別のビーム35の中心までの距離も前述の比較例と同様、4.25μmとする。一つのビーム35の短軸方向に支持部41が2つずつ設けられている。図3に示したうねりの曲線Iもまた、前述の比較例と同様、うねりの周期の中で一番大きいうねりである8.5μmの周期を表す。図3に示したうねりの曲線Iと支持部41の配置は一番理想的なものである。このようなうねりIと支持部41の位置関係であれば、一つのビーム35に対応する2つの支持部41は、曲線Iの振幅の中腹に位置する。うねりIの周期はビーム幅の2倍であるから、1周期に2つのビーム35を持つが、それぞれの隣り合うビーム35が、2つの支持部41を有するために、振幅の最大値(山)aと最小値(谷)bに支持部41が位置することがなくなる。そのため、隣り合うビーム35aと35bとの高さの差の平均値は下がり、ビーム35の高さばらつきが低減される。
図18に示した比較例では、短軸方向に支持部が一つである単支持部構成であった為、振幅の最大値aと最小値bに支持部が来ると、隣り合うビーム15の高さの差が最大1振幅分異なっていた。しかし、本実施の形態においては、支持部41を短軸方向に2本設けることによって、隣り合うビーム35の高さのばらつきを抑えることができる。
Si基板及び、犠牲層表面の凹凸をAFM(Atomic Force Microscope)にて評価すると、周期が長く、凹凸の振幅の大きい成分が多いことがわかった。GLV素子のコントラストはビームのピッチの2倍に相当する周期を持つ凹凸の影響を受けやすく、図示しない実験データより、支持部を複数にすることで、この影響する波長を短くすることが可能であり、また周期の短い波長の凹凸は振幅も小さいためばらつきへの影響が小さい。実際に、支持部を1、2、3本と増やして高さばらつきを評価したところ、複数にすることで、犠牲層のエッチング後のビームの高さばらつきが大幅に低減し、コントラストも向上することがわかった。
一方、ビームの高さのばらつきのもう一つの要因として、支持部に係る応力が挙げられる。両もち梁のビームは、長手方向に角柱の支持部が2箇所設けられているが、角柱である場合、支持部と梁が接する稜部に応力が集中する角部があると、その製造工程中に出てくる異物などが付着することがある。そうすると、可動するビームの表面もしくは支持部の形状が崩れた場合に、ビームの表面の形状が崩れてしまい、素子間の均一性が崩れてしまう。これにより、結果的にビームの高さにばらつきが生じる。
これに対して、本実施の形態のように、支持部41を、横断面形状が図7に示すように、6角以上の多角形、十字形、円形、楕円形または小判形のいずれか、本例では円形に、すなわち、円柱状に形成することによって、稜部に働く応力を軽減し、ビーム5の高さのばらつきを抑える効果を奏する。尚、この効果は、第1実施の形態の電気機械素子30でも奏する。
上述したように、第2実施の形態に係るGLV素子43によれば、ビーム35の支持部41を2本設けることにより、隣り合うビーム35の高さばらつきが低減する。また、支持部41の横断面形状を例えば円形にすることにより、支持部の稜部に働く応力が軽減し、ビーム35の高さばらつきが抑制される。従って、このGLV素子43を光変調装置として例えばプロジェクターに用いたときには、コントラストを向上させることができる。
次に図4及び図5に、本発明に係る電気機械素子の第3実施の形態を示す。本実施の形態に係る電気機械素子は、ブレーズ角を有するGLV素子である。図4はブレーズGLV素子を構成する1つのブレーズGLV素体の斜視図及び、図4AにおけるA=A線上断面図であり、図5はブレーズGLV素子全体の概略斜視図である。前述したように、ブレーズGLV素子45では、ビームを傾けて回折光を±1次光の2方向の回折光から−1次光または+1次光のいずれか1方向の回折光に限定している。
第3実施の形態に係る電気機械素子、いわゆるブレーズGLV素子45は、第2実施の形態と同様に、基板33上に共通の下部電極32を形成し、下部電極32上に絶縁膜36を形成し、下部電極32に対向するように空間を挟んで後述する複数、本例では6つのビーム47〔47a,47b〕を配列して構成される。各ビーム47〔47a,47b〕は、長軸方向(いわゆるビーム長手方向)の両端部が支持部(いわゆる支柱)41で支持され、且つ支持部41がビーム47の短軸方向(いわゆるビーム幅方向)に複数本、本例では2本設けられる。ビーム47のうち、一つ置きのビーム47aが固定ビーム(固定リボン)となり、他の一つ置きのビーム47bが可動ビーム(可動リボン)となる。支持部41としては、本例では横断面形状が円形に形成される。
そして、このブレーズGLV素子45のビーム47は、支持部41に支持される両端部側に段差48を有して形成される。図4Aに示すように、ビーム47の段差のビーム幅方向の幅W1は、通常ビーム幅W2の半分である(W1=1/2W2)。この段差48を有するビーム47は、図4Bに示すように断面の傾き量dをもって傾く。本例のブレーズGLV素子45においては、このような両持ち梁式構造に形成される。製造材料及び、製造工程は、前述の第2実施の形態で説明した工程と同様であり、第2実施の形態と異なるのは、両端の段差部分48のみであるので、その他の構成の同一部分には同一符号を付し、重畳説明を省略する。また、本例のブレーズGLV素子45においても第2実施の形態と同様、1次元型の光変調素子として使用することができる。
両端に段差48のあるビーム47が傾くメカニズムは、段差部分にかかる引張り応力に対応して、回転モーメントが働くことによる。ある程度までは、段差が深いほど、ビーム47の傾きも大きくなる。
図6に、段差48の深さHに対する傾き量dを測定したグラフを示す。測定値Bは、ビーム両端に角柱の支持部が1つである従来のブレーズGLV素子の測定結果である。そして、測定値Aは、本実施の形態の両端に円柱の支持部41が短軸方向に段差48を挟んで2つあるブレーズGLV素子45の測定結果である。図6からわかるように、段差の深さHがおよそ190nmのときに、本実施の形態のブレーズGLV素子45が、従来のブレーズGLV素子の約1.5倍の傾きを有することがわかった。また、ビーム幅を狭くした場合であっても、可視光の1/4λの段差を確保できる。
GLV素子を備えたプロジェクター自体の大きさ及び重量は、光学系のスケールによって決まってくるため、小型・軽量化を目指すにはビーム幅を縮小すればよい。しかし、ブレーズGLV素子における最適なビーム傾き量は変わらないため、ビーム幅を縮小した場合は、同じ段差は傾き難くなるので、より大きい角度、傾き量が必要となる。よって、本実施の形態のように、短軸方向に段差48の境界を挟んで、2本の支持部41を形成することによって、従来の段差の境界部に1本の支持部を有するものに比べ、同じ段差に対する傾き量が増えるので、ブレーズGLV素子を小さくした場合でも十分な傾き量を確保することが可能である。
すなわち、段差の境界に1本の支持部があると、ビームを傾けたときに段差境界にある壁部も傾けなければならない。しかし、段差境界に1本の支持部が在ることにより、壁部が傾き難くなり、傾き角度が制限される。一方、段差境界を挟んで2本の支持部を設けるときは、境界の壁部が傾き易くなるため、従来より傾き角を大きくすることが可能になる。
図8に、本実施の形態のブレーズGLV素子45におけるビーム47の支持部41の本数、形状、配置の例を示す。
図8A〜Eは、小判型の支持部41の例で、順に2本、3本、4本、2本の斜め配置、3本の斜め配置を表している。
図8F〜Jは、円形の支持部41の例で、順に2本(2行1列)、3本(3行1列)、4本(4行1列)、2本の斜め配置、3本の斜め配列を表している。
図8K〜Oは、円形の支持部41の例で、順に4本(2行2列)、6本(3行2列)、6本(4行2列)、4本の斜め配列、5本の斜め配列を表している。
図8P〜Tは、円形の支持部41の例で、順に6本(2行3列)、9本(3行3列)、12本(4行3列)、6本の斜め配列、8本の斜め配列を表している。
ここで、図16C,E,H,J,M,O,R,Tにおいては、支持部41が段差の境界部分に存在するが、支持部41自体の太さが、従来の1本の支持部の場合に比べて細くなっているので、段差壁部も傾き易くなり、傾き角を大きくすることが可能となる。
図8A〜Eは、小判型の支持部41の例で、順に2本、3本、4本、2本の斜め配置、3本の斜め配置を表している。
図8F〜Jは、円形の支持部41の例で、順に2本(2行1列)、3本(3行1列)、4本(4行1列)、2本の斜め配置、3本の斜め配列を表している。
図8K〜Oは、円形の支持部41の例で、順に4本(2行2列)、6本(3行2列)、6本(4行2列)、4本の斜め配列、5本の斜め配列を表している。
図8P〜Tは、円形の支持部41の例で、順に6本(2行3列)、9本(3行3列)、12本(4行3列)、6本の斜め配列、8本の斜め配列を表している。
ここで、図16C,E,H,J,M,O,R,Tにおいては、支持部41が段差の境界部分に存在するが、支持部41自体の太さが、従来の1本の支持部の場合に比べて細くなっているので、段差壁部も傾き易くなり、傾き角を大きくすることが可能となる。
第3実施の形態に係るブレーズGLV素子45によれば、支持部41を複数本にすることによって、ビームの高さばらつきが抑えられる効果に加え、ビーム幅を小さくした場合でもビームを十分に傾けることが可能になる。
上述の第1実施の形態〜第3実施の形態においては、支持部は、ビームの長軸方向の両側に2つずつの計4個であったが、図8に示すように長軸方向に複数の支持部を有する場合でも応用可能である。また、支持部が短軸方向に2つ以上である多支持部構成であっても同様の効果を奏する。また、支持部形状は、断面が6角以上の多角形、円形、楕円形、小判型、ひょうたん型などであれば、同様の効果が得られる。好ましくは、支持部の横断面には、支持部の幅の5分の1以上の角にRをつける。また、支持部の横断面の短軸方向の幅は0.4〜1.5μmであることがより好ましい。
本実施の形態における下部電極、犠牲層、及び絶縁膜、上部電極などの材料構成は、前述の記載に限ったものではなく、種々の変形が可能であることは言うまでも無い。
本実施の形態における下部電極、犠牲層、及び絶縁膜、上部電極などの材料構成は、前述の記載に限ったものではなく、種々の変形が可能であることは言うまでも無い。
上述の実施の形態における、支持部の本数、幅、ピッチの最適化実験において、支持部が小判状であり、短軸方向の2本の支持部のピッチがビーム幅の約1/2である、2.2であることが最適であるとデータからわかった。また、支持部の幅は、0.6μmが最適μmであることがわかった。
実験によれば、これらの条件を導入したGLV素子(ブレーズGLV素子を含む)の隣接するビームの高さばらつきは、従来の約1/3に低減できた。GLV素子の場合、これにより、200μmの距離を隔てて立つ2本の支持部で支えられた反射面を有するビームの中央部の高さばらつきが従来の3nmから1nmに低減出来、プロジェクターの光変調素子に適用したときに、画像のコントラストが大幅に向上することを確認した。また、迷光が低減できるため、プロジェクターとしてスクリーンに画像を投影した場合にガルバノミラーで投影することによる横筋が低減することが確認できた。
なお、上例では、本発明の電気機械素子として、前述の図1に示すように、両持ち梁構造のビームを有した構成としたが、これに限らず、片持ち梁構造のビームを有した構成にも、本発明は適用できる。
また、上例では本発明の電気機械素子を、静電駆動方式の電気機械素子に適用した場合であるが、その他、圧電駆動方式、あるいは電磁駆動方式の電気機械素子にも本発明は適用することができる。
図9に、本発明の電気機械素子を、圧電駆動方式の電気機械素子に適用した場合の概略構成図を示す。図9Aは本例の電気機械素子を上面からみた図であり、図9Bは、そのD−D線上の断面図を示す。圧電駆動方式の電気機械素子においては、基板64上に圧電膜による支持部70を介してビーム65を支持して構成される。ビーム65は、上部電極62とその上に形成された反射ミラー63とで構成される。基板64上には、ビーム群に共通の下部電極66が形成される。ビーム65は、端部を2本ずつの支持部61で支持されており、この支持部70は、小判形状をなしている。ここで、可動ビームの支持部は、下部電極66と上部電極62の電位差による圧電効果により上下に伸縮し、ビームを変位させる。一方、固定ビームは、上部電極62の電位が、下部電極66と同じ電位になっており、変位しない。もしくはキャリブレーション電圧が印加されてコントラストを向上させる。
このような圧電駆動であっても、支持部70の形状は、複数かつ、円形、小判形状などの角部が無い横断面形状の場合に応力集中が緩和されてビームの高さばらつきが低減される。
このような圧電駆動であっても、支持部70の形状は、複数かつ、円形、小判形状などの角部が無い横断面形状の場合に応力集中が緩和されてビームの高さばらつきが低減される。
次に、図10に本発明の電気機械素子を、電磁駆動方式の電気機械素子に適用した場合の概略構成図を示す。図10に示すように、本実施の形態を用いたGLV素子43のビームの長手方向とは垂直に磁界の向きがくるように、強力な磁石68a、68bをGLV素子43の周辺に並行配置する。このように配置することによって、磁界Bは、ビームの長手方向に垂直に発生する。磁界Bの向きをx方向とし、ビームの紙面奥方向をy方向としたとき、可動ビームにy方向の駆動電流が流れている。この電流Iは、10μA程度である。また、固定ビーム35aには電流は流れていない。このとき、可動ビーム35bには、磁界Bと電流Iからローレンツ電磁力が生じているため下向き(z軸の負の方向)の力Fが働き、F∝I×Bとなる。そこで、駆動させたい複数のビームにビームの弾性力と所望の振幅にて釣り合う電流を流して、ビーム35bを駆動させる。固定ビーム35aは電流が流れないため、変位しない。これにより、回折格子が形成されて光の変調がなされる。なおこの場合はGLV素子43において下部電極は不要となる。また、この方式では電流を逆方向に流すことでビームを上向きに変位させることも可能である。
このような電磁駆動であっても、支持部41の形状は、複数かつ、円形、小判形状などの角部が無い横断面形状の場合に応力集中が緩和されてビームの高さばらつきが低減される。
このような電磁駆動であっても、支持部41の形状は、複数かつ、円形、小判形状などの角部が無い横断面形状の場合に応力集中が緩和されてビームの高さばらつきが低減される。
次に、上述の実施の形態に係るGLV素子43、あるいはブレーズGLV素子45を光変調素子としてプロジェクターに用いた場合の第4実施の形態について説明する。
このプロジェクターは、例えば、大型スクリーン用プロジェクター、特にディジタル画像のプロジェクターとして、または、コンピュータ画像投影用として用いられるものである。
このプロジェクターは、例えば、大型スクリーン用プロジェクター、特にディジタル画像のプロジェクターとして、または、コンピュータ画像投影用として用いられるものである。
図11に示すように、このプロジェクター81は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のレーザー光源82R、82G、82Bと、各レーザー光源に対して、それぞれ光軸上に順次設けられたミラー84R、84G、84B、各色照明光学系(レンズ群)86R、86G、86B、及び光変調素子として機能する上述の本発明に係る光変調素子88R、88G、88Bを備えている。この光変調素子としては、例えば上述の第2又は第3の実施形態例において説明した構成のGLV素子、あるいはブレーズGLV素子が好適である。
レーザー光源82R、82G及び82Bは、それぞれ赤色光(例えば波長642nm、光出力約3W)、緑色光(例えば波長532nm、光出力約2W)、青色光(波長457nm、光出力約1.5W)のレーザーを射出する。なお、レーザー光の波長及び光出力はこれらに限定されるものではない。
レーザー光源82R、82G及び82Bは、それぞれ赤色光(例えば波長642nm、光出力約3W)、緑色光(例えば波長532nm、光出力約2W)、青色光(波長457nm、光出力約1.5W)のレーザーを射出する。なお、レーザー光の波長及び光出力はこれらに限定されるものではない。
更に、レーザディスプレイ81は、本発明構成の光変調素子88R、88G、88Bによりそれぞれ光強度が変調された赤色レーザー光、緑色レーザー光及び青色レーザー光を合成する色合成フィルタ90、空間フィルタ92、ディフューザー94、ミラー96、ガルバノスキャナー等の走査照明系98、投影光学系(レンズ群)100、及びスクリーン102を備えている。色合成フィルタ90は、例えばダイクロイックミラーで構成される。
本実施形態のプロジェクター81は、レーザー光源82R、82G、82Bから射出されたRGB各レーザー光が、それぞれミラー84R、84G、84Bを経て各色照明光学系86R、86G、86Bから各光変調素子88R、88G、88Bに同期入力されるようになっている。
更に、各レーザー光は、光変調素子88R、88G、88Bによって回折されることにより空間変調され、これら3色の回折光が色合成フィルタ90によって合成され、続いて空間フィルタ92によって信号成分のみが取り出される。
次いで、このRGBの画像信号は、ディフューザー94によってレーザースペックルが低減され、ミラー96を経て、画像信号と同期する走査照明系98によって空間に展開され、投影光学系100によってスクリーン102上にフルカラー画像として投影される。
更に、各レーザー光は、光変調素子88R、88G、88Bによって回折されることにより空間変調され、これら3色の回折光が色合成フィルタ90によって合成され、続いて空間フィルタ92によって信号成分のみが取り出される。
次いで、このRGBの画像信号は、ディフューザー94によってレーザースペックルが低減され、ミラー96を経て、画像信号と同期する走査照明系98によって空間に展開され、投影光学系100によってスクリーン102上にフルカラー画像として投影される。
本実施の形態のレーザディスプレイ81では、光変調素子として、第2または第3実施の形態におけるGLV素子を用いている。このため、GLV素子のビームの高さばらつきによる迷光が低減するので、従来のレーザディスプレイに比べて、スクリーンに投影した場合に横筋が減るなど、画像のコントラストが向上する。
また、光変調素子として、第2または第3実施の形態におけるGLV素子では、支持部の角部が無く、稜部の応力が低減されているため、繰り返し動作の寿命が延びることが期待され、その場合、レーザディスプレイとしても寿命が延びる。
また、光変調素子として、第2または第3実施の形態におけるGLV素子では、支持部の角部が無く、稜部の応力が低減されているため、繰り返し動作の寿命が延びることが期待され、その場合、レーザディスプレイとしても寿命が延びる。
本実施の形態においては、プロジェクターを例にしたが、本発明に係る電気機械素子を、光学MEMSなどの光学用途の素子としたときは、露光装置、光スイッチ、レーザープリンタなどの装置、すなわち電子機器にも用いることができる。また、光学用途以外の用途に用いることもでき、例えば電気機械素子をアクチュエーターとして用いてインクジェットプリンタへの応用も可能である。さらには、本実施の形態の電気機械素子を用いて共振器、信号フィルタなどを構成することができる。複数の電気機械素子を並列化して信号フィルタを構成した場合、各素子のビームの高さばらつきが抑制されるので、各素子の駆動精度が同じになり、フィルタ特性を向上することができる。
第5実施の形態として、本発明の電気機械素子をインクジェットプリンタヘッドに使用した場合について、図12を参照しながら説明する。本実施の形態のインクジェットプリンタヘッド50では、下部電極53が形成された基板51上に支持部54で支持された梁55が基板51上に空間60を挟んでブリッジ状に形成される。梁55は、絶縁膜及び上部電極からなる。図示しないが、支持部54は、紙面奥方向に複数設けられ、梁55を支持している。また、支持部54の断面積は例えば円状である。この電気機械素子はアクチュエーターとして使用される。
一方、梁55上には、液体を入れる圧力室61を構成する封止層59が形成され、その圧力室61の上部は開孔され、インクジェットノズル57を構成する。このアクチュエーターと圧力室61とからなるインクジェット素体が複数配列され、夫々の圧力室61にインク流を導入するためのインク流路56が連通している。
一方、梁55上には、液体を入れる圧力室61を構成する封止層59が形成され、その圧力室61の上部は開孔され、インクジェットノズル57を構成する。このアクチュエーターと圧力室61とからなるインクジェット素体が複数配列され、夫々の圧力室61にインク流を導入するためのインク流路56が連通している。
このような構成のインクジェットプリンタヘッド50において、電気機械素子によるアクチュエーターの下部電極53および上部電極58に電圧を印加することによって、静電力を生じさせて梁55を押し上げることにより圧力室61内のインク流をインクジェットノズル57から外部に射出させることができる。
本例においては、梁部55は、複数本の支持部54に支持されているために、隣り合うインクジェット素子の梁55の高さばらつきが低減し、より平坦に形成され、より均一にインクを射出することができる。また、支持部54が角を有さないため、稜部に係る応力が低減されるので、繰り返し動作の寿命が延び、装置としての寿命も延びることが期待される。
本例においては、梁部55は、複数本の支持部54に支持されているために、隣り合うインクジェット素子の梁55の高さばらつきが低減し、より平坦に形成され、より均一にインクを射出することができる。また、支持部54が角を有さないため、稜部に係る応力が低減されるので、繰り返し動作の寿命が延び、装置としての寿命も延びることが期待される。
また、第6実施の形態として、上述の実施の形態に係るGLV素子43、あるいはブレーズGLV素子45を光変調素子をレーザー露光装置に用いた場合について、図13を参照しながら説明する。本実施の形態のレーザー露光装置122は、レーザー光源110から出射されるレーザー光Lを光学系120を介して露光対象119に照射する。まず、レーザーヘッド110から出射されるレーザー光Lを、光学系120の反射ミラー111を介し、A/O変調器114により変調させ、変調されたレーザー光Lの径がレンズ系115によって、縦方向に太くされる。そして再び反射ミラー112によって反射されたレーザー光LはGLV素子113を介してポリゴンミラー116に導かれる。ポリゴンミラー116で走査偏向された後の走査光を露光対象119に等速で走査させるためのfθレンズ117を介し、コンデンサレンズ118に入射される。コンデンサレンズ118は、反射ミラーもかねており、レーザー光121は露光対象119に垂直に照射される。本実施の形態においては、図示しないが、GLV素子73とポリゴンミラー116の間に空間フィルタが必要である。
本実施の形態においては、露光対象119に描画パターンを描くためのマスクが不要となる。また、GLV素子113は非常に高速に駆動できる1次元素子のため、EB描画装置に比べて格段にスループットが高い。また、本実施の形態において、露光対象119はいわゆるウェーハ(基板)をイメージしているが、印刷原版でも同様である。また、本実施の形態では、GLV素子113のビームが複数本の支持部(図示せず)で支持されている為、高さばらつきを軽減し、露光精度が向上する。また、支持部が角部を有さないため、安定した繰り返し動作を得ることが出来る。
本発明において、支持部の角部を丸くすることの効果は、DMD(Digital Micro Mirror Device)や、ダイアフラム等の素子にも応用でき、その場合いも平面度の向上が期待できる。
2、32・・・下部電極、3、33・・・基板、21、4、14、41・・・支持部、5、15、35、47・・・ビーム(梁)、6、7、8、36、37、38、・・・絶縁膜、9、39・・・反射膜兼上部電極、22・・・犠牲層、30・・電気機械素子、43、45・・・光変調素子(GLVデバイス)、81・・・プロジェクター、82R・・・光源、82G・・・光源、82B・・・光源、86R・・・照明光学系、86G・・・照明光学系、86B.88R・・・光変調素子、88G・・・光変調素子、88B・・・光変調素子、90・・・色合成フィルタ、92・・・空間フィルタ、94・・・ディフューザー、96・・・ミラー、98・・・走査照明系、100・・・投影光学系、102・・・スクリーン、50・・・インクジェットプリンタヘッド、51・・・基板、53・・・下部電極、54・・・支持部、55・・・梁、56・・・インク流路、57・・・インクジェットノズル、58・・・上部電極、59・・・封止部、60・・・空間、61・・圧力室、68・・磁石、122・・・レーザー露光装置、110・・・レーザー光源、111、112・・・反射ミラー、113・・・GLV素子、114・・・A/O変調器、116・・・ポリゴンミラー、117・・・fθレンズ、118・・・コンデンサレンズ、119・・・露光対象
Claims (12)
- 基板上に、空間を挟んで対向する梁と、
前記梁を支持する支持部とを備え、
前記支持部は、梁の短軸方向に複数本設けられて成る
ことを特徴とする電気機械素子。 - 前記支持部の横断面形状が6角以上の多角形、円形、または楕円形のいずれかである
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機械素子。 - 上部に反射面を有する前記梁が複数配列され、
前記梁の一部が前記基板側にたわむことにより、回折格子が構成されて、光に対して回折作用を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機械素子。 - 前記基板に下部電極が設けられ、前記梁に反射面を有する上部電極が設けられ、
下部電極と上部電極に印加する電圧により、前記梁が静電駆動される
ことを特徴とする請求項3に記載の電気機械素子。 - 前記梁は、前記長軸方向の両端部において段差が設けられて短軸方向に傾きを生じさせる構造である
ことを特徴とする請求項4に記載の電気機械素子。 - 基板上に空間を挟んで対向する梁と、
前記梁を支持する支持部とを有し、
前記支持部が前記梁の短軸方向に複数本設けられてなる電気機械素子を備えた
ことを特徴とする電子機器。 - 前記電気機械素子の前記支持部の横断面形状が6角以上の多角形、十字形、円形、または楕円形のいずれかである
ことを特徴とする請求項6記載の電子機器。 - 前記電気機械素子は、上部に反射面を有する前記梁が複数配列され、
前記梁の一部が前記基板側にたわむことにより、回折格子を形成して光に対して回折作用を有して成る
ことを特徴とする請求項6記載の電子機器。 - 前記電気機械素子の前記梁は、前記長軸方向の両端部において段差が設けられて短軸方向に傾きを生じさせる構造である
ことを特徴とする請求項8記載の電子機器。 - 基板上に空間を挟んで対向する複数の梁と、
前記各梁を支持する支持部とを有し、
前記支持部が前記梁の短軸方向に複数本設けられてなる電気機械素子を光変調素子として備えた
ことを特徴とするプロジェクター。 - 前記光変調素子の前記支持部の横断面が6角以上の多角形、円形、または楕円形のいずれかである
ことを特徴とする請求項10記載のプロジェクター。 - 前記光変調素子の前記梁は、前記長軸方向の両端部において段差が設けられて短軸方向に傾きを生じさせる構造である
ことを特徴とする請求項10記載のプロジェクター。
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