JP2008127261A - セラミックス顆粒の製造方法、セラミックス成形体の製造方法およびセラミックス焼結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水と、セラミックス粉末と、アニオン系界面活性剤とを含むセラミックス顆粒原料に対して、超音波を照射してスラリーを調製し、次いでそのスラリーを造粒する、セラミックス顆粒の製造方法において、超音波の照射時における前記スラリーの温度を45℃以下に保持する。また、得られたセラミックス顆粒を成形することにより、セラミックス成形体を得る。さらに、得られたセラミックス成形体を焼結することにより、セラミックス焼結体を得る。
【選択図】なし
Description
また、セラミックス顆粒からセラミックス成形体を成形する方法として、例えば、非特許文献1には、セラミックス顆粒を静水圧成形する方法が開示されている。
しかし、上記した方法により得られるセラミックス顆粒を、例えば、静水圧成形法(例えば、圧力100MPa)で成形すると、成形体が輪切り状に割れ、型崩れする状態、いわゆるラミネーションを生じるという不具合がある。
また、本発明の別の目的は、型崩れすることを抑制でき、均質で高い成形密度を有するセラミックス成形体の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、型崩れすることを抑制でき、均質で高い焼結密度を有するセラミックス焼結体の製造方法を提供することにある。
また、本発明のセラミックス成形体の製造方法は、上記したセラミックス顆粒の製造方法により得られるセラミックス顆粒を成形することを特徴としている。
さらに、本発明のセラミックス焼結体の製造方法は、上記したセラミックス成形体の製造方法により得られるセラミックス成形体を焼結することを特徴としている。
また、本発明のセラミックス成形体の製造方法によれば、上記したセラミックス顆粒を成形するため、均質で高い成形密度を有するセラミックス成形体を製造することができる。
セラミックス粉末としては、例えば、アルミナ粉末、窒化ケイ素粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸バリウム粉末、チタン酸ジルコニウム酸鉛粉末、ジルコニア粉末、シリカ粉末、酸窒化アルミニウム(AlON)粉末、サイアロン(SiAlON)粉末、酸化イットリウム粉末、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)の粉末、および、窒素ホウ素粉末などが挙げられ、上記した群から選択される少なくとも1種の粉末を、セラミック粉末全重量に対して、50重量%以上含むことが好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム塩およびポリカルボン酸ナトリウム塩などのポリカルボン酸の塩、縮合ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩および縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩などの縮合ナフタレンスルホン酸の塩、カルボン酸/スルホン酸共重合体系ナトリウム塩、ならびに、ポリアクリル酸アミド系分散剤などが挙げられ、好ましくは、ポリカルボン酸アンモニウム塩が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、固体として用いることができる他、水に溶解させて水溶液として用いることもできる。
スラリーの調製において、セラミックス粉末の配合量は、後述する造粒方法の条件により異なるが、例えば、通常スラリー(混合液)100重量部中に、25重量部〜70重量部であり、30重量部〜65重量部であることが好ましい。
超音波の照射時間は、超音波照射装置の出力の大きさによって異なるが、通常1時間〜6時間であり、2時間〜4時間であることが好ましく、この照射時間の間、超音波をスラリーへ照射する。
また、このセラミックス顆粒の製造方法では、超音波照射装置による超音波の照射時におけるスラリーの温度は、45℃以下であり、好ましくは、40℃以下である。スラリーの温度が45℃以下であれば、得られるセラミックス顆粒を、例えば、後述する静水圧成形法などにより成形する場合、ラミネーションなどの発生を抑制でき、成形体が型崩れすることを抑制できる。
(1)の方法における水の温度としては、例えば、5℃〜20℃であることが好ましく、5℃〜10℃であることがさらに好ましい。水の温度が5℃〜20℃の範囲であれば、通常の超音波照射エネルギー密度の範囲において、超音波照射時に、スラリーの温度が45℃を超えることを抑制することができる。
スラリーを冷却装置で直接冷却する方法としては、例えば、コイル式熱交換器をスラリーと接触させて、スラリーを冷却する方法などが挙げられる。
スラリーを冷却装置で間接的に冷却する方法としては、例えば、スラリーが入っている超音波装置の槽を冷却して、スラリーを間接的に冷却する方法などが挙げられる。このような方法としては、例えば、超音波装置を冷却媒体に浸し、この冷却媒体をコイル式熱交換器などによって冷却する方法、超音波装置をタンクジャケット式熱交換器によって冷却する方法などが挙げられる。
バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、メチルセルロース、酢酸ビニルエマルジョン、ポリビニルブチラール系、各種ワックス、各種多糖類などが挙げられ、好ましくは、アクリル樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、ポリビニルアルコールが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
滑剤としては、ワックス、ステアリン酸、ステアリン酸エマルジョンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
滑剤の配合量は、例えば、固形分換算で、通常セラミックス粉末100重量部に対して0.2重量部〜1.5重量部であり、0.5重量部〜1重量部であることが好ましい。
その他の添加剤は、例えば、ノニオン系界面活性剤、可塑剤などとしてスラリーに添加されるものであって、ノニオン系界面活性剤は、バインダーとしてアクリル樹脂エマルジョンを添加した場合に、そのアクリル樹脂エマルジョンを安定させるためのものである。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
ノニオン系界面活性剤の配合量は、例えば、通常セラミックス粉末100重量部に対して0.05重量部〜1重量部であり、0.1重量部〜0.8重量部であることが好ましい。
可塑剤の配合量は、例えば、通常セラミックス粉末100重量部に対して0.1重量部〜2重量部であり、0.3重量部〜1重量部であることが好ましい。
造粒方法としては、例えば、噴霧乾燥法、衝撃波乾燥法、オイルドロップ法などが挙げられ、好ましくは、噴霧乾燥法が挙げられる。
これらの造粒方法で、スラリーを造粒することによって、セラミックス顆粒を得ることができる。例えば、噴霧乾燥法は、スラリーをノズルから噴霧して液滴とし、気流中で乾燥させることにより行なわれ、これにより、液滴として噴霧されたスラリー中の水分が蒸発し、セラミックス粉末同士が凝集して、セラミックス顆粒を得ることができる。
成形方法としては、セラミックス顆粒をセラミックス成形体に成形することができれば、特に制限されず、例えば、押出成形法、射出成形法、鋳込成形法、ならびに、一軸加圧成形法、静水圧成形法などの加圧成形法など、公知の成形方法が挙げられ、好ましくは、静水圧成形法が挙げられる。静水圧成形法により成形体を成形すれば、均質で高密度の成形体を得ることができる。
次いで、上記した成形方法により得られたセラミックス成形体を焼結する(セラミックス焼結体の製造)。
焼結温度は、セラミックス粉末の種類によって異なるが、アルミナ粉末の場合には、例えば,1200℃〜1800℃の温度範囲であることが好ましい。
焼結時間は、通常1時間〜10時間であり、2時間〜6時間であることが好ましい。
実施例1
粉末状の高純度αアルミナ(住友化学株式会社製 AKP−30 重量基準の中心粒子径0.5μm)100重量部、および、アニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)の水溶液0.925重量部(固形分0.37重量部)に、5℃の冷水122重量部を加え、攪拌しながら、超音波照射を4時間行うことによりスラリーを調製した。超音波照射直後のスラリーの温度は、25℃であった(超音波照射エネルギー密度の計算値は、50kJ/m3であった。)。次いで、スラリーに、アクリル樹脂エマルジョン2.5重量部(固形分換算)と、滑剤(ステアリン酸)0.5重量部とを加えて攪拌した後、さらに、攪拌下、硫酸アルミニウム0.19重量部を加え、セラミックススラリーを得た。得られたセラミックススラリーを噴霧乾燥して、粒子径が48μmのセラミックス顆粒を得た。
比較例1
実施例1の操作において、5℃の冷水に代えて28℃の水を使用したこと以外は、実施例1と同様の操作によりセラミックス顆粒を得た。なお、超音波照射直後のスラリーの温度は、48℃であった(超音波照射エネルギー密度の計算値は、50kJ/m3であった。)。
実施例2
粉末状の高純度αアルミナ(住友化学株式会社製 AKP−30 重量基準の中心粒子径0.5μm)100重量部、および、アニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)の水溶液0.925重量部(固形分0.37重量部)に、27℃の水122重量部を加え、攪拌しながら、超音波照射を2.2時間行うことによりスラリーを調製した。超音波照射直後のスラリーの温度は、35℃であった(超音波照射エネルギー密度の計算値は、14kJ/m3であった。)。次いで、スラリーに、アクリル樹脂エマルジョン1.25重量部(固形分換算)と、滑剤(ステアリン酸)0.25重量部とを加えて攪拌した後、さらに、攪拌下、硫酸アルミニウム0.095重量部を加え、セラミックススラリーを得た。得られたセラミックススラリーを噴霧乾燥して、粒子径が50μmのセラミックス顆粒を得た。
実施例3
粉末状の高純度αアルミナ(住友化学株式会社製 AKP−30 重量基準の中心粒子径0.5μm)100重量部、および、アニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)の水溶液0.95重量部(固形分0.38重量部)に、15℃の水122重量部を加え、攪拌しながら、超音波照射を6時間行うことによりスラリーを調製した。なお、超音波照射装置を冷却水に浸し、冷却水をクーラー(コイル式熱交換器)で冷却し続けることによって、超音波照射装置槽内のスラリーを冷却し続けた。超音波照射直後のスラリーの温度は、29℃であった(超音波照射エネルギー密度の計算値は、24490kJ/m3であった。)。次いで、スラリーに、アクリル樹脂エマルジョン5重量部(固形分2.5重量部)と、滑剤(ステアリン酸エマルジョン)2.8重量部(固形分0.5重量部)とを加えて攪拌した後、さらに、攪拌下、硫酸アルミニウム0.15重量部を加え、セラミックススラリーを得た。得られたセラミックススラリーを噴霧乾燥して、セラミックス顆粒を得た。
実施例4
粉末状の高純度αアルミナ(住友化学株式会社製 AKP−30 重量基準の中心粒子径0.5μm)100重量部、アニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)の水溶液0.95重量部(固形分0.38重量部)、および、硝酸マグネシウム0.18重量部に、水122重量部を加え、攪拌しながら、超音波照射を2分間行うことによりスラリーを調製した。なお、超音波照射装置を冷却水に浸し、冷却水をクーラー(コイル式熱交換器)で冷却し続けることによって、超音波照射装置槽内のスラリーを冷却し続けた。超音波照射直後のスラリーの温度は、29℃であった(超音波照射エネルギー密度の計算値は、136kJ/m3であった。)。次いで、スラリーを攪拌しながら、60℃で1時間保持した後、アクリル樹脂エマルジョン5重量部(固形分2.5重量部)と、滑剤(ステアリン酸エマルジョン)2.8重量部(固形分0.5重量部)と、硫酸アルミニウム0.15重量部とを加え、スラリーを攪拌しながら、60℃で5.5時間保持し、セラミックススラリーを得た。得られたセラミックススラリーを噴霧乾燥して、セラミックス顆粒を得た。
評価実験
各実施例および各比較例で得られたセラミックス顆粒を、内径約13mm、長さ約70mm、厚み約3mmのウレタンゴム型に入れ、100MPaの圧力で静水圧成形して、セラミックス成形体を得た。得られたセラミックス成形体にラミネーションが発生しているか否かを、目視で観察することによって評価実験を行なった。結果を表1に示す。次いで、得られたセラミックス成形体を、大気雰囲気下、焼結温度1550℃、焼結時間2時間で焼結して、セラミックス焼結体を得た。
Claims (5)
- 水と、セラミックス粉末と、アニオン系界面活性剤とを含むセラミックス顆粒原料に対して、超音波を照射してスラリーを調製し、次いでそのスラリーを造粒する、セラミックス顆粒の製造方法であって、
超音波の照射時における前記スラリーの温度が45℃以下であることを特徴とする、セラミックス顆粒の製造方法。 - 前記セラミックス粉末が、アルミナ粉末、窒化ケイ素粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸バリウム粉末、チタン酸ジルコニウム酸鉛粉末、ジルコニア粉末、シリカ粉末、酸窒化アルミニウム(AlON)粉末、サイアロン(SiAlON)粉末、酸化イットリウム粉末、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)の粉末、および、窒素ホウ素粉末からなる群から選択される少なくとも1種の粉末を、前記セラミック粉末全重量に対して、50重量%以上含むことを特徴とする、請求項1に記載のセラミックス顆粒の製造方法。
- 前記アニオン系界面活性剤が、ポリカルボン酸アンモニウム塩であることを特徴とする、請求項1または2に記載のセラミックス顆粒の製造方法。
- 請求項1〜3に記載のセラミックス顆粒の製造方法により得られるセラミックス顆粒を成形することを特徴とする、セラミックス成形体の製造方法。
- 請求項4に記載のセラミックス成形体の製造方法により得られるセラミックス成形体を焼結することを特徴とする、セラミックス焼結体の製造方法。
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JP2006247484A (ja) * | 2005-03-09 | 2006-09-21 | Ngk Spark Plug Co Ltd | セラミック原料の造粒方法とその装置 |
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